説明

ガイドレールの構造及び消音帯の取付方法

【課題】特殊加工や別体構造などとせずに、材料費を削減でき、組み付け作業性を向上させることのできるガイドレールの構造及び消音帯の取付方法を提供する。
【解決手段】開口部の両側部に設けられ両側部に挟まれる開口部の一辺部に固定された収納ケースの内部で正逆回転される巻取部材に巻装される開閉体の両側の縁部を受け入れる上端部27が収納ケースの内部に配置されるガイドレール29の構造であって、上端部27は開閉体の縁部を受け入れるガイド溝31の上部33が開放し、ガイド溝31を挟んで対向する一対の溝対向部35のそれぞれには消音帯37が取り付けられ、消音帯37は上端部27から上方へ延出する長さを有しかつ延出端部39が開閉体から離反する方向aに折り曲げられてループ部41を形成した後にガイドレール29に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターカーテン等の開閉体をガイドするガイドレールの構造及び消音帯の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば開閉体であるシャッターカーテンを巻取り・繰出すことにより建造物等の開口部を開閉するシャッター装置では、開閉体がスムースに開閉動作できるように、開口部の両側部に固定した一対のガイドレールに開閉体の両側の縁部を挿入してガイドする。開閉体は、開口部の上辺部に固定された収納ケース内の巻取部材に巻装され、この巻取部材が巻取装置にて正逆回転駆動されることで、収納ケースの出入口部から操出し・巻取られて、開口部を開閉する。このことから、開閉体は、特に巻取部材からガイドレールへ円滑に呑み込まれる必要がある。
【0003】
このためガイドレールの上端には、巻取部材とガイドレールとの間を移動する開閉体の案内を行うガイド部材が設けられる。このガイド部材は、収納ケース内での開閉体が、開口部開放時である全て巻き取られた状態と、開口部閉鎖時である全て繰り出された状態とでは異なることから必要となる。例えば特許文献1に開示されるシャッター装置の案内装置では、対向する円弧状の案内面を備えた専用別部品をガイドレールの上端に取り付け、開閉体の動作をスムースにしている。また、特許文献2に開示される開閉体装置では、アルミ型材のガイドレールに、切削加工、曲げ加工などを施し、傾斜部分を成形した後、その傾斜部分に消音帯を取り付けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−173689号公報
【特許文献2】特開2007−120282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の案内装置は、専用別部品をガイドレールの上端に取り付けるため、組付が煩雑であり、段差が生じることもあり、その段差で引っ掛かることによる騒音の生じる虞もあった。また、特許文献2に開示される開閉体装置は、切削加工、曲げ加工、スリット形成などの複雑な加工を施し、さらに、消音帯の取り付け時にはカシメや接着などを行うため、作業が煩雑である上、切断・切削によって材料が無駄となる問題もあった。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、特殊な加工や別体構造などとせずに、材料費を削減でき、組み付け作業性を向上させることのできるガイドレールの構造及び消音帯の取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のガイドレールの構造は、開口部11の両側部13に設けられ該両側部13に挟まれる前記開口部11の一辺部15に固定された収納ケース17の内部19で正逆回転される巻取部材21に巻装される開閉体23の両側の縁部25を受け入れる上端部27が前記収納ケース17の内部19に配置されるガイドレール29の構造であって、
前記上端部27は前記開閉体23の縁部25を受け入れるガイド溝31の上部33が開放し、
前記ガイド溝31を挟んで対向する一対の溝対向部35のそれぞれには消音帯37が取り付けられ、
前記消音帯37は前記上端部27から上方へ延出する長さを有しかつ延出端部39が前記開閉体23から離反する方向に曲げられた後に前記収納ケース17の内部19における所定の位置に固定されたことを特徴とする。
【0008】
このガイドレールの構造では、対向する一対の溝対向部35のそれぞれに取り付けられた消音帯37の上端部27が上方へ延出され、その延出端部39が開閉体23から離反する方向に曲げられた後に収納ケース17の内部19における所定の位置に固定されることで、ガイド溝31の上方には上に向かって徐々に広がるガイド溝受入部(呑込み部)が消音帯37によって形成される。消音帯37は、所定の硬度を有していることから、上方からガイド溝31へ向かって接近する開閉体23は、呑込み部に当たると、対向間隔の拡がった消音帯37によるガイド面に摺接しながらガイド溝31へ導入されることとなる。
【0009】
請求項2記載のガイドレールの構造は、請求項1記載のガイドレール29の構造であって、
前記収納ケース17の内部19における所定の位置が、前記ガイドレール29とされることを特徴とする。
【0010】
このガイドレールの構造では、消音帯37の延出端部39が、ガイドレール29に固定されることとなり、開閉体23から離反する方向に折り曲げられた部分がループ部41を形成することになり、このループ部41のガイド面に摺接することとなってガイド溝31へ開閉体23が導入されることになる。
【0011】
請求項3記載のガイドレールの構造は、請求項2記載のガイドレール29の構造であって、
前記延出端部39が、前記ガイドレール29の内側に固定されることを特徴とする。
【0012】
このガイドレールの構造では、消音帯37の延出端部39がガイドレール29の外側に突出せず、ガイドレール29の外面が平坦面となり、ガイドレール29の外面を他部材に接触させた取り付け、例えば建物躯体側で覆われるような構成が可能となる。
【0013】
請求項4記載のガイドレールの構造は、請求項2又は3記載のガイドレール29の構造であって、
前記ガイドレール29に、前記延出端部39を取り付ける延出端取付部43が形成されることを特徴とする。
【0014】
このガイドレールの構造では、延出端部39をガイドレール29に固定するための専用別部品が不要となる。
【0015】
請求項5記載のガイドレールの構造は、請求項2,3,4のいずれか1つに記載のガイドレール29の構造であって、
前記ガイドレール29の溝対向部35には前記消音帯37を長手方向に差し込む挿着形状部45が形成され、
同一形状の前記挿着形状部45が前記ガイドレール29の延出端取付部43にも形成されていることを特徴とする。
【0016】
このガイドレールの構造では、ガイドレール29の溝対向部35に形成された挿着形状部45から突出する消音帯37の延出端部39が、延出端取付部43に形成された挿着形状部45に差し込まれることにより、ループ部41を形成した延出端部39の終端が固定処理される。
【0017】
請求項6記載のガイドレールの構造は、請求項2,3,4,5のいずれか1つに記載のガイドレール29の構造であって、
前記消音帯37がガイドレール29に着脱自在に取り付けられることを特徴とする。
【0018】
このガイドレールの構造では、建造物に固定されたガイドレール29に対しても、消音帯37が着脱自在となり、消音帯37の交換のためにガイドレール29を取り外す必要がなく、特にメンテナンス性が向上する。
【0019】
請求項7記載の消音帯の取付方法は、開口部11の両側部13に設けられ該両側部13に挟まれる前記開口部11の一辺部15に固定された収納ケース17の内部19で正逆回転される巻取部材21に巻装される開閉体23の両側の縁部25を受け入れる上端部27が前記収納ケース17の内部19に配置され、上部33が開放し前記開閉体23の縁部25を受け入れるガイド溝31を有するガイドレール29に、消音帯37を取り付ける消音帯37の取付方法であって、
前記ガイド溝31を挟んで対向する一対の溝対向部35のそれぞれに消音帯37を取り付け、
前記消音帯37は前記上端部27から上方へ延出する延出端部39を前記開閉体23から離反する方向に折り曲げてループ部41を形成し、
該延出端部39を前記ガイドレール29に固定することを特徴とする。
【0020】
この消音帯の取付方法では、対向する一対の溝対向部35のそれぞれに取り付けられた消音帯37が上端部27より上方へ延出され、その延出端部39が開閉体23から離反する方向に折り曲げられてループ部41を形成した後にガイドレール29に固定されることで、ガイド溝31の上方には上に向かって徐々に広がるガイド溝受入部(呑込み部)が消音帯37によって形成される。消音帯37は、所定の硬度を有していることから、上方からガイド溝31へ向かって接近する開閉体23は、呑込み部に当たると、ループ部41のガイド面に摺接しながらガイド溝31へ導入されることとなる。
【0021】
請求項8記載の消音帯の取付方法は、請求項7記載の消音帯37の取付方法であって、
前記ガイドレール29の溝対向部35に前記消音帯37を長手方向に差し込む挿着形状部45を形成し、
同一形状の前記挿着形状部45を前記ガイドレール29の延出端取付部43にも形成し、
前記消音帯37の延出端部39を前記延出端取付部43に形成した挿着形状部45に差し込んで取り付けることを特徴とする。
【0022】
この消音帯の取付方法では、ガイドレール29の溝対向部35に形成された挿着形状部45から突出する消音帯37の延出端部39が、延出端取付部43に形成された挿着形状部45に差し込まれることにより、ループ部41を形成した延出端部39の終端が固定処理される。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る請求項1記載のガイドレールの構造によれば、ガイドレールの上端部を、特殊加工や別体構造などとせずに、消音帯を変形させてガイド溝受入部(呑込み部)を形成でき、この形成された呑込み部によって開閉体のガイド溝への導入が可能となる。そしてこのような構造としたことで、組み付け作業性が向上し、材料費や金型コストを削減することができるとともに、組み付け作業性の向上による製造コストも削減でき、しかも、メンテナンス性も向上させることができる。
【0024】
請求項2記載のガイドレールの構造によれば、ガイドレールの上端部から上方に延出する消音帯の延出端部が、開閉体から離反する方向に屈曲変形させてガイド溝受入部(呑込み部)を形成しガイドレールに固定され、この形成された呑込み部が所定の硬度を有する消音帯によりループ部となり、開閉体のガイド溝への導入が可能となる。
【0025】
請求項3記載のガイドレールの構造によれば、消音帯の延出端部がガイドレールの外側に突出せず、ガイドレールの外面を平坦面に構成することができ、また、この延出端部がガイドレール周辺の他部材と干渉することを回避でき、ガイドレールの取り付け性を向上させることができる。
【0026】
請求項4記載のガイドレールの構造によれば、専用の別部品を必要とせずに延出端部をガイドレールに取り付けることができ、作業性を向上させることが可能となるとともに、部品数の削減、部品コストの低減が可能となり、専用別部品を管理する必要もない。
【0027】
請求項5記載のガイドレールの構造によれば、溝対向部に形成された挿着形状部と同一形状の挿着形状部が延出端取付部に形成されることで、消音帯の延出端部を差し込むことができ、ループ部の形成をより容易なものとすることができる。特に押出成形材からなるガイドレールでは、成形金型の口金の形状変更のみで別部品を用いずに、すなわち折り曲げ加工や溶接加工などすることなく挿着形状部を成形できる。
【0028】
請求項6記載のガイドレールの構造によれば、消音帯を着脱自在とすることで、ガイド溝における消音帯及び延出端部となる消音帯の一連の消音帯部材が、ガイドレールを建造物から取り外すなどの煩雑さを無くして、一括して取り付け及び交換でき、製造時の組立作業性や、メンテナンス時の交換作業性を良好にできる。
【0029】
請求項7記載の消音帯の取付方法によれば、ガイドレールの上端部を、特殊加工や別体構造などとせずに、消音帯を変形させてガイド溝受入部(呑込み部)を形成でき、組み付け作業性、メンテナンス性を向上させることができる。
【0030】
請求項8記載の消音帯の取付方法によれば、別部品を用いずに、差し込みによる簡単な作業で、延出端部を容易にしかも正確に取り付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は本発明に係るガイドレールの構造を備えた開閉装置を概念的に表した側面図、(b)はそのA−A矢視図である。
【図2】ガイドレールの上端部の斜視図である。
【図3】図2のB−B矢視図である。
【図4】図2に示したガイドレールの正面図である。
【図5】変形例に係る消音帯を用いたガイドレールの構造の斜視図である。
【図6】図5のC−C断面図である。
【図7】(a)は外方ビスによるガイドレール内面付けの変形例に係る要部断面図、(b)はその正面図である。
【図8】(a)は外方ビスによるガイドレール外面付けの変形例に係る要部断面図、(b)はその正面図である。
【図9】(a)は断面T字状の挿着形状部を備えた変形例に係るガイドレールの構造の要部断面図、(b)は挿着形状部の向きが異なる変形例に係るガイドレールの構造の要部断面図、(c)はガイドレールが幅狭の場合の要部断面図である。
【図10】(a)はL字状の嵌合空間を有する嵌め込み式の消音帯を用いた変形例に係る要部断面図、(b)はその斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1(a)は本発明に係るガイドレールの構造を備えた開閉装置を概念的に表した側面図、(b)はそのA−A矢視図、図2はガイドレールの上端部の斜視図、図3は図2のB−B矢視図、図4は図2に示したガイドレールの正面図である。
本発明に係るガイドレールの構造は、例えばシャッターカーテン等の開閉体23を操出し・巻取ることにより開口部11を開閉するシャッター装置等の開閉装置47に好適に用いることができる。建造物や構造物における開口部11の両側部13には、ガイドレール29が一対固定されている。両側部13に挟まれる開口部11の上側の一辺部15には収納ケース17が固定されている。収納ケース17の内部19には、一辺部15に沿う方向の駆動軸49を回転中心として正逆回転される巻取部材21が設けられている。
【0033】
ガイドレール29は、巻取部材21に巻装される開閉体23の両側の縁部25を受け入れる図2に示す上端部27が、収納ケース17の内部19に配置される。上端部27は開閉体23の縁部25を受け入れるガイド溝31の上部33が開放している。ガイドレール29は、ガイド溝31を挟んで対向する一対の溝対向部35のそれぞれに、消音帯37が取り付けられる。
【0034】
消音帯37は、可撓性の有る硬質性樹脂素材からなり、それほど柔らかくはなく適宜な剛性を備えた真直性のある素材であるが、図2に示すように、数センチの曲げ半径で手作業にて折り曲げ可能な可撓性を有する。消音帯37の断面形状としては、図3に示すように、例えば、く字状のヒレ部37aと、裾広がりの取付脚部37bとを備えた形状とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0035】
消音帯37は、ガイドレール29の全長よりも長く形成されている。消音帯37は、上端部27から上方へ延出する長さを有し、かつ延出端部39が開閉体23から離反する方向(図2の矢印a方向)に折り曲げられてループ部41を形成する。延出端部39は、ループ部41を形成した後に、ガイドレール29に固定される。これにより、消音帯37は、曲げた部分(ループ部41)を、ガイドレール29の呑込み部に兼用する。二つのループ部41の対向する内側面は、開閉体23のガイド面41aとなる。
【0036】
本実施の形態において、延出端部39は、ガイドレール29の内側に固定される。消音帯37の延出端部39は、ガイドレール29の外側に突出せず、ガイドレール29の図4及び図3に示す外面51が平坦面となり、ガイドレール29の外面51を不図示の他部材に接触させた取り付けが可能となる。これにより、延出端部39が他部材と干渉することを回避でき、すなわちガイドレール29の外側に接して構築される建造物の外壁や窓枠部材などと干渉することなく、ガイドレール29の取り付け性を向上させることができるようになされている。
【0037】
ガイドレール29には、延出端部39を取り付ける図3に示す延出端取付部43が形成されている。延出端部39は、ガイドレール29に固定するための専用別部品、例えば特許文献1に開示される案内部などが不要となっている。したがって、専用別部品を必要とせずに延出端部39を取り付けでき、作業性が向上するとともに、部品コストを大幅に低減でき、専用別部品を管理する必要もない。
【0038】
本実施の形態では、ガイドレール29の溝対向部35に、消音帯37を長手方向に差し込む挿着形状部45が形成される。また、同一形状の挿着形状部45が、ガイドレール29の延出端取付部43にも形成されている。ガイドレール29の溝対向部35に形成された挿着形状部45から突出する消音帯37の延出端部39は、延出端取付部43に形成された挿着形状部45に差し込まれることにより、ループ部41を形成した延出端部39の終端が固定処理される。つまり、ガイド溝31に消音帯37を取り付けるための挿着形状部45を、延出端部39を取り付ける構造に利用している。押出成形材からなるガイドレール29では口金の形状変更のみで専用別部品を用いずに挿着形状部45を容易に成形できる。
【0039】
次に、上記ガイドレールの構造における消音帯37の取付方法を説明する。
ガイドレール29に消音帯37を取り付けるには、ガイドレール29の長手方向一端側から、挿着形状部45に消音帯37の取付脚部37bを差し入れる。ガイド溝31を挟んで対向する一対の溝対向部35のそれぞれに消音帯37を取り付ける。消音帯37の差し入れは、ガイドレール29を建造物の躯体側へ固定する前、固定した後のいずれであってもよい。消音帯37の全長は、消音帯37を差し入れるガイドレール29の長さに加え、上記ループ部41と、挿着形状部45への固定代を確保する分だけ長く形成しておく。
【0040】
消音帯37の余長部分、すなわちガイドレール29に差し入れた部分以外の延出部分は、ガイドレール29の上端部27から延出端部39として突出させ、それぞれの消音帯37の延出端部39を、開閉体23から離反する方向、すなわち開閉体23の表裏面から離れる方向(図2の矢印a方向)に折り曲げて、それぞれでループ部41を形成した後に、ガイド溝31と反対側に設けた挿着形状部45に挿入する。
【0041】
ガイドレール29の溝対向部35には挿着形状部45が形成されている。また、同一形状の挿着形状部45が延出端取付部43にも形成されている。したがって、延出端部39は、延出端取付部43の挿着形状部45に簡単に差し込んで取り付けできる。ガイドレール29の溝対向部35に形成した挿着形状部45から突出する延出端部39は、延出端取付部43の挿着形状部45に差し込まれることにより、ループ部41を形成した延出端部39の終端が固定処理される。つまり、専用別部品を用いてビス止め固定などをせずに、差し込みによる簡単な作業で、延出端部39を容易にしかも正確に位置決めして取り付けできるようになされている。
【0042】
挿入した延出端部39は、不図示の接着剤や固定ビス等によって固定してもよい。これにより、ガイド溝31の上方には上に向かって徐々に広がるガイド溝受入部、すなわち呑込み部53が消音帯37によって形成される。消音帯37は、所定の硬度を有した可撓性素材とされていることから、略放物線状或いは略U字状の滑らかな曲線を形成し、上方からガイド溝31へ向かって接近する開閉体23は、呑込み部53に当たると、ループ部41のガイド面41aに摺接しながらガイド溝31へ導入されることとなる。
【0043】
このように、上記したガイドレールの構造及び消音帯の取付方法では、ガイドレール29を切削加工、スリット形成、曲げ加工、カシメなどの複雑な加工を行う必要がなく、手間が掛からない。すなわち、ガイドレール29の上端部27は、真っ直ぐに、すなわちガイドレール29の長手方向に直交方向となる水平に切断すれば良く、製作が極めて簡単となる。
【0044】
次に、上記実施の形態の変形例を説明する。
図5は変形例に係る消音帯を用いたガイドレールの構造の斜視図、図6は図5のC−C断面図である。
図5,図6に示す変形例に係るガイドレールの構造は、消音帯37Aの断面形状が、上記の消音帯37よりも簡素な形状となっている。上記した消音帯37のヒレ部37a、取付脚部37bの代わりに、摺接部37Aa、挿入部37Abが形成される。消音帯37Aは、挿入部37Abが挿着形状部45に差し込まれることで、挿着形状部45に沿って平面帯状の摺接部37Aaが取り付けられる。
この変形例によれば、消音帯37Aを安価にできる。
【0045】
図7(a)は外方ビスによるガイドレール内面付けの変形例に係る要部断面図、(b)はその正面図である。
図7に示す変形例に係るガイドレールの構造は、ガイドレール29の内側に、上記実施の形態で述べた延出端部39を固定するための挿着形状部45が形成されていない。つまり、ガイドレール29を簡素にできる。延出端部39は、ガイドレール29の内面55に沿わせて外方より固定ビス57にて固定する。
この変形例によれば、ガイドレール29の外面51が躯体などによって隠れない場合、外面51から固定ビス57によって良好な作業性で延出端部39を固定することができる。また、この固定ビス57を取り除くことで、消音帯37Aを取り外すことが可能であり、メンテナンス性も向上できる。
【0046】
図8(a)は外方ビスによるガイドレール外面付けの変形例に係る要部断面図、(b)はその正面図である。
図8に示す変形例に係るガイドレールの構造は、延出端部39を、ガイドレール29の外面51に沿わせて外方より固定ビス57にて固定する。
この変形例によれば、ガイドレール29の外面51が躯体などによって隠れない場合、ガイドレール29の外側に配置した延出端部39を、外面51へ固定ビス57によって固定できる。延出端部39をガイドレール29の内側に挿入せずに、さらに良好な作業性で延出端部39を固定及び取り外しが可能となる。
【0047】
図9(a)は断面T字状の挿着形状部を備えた変形例に係るガイドレールの構造の要部断面図、(b)は挿着形状部の向きが異なる変形例に係るガイドレールの構造の要部断面図、(c)はガイドレールが幅狭の場合の要部断面図である。
図9(a)に示す変形例に係るガイドレールの構造は、挿着形状部45Bが、断面T字状のレール部となる。一方、消音帯37Bにはこの挿着形状部45Bに長手方向から差し入れられる蟻溝部59が形成される。挿着形状部45Bは、上記の挿着形状部45に比べ簡素な構造となる。
この変形例によれば、ガイドレール29の断面形状が簡素となり、このガイドレール29が押出成形品であれば、その成形用口金を簡単にできる。また、折曲加工成形により得られるガイドレールとしても可能である。
【0048】
図9(b)に示す変形例に係るガイドレールの構造は、溝対向部35に設けられる挿着形状部45と、延出端部39を差し入れるための挿着形状部45が、直交する位置関係で配置される。これにより、溝対向部35の挿着形状部45から延出した消音帯37は、90度捩られて延出端部39用の挿着形状部45に取り付けられる。
この変形例によれば、捩られることで、図2に示す矢印a方向への消音帯37の撓み強度を高くすることができる。
【0049】
図9(c)に示す変形例に係るガイドレールの構造は、ガイドレール29Aが、ガイド溝31を挟んで断面コ字状に形成される。ガイドレール29Aは、溝対向部35の内側に挿着形状部45が形成される。溝対向部35の挿着形状部45から延出した延出端部39は、挿着形状部45の背面となるガイドレール29Aの外面51に接着等により固定される。
この変形例によれば、溝対向部35の挿着形状部45に消音帯37Aを取り付けることで、ガイド溝31を幅狭にでき、別言すると、ガイド溝31の幅長が狭く、上述した各実施の形態のようなガイドレール内部に空間を有さない簡素な構造のガイドレール29Aで、開閉体23の縁部25をガイドすることができる。特に、厚みが小さいシート状シャッターカーテンを開閉体としたシャッター装置に用いて好適となる。
【0050】
図10(a)はL字状の嵌合空間を有する嵌め込み式の消音帯を用いた変形例に係る要部断面図、(b)はその斜視図である。
図10に示すガイドレールの構造は、ガイドレール29Cの溝対向部35に、断面L字状の挿着形状部45Cが形成される。一方、消音帯37Cは、所定の剛性を有する弾性素材からなり、上記断面L字状の挿着形状部45Cに被さる開放空間部61を有した略チューブ状に形成される。消音帯37Cは、長手方向に沿って開口する取付スリット63によって開放空間部61が開放される。延出端部39は、図10(b)に示すように、ガイドレール29Cに形成した切り込み65に、上方から下向きに差し入れる。つまり、消音帯37Cは、この取付スリット63を挿着形状部45Cに嵌め入れることで正面からの嵌め込みが可能となっている。これにより、消音帯37Cは、ガイドレール29Cに着脱自在に取り付けられる。
【0051】
この変形例では、建造物に固定されたガイドレール29Cに対して、消音帯37Cが着脱自在となり、消音帯37Cの交換のためにガイドレール29Cを取り外す必要がなく、特にメンテナンス性が向上する。
したがって、この変形例によれば、消音帯37C及び延出端部39にて形成されるループ部41となる消音帯37Cの一連の消音帯部材が一括して取付け及び交換でき、製造時の組立作業性や、メンテナンス時の交換作業性を良好にできる。
【0052】
また、図示は省略するが、ガイドレールの構造は、ガイドレールに同一長さの挿着形状部を対向して形成し、上端で折り返してガイドレールの略二倍の長さの消音帯を取り付ける構成とすることもできる。この構成では、溝対向部に位置する消音帯と、略同一長さの消音帯が予備の消音帯として装備されることになる。
この変形例によれば、メンテナンス時に、今まで使用していなかった予備の消音帯を差し替えて使うことができ、消音帯を取り替えるのではなく、着け替えることで、メンテナンス性を一層に向上させることができる。
【0053】
なお、上述した各実施の形態では、ガイドレール29の上端部27から上方へ延出する消音帯37の延出端部39を曲げてガイドレール29に固定することで、略放物線状或いは略U字状のループ部41を形成して呑込み部とし、開閉体23のガイドを行うよう構成した例について述べたが、延出端部39の固定位置として、上記したガイドレール29への固定ではなく、延出端部39をガイドレール29以外の例えばまぐさや躯体、収納ケース17の内側面などを固定位置とし、ビスやリベット、又は接着剤などの固定手段で固定してループ部41を形成する構成としてもよい。
【0054】
また、延出端部39にループ部41を形成せず、ガイドレール29の挿着形状部45の端部から延出した状態で、ガイドレール29以外の収納ケース17の内部における所定の位置、例えばまぐさや躯体、或いは収納ケース17の内側垂直面などに、ビスやリベット或いは接着剤などの固定手段にてて固定する構成としてもよい。この場合の延出端部39は、上記したような略放物線状や略U字状ではなく、傾斜状の配置や、弧状に形成したり、略S字状など延出端部39の終端が固定状態で湾曲するような配置とされ、この延出端部39が開閉体23の表裏面から離れる方向に屈曲するような構成とされる。
【0055】
したがって、上記実施の形態に係るガイドレールの構造及び消音帯の取付方法によれば、ガイドレール29の上端部27を、切削や曲げ加工などの特殊な加工や別体構造などとせずに、消音帯37を変形させることのみで呑込み部53を形成でき、材料費や金型コストが削減できるとともに、組み付け作業性の向上による製造コストも削減でき、しかも、着脱自在としてメンテナンス性も向上させることができる。
【符号の説明】
【0056】
11…開口部
13…両側部
15…一辺部
17…収納ケース
19…内部
21…巻取部材
23…開閉体
25…縁部
27…上端部
29…ガイドレール
31…ガイド溝
33…上部
35…溝対向部
37…消音帯
39…延出端部
41…ループ部
43…延出端取付部
45…挿着形状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の両側部に設けられ該両側部に挟まれる前記開口部の一辺部に固定された収納ケースの内部で正逆回転される巻取部材に巻装される開閉体の両側の縁部を受け入れる上端部が前記収納ケースの内部に配置されるガイドレールの構造であって、
前記上端部は前記開閉体の縁部を受け入れるガイド溝の上部が開放し、
前記ガイド溝を挟んで対向する一対の溝対向部のそれぞれには消音帯が取り付けられ、
前記消音帯は前記上端部から上方へ延出する長さを有しかつ延出端部が前記開閉体から離反する方向に曲げられた後に前記収納ケースの内部における所定の位置に固定されたことを特徴とするガイドレールの構造。
【請求項2】
請求項1記載のガイドレールの構造であって、
前記収納ケースの内部における所定の位置が、前記ガイドレールとされることを特徴とするガイドレールの構造。
【請求項3】
請求項2記載のガイドレールの構造であって、
前記延出端部が、前記ガイドレールの内側に固定されることを特徴とするガイドレールの構造。
【請求項4】
請求項2又は3記載のガイドレールの構造であって、
前記ガイドレールに、前記延出端部を取り付ける延出端取付部が形成されることを特徴とするガイドレールの構造。
【請求項5】
請求項2,3,4のいずれか1つに記載のガイドレールの構造であって、
前記ガイドレールの溝対向部には前記消音帯を長手方向に差し込む挿着形状部が形成され、
同一形状の前記挿着形状部が前記ガイドレールの延出端取付部にも形成されていることを特徴とするガイドレールの構造。
【請求項6】
請求項2,3,4,5のいずれか1つに記載のガイドレールの構造であって、
前記消音帯がガイドレールに着脱自在に取り付けられることを特徴とするガイドレールの構造。
【請求項7】
開口部の両側部に設けられ該両側部に挟まれる前記開口部の一辺部に固定された収納ケースの内部で正逆回転される巻取部材に巻装される開閉体の両側の縁部を受け入れる上端部が前記収納ケースの内部に配置され、上部が開放し前記開閉体の縁部を受け入れるガイド溝を有するガイドレールに、消音帯を取り付ける消音帯の取付方法であって、
前記ガイド溝を挟んで対向する一対の溝対向部のそれぞれに消音帯を取り付け、
前記消音帯は前記上端部から上方へ延出する延出端部を前記開閉体から離反する方向に折り曲げてループ部を形成し、
該延出端部を前記ガイドレールに固定することを特徴とする消音帯の取付方法。
【請求項8】
請求項7記載の消音帯の取付方法であって、
前記ガイドレールの溝対向部に前記消音帯を長手方向に差し込む挿着形状部を形成し、
同一形状の前記挿着形状部を前記ガイドレールの延出端取付部にも形成し、
前記消音帯の延出端部を前記延出端取付部に形成した挿着形状部に差し込んで取り付けることを特徴とする消音帯の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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