説明

ガス使用量計量システム及びガスメータ

【課題】 設備コストが嵩まず、複数の料金体系が混在するガス流通路において燃料ガスの正確な使用料金の算出が行なえるガス使用量計量システム及び装置の提供。
【解決手段】 ガス流通路へ流入したプロパンガスの総消費量を計る保安機能を搭載した保安計量ガスメータと、前記ガス流通路から流入したプロパンガスを消費するガス器具と、前記ガス流通路に付設され前記ガス器具にプロパンガスを供給するためのガスチューブを連結するガスコンセントと、前記ガスチューブで結ばれた前記ガス器具と前記ガスコンセントとの間に介在し当該ガス器具へ流入するプロパンガスの消費量を計る計量専用ガスメータと、からなるガス使用量計量システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスの使用量計量システム及び装置に関し、単位使用量当たりの料金が異なる種々のガス器具が混在するガス流通路において、各ガス器具のガス使用量に応じて各ガス器具の料金体系に応じたガス使用量を算出するシステム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギーの規制緩和が進み、燃料ガス、電気、又は石油等のエネルギー競争が激化するなか、燃料ガスについては、厨房に関する需要については、利便性等の点で競争力が高いものの、ストーブ等の暖房器具による需要については、維持費の低廉な石油器具が多く使用されている。ガス販売事業者とすれば、競争力の高い厨房に関する需要を維持すると共に、競争力の弱い暖房器具に対するガス料金を下げることで、燃料ガスの消費量を増加させたいと考えている。
【0003】
従来は、上記の如く単位使用量当たりの料金が異なる種々のガス器具が混在するガス流通路について、単一のガスメータにて計量する手法が採られており、当該ガスメータ、又は所定のガス機器を使用した時のガス流量の変化を検出するガス流量変化センサを以ってガス流量の変化を検出し、当該ガス流量変化時で区切られる時間とガスメータから得た流量から、当該時間内における所定のガス器具のガス使用量を算出する手法が採られていた(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−318407号公報
【特許文献2】特許第3466020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の手段にあっては、ガスの流量調整が行なわれている実情の下、いずれのガス器具が用いられているかは推定の域を出ず、燃料ガスの使用料金の算出は極めて不正確であった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、設備コストが嵩まず、複数の料金体系が混在するガス流通路において燃料ガスの正確な使用料金の算出が行なえるガス使用量計量システム及び装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為になされた本発明によるガス使用量計量システムは、ガス流通路へ流入したプロパンガスの総消費量を計る保安機能を搭載した保安計量ガスメータと、前記ガス流通路から流入したプロパンガスを消費するガス器具と、前記ガス器具と前記保安計量ガスメータとの間に介在し当該ガス器具へ流入するプロパンガスの消費量を個別に計測する計量専用ガスメータとからなることを特徴とする。前記ガス流通路の上流の保安計量ガスメータに搭載された保安機能の存在により、計量機能のみを有する計量専用ガスメータを個別器具専用ガスメータとして設置した際の保安が確保でき、ガス器具の消費量を正確に計測でき、且つシステム全体の設備コストのアップを軽減することができる。
【0008】
ガス流通路へ流入したプロパンガスの総消費量を計る保安機能を搭載した保安計量ガスメータと、前記ガス流通路から流入したプロパンガスを消費するガス器具と、前記ガス流通路に付設され前記ガス器具にプロパンガスを供給するためのガスチューブを連結するガスコンセントと、前記ガスチューブで結ばれた前記ガス器具と前記ガスコンセントとの間に介在し当該ガス器具へ流入するプロパンガスの消費量を計る計量専用ガスメータと、からなるガス使用量計量システムとして構成してもよい。
【0009】
室内において各ガス器具によるプロパンガスの消費量を確認する便宜として、前記計量専用ガスメータに、プロパンガスの消費量を表示するカウンタを設けても良く、屋外において各ガス器具によるプロパンガスの消費量を確認する便宜として、前記計量専用ガスメータに、プロパンガスの消費量を示す情報を無線通信により屋外へ送信する送信機を備え、且つ屋外に、前記送信機から送られたプロパンガスの消費量を示す情報を受信する受信機と、受信した情報を表示するカウンタを備えても良い。
【0010】
上記ガス使用量計量システムに用いるガスメータとしては、配管工事を伴うことなくシステムの構築が行えるように、ガス取り入れ口にガスチューブを装着するスリーブ、又はガスコンセントに装着する継ぎ手を備え、流通するプロパンガスの量を計測するガスメータを用いれば都合が良い。屋内における指針確認の便宜にプロパンガスの消費量を表示するカウンタを設けてもよく、屋外における指針確認の便宜にプロパンガスの消費量を示す情報を無線通信により屋外へ送信する送信機を備えても良い。
【発明の効果】
【0011】
ガス流通路へ流入したプロパンガスの総消費量を計る保安機能を搭載した保安計量ガスメータと、前記ガス流通路から流入したプロパンガスを消費するガス器具と、前記ガス器具と前記保安計量ガスメータ又はガスコンセントとの間に介在し、当該ガス器具へ流入するプロパンガスの消費量を計る計量専用ガスメータとからなるガス使用量計量システムによれば、プロパンガスの正確な使用料金の算出が行なえるにも関らず、上流に保安機能を搭載した保安計量ガスメータが設置されているので、ガスの計量機能のみのガスメータを設置すれば全体のトータル設備コストのアップ分を軽減できる。
【0012】
ガス流通路へ流入したプロパンガスの総消費量を計る保安機能を搭載した保安計量ガスメータと、前記ガス流通路から流入したプロパンガスを消費するガス器具と、前記ガス流通路に付設され前記ガス器具にプロパンガスを供給するためのガスチューブを連結するガスコンセントと、前記ガスチューブで結ばれた前記ガス器具と前記ガスコンセントとの間に介在し当該ガス器具へ流入するプロパンガスの消費量を計る計量専用ガスメータと、からなるガス使用量計量システムとして構成すれば、例えば、ガスストーブ等のガス器具を、ガスコンセントとガスコードで接続している場合に、ガスコンセントとガス器具との間に容易に接続でき、配管工事がいらないことで設備コストを低く抑えることができる。
【0013】
前記計量専用ガスメータに、プロパンガスの消費量を表示するカウンタを設けた構成を採ることによって、室内に設置した各ガス器具についてのプロパンガスの消費量を手軽に確認することができる。
【0014】
前記計量専用ガスメータに、プロパンガスの消費量を示す情報を無線通信により屋外へ送信する送信機を備え、屋外に、前記送信機から送られたプロパンガスの消費量を示す情報を受信する受信機と、受信した情報を表示するカウンタを備える構成を採用することにより計量専用ガスメータの屋外での検針が可能となる。
【0015】
ガス取り入れ口にガスチューブを装着するスリーブ、又はガスコンセントに装着する継ぎ手を備え、流通するプロパンガスの量を計測するガスメータであれば、上記システムを構築する際にガスコンセントとガス器具との間に容易に接続でき、配管工事がいらないことで設備コストを低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明によるガス使用量計量システム及びガスメータの実施の形態を図面に基づき説明する。
図1に示す例は、プロパンガスを使用する一般家屋におけるガス使用量計量システムの一例を示したものである。
【0017】
当該例におけるガス流通路は、プロパンガスの燃料タンク1から主管2を引き出し、当該主管2から当該家屋の内外における所定の箇所へ枝管3を配し、その屋外の枝管3に、当該枝管3からプロパンガスを取り出す為のガスコンセント4を設けたものである。前記主管2には、当該ガス流通路へ流入したプロパンガスの総消費量を計るべく保安計量ガスメータ5を介在し、所定のガス器具6を接続するガスコンセント4には、計量専用ガスメータ7を接続する。
【0018】
前記保安計量ガスメータ5には、プロパンガスの流量を検出する計量手段と、異常検出時にプロパンガスの流通を遮断する保安手段の双方を備えるガスメータであって、例えば、特開2005−61864号公報に開示のガスメータ(メータA)を用いる。
【0019】
前記計量専用ガスメータ7は、プロパンガスの流量を検出する計量手段や積算部による計量機能のみを有するガスメータを用いてコストの削減を図り、例えば、前記メータAから保安手段を取り除いた構成のガスメータ(メータa)、又は特開2003−14521号公報に記載のガスメータ(メータB)その他のガスメータを適宜用いる。当該例における計量専用ガスメータ7は、室内における美観に配慮し、当該ガスメータ7の積算部(カウンタ8)以外を、表面に造形を施した樹脂のカバー9で覆ってある(図3参照)。
【0020】
当該計量専用ガスメータ7は、ガス取入口にガスチューブを装着するスリーブ10を備え、当該スリーブ10に装着されるガスチューブ11を通じてガス流通路のプロパンガスを計量専用ガスメータ7に取り入れる。また、ガス排出口にも、同様のスリーブ12を備え、当該スリーブ12に装着されるガスチューブ13を通じて、前記ガス取入口から流入したプロパンガスをガス器具6に供給する。当該計量専用ガスメータ7を流通するプロパンガスの量を前記計量手段で検出し前記カウンタ8にプロパンガスの消費量として表示する。
【0021】
前記計量専用ガスメータ7のガス取入口又はガス排出口には、前記スリーブ10,12の換わりに、前記ガスコンセント4又はガス器具6のガス取入口に直接接続する継ぎ手(図示省略)を備える構成としても良く、前記ガス取入口又はガス排出口のスリーブ10,12に、継ぎ手部材14を着脱可能に装着しても良い。その際、屋内のガスコンセント4の周辺や、ガス器具へ容易にガスメータを固定できる様に、フック等の定着部材を予め付設した構造としても良い。
【0022】
屋外において前記計量専用ガスメータ7の検針を行なうためには、前記計量専用ガスメータ7に、プロパンガスの消費量を示す情報を無線通信により屋外へ送信する送信機を備えた構成とする。例えば、前記メータAに、計量手段で検出した情報を数値データ化する変換手段と、当該数値データを無線信号化する変調手段を備えた通信手段を付設し送信機とする。
【0023】
その際、屋外に、前記送信機から送られたプロパンガスの消費量を示す情報を受信する受信機15と、受信した情報を表示するカウンタ16を備える。前記受信機15は、前記送信機から送信された無線信号を数値データ化する復調手段を付設したものである。前記カウンタ16は、復調手段で数値データ化された数値データをプロパンガスの消費量として表示する。これによって、ガス販売事業者が、顧客宅へ入ることなく、屋外から単位使用量当たりに特定料金が設定されたガス器具のプロパンガスの消費量の情報を正確に得ることができる。
【0024】
尚、当該例における前記ガスコンセント4には、例えば、特開平6−58443号公報、又は特開平11−294755号公報に開示されている様に、ガス流通路からガスを取り出す弁を備えた屋内ガス流通路、又はガス機器に設けられたポートであって(例えば図2(B)参照)、継ぎ手等の接続具の押し棒が前記弁の円筒栓をスライドさせ、接続されたガス経路へガスを供給し、接続具を外すとスプリングの力により前記弁の円筒栓が自動的に押し戻されてガスが止まる仕組みのものを用いる。中には、前記弁を手動で開閉するものもあり、万一、ゴム管が外れてもヒューズが働いてガスは止まる保安機構を有するものもあり、設置箇所に応じてそれらを適宜選択して用いれば良い。
【0025】
前記スリーブとは、ホースエンドとも呼ばれることもあり、ガスチューブの内空部へ圧入し得る形状を持ち、相連結した双方を外れ止めバンド等の締結部材で当該スリーブとガスチューブとを強固に接続して使用するものを言う。当該例におけるスリーブは、ガスチューブの内部に圧入し得る波状の側面を有するスリーブ10,12を用いている(図3参照)。
【0026】
継ぎ手とは、仕様の異なる管路を接続する構造であって、例えば、一方に前記ガスコンセント、スリーブ、又はガスチューブ等に対する接続具の構造を備えつつ、他方にそれらとは異なるものに接続する構造を備えた構造を有するものを言い、継ぎ手部材とは、そういった構造を有する部材を言う。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によるガス使用量計量システム及びガスメータは、設備コストが嵩まず、複数の料金体系が混在するガス流通路において燃料ガスの正確な使用料金の算出が行なえることから、特定のガス器具の燃料ガスの消費量を検出するのみならず、集合住宅における各住宅、或いは一躯体における各エリア毎の消費量を検出し、また、それら毎に異なる料金体系を採用するといった柔軟な料金サービスを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明によるガス使用量計量システムの一例を示す構成図である。
【図2(A)(B)】本発明によるガス使用量計量システム及びガスメータの実施態様例を示す斜視図である。
【図3】本発明によるガスメータの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 燃料タンク,2 主管,3 枝管,4 ガスコンセント,
5 保安計量ガスメータ,6 ガス器具,
7 計量専用ガスメータ,8 カウンタ(計量専用ガスメータ),9 カバー,
10 スリーブ(取入口),11 ガスチューブ(取入口),
12 スリーブ(排出口),13 ガスチューブ(排出口),
14 継ぎ手部材,15 受信機,16 カウンタ(屋外),

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流通路へ流入したプロパンガスの総消費量を計る保安機能を搭載した保安計量ガスメータと、
前記ガス流通路から流入したプロパンガスを消費するガス器具と、
前記ガス器具と前記保安計量ガスメータとの間に介在し当該ガス器具へ流入するプロパンガスの消費量を個別に計測する計量専用ガスメータとからなり、
前記ガス流通路の上流の保安計量ガスメータに搭載された保安機能の存在により、計量機能のみを有する計量専用ガスメータを個別器具専用ガスメータとして設置した際の保安が確保でき、ガス器具の消費量を正確に計測でき、且つシステム全体の設備コストを軽減できるガス使用量計量システム。
【請求項2】
ガス流通路へ流入したプロパンガスの総消費量を計る保安機能を搭載した保安計量ガスメータと、
前記ガス流通路から流入したプロパンガスを消費するガス器具と、
前記ガス流通路に付設され前記ガス器具にプロパンガスを供給するためのガスチューブを連結するガスコンセントと、
前記ガスチューブで結ばれた前記ガス器具と前記ガスコンセントとの間に介在し当該ガス器具へ流入するプロパンガスの消費量を計る計量専用ガスメータと、
からなるガス使用量計量システム。
【請求項3】
前記計量専用ガスメータに、プロパンガスの消費量を表示するカウンタを設けた前記請求項1又は請求項2のいずれかに記載のガス使用量計量システム。
【請求項4】
前記計量専用ガスメータに、プロパンガスの消費量を示す情報を無線通信により屋外へ送信する送信機を備え、
屋外に、前記送信機から送られたプロパンガスの消費量を示す情報を受信する受信機と、受信した情報を表示するカウンタを備える前記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガス使用量計量システム。


【図1】
image rotate

【図2(A)(B)】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−288092(P2009−288092A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141309(P2008−141309)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年12月17日 石油化学新聞社発行の「プロパン・ブタンニュース」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年12月18・25日 株式会社石油産業新聞社発行の「プロパン産業新聞」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年1月16日 株式会社ガスエネルギー新聞発行の「ガスエネルギー新聞」に発表
【出願人】(000222211)東洋ガスメーター株式会社 (34)
【Fターム(参考)】