説明

カード読取装置およびゲーム不正検出装置

【課題】 カードゲームの不正行為をその場で検出可能な装置を提供する。
【解決手段】 カード読取装置は、カードを案内するレール18と、レール18に案内されて移動するカードの通過を検出するためにカードの通過方向に所定の間隔を設けて配置されたカードセンサ46、48、50と、カードの通過方向においてカードセンサの間に配置されカードに付されたコードを読取る読取センサ52、54とを備える。カードは、紫外線発光インクでコードが印刷されたカードであり、コードは、カードの移動方向に交差する方向に所定の間隔を設けて配置された少なくとも2列のコードにより構成される。2つの読取センサ52、54は、2列のコードの間隔に対応する位置に配置され、カードセンサ46、48、50は、カードの通過中の位置を検出するための信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード読取装置およびカードゲーム不正検出装置に関し、特に、テーブル上で連続して行われるカードゲームでの不正行為を検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一つは、国際公開WO02/064225A1に開示されている。同文献では、カードが属する組を示すコードが、印刷等によりカードに設けられている。同文献の図6および図8の検査装置は、使用済みの組の各カードからコードを読み取る。そして、検査装置は、カードから読み取られたコードに基づき、異常なカードが組に混ざっているか否かを判定する。
【0003】
【特許文献1】国際公開WO02/064225A1(第15−17ページ、図6、図8)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来装置は、カードが所定の組に属するか否かを検査することで、不正防止に寄与している。しかし、このような装置では、不正行為が行われたとき、不正行為をその場で検出するのが困難な場合もある。
【0005】
例えば、バカラでは、カードが2人のプレーヤーに配布される(周知のようにバカラはプレーヤーとバンカーによりプレイされるが、本出願では、バンカーもプレーヤーと呼ぶ)。バカラにおいては、ゲーム中にカードがプレーヤーにより、「しぼり」と呼ばれる手法で裏返される。「しぼり」の権利は、一般に、最も高い金額をかけたプレーヤーに与えられる。この「しぼり」のとき、不正行為者は、マジシャンのような技でカードをすり替える。このような不正行為をその場で検出可能にすることが望まれる。
【0006】
不正行為を防止するために、プレーヤーによるカードの裏返しを禁止することも考えられる。しかし、バカラにおいては、カードをプレーヤーが裏返すことが、ゲームの面白みの重要な要素である。特に、バカラでは、「しぼり」の権利を持つことがステータスであ
るので、「しぼり」がゲームの面白さにとって重要である。
【0007】
上記の例では、バカラについて説明したが、ポーカー等の他のゲームでも、不正行為をその場で検出することが同様に望まれる。
【0008】
また、上述の従来装置以外にも各種の検査装置が提案されているが、従来から提案されている装置は、組全体を一度に検査するために多数のカードを順次移送する機構を備えていることが多く、比較的大型である。これに対して、簡素で安価な構成で不正行為を確実に検出可能にすることが求められる。
【0009】
本発明は上記背景の下でなされたものであり、その目的は、カードゲームでの不正行為をその場で検出可能な装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、比較的簡素で安価な構成で不正行為を検出可能な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明のカード読取装置は、テーブル上で行われるゲームに使用するカードの情報を読取るカード読取装置であって、前記カードを案内するレールと、前記レールに案内されて手動でスライド移動される前記カードの通過を検出するため、前記移動するカードの通過方向に所定の間隔を設けて配置された少なくとも2つのカードセンサと、前記カードの通過方向において前記2つのカードセンサの間に配置され、前記カードに付されたコードを読取る少なくとも2つの読取センサと、を備え、前記カードは、紫外線発光インクで前記コードが印刷されたカードであり、前記コードは、前記カードの移動方向に交差する方向に所定の間隔を設けて配置された少なくとも2列のコードにより構成され、前記2つの読取センサは、前記2列のコードの間隔に対応する位置に配置され、前記カードセンサは、前記カードの通過中の位置を検出するための信号を出力する。
【0012】
また、本発明のカード読取装置は、前記カードセンサからの信号により、前記読取センサの機能を制御する読取指示部をさらに備える。
【0013】
また、本発明のカード読取装置では、前記カードには、1デッキまたは複数デッキを組みとした組コードが付されており、前記読取センサが、前記組コードを読取る機能を有する。
【0014】
本発明のカードゲーム不正検出装置は、上記のカード読取装置と、前記カード読取装置が設けられた、ディーラーがカードを取り出すためのシュータと、を備える。
【0015】
カードゲーム不正検出装置は、連続して行われるカードゲームでの不正行為を検出する。この装置は、各回のゲームに登場するカードである登場カードを特定するための登場カード情報を取得する登場カード情報取得手段と、ゲームが行われている間、前記登場カード情報を記憶する登場カード情報記憶手段と、ゲームから退出するカードである退出カードを特定するための退出カード情報を取得する退出カード情報取得手段と、前記登場カード情報と前記退出カード情報に基づいて、前記登場カードと前記退出カードが一致するか否かを判定する判定手段と、判定結果を出力する出力手段と、を含む。
【0016】
上記の装置は、登場カードと退出カードが一致するか否かを判定し、判定結果を出力する。したがって、ゲーム中にカードが不正にすり替えられたとき、このすり替え行為が検出可能である。
【0017】
上記の装置は、登場カードと退出カードの情報を取得できればよい。例えばバカラゲームでは、登場カードおよび退出カードは、最大でも6枚である。したがって、カードの組を移送するような手段が設けられなくてもよいので、装置を簡素で安価に構成できる。
【0018】
なお、登場カード情報および退出カード情報は、上記の装置が適用されるカードゲームのルールに応じて最低限必要な情報でよい。カードのマークは、スート(スペード、ハート、ダイヤ、クラブ)とランク(数字1〜10、J、Q、K)で表される。バカラの場合、スートはゲームに影響しない。また、J、Q、Kは、10(または0)として扱われる。そこで、登場カード情報および退出カード情報は、1〜10(J、Q、Kも10に含まれる)のみでもよい。もちろん、より多くの情報が取得されてもよい。
【0019】
さらに、本発明の範囲内で、上記の装置は、組を表すコードを、登場カード情報および退出カード情報として用いてもよい。組は、例えば一デッキであり、また例えば複数のデッキである。登場カードに付けられた組コードと退出カード情報に付けられた組コードが比較される。この場合も、登場カードと退出カードの一致が判定可能である。同様の結果が得られる組コード以外の情報が使用されてもよいことはもちろんである。
【0020】
上記のカードゲーム不正検出装置は、典型的には、カードから情報を読み取る読取手段を有し、前記登場カード情報取得手段と前記退出カード情報取得手段は、前記読取手段により読み取られた情報を取得する。
【0021】
前記読取手段は、各カードに付されており、各カードを特定可能なコードを読み取ってもよい。好ましくは、前記読取手段は、通常の使用条件にて人間の視覚により読取不能であって、所定の条件で読取可能なコードをカードから読み取る。前記読取手段は、例えば、所定の光を照射されることで読取可能となるコードを読み取る。これによれば、プレーヤー等に違和感を与えることなく、不正を検出できる。
【0022】
前記読取手段は、カードのマークと対応しないように設定されたコードを読み取ってもよい。ここでは、カードのマークとコードが対応していない。そして、この装置は、カードのマークを把握しなくてよい。この装置は、登場カードと退出カードの一致を判定できればよいので、カードのマークを特定せずとも不正を検出できる。そして、カードのマークが装置に把握されないので、ゲームが公正に行われているというプレーヤーの感覚の更なる増大が図れる。
【0023】
前記読取手段は、各カードのマークを読み取ってもよい。ここでは、以下のような構成を採用することで、更なる装置の簡素化が可能になる。
【0024】
好ましくは、前記読取手段は、カードの縦方向の3つのマーク列の内で、少なくとも2つのマーク列のマークを検出する。前記少なくとも2つのマーク列は、中央のマーク列と、両側のマーク列の一方である。カードのマークの配列が決まっているので、上記のような簡素な構成によってカードのマークを特定できる。
【0025】
なお、既に説明したように、ここでは、ゲームのルールに応じて最低限必要な情報が得られればよい。例えば、バカラでは、マークのスートは検出されなくてもよい。また、好適には、マーク列のマークが特定不能なとき、カードが絵札(J、Q、K)であると判定される。絵札はバカラでは10(または0)として扱われればよい。
【0026】
前記読取手段は、カードの横方向の9つのマーク列の内で、少なくとも5つのマーク列のマークを検出してもよい。前記少なくとも5つのマーク列は、中央のマーク列と、両端のマーク列の一方と、8のカードにおける中央の両側の2つのマーク列と、10のカードにおける中央の両側の2つのマーク列の一つである。これによっても、マークを特定できる。
【0027】
好ましくは、前記読取手段は、テーブルに埋め込まれ、前記テーブル上をスライドするカードから情報を読み取るセンサを含む。これによれば、テーブル上のカードから情報が取得され、ゲームが公正に行われているというプレーヤーの感覚の更なる増大が図れる。
【0028】
好ましくは、前記登場カードと前記退出カードから共通のセンサにより情報が読み取られる。例えば、テーブルの中央等の適当な場所にセンサが設けられ、登場カードと退出カードがセンサ上をスライドされる。センサの数が少なくてよいので、構成が簡素化する。
【0029】
好ましくは、この装置は、テーブルから突出して設けられ、カードがスライドするときにカードを案内するレールを含み、カードの一辺がレールに接触した状態でカードがスライドするときにカードの情報がセンサを通過するように、前記センサと前記レールの位置関係が設定されている。これによれば、カードの情報が確実に読み取られる。
【0030】
前記読取手段は、以下のように、登場読取手段と退出読取手段で構成されてもよい。登場読取手段は、シュータまたはシュータからカードが登場する経路に設けられ、登場カードから情報を読み取る。退出読取手段は、カード提出口またはカード回収口を通ってカードが退出する経路に設けられ、退出カードから情報を読み取る。このように、登場カードと退出カードのために別々のセンサが設けられてもよい。
【0031】
また、この装置は、シュータおよび回収口に関連してカードが案内される経路に読取手段を備えてもよい。これにより、上述のようなレールを特別に設けなくても、カードから情報が確実に読み取られる。
【0032】
この装置は、カードが登場するときにカードにコードを付加する情報付加手段と、カードが退出するときに、前記情報付加手段により付加されたコードを読み取る読取手段と、を含んでもよい。前記登場カード情報取得手段は、前記情報付加手段により付加される情報を前記登場カード情報として取得し、前記退出カード情報取得手段は、前記読取手段により読み取られた情報を前記退出カード情報として取得する。前記情報付加手段は、カードにコードを印刷してもよい。
【0033】
ここでは、カードが登場するときにコードが付加される。このような構成でも上記の利点が好適に得られる。この構成において、コードはマークに対応していなくてもよい。コードは、例えば、マークに関係なく、ランダムな数を表してもよい。この場合に、検出装置にカードのマークが把握されなくてもよい。マークが把握されなくても、登場カードと退出カードの照合が可能なので、不正行為が検出される。そして、カードのマークが装置に把握されないので、ゲームが公正に行われているというプレーヤーの感覚の更なる増大が図れる。
【0034】
好ましくは、前記出力手段は、複数のプレーヤーの各々の登場カード情報と退出カード情報が一致するか否かを判別可能に判定結果を出力する。この装置は、不正行為を行ったプレーヤーを特定可能にする。
【0035】
上記の装置の別の態様は、カードゲーム不正検出装置であり、この装置は、テーブルまたはその近傍に設けられ、カード上の情報を読み取る読取器と、前記読取器が読み取る情報に基づき、ゲームに登場するカードである登場カードとゲームから退出するカードである退出カードとが一致するか否かを判定する判定手段と、を含む。
【0036】
これによれば、テーブルまたはその近傍に設けられる読取器を備える簡素な構成によって、カードゲームの不正を検出できる。従来一般的な、カードを連続的に移送する装置は設けられなくてもよい。そして、登場カードと退出カードが一致するか否かの判定により、不正行為をその場で検出できる。
【0037】
なお、この場合、カード上の情報は、例えば、上述のコードおよびマークである。
【0038】
また、この装置では、読取器は、典型的には、登場カードと退出カードの両方から情報を読み取るが、これに限定はされない。例えば、シュータからカードが登場するときに、コードがカードに印刷されるとともに、印刷されたコードが記憶される。そして、退出カードから読取器によりコードが読み取られる。読み取られたコードが、記憶されているコードと比較される。この場合には、読取器は、退出カードのみから情報を読み取る。
【0039】
別の例では、読取器は、退出カードから、組を表すコードを読み取る。そして、読み取ったコードが、カード提供源(シュータ等)に蓄えられた組と比較される。好ましくは、カード提供源には、新品のカードの組、または、予め検査済みのカードの組がセットされている。この構成でも、カード提供源に同じ組のカードがセットされていることを前提とすると、登場カードと退出カードの一致を判定できる。同様の結果が得られる組コード以外の情報が使用されてもよいことはもちろんである。
【0040】
また、ここで、テーブルまたはその近傍とは、ゲームにおいてカードが通る経路上の部位を意味する。例えば、カード提供源であるシュータと、使用済みカードの蓄積部とを備えるテーブルにおいては、テーブルまたはその近傍とは、カード提供源からテーブルを通り、蓄積部に至る経路のどこかの部位である。したがって、読取器は、典型的にはテーブル上の一部に設けられるが、これに限定されない。例えば、上述の退出カードのみから情報を読み取る構成のために、読取器が回収口に設けられてもよい。
【0041】
好ましくは、読取器は、テーブルの一部を構成しテーブル上をスライドするカードが通過するベース部に設けられる。これによれば、テーブルの一部に設けられる簡素な構成によって、カードゲームの不正を検出できる。
【0042】
なお、ここで、ベース部は、テーブルと別部材であり、テーブルに設けられた開口に取り付けられてもよい。また、ベース部はテーブルと別部材でなくてもよい。この場合、テーブルを構成する部材の一部領域に読取器が取り付けられてよい。
【0043】
好ましくは、この装置は、カードを案内して、前記読取器が情報を読み取り可能な経路をカードに通過させる案内手段を含む。好ましくは、前記案内手段は、テーブルから突出して設けられ、カードがスライドするときにカードを案内するレールを含み、カードの一辺がレールに接触した状態でカードがスライドするときにカード上の情報が前記読取器を通過するようにレールが設けられている。これによりカードの情報が確実に読み取られる。
【0044】
好ましくは、前記レールに沿って設けられ、カードの存在を検出する複数のセンサを有する。そして、複数のセンサがカードを検出するか否かに基づき、カードの一辺がレールに接した状態でカードがスライドしているか否かが検出される。これにより、カードの情報がさらに確実に読み取られる。カードが不適当な角度でスライドされることによる誤判定を防止できる。
【0045】
上記の装置の別の態様は、カードからマークを読み取るマーク読取装置である。この装置は、カードの縦方向の3つのマーク列の内で、少なくとも2つのマーク列のマークを検出する検出手段であって、前記少なくとも2つのマーク列は、中央のマーク列と、両側のマーク列の一方である、検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づいてカード上のマークの数を特定するマーク数特定手段と、を含む。この装置は、カード上のマークの配列が決まっていることに着目して、カードのマーク数を特定する。この装置は、上述の不正検出装置に好適に適用されるが、カードを処理する他の装置に適用されてもよい。
【0046】
上記の装置の別の態様は、カードからマークを読み取るカードマーク読取装置であり、この装置は、カードの横方向の9つのマーク列の内で、少なくとも5つのマーク列のマークを検出する検出手段であって、前記少なくとも5つのマーク列は、中央のマーク列と、両端のマーク列の一方と、8のカードにおける中央の両側の2つのマーク列と、10のカードにおける中央の両側の2つのマーク列の一つである、検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づいてカード上のマークの数を特定するマーク数特定手段と、を含む。この装置も、カード上のマークの配列が決まっていることに着目して、カードのマーク数を特定する。この装置も、上述の不正検出装置に好適に適用されるが、カードを処理する他の装置に適用されてもよい。
【0047】
前記検出手段は、カード上のマークとマークがない部分との色の相違を検出可能である。典型的には、赤および黒が、白から判別される。色の相違を検出可能で有ればよいので、簡素なセンサを適用でき、コストを抑えられる。例えば、バカラのルール上では、カードのスートはゲームに影響しない。このような場合に、上記の装置が好適に利用される。
【0048】
また、好適には、マーク列のマークが特定不能なとき、カードが絵札(J、Q、K)であると判定される。絵札はバカラ等のゲームでは10(または0)として扱われればよい。
【0049】
好ましくは、上記のカードマーク読取装置は、カードを案内して、カードのマーク列に検出手段を通らせる案内手段を含む。前記案内手段は、カードゲームが行われるテーブルから突出して設けられ、カードがスライドするときにカードを案内するレールを含んでもよい。このとき、カードの一辺がレールに接触した状態でカードがスライドするときにマーク列が前記検出手段を通過するように、前記検出手段と前記レールの位置関係が設定される。これによれば、カードのマーク数が確実に特定される。
【0050】
本発明は、上述のカードゲーム不正検出装置およびカードマーク読取装置の態様には限定されない。本発明の別の態様は、例えば、上述の装置により実行される方法であり、また、そのような方法をコンピュータに実現させるプログラムであり、また、そのようなプログラムを格納した記録媒体である。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、カードゲームでの不正行為をその場で検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
【0053】
図1は、本実施の形態のカードゲーム不正検出装置が設けられるテーブルを示している。このテーブル1は、バカラで使用される。ただし、本発明が、バカラ以外のゲームにも適用可能なことはもちろんである。
【0054】
図1において、テーブル1は簡略化した図で示されているが、本発明を実施するときには通常のバカラのテーブルが適用されてよい。また、周知のように、バカラは、プレーヤーとバンカーによりプレーされる。しかし、本出願では、プレーヤーおよびバンカーの両方をプレーヤーと呼ぶ。
【0055】
図1に示されるように、テーブル1の両側には、それぞれ、シュータ3と回収口5が設けられている。シュータ3は、カードの提供源であり、シュータ3から掃き出されたカードがプレーヤーに配られる。そして、ゲームの終了後にカードは回収口5から排出され、使用済みカードの蓄積部(図示せず)に蓄積される。
【0056】
ここで、本実施の形態では、各回のゲームに登場するカードを登場カードといい、各回のゲームから退出するカードを退出カードという。登場カードはゲームでシュータ3を通ってテーブルに登場し、退出カードは回収口5を通ってテーブルから退出する。
【0057】
図1に示されるように、本実施の形態のカードゲーム不正検出装置(以下、不正検出装置)10は、テーブル1の略中央に配置されている。この位置は、ディーラーがカードを不正検出装置10に通すのが容易なように設定されている。
【0058】
図2は、不正検出装置10の斜視図である。ベースプレート12は、平坦な板で構成され、テーブル1の開口に取り付けられる。棒状部材である2本の取付部材14が、ベースプレート12の両端に沿って取り付けられており、これら取付部材14が、テーブル1の開口に設けられた段差に載せられる。ベースプレート12は、例えば、210mm×130mmの長方形の形状を有する。
【0059】
ベースプレート12がテーブル1に取り付けられた状態において、ベースプレート12の上面であるスライド面16は、テーブル1の上面と高さがほぼ同じであり、したがって、スライド面16はテーブル1と同一の平面を構成する。カードはテーブル1上でスライド面16を通るようにスライドされる。
【0060】
また、ベースプレート12上には、カードを案内するレール18が設けられている。レール18はL字形状を有する。レール18は、図示のように、テーブル1との間に隙間(溝)20を形成する。カードは、隙間20に挿入される。そして、カードの一辺が隙間20の底でレール18に接した状態で、カードがスライドされる。これによりカードはレール18に沿って案内される。
【0061】
また、ベースプレート12には、レール18に沿って複数の窓22−30が設けられている。これらの窓22−30は、ベースプレート12を上方から見たときに、部分的に、あるいは完全に、レール18の下側に隠れている。
【0062】
また、これらの窓22−30は、ベースプレート12の下側に設けられる複数のセンサと対応する位置に設けられる。これら複数のセンサは、センサ取付プレート32に取り付けられている。そして、センサ取付プレート32は、ガイドプレート12の下側に取り付けられている。また、レール18にも、窓22、28、30に対応する位置に3つの窓34、36、38が設けられている。
【0063】
さらに、ベースプレート12上には、もう一つの窓40が設けられる。窓40は、レール18に対して、窓22〜30と反対側に設けられている。窓40は、判定結果を表示するために用いられる。図示されないが、ベースプレート12にLED装置が取り付けられている。窓40は、LED装置のランプと対応する位置に設けられている。
【0064】
図3は、検査の対象であるカードを示している。図示のように、カードの長い方の辺に沿って、コード42、44が付されている。コード42、44は、絵札(J、Q、K)を含むすべてのカードのマークが印刷されない場所に配置されている。
【0065】
コード42、44は、カードのマークに対応するバーコードである。コード42、44の一方は、スート(スペード、ハート、ダイヤ、クラブ)を表し、他方は、ランク(ヴァリュ、1、2、、、10、J、Q、K)を表している。例えば、コード42がスートを表し、コード44がランクを表す。
【0066】
また、コード42、44は、紫外線発光インクでもって印刷されている。紫外線発光インクは、通常の使用条件では人間の視覚により読むことができない。しかし、紫外線発光インクは、紫外線が当たると発色する。紫外線発光インクを見るために用いられる紫外線は、ブラックライトといわれる。
【0067】
図4は、不正検出装置10の平面図である。レール18の隙間の入り口部分は、斜めにカットされている。これにより、ディーラーは、レール18の隙間にカードをスムーズに挿入することができる。
【0068】
点線で示されるように、ベースプレート12の下側には、5つのセンサが設けられている。第1カードセンサ46、第2カードセンサ48、第3カードセンサ50は、光電センサであり、カードの有無を検出する。センサ46、48、50は、レール18とベースプレート12の隙間20に配置されている。これにより、センサ46、48、50は、レール18の案内面の近傍に位置している。
【0069】
また、第1読取センサ52、第2読取センサ54は、カードがレール18により案内されてスライドするときに、カードに付されたコード42、44を読み取る。第1読取センサ52がコード42を読み取り、第2読取センサがコード44を読み取るように、両センサ52、54が配置されている。コード42、44を可視化するための光源は、センサ52、54に設けられている。本実施の形態では、光源は、紫外線を発するLED(紫外LED)である。このようなLEDを備えたセンサを適用することにより、装置が小型化する。
【0070】
図5は、カードとセンサの位置関係を示している。カードがスライドされ、位置Aに達したとする。カードが位置Aにあるとき、第1カードセンサ46および第2カードセンサ48が同時にカードを検出する。また、第1読取センサ52および第2読取センサ54が、コード42、44に近づいている。この位置で、第1読取センサ52および第2読取センサ54が制御されて、読取が開始され、コードが検知される。カードがスライドして位置Bに到達すると、カードが第2カードセンサ48および第3カードセンサ50により同時に検出される。
【0071】
上記において、第2カードセンサ48によるカードの検出は、読取開始のトリガーである。
【0072】
また、第1カードセンサ46、第2カードセンサ48および第3カードセンサ50の検出結果に基づき、カードの姿勢が判定される。この判定は、カードの一辺がレールに接した状態でカードがスライドしているか否かを判定するために行われる。(1)第1カードセンサ46、第2カードセンサ48および第3カードセンサ50が順にカードを検出し、かつ、(2)これらセンサが順に、カードが過ぎたことを(カードが存在しなくなったことを)検出し、かつ、(3)第1カードセンサ46と第2カードセンサ48が同時にカードを検出し、かつ、(4)第2カードセンサ48と第3カードセンサ50が同時にカードを検出したときに、カードが適正な姿勢で通過したと判定される。それ以外の場合には、カードが適正な姿勢で通過しなかったと判定される。この判定処理は、後述の判定コンピュータ装置で行われる。
【0073】
図4に戻り、レール18の中央部付近の窓40からは、ベースプレート12の下側に取り付けられたLED装置56が見えている。LED装置56は、7つのLED素子を有する。
【0074】
LED素子58は、上述のカード姿勢の判定結果を表示する。例えば、LED素子58の点灯が、姿勢が適正であったことを示す。
【0075】
LED素子60−70は、不正行為の有無の検出結果を表示する。より詳細には、LED素子60−70は、登場カードと退出カードが一致したか否かの判定結果を示す。登場カードが1枚配られるとき、登場カードからコードが読み取られるとともに、1つのLED素子が点灯する。そして、退出カードからコードが読み取られたとき、退出カードと登場カードが一致すれば、対応するLED素子が消える。判定処理については、後述にてさらに詳細に説明する。
【0076】
図6は、不正検出装置10の正面図を示している。センサ取付プレート32は、一枚の板状部材を折り曲げることにより形成されている。センサ取付プレート32は、平坦部72と、平坦部72の両端から上方に延びる壁部74と、壁部74の上端に設けられたフランジ部76を有する。フランジ部76が、図示しないボルトによってベースプレート12の下面に取り付けられる。
【0077】
取付状態において、平坦部72とベースプレート12の間に適当な大きさの空間が形成されている。センサ46−54は、この空間に備えられる。センサ46−54は、図示のように、L字形のブラケット78、80を用いて平坦部72に取り付けられる。各センサの高さは、センサの検出距離に応じて設定される。
【0078】
図7は、センサ46−50を取り付けるブラケット78を示している。ブラケット78は、穴82にてボルト(図示せず)でセンサ取付プレート32に取り付けられ、穴84にてボルト(図示せず)でセンサ46−50に取り付けられる。図示されないが、センサ52、54のブラケットも同様の構成を有する。ただし、センサのサイズおよび検出距離に応じてブラケットの寸法が異なることはもちろんである。
【0079】
図8は、不正検出装置10の側面図である。ベースプレート12の両端には、取付部材14がボルト(図示せず)を用いて取り付けられている。既に説明したように、取付部材14は、本装置をテーブル1に取り付けるために用いられる。例えば、取付部材14がテーブル1の開口部に接着される。取付部材14は、スクリュー等により固定されてもよい。
【0080】
また、既に説明したように、レール18とベースプレート12の隙間20にカード(ファントムライン)が挿入され、隙間20の底の面によりカードが案内される。レール18もボルト(図示せず)によりベースプレート12に取り付けられる。
【0081】
本実施の形態では、レール18は、中央と両端の3カ所でベースプレート12と固定される。両端の固定に関して、レール18とセンサ取付プレート32が1つのボルトでベースプレート12に固定される。レール18にねじ穴が設けられ、このねじ穴に、センサ取付プレート32の下側からボルトが締結される。
【0082】
図9は、不正検出装置10の底面図である。図9は、LED装置56を取り付けるためのLEDボックス86を示している。LED装置56は、LEDボックス86に収納され、LEDボックス86がベースプレート12の下面に取り付けられる。取付位置は、LED装置56のLED素子の位置がベースプレート12の窓40と対応するように設定されている。
【0083】
図10は、図9を矢印Xの方向からみた図である。LEDボックス86は上端にフランジ部88を有する。フランジ部88が、ボルト(図示せず)を用いて、ベースプレート12に取り付けられる。
【0084】
図11は、不正検出装置10をテーブル1と共に示している。図示のように、不正検出装置10は、上述したベースプレート12に設けられる構成とともに、判定コンピュータ装置90を有する。判定コンピュータ装置90は、図示されないブラケットによりベースプレート12の下面に取り付けられる。
【0085】
判定コンピュータ装置90は、ベースプレート12に取り付けられたセンサ46−54およびLED装置56と接続される。
【0086】
判定コンピュータ装置90は、マイクロコンピュータで構成され、CPU、ROM、RAM等の通常のコンピュータの構成を有する。判定コンピュータ装置90は、ROMに記憶されたプログラムを実行することで、ベースプレート12のセンサおよびLEDを制御し、不正検出に関する処理を行う。
【0087】
図12は、判定コンピュータ装置90の構成を示す機能ブロック図である。判定コンピュータ装置90は、第1カードセンサ46、第2カードセンサ48および第3カードセンサ50から検出信号を受け取る。また、判定コンピュータ装置90は、第1読取センサ52および第2読取センサ54を制御し、カードのコードを読み取らせると共に、両センサ52、54から検出信号を受け取る。さらに、判定コンピュータ装置90は、LED装置56を制御し、LED素子58−70をオンオフさせる。
【0088】
図12において、読取指示部92は、第1読取センサ52および第2読取センサ54に、読取動作の開始と終了を指示する。読取指示部92は、第2カードセンサ48から、カードの存在を示す検出信号を受け取ったとき、センサ52、54に読取を開始させ、これによりバーコードが読み取られる。そして、読取指示部92は、第3カードセンサ50から、カードの存在を示す検出信号を受け取ったとき、センサ52、54に読取を終了させる。
【0089】
姿勢判定部94は、第1カードセンサ46、第2カードセンサ48および第3カードセンサ50の検出信号に基づき、スライド時のカードの姿勢が適正であったか否かを判定する。既に述べたように、(1)第1カードセンサ46、第2カードセンサ48および第3カードセンサ50が順にカードを検出し、かつ、(2)これらセンサが順に、カードが過ぎたことを(カードが存在しなくなったことを)検出し、かつ、(3)第1カードセンサ46と第2カードセンサ48が同時にカードを検出し、かつ、(4)第2カードセンサ48と第3カードセンサ50が同時にカードを検出したときに、姿勢判定部94は、カードが適正な姿勢で通過したと判定される。姿勢が適正であるとき、姿勢判定出力処理部96が、LED装置56のLED素子58を点灯させる。
【0090】
姿勢判定のアルゴリズムは、上述のものに限定されない。例えば、上述の4つの条件がすべて満たされなくとも、姿勢が適正であると判定されてもよい。ただし、上述の4つの条件を用いることにより、姿勢の判定がより正確に行われる。
【0091】
登場カード情報取得部98は、第1読取センサ52および第2読取センサ54により登場カードからコードが読み取られたときに、読み取られたコードの情報を取得する。この情報は、登場カードを特定するための登場カード情報として、登場カード情報記憶部100に記憶される。バカラでは、最大で6枚のカードが配られる。配られたすべてのカードの情報が、登場カード情報取得部98に取得され、登場カード情報記憶部100に記憶される。登場カード情報記憶部100は、ゲームが行われている間、登場カード情報を保持する。
【0092】
退出カード情報取得部102は、第1読取センサ52および第2読取センサ54により退出カードからコードが読み取られたときに、読み取られたコードの情報を取得する。この情報は、退出カードを特定するための退出カード情報に相当する。
【0093】
判定部104は、登場カード情報記憶部100に記憶された登場カード情報および退出カード情報取得部102により取得された退出カード情報を参照する。判定部104は、これら情報を照合することにより、登場カードと退出カードが一致するか否かを判定する。
【0094】
登場カード情報記憶部100は、複数枚の登場カードの情報を記憶している。それらの情報の一つが退出カードと一致すれば、登場カードと退出カードが一致したと判定される。
【0095】
出力処理部106は、LED装置56を制御することで、判定結果の情報を出力する。出力処理部106は、まず、1つの登場カード情報が得られるたびに、LED素子60−70の一つを点灯させる。そして、退出カード情報が登場カード情報と一致したとき、LED素子60−70の一つを消灯させる。すべてのLED素子60−70が消灯したとき、不正がなかったことが示される。
【0096】
好ましくは、登場カードと退出カードが一致したとき、登場カードの読取時に点灯したLED素子が消灯される。例えば、ある登場カードの読取時にLED素子64が点灯したとする。その登場カードとある退出カードが一致したとき、LED素子64が消灯される。これにより、どちらのプレーヤー(プレーヤーまたはバンカー)により不正が行われたかを検出できる。
【0097】
また、各プレーヤーに対応するLED素子が予め決められていてもよい。例えば、一方のプレーヤーの2枚のカードには、LED素子60、62が対応し、他方のプレーヤーの2枚のカードには、LED素子66、68が対応する。プレーヤーごとのLED素子が決まっていると、不正を行ったプレーヤーをより簡単に判別できる。
【0098】
なお、バカラでは、通常は2枚目までのカードが配られる順番が決まっている。この順番に応じてLED素子の点灯の順序を適当に設定することで、上記のように、各プレーヤーに対応するLED素子が固定的に決まる。
【0099】
一方、バカラでは、3枚目のカードがどちらかのプレーヤーにのみ配られることが多い。したがって、上記のようにLED素子の点灯順序をカードの配布順序に応じて設定しても、3枚目のカードに関しては、ゲームの状況に応じてプレーヤーとLED素子の対応関係が変わる。
【0100】
しかし、3枚目に関しては、どちらのプレーヤーのカードのためにどのLED素子が点灯したかを把握することは、ディーラーにとっても、プレーヤーにとっても比較的容易である。
【0101】
あるいは、3枚目のカードがどちらに配られるのかを検知する適当な構成を設けることにより、3枚目のカードについても、プレーヤーとLED素子を対応させることができる。例えば、どちらのプレーヤーのカードのコードを読み取るかを示すスイッチが設けられてもよい。このスイッチがディーラーにより操作されてもよい。
【0102】
また、図示されないが、本実施の形態では、登場カードと退出カードを区別するために、登場開始スイッチと退出開始スイッチが適当な場所に設けられる。
【0103】
登場開始スイッチは、各ゲームの1枚目の登場カードの読取前にディーラーにより操作される。登場開始スイッチは、ゲームの開始前に操作されてよい。
【0104】
退出開始スイッチは、1枚目の退出カードの読取前にディーラーにより操作される。退出開始スイッチは、ゲーム終了時に操作されてよい。
【0105】
これらのスイッチ操作が判定コンピュータ装置90により検知される。登場開始スイッチの操作後は、読取センサ52、54からの情報が、登場カード情報として扱われる。また、退出開始スイッチの操作後は、読取センサ52、54からの情報が、退出カード情報として扱われる。
【0106】
上記以外の構成によって、登場カードと退出カードが区別されてもよい。例えば、1つのスイッチが、登場開始前と退出開始前に操作されてもよい。
【0107】
以上に、本実施の形態の不正検出装置10の構成を説明した。次に、不正検出装置10の動作を説明する。
【0108】
バカラは、周知のように、テーブル1上で連続的に行われる。あるゲームの開始するとき、ディーラーは登場開始スイッチを操作する。この操作は判定コンピュータ装置90により検知される。
【0109】
ディーラーは、カードを一枚ずつシュータ3から取り出し、プレーヤーに配る。このとき、ディーラーは、カードをプレーヤーに配る途中で、カードをレール18に沿ってスライドさせる。
【0110】
カードが適切な姿勢でスライドされたとき、カードは、まず第1カードセンサ46により検出され、それから第2カードセンサ48により検出される。第2カードセンサ48がカードを検出すると、読取指示部92が、第1読取センサ52および第2読取センサ54にコードの読取を指示し、カードのバーコード42、44が読み取られる。2列のコード42、44は、カードのマーク(スートおよびランク)を表す。
【0111】
センサから得られた信号により、判定コンピュータ装置90は、カードのマークを特定する。こうして登場カード情報が登場カード情報記憶部98により取得され、登場カード情報記憶部100に記憶される。
【0112】
カードは移動して、第3カードセンサ50に達する。第3カードセンサ50がカードを検出すると、読取指示部92は、読取の終了を第1読取センサ52および第2読取センサ54に指示し、これを受けて、第1読取センサ52および第2読取センサ54が読取動作を終了する。なお、ブラックライトは、カードセンサの検出結果に拘わらず、点灯し続けてよい。
【0113】
また、判定コンピュータ装置90の姿勢判定部94は、カードがスライドしたときに姿勢が適正であったか否かを判定する。判定基準は既に説明した通りである。この判定結果は、前述のように、カードの一辺がレール18に接触した状態でコードが読み取られたか否かを示す。姿勢が適正であれば、姿勢判定出力処理部96がLED素子58を点灯させる。姿勢が適正でないときは、LED素子58が点灯しない。この場合、ディーラーは、再度、カードをレール18に沿ってスライドさせる。
【0114】
また、出力処理部106は、1つのカードからコードが読み取られるたびに、LED素子60−70の1つを点灯させる。
【0115】
上記の動作は、すべての登場カードのために繰り返される。1つの登場カードが登場するたびに、登場カードのコードが読み取られ、判定コンピュータ装置90に記憶され、1つのLED素子が点灯する。
【0116】
次に、ディーラーは、ゲームが終了したとき、退出開始スイッチを操作する。それから、ディーラーは、ゲームで使われたカードを1枚ずつ回収口5に挿入する。このとき、ディーラーは、カードを回収口に移動する途中で、各カードをレール18に沿ってスライドさせる。
【0117】
カードがスライドすると、各退出カードのコードが第1読取センサ52および第2読取センサ54により読み取られる。読取の動作は、登場カードの読取と同じである。姿勢判定も同様に行われ、姿勢が適正でないときは、再度、ディーラーによりカードがスライドされ、読取動作が行われる。
【0118】
退出カードから読み取られたコードの情報は、退出カード情報取得部102により取得される。こうして退出カード情報取得部102は退出カード情報を取得する。
【0119】
判定部104は、退出カード情報を登場カード情報と照合する。登場カード情報記憶部100が、退出カード情報と一致する登場カード情報を記憶しているとき、判定部104は、登場カードと退出カードが一致したと判定する。そこで、出力処理部106が、点灯しているLED素子の一つを消灯させる。好ましくは、前述したように、ある登場カードが退出カードと一致したとき、その登場カードに対応するLED素子が消灯される。
【0120】
上記の判定処理およびLED制御は、各退出カードからコードが読み取られるたびに繰り返される。そして、すべての退出カードが登場カードと一致すると、すべてのLED素子が消灯する。これにより、ゲーム中にカードがすり替えられなかったことが分かり、不正行為がなかったことが分かる。
【0121】
逆に、一または複数のLED素子が消灯しなかったとする。この場合、ゲーム中にカードがすり替えられたことが分かり、不正行為があったことが分かる。
【0122】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明した。本実施の形態の変形例を以下に説明する。
【0123】
本実施の形態では、紫外線発光インクとそれを検出するセンサが用いられている。紫外線発光インクのコードは、人間の視覚により読取不能であって、所定の条件で読取可能なコードの一例である。これに対して、別の構成も考えられる。例えば、赤外線により可視化されるインクが適用されてもよい。また例えば、コードが磁気を用いてカードに設けられてもよい。この場合、磁気センサが検出装置に設けられる。
【0124】
また、ある種のインクは、特定の温度で読取可能になる。このようなインクを用いてコードがカードに印刷されてもよい。この場合には、検出装置は、カード表面の温度を変化させる構成を備える。
【0125】
また、コードのかたちに応じてセンサが変更されることはもちろんである。コードに応じて適当なバーコード、CCDカメラ等がセンサとして利用可能である。
【0126】
また、上述の実施の形態では、ベースプレート12がベース部に相当しており、ベース部がテーブルと別部材であるが、これに限定されない。そして、ベース部はテーブルと別部材でなくてもよい。この場合、テーブルを構成する部材の一部領域に、レール、センサおよびLED装置が取り付けられてもよい。
【0127】
また、上述の実施の形態は、複数のカードにそれぞれ対応する複数のLED素子を備えていたが、これに限定されない。例えば、1つのLED素子だけが設けられてもよい。この場合、不正が検出された時点で、すなわち、登場カードと一致しない退出カードが発見された時点で、LED素子が点灯されてもよい。
【0128】
また、上述の実施の形態では、LED素子が用いられたが、LED素子以外の表示器が用いられてもよいことはもちろんである。さらに、判定結果は、テーブル上の表示器を用いて出力されたが、これに限定されない。表示器はテーブル上に設けられなくてもよい。表示器はカジノ等の管理室等の離れた場所に設けられてもよい。また、判定結果は、管理室等のコンピュータに送られてもよい。
【0129】
また、判定結果は、警報音により出力されてもよい。この場合、スピーカが設けられる。警報音以外の音、例えば音声メッセージまたはメロディが出力されてもよい。
【0130】
また、本実施の形態では、図3に示されるように、コード42、44がカードに印刷されている。コード42、44は、それぞれスートとランクを表しており、これらコードが登場カード情報および退出カード情報として用いられる。
【0131】
しかし、登場カード情報および退出カード情報は、上記の装置が適用されるカードゲームのルールに応じて最低限必要な情報でよい。バカラにおいては、スートはゲームに影響しない。また、J、Q、Kは、10として扱われる。そこで、登場カード情報および退出カード情報は、1〜10(J、Q、Kも10に含まれる)のみでもよい。このようなコードのみがカードに付されていてもよい。
【0132】
また、コードは、カードのマークと対応しないように設定されていてもよい。例えば、ランダムな数字がコードとしてカードに付される。上記の装置は、カードのマークを把握しなくてよい。登場カードと退出カードの一致を判定できればよいので、カードのマークを特定せずとも不正を検出できる。そして、カードのマークが装置に把握されないので、ゲームが公正に行われているというプレーヤーの感覚の更なる増大が図れる。
【0133】
さらに、上記の装置は、組を表すコードを、登場カード情報および退出カード情報として用いてもよい。組は、一デッキでもよく、複数のデッキでもよい。登場カードに付けられた組コードと退出カード情報に付けられた組コードが照合される。この場合も、登場カードと退出カードの一致が判定可能である。同様の結果が得られる組コード以外の情報が使用されてもよいことはもちろんである。
【0134】
別の例では、読取器は、退出カードから、組を表すコードを読み取る。また、判定コンピュータ装置90には予め組コードが入力される。組コードは、カード提供源(シュータ等)に蓄えられた組のコードである。好ましくは、カード提供源には、新品のカードの組、または、予め検査済みのカードの組がセットされている。入力された組コードは、登場カード情報として取得され、記憶される。そして、読み取ったコードが、記憶されているコードと照合される。
【0135】
この構成でも、カード提供源に同じ組のカードがセットされていることを前提とすると、登場カードと退出カードの一致を判定できる。同様の結果が得られる組コード以外の情報が使用されてもよいことはもちろんである。この構成では、各々登場カードからは情報が読み取られなくてもよい。
【0136】
なお、この構成では、最初に登場カードの読取が行われないので、LED装置の制御も前述の実施の形態から適当に変更することが好適である。
【0137】
さらに別の例では、組コードは予め入力されなくてよい。複数の退出カードの組コードが比較されて、他と異なる組コードをもつ退出カードが存在するとき、その退出カードが登場カードと一致しないと判定される。最初の退出カードの組コードが登場カードの適正な組コードであると仮定して、その組コードが、残りの退出カードの組コードと比較されてもよい。
【0138】
上記の構成に関してさらに説明すると、実際に行われる不正行為では、複数枚のカードがすり替えられることは少ない。通常は1枚または少数のカードがすり替えられる。このことを前提とすると、上記のような退出カードのコード同士の比較によっても、登場カードと退出カードが一致しているかが判定可能である。そして、本実施の形態でも、前述のように、ゲームでのカードの一致判定により、不正行為をその場で検出できる。
【0139】
ここで、組コードを利用する構成では、あるカードが同じ組のカードとすり替えられたとき、不正行為を検出できず、この点で不正検出効果が制限される。しかし、異なる組のコードが用いられる不正行為は比較的多く、このような場合には、登場カードと退出カードの不一致が検出され、不正行為を検出できる。
【0140】
一方、前述の実施の形態は、同じ組のカードを使った不正行為を検出可能な点で、さらに有利であるといえる。
【0141】
また、組コードと、カードのマークの情報が、両方とも不正検出のために用いられてもよい。
【0142】
図13は、上記の装置の別の実施の形態を示している。以下の説明では、上述の実施の形態と同様の事項の説明は適宜省略する。
【0143】
図13に示されるように、本実施の形態では、登場センサ110が、シュータ3に設けられている。シュータ3にはカードを案内する構成が設けられている。登場センサ110は、シュータ3から出るときに案内される登場カードからコードを読み取る。
【0144】
また、退出センサ112が、回収口5に設けられている。回収口5にも、カードを案内する構成が設けられている。そして、退出センサ112は、回収口5を通るときに案内される退出カードからコードを読み取る。
【0145】
さらに、LED装置114がテーブル1の中央付近に設けられ、判定コンピュータ装置116がテーブル1の下側に取り付けられている。判定コンピュータ装置116は、登場センサ110および退出センサ112の読取信号に基づいて、上述の実施の形態と同様の判定処理を行う。そして、判定コンピュータ装置116は、LED装置114を制御して、判定結果を表示する。判定処理等に関する判定コンピュータ装置の構成は、上述の実施の形態と同様でよい。
【0146】
本実施の形態に見られるように、登場カード情報と退出カード情報は、別々の読取器により読み取られてもよい。
【0147】
また、本実施の形態では、シュータ3および回収口5に、案内手段が設けられている。この案内手段が、カードのコードを読み取るために利用されている。不正検出装置のために、専用の案内手段が設けられなくてもよい。したがって、装置の構成が簡素になる。
【0148】
図14は、上記の装置の別の実施の形態を示している。本実施の形態では、登場カードの登場のときに、コードがカードに付加される。したがって、登場カードからはコードが読み取られなくてもよい。退出カードからは、前述の実施の形態と同様に、コードが読み取られる。
【0149】
図14において、ベースプレート12およびそこに取り付けられるセンサおよびLEDは、前述の実施の形態と同様でよい。また、判定コンピュータ装置90は、前述の実施の形態の構成を有し、さらに、登場カードに印刷されるべきコードを生成するコード生成部120を有する。また、コード印刷装置122がシュータ3に設けられている。
【0150】
本実施の形態では、コード生成部120がコードを生成する。コードはランダムな数字である。このコードは、判定コンピュータ装置90からコード印刷装置122に送信される。コード印刷装置122は、シュータ3からカードが排出されるときに、判定コンピュータ装置90から受け取ったコードをカードに印刷する。こうしてカードにコードが付加される。
【0151】
コード印刷装置122は、カードにコードを印刷したことを判定コンピュータ装置90に通知する。これに応答して、コード生成部120が次のコードを生成する。ここでもランダムな数字が生成される。
【0152】
このような動作が繰り返され、順次登場するカードにはランダムな数字のコードが印刷されていく。
【0153】
判定コンピュータ装置90では、コード生成部120がコードを生成すると、このコードが登場カード情報取得部98により取得される。取得されたコードは、登場カード情報として登場カード情報記憶部100に記憶される。
【0154】
本実施の形態では、上記のようにして登場カード情報が取得される。したがって、カードが配られるときには、ベースプレート12のセンサでカードが読み取られなくてよい。ゲーム終了時は、ベースプレート12のセンサが退出カードからコードを読み取る。読取信号が判定コンピュータ装置90に送られる。判定コンピュータ装置90は、前述の実施の形態と同様にして、登場カードと退出カードが一致しているか否かを判定する。
【0155】
本実施の形態の不正検出装置は、前述の実施の形態と同様に、登場カードと退出カードが一致するか否かを判定することにより、不正行為を検出できる。
【0156】
本実施の形態においては、コード生成部120がランダムな数字を生成する。この場合、コードは、カードのマークに対応しておらず、検出装置にカードのマークが把握されない。しかし、マークが把握されなくても、登場カードと退出カードの照合が可能なので、不正行為は確実に検出される。そして、カードのマークが装置に把握されないので、ゲームが公正に行われているというプレーヤーの感覚の増大が図れる。
【0157】
また、上記の実施の形態において、コード印刷装置は情報付加手段の一形態であるが、これに限定されない。情報付加手段は、コードの仕様に適合するように構成される。例えば、磁気コードが適用される場合には、磁気コードを付加する装置が、情報付加手段に相当する。
【0158】
次に、上記の装置の別の実施の形態を説明する。以下の実施の形態では、カードに付されたコードでなく、カードのマークが読み取られる。特に、本実施の形態では、カードのマークを読み取る構成が簡素である。
【0159】
図15を参照すると、カードの縦方向には、マークが3列に並んでいる。図15に示されるように、中央のマーク列と、両側のマーク列の一方を検出するように2つのセンサが設けられる。
【0160】
より詳細には、本実施の形態では、両側のマーク列の一方を第1列と呼び、中央のマーク列を第2列と呼ぶ。第1読取センサ130が、第1列のマークを読み取るように配置され、第2読取センサ132が、第2列のマークを読み取るように配置される。
【0161】
これらセンサ130、132は、カメラで構成される。センサ130、132は、マークの有無を検出可能であればよい。そこで、センサ130、132としては、カードの着色部分(赤または黒)と白色部分を判別可能なセンサが適用される。要するに、センサ130、132は、カード上のマークとマークがない部分との色の相違を検出する。
【0162】
センサ130、132は、上述の実施の形態の紫外線発光インクを読み取るセンサの代わりに設けられる。上述の実施の形態では、センサは、カードの端のコードを読み取るのに対して、本実施の形態では、センサ130、132が第1列および第2列のマークを読み取る。この相違に応じて、センサの位置が変更され、また、ベースプレートの窓の位置も変更される。また、必要に応じて、カードを照らすライトが備えられる。
【0163】
次に、本実施の形態におけるマークの読取処理を説明する。すべての一般的なカードにおいて、マークの配置は共通であり、3つのマーク列に1個から10個のマークが配置される。この特性を利用して、カードのマーク数が判別される。
【0164】
図16は、マーク数を判別するためのアルゴリズムを示している。このアルゴリズムは、判定コンピュータ装置により実行される。判定コンピュータ装置は、第1読取センサ130および第2読取センサ132の検出信号を受け取る。この検出信号に基づき、第1列および第2列のマーク数が特定される。そして、第1列および第2列のマーク数を用いて、図16の処理が行われる。
【0165】
図16の処理では、まず、判定コンピュータ装置は、マーク数が特定されたか否かを判定する(S10)。絵札(J、Q、K)には、周知のように、複雑な絵柄が印刷されている。そのため、マーク数が特定されない。この場合、マーク数は10であると判定される(S12)。バカラでは、J、Q、Kは10(または0)として扱われるので、この判定は適切である。
【0166】
次に、S10がNOの場合、判定コンピュータ装置は、第1列のマーク数が0であるか否かを判定する(S14)。S14がYESの場合、第2列のマーク数が1であるか否かが判定される(S16)。S16がYESであれば、マーク数が1(A)であると判定される(S18)。
【0167】
なお、本実施の形態で使われるカードでは、スペードのAの図柄は、ある程度の範囲の大きさであることが望ましい。スペードのAの図柄の大きさは、絵札との判別が可能な範囲の大きさであればよい。そして、スペードのAは、他のAと同様に検出されてよい。
【0168】
また、スペードのAについては、判定コンピュータ装置90が、絵札とは異なるが、他のマークよりも大きいマークが検出されたか否かを判定し、そのようなマークが検出されたとき、対象のカードがスペードのAであると判定してもよい。このステップが、例えば、S10の後に挿入される(図示せず)。ここでは、スペードのAが、他のA等のマークより大きかったり、複雑であることが考慮されている。
【0169】
その他の変形として、スペードのAが、他のスペードと同じ大きさおよびサイズのマークでもよい。
【0170】
S16がNOの場合、第2列のマーク数が2であるか否かが判定される(S20)。S20がYESであれば、マーク数が2であると判定され(S22)、S20がNOであれば、、マーク数が3であると判定される(S24)。
【0171】
S14がNOの場合、判定コンピュータ装置は、第2列のマーク数が2であるか否かを判定する(S26)。S26がYESであれば、第2列のマーク数が0であるか否かが判定される(S28)。S28がYESであれば、カードのマーク数が4であると判定され(S30)、S28がNOであれば、マーク数が5であると判定される(S32)。
【0172】
S26がNOの場合、判定コンピュータ装置は、第1列のマーク数が3であるか否かを判定する(S34)。S34がYESの場合、第2列のマーク数が0であるか否かが判定される(S36)。S36がYESであれば、カードのマーク数が6であると判定される(S38)。S36がNOの場合、第2列のマーク数が1であるか否かが判定される(S40)。S40がYESであれば、マーク数が7であると判定され(S42)、S40がNOであれば、マーク数が8であると判定される(S44)。
【0173】
S34がNOの場合、判定コンピュータ装置は、第2列のマーク数が1であるか否かを判定する(S46)。S46がYESであれば、マーク数が9であると判定され(S48)、S46がNOであれば、マーク数が10であると判定される(S50)。
【0174】
以上のようにして、図16の処理は、カード上のマークの配置特性を利用して、カード上のマークの数(カードの数)を決定できる。このマーク数は、登場カード情報および退出カード情報として判定コンピュータ装置により処理される。そして、登場カード情報と退出カード情報が照合され、両者が一致するか否かが判定される。
【0175】
以上に説明したように、登場カード情報および退出カード情報を得るために、カードのマークが読み取られてもよい。
【0176】
また、本実施の形態では、マークの配置を利用することで、簡単な構成でマークを読み取ることができる。
【0177】
また、本実施の形態では、図16の処理によってマーク数が特定されたが、これに限定されない。図16のアルゴリズムが変形されてもよい。例えば、第2列のマーク数が先に判断されてもよい。また例えば、図16のアルゴリズムに対応するテーブルが判定コンピュータ装置に記憶されていてもよい。このテーブルでは、第1列および第2列のマーク数の組合せが、カードのマーク数と関連づけられる。このテーブルが参照され、カードの数が求められる。
【0178】
また、本実施の形態の変形例として、カードのマーク数が計算により求められてもよい。この場合、第1列のマーク数の2倍と、第2列のマーク数が加算される。
【0179】
また、本実施の形態の変形例として、3つのマーク列に対応して3つのセンサが設けられてもよい。3つのセンサで検出されるマーク数の合計が算出される。この合計がマーク数を表す。
【0180】
また、異なる構成が、マークを読み取るために適用されてもよい。例えば、カードの4隅にはランク(A、1、2、、10、J、Q、K)が印刷されている。このランクがカメラで撮影され、画像処理によりランクが特定されてもよい。ただし、このような構成と比較すると、上述のマーク配置を利用する構成の方が簡素である。
【0181】
次に、上記の装置の別の実施の形態を説明する。本実施の形態の原理は、上述の実施の形態と同様である。ただし、本実施の形態は、横方向のマーク列に着目する。
【0182】
図17を参照すると、カードの横方向には、9つのマーク列が存在する。図17の上側は、8のカードであり、5つのマーク列P1−P5を示している。さらに、図17の下段は、10のカードであり、残る4つのマーク列Q1−Q4を示している。なお、9つのマーク列の中には、1つのマークしか存在し得ない列(P2、P4、Q1、Q4)がある。このような場合も、本実施の形態では、マーク列と呼ぶ。
【0183】
本実施の形態では、9つのマーク列のうちで、5つのマーク列のマークを検出するように、5つのセンサが設けられる。5つのマーク列は、中央のマーク列と、両端のマーク列の一方と、8のカードにおける中央の両側の2つのマーク列と、10のカード(9のカードでも同じ)における中央の両側の2つのマーク列の一つである。
【0184】
具体的には、図17に示されるように、マーク列P1、P2、P3、P4、Q2に対応するように読取センサ140−148が設けられる。これらセンサは、実際には、ベースプレート状に適当な間隔を開けて配置される。また、P2とQ2は、1つのセンサで読み取られてもよい。この場合、5つのラインの読み取りが、4つのセンサを設けることで実現されてよい。
【0185】
読取センサ140−148は、上述の実施の形態と同様でよい。すなわち、読取センサ140−148は、カメラで構成され、カード上のマーク部分と下地部分を判別する信号を出力する。検出信号が判定コンピュータ装置に送られ、判定コンピュータ装置で、各列のマーク数が特定される。
【0186】
また、本実施の形態では、カードが横方向にスライドされる。スライド方向が、これまでの実施の形態のスライド方向と垂直である。この相違に適合するように、ガイドレールおよびカードセンサ等の構成が変更される。
【0187】
図18は、判定コンピュータ装置で実行される処理を示している。この処理によりカードのマーク数が特定される。
【0188】
図18の処理では、まず、判定コンピュータ装置は、マーク数が特定されたか否かを判定する(S100)。絵札(J、Q、K)が読み取られるとき、マーク数が特定されない。この場合、マーク数は10であると判定される(S102)。この点は、前述の実施の形態と同様である。
【0189】
次に、S100がNOの場合、判定コンピュータ装置は、P1のマーク数が0であるか否かを判定する(S104)。S104がYESの場合、マーク数が1であると判定される(S106)。なお、スペードのAの処理も前述の実施の形態と同様でよい。
【0190】
S104がNOの場合、判定コンピュータ装置は、P1が1であるか否かを判定する(S108)。S108がYESであれば、P3が0であるか否かが判定される(S110)。S110がYESであれば、マーク数が2であると判定され(S112)、S110がNOであれば、マーク数が3であると判定される(S114)。
【0191】
S108がNOの場合、判定コンピュータ装置は、P3が0であるか否かを判定する(S116)。S116がYESであれば、Q2が0であるか否かが判定される(S118)。S118がYESであれば、マーク数が4であると判定され(S120)、S118がNOであれば、マーク数が10であると判定される(S122)。
【0192】
S116がNOの場合、判定コンピュータ装置は、P3が1であるか否かを判定する(S124)。S124がYESであれば、Q2が0であるか否かが判定される(S126)。S126がYESであれば、マーク数が5であると判定され(S128)、S126がNOであれば、マーク数が9であると判定される(S130)。
【0193】
S124がNOの場合、判定コンピュータ装置は、P2が0であるか否かを判定する(S132)。S132がYESであれば、P4が0であるか否かが判定される(S134
)。S134がYESであれば、マーク数が6であると判定され(S136)、S134がNOであれば、マーク数が7であると判定される(S138)。
【0194】
S132がNOの場合、判定コンピュータ装置は、P4が0であるか否かを判定する(S140)。S140がYESであれば、マーク数が7であると判定され(S142)、S140がNOであれば、マーク数が8であると判定される(S144)。
【0195】
本実施の形態でも、アルゴリズムが変形されてよいことはもちろんであり、また、テーブルが予め用意され、判定コンピュータにより参照されてもよい。さらに、センサの検出結果からマーク数が算出されてもよい。この場合、上述の5列に加えて、Q1列またはQ4列のマークが少なくとも検出される。より多くの列のマークが検出されてもよいことはもちろんである。
【0196】
本実施の形態によっても、マーク数が比較的簡単な構成により検出される。ただし、上述の図15の実施の形態の方が、センサ数が少なくてよく、構成が簡素である。
【0197】
次に、上記の装置の別の実施の形態を説明する。この実施の形態では、カードからのコードの読み取りにブラックライトが使用される。そして、図1の実施の形態とは、コードの読取に関する構成が異なる。不正の判定およびその出力等、読み取られたコードの処理に関する構成および動作は、図1の実施の形態と同様でよい。以下の説明では、図1の実施の形態と同様の事項の説明は適宜省略する。
【0198】
図19は、本実施の形態におけるコード読取のための構成を示している。本実施の形態では、ガイド150が、カードを案内するためにテーブルに設けられる。ガイド150は、テーブルに埋め込まれたベースプレート152に設けられる。ガイド150はテーブルに直接取り付けられてもよい。
【0199】
ガイド150は、図示のように全体としてL字形状を有する。ガイド150は、長辺ガイド154および短辺ガイド156で構成され、両者は、それぞれカードの長辺および短辺を案内する。長辺ガイド154と短辺ガイド156は、棒状であり、直角に接続されている。
【0200】
図20の斜視図を参照すると、ガイド150の長辺ガイド154、156は、ガイド壁部158と、カバー部160を有する。カバー部160は、ガイド壁部158から、ベースプレート152に平行に延びる。これにより、カバー部160とベースプレート152の間に隙間162が形成されている。
【0201】
コードの読取時、カードは、ディーラーにより、隙間162へと挿入される。そして、ディーラーは、カードを適当にスライドさせて、カードの長辺および短辺を、長辺ガイド154および短辺ガイド156のガイド壁部158に突き当たらせる。これにより、カードが所定の読取位置へと案内される。すなわち、所定の読取位置とは、カードの長辺および短辺が両方ともガイド壁158に当たった位置である。
【0202】
図19に戻り、長辺ガイド154および短辺ガイド156のカバー部160の下側には、カード確認センサ164、168が設けられている。これらセンサ164、168は、ベースプレート152の裏側に、前述の実施の形態で示されたような適当なプレート(図示せず)を用いて、取り付けられている。カード確認センサ164、168は、光電式のセンサであり、カードの有無を検出する機能をもつ。この機能を確保するため、ベースプレート152およびガイド150は、カード確認センサ164、168に対応する位置に、窓170、172、174、176を有する。
【0203】
また、長辺ガイド154のカバー部160の下側には、6つのコード読取センサ178−188が設けられている。これらセンサ178ー188もベースプレート152の裏側に、適当なプレートを用いて取り付けられている。コード読取センサ178−188は、前述の実施の形態で用いられたブラックライト型のセンサの一つである。すなわち、センサにブラックライトのLEDが備えられており、ブラックライトに反応するインクが検出される。
【0204】
コード読取センサ178−188は、長辺ガイド154に沿って適当な間隔をおいて、図19では等間隔に配置されている。また、コード読取センサ178−188に対応して、センサ用の窓182−192が、ベースプレート152上に設けられている。
【0205】
図21は、本実施の形態に適用されるカードを示している。カードのコードは、6つの円で表される。これら6つの円は、2進法の原理で、コードが付けられているカードを表す。2進法では、6桁のコードで64の整数が表現可能である。64の整数を用いて、1デッキの全カード(スペード、ハート、ダイヤ、クラブの1、2、3、、、J、K、Q)のそれぞれに異なる数字が割り当てられている。割り当てられた数字に応じた位置に、円マークが設けられている。したがって、図21では、6つの円が示されているが、実際のカードは、そのカードに割り当てられた数字に対応する位置にのみ円マークを有している。
【0206】
図21のコードは、通常の使用条件にて肉眼で見えないインクを用いてカードに印刷されている。6つの円マークの位置は、コード読取センサ178−188の位置と対応している。
【0207】
次に、本実施の形態の動作を説明する。この動作は、カードのコードを読み取るもので、典型的には、ゲームの開始と終了時に行われる。しかし、前述したように、この点に関しては、各種の変形が考えられる。
【0208】
カードからコードを読み取るとき、ディーラーは、テーブル上でカードをガイド150へ向けてスライドさせる(例えば、図20の矢印の方向)。カードは、ガイド150のカバー部160の下側の隙間162へと挿入される。そして、カードの長辺および短辺が、それぞれ、長辺ガイド154および短辺ガイド156のガイド壁部158に突き当たり、カードが停止する。こうして、カードは、読取位置へと案内され、位置決めされる。
【0209】
図22は、カードとセンサの位置関係を示している。図22に示されるように、カードが読取位置に位置し、2辺がガイド壁158に当たっているとき、カード確認センサ164、168が同時にカードの存在を検出する。両センサがカードを検出したとき、判定コンピュータ装置(図示せず)の姿勢判定部は、カードの姿勢が適当であると判定する。判定結果は、適当なLED装置等の出力装置を用いて出力される。
【0210】
そして、図22に示されるように、姿勢が適当であるとき、カードの6つの円マークの位置が、それぞれ、コード読取センサ178−188と対応する。そこで、判定コンピュータ装置は、コード読取センサ178−188に、コードの読取を指示する。これに応えて、コード読取センサ178−188のそれぞれは、対向する円マークの有無を検出する。円マークがある場合、ブラックライトによって円マークが可視化され、センサにより検出される。各センサ178−188は、円マークの有無を示す検出信号を出力する。
【0211】
これらの検出信号は、判定コンピュータ装置に入力される。判定コンピュータ装置は、カードとコードの対応関係を記憶している。この対応関係を参照して、検出信号からカードが特定される。この特定された情報が、登場カード情報等として用いられ、不正行為の判定が行われる。判定およびその結果の出力は、上述の実施の形態と同様に行われてよい。判定結果の出力のために、前出のLED装置が設けられてもよい。
【0212】
以上、本発明の好適なもう一つの実施の形態を説明した。本実施の形態でも、カード上のコードが適当な構成により読み取られて、不正行為が検出される。
【0213】
なお、本実施の形態では、コードがカードのマーク(ランクとスート)に対応していたが、これに限定されない。コードがカードのマークに対応していなくてもよい。この点については、既に説明した通りである。
【0214】
以上、本発明の各種の実施の形態を説明した。上述の実施の形態は、本発明の範囲内で当業者により変形可能なことはもちろんである。例えば、本発明により、バカラ以外のゲームの不正が検出されてもよい。このとき、適用されるゲームでの必要に応じて、本実施の形態の装置が適当に変形されてよい。
【0215】
以上に説明したように、上記の不正検出装置は、登場カードと退出カードが一致するか否かを判定し、判定結果を出力する。したがって、ゲーム中にカードが不正にすり替えられたとき、このすり替え行為が検出可能である。
【0216】
上記の装置は、登場カードと退出カードの情報を取得できればよい。例えばバカラゲームでは、登場カードおよび退出カードは、最大でも6枚である。したがって、カードの組を移送するような手段が設けられなくてもよいので、装置を簡素で安価に構成できる。
【0217】
また、上記の不正検出装置は、テーブルまたはその近傍に設けられる読取器を備える簡素な構成によって、カードゲームの不正を検出できる。従来一般的な、カードを連続的に移送する装置は設けられなくてもよい。そして、不正行為をその場で検出できる。
【0218】
また、上記のマーク読取装置は、カード上のマーク配置のパターンが決まっていることに着目して、簡単な構成でマーク数を特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0219】
【図1】本実施の形態のカードゲーム不正検出装置が設けられるテーブルを示す図である。
【図2】不正検出装置の斜視図である。
【図3】検査の対象であるカードを示す図である。
【図4】不正検出装置の平面図である。
【図5】カードとセンサの位置関係を示す図である。
【図6】不正検出装置の正面図である。
【図7】センサを取り付けるブラケットを示す図である。
【図8】不正検出装置の側面図である。
【図9】不正検出装置の底面図である。
【図10】図9を矢印Xの方向からみた図である。
【図11】不正検出装置をテーブルと共に示す図である。
【図12】判定コンピュータ装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図13】別の実施の形態を示す図である。
【図14】別の実施の形態を示す図である。
【図15】別の実施の形態を示す図である。
【図16】図15の実施の形態でカードのマーク数を特定する処理を示すフローチャートである。
【図17】別の実施の形態を示す図である。
【図18】図17の実施の形態でカードのマーク数を特定する処理を示すフローチャートである。
【図19】別の実施の形態を示す図である。
【図20】図19の構成の斜視図である。
【図21】図19の実施の形態に適用されるカードを示す図である。
【図22】図19の実施の形態によるコードの読み取り動作を示す図である。
【符号の説明】
【0220】
10 カードゲーム不正検出装置
12 ベースプレート
18 レール
46 第1カードセンサ
48 第2カードセンサ
50 第3カードセンサ
52 第1読取センサ
54 第2読取センサ
56 LED装置
58−70 LED素子
90 判定コンピュータ装置
92 読取指示部
94 姿勢判定部
96 姿勢判定出力処理部
98 登場カード情報取得部
100 登場カード情報記憶部
102 退出カード情報取得部
104 判定部
106 出力処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル上で行われるゲームに使用するカードの情報を読取るカード読取装置であって、
前記カードを案内するレールと、
前記レールに案内されて手動でスライド移動される前記カードの通過を検出するため、前記移動するカードの通過方向に所定の間隔を設けて配置された少なくとも2つのカードセンサと、
前記カードの通過方向において前記2つのカードセンサの間に配置され、前記カードに付されたコードを読取る少なくとも2つの読取センサと、
を備え、
前記カードは、紫外線発光インクで前記コードが印刷されたカードであり、
前記コードは、前記カードの移動方向に交差する方向に所定の間隔を設けて配置された少なくとも2列のコードにより構成され、
前記2つの読取センサは、前記2列のコードの間隔に対応する位置に配置され、
前記カードセンサは、前記カードの通過中の位置を検出するための信号を出力することを特徴とするカード読取装置。
【請求項2】
前記カードセンサからの信号により、前記読取センサの機能を制御する読取指示部をさらに備えた請求項1に記載のカード読取装置。
【請求項3】
前記カードには、1デッキまたは複数デッキを組みとした組コードが付されており、
前記読取センサが、前記組コードを読取る機能を有する請求項1または2に記載のカード読取装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のカード読取装置と、
前記カード読取装置が設けられた、ディーラーがカードを取り出すためのシュータと、
を備えたことを特徴とするカードゲーム不正検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−23354(P2008−23354A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235828(P2007−235828)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【分割の表示】特願2003−5319(P2003−5319)の分割
【原出願日】平成15年1月14日(2003.1.14)
【出願人】(000103301)エンゼル商事株式会社 (13)