説明

ガスメータの遮断弁の開弁復帰構造

【課題】 単純な変位を以って確実にガス流路の開放遮断が行なわれ、且つガス流路の開閉状況の把握が確実に行なえるガスメータの遮断弁の開弁復帰構造の提供。
【解決手段】 閉弁動作時及び復帰操作時において前記遮断弁の弁本体6と相互に押圧力を授受し当該弁本体6の動作方向に進退する復帰軸2と、当該復帰軸2をその進退に応じて遮断表示マーク10付きの操作部が出没する様に支持する筒状の復帰軸ボックス1と、当該復帰軸2を前記復帰操作に抗する向きへ付勢する復帰軸付勢手段とを具備してなり、復帰軸の凹部16に前記ボールプランジャ9が嵌まった際に当該遮断表示マーク10が前記復帰軸ボックス1に隠れ、前記遮断弁の閉弁動作による復帰軸2への押圧を受けて当該復帰軸2の凹部16から前記ボールプランジャ9が離脱した際に当該遮断表示マーク10が前記復帰軸ボックス1の外に露出するガスメータの遮断弁の開弁復帰構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータに関するものであって、特に、異常発生時に遮断弁によってガスメータを流通するガスの流路が遮断された状態から、再びガスの流通を開通させるために設けられる遮断弁の開弁復帰構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異常発生時に遮断弁が作動した場合、どのような異常が発生して遮断したかをLEDの点滅パターンで表示させたり、液晶で表示させたりする方式であったが、単方向ソレノイド型遮断弁を使用したガスメータでは、ガスメータに衝撃が加わった場合(例えばボールがぶつかる等)等、コントローラが検知を予定していない物理的衝撃を以って遮断してしまう事がある。
【0003】
この場合、遮断弁を制御するコントローラから遮断信号が出力されていないにもかかわらず力学的構造のみを要因としてガス供給が停止するため、LEDあるいは液晶に何ら表示が出ない状態となり、ガス消費者あるいはガス消費者から連絡を受けたガス事業者にとっては、ガス供給が停止した原因の把握が困難となる。
【0004】
そこで遮断弁の状態(開あるいは閉)を外部から目視確認できる構造にすることで(例えば、下記特許文献1、特許文献2、又は特許文献3参照。)、ガスメータで遮断しているのか、あるいはその他の原因でガス供給が停止しているのかの判断ができ、状況の把握が的確になる手法が紹介された。
【0005】
しかしながら、ユーザーの安全を直接担う観点より、直線移動と回転移動との併存を回避し、構造と開弁・閉弁時における動作の簡素化を以って、より高品質で信頼性の高い構造を求めるべきとの要請があった。
また、上記従来の手段にあっては、軸線変位を回転変位に変換することで状態を指示し(例えば、下記特許文献1)、表示体を見せ隠しする構造(例えば、下記特許文献2)や、ガスメータ内部の表示体を、透明部材を介して確認すると言う構造(例えば、下記特許文献3参照。)が採用されたが、回転変位等により弁本体と封止部材の弁座との気密に不具合が生じる虞が有ることから、復帰軸の進退に伴って摺動する封止部材を備えた構造に対応させることは極めて困難であった。
【0006】
【特許文献1】実公平2−45581号公報
【特許文献2】実公平6−3248号公報
【特許文献3】実公平6−7242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、単純な変位を以って確実にガス流路の開放遮断が行なわれ、且つガス流路の開閉状況の把握が確実に行なえるガスメータの遮断弁の開弁復帰構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為になされた本発明によるガスメータの遮断弁の開弁復帰構造は、異常発生時にガスメータのガスの流路を弁本体で密閉遮断する閉弁動作を行なう遮断弁の開弁復帰構造であって、閉弁動作時及び復帰操作時において前記遮断弁の弁本体と相互に押圧力を授受し当該弁本体の動作方向に進退する復帰軸と、当該復帰軸をその進退に応じて遮断表示マーク付きの操作部が出没する様に支持する筒状の復帰軸ボックスと、当該復帰軸を前記復帰操作に抗する向きへ付勢する復帰軸付勢手段とを具備してなる。
【0009】
第一の構造は、前記復帰軸ボックスに前記復帰軸の側面に向けて付勢したボールプランジャを備え、前記復帰軸の側面に、前記ボールプランジャが嵌まる凹部を備える構造であって、前記復帰軸の遮断弁側の端部に、当該復帰軸の長手方向へ弾性的に進退可能な緩衝部材を備えた構造としても良い。
【0010】
第二の構造は、前記復帰軸の遮断弁側の端部に、当該復帰軸の長手方向へ弾性的に進退可能な緩衝部材を備え、前記復帰軸に、当該復帰軸の進退に一定長の摺動を伴って追動する封止部材を備え、前記封止部材は、弁本体が封じるガス流路と気密を保持して連続し遮断開口部に対して前記弁本体の進退長以上の出没を行なう筒状の気密隔壁、当該気密隔壁の先端開口部であって前記弁本体に密着する気密縁、前記緩衝部材を前記機密隔壁の先端開口部から出没する様に支持する緩衝ボックス、及び、復帰軸の側面に向けて付勢したボールプランジャを備え、前記復帰軸の側面に、前記ボールプランジャが嵌まる凹部を備え、前記封止部材の復帰軸に対する摺動長を前記弁本体の進退長未満に制限する(進退長以上では開弁状態に復帰しない場合が生じ得る)規制手段を備える構造である。
【0011】
前記第一の構造と第二の構造は共に、当該凹部の位置は、当該復帰軸が前記復帰軸付勢手段で前記復帰操作に抗する向きへの付勢状態で前記ボールプランジャが嵌まる位置であり、前記操作部の遮断表示マークの位置が、当該復帰軸の凹部に前記ボールプランジャが嵌まった際に当該遮断表示マークが前記復帰軸ボックスに隠れ、前記遮断弁の閉弁動作による復帰軸への押圧を受けて当該復帰軸の凹部から前記ボールプランジャが離脱した際に当該遮断表示マークが前記復帰軸ボックスの外に露出する位置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるガスメータの遮断弁の開弁復帰構造によれば、遮断表示マークの見え隠れにより、遮断弁の弁本体が作動しているか否かの判断が確実に行なえることとなる他、軸方向への進退と言う単純な変位を以って、確実にガス流路の開放遮断が行なわれることにより、異常発生時における復帰軸の軸線方向への移動が滞る要因を最大限排除できる。
【0013】
また、緩衝部材や封止部材の付設によって、不完全な復帰操作や悪戯により、ガスの流路を不当に開放される可能性も著しく減少し、更には、組立工程が簡素化できるという利益もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明によるガスメータの遮断弁の開弁復帰構造の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、ガスメータにおけるガス取入口を介してガスの流路へ流通するガスの流入(図1(A)参照)及び遮断(図1(B)参照)を行なう遮断弁付近の縦断面図である。
【0015】
当該図に示す遮断弁は、地震の発生などの異常時に弁本体6をガスの流路を開放位置から弾性離脱させる電磁回路等の制御を以って、ガスメータのガスの流路を密封・遮断する閉弁動作を行なうものであって、異常回復時において手動で遮断弁の弁本体6を開放位置に復帰させるための開弁復帰構造を備えるものである。
以下、本発明にガスメータの遮断弁の開弁復帰構造の基本的構造等を記す。
【0016】
前記開弁復帰構造は、ガスメータの筐体に固定された筒状の復帰軸ボックス1と、当該復帰軸ボックスの中空部を進退する略等断面の復帰軸2と、当該復帰軸2を前記復帰軸ボックス1の内部で復帰操作に抗する向きへ付勢する復帰ばね(復帰軸付勢手段)3を具備して構成される。
【0017】
前記復帰軸ボックス1は、ガスの流路と外部との機密性を維持しつつ、前記中空部に挿通された復帰軸2をその進退に応じて操作部が出没する様に支持する。支持された復帰軸2は、閉弁動作時及び復帰操作(弁本体6を開弁状態とする為に押し入れる操作)時において前記弁本体6と相互に押圧力を授受し当該弁本体6の動作方向に進退する。前記復帰軸2の進退量としては、前記操作部が最も突出した状態から弁本体6を復帰させるだけのストロークが必要となり、最も突出した際であっても、復帰軸2の離脱を回避できる様に止め輪15を備えている。
【0018】
前記復帰軸ボックス1は、前記中空部に向けて(復帰軸の側面に向けて)付勢したボールプランジャ9を備え、前記復帰軸2には、その側面に前記ボールプランジャ9が嵌まる凹部(凹溝)16が当該復帰軸2の側面を一周する形で環状に刻設されている。当該復帰軸2の操作部は、復帰操作の際のプッシュボタンとなり得るキャップ4を備え、当該キャップ4は、その操作に応じて見え隠れする遮断表示マーク10を備える。
【0019】
当該例では、閉弁動作直後において、復帰軸2及びキャップ4が前記復帰軸ボックス1から最も突出した際に、ガスの流路を遮断した弁本体6と前記復帰軸2とが接触せず、且つボールプランジャ9が凹部16に嵌まった際には、前記復帰軸2の端部が閉弁動作中の弁本体6から前記ボールプランジャ9が凹部16から離脱する為の圧力を受け得る長さに設定されている。
【0020】
前記凹部16とボールプランジャ9は、前記復帰軸ボックス1に対する前記キャップ4の突出量を所定の位置条件において制限するものである。
【0021】
前記復帰軸2における前記凹部16の位置は、前記遮断弁に対する開弁操作がなされて弁本体6が復帰位置に定着し、且つ前記復帰軸2が弁本体6から離隔して前記復帰ばね3による付勢状態にある時に、前記ボールプランジャ9が嵌まる位置であり、当該ボールプランジャ9が前記凹部16から離脱することによって、前記復帰軸2が前記復帰軸ボックス1から突出する量が、前記遮断表示マーク10が見え隠れし得る量だけ増加する位置であることが必要である。
【0022】
また、前記操作部の遮断表示マーク10の位置は、上記凹部16の位置的要件の充足によって、当該復帰軸2の凹部16に前記ボールプランジャ9が嵌まった際には、当該遮断表示マーク10が前記復帰軸ボックス1に隠れ、前記遮断弁の閉弁動作による復帰軸2への押圧を受けて当該復帰軸2の凹部16から前記ボールプランジャ9が離脱した際には、当該遮断表示マーク10が前記復帰軸ボックス1から露出する位置であることが必要である。
【0023】
上記構成において、凹部16及び遮断表示マーク10の位置的要件を満足すると共に、当該復帰軸2の凹部16に前記ボールプランジャ9が嵌まった際における当該復帰軸2の位置保持力(以下、ボールプランジャ9の位置保持力と記す。)が、復帰後の通常位置において前記復帰ばね3が復帰軸2に加える力より大きく、且つボールプランジャ9の位置保持力が、閉弁動作時において前記復帰ばね3及び弁ばね7(遮断弁付勢手段:遮断弁の弁本体に対して閉弁動作を励起する付勢手段。)が復帰軸2に加える力より小さいと言う条件を満たせば、遮断表示マーク10の見え隠れにより、遮断弁の弁本体6が作動しているか否かの判断、即ち、ガス流路の開閉状況の把握が確実に行なえることとなる。
【0024】
また、略等断面の復帰軸2の軸方向への進退と言う単純な変位を以って、確実にガス流路の開放遮断が行なわれ、その進退に加わる力が上記各付勢手段とボールプランジャ9による力に略限定されることにより、構造がシンプルとなり組立工程が簡素化できるという利益がある。
【0025】
遮断弁の目的は、ガスの供給を停止して重大な事故を未然に防ぐ目的によるものであるから、ガスの供給遮断は万全を期すことが要求される。
【0026】
前述の通り、閉弁動作時において、ボールプランジャ9の位置保持力が、前記復帰ばね3及び前記弁ばね7が復帰軸2に加える力より小さいという条件を満たせば、当該例によるガスメータの遮断弁の開弁復帰構造は問題なく機能するが、例えば、ボールプランジャ9に何等かの不具合が生じ、位置保持力が著しく大きくなった場合、前記弁本体6がガス流路を遮断しきれない状況が発生し得る(図2参照)。
【0027】
そこで、実施形態の一つとして、前記開弁復帰構造の基本的構造に付加して、前記復帰軸2の遮断弁側の端部にプランジャ押さえ(緩衝部材)11を備える構造を採ることも可能である(図3及び図4参照)。
【0028】
前記プランジャ押さえ11は、当該復帰軸2の弁本体6側に、その長手方向へプランジャ押さえばね(復帰軸緩衝手段)12の弾性を以って進退可能に装着したものである。当該例では、閉弁動作直後であって復帰軸2、キャップ4、及び当該プランジャ押さえ11が最も延びた際に、ガスの流路を遮断した弁本体6と前記プランジャ押さえ11とが接触しない長さであって、ボールプランジャの不具合により凹部16に嵌まったままになった際に、前記プランジャ押さえ11がガス流路を遮断すべく、閉弁動作中の弁本体6から弾性的に圧力を受け、前記ボールプランジャ9が凹部16から離脱する為の圧力を受け得る長さに設定されている。
【0029】
この場合、復帰状態において、ボールプランジャ9の位置保持力が、前記復帰ばね3によりボールプランジャ9を凹部16から離脱させようとする力(規制離脱力)より大きく、閉弁動作時において、前記ボールプランジャ9の位置保持力が、前記復帰ばね3及び前記プランジャ押さえばね12が総合して復帰軸2に加える規制離脱力より小さく、且つ、前記弁ばね7のばね力が前記プランジャ押さえばね12のばね力より大きい場合という条件を満たすことが必要となる。
【0030】
当該実施の形態によれば、異常時における閉弁動作の後に不完全な復帰操作が行われたとしても、弁本体6が前記プランジャ押さえばね12の弾性に勝る力で前記プランジャ押さえ11を押し入れることができることによって、ボールプランジャ9の位置保持力が働いた状態においても、弁本体6を確実に閉弁位置(遮断開口部に密着できる位置)に至らせ、ガスの流路の不完全遮断を回避することができる。
【0031】
更に、遮断弁によるガスの供給停止や漏れ防止に万全を期すには、遮断弁が閉弁動作から適正な開弁操作が行われるまでの間に、故意又は過失によりガスの供給が再開されることが無い様にする措置が望まれる。
【0032】
当該要望を満足する構成としては、前記復帰軸2の遮断弁側の端部に、当該復帰軸2の長手方向へ弾性的に進退可能なプランジャ押さえ11を備える構成において、前記復帰軸2に、当該復帰軸の進退に一定長の摺動を伴って追動する封止部材13を備える構成が挙げられる。
【0033】
前記封止部材13は、筒状の気密隔壁17と、プランジャ押さえ11を支持する緩衝ボックス18と、復帰軸2の側面に向けて付勢したボールプランジャ9を備えている。
【0034】
前記気密隔壁17は、弁本体6が封じるガス流路に挿通され、ゴム性シール部材14で当該気密隔壁17・ガス流路間の気密を保持しつつ当該ガス流路から連続する筒状体であって、前記遮断開口部8に対して前記弁本体6の進退長以上の出没を行なう筒状の隔壁である。当該気密隔壁17の先端開口部は、前記弁本体6に密着する気密縁19となり、当該弁本体6及び前記気密隔壁17を以って前記遮断開口部14から突出した遮断壁を構成し、当該弁本体6と前記遮断開口部8との隙間を経たガスの流通を遮断する(図5(C)参照)。
【0035】
前記緩衝ボックス18は、前記プランジャ押さえ11を、復帰軸2の軸方向へ摺動可能に装填し、当該緩衝ボックス18の先端部から突出するプランジャ押さえ11の受圧部が、前記軸方向への摺動に伴って前記気密隔壁17の先端開口部から出没する様に支持すると共に、前記復帰軸2の側面に向けて付勢したボールプランジャ9を備えている。当該緩衝ボックス18に装填されたプランジャ押さえ11は、当該緩衝ボックス18の内空部において、プランジャ押さえばね12により前記弁本体6に向けて付勢されている。
【0036】
先の例と同様に、前記復帰軸2の側面に前記ボールプランジャ9が嵌まる凹部16を備え、前記封止部材13の復帰軸2に対する摺動長を前記弁本体6の進退長未満に制限する規制手段を備えている。前記摺動長が進退長以上では、前記復帰軸2が復帰ばね3によって復帰しても封止部材13がそれに追従してガスの流路に没することができず、開弁状態に復帰しない場合が生じ得るからである。
【0037】
当該例においては、前記規制手段は、前記止め輪15と、その進退に応じて前後に各々当接する前記緩衝ボックス18及び前記復帰軸ボックス1とで構成される。即ち、前記封止部材13に対して、前記弁本体6に向けての前記復帰軸2の摺動を、前記止め輪15が前記緩衝ボックス18にかかる態様で規制し、当該弁本体6から離隔する方向への摺動を、前記ボールプランジャ9が当該復帰軸2の凹部16に嵌まる態様(遮断時にあっては、前記止め輪15が前記復帰軸ボックス1の端部に当接する状態)で規制する。前記封止部材13に止め輪15の摺動長を制限する空隙を設けても良い。
【0038】
前記凹部16の位置は、当該復帰軸2が前記復帰ばね3で前記復帰操作に抗する向きへの付勢状態で前記ボールプランジャ9が嵌まる位置であり、前記操作部の遮断表示マーク10の位置が、当該復帰軸2の凹部16に前記ボールプランジャ9が嵌まった際に当該遮断表示マーク10が前記復帰軸ボックスに隠れ、且つ前記遮断弁の閉弁動作による復帰軸2への押圧を受けて当該復帰軸2の凹部16から前記ボールプランジャ9が離脱し、当該遮断表示マーク10が前記復帰軸ボックス1の外に露出する位置であることを要する。
【0039】
上記構造により、通常状態においては、当該ボールプランジャ9の位置保持力が、前記復帰ばね3が復帰軸2加える規制離脱力を上回っているため、当該ボールプランジャ9を介して一体化した前記封止部材13と復帰軸2が、前記復帰軸ボックス1の端部に当接する位置であって、当該復帰軸2に装着されたキャップ4の遮断表示マーク10が当該復帰軸ボックス1に隠れる位置にまで復帰し定着する(図5(A)参照。)。
【0040】
閉弁動作時においては、当該ボールプランジャ9の位置保持力が、前記復帰軸ばね3及び前記プランジャ押さえばね12が総合して復帰軸2に加える規制離脱力より小さくなるため、当該復帰軸2は、当該封止部材13に対して弁本体から離隔する側へ摺動し、前記キャップ4が当該復帰軸ボックス1から突出し、前記遮断表示マークが露出する(図5(B)参照。)。
【0041】
復帰操作時には、当該復帰軸2は当該封止部材13に対して弁本体6を押し込む側へ摺動し、当該復帰軸2の前記止め輪15を介して当該封止部材13に当接し、そのまま弁本体6を押し込む形で復帰させる。この際、当該ボールプランジャ9が当該復帰軸2の凹部16に嵌まり込む。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によるガスメータの遮断弁の開弁復帰構造は、簡単な構造を以って、種々の産業において用いられているガスの供給を、異常時に確実に停止し、正確な開弁操作が行われるに至るまでガスの流通を遮断することができることから、種々のガス供給システムにおいて重大な事故を未然に防ぐ高い実用性を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1(A)(B)(C)】本発明によるガスメータの遮断弁の開弁復帰構造の一例を示す断面図である。
【図2】本発明によるガスメータの遮断弁の開弁復帰構造の一例を示す断面図である。
【図3(A)(B)(C)】本発明によるガスメータの遮断弁の開弁復帰構造の一例を示す断面図である。
【図4】本発明によるガスメータの遮断弁の開弁復帰構造の一例を示す断面図である。
【図5(A)(B)(C)】本発明によるガスメータの遮断弁の開弁復帰構造の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 復帰軸ボックス,2 復帰軸,3 復帰ばね,4 キャップ,
5 プランジャ,6 弁本体,7 弁ばね,8 遮断開口部,
9 ボールプランジャ,10 遮断表示マーク,
11 プランジャ押さえ,12 プランジャ押さえばね,
13 封止部材,14 ゴム性シール部材,15 止め輪,
16 凹部,17 気密隔壁,18 緩衝ボックス,19 気密縁,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常発生時にガスメータのガスの流路を弁本体で密閉遮断する閉弁動作を行なう遮断弁の開弁復帰構造であって、
閉弁動作時及び復帰操作時において前記遮断弁の弁本体と相互に押圧力を授受し当該弁本体の動作方向に進退する復帰軸と、
当該復帰軸をその進退に応じて遮断表示マーク付きの操作部が出没する様に支持する筒状の復帰軸ボックスと、
当該復帰軸を前記復帰操作に抗する向きへ付勢する復帰軸付勢手段と、
を具備してなり、
前記復帰軸ボックスに前記復帰軸の側面に向けて付勢したボールプランジャを備え、
前記復帰軸の側面に、前記ボールプランジャが嵌まる凹部を備え、
当該凹部の位置は、当該復帰軸が前記復帰軸付勢手段で前記復帰操作に抗する向きへの付勢状態で前記ボールプランジャが嵌まる位置であり、
前記操作部の遮断表示マークの位置が、当該復帰軸の凹部に前記ボールプランジャが嵌まった際に当該遮断表示マークが前記復帰軸ボックスに隠れ、前記遮断弁の閉弁動作による復帰軸への押圧を受けて当該復帰軸の凹部から前記ボールプランジャが離脱した際に当該遮断表示マークが前記復帰軸ボックスの外に露出する位置であるガスメータの遮断弁の開弁復帰構造。
【請求項2】
前記復帰軸の遮断弁側の端部に、当該復帰軸の長手方向へ弾性的に進退可能な緩衝部材を備えた前記請求項1に記載のガスメータの遮断弁の開弁復帰構造。
【請求項3】
異常発生時にガスメータのガスの流路を弁本体で密閉遮断する閉弁動作を行なう遮断弁の開弁復帰構造であって、
閉弁動作時及び復帰操作時において前記遮断弁の弁本体と相互に押圧力を授受し当該弁本体の動作方向に進退する復帰軸と、
当該復帰軸をその進退に応じて遮断表示マーク付きの操作部が出没する様に支持する筒状の復帰軸ボックスと、
当該復帰軸を前記復帰操作に抗する向きへ付勢する復帰軸付勢手段と、
を具備してなり、
前記復帰軸の遮断弁側の端部に、当該復帰軸の長手方向へ弾性的に進退可能な緩衝部材を備え
前記復帰軸に、当該復帰軸の進退に一定長の摺動を伴って追動する封止部材を備え、
前記封止部材は、
弁本体が封じるガス流路と気密を保持して連続し遮断開口部に対して前記弁本体の進退長以上の出没を行なう筒状の気密隔壁、
当該気密隔壁の先端開口部であって前記弁本体に密着する気密縁、
前記緩衝部材を前記機密隔壁の先端開口部から出没する様に支持する緩衝ボックス、
及び、復帰軸の側面に向けて付勢したボールプランジャを備え、
前記復帰軸の側面に、前記ボールプランジャが嵌まる凹部を備え、
当該凹部の位置は、当該復帰軸が前記復帰軸付勢手段で前記復帰操作に抗する向きへの付勢状態で前記ボールプランジャが嵌まる位置であり、
前記操作部の遮断表示マークの位置が、当該復帰軸の凹部に前記ボールプランジャが嵌まった際に当該遮断表示マークが前記復帰軸ボックスに隠れ、前記遮断弁の閉弁動作による復帰軸への押圧を受けて当該復帰軸の凹部から前記ボールプランジャが離脱した際に当該遮断表示マークが前記復帰軸ボックスの外に露出する位置であり、
当該封止部材の復帰軸に対する摺動長を前記弁本体の進退長未満に制限する規制手段を備えるガスメータの遮断弁の開弁復帰構造。

【図1(A)(B)(C)】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3(A)(B)(C)】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5(A)(B)(C)】
image rotate


【公開番号】特開2010−2206(P2010−2206A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159142(P2008−159142)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000222211)東洋ガスメーター株式会社 (34)
【Fターム(参考)】