ガス分析装置の校正方法
【課題】多種類のガスを検出対象とするガス分析装置の校正を、入手し易いガスにより正確に行うことが可能なガス分析装置の校正方法を提供する。
【解決手段】被測定ガスG中の検出ガスの濃度を検出する検出手段1と、検出ガスの濃度の情報を分析する分析手段2とを備えたガス分析装置10を、校正ガスを用いて校正する方法であって、ガスセンサ素子11として、固体電解質から構成されるとともに、拡散抵抗部110と、第1の及び第2の空間部111、112と、第1〜第3のポンプ電極113〜118とを有するものを用い、かつ校正ガスPとして酸素ガスを用い、第3のポンプ電極117、118における電流特性の酸素ガス濃度依存性と、検出ガス濃度依存性との間に存在する一定の比例関係を利用して、分析手段2の内部で検出ガス濃度依存性の補正を行うことによって、分析手段2を校正する。
【解決手段】被測定ガスG中の検出ガスの濃度を検出する検出手段1と、検出ガスの濃度の情報を分析する分析手段2とを備えたガス分析装置10を、校正ガスを用いて校正する方法であって、ガスセンサ素子11として、固体電解質から構成されるとともに、拡散抵抗部110と、第1の及び第2の空間部111、112と、第1〜第3のポンプ電極113〜118とを有するものを用い、かつ校正ガスPとして酸素ガスを用い、第3のポンプ電極117、118における電流特性の酸素ガス濃度依存性と、検出ガス濃度依存性との間に存在する一定の比例関係を利用して、分析手段2の内部で検出ガス濃度依存性の補正を行うことによって、分析手段2を校正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種類のガスを検出対象とするガス分析装置の校正を、簡易かつ正確に行うことが可能なガス分析装置の校正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
検出ガスを含む被測定ガスを複数の処理ゾーンに導き、そこでポンピングセルのポンピング作用によってポンピング電流を検出して検出ガスの濃度を検出する構成を有する、固体電解質の材料からなるガスセンサを備えたガス分析計(装置)及びその校正方法が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示された発明は、被測定ガス中の酸素ガス濃度が高くなっても、それに影響を受けることなく、応答性がよく、連続的に長時間正確な測定を可能とするとともに、低濃度の被測定ガス成分の測定に際しても高いS/N比が得られ、かつ大きな信号変化を得ることができるという優れた効果を発揮するものである。このような特許文献1に開示されたガス分析計(装置)を、それが設置された現場においてメンテナンス作業として校正をする場合、標準ガス(校正ガス)として、2種類以上の検出ガス濃度の異なるものを設置現場で用意して、各濃度におけるガスセンサ感度の測定を行ない、出荷時のガスセンサ感度と比較して校正しているのが現状である。
【特許文献1】特許第3470012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、複数の検出ガス濃度の異なる標準ガス(校正ガス)を設置現場で入手することは通常極めて困難であり、また手配することができたとしても納入期間が長時間を必要とするという問題があった。特に、特許文献1において標準ガス(校正ガス)に用いられているような、複数の濃度の異なるNOガスを入手することは極めて困難であった。また、設置現場の地域によっては、入手し得る標準ガス(校正ガス)の検出ガス濃度にバラツキがある場合があり、正確な校正ができないという問題があった。さらに、標準ガス(校正ガス)として、例えば、NOXガスを用いる場合、NOXガスが有毒であるため、地球環境及び人体に悪影響を及ぼす恐れがあるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ガス分析装置、特に多種類のガスを検出対象とするガス分析装置の校正を、入手し易いガスにより地球環境及び人体に悪影響を与えることなく、簡易かつ正確に行うことが可能なガス分析装置の校正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明によれば、以下のガス分析装置の校正方法が提供される。
【0006】
[1]固体電解質から成るガスセンサによって被測定ガス中の検出ガスの濃度を検出する検出手段と、前記検出手段に電気的に接続された、前記検出手段によって検出された前記検出ガスの濃度を分析する分析手段とを備えたガス分析装置を、校正ガスを用いて校正する方法であって、前記校正ガスとして、所定濃度の酸素ガスを用いて補正を行うことで、前記分析手段を校正することを特徴とするガス分析装置の校正方法。
【0007】
このように構成することによって、入手困難な複数の検出ガス濃度の異なる標準ガス(校正ガス)を準備する必要がなく、入手し易い酸素(O2)ガスにより容易に校正を行うことができる。また、酸素(O2)を利用したため地球環境及び人体に悪影響を及ぼす恐れがない。
【0008】
[2]前記ガスセンサにおける酸素ガス濃度依存性(酸素ガス感度)と、前記検出ガス濃度依存性(前記ガスセンサにおける前記検出ガス感度)との間に存在する一定の比例関係を利用して、前記分析手段の内部で前記検出ガス濃度依存性の補正を行うことによって、前記分析手段を校正することを特徴とする前記[1]に記載のガス分析装置の校正方法。
【0009】
このように構成することによって、ガス分析装置の校正を簡易かつ正確に行うことができる。
【0010】
[3]前記検出ガスが、NO、NO2、CO、CO2、SO2、H2、NH3、HC及びHCLのいずれか一のガスである前記[1]又は[2]に記載のガス分析装置の校正方法。
【0011】
このように構成することによって、有害な各検出ガスを使用することなく安全に校正を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、ガス分析装置、特に多種類のガスを検出対象とするガス分析装置の校正を、地球環境及び人体に悪影響を与えることなく、入手し易いガスにより簡易かつ正確に行うことが可能なガス分析装置の校正方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を例えばエンジン、ボイラ、工業用炉等の排気管に取り付けられて排気管内の排気管内の煙道Kを流れる被測定ガスとしての排ガスに含まれる所定成分(例えば、NOXガス)を検出して分析するガス分析装置に具体化した最良の形態を図面を参照しつつ具体的に説明する。本実施形態のガス分析装置は煙道内の測定点近傍にガスセンサを配置する直接挿入タイプである。
【0014】
図1は、本発明においてガス分析装置を校正するための装置構成の一例を模式的に示す説明図である。図2は、本発明に用いられるガス分析装置の具体例を示す説明図である。図3は、本発明に用いられるガス分析装置におけるガスセンサ素子の一例を模式的に示す説明図である。図1及び図2に示すように、本発明のガス分析装置の校正方法は、固体電解質から成るガスセンサ41によって被測定ガスG中の検出ガスの濃度を検出する検出手段1と、検出手段1に電気的に接続された、検出手段1によって検出された検出ガスの濃度を分析する分析手段2とを備えたガス分析装置10を、校正ガスを用いて校正する方法であって、校正ガスPとして、所定濃度の酸素ガスを用いて補正を行うことで、分析手段2を校正することを特徴とするものである。ガス分析装置10は、例えばエンジン、ボイラ、工業用炉等の排気管内の煙道Kに取り付けられ、その煙道Kを流れる被測定ガス(排ガス)Gに含まれる検出ガスの濃度を検出する検出手段1と、検出手段1に電気的に接続された分析手段2とを備えている。検出手段1は煙道K内に挿入固定されており、分析手段2は外部に設置されている。すなわち、煙道壁12には検出手段1を挿通可能とした筒状の検出手段挿入口13が突設されており、検出手段挿入口13の先端外周縁には環状のフランジ部14が形成されている。検出手段挿入口13を介して検出手段1は煙道K内に挿入されており、検出手段1はフランジ部14に固定されている。
【0015】
検出手段1内には、ガスセンサ41が固定されており、そのガスセンサ41の先端部に校正ガスを供給する校正ガス供給用配管71が配設されている。校正ガス供給用配管71の外部には、所定濃度の校正ガスPを製造する校正ガス製造装置20(後述する)が接続されており、校正ガス供給用配管71の一端から流入した校正ガスPは校正ガス供給用配管71の他端から流出してガスセンサ41の先端部へ供給される。また、校正ガス製造装置20には、N2ガスボンベ81が接続されており、校正ガス製造装置20内へ供給される。
【0016】
検出手段1は、一端が開口した円筒状の支持筒21を備えており、支持筒21の開口端縁にはフランジ部22が形成されている。支持筒21は検出手段挿入口13に挿入され、煙道壁12のフランジ部14の外面と支持筒21のフランジ部22の内面との間にシール部材Sを介在させた状態で、フランジ部14側からボルト23を挿通し、ボルト23にナット24を締め付けることにより、支持筒21は煙道壁12に固定されている。両フランジ部14、22により密接状態で挟み込まれたシール部材Sにより、煙道Kの内外、すなわち、両フランジ14、22間の気密が確保されている。また、ボルト23の雄ねじ部はナット24の外端面から突出している。
【0017】
支持筒21の先端壁31には、ガスセンサ41の先端部を収容固定可能とした収容部32が貫通して形成されており、収容部32の内周面には雌ねじ部が形成されている。雌ねじ部は支持筒21の先端壁31の内面から外面側へ向かう所定区間に亘って形成されている。また、支持筒21の先端壁31には、支持筒21の内部と収容部32の内部とを連通するL字状の連通路34が形成されている。さらに、先端壁31の開口部周縁には環状のフィルタ支持部35が突設されており、フィルタ支持部35の先端部には防塵用のフィルタ36が固定されている。フィルタ36は、金属の粉末を焼き固めて作った金属焼結フィルタであり、フィルタ36はその一端が開口した有底筒状に形成されている。フィルタ36はその開口端縁においてフィルタ支持部35の先端面に突き合わせ状態で固定されている。
【0018】
収容部32にはガスセンサ41が固定されている。ガスセンサ41は筒状のセンサケース42を備えており、センサケース42の外周面における先端寄りにはセンサナット43が形成されている。また、センサケース42の外周面において、センサナット43よりも先端側には雄ねじ部44が形成されており、雄ねじ部44よりも先端側には複数個のガス導入孔45がセンサケース42の周方向に所定間隔をおいて配置形成されている。センサケース42の先端部を先端壁31の収容部32に挿入して、センサケース42の雄ねじ部44を収容部32の雌ねじ部に締め付けることにより、センサケース42は先端壁31に固定されている。雄ねじ部44の収容部32の雌ねじ部に対する締め付けに伴うガスセンサ41の先端方向への移動は、センサナット43が先端壁31の内面に当接することにより規制される。センサケース42の内部には、図3に示す酸素イオン伝導性固体電解質体により板状又は棒状に形成された高温作動型のガスセンサ素子11が構成されている。ガスセンサ素子11には出力電圧を取り出す複数本のリード線46の一端が接続されており、各リード線46の他端はセンサケース42の基端部に装着されたリード線押さえ部材47を介して外部に導出されている。また、ヒーターには電力供給用の複数のリード線46の一端が接続されており、各リード線46の他端もリード線押さえ部材47を介して外部に導出されている。リード線押さえ部材47は弾性、耐熱性及び絶縁性を有するゴム材料(例えば、フッ素ゴム、シリコンゴム等)により円板状に形成されており、リード線46の本数と同数のリード線挿通孔とが環状に配置形成されている。各リード線46はリード線押さえ部材47の各リード線挿通孔にそれぞれ1本ずつ挿通されている。また、各リード線46はリード線挿通管48に挿通されることにより束ねられている。一端がガスセンサ41に接続された各リード線46の他端はそれぞれ単一の雄型コネクタ49が接続されている。
【0019】
煙道壁12のフランジ部14には、ボルト23を介して直方体状の端子箱51が固定されている。すなわち、端子箱51の煙道壁12側の一側壁51aの外面において、図2の上下方向における両端縁には一対の支持部材52、52が溶接により固定されている。支持部材52は端子箱51の一側壁51a外面に固定された支持部52aと、支持部52aに対して直交するように外方へ突出する固定部52bとから断面L字状に形成されている。固定部52bをボルト23に挿通し、外方からナット53を締め付けることにより端子箱51はフランジ部14に固定されている。端子箱51の一側壁51aの中央には挿通孔54が形成されており、挿通孔54の周囲には図2における上下方向において互いに反対側に位置する一対の円弧状のボルト挿通孔55が形成されている。また、端子箱51において、一側壁51aに対向する他側壁51bには空気供給管56の一端がチューブ継手57を介して固定されており、同じく他端は一側壁51aの挿通孔54を介して支持筒21内(正確には、後述する接続管61内)に導入されている。チューブ継手57は冷却用空気を生成する圧縮空気源(図示せず)に接続されており、空気供給管56の一端から流入した冷却用空気は空気供給管56の他端から流出してガスセンサ41の基端部へ供給される。すなわち、空気供給管56の他端は冷却用空気をガスセンサ41の基端部に供給するノズル部とされている。この例において、空気供給管56のノズル部が後述する接続管61の軸線方向(図2の左右方向)における中央部よりも若干基端側に位置するように、空気供給管56の接続管61内への突出長さが設定されている。さらに、一端が分析手段2に接続された出力取出用ケーブル58の他端が、他側壁51bにおけるチューブ継手57の下方に固定されたケーブル用継手59を介して、端子箱51内に導入されている。出力取出用ケーブル58の他端には雌型コネクタ60が接続されており、雌型コネクタ60は端子箱51内において雄型コネクタ49と接続されている。端子箱51の一側壁51a及び他側壁51bに直交するとともに互いに対向する一対の側壁はそれぞれ着脱可能とされた蓋(図示せず)とされている。両蓋を取り外すことにより、端子箱51は側方に開放される。
【0020】
端子箱51の一側壁51aの外面には、一端が開口した有底円筒状の接続管61が固定されている。すなわち、接続管61の基端部外周面には互いに反対側に位置する一対の固定部材62が溶接等により固定されている。固定部材62は接続管61の外周面に固定される接続管側固定壁62aと、接続管側固定壁62aに直交するとともに端子箱51の一側壁51aに固定される端子箱側固定壁62bとからL字状に形成されている。また、端子箱側固定壁62bにはボルト挿通孔63が形成されている。そして、端子箱51の一側壁51aのボルト挿通孔55及び端子箱側固定壁62bのボルト挿通孔63に端子箱51の内側からボルト64を挿通し、ナット65を締付けることにより、接続管61は端子箱51の一側壁51aの外面に固定されている。接続管61を端子箱51の一側壁51aに固定した状態において、接続管61の先端面が支持筒21の内頂面に当接するように、接続管61の長さは設定されている。また、接続管61の先端壁には、ガスセンサ41のセンサナット43を嵌合可能とした六角形状の嵌合孔66が形成されている。接続管61を端子箱51の一側壁51aに固定し、かつ支持筒21のフランジ部22及び端子箱51の固定部52bを検出手段挿入口13のフランジ部14に固定した状態において、接続管61は嵌合孔66にセンサナット43が嵌合した状態に保持されている。接続管61の基端側には複数個の空気導入孔67が接続管61の周方向に所定間隔をおいて形成されている。また、接続管61の長手方向における中央よりも若干先端寄りには、複数個の空気導出孔68が接続管61の周方向に所定間隔をおいて形成されている。支持筒21の内周面と接続管61の外周面との間には、分析手段2を校正するための校正ガスP(図1参照)を供給する校正ガス供給用配管71が挿入されている。校正ガス供給用配管71の先端部は支持筒21の先端壁31に形成された連通路34における先端壁31内面側の開口部に螺合されている。また、校正用ガス供給用配管71の基端部は端子箱51の一側壁51aと支持筒21のフランジ部22との間の空間を通って側方(図2の下方)へ導出されて外部の校正ガスの供給源、例えば、校正ガス製造装置20に接続されている。従って、校正ガス製造装置20からの校正ガスPは校正ガス供給用配管71及び連通路34を通って収容部32へ供給される。
【0021】
校正ガス製造装置20は、切り替え弁82,82、脱酸素部83、流量調整部84、ジルコニア酸素発生部85、バイパス管86により構成されている。校正ガスPの製造方法は、先ず切り替え弁82,82をバイパス管86側に切り替え、N2ガスボンベ81から供給されるN2ガスをバイパス管86に流す。その後、校正ガス製造装置20内がN2ガスで十分にパージされたら、切り替え弁82,82を脱酸素部83、流量調整部84側に切り替え、N2ガスボンベ81から脱酸素部83、流量調整部84にN2ガスを流す。そして脱酸素部83にてN2ガス中の酸素分を除去した後、流量調整部84にてN2ガス流量を調節し、流量調整部84からの信号を参照して制御部(図示せず)にて設定酸素濃度となるよう制御し、ジルコニア酸素発生部85よりN2ガス内に酸素を供給する。これにより設定酸素濃度のN2−O2の校正ガスPを製造する。
これにより、校正ガス製造装置20内のジルコニア酸素発生部85によりN2ガス内に酸素を供給するようにした。このため、所定の酸素濃度に制御することができ、正確な校正ができる。また、入手の容易なN2ガスボンベ81のN2ガス内に校正ガス製造装置20内のジルコニア酸素発生部85より酸素を供給し、N2−O2の校正ガスPを製造するようにした。このため、容易に準備及び製造することができる。
【0022】
ガスセンサ素子11の構造は、図3に示すように、複数の酸素イオン伝導性の固体電解質層11a、11b、11c及び複数のアルミナ等からなる絶縁層11d、11eを積層してなる、細長、長尺、一体構造の板状体形状を有するものである。なお、固体電解質層11a〜11cを構成する酸素イオン伝導性の固体電解質材料としては、例えば、ジルコニアと、イットリア、カルシア、セリア、マグネシア等との固溶体を好適例として挙げることができる。そして、このような一体構造のガスセンサ素子11内には、拡散抵抗部110で仕切られた断面が長方形の第1の空間部111及び第2の空間部112が配設されているとともに、これらと上下に重なり合う状態で、基準ガス存在空間としての基準空気導入通路119がガスセンサ素子11の長手方向に延設されている。基準空気導入通路119は、端部において開口し大気に連通している。ガスセンサ素子11の先端には、拡散抵抗部110aが配設され、拡散抵抗部110aを経由して、所定の拡散抵抗の下に、検出ガスとして、例えば、NOXガスを含む被測定ガスGが外部から第1の空間部111に導入される。また、第1の空間部111に導入された被測定ガスGは、所定の処理をされた後に、拡散抵抗部110を経由して、所定の拡散抵抗の下、第2の空間部112に導入される。これらの拡散抵抗部110、110aは、アルミナ等からなる多孔質体から構成することができる。
【0023】
ガスセンサ素子11の第1の空間部111内に露出する部分には、例えば、多孔質サーメット電極からなる第1ポンプ電極(内側)113が配設され、さらに第1ポンプ電極(内側)113に対応する固体電解質層11aの外面には、例えば、同様な多孔質サーメット電極からなる第1ポンプ電極(外側)114が配設されて、これらの電極113、114と固体電解質層11aとによって酸素ガスを汲み出す第1の電気化学的ポンプセルが構成され、酸素ガスセンサ部として機能することになる。第1の電気化学的ポンプセルの二つの電極113、114間に、外部の可変電源から所定の電圧を印加せしめ、電極114から電極113の方向に電流を流すことによって、第1の空間部111内の気体中の酸素ガスを外部に汲み出すことができるとともに、逆に電流を流すことにより外部から酸素ガスを汲み入れることができる。なお、多孔質サーメット電極としては、例えば、Pt等の金属とZrO2等のセラミックスとから構成されたものを挙げることができるが、被測定ガスGに接触する第1の空間部111内に配置される電極113は、被測定ガス中のNOXガス成分の還元性を弱めた又は還元性を有しない金属を用いる必要があり、例えば、Pt−Au合金とZrO2とのサーメットによって構成することが好ましい。
【0024】
さらに、固体電解質層11cの第2の空間部112内に露出する部分には、第1ポンプ電極113(内側)と同様な多孔質サーメット電極からなる第2ポンプ電極(内側)115が配設され、固体電解質層11cの基準空気導入通路119内の露出する部分には、それに接して、第1ポンプ電極114(外側)と同様な多孔質サーメット電極からなる第2ポンプ電極(外側)116が配設されており、これらの第2ポンプ電極(内側)115と第2ポンプ電極(外側)116と固体電解質膜11cとによって、第2の空間部112から酸素ガスを汲み出す第2の電気化学的センサセルが構成されて、酸素ガス汲み出し部として機能する。そして、第2の電気化学的ポンプセルの2つの電極115、116間に、外部の直流電源から所定の電圧を印加せしめ、第2ポンプ電極(外側)116側より第2ポンプ電極(内側)115側に電流を流すことによって、第2の空間部112内の気体の酸素ガス分圧を、実質的に被測定ガス(NOXガス)が還元又は分解されない状況下において、被測定ガス(検出ガス)の測定に実質的に影響がない低い値に制御することができるようになっている。
【0025】
さらに、第2の空間部112内において、そこに露出する固体電解質層11c部分には、第3ポンプ電極(内側)117が配設されている。第3ポンプ電極(内側)117は、被測定ガス(検出ガス)であるNOXガスを還元し得る金属であるRhとセラミックスであるZrO2とからなる多孔質サーメットによって構成され、これにより、第2の空間部112内の気体中に存在するNOXガスを還元せしめるNOXガス還元触媒として機能する一方、第3ポンプ電極(内側)117に対応して、基準空気導入通路119内に配置された第3ポンプ電極(外側)118との間に、直流電源により一定の電圧が印加せしめられることによって、第3の空間部112内の気体中の酸素ガスを基準空気導入通路119内に汲み出すようになっている。従って、ここでは、第3ポンプ電極(内側)117と第3ポンプ電極(外側)118と、固体電解質層11cとによって、第3の電気化学的ポンプセルが構成され、検出ガスの濃度を検出する検出ガスセンサ部として機能する(第3の電気化学的ポンプセルのポンプ作動によって流れるポンプ電流は、電流計によって検出されるようになっている)。なお、上述の定電圧(直流)電源は、第3の電気化学的ポンプセルによってNOXガス分解時に生成した酸素ガスのポンピングに対して、限界電流を与える大きさの電圧を印加することができるようになっている。絶縁層11d、11eの間に、外部からの給電によって発熱するヒーター120が埋設されている。これによって、第1の空間部及び第2の空間部が、それぞれ、所定の温度に加熱されることにより、第1、第2及び第3の電気化学的ポンプセルは勿論、電気化学的センサセルも、それぞれ、所定の温度に加熱、保持されるようになっている。
【0026】
また、本発明の実施の形態においては、上述の構成のガスセンサ41を用いた上で、校正ガスPとして所定濃度の酸素ガスを用い、校正ガスPを、ガスセンサ41を経由して分析手段2に導入するとともに、第3のポンプ電極117、118における電流特性の酸素ガス濃度依存性(第2の空間部112における酸素ガス電流感度)と、検出ガス濃度依存性(ガスセンサ素子11における検出ガス電流感度)との間に存在する一定の比例関係を利用して、分析手段2の内部で検出ガス濃度依存性(ガスセンサ素子11における検出ガス電流感度)の補正を行うことによって、分析手段2を校正する。ここで、酸素ガス濃度依存性(酸素ガス電流感度)と検出ガス濃度依存性(検出ガス電流感度)との間における一定の比例関係とは、以下に説明する測定結果に基づく関係を意味する。
【0027】
NH3、NO2、NO、酸素(O2)の4種類のガスについて、4個のガスセンサ(NOXガスセンサ)の第3ポンプ電極における、各ガスの濃度に対する限界電流値を測定した。そして各ガスの濃度における限界電流値から各ガスの濃度0ppmの時の限界電流値を減じた限界電流値を算出し、各ガス濃度−算出限界電流値の関係をグラフにまとめ、図4〜7に示す。なお、O2ガスの場合は、電子数補正をした。その算出結果よりさらに、4個のガスセンサ(NOXガスセンサ)の各ガスに対する濃度依存性(センサの電流感度)を算出し、NO−酸素(O2)、NO2−酸素(O2)、NH3−酸素(O2)の各々の間の関係をグラフにまとめ、近似直線を引いてみると、図8〜10に示すように一定の比例関係があることが分かった。すなわち、NO−酸素(O2)の場合、図7に示すように、比例定数(感度比)は、1.003であり、NO2−酸素(O2)の場合、図8に示すように、0.745であり、NH3−酸素(O2)の場合、図9に示すように、0.677であった。従って、この各々の間の一定の比例関係を利用して所定酸素濃度の校正ガスPの第3ポンプ電極で測定された酸素ガス限界電流値によって、分析手段内で各検出ガスに対する濃度依存性(センサの電流感度)の補正を行うことで各検出ガスの校正が簡易かつ正確に行うことができる。
【0028】
本発明の実施の形態においては、校正ガスとして所定濃度の酸素ガスを用い、NOX(NO、NO2)ガス及びNH3の各検出ガスに対する一定の比例関係を利用して濃度依存性(センサの電流感度)の補正を行うことで各検出ガスの校正行った場合について説明したが、上記検出ガスの他にCO、CO2、SO2、H2、HC及びHCL等のガスにおいても各検出ガスに対する一定の比例関係を見出し濃度依存性(センサの電流感度)の補正を行うことで簡易かつ正確に校正を行うことができる。
【0029】
また、本発明の実施の形態は、次のように変更してもよい。本発明の実施の形態では、図1に示すように校正ガス製造装置20内にジルコニア酸素発生部85を用いて構成したが、図11に示すように酸素ボンベ89、流量調整弁88、混合弁87にて構成してもよい。このようにしても、校正用の所定濃度の酸素ガスを製造可能であるので、本発明の実施の形態のガス分析装置の校正をすることができる。
【0030】
本発明の実施の形態では、ガスセンサとして、固体電解質から構成されるとともに、拡散抵抗部と、前記拡散抵抗部で仕切られた第1の空間部及び第2の空間部と、前記第1の空間部の内外に配設され、そこから酸素ガスを汲み出して酸素ガスセンサ部として機能する第1ポンプ電極と、前記第2の空間部の内外に配設され、そこから酸素ガスを汲み出して酸素ガス汲み上げ部として機能する第2ポンプ電極と、前記第2の空間部の内外に配設され、検出ガスの濃度を検出して検出ガスセンサ部として機能する第3ポンプ電極とを有するものを用いたが、第1及び第2の拡散抵抗部と、前記第1及び第2の拡散抵抗部で仕切られた第1の空間部、第2の空間部及び第3の空間部と、前記第1の空間部の内外に配設され、そこから酸素ガスを汲み出して酸素ガスセンサ部として機能する第1ポンプ電極と、前記第2の空間部の内外に配設され、そこから酸素ガスを汲み出して酸素ガス汲み上げ部として機能する第2ポンプ電極と、前記第3の空間部の内外に配設され、検出ガスの濃度を検出して検出ガスセンサ部として機能する第3ポンプ電極とを有するガスセンサを用いてもよい。
【0031】
本発明の実施の形態では、固体電解質から構成された限界電流型(電流検出タイプ)のガスセンサを使用したが、濃淡電池型(電圧検出タイプ)のガスセンサを使用してもよい。濃淡電池型のガスセンサを使用すれば、CO、CO2、H2、HCのガスを校正する場合には有効である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のガス分析装置の校正方法は、各種排ガス、特に多種類で有毒な排ガスを取り扱う各種製造業において、その分析に用いられるガス分析装置の校正に有効に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明においてガス分析装置を校正するための装置構成の一例を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明に用いられるガス分析装置の具体例を示す説明図である。
【図3】本発明に用いられるガス分析装置におけるガスセンサ素子の一例を模式的に示す説明図である。本発明のガス分析装置を校正するための装置構成の一例を模式的に示す説明図である。
【図4】4個のガスセンサ(NOXガスセンサ)の第3ポンプ電極における、NH3ガスの濃度に対する限界電流値を測定し、NH3ガスの濃度における限界電流値からNH3ガスの濃度0ppmの時の限界電流値を減じた限界電流値を算出し、NH3ガス濃度と算出限界電流値との関係を示すグラフである。
【図5】4個のガスセンサ(NOXガスセンサ)の第3ポンプ電極における、NO2ガスの濃度に対する限界電流値を測定し、NO2ガスの濃度における限界電流値からNO2ガスの濃度0ppmの時の限界電流値を減じた限界電流値を算出し、NO2ガス濃度と算出限界電流値との関係を示すグラフである。
【図6】4個のガスセンサ(NOXガスセンサ)の第3ポンプ電極における、NOガスの濃度に対する限界電流値を測定し、NOガスの濃度における限界電流値からNOガスの濃度0ppmの時の限界電流値を減じた限界電流値を算出し、NOガス濃度と算出限界電流値との関係を示すグラフである。
【図7】4個のガスセンサ(NOXガスセンサ)の第3ポンプ電極における、酸素(O2)ガスの濃度に対する限界電流値を測定し、酸素(O2)ガスの濃度における限界電流値から酸素(O2)ガスの濃度0ppmの時の限界電流値を減じた限界電流値を算出した後、電子数補正をした酸素(O2)ガス濃度と算出限界電流値との関係を示すグラフである。
【図8】NOガスの電流感度と−酸素(O2)の電流感度との間に、一定の比例関係があることを示すグラフである。
【図9】NO2ガスの電流感度と−酸素(O2)の電流感度との間に、一定の比例関係があることを示すグラフである。
【図10】NH3ガスの電流感度と−酸素(O2)の電流感度との間には、一定の比例関係があることを示すグラフである。
【図11】本発明においてガス分析装置を校正するための装置構成に関する他の例を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1:検出手段
2:分析手段
10:ガス分析装置
11:ガスセンサ素子
12:煙道壁
20:校正ガス製造装置
41:ガスセンサ
71:校正ガス供給用配管
81:N2ガスボンベ
82:切り替え弁
83:脱酸素部
84:流量調整部
85:ジルコニア酸素発生部
86:バイパス管
G:被測定ガス
K:煙道
P:校正ガス
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種類のガスを検出対象とするガス分析装置の校正を、簡易かつ正確に行うことが可能なガス分析装置の校正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
検出ガスを含む被測定ガスを複数の処理ゾーンに導き、そこでポンピングセルのポンピング作用によってポンピング電流を検出して検出ガスの濃度を検出する構成を有する、固体電解質の材料からなるガスセンサを備えたガス分析計(装置)及びその校正方法が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示された発明は、被測定ガス中の酸素ガス濃度が高くなっても、それに影響を受けることなく、応答性がよく、連続的に長時間正確な測定を可能とするとともに、低濃度の被測定ガス成分の測定に際しても高いS/N比が得られ、かつ大きな信号変化を得ることができるという優れた効果を発揮するものである。このような特許文献1に開示されたガス分析計(装置)を、それが設置された現場においてメンテナンス作業として校正をする場合、標準ガス(校正ガス)として、2種類以上の検出ガス濃度の異なるものを設置現場で用意して、各濃度におけるガスセンサ感度の測定を行ない、出荷時のガスセンサ感度と比較して校正しているのが現状である。
【特許文献1】特許第3470012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、複数の検出ガス濃度の異なる標準ガス(校正ガス)を設置現場で入手することは通常極めて困難であり、また手配することができたとしても納入期間が長時間を必要とするという問題があった。特に、特許文献1において標準ガス(校正ガス)に用いられているような、複数の濃度の異なるNOガスを入手することは極めて困難であった。また、設置現場の地域によっては、入手し得る標準ガス(校正ガス)の検出ガス濃度にバラツキがある場合があり、正確な校正ができないという問題があった。さらに、標準ガス(校正ガス)として、例えば、NOXガスを用いる場合、NOXガスが有毒であるため、地球環境及び人体に悪影響を及ぼす恐れがあるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ガス分析装置、特に多種類のガスを検出対象とするガス分析装置の校正を、入手し易いガスにより地球環境及び人体に悪影響を与えることなく、簡易かつ正確に行うことが可能なガス分析装置の校正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明によれば、以下のガス分析装置の校正方法が提供される。
【0006】
[1]固体電解質から成るガスセンサによって被測定ガス中の検出ガスの濃度を検出する検出手段と、前記検出手段に電気的に接続された、前記検出手段によって検出された前記検出ガスの濃度を分析する分析手段とを備えたガス分析装置を、校正ガスを用いて校正する方法であって、前記校正ガスとして、所定濃度の酸素ガスを用いて補正を行うことで、前記分析手段を校正することを特徴とするガス分析装置の校正方法。
【0007】
このように構成することによって、入手困難な複数の検出ガス濃度の異なる標準ガス(校正ガス)を準備する必要がなく、入手し易い酸素(O2)ガスにより容易に校正を行うことができる。また、酸素(O2)を利用したため地球環境及び人体に悪影響を及ぼす恐れがない。
【0008】
[2]前記ガスセンサにおける酸素ガス濃度依存性(酸素ガス感度)と、前記検出ガス濃度依存性(前記ガスセンサにおける前記検出ガス感度)との間に存在する一定の比例関係を利用して、前記分析手段の内部で前記検出ガス濃度依存性の補正を行うことによって、前記分析手段を校正することを特徴とする前記[1]に記載のガス分析装置の校正方法。
【0009】
このように構成することによって、ガス分析装置の校正を簡易かつ正確に行うことができる。
【0010】
[3]前記検出ガスが、NO、NO2、CO、CO2、SO2、H2、NH3、HC及びHCLのいずれか一のガスである前記[1]又は[2]に記載のガス分析装置の校正方法。
【0011】
このように構成することによって、有害な各検出ガスを使用することなく安全に校正を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、ガス分析装置、特に多種類のガスを検出対象とするガス分析装置の校正を、地球環境及び人体に悪影響を与えることなく、入手し易いガスにより簡易かつ正確に行うことが可能なガス分析装置の校正方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を例えばエンジン、ボイラ、工業用炉等の排気管に取り付けられて排気管内の排気管内の煙道Kを流れる被測定ガスとしての排ガスに含まれる所定成分(例えば、NOXガス)を検出して分析するガス分析装置に具体化した最良の形態を図面を参照しつつ具体的に説明する。本実施形態のガス分析装置は煙道内の測定点近傍にガスセンサを配置する直接挿入タイプである。
【0014】
図1は、本発明においてガス分析装置を校正するための装置構成の一例を模式的に示す説明図である。図2は、本発明に用いられるガス分析装置の具体例を示す説明図である。図3は、本発明に用いられるガス分析装置におけるガスセンサ素子の一例を模式的に示す説明図である。図1及び図2に示すように、本発明のガス分析装置の校正方法は、固体電解質から成るガスセンサ41によって被測定ガスG中の検出ガスの濃度を検出する検出手段1と、検出手段1に電気的に接続された、検出手段1によって検出された検出ガスの濃度を分析する分析手段2とを備えたガス分析装置10を、校正ガスを用いて校正する方法であって、校正ガスPとして、所定濃度の酸素ガスを用いて補正を行うことで、分析手段2を校正することを特徴とするものである。ガス分析装置10は、例えばエンジン、ボイラ、工業用炉等の排気管内の煙道Kに取り付けられ、その煙道Kを流れる被測定ガス(排ガス)Gに含まれる検出ガスの濃度を検出する検出手段1と、検出手段1に電気的に接続された分析手段2とを備えている。検出手段1は煙道K内に挿入固定されており、分析手段2は外部に設置されている。すなわち、煙道壁12には検出手段1を挿通可能とした筒状の検出手段挿入口13が突設されており、検出手段挿入口13の先端外周縁には環状のフランジ部14が形成されている。検出手段挿入口13を介して検出手段1は煙道K内に挿入されており、検出手段1はフランジ部14に固定されている。
【0015】
検出手段1内には、ガスセンサ41が固定されており、そのガスセンサ41の先端部に校正ガスを供給する校正ガス供給用配管71が配設されている。校正ガス供給用配管71の外部には、所定濃度の校正ガスPを製造する校正ガス製造装置20(後述する)が接続されており、校正ガス供給用配管71の一端から流入した校正ガスPは校正ガス供給用配管71の他端から流出してガスセンサ41の先端部へ供給される。また、校正ガス製造装置20には、N2ガスボンベ81が接続されており、校正ガス製造装置20内へ供給される。
【0016】
検出手段1は、一端が開口した円筒状の支持筒21を備えており、支持筒21の開口端縁にはフランジ部22が形成されている。支持筒21は検出手段挿入口13に挿入され、煙道壁12のフランジ部14の外面と支持筒21のフランジ部22の内面との間にシール部材Sを介在させた状態で、フランジ部14側からボルト23を挿通し、ボルト23にナット24を締め付けることにより、支持筒21は煙道壁12に固定されている。両フランジ部14、22により密接状態で挟み込まれたシール部材Sにより、煙道Kの内外、すなわち、両フランジ14、22間の気密が確保されている。また、ボルト23の雄ねじ部はナット24の外端面から突出している。
【0017】
支持筒21の先端壁31には、ガスセンサ41の先端部を収容固定可能とした収容部32が貫通して形成されており、収容部32の内周面には雌ねじ部が形成されている。雌ねじ部は支持筒21の先端壁31の内面から外面側へ向かう所定区間に亘って形成されている。また、支持筒21の先端壁31には、支持筒21の内部と収容部32の内部とを連通するL字状の連通路34が形成されている。さらに、先端壁31の開口部周縁には環状のフィルタ支持部35が突設されており、フィルタ支持部35の先端部には防塵用のフィルタ36が固定されている。フィルタ36は、金属の粉末を焼き固めて作った金属焼結フィルタであり、フィルタ36はその一端が開口した有底筒状に形成されている。フィルタ36はその開口端縁においてフィルタ支持部35の先端面に突き合わせ状態で固定されている。
【0018】
収容部32にはガスセンサ41が固定されている。ガスセンサ41は筒状のセンサケース42を備えており、センサケース42の外周面における先端寄りにはセンサナット43が形成されている。また、センサケース42の外周面において、センサナット43よりも先端側には雄ねじ部44が形成されており、雄ねじ部44よりも先端側には複数個のガス導入孔45がセンサケース42の周方向に所定間隔をおいて配置形成されている。センサケース42の先端部を先端壁31の収容部32に挿入して、センサケース42の雄ねじ部44を収容部32の雌ねじ部に締め付けることにより、センサケース42は先端壁31に固定されている。雄ねじ部44の収容部32の雌ねじ部に対する締め付けに伴うガスセンサ41の先端方向への移動は、センサナット43が先端壁31の内面に当接することにより規制される。センサケース42の内部には、図3に示す酸素イオン伝導性固体電解質体により板状又は棒状に形成された高温作動型のガスセンサ素子11が構成されている。ガスセンサ素子11には出力電圧を取り出す複数本のリード線46の一端が接続されており、各リード線46の他端はセンサケース42の基端部に装着されたリード線押さえ部材47を介して外部に導出されている。また、ヒーターには電力供給用の複数のリード線46の一端が接続されており、各リード線46の他端もリード線押さえ部材47を介して外部に導出されている。リード線押さえ部材47は弾性、耐熱性及び絶縁性を有するゴム材料(例えば、フッ素ゴム、シリコンゴム等)により円板状に形成されており、リード線46の本数と同数のリード線挿通孔とが環状に配置形成されている。各リード線46はリード線押さえ部材47の各リード線挿通孔にそれぞれ1本ずつ挿通されている。また、各リード線46はリード線挿通管48に挿通されることにより束ねられている。一端がガスセンサ41に接続された各リード線46の他端はそれぞれ単一の雄型コネクタ49が接続されている。
【0019】
煙道壁12のフランジ部14には、ボルト23を介して直方体状の端子箱51が固定されている。すなわち、端子箱51の煙道壁12側の一側壁51aの外面において、図2の上下方向における両端縁には一対の支持部材52、52が溶接により固定されている。支持部材52は端子箱51の一側壁51a外面に固定された支持部52aと、支持部52aに対して直交するように外方へ突出する固定部52bとから断面L字状に形成されている。固定部52bをボルト23に挿通し、外方からナット53を締め付けることにより端子箱51はフランジ部14に固定されている。端子箱51の一側壁51aの中央には挿通孔54が形成されており、挿通孔54の周囲には図2における上下方向において互いに反対側に位置する一対の円弧状のボルト挿通孔55が形成されている。また、端子箱51において、一側壁51aに対向する他側壁51bには空気供給管56の一端がチューブ継手57を介して固定されており、同じく他端は一側壁51aの挿通孔54を介して支持筒21内(正確には、後述する接続管61内)に導入されている。チューブ継手57は冷却用空気を生成する圧縮空気源(図示せず)に接続されており、空気供給管56の一端から流入した冷却用空気は空気供給管56の他端から流出してガスセンサ41の基端部へ供給される。すなわち、空気供給管56の他端は冷却用空気をガスセンサ41の基端部に供給するノズル部とされている。この例において、空気供給管56のノズル部が後述する接続管61の軸線方向(図2の左右方向)における中央部よりも若干基端側に位置するように、空気供給管56の接続管61内への突出長さが設定されている。さらに、一端が分析手段2に接続された出力取出用ケーブル58の他端が、他側壁51bにおけるチューブ継手57の下方に固定されたケーブル用継手59を介して、端子箱51内に導入されている。出力取出用ケーブル58の他端には雌型コネクタ60が接続されており、雌型コネクタ60は端子箱51内において雄型コネクタ49と接続されている。端子箱51の一側壁51a及び他側壁51bに直交するとともに互いに対向する一対の側壁はそれぞれ着脱可能とされた蓋(図示せず)とされている。両蓋を取り外すことにより、端子箱51は側方に開放される。
【0020】
端子箱51の一側壁51aの外面には、一端が開口した有底円筒状の接続管61が固定されている。すなわち、接続管61の基端部外周面には互いに反対側に位置する一対の固定部材62が溶接等により固定されている。固定部材62は接続管61の外周面に固定される接続管側固定壁62aと、接続管側固定壁62aに直交するとともに端子箱51の一側壁51aに固定される端子箱側固定壁62bとからL字状に形成されている。また、端子箱側固定壁62bにはボルト挿通孔63が形成されている。そして、端子箱51の一側壁51aのボルト挿通孔55及び端子箱側固定壁62bのボルト挿通孔63に端子箱51の内側からボルト64を挿通し、ナット65を締付けることにより、接続管61は端子箱51の一側壁51aの外面に固定されている。接続管61を端子箱51の一側壁51aに固定した状態において、接続管61の先端面が支持筒21の内頂面に当接するように、接続管61の長さは設定されている。また、接続管61の先端壁には、ガスセンサ41のセンサナット43を嵌合可能とした六角形状の嵌合孔66が形成されている。接続管61を端子箱51の一側壁51aに固定し、かつ支持筒21のフランジ部22及び端子箱51の固定部52bを検出手段挿入口13のフランジ部14に固定した状態において、接続管61は嵌合孔66にセンサナット43が嵌合した状態に保持されている。接続管61の基端側には複数個の空気導入孔67が接続管61の周方向に所定間隔をおいて形成されている。また、接続管61の長手方向における中央よりも若干先端寄りには、複数個の空気導出孔68が接続管61の周方向に所定間隔をおいて形成されている。支持筒21の内周面と接続管61の外周面との間には、分析手段2を校正するための校正ガスP(図1参照)を供給する校正ガス供給用配管71が挿入されている。校正ガス供給用配管71の先端部は支持筒21の先端壁31に形成された連通路34における先端壁31内面側の開口部に螺合されている。また、校正用ガス供給用配管71の基端部は端子箱51の一側壁51aと支持筒21のフランジ部22との間の空間を通って側方(図2の下方)へ導出されて外部の校正ガスの供給源、例えば、校正ガス製造装置20に接続されている。従って、校正ガス製造装置20からの校正ガスPは校正ガス供給用配管71及び連通路34を通って収容部32へ供給される。
【0021】
校正ガス製造装置20は、切り替え弁82,82、脱酸素部83、流量調整部84、ジルコニア酸素発生部85、バイパス管86により構成されている。校正ガスPの製造方法は、先ず切り替え弁82,82をバイパス管86側に切り替え、N2ガスボンベ81から供給されるN2ガスをバイパス管86に流す。その後、校正ガス製造装置20内がN2ガスで十分にパージされたら、切り替え弁82,82を脱酸素部83、流量調整部84側に切り替え、N2ガスボンベ81から脱酸素部83、流量調整部84にN2ガスを流す。そして脱酸素部83にてN2ガス中の酸素分を除去した後、流量調整部84にてN2ガス流量を調節し、流量調整部84からの信号を参照して制御部(図示せず)にて設定酸素濃度となるよう制御し、ジルコニア酸素発生部85よりN2ガス内に酸素を供給する。これにより設定酸素濃度のN2−O2の校正ガスPを製造する。
これにより、校正ガス製造装置20内のジルコニア酸素発生部85によりN2ガス内に酸素を供給するようにした。このため、所定の酸素濃度に制御することができ、正確な校正ができる。また、入手の容易なN2ガスボンベ81のN2ガス内に校正ガス製造装置20内のジルコニア酸素発生部85より酸素を供給し、N2−O2の校正ガスPを製造するようにした。このため、容易に準備及び製造することができる。
【0022】
ガスセンサ素子11の構造は、図3に示すように、複数の酸素イオン伝導性の固体電解質層11a、11b、11c及び複数のアルミナ等からなる絶縁層11d、11eを積層してなる、細長、長尺、一体構造の板状体形状を有するものである。なお、固体電解質層11a〜11cを構成する酸素イオン伝導性の固体電解質材料としては、例えば、ジルコニアと、イットリア、カルシア、セリア、マグネシア等との固溶体を好適例として挙げることができる。そして、このような一体構造のガスセンサ素子11内には、拡散抵抗部110で仕切られた断面が長方形の第1の空間部111及び第2の空間部112が配設されているとともに、これらと上下に重なり合う状態で、基準ガス存在空間としての基準空気導入通路119がガスセンサ素子11の長手方向に延設されている。基準空気導入通路119は、端部において開口し大気に連通している。ガスセンサ素子11の先端には、拡散抵抗部110aが配設され、拡散抵抗部110aを経由して、所定の拡散抵抗の下に、検出ガスとして、例えば、NOXガスを含む被測定ガスGが外部から第1の空間部111に導入される。また、第1の空間部111に導入された被測定ガスGは、所定の処理をされた後に、拡散抵抗部110を経由して、所定の拡散抵抗の下、第2の空間部112に導入される。これらの拡散抵抗部110、110aは、アルミナ等からなる多孔質体から構成することができる。
【0023】
ガスセンサ素子11の第1の空間部111内に露出する部分には、例えば、多孔質サーメット電極からなる第1ポンプ電極(内側)113が配設され、さらに第1ポンプ電極(内側)113に対応する固体電解質層11aの外面には、例えば、同様な多孔質サーメット電極からなる第1ポンプ電極(外側)114が配設されて、これらの電極113、114と固体電解質層11aとによって酸素ガスを汲み出す第1の電気化学的ポンプセルが構成され、酸素ガスセンサ部として機能することになる。第1の電気化学的ポンプセルの二つの電極113、114間に、外部の可変電源から所定の電圧を印加せしめ、電極114から電極113の方向に電流を流すことによって、第1の空間部111内の気体中の酸素ガスを外部に汲み出すことができるとともに、逆に電流を流すことにより外部から酸素ガスを汲み入れることができる。なお、多孔質サーメット電極としては、例えば、Pt等の金属とZrO2等のセラミックスとから構成されたものを挙げることができるが、被測定ガスGに接触する第1の空間部111内に配置される電極113は、被測定ガス中のNOXガス成分の還元性を弱めた又は還元性を有しない金属を用いる必要があり、例えば、Pt−Au合金とZrO2とのサーメットによって構成することが好ましい。
【0024】
さらに、固体電解質層11cの第2の空間部112内に露出する部分には、第1ポンプ電極113(内側)と同様な多孔質サーメット電極からなる第2ポンプ電極(内側)115が配設され、固体電解質層11cの基準空気導入通路119内の露出する部分には、それに接して、第1ポンプ電極114(外側)と同様な多孔質サーメット電極からなる第2ポンプ電極(外側)116が配設されており、これらの第2ポンプ電極(内側)115と第2ポンプ電極(外側)116と固体電解質膜11cとによって、第2の空間部112から酸素ガスを汲み出す第2の電気化学的センサセルが構成されて、酸素ガス汲み出し部として機能する。そして、第2の電気化学的ポンプセルの2つの電極115、116間に、外部の直流電源から所定の電圧を印加せしめ、第2ポンプ電極(外側)116側より第2ポンプ電極(内側)115側に電流を流すことによって、第2の空間部112内の気体の酸素ガス分圧を、実質的に被測定ガス(NOXガス)が還元又は分解されない状況下において、被測定ガス(検出ガス)の測定に実質的に影響がない低い値に制御することができるようになっている。
【0025】
さらに、第2の空間部112内において、そこに露出する固体電解質層11c部分には、第3ポンプ電極(内側)117が配設されている。第3ポンプ電極(内側)117は、被測定ガス(検出ガス)であるNOXガスを還元し得る金属であるRhとセラミックスであるZrO2とからなる多孔質サーメットによって構成され、これにより、第2の空間部112内の気体中に存在するNOXガスを還元せしめるNOXガス還元触媒として機能する一方、第3ポンプ電極(内側)117に対応して、基準空気導入通路119内に配置された第3ポンプ電極(外側)118との間に、直流電源により一定の電圧が印加せしめられることによって、第3の空間部112内の気体中の酸素ガスを基準空気導入通路119内に汲み出すようになっている。従って、ここでは、第3ポンプ電極(内側)117と第3ポンプ電極(外側)118と、固体電解質層11cとによって、第3の電気化学的ポンプセルが構成され、検出ガスの濃度を検出する検出ガスセンサ部として機能する(第3の電気化学的ポンプセルのポンプ作動によって流れるポンプ電流は、電流計によって検出されるようになっている)。なお、上述の定電圧(直流)電源は、第3の電気化学的ポンプセルによってNOXガス分解時に生成した酸素ガスのポンピングに対して、限界電流を与える大きさの電圧を印加することができるようになっている。絶縁層11d、11eの間に、外部からの給電によって発熱するヒーター120が埋設されている。これによって、第1の空間部及び第2の空間部が、それぞれ、所定の温度に加熱されることにより、第1、第2及び第3の電気化学的ポンプセルは勿論、電気化学的センサセルも、それぞれ、所定の温度に加熱、保持されるようになっている。
【0026】
また、本発明の実施の形態においては、上述の構成のガスセンサ41を用いた上で、校正ガスPとして所定濃度の酸素ガスを用い、校正ガスPを、ガスセンサ41を経由して分析手段2に導入するとともに、第3のポンプ電極117、118における電流特性の酸素ガス濃度依存性(第2の空間部112における酸素ガス電流感度)と、検出ガス濃度依存性(ガスセンサ素子11における検出ガス電流感度)との間に存在する一定の比例関係を利用して、分析手段2の内部で検出ガス濃度依存性(ガスセンサ素子11における検出ガス電流感度)の補正を行うことによって、分析手段2を校正する。ここで、酸素ガス濃度依存性(酸素ガス電流感度)と検出ガス濃度依存性(検出ガス電流感度)との間における一定の比例関係とは、以下に説明する測定結果に基づく関係を意味する。
【0027】
NH3、NO2、NO、酸素(O2)の4種類のガスについて、4個のガスセンサ(NOXガスセンサ)の第3ポンプ電極における、各ガスの濃度に対する限界電流値を測定した。そして各ガスの濃度における限界電流値から各ガスの濃度0ppmの時の限界電流値を減じた限界電流値を算出し、各ガス濃度−算出限界電流値の関係をグラフにまとめ、図4〜7に示す。なお、O2ガスの場合は、電子数補正をした。その算出結果よりさらに、4個のガスセンサ(NOXガスセンサ)の各ガスに対する濃度依存性(センサの電流感度)を算出し、NO−酸素(O2)、NO2−酸素(O2)、NH3−酸素(O2)の各々の間の関係をグラフにまとめ、近似直線を引いてみると、図8〜10に示すように一定の比例関係があることが分かった。すなわち、NO−酸素(O2)の場合、図7に示すように、比例定数(感度比)は、1.003であり、NO2−酸素(O2)の場合、図8に示すように、0.745であり、NH3−酸素(O2)の場合、図9に示すように、0.677であった。従って、この各々の間の一定の比例関係を利用して所定酸素濃度の校正ガスPの第3ポンプ電極で測定された酸素ガス限界電流値によって、分析手段内で各検出ガスに対する濃度依存性(センサの電流感度)の補正を行うことで各検出ガスの校正が簡易かつ正確に行うことができる。
【0028】
本発明の実施の形態においては、校正ガスとして所定濃度の酸素ガスを用い、NOX(NO、NO2)ガス及びNH3の各検出ガスに対する一定の比例関係を利用して濃度依存性(センサの電流感度)の補正を行うことで各検出ガスの校正行った場合について説明したが、上記検出ガスの他にCO、CO2、SO2、H2、HC及びHCL等のガスにおいても各検出ガスに対する一定の比例関係を見出し濃度依存性(センサの電流感度)の補正を行うことで簡易かつ正確に校正を行うことができる。
【0029】
また、本発明の実施の形態は、次のように変更してもよい。本発明の実施の形態では、図1に示すように校正ガス製造装置20内にジルコニア酸素発生部85を用いて構成したが、図11に示すように酸素ボンベ89、流量調整弁88、混合弁87にて構成してもよい。このようにしても、校正用の所定濃度の酸素ガスを製造可能であるので、本発明の実施の形態のガス分析装置の校正をすることができる。
【0030】
本発明の実施の形態では、ガスセンサとして、固体電解質から構成されるとともに、拡散抵抗部と、前記拡散抵抗部で仕切られた第1の空間部及び第2の空間部と、前記第1の空間部の内外に配設され、そこから酸素ガスを汲み出して酸素ガスセンサ部として機能する第1ポンプ電極と、前記第2の空間部の内外に配設され、そこから酸素ガスを汲み出して酸素ガス汲み上げ部として機能する第2ポンプ電極と、前記第2の空間部の内外に配設され、検出ガスの濃度を検出して検出ガスセンサ部として機能する第3ポンプ電極とを有するものを用いたが、第1及び第2の拡散抵抗部と、前記第1及び第2の拡散抵抗部で仕切られた第1の空間部、第2の空間部及び第3の空間部と、前記第1の空間部の内外に配設され、そこから酸素ガスを汲み出して酸素ガスセンサ部として機能する第1ポンプ電極と、前記第2の空間部の内外に配設され、そこから酸素ガスを汲み出して酸素ガス汲み上げ部として機能する第2ポンプ電極と、前記第3の空間部の内外に配設され、検出ガスの濃度を検出して検出ガスセンサ部として機能する第3ポンプ電極とを有するガスセンサを用いてもよい。
【0031】
本発明の実施の形態では、固体電解質から構成された限界電流型(電流検出タイプ)のガスセンサを使用したが、濃淡電池型(電圧検出タイプ)のガスセンサを使用してもよい。濃淡電池型のガスセンサを使用すれば、CO、CO2、H2、HCのガスを校正する場合には有効である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のガス分析装置の校正方法は、各種排ガス、特に多種類で有毒な排ガスを取り扱う各種製造業において、その分析に用いられるガス分析装置の校正に有効に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明においてガス分析装置を校正するための装置構成の一例を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明に用いられるガス分析装置の具体例を示す説明図である。
【図3】本発明に用いられるガス分析装置におけるガスセンサ素子の一例を模式的に示す説明図である。本発明のガス分析装置を校正するための装置構成の一例を模式的に示す説明図である。
【図4】4個のガスセンサ(NOXガスセンサ)の第3ポンプ電極における、NH3ガスの濃度に対する限界電流値を測定し、NH3ガスの濃度における限界電流値からNH3ガスの濃度0ppmの時の限界電流値を減じた限界電流値を算出し、NH3ガス濃度と算出限界電流値との関係を示すグラフである。
【図5】4個のガスセンサ(NOXガスセンサ)の第3ポンプ電極における、NO2ガスの濃度に対する限界電流値を測定し、NO2ガスの濃度における限界電流値からNO2ガスの濃度0ppmの時の限界電流値を減じた限界電流値を算出し、NO2ガス濃度と算出限界電流値との関係を示すグラフである。
【図6】4個のガスセンサ(NOXガスセンサ)の第3ポンプ電極における、NOガスの濃度に対する限界電流値を測定し、NOガスの濃度における限界電流値からNOガスの濃度0ppmの時の限界電流値を減じた限界電流値を算出し、NOガス濃度と算出限界電流値との関係を示すグラフである。
【図7】4個のガスセンサ(NOXガスセンサ)の第3ポンプ電極における、酸素(O2)ガスの濃度に対する限界電流値を測定し、酸素(O2)ガスの濃度における限界電流値から酸素(O2)ガスの濃度0ppmの時の限界電流値を減じた限界電流値を算出した後、電子数補正をした酸素(O2)ガス濃度と算出限界電流値との関係を示すグラフである。
【図8】NOガスの電流感度と−酸素(O2)の電流感度との間に、一定の比例関係があることを示すグラフである。
【図9】NO2ガスの電流感度と−酸素(O2)の電流感度との間に、一定の比例関係があることを示すグラフである。
【図10】NH3ガスの電流感度と−酸素(O2)の電流感度との間には、一定の比例関係があることを示すグラフである。
【図11】本発明においてガス分析装置を校正するための装置構成に関する他の例を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1:検出手段
2:分析手段
10:ガス分析装置
11:ガスセンサ素子
12:煙道壁
20:校正ガス製造装置
41:ガスセンサ
71:校正ガス供給用配管
81:N2ガスボンベ
82:切り替え弁
83:脱酸素部
84:流量調整部
85:ジルコニア酸素発生部
86:バイパス管
G:被測定ガス
K:煙道
P:校正ガス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体電解質から成るガスセンサによって被測定ガス中の検出ガスの濃度を検出する検出手段と、前記検出手段に電気的に接続された、前記検出手段によって検出された前記検出ガスの濃度を分析する分析手段とを備えたガス分析装置を、校正ガスを用いて校正する方法であって、
前記校正ガスとして、所定濃度の酸素ガスを用いて補正を行うことで、前記分析手段を校正することを特徴とするガス分析装置の校正方法。
【請求項2】
前記ガスセンサにおける酸素ガス濃度依存性(酸素ガス感度)と、前記検出ガス濃度依存性(前記ガスセンサにおける前記検出ガス感度)との間に存在する一定の比例関係を利用して、前記分析手段の内部で前記検出ガス濃度依存性の補正を行うことによって、前記分析手段を校正することを特徴とする請求項1に記載のガス分析装置の校正方法。
【請求項3】
前記検出ガスが、NO、NO2、CO、CO2、SO2、H2、NH3、HC及びHCLのいずれか一のガスである請求項1又は2に記載のガス分析装置の校正方法。
【請求項1】
固体電解質から成るガスセンサによって被測定ガス中の検出ガスの濃度を検出する検出手段と、前記検出手段に電気的に接続された、前記検出手段によって検出された前記検出ガスの濃度を分析する分析手段とを備えたガス分析装置を、校正ガスを用いて校正する方法であって、
前記校正ガスとして、所定濃度の酸素ガスを用いて補正を行うことで、前記分析手段を校正することを特徴とするガス分析装置の校正方法。
【請求項2】
前記ガスセンサにおける酸素ガス濃度依存性(酸素ガス感度)と、前記検出ガス濃度依存性(前記ガスセンサにおける前記検出ガス感度)との間に存在する一定の比例関係を利用して、前記分析手段の内部で前記検出ガス濃度依存性の補正を行うことによって、前記分析手段を校正することを特徴とする請求項1に記載のガス分析装置の校正方法。
【請求項3】
前記検出ガスが、NO、NO2、CO、CO2、SO2、H2、NH3、HC及びHCLのいずれか一のガスである請求項1又は2に記載のガス分析装置の校正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−108018(P2007−108018A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299262(P2005−299262)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(000102636)エナジーサポート株式会社 (51)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(000102636)エナジーサポート株式会社 (51)
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