説明

ガス排出量の経験的アンサンブルに基づく仮想センシングのためのシステム及び方法

本発明では、2つ以上の経験的モデル(NN1、NN2、...、NNn)を備えた燃焼プロセス(CP)から生じるガスの量(G)の推定のための経験的アンサンブルに基づく仮想センサシステム(VS)を提供する。ガスの量(G)は各経験的モデル(NN1、NN2、...、NNn)の中で推定され、結合関数(f)は、個々の経験的モデル(y1、y2、...、ym)の1つずつからのガスの推定値より正確であるガスの量(G)の結合推定値を提供するため、経験的モデル(NN1、NN2、...、NNn)からの結果を結合する。仮想センサシステム(VS)の全性能は、経験的モデル(y1、y2、...、ym)の個数を増加することにより高められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経験的アンサンブルに基づく仮想センシングのための方法及びシステムに関する。特に、燃焼プロセスからのNOx、COなどの排出量を測定する仮想ガスセンサのための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
NOxは、燃焼中に生成される一窒素酸化物(NO及びNO)の総称である。NOxは、燃焼空気にある二原子窒素の高温酸化を介して形成される。さらに、ある種の石炭及び石油のような窒素添加燃料の燃焼は、燃料に結合した窒素をNOxに変換する。
【0003】
大気NOxは、最終的に酸性雨の一因となる硝酸を形成する。1997年に54カ国によって批准された京都議定書では、NOを温室ガスとして分類し、長距離越境大気汚染条約のいわゆるGothenburg議定書が行っているように、NO排出の全世界的な削減を求めている。
【0004】
その結果、NOx排出は数カ国において規制され、例えば、スウェーデンでは、1992年以降、燃焼プラントからのNOx排出に対して課徴金が課された。また、ノルウェーでは、2007年以降、すべてのNOx排出に対して一般経費が課された。同様に、フランス及びイタリアでも課徴金が課されている。さらに、米国では、NOx排出量許可証の制度がある。
【0005】
従って、特定のプラント又は燃焼プロセスから排出されるNOxの量を測定することがある。
しかしながら、優れたセンサを開発することは、例えば、高温及び煤煙を伴う過酷な動作環境のために困難である。必要とされる感度は高く、典型的に、NOのレベルは約100〜2000ppmであり、NOの濃度は20〜200ppmである。また、ガス流からの冷却のような様々な誤差が発生する。
【0006】
類似した考慮に基づいて、炭素酸化物及び硫黄酸化物のようなその他のガスを測定する必要がある。
【0007】
一般に、利用可能な計器が測定のため適切でない様々な状況があり、以下のリストは、最も一般的な状況を指定する。(BioComp Systems社によって、彼らのウェブページ、http://www.biocompsystems.com/technology/virtualsensors/index.htm(2008年7月25日)に当初提案された)
【0008】
1.着目している物理量はオンラインで測定されない。典型的な事例は、サンプルが分析のため定期的に研究室に送られる場合である。サンプルは、環境排出、生産量又はプロセス条件を制御するために分析される大気サンプル、水サンプル、石油サンプル又は材料サンプルである。
【0009】
2.利用可能な物理センサは、特に、自動制御で用いるには過度に低速である。
【0010】
3.物理センサは極端に下流であり、例えば、最終製品が製造ばらつきを検出するため連続的に監視される。しかし、是正の判断を行うには、情報の送信が遅すぎる。
【0011】
4.物理センサは過度に高価である。
【0012】
5.物理センサを設置する手段がなく、例えば、物理的空間がない。
【0013】
6.センサ環境が過度に不良である。
【0014】
7.物理センサが不正確である。利用可能な物理センサは内在する不正確さ又は劣化のいずれかの影響を受ける場合がある。ベンチュリ流量計におけるスケーリングは典型的な例である。
【0015】
8.物理センサは維持に費用がかかる。
【0016】
ソフトセンシング又はプロキシセンシングとしても知られている仮想センシング技術は、費用がかかる、又は非実用的である物理測定装置及びセンサシステムに対する実現可能であり、かつ、経済的な代替案を提供するため使用されるソフトウェアベースの技術である。仮想センシングシステムは、着目している量の推定値を計算するため、他のオンライン測定量及びプロセスパラメータから入手できる情報を使用する。
【0017】
多種多様な仮想センシング技術が利用可能であり、分析技術と経験技術との2つの主要なカテゴリーに分類されることができる。
【0018】
分析技術は、測定推定値の計算の基礎を、着目している量とその他の利用可能な測定量及びパラメータとの関係を規定する物理法則の近似による。
【0019】
「第1原理」モデルに基づく分析的技術を使用する重大な利点は、物理的に測定できない量が関係する物理モデル方程式から導出可能であるとき、物理的に測定できない量の計算を可能にすることである。
【0020】
分析的アプローチの主な欠点は、分析的アプローチが効果的であるために正確な定量的数学モデルを必要とすることである。大規模システムに対し、このような情報は入手できない場合があり、又は、このような情報は編集するため過度に費用がかかり、かつ、時間がかかる場合がある。同様に、プラント又はプロセスに変更が加えられる場合、エンジニアリング作業が物理モデルを更新し修正するために必要になる。モデリングツールがこのようなモデル構築及び維持管理を支援するため利用できるが、プロセス専門家がモデルを最新の状態に保つために必要とされる。
【0021】
経験的技術は、測定推定値の計算の基礎を、同量の利用可能な履歴測定データと、この履歴測定データとその他の利用可能な測定量及びパラメータとの相関とに置く。非測定量の履歴データは、一時的に設置されたセンサシステムを用いる実際の測定キャンペーン、研究室分析の記録、又はオンラインで実行するには計算のために過度に費用がかかる複雑な分析モデルを用いる詳細な推定のいずれかから導出されることができる。詳細な推定は、履歴データを利用できないことが明かである測定できない量を推定するために経験的仮想センサを開発することを望む場合、唯一の可能な選択肢である。
【0022】
経験的仮想センシングは、線形回帰(N.R.Draper and H.Smith,1998.Applied Regression Analysis,Wiley Series in Probability and Statisticsを参照)、重み付き最小二乗回帰(A.Bjorck,1996.Numerical Methods for Least Square Problems,Cambridge.を参照)、カーネル回帰(J.S.Simonoff,1996.Smoothing Methods in Statistics,Springer.を参照)、回帰ツリー(L.Breiman,J.Friedman,R.A.Olshen and C.J.Stone,1984.Classification and regression trees.Wadsworth.を参照)、サポートベクトル回帰(H.Drucker,C.J.C.Burges,L.Kaufman,A.Smola and V.Vapnik,1997.Support Vector Regression Machines.Advance in Neural Information Processing System 9,NIPS 1996,155−161,MIT Press.を参照)、ニューラルネットワーク回帰(J.Hertz,A.Krogh,and R.Palmer,1991.Introduction to the Theory of Neural Computation,Addison−Wesley:Redwood City,California.を参照)などの多種多様の統計モデリング法又は機械学習モデリング法を使用して実施されることができる関数近似及び関数回帰技術に基づく。
【0023】
データ駆動型モデリングとしても知られている経験的モデリングは、条件を分析し、オペレーショナルデータからプロセスの進展を予測するため使用される技術の集合を対象とする。経験的モデリングは、現実の実際的な事例では、どちらも多くの場合に欠けているが、プロセスの詳細な物理的理解も、プラントとプラントのコンポーネントの材料特性、幾何学的構成、及びその他の特徴の知識も必要としないという利点がある。
【0024】
基礎となるプロセスモデルは、多くの場合に「学習」と呼ばれる手続を通じて、測定又はシミュレーションされたプラントデータを一般的な線形又は非線形モデルに当てはめることにより特定される。この学習プロセスは、能動的でも受動的でもよく、プロセス変数間の関係の特定とモデルへの組み込みを伴う。能動的学習プロセスは、勾配に基づくパラメータ調整を通じて誤差関数を最小化する反復プロセスを伴う。受動的学習プロセスは、数学的反復を必要とせず、代表的なデータベクトルを訓練マトリクスに編集することだけで構成される。
【0025】
経験的モデルを設計する際の重要な検討事項は、訓練データが正確な予測が問い合わせされる条件の例を提供しなければならないことである。これは、すべての可能な条件が訓練データの中に存在しなければならないということではなく、訓練データはこれらの条件を適切に対象とすべきであるということである。経験的モデルは、内挿予測を提供するが、訓練データは、この予測が十分に正確であるため、内挿場所の上下を適切に対象としなければならない。正確な外挿、すなわち、訓練データの外側にあるデータの推定値を提供することは、殆どの経験的モデルに対し、可能性がなく、また信頼性もない。
【0026】
経験的モデルは、モデルを開発するため使用されたデータが収集された運転条件と同一又は類似の運転条件に適用されたときに限り確実に正確である。プラント条件又は運転が著しく変化するとき、モデルは学習された空間の外側で外挿するように強制され、その結果は低信頼性である。この観察は、非線形モデルが、既知の線形形式で外挿する線形モデルと異なり、未知の形式で外挿するので、非線形経験的モデルに対して、特に、真実である。人工ニューラルネットワーク及び局所多項式回帰モデルはどちらも非線形であり、一方、主成分分析及び部分最小二乗のような変換に基づく技術は線形技術である。外挿は、線形モデルを使用するとしても、測定されたプロセス変数の間の純粋な線形関係の存在が期待されないので、経験的モデルのため推奨されない。さらに、プロセスに対する線形近似は、これらの極端な領域における訓練データの密度が非常に低いか、又は非存在であるため外挿中に妥当性が低い。
【0027】
人工ニューラルネットワークモデル(J.Hertz,A.Krogh,and R.Palmer,1991.Introduction to The Theory of Neural Computation,Addison−Wesley:Redwood City,Californiaを参照)は、非線形加算装置として動作する単純な計算ノードの層を含む。これらのノードは、重み付き結合線と高度に相互結合され、これらの重みは、訓練データが訓練プロセス中にニューラルネットワークへ与えられたときに調整される。うまく訓練されたニューラルネットワークは種々のタスクを実行可能であり、その中で最も一般的なタスクは、出力値の予測、分類、関数近似、及びパターン認識である。
【0028】
関連付けられた結合重みのセットを有するニューラルネットワークの層だけが正当な処理層として認識される。ニューラルネットワークの入力層は、関連付けられた重みのセットを有するので、真の処理層ではない。それに対して、出力層は関連付けられた重みのセットを有する。従って、ニューラルネットワークの中で層の個数を記述する最も効率的な用語法は、中間層という用語の使用による。中間層は、出力層を除いた正当な層である。
【0029】
ニューラルネットワーク構造は、ある程度の個数の中間層と、出力層とにより構成される。ニューラルネットワークの計算能力は、単一の非線形中間層を備えるニューラルネットワークは、十分な個数の中間ノードが与えられる場合、任意の非線形関数を近似できるという一般的な関数近似理論によって証明された。
【0030】
ニューラルネットワーク訓練プロセスは、ニューラルネットワークの重みを小さい乱数に初期化することから始まる。ネットワークは、その後に、入力ベクトルと、ターゲットと呼ばれることがよくある対応する所望の出力とのセットからなる訓練データが与えられる。ニューラルネットワーク訓練プロセスは、特定の入力ベクトル/ターゲットのペアが与えられた場合に、ネットワークの出力を所望の値に近づけるための内部重みの反復調整である。重みはネットワークが所望の出力を計算する可能性を高めるように調整される。訓練プロセスは、ネットワークの出力値と所望の出力値との間の平均二乗誤差(MSE)を最小化しようとする。MSE関数の最小化は圧倒的に最も一般的なアプローチであるが、その他の誤差関数が利用可能である。
【0031】
ニューラルネットワークは、工業設備からのプロセスデータを監視するパターン認識問題に適用可能である強力なツールである。ニューラルネットワークは、非線形システムを監視し、複雑なデータセットの中の欠陥パターンを認識するため適している。反復訓練プロセスであるため、ニューラルネットワークモデルを作り上げるために必要とされる計算量は、その他のタイプの経験的モデルの計算量より多い。従って、計算要件は、典型的にその他の経験的モデルタイプより制限的であるモデルサイズの上限の原因となる。
【0032】
コミッティモデリングとしても知られているアンサンブルモデリング(T.G.Dietterich(Ed.),2000.Ensemble Methods in Machine Learning,Lecture Notes in Computer Science;Vol.1857.Springer−Verlag,London,UKを参照)は、単一の予測モデルを構築する代わりに、コンポーネントモデルのセットが作り上げられ、それらの独立した予測が単一の集計された予測を生成するため結合される技術である。結果として得られるコンパウンドモデル(アンサンブルと呼ばれる)は、単一のコンポーネントモデルより一般的に正確であり、過剰適合現象に対してよりロバストであるという傾向があり、非常に低減された変動を有し、準最適モデル訓練手続と関連付けられることがある不安定性問題を回避する。
【0033】
アンサンブルでは、各モデルは、一般的に別々に訓練され、各コンポーネントモデルの予測出力がその後にアンサンブルの出力を生成するために結合される。しかしながら、いくつかのモデルの出力の結合は、それらのモデルの予測の間に何らかの形式の「不一致」が存在する場合に限り役に立つ(M.P.Perrone and L.N.Cooper,1992.When networks disagree:ensemble methods for hybrid neural networks,National Science Fundation,USAを参照)。当然、同一のモデルの結合は性能改善を生じない。一般的に採用される一つの方法は、訓練中に各モデルが調べる訓練セットを変更することにより、モデル間の不一致を生成することを試みる、いわゆるバギング法である(L.Breiman,1996.Bagging Predictors,Machine Learning,24(2),pp.123−140を参照)。バギングは、訓練セットのランダムサンプリングに関して各モデルを訓練することにより、アンサンブルのための個体を作成し、最終的な予測を形成する際に、各コンポーネントモデルに等しい重みを与えるアンサンブル法である。アンサンブル生成及びコンポーネントモデル集計のためのその他のより精緻なスキームが存在し、新しいスキームが考え出される。
【0034】
全体的なモデル変動を低減するためのアンサンブルの使用は、悪条件問題を回避し、過剰なモデル変動の類似した制御を実現するためにニューラルネットワークモデルの訓練及びアーキテクチャを制約する正則化法と密接な関係がある(A.V.Gribok,J.W.Hines,A.Urmanov,and R.E.Uhrig.2002.Heuristic,Systematic,and Informational Regularization for Process Monitoring.International Journal of Intelligent Systems,17(8),pp 723−750,Wileyを参照)。
【0035】
米国特許第5386373号明細書の「Virtual continuous emission monitoring system with sensor validation」は、プラントの運転を制御するために、ニューラルネットワークに基づく排出のための仮想センサの使用を開示する。
【0036】
米国特許第6882929号明細書の「NOx emission−control system using a virtual sensor」は、エンジンの運転を制御するために、ニューラルネットワークに基づく、排出のための仮想センサの使用を開示する。
【0037】
米国特許第7280987号明細書の「Genetic algorithm based selection of neural network ensemble for processing well logging data」は、望ましい当てはめ関数値を有するアンサンブルを選択するために多目的当てはめ関数を用いるアルゴリズムを使用して、地球物理データを処理するニューラルネットワークアンサンブルを生成する方法を開示する。
【0038】
仮想センシングは、NOx及びその他のガスを測定するための魅力的な解決法であるが、上記の参照されたシステムより簡単に実施でき、高精度であり、ロバスト性があり、安定性がある仮想センシングのためのシステムが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
本発明は、経験的モデリングのアンサンブルモデリングとの組み合わせによってガス検知に適した仮想センサの精度、ロバスト性、安定性及び簡易性の問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0040】
実施形態では、本発明は、燃焼プロセスから生じるガスの量の推定のためのアンサンブルに基づく仮想センサシステムであって、各経験的モデルがプロセスからの経験的データを使用して訓練されるように用意され、プロセスの1つ以上のセンサから1つ以上の信号入力値を受け取り、信号入力値に基づいて、ガスの量を表現する信号出力値を計算するためさらに用意されている、2つ以上の経験的モデルと、信号出力値を受け取り、信号出力値の関数として、ガスの量を表現する仮想センサ出力値を連続的に計算するため用意されている結合関数とを備える仮想センサシステムである。
【0041】
実施形態では、本発明は、1つ以上のセンサからの1つ以上の信号入力値から、燃焼プロセスから生じるガスの量を推定する方法であって、経験的モデルのアンサンブルをプロセスからの経験的データを用いて訓練するステップと、プロセスの1つ以上のセンサからの1つ以上の信号入力値を訓練された経験的モデルに供給するステップと、信号入力値に基づいて経験的モデルの中の信号出力値の計算を実行するステップと、信号出力値を連続的に結合し、信号出力値の関数として、ガスの量を表現する仮想センサ出力値を計算するステップとを備える方法である。
【0042】
本発明の実施形態では、結合関数(f)は、信号出力値(y、y、...、y)の平均値として仮想センサ出力値(y)を連続的に計算するため用意されている。平均値は、信号出力値(y、y、...、y)の幾何平均もしくは算術平均値として、又は、中央値として計算されることができる。
【0043】
平均計算は、実施が容易であることに加えて、単一ノードの仮想センサを使うと不可能の場合のある所要の精度を達成することも可能にすることが示される。
【0044】
本発明の実施形態では、経験的モデル又は内部ノードのすべてが同一構造でもよい。この設定は、所要の個数の内部ノードがテンプレートノードに基づいて仮想センサシステムの中で簡単にインスタンス化できるという利点がある。さらに、ノードはすべてが燃焼プロセスのセンサから同じ信号入力値のセットを受け取るため用意されてもよい。センサからの信号はすべてのノードに配布され、特別な場合を取り扱う余計な作業が回避される。
【0045】
実施形態では、本発明による仮想センサシステムの精度は、より多数の経験的モデルをインスタンス化することによって高められてもよい。従って、精度を高めるためにシステムの複雑さを増大させることは不要である。単にアンサンブルのサイズを増大することによってより良い結果を達成するこの方法は、例えば、アンサンブルの選択に重点を置くその他の方法とは異なる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による仮想センサシステムの実施形態を示すブロック図である。
【図2】50個の個別推定値(細線)と、実際の値(太い破線)と、アンサンブル出力(太い連続線)との間の比較を示すグラフである。
【図3】右に向かってアンサンブルサイズが増加する状態で、NOxを測定する本発明による仮想センサシステムの実施形態の性能をppm単位で示す図である。
【図4】設備キャリブレーションを示す図である。
【図5】本発明の実施形態によるNOx測定の入力パラメータ及び値を示す図である。
【図6】10入力のテストデータに関するPEMS(予測排出量監視システム)性能を示す図である。
【図7】8入力のテストデータに関するPEMS性能を示す図である。
【図8】728個の個別の出力(赤)、実際の値(緑)、及び、アンサンブル出力(青)の間の比較を示す図である。
【図9】本発明による仮想センサシステムの実施形態におけるアンサンブルの平均絶対誤差(MAE)を示す図である。
【図10】本発明の実施形態により仮想センサシステムが連結されることが可能な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は本発明による燃焼プロセス(CP)から生じるガスの量(G)を測定するため使用される仮想センサシステムの実施形態のブロック図である。
【0048】
本発明の実施形態では、燃焼プロセス(CP)から生じるガスの量(G)の推定のためのアンサンブルに基づく仮想センサシステム(VS)は、2つ以上の経験的モデル(NN、NN、...、NN)を備え、経験的モデル(NN、NN、...、NN)の1つずつがガスの量(G)を推定するため用意され、結合関数(f)が、個別の経験的モデル(NN、NN、...、NN)の1つずつからの信号出力値(y、y、...、y)より正確であるガスの量(G)の推定値を提供するために経験的モデル(NN、NN、...、NN)からの結果を結合するため用意されている。ガスの量(G)は、当業者によって理解されるように濃度又は質量排出量として与えられることができる。測定されるべき燃焼プロセスの中で生成されるガスの例は、NOx、CO、Oなどである。しかしながら、本発明は、当業者によって理解されるように、その他のプロセスからのその他のガスの量を測定するために使用されてもよい。
【0049】
より詳細には、本発明の本実施形態では、経験的モデル(NN、NN、...、NN)の1つずつは、燃焼プロセス(CP)からの経験的データ(ED)を使用して訓練されるように用意されている。本発明の実施形態では、経験的データは、仮想センサシステム(VS)が配置された燃焼プロセス(CP)からの履歴測定データである。非測定量からの経験的データ(ED)は、図1に示されるように、センサ値(I及びI)を用いる一時的に設置されたセンサシステム(S及びS)を使って、ならびに、固定センサ(S、S、...、S)と組み合わされた実際の測定キャンペーンから、研究室分析の記録から、又は、オンラインで実行するには計算のために過度に費用がかかる複雑な分析モデルを使った詳細な推定値から導出されることができる。しかしながら、訓練データは、当業者によって理解されるように、その他の類似したプロセスに由来することも可能である。訓練データは、すべての経験的モデル(NN、NN、...、NN)に対し同一でもよく、相違してもよく、例えば、すべてのプロセス測定量が経験的モデル(NN、NN、...、NN)の1つずつ訓練データのため含まれるとは限らない。これは、経験的モデル(NN、NN、...、NN)の間に多様性を設ける1つの方法である。当業者によって理解されるように、異なる初期化パラメータを設定することによってそれぞれに異なって初期化されても構わない。
【0050】
各経験的モデルは、プロセス(CP)の1つ以上のセンサ(S、S、...、S)から1つ以上の信号入力値(I、I、...、I)を受け取り、信号入力値(I、I、...、I)に基づいて、該ガスの量(G)を表現する各経験的モデル(NN、NN、...、NN)からの信号出力値(y、y、...、y)を計算するためさらに用意されている。その上、仮想センサシステム(VS)は、各経験的モデルから信号出力値(y、y、...、y)を受け取り、信号出力値(y、y、...、y)の関数として、ガスの量(G)を表現する仮想センサ出力値(y)を連続的に計算するため用意された結合関数(f)を備える。
【0051】
実施形態では、本発明は、1つ以上のセンサ(S、S、...、S)からの1つ以上の信号入力値(I、I、...、I)から、燃焼プロセス(CP)から生じるガスの量(G)を推定する方法である。この方法は、プロセス(CP)からの経験的データを使って経験的モデル(NN、NN、...、NN)のアンサンブルを訓練するステップと、訓練された経験的モデル(NN、NN、...、NN)にプロセス(CP)の1つ以上のセンサ(S、S、...、S)からの1つ以上の信号入力値(I、I、...、I)を供給するステップと、信号入力値(I、I、...、I)に基づいて経験的モデル(NN、NN、...、NN)において、ガスの量(G)を表現する信号出力値(y、y、...、y)の計算を実行するステップと、信号出力値(y、y、...、y)を連続的に結合し、信号出力値(y、y、...、y)の関数として、ガスの量(G)を表現する仮想センサ出力値(y)を計算するステップとを備える。
【0052】
本発明の実施形態では、経験的モデル(NN、NN、...、NN)又は内部ノードのすべてが同一構造を有することがある。この設定は、所要の個数の内部ノードがテンプレートノードに基づいて仮想センサシステムの中で簡単にインスタンス化できるという利点がある。本実施形態では、経験的モデルの対応する入力及び出力のフォーマットも同様に同一でもよく、すなわち、経験的モデルNNの入力1のフォーマットは、経験的モデルNN〜NNなどの入力1のフォーマットと同じである。
【0053】
ノードはすべてが燃焼プロセスのセンサ(S、S、...、S)から同じ信号入力値(I、I、...、I)のセットを受け取るため用意されてもよい。センサからの信号はすべてのノードに配布され、特別な場合を取り扱う余計な作業が回避される。
【0054】
経験的モデリングは本文献中で上述され、異なる技術を用いて実施されることができる。本発明の実施形態では、経験的モデルはニューラルネットワークである。
【0055】
仮想センサシステムの結合関数(f)は、異なる基準に基づいて出力値(y)を計算するため用意されてもよい。本発明の実施形態では、結合関数(f)は、信号出力値(y、y、...、y)の平均値として、仮想センサ出力値(y)を連続的に計算するため用意される。平均値は、信号出力値(y、y、...、y)の幾何もしくは算術平均値として、中央値として、又は、2つの中間値の平均のような平均と中央値との組み合わせとして計算されることができる。中央値計算を用いる本発明による仮想センサシステムの性能は、中央値計算が使用されるとき、出力が一般的に個別のノイズ又は不規則性による影響を受けないので、殆どの場合に、平均値計算より優れていることがわかる。
【0056】
このアプローチは、ニューラルネットワークのような経験的回帰モデルの性能の中に予想することができる内在する変動を打ち消す。この変動の原因は、様々の程度の訓練データの過剰適合(すなわち、データの中でノイズをモデル化するという結果になる)、訓練前のニューラルネットワーク・パラメータの典型的にランダムなインスタンス化、及び、ニューラルネットワークモデルをデータに当てはめるため使用される非決定論的な勾配降下技術から生じることがある。
【0057】
図2は3つの要因の組み合わせから生じることがある一種の変動を示し、一組のニューラルネットワーク仮想センサモデルが沖合石油プラットフォームから排出された水中の残留石油濃度を推定するため開発された。同図は、50個のモデルの個別出力と、推定された実際の期待値と、50個の個別推定値のアンサンブル結合とを表している。
【0058】
本発明の実施形態では、結合関数(f)は、経験的モデル(NN、NN、...、NN)からの信号出力値(y、y、...、y)に加えて、プロセスセンサ(S、S、...、S)から直接的に該信号入力値(I、I、...、I)のうちの1つ以上を受け取り、仮想センサ出力値(y)を計算するため用意されている。本発明の本実施形態では、信号出力値(y、y、...、y)は、1つ以上の信号入力値(I、I、...、I)に基づいて、個別、動的に重み付けされる。動的重み付けは、センサ又はセンサからの伝送線のうちの1つ以上に関連したノイズ及び外乱からの仮想センサ出力値への影響を低減し得る。本発明の関連した実施形態では、結合関数(f)は、信号入力値(I、I、...、I)を受け取り、信号出力値(y、y、...、y)と信号入力値(I、I、...、I)と経験的モデル(NN)の構造とに基づいて、仮想センサ出力値(y)を計算するため用意された経験的モデル(NN)である。
【0059】
図3は、本発明による仮想センサシステム(VS)の実施形態の精度又は性能がノードの個数に伴って高まる状況を表している。所与のアプリケーションにおける仮想センサシステムに対する性能要件は変化することがあり、不必要に多数のノードは仮想センサシステム(VS)の初期化プロセスを鈍化することがある。本発明の実施形態では、仮想センサシステム(VS)は、特定の性能基準を提供するため、ある程度の個数の該経験的モデル(NN、NN、...、NN)をインスタンス化することが可能であるように用意されている。本発明の実施形態では、仮想センサシステム(VS)は、ガスの量(G)を表現する仮想センサ出力値(y)の所定の性能要件を達成するため、必要とされる該経験的モデル(NN、NN、...、NN)の個数を動的に割り付けるように用意されている。性能要件は、例えば、ppm(パーツ・パー・ミリオン)単位で与えられることがある。
【0060】
本発明の実施形態では、仮想センサシステム(VS)は図10から理解できるように連結されてもよい。ここでは、燃焼プロセスからのOが本発明による仮想センサシステムの実施形態において推定される方法が明らかにされている。O濃度は、燃焼室コンフィギュレーション、第8段抽気流、ブリード弁気流、燃料流、及び、軸流コンプレッサ気流に基づいて推定される。推定されたO濃度は、付加的なプロセス測定値、すなわち、火炎温度、気圧、周囲湿度、及び、周囲温度と共に、NOx仮想センサシステムへの入力として使用される。仮想センサシステムの連結は、システムの性能を高める上に、経験的モデルの構造及びシステムの訓練を簡素化することがある。
【0061】
異なるアンサンブルサイズを使用する本発明のテストは、アンサンブル性能がアンサンブルサイズの増加に伴って高まることを明らかにしてきた。単にアンサンブルのサイズを増加させることによってより優れた結果を達成するこの方法は、例えば、アンサンブルの選択に重点を置くその他の方法と相違している。これらのテストでは、アンサンブルサイズは、最小値である2個のコンポーネントモデルから最大値である59個のコンポーネントモデルまで変化させられた。各アンサンブルサイズに対し、100回の個別トライアルが実施され、(平均絶対誤差として表現された)結果として生じる性能が計算された。収集された結果は図3に要約され、値が約20〜30個の個体数のアンサンブルサイズで漸減することを表している。図8は700個より多くの出力を備えた極端な事例を示している。
【0062】
PEMS(パラメトリック排出量監視システム)テクノロジーは、当初、ガスタービンの窒素酸化物(NOx)排出量を監視するCEMS(連続排出量監視システム)に対し、より高い費用対効果の代替案を得るために開発された。CEMSは、物理的な汚染物質分析装置測定量を使用して、ガスもしくは粒状物質濃度又は排出率の決定のため必要な全設備である。NOx排出量を直接的に測定する代わりに、PEMSは、燃焼温度、圧力、及び、燃料消費量のような主要な運転パラメータからNOx排出量を計算するので、従ってすべての観点において仮想センサであるとみなすことができる。
【0063】
本発明の実施形態では、ノルウェー大陸棚の沖合石油プラットフォームで動作するGE LM2500 DLEガスタービンは、排出量を最小限に抑えるため、最適パラメータ設定を特定するためにマッピングされた。マッピングを実行するため、物理的な排出量監視設備が設置され、タービンは最適パラメータ設定が特定される負荷の範囲で駆動される。結果はタービン負荷をパラメータ設定にマッピングする表と考えることができる。
【0064】
マッピング中にタービンは連続的に回転させられるので、取得されたデータはPEMSの構築のため理想的ではない。推奨される手続は、タービンのマッピングが終了した後、異なるタービン負荷で付加的なデータを収集することである。しかしながら、この手続は、余計なダウンタイムコストを発生させる可能性がある。
【0065】
取得されたデータは図4に示され、1秒間隔でサンプリングされ、%単位のCO、%単位のO、ppm単位のCO、ppm単位のTHC、ppm単位のNOx、及び15%のOに対し補正されたppm単位のNOxの値である。
【0066】
PEMSモデリングのため使用されたデータは、測定設備の2回の強調表示されたキャリブレーション間の約5時間のデータであった。
【0067】
本実施形態では、選択されたタービンからのプロセスデータが2つの異なるタービン制御システム(ABB及びWoodward)から利用できた。このデータは、陸上のヒストリアン・データシステムへ一部しか反映されず、すなわち、タービンに関連付けられたすべての測定量が陸上で利用可能であるとは限らなかった。
【0068】
ABBシステムからの殆どの測定量はデータヒストリアンに反映されたが、Woodwardシステムからの測定量は、制御システムを停止しプログラム変更を行うことなしに反映させることができなかったので使用されなかった。着目しているタービンに対し、40個の測定量が陸上のプロセスヒストリアンにおいて最終的に利用可能であった。
【0069】
排出量データは、異なるクロック、制御システムのタイムスタンプ及び陸上データヒストリアンのタイムスタンプと一致しないタイムスタンプを備えた携帯型コンピュータシステムで取得された。排出量データとプロセスデータとを同期させるため、2つのデータ系列が、図4に示されているように、キャリブレーション点を表し、プロセス時系列と排出量時系列の両方において整合性を示した有意な変化を視覚的にマッチングすることにより手動で同期させられた。タービンマッピングはデータ内に確実なパターンを作り出すため、この場合に、この方法は可能だった。その他の場合、この手動式同期は実行することが非常に困難であり得るので、従って、使用されたすべてのデータロギング設備のクロックの正確な同期が必要とされる。
【0070】
上述の排出量データ及びプロセスデータが与えられると、ある程度の個数の試行的なPEMSモデルが代替的なPEMS設計及びコンフィギュレーションを模索するために開発された。選択されたタービンのため利用可能であるすべてのプロセス測定量の中から、10個の測定量からなるサブセットがPEMSへの入力に使用されるように選択された。
【0071】
選択された入力は次のとおりである。
燃料ガス供給圧
ガスジェネレータ・コンプレッサ・吐き出し圧−PS3
ガスジェネレータ・排気温度−T54
パワータービン排気温度
燃料ガスレギュレータ位置(インナーリング)
燃料ガスレギュレータ位置(パイロットリング)
燃料ガスレギュレータ位置(アウターリング)
第8段ブリード弁位置
CDPブリード弁位置
ガスジェネレータ空気取り入れ口温度
【0072】
図5は、着目している5時間において、これらの10個の測定量に対応する時系列の概要を示す。
【0073】
これらの入力が与えられると、PEMSが、多数のモデルが個別に構築され、集計されたアンサンブルモデルの中に結合される。この場合、アンサンブルPEMSモデルは、20個の個別PEMSモデルの結合であった。
【0074】
これらのモデルを訓練してテストするため、プロセスデータ及び排出量データの5時間の原データセットは、訓練セット、検証セット、及びテストセットに分割され、訓練セットはモデルを構築するため使用され、検証セットはモデリングを制御するため(すなわち、モデルを訓練データに過剰適合させることを回避するため)使用され、テストセットはモデル性能を評価するため使用された。
【0075】
原データセットを分割するため、データの40%が訓練のため無作為に選択され、30%が検証のため無作為に選択され、残りの30%がテストのため保たれた。
【0076】
テストデータセット(すなわち、モデルを構築するため訓練中に使用されなかったデータ)に基づくPEMS性能の結果は図6にグラフで示され、0.28472ppmの平均絶対誤差を与える。ここで、
【数1】

であり、yは期待値であり、
【数2】

はモデル推定値である。
【0077】
このPEMSアプローチのSAC(非DLE)タービンへの用途の実現可能性を調査するため、選択された測定量のうちの2つ(すなわち、旧式の標準的な燃焼器SACタービンでは利用できない2つのブリード弁位置)が除外され、8個の測定量だけが図7に示されるように入力に取り込まれる付加的なテストが実行された。
【0078】
この場合のテストデータセットに関するPEMS性能の結果は図9にグラフで示され、0.37453ppmのMAEを与える。
【0079】
8入力を用いるPEMSの平均誤差は、10入力全部を用いるPEMSの平均誤差より約30%高い。しかしながら、絶対値において、8入力PEMSの誤差は、3ppm未満という(GE LM2500 DLEのような)低NOxタービンに対する現在の精度要件と比較すると依然として低い。
【0080】
本実施形態では、訓練データとテストデータとの間に高い類似性が存在する。たとえ、訓練データ及びテストデータが完全に分離されたデータセットであるとしても(原データセットから非復元無作為抽出されているとしても)、訓練データ及びテストデータは依然として同じ時系列から取得され、テストセット中の点が訓練セットの中に非常に類似した点を有する可能性は非常に高い。これにもかかわらず、取得された0.28ppmと要求された3ppmとの間の精度の「マージン」は、本実施形態にある程度の信頼を与えるために十分に大きい。
【0081】
別の実施形態では、複数のモデルが生成され、アンサンブルの一部になる特有のモデルを選択する仕組みが使用される。このことは、静的に、すなわち、訓練フェーズの後に1回に限り、始めに望ましくないモデルを廃棄することにより行われるか、又は、動的に、すなわち、現在の運転状態が与えられると、その運転状態の中又は付近においてより優れた性能を実証したコンポーネントモデルを優先する重み付けスキームを導入することにより行われる。
【0082】
さらに別の実施形態では、ハイブリッド型アンサンブルモデル、すなわち、コンポーネントモデルが必ずしも同じタイプではないが、例えば、ニューラルネットワークと同様に、その他の回帰モデル、又は経験的モデル及び分析的モデルの組み合わせとで構成されるアンサンブルが使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経験的モデル(NN、NN、...、NN)の1つずつが、前記プロセス(CP)からの経験的データ(ED)を使用して訓練されるように用意され、前記プロセス(CP)の1つ以上のセンサ(S、S、...、S)から1つ以上の信号入力値(I、I、...、I)を受け取り、前記信号入力値(I、I、...、I)に基づいて、前記ガスの量(G)を表現する信号出力値(y、y、...、y)を計算するためさらに用意されている、2つ以上の経験的モデル(NN、NN、...、NN)と、
前記信号出力値(y、y、...、y)を受け取り、前記信号出力値(y、y、...、y)の関数として、前記ガスの量(G)を表現する仮想センサ出力値(y)を連続的に計算するため用意されている結合関数(f)と
を備える、燃焼プロセス(CP)から生じるガスの量(G)の推定のためのアンサンブルに基づく仮想センサシステム(VS)。
【請求項2】
前記経験的モデル(NN、NN、...、NN)のすべてが同一の構造を有する請求項1に記載の仮想センサシステム(VS)。
【請求項3】
前記経験的モデル(NN、NN、...、NN)のすべてが同じ信号入力値(I、I、...、I)のセットを受け取るため用意されている請求項1に記載の仮想センサシステム(VS)。
【請求項4】
前記経験的モデル(NN、NN、...、NN)がニューラルネットワークである請求項1に記載の仮想センサシステム(VS)。
【請求項5】
前記結合関数(f)が前記信号出力値(y、y、...、y)の平均値として前記仮想センサ出力値(y)を連続的に計算するため用意されている請求項1に記載の仮想センサシステム(VS)。
【請求項6】
前記結合関数(f)が、1つ以上の前記信号入力値(I、I、...、I)を受け取り、前記信号出力値(y、y、...、y)が前記1つ以上の信号入力値(I、I、...、I)に基づいて動的に重み付けされ、仮想センサ出力値(y)を計算するため用意されている請求項1に記載の仮想センサシステム(VS)。
【請求項7】
前記結合関数(f)が、1つ以上の前記信号入力値(I、I、...、I)を受け取り、前記信号出力値(y、y、...、y)と前記信号入力値(I、I、...、I)と前記経験的モデル(NN)の構造とに基づいて仮想センサ出力値(y)を計算するため用意されている経験的モデル(NN)である請求項1に記載の仮想センサシステム(VS)。
【請求項8】
前記センサが前記仮想センサ出力値(y)の所定の性能要件を実現するため、ある程度の個数の前記経験的モデル(NN、NN、...、NN)をインスタンス化できるように用意されている請求項1に記載の仮想センサシステム(VR)。
【請求項9】
1つ以上の前記センサ(S、S、...、S)がガスの量(G)の推定のためのアンサンブルに基づく仮想センサシステム(VS)であり、連結できるように用意されている請求項1に記載の仮想センサシステム(VR)。
【請求項10】
前記プロセス(CP)からの経験的データを使って経験的モデル(NN、NN、...、NN)のアンサンブルを訓練するステップと、
前記訓練された経験的モデル(NN、NN、...、NN)に前記プロセス(CP)の1つ以上のセンサ(S、S、...、S)からの前記1つ以上の信号入力値(I、I、...、I)を供給するステップと、
前記信号入力値(I、I、...、I)に基づいて前記経験的モデル(NN、NN、...、NN)において、前記ガスの量(G)を表現する信号出力値(y、y、...、y)の計算を実行するステップと、
前記信号出力値(y、y、...、y)を連続的に合成し、前記信号出力値(y、y、...、y)の関数として、前記ガスの量(G)を表現する仮想センサ出力値(y)を計算するステップと
を含む、1つ以上のセンサ(S、S、...、S)からの1つ以上の信号入力値(I、I、...、I)から、燃焼プロセス(CP)から生じるガスの量(G)を推定する方法。
【請求項11】
前記経験的モデル(NN、NN、...、NN)のすべてが同一の構造を有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記経験的モデル(NN、NN、...、NN)のすべてに同じ信号入力値(I、I、...、I)のセットを供給するステップを含む請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記経験的モデル(NN、NN、...、NN)がニューラルネットワークである請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記信号出力値(y、y、...、y)の平均値として、ガスの量(G)を表現する前記仮想センサ出力値(y)を連続的に計算するステップを含む請求項10に記載の方法。
【請求項15】
1つ以上の前記信号入力値(I、I、...、I)を連続的に受け取り、前記信号出力値(y、y、...、y)が前記1つ以上の信号入力値(I、I、...、I)に基づいて動的に重み付けされ、仮想センサ出力値(y)を計算するステップを含む請求項10に記載の方法。
【請求項16】
1つ以上の前記信号入力値(I、I、...、I)を受け取り、前記信号出力値(y、y、...、y)と前記信号入力値(I、I、...、I)と前記経験的モデル(NN)の構造とに基づいて仮想センサ出力値(y)を計算するステップを含む請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記仮想センサ出力値(y)の所定の性能要件に基づいて要求された個数の前記経験的モデル(NN、NN、...、NN)を計算するステップを含む請求項10に記載の方法。
【請求項18】
1つ以上の前記信号入力値(I、I、...、I)がそれ自体で請求項11に記載された方法による仮想センサ出力値(y)であることによって反復的である請求項10に記載された方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−537192(P2010−537192A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521805(P2010−521805)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【国際出願番号】PCT/NO2008/000292
【国際公開番号】WO2009/025560
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(510044154)