説明

ガスメータ

【課題】設定電文と非設定電文とを受信する第1通信ポートと、非設定電文を受信する第2通信ポートとをもったガスメータにおいて、一方のポートに外部機器が接続されている場合に他の外部機器を接続して通信を行いたい時、前者の外部機器の配線を外して付け替える必要がないガスメータを提供する。
【解決手段】ガスメータ1は第1通信ポート191で通信電文を受信する第1受信手段161と、第2通信ポート192で通信電文を受信する第2受信手段162と、受信手段161,162で受信した通信電文が設定電文/非設定電文のいずれであるかに係わらず受信した通信電文に対し、共通の解析を行って該通信電文のデータに記された処理を実行し、必要に応じて返信用のデータを生成するデータ解析手段17と、データ解析手段17で生成された返信データを送信元の外部装置2X,2Yに送信する送信手段18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータに関し、より詳細には、2種類以上の通信ポートをもち、通信により外部装置に接続可能なガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガスメータとして、マイコンで制御される所謂マイコンメータが使用されている。このマイコンメータには、その流量計測値(積算値,瞬時値)のデータ、ガス遮断や各種警報に関する履歴情報のデータ、ガスメータにおいて各種設定値を設定するためのデータなどを、通信によりやりとりする外部装置が接続可能となっている。また、これらのデータは、電文によりデータ通信される。そして、このデータ通信に関しては、日本ガスメーター工業会においてマイコンメータの接続端子及びその通信電文のフォーマットが統一規格として定められている。マイコンメータとしては、液化石油ガス用マイコン型流量検知式自動ガス遮断装置(II型),液化石油ガス用マイコン型流量検知式自動ガス遮断装置(L型),液化石油ガス用マイコン型流量検知式自動ガス遮断装置(C型),液化石油ガス用マイコン型流量検知式自動ガス遮断装置(B型),液化石油ガス用マイコン型流量検知式自動ガス遮断装置(S型),液化石油ガス用マイコン型流量検知式自動ガス遮断装置(SB型)の各型の保安ガスメータがある。
【0003】
このうち、例えばS型であれば、この規格では6種類の接続端子を保有するものとなっている。6種類の接続端子は、いずれも外部装置に接続する端子であり、ガス漏れ警報器等の警報器に接続する端子(A端子)、第2のガス漏れ警報器,CO警報器等の外部機器に接続する第1の端子(B1端子)、自動切替調整器,自己診断調整器等の外部機器に接続する第2の端子(B2端子)、網制御装置(以下、NCUという)に接続しNライン通信を行うための端子(C端子:DT端子及びSG端子)、弁開閉信号の入力及び弁開閉通信を行う端子(D端子)、及び共通線を接続する端子(E端子:FG端子)よりなる。ここで、D端子は、例えば宅内操作器におけるスイッチ信号を入力すること、及びHライン通信を行うことが可能となっており、弁開信号を入力する端子、弁閉信号を入力する端子、及び共通端子(Common端子)により構成される。
【0004】
S型のマイコンメータに限らず、上述したII,L,C,B,SBの各型のマイコンメータは、接続端子にNライン通信を行う端子が具備されており、また、S型,SB型のマイコンメータは、接続端子にHライン通信を行う端子が具備されている。なお、Nラインとは、メータのDT,SG端子に「Network Control Unit」を接続することから、Hラインとは、メータの弁開閉端子のDT,SG端子に「Home Controller」を接続することから、それぞれ命名されている。そして、Nライン通信端子には、NCUが接続されることでガスメータとガス検針センタとを電話回線で接続し、或いは、設定器が接続されることでガスメータ内のマイクロコンピュータの制御に係わる設定を行う。一方、Hライン通信端子には、宅内操作器が接続されることで宅内から遮断弁の開閉操作を行う。
【0005】
図5は、従来技術によるマイコンメータにおけるデータ通信処理を説明するためのフロー図である。マイコンメータにおいて、Nライン通信とHライン通信とは、それぞれ別のポートで行われ、Nライン通信はマイコンメータにおける設定を実行するための設定電文を受信・処理し、Hライン通信は設定等のマイコンメータにおけるマイコン内のメモリへの書き込む必要を生ずるような設定電文の通信は許可せず、単に検針データを返信するなどメモリへの書き込みを必要としないような電文の通信のみを行う。従って、マイコンメータにおけるデータ通信処理は次のようになる。
【0006】
まず、マイコンメータのマイコンは、外部装置から送信されたデータを、Nライン通信端子又はHライン通信端子からインタフェースを介して受信する(ステップS11)。次に、受信したデータがNライン通信端子,Hライン通信端子のいずれの端子から受信されたものであるかを判定する(ステップS12)。ステップS12においてNライン通信端子からの受信であると判定された場合には、データOK処理を実行する(ステップS13)。一方、ステップS12においてHライン通信端子からの受信であると判定された場合には、データ判定を行う(ステップS14)。ステップS14におけるデータ判定では、上述のごとくマイコンにおいて書き込みを生ずるような設定電文か否かを判定する。ここで、マイコンで書き込み不要な電文であればデータOK処理を行う(ステップS13)。一方、マイコンで書き込みを生ずるような設定電文であった場合、エラー情報の抽出などのデータNG処理を行う(ステップS15)。ステップS13の後は、データ解析を実行する(ステップS16)。このデータ解析では、受信したデータに対し、そのデータに示された処理を実行し、必要に応じて外部装置への返信データを生成する。なお、返信データは、単にデータの抽出などで済む場合もあり、そのような場合も含め、返信データの生成とする。ステップS16の後、生成された返信データを、受信元の外部装置に送信して(ステップS17)、処理を終了する。また、ステップS17においては、ステップS15でデータNG処理を行った場合にはエラー情報を受信元の外部装置に送信し、ステップS14,S13を経てデータOK処理を行って返信するデータが無い場合でも処理完了のデータをデータOK処理で作成しておきそれを受信元の外部装置に送信するようにしてもよい。
【0007】
また、上述のごときガスメータに対し、Nライン通信,Hライン通信を利用してガスメータと接続する端末用伝送装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の端末用伝送装置は、予め余分のポートを設けることなく、機器の接続構成を多くとることを目的としたものである。また、ガス課金装置において通信ポートとして既設のNライン又はHラインを使用することも提案されている(例えば、特許文献2を参照)。さらに、ガスメータの種別を識別する機能をもち、メータの機能を設定する設定器も提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【特許文献1】特開2000−151564号公報
【特許文献2】特開平11−132827号公報
【特許文献3】特許第3525994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ガスメータの通信端子に接続される外部装置は、通信端子により機能の制約がある。従来のHライン通信端子に接続される宅内表示盤などは、宅内のガス使用者が遮断弁の開閉操作を行う機能と限定していたため、Hライン通信端子で受信されマイコン制御部で行われるデータ解析処理も限定されている。従って、例えばガスメータの機能を設定する設定器は、Nライン通信端子にしか接続できず、Nライン通信端子にNCU等の他の外部装置が接続されていた場合には、接続できる端子が無く、NCU等の他の外部装置をNライン通信端子から取り外して設定器に付け替える必要がある。
【0009】
このような作業は、ガス事業者にとっては、非常に煩わしい作業であり、作業効率を低下させるものである。さらに、誤配線などの通信トラブルを招く恐れもあり、品質確保の点でも問題がある。
【0010】
上述のごとき課題は、Nライン通信端子とHライン通信端子とのように、ガスメータ内の設定値を変更(書き込み)可能な設定電文を主として受信する端子と書き込みを必要としない通信電文を受信する端子とが具備されたガスメータに対して生ずるものであり、一方の端子に外部機器が接続されている場合に他の外部機器を接続して通信を行いたい時、一方の端子に接続されている外部機器の配線を外して付け替える必要があり、ガス事業者の作業効率が低下したり、通信トラブル等により品質確保できないといった問題がある。
【0011】
本発明は、上述のごとき実情を鑑みてなされたものであり、ガスメータへの設定値の書き込みを必要とする通信電文である設定電文と書き込みを必要としない非設定電文とを受信する第1通信ポートと、非設定電文を受信する第2通信ポートとをもったガスメータにおいて、一方のポートに外部機器が接続されている場合に他の外部機器を接続して通信を行いたい時、一方のポートに接続されている外部機器の配線を外して付け替える必要がないガスメータを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述のごとき課題を解決するために、以下の各技術手段により構成される。
第1の技術手段は、少なくとも2種類の通信ポートをもち、通信により外部装置と接続可能なガスメータであって、前記2種類の通信ポートは、当該ガスメータにおける設定を行って当該ガスメータへの設定値の書き込みを必要とする通信電文である設定電文と書き込みを必要としない通信電文である非設定電文とを受信する第1通信ポートと、前記非設定電文を受信する第2通信ポートとからなり、当該ガスメータは、前記第1通信ポートで通信電文を受信する第1受信手段と、前記第2通信ポートで通信電文を受信する第2受信手段と、前記第1受信手段で受信した通信電文及び前記第2受信手段で受信した通信電文が設定電文であるか非設定電文であるかに係わらず、受信した通信電文に対し、共通の解析を行って該通信電文のデータに記された処理を実行し、必要に応じて返信用のデータを生成するデータ解析手段と、該データ解析手段で生成された返信データを、前記第1受信手段又は第2受信手段で受信した通信電文の送信元である外部装置に送信する送信手段と、を備えたことを特徴としたものである。
【0013】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記第1通信ポートをNラインの通信ポートとし、前記第2通信ポートをHラインの通信ポートとすることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ガスメータへの設定値の書き込みを必要とする通信電文である設定電文と書き込みを必要としない非設定電文とを受信する第1通信ポートと、非設定電文を受信する第2通信ポートとをもったガスメータにおいて、ガスメータに接続される外部装置が第1通信ポート/第2通信ポートのいずれからの入力であるか及び通信電文が設定電文/非設定電文のいずれであるかを問わず、通信電文内のデータが記した処理を実行し、必要に応じてその外部装置へ返信することが可能となり、従って、一方のポートに外部機器が接続されている場合に他の外部機器を接続して通信を行いたい時、一方のポートに接続されている外部機器の配線を外して付け替える必要がなくなる。また、本発明によれば、付け替えが必要ないので、ガス事業者の作業効率低下を防止することや、通信トラブル等を防いで品質を確保することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るガスメータの一構成例を示す図で、一般的なマイコンメータの一構成例を示す図でもある。図1において、1はガスメータ、2は外部装置、10は制御部、11は計量部、12はセンサ部、13は表示部、14は遮断部、15は端子台、21は宅内操作器、22はNCU、23はガス洩れ警報器、24は外部1機器(外部端子1の機器)、25は外部2機器(外部端子2の機器)であり、10aはマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)、10bはインタフェース、10cは電池、10dはテスト遮断スイッチ、10eは容器リセットスイッチ、11aは計量機能、12aは電圧検出センサ、12bは流量センサ、12cは圧力センサ、12dは感震器、13aは積算表示機能、13bはセキュリティ表示機能、14aは双方向遮断弁、14bは遮断弁開スイッチである。
【0016】
ガスメータ1は、ガスメータ1における各種制御を行う制御部10、ガス流量を計量すする計量部11、センサ部12、表示部13、及び遮断部14を備え、さらに、外部装置2との接続を行う端子台15を備える。
【0017】
計量部11は、ガス流量に応じた回転体の回転数又は流体振動を出力する計量機能11aからなる。また、センサ部12は、ガス流量やセキュリティに関係する物理量を検出するセンサ類からなり、電池10cの電圧を検出する電圧検出センサ12a、計量機能11aの出力を検出する流量センサ12b、ガス圧力低下などガス圧力を検知する圧力センサ12c、地震波等の振動を検知する感震器12d等から構成されている。なお、流量センサ17は、流量を検出するためのセンサで、勿論、流速センサであってマイコン10aにて流量に演算するものであってもよいし、流量演算器(流量変換器)を介してマイコン10aに流量を送信するものであってもよい。
【0018】
また、制御部10は、主として、取り込まれたセンサの信号を演算処理して処理データを収納し、表示部13に出力したり端子台15を介して外部に出力するもので、マイコン10a、インタフェース10b、電源となる電池10c、双方向遮断弁14aが正常に機能するかをテストするためのテスト遮断スイッチ10d、容器リセットスイッチ10e等から構成されている。なお、電池12は少なくとも制御部10の電源となるものである。また、マイコン10aは、流量センサ12bへ命令し流量センサ12bからの流量検出信号に基づいて流量を計測して積算する処理を行う電子制御装置であり、演算処理をするMPUと、それら各手段としてMPUを機能させるためのプログラムを記録し処理データを記録するメモリとで構成される。
【0019】
また、表示部13は、制御部10により処理されたデータを所定のプログラムまたは外部からの指令に従って表示するLCD(液晶表示器)等の表示装置であり、ガス流量の積算表示機能13a,セキュリティ表示機能13b等をもっている。また、遮断部14は、センサ部12の信号による異常等が生じたとき、制御部10のマイコン10aからの命令により制御弁を遮断するもので、制御弁としての双方向遮断弁14a,遮断弁開スイッチ14b等とから構成されている。
【0020】
一方、外部装置2は、端子台15を介してガスメータ1の外部に接続される機器類であり、例えば、宅内でガスメータ1の操作を行う宅内操作器21、ガスメータ1との間で発呼,選択信号の送出,切断など電話交換網を制御するNCU22、ガスメータ1におけるガス洩れを警報するガス洩れ警報器23、及びハンディターミナルやPC(パーソナルコンピュータ)等、その他の外部機器(ここでは外部1機器24及び外部2機器25)が設けられている。
【0021】
NCU22は、ガスメータ1の通信機能(自動通報,遠隔遮断,自動検針など)を行うためガス検針センタなどとガスメータ1を電話回線で接続する機器であり、電話機とガスメータ1を自動的に切り替えてガスメータ1のデータの送受信を行う。NCU22は通常、Nライン通信端子(Nライン通信ポート)に接続される。ハンディターミナルやPCは、検針器や設定器として用いられるものであり、Nライン通信ポート,Hライン通信ポートを含め、いずれのポートに接続してもよい。設定器は、設置されているガスメータの設定変更や確認などを行う。設定,確認が行われる項目には、継続使用時間設定、口火登録などあるが、ガス事業者の運用形態によりその仕様は決定される。このように、詳細は後述するが、本発明におけるNライン通信ポートは、電文によりデータの送受信が可能な端子で、NCUや設定器等と接続して通信を行うポートとなっており、本発明におけるHライン通信ポートは、電文設定により宅内表示盤と接続され、宅内から遮断弁の開閉操作を行う遠隔弁開閉用端子をもつが、さらに設定電文の受信も可能とし設定器やNCU等にも接続可能とする。
【0022】
以上のように構成されたガスメータ1が、ガスラインに設置され、遮断弁開スイッチ14bがON(閉路)されると、自己保持により弁開を継続し、ガス流量計測が開始される。内蔵された圧力センサ12cにより検知された圧力データは、制御部10に取り込まれて演算処理され、定められたプログラムに従って上述した圧力センサ12cに与えられたセキュリティ機能を判断して計測を継続するか、遮断弁を閉止し、警報を発するか等が指令される。現在のガス圧力を計測する場合は、遮断弁開スイッチ14bを押すことにより、所定時間、例えば10秒間現在のガス圧を表示部13に表示することができる。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態に係るガスメータにおける通信手段を説明するためのブロック図で、図中、1はガスメータ、2Xは外部装置X、2Yは外部装置Y、161は第1受信手段、162は第2受信手段、17はデータ解析手段、18は送信手段、191は第1通信ポート、192は第2通信ポートである。
【0024】
本発明に係るガスメータ1は、少なくとも2種類の通信ポートをもち、通信により外部装置2と接続可能であることを前提とし、第1受信手段161,第2受信手段162,データ解析手段17,送信手段18を備えるものとする。
【0025】
ここで、2種類の通信ポートとは、第1通信ポート191,第2通信ポート192を指す。第1通信ポート191は、ガスメータ1における設定を行ってガスメータ1への設定値の書き込みを必要とする通信電文である設定電文と書き込みを必要としない通信電文である非設定電文とを受信するポートである。非設定電文は、例えばガスメータ1におけるマイコンのメモリの設定値や計測値等を読んで返すだけの電文である。一方、第2通信ポート192は、非設定電文を受信するポートである。また、通常のガスメータの規格に合わせ、第1通信ポート191をNラインの通信ポートとし、第2通信ポート192をHラインの通信ポートとすることが好ましい。
【0026】
また、第1受信手段161は、第1通信ポート191で通信電文を受信する手段であり、第2受信手段162は、第2通信ポート192で通信電文を受信する手段である。上述のごとく、第1通信ポート191は設定電文と非設定電文の両方を受信するポートであり、第2通信ポート192は非設定電文だけを受信するポートであるが、本発明においては、このような2つのポートをもつことを前提としながら、第2通信ポート192で設定電文を受信した場合でも、第2受信手段162で受信処理を可能としたものである。
【0027】
そのため、データ解析手段17は、第1受信手段161で受信した通信電文及び第2受信手段162で受信した通信電文が設定電文であるか非設定電文であるかに係わらず、受信した通信電文に対し、共通の解析を行って該通信電文のデータに記された処理を実行し、必要に応じて返信用のデータを生成する。そして、送信手段18は、データ解析手段17で生成された返信データを、第1受信手段161又は第2受信手段162で受信した通信電文の送信元である外部装置2X,2Yに送信する。ここでは、外部装置2Xにより送信され第1通信ポート191から第1受信手段161で受信したものの返信は外部装置2Xへ行い、外部装置2Yにより送信され第2通信ポート192から第2受信手段162で受信したものの返信は外部装置2Yに送信する。
【0028】
図3は、図2のガスメータにおける各構成要素を図1で例示したガスメータの構成要素で表した図で、図中、15aはNライン通信ポート、15bはHライン通信ポートであり、その他、図1と同じ構成要素には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0029】
また、上述した第1受信手段161,第2受信手段162,データ解析手段17,送信手段18は、図1におけるマイコンメータ1においては、マイコン10aのROM等のメモリに格納された受信プログラム,データ解析プログラム,送信プログラム(或いはそれらの回路)及びそれを実行するCPUやインタフェース(インタフェース回路)10bによって構成されることとなる。第1通信ポート191,第2通信ポート192は、端子台15に備えられたポートであり、それぞれ、図3におけるNライン通信ポート15a,Hライン通信ポート15bで例示できる。Nライン通信ポート15aはDT端子とSG端子よりなる。一方、Hライン通信ポート15bは、基本的には弁制御用のポートであり、開信号を入力する端子,閉信号を入力する端子,それらの共通端子からなるが、本発明においては弁制御用としてだけではなく、設定器やNCUなど、設定電文のやり取りも可能なよう、マイコン10a側で制御している。
【0030】
図4は、図2及び図3のガスメータにおける通信処理の一例を説明するためのフロー図である。
通信処理は、まず、外部装置2X(/2Y)のデータ送信手段によって送信されたデータを受信することで開始される(ステップS1)。ステップS1に続き、そのデータを解析する(ステップS2)。ここでの解析は、データ解析手段17として上述した解析であり、マイコン10aでは、図5で説明した従来技術におけるステップS12〜S15のデータ判定を実行しない。そして、受信元の外部装置2X(/2Y)に対し、ステップS2における解析結果としての返信データを送信する(ステップS3)。
【0031】
以上、本発明に係るガスメータにおいては、ガスメータへの設定値の書き込みを必要とする通信電文である設定電文と書き込みを必要としない非設定電文とを受信する第1通信ポートと、非設定電文を受信する第2通信ポートとをもったガスメータにおいて、ガスメータに接続される外部装置が第1通信ポート/第2通信ポートのいずれからの入力であるか及び通信電文が設定電文/非設定電文のいずれであるかを問わず、通信電文内のデータが記した処理を実行し、必要に応じてその外部装置へ返信することが可能となる。すなわち、本発明では、第2ポートからも設定電文を受信してその電文内のデータが示す処理を実行し、必要に応じてその外部装置への返信することが可能となる。従来、設定器はNライン通信端子にしか接続できなかったが、本発明では、例えば、Hライン通信端子に接続可能なようにマイコン制御部を設定することで、Nライン通信端子がNCUと接続されていてもHライン通信端子を使用して設定器との接続が可能となる。すなわち、外部機器との通信機能を有するガスメータにおいて、例えば、Hライン通信端子に接続した外部機器により、Nライン通信端子に接続した場合と同様の通信機能を実現可能とすることができる。
【0032】
このように、本発明では、通信ポートを問わず、取り扱うデータの種類を問わず、外部装置への返信を可能とし、従って、一方のポートに外部機器が接続されている場合に他の外部機器を接続して通信を行いたい時、一方のポートに接続されている外部機器の配線を外して付け替える必要がなくなり、ガス事業者の作業効率低下を防止することや、誤配線による通信トラブル等の品質低下を防ぐことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係るガスメータの一構成例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るガスメータにおける通信手段を説明するためのブロック図である。
【図3】図2のガスメータにおける各構成要素を図1で例示したガスメータの構成要素で表した図である。
【図4】図2及び図3のガスメータにおける通信処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図5】従来技術によるマイコンメータにおけるデータ通信処理を説明するためのフロー図である。
【符号の説明】
【0034】
1…ガスメータ、2…外部装置、2…外部装置X、2…外部装置Y、10…制御部、10a…マイクロコンピュータ(マイコン)、10b…インタフェース、10c…電池、10d…テスト遮断スイッチ、10e…容器リセットスイッチ、11…計量部、11a…計量機能、12…センサ部、12a…電圧検出センサ、12b…流量センサ、12c…圧力センサ、12d…感震器、13…表示部、13a…積算表示機能、13b…セキュリティ表示機能、14…遮断部、14a…双方向遮断弁、14b…遮断弁開スイッチ、15…端子台、15a…Nライン通信ポート、15b…Hライン通信ポート、161…第1受信手段、162…第2受信手段、17…データ解析手段、18…送信手段、191…第1通信ポート、192…第2通信ポート、21…宅内操作器、22…網制御装置(NCU)、23…ガス洩れ警報器、24…外部1機器、25…外部2機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種類の通信ポートをもち、通信により外部装置と接続可能なガスメータであって、前記2種類の通信ポートは、当該ガスメータにおける設定を行って当該ガスメータへの設定値の書き込みを必要とする通信電文である設定電文と書き込みを必要としない通信電文である非設定電文とを受信する第1通信ポートと、前記非設定電文を受信する第2通信ポートとからなり、当該ガスメータは、前記第1通信ポートで通信電文を受信する第1受信手段と、前記第2通信ポートで通信電文を受信する第2受信手段と、前記第1受信手段で受信した通信電文及び前記第2受信手段で受信した通信電文が設定電文であるか非設定電文であるかに係わらず、受信した通信電文に対し、共通の解析を行って該通信電文のデータに記された処理を実行し、必要に応じて返信用のデータを生成するデータ解析手段と、該データ解析手段で生成された返信データを、前記第1受信手段又は第2受信手段で受信した通信電文の送信元である外部装置に送信する送信手段と、を備えたことを特徴とするガスメータ。
【請求項2】
前記第1通信ポートをNラインの通信ポートとし、前記第2通信ポートをHラインの通信ポートとすることを特徴とする請求項1に記載のガスメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−17511(P2006−17511A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193687(P2004−193687)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】