説明

ガス混合気供給システム

【課題】予備燃料ガスと空気との混合気の状態を迅速に燃焼装置に適した状態に変化させて供給することができるガス混合気供給システムを提供する。
【解決手段】予備燃料ガスG2と空気Aとの混合気Mを燃焼装置Sに供給する予備混合気供給路4を備え、燃焼装置Sとしての、混合気Mのウォッベ指数の適正燃焼範囲が第1ウォッベ指数範囲である第1燃焼器V1あるいは適正燃焼範囲が第1ウォッベ指数範囲と異なる第2ウォッベ指数範囲である第2燃焼器V2に対し、予備燃料ガスG2の供給量を調整して混合気Mの混合比を調整自在とする混合比調整手段を備え、その混合比調整手段は、混合気Mを第1ウォッベ指数範囲内とする第1燃焼器用混合比に混合比を調整する第1燃焼器供給状態と、第2ウォッベ指数範囲内とする第2燃焼器用混合比に混合比を調整する第2燃焼器供給状態とに切換自在に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常燃料ガスの供給を受けて燃焼する燃焼装置及び、前記通常燃料ガスとは異なる予備燃料ガスを貯留する予備燃料ガスタンクに対し、その予備燃料ガスタンクから供給される前記予備燃料ガスに空気を混合させた混合気を前記燃焼装置に供給する予備混合気供給路を備え、
前記燃焼装置が前記予備混合気供給路にて供給される前記混合気で燃焼可能とするガス混合気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のガス混合気供給システムとして、例えば、特許文献1には、予備燃料ガスとしてのLPガスを貯蔵する予備燃料ガスタンクと、その予備燃料ガスタンクから供給されるLPガスに空気を混合して混合気をベンチュリーミキサーによって生成する混合部とが一体に形成され、生成された混合気を燃焼装置等に供給することができるガス混合気供給システムが開示されている。
【0003】
また、他の従来のガス混合気供給システムとして、図4に示すガス混合気供給システムがある。このガス混合気供給システムは、原料ガスとしてのLPガスFを貯蔵する原料ガスタンク51と、この原料ガスタンク51のガス圧力を減圧する中圧調整器52と、この中圧調整器52によって減圧されたLPガスFを空気Aと混合して混合気Mを生成する2つのベンチュリーミキサー53と、この混合気Mを一時的に貯蔵するクッションタンク54とを有しており、クッションタンク54に貯蔵された混合気Mを燃焼装置等に供給することができるとされる。ここで、混合気Mの最大発生能力は約8m3/hとされている。
【0004】
この原料ガスタンク51、遮断弁60、中圧調整器52、開閉弁63、ベンチュリーミキサー53、及び、クッションタンク54は高圧ホース57又はガス導管58で順次接続されている。この高圧ホース57には原料ガス開閉バルブ59が設けられ、緊急時や原料ガスタンク51の交換時に、この原料ガス開閉バルブ59を閉めてLPガスFの供給を停止することができる。また、この高圧ホース57の先端には、LPガスFの供給を遮断する遮断弁60が設けられている。そして、遮断弁60を通過したLPガスFは中圧調整器52を介してガス導管58に導入されるように構成されている。そして、ガス導管58は、ベンチュリーミキサー53へのLPガスFの供給を制御する開閉弁63と、2つのベンチュリーミキサー53が備えられて、クッションタンク54に接続されている。それぞれのベンチュリーミキサー53には、LPガスFへの空気Aの導入を制御する空気弁65が設けられている。また、ガス導管58には、ガス導管58内の圧力によって遮断弁60を制御する上下限圧遮断コントローラ61、71、及び、ガス導管58内の圧力によって開閉弁63を制御する開閉弁コントローラ64が接続されている。そして、クッションタンク54には、クッションタンク54の圧力によって遮断弁60を制御する昇圧防止弁62が接続されるとともに、クッションタンク54内の混合気Mを外部に供給する出口バルブ56を有する供給配管が備えられている。
【0005】
原料ガスタンク51から供給されたLPガスFは、まず、遮断弁60を経由して、中圧調整器52に送り込まれる。この中圧調整器52のダイヤフラム52bは、大気開放状態とされるバネ室52c側からバネ52aによって付勢される一方で、ダイヤフラム室52d側からガス導管58内のLPガスFの圧力(中圧調整器52の出口側圧力)によって付勢されている。従って、両付勢力のバランスによって弁体52eの開弁度が決まり、その出口側圧力が相対的に低くなると、この弁体52eが開弁状態となり、中圧調整器52をLPガスFが通過する。
【0006】
この中圧調整器52を通過したLPガスFは、次に開閉弁63に送り込まれる。この開閉弁63のダイヤフラム63bは、大気開放状態とされるバネ室63c側からバネ63aによって付勢される一方で、ダイヤフラム室63d側からは、ダイヤフラム室63dと連通路67によって接続される開閉弁コントローラ64から伝えられるクッションタンク54内の混合気Mのガス圧力、又は、中圧調整器52の出口側のLPガスFのガス圧力によって付勢される。
そして、ダイヤフラム室63d側にクッションタンク54の混合気Mのガス圧力が伝達される状態となった場合は、ダイヤフラム63bが下方に変位して弁体63eが開弁するように構成される。そして、弁体63eの開弁により開閉弁63を通過したLPガスFは2つのベンチュリーミキサー53に導入される。
【0007】
一方、空気導入管66は2つの空気弁65の空気吸入口65fを互いに接続する状態で設けられて、その空気導入管66の中間部には、空気Aを取入れる空気取入口66aが設けられている。そして、この空気取入口66aより取入れた空気Aが2つの空気弁65の空気吸入口65fに分配されて供給されている。そして、その空気弁65を通過した空気Aはベンチュリーミキサー53に導入されている。
【0008】
そして、混合気Mを生成するベンチュリーミキサー53は、管状部材の内側に、LPガスFを噴射する噴射口(噴射口径2mm程度)を有する噴射ノズル53aを設けたものである。また、ベンチュリーミキサー53に空気Aを導入する空気弁65は、ベンチュリーミキサー53に接続して設けられており、そのダイヤフラム65bは、バネ室65c側からバネ65aによって付勢される一方で、ダイヤフラム室65d側からはガス導管58のLPガスFのガス圧力によって付勢される。
従って、このLPガスFのガス圧力が高くなると、ダイヤフラム65bが上方に変位し弁体65eが開弁方向に動く。一方、LPガスFのガス圧力が低くなると、ダイヤフラム65bが下方に変位し弁体65eが閉弁方向に動く。これによって、空気Aのベンチュリーミキサー53への吸入量が調整され、LPガスFと空気Aとの混合比が一定に保たれる。このようにして生成された混合気Mが、クッションタンク54内に流入して一時的に貯蔵され、必要に応じて、低圧ガバナ55及び出口バルブ56を介して混合気Mを消費する燃焼装置に供給されている。
【0009】
また、ベンチュリーミキサー53内に固定されて設けられるLPガスFを噴出する噴射ノズル53aを、異なる噴射口径を有する別の噴射ノズル53aに交換することで、生成される混合気MにおけるLPガスFと空気Aとの混合比を変更することができるように構成されている。
【0010】
一方、LPガスFの供給圧力が異常となった際に、LPガスFの供給を遮断する遮断弁60が高圧ホース57に設けられている。そのダイヤフラム60bのバネ室60c側には、空気吸入口65fより吸入された空気Aの圧力が連通路68によって伝達される一方で、ダイヤフラム室60d側には、上下限圧遮断コントローラ61又は昇圧防止弁62が作動した際に、それらの弁におけるダイヤフラム室における圧力が連通路69によって伝達されるように構成されている。これにより、例えば、空気吸入口65fより吸入された空気Aの圧力が所定値よりも低くなったときや、クッションタンク54内およびガス導管58内のガス圧力が、所定の圧力範囲を外れる場合に遮断弁60が作動して、原料ガスタンク51から中圧調整器52へのLPガスFの供給が遮断されるように構成されている。
【0011】
上述の特許文献1に開示されるガス混合気供給システムおよび図5に示されるガス混合気供給システムは、いずれも可搬型のシステムとされ、地震などの災害地において都市ガスの供給が停止した場合に、このガス混合気供給システムを災害地に搬送するとともに都市ガスの既設配管に接続して、混合気Mを消費する既設の燃焼装置等に、都市ガスに代えて混合気Mを供給することができ、既設の燃焼装置を稼動させることができるとされている。
この場合、既設配管に設けられている既設の燃焼装置として、燃焼器を動力源とするコージェネレーション設備や加熱設備などに混合気Mを供給することが必要になると考えられ、例えば、そのコージェネレーション設備がガスエンジンなどの内燃機関を有しており、その加熱設備がバーナなどの燃焼器を有する場合では、ガスエンジンとバーナとに混合気Mを供給する必要がある。ここで、ガスエンジンとバーナでは必要とされる混合気Mの状態が異なるために、ガス混合気供給システムは、それぞれの燃焼器において適正な燃焼が行われる状態に混合気Mを調整して供給する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−214306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1には、コージェネレーション設備や加熱設備などの燃焼装置に供給する混合気を、それらの燃焼装置の燃焼器であるガスエンジンやバーナのそれぞれに適した状態に調整して供給することが開示されておらず、燃焼器に供給された混合気が、その燃焼器に適した状態ではない場合は、混合気が適正に燃焼しない可能性がある。例えば、バーナにおいて適正な燃焼が得られる混合気を、そのままガスエンジンに供給すると、ガスエンジンにおいては必ずしも適正な燃焼が行なわれずに、排ガス中にNOxなどの排気規制物質が増加するという問題や、失火が発生してガスエンジンが停止するという問題が発生することがある。
【0014】
また、失火の発生によってエンジンが停止するに至らない場合でも、失火によって燃焼室内で燃焼しなかった燃料が、排気管で燃焼するなどして排気温度が高くなり、これにより、排気管に設けられた排気浄化触媒の温度が上昇して、触媒での排気浄化反応が困難となることに加え、触媒のシンタリングが発生して、触媒機能を低下させるという問題がある。さらに、例えば、エンジンシステムが排気温度異常を検知するとエンジンを強制停止させる触媒保護装置を備える場合、図5に示すように、ガスエンジンが強制的に停止されるという問題が発生する。図5は、時刻T1においてガスエンジンへ供給するガス燃料を都市ガスから、LPガスに変更した場合の触媒入口の排気温度Teの履歴を示している。この結果によると、都市ガスからLPガスに変更することで、失火によって燃焼室内で燃焼しなかった燃料が、排気管で燃焼するなどして排気温度Teが上昇していることがわかる。そして、排気温度Teが、触媒保護装置において予め設定されたエンジン強制停止温度Ts以上となる時刻T2において、ガス燃料遮断手段等によってガス燃料の供給が遮断されて、ガスエンジンが強制停止されるという問題が発生する。
【0015】
一方、ガスエンジンにおいて最適な燃焼が得られる混合気を、バーナに供給すると、バーナでの燃焼状態が酸素不足の状態となって、バーナで形成される火炎の温度が低くなる、従って、例えば、そのバーナが加熱設備などで使用されている場合には、その加熱設備の効率が低下するという問題が発生する。
【0016】
また、図4に示されるガス混合気供給システムにおいては、上述の如く、LPガスFの噴射ノズル53aを噴射口径の異なる別の噴射ノズル53aに交換することで混合気Mにおける混合比を調整することができるものの、噴射ノズル53aはベンチュリーミキサー53内に固定されて設けられているものであるため、噴射ノズル53aを交換するためには、ベンチュリーミキサー53からの噴射ノズル53aの取り外しおよび別の噴射ノズル53aの取り付け作業が必要となるため、その作業に時間を要するという問題が発生する。
【0017】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の燃焼装置において適正燃焼を実現するために、予備燃料ガスと空気との混合気の状態を迅速に燃焼装置に適した状態に変化させて供給することができるガス混合気供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するための本発明に係るガス混合気供給システムは、
通常燃料ガスの供給を受けて燃焼する燃焼装置及び、前記通常燃料ガスとは異なる予備燃料ガスを貯留する予備燃料ガスタンクに対し、その予備燃料ガスタンクから供給される前記予備燃料ガスに空気を混合させた混合気を前記燃焼装置に供給する予備混合気供給路を備え、
前記燃焼装置が前記予備混合気供給路にて供給される前記混合気で燃焼可能とするガス混合気供給システムであって、
前記燃焼装置としての、前記混合気のウォッベ指数の適正燃焼範囲が第1ウォッベ指数範囲である第1燃焼器を有する第1燃焼装置あるいは前記適正燃焼範囲が前記第1ウォッベ指数範囲と異なる第2ウォッベ指数範囲である第2燃焼器を有する第2燃焼装置に対し、前記予備混合気供給路に供給する前記予備燃料ガスの供給量を調整して、前記混合気に於ける前記予備燃料ガスと空気との混合比を調整自在な混合比調整手段を備え、
その混合比調整手段は、前記混合気のウォッベ指数を前記第1ウォッベ指数範囲内とする第1燃焼器用混合比に混合比を調整する第1燃焼器供給状態と、前記混合気のウォッベ指数を前記第2ウォッベ指数範囲内とする第2燃焼器用混合比に混合比を調整する第2燃焼器供給状態とに切換自在に構成されている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、予備燃料ガスに空気が混合された混合気を、適正燃焼範囲が第1ウォッベ指数範囲である第1燃焼器を有する第1燃焼装置と、適正燃焼範囲が前記第1ウォッベ指数範囲と異なる第2ウォッベ指数範囲である第2燃焼器を有する第2燃焼装置に供給して燃焼させることができる。
また、混合比調整手段は、予備燃料ガスの供給量を調整することで、混合気が第1ウォッベ指数範囲内となる第1燃焼器供給状態と第2ウォッベ指数範囲内となる第2燃焼器供給状態とに切換自在に構成されているので、混合比調整手段を第1燃焼器供給状態または第2燃焼器供給状態とすることで、混合気の混合比が調整して、その混合気を第1燃焼装置または第2燃焼装置に供給して適正に燃焼させることができる。つまり、混合比調整手段を第1燃焼器供給状態とすることで、混合気が第1ウォッベ指数範囲内とする第1燃焼器用混合比に調整されるので、その混合気によって、第1燃焼器を適正に燃焼させることができる。また、混合比調整手段を第2燃焼器供給状態とすることで、混合気が第2ウォッベ指数範囲内とする第2燃焼器用混合比に調整されるので、その混合気によって、第2燃焼器を適正に燃焼させることができる。このように、混合気の状態を燃焼装置の燃焼器に適した状態に変化させて供給することで、第1燃焼装置および第2燃焼装置のそれぞれの燃焼器において適正燃焼を実現させることができる。
【0020】
本発明に係るガス混合気供給システムの更なる特徴構成は、
前記第1燃焼器は内燃機関であり、前記第1燃焼装置は、前記内燃機関の排ガスを浄化する排気浄化触媒を備えており、前記第2燃焼器は前記内燃機関以外の燃焼器である点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、第1燃焼器は内燃機関であり、第2燃焼器は内燃機関以外の燃焼器であるので、燃焼方法が異なり、最適な混合気の状態が異なる内燃機関または内燃機関以外の燃焼器のそれぞれに、適正燃焼を実現することができる混合気を供給することができる。
【0022】
また、第1燃焼装置は、内燃機関の排ガスを浄化する排気浄化触媒を備えているので、内燃機関の適正燃焼によって排出される排ガスに含まれる排気規制物質を排気浄化触媒によって浄化することができる。そして、この排気浄化触媒が、排気温度異常を検知するとガスエンジンを強制停止させる触媒保護装置を備える場合でも、第1燃焼器用混合比に調整された混合気が第1燃焼器である内燃機関に供給されるので、ガスエンジンへ供給するガス燃料を都市ガスから混合気に変更することによって、排気温度の上昇による排気温度異常が検知されることはなく、ガスエンジンが強制停止されることを防止することができる。さらに、ガスエンジンが強制停止するに至らない場合でも、排気温度が上昇すると、排気浄化触媒での排気浄化反応が困難になることに加え、触媒のシンタリングが発生するが、第1燃焼器用混合比に調整された混合気が第1燃焼器である内燃機関に供給されるので、排気温度の上昇が発生せずに、触媒機能が低下することを防止することができる。
【0023】
本発明に係るガス混合気供給システムの更なる特徴構成は、
前記第1燃焼装置は、前記内燃機関を動力源として発電する発電装置と、前記内燃機関で発生した排熱を回収する排熱回収装置とを備えているコージェネレーションシステムまたは前記内燃機関を動力源として駆動するコンプレッサを備えたヒートポンプシステムにて構成されている点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、第1燃焼装置は、内燃機関を動力源として発電する発電装置を備えているコージェネレーションシステムまたは内燃機関を動力源として駆動するコンプレッサを備えたヒートポンプシステムにて構成されているので、第1ウォッベ指数範囲内に調整された混合気が内燃機関で適正燃焼されることによって、コージェネレーションシステムとした場合には、高い発電効率において発電が可能となる。一方、ヒートポンプシステムとした場合には、高いエネルギー効率を得ることができ、例えば、ヒートポンプシステムを空調設備に利用することで優れた暖房または冷房能力を得ることができる。さらに、コージェネレーションシステムとする場合には、内燃機関で発生した排熱を回収する排熱回収装置が備えられるので、例えば、内燃機関で発生する冷却水や排ガスによる排熱を排熱回収装置で回収することができ、高い熱効率を実現することができる。
【0025】
本発明に係るガス混合気供給システムの更なる特徴構成は、
前記予備混合気供給路に、前記予備燃料ガスの流通により発生する吸引力によって空気を吸引して前記予備燃料ガスに空気を混合させるベンチュリーミキサーが備えられ、前記混合比調整手段は、前記ベンチュリーミキサーに供給する前記予備燃料ガスの圧力および流量の少なくとも一方を調整して、前記予備燃料ガスと空気との混合比を調整自在とするように構成されている点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、予備混合気供給路に、ベンチュリーミキサーが備えられるので、予備燃料ガスがベンチュリーミキサーを通流することによって発生する吸引力によって、例えば、そのベンチュリーミキサーの入口近傍に空気供給口を設けることで、空気をベンチュリーミキサーに吸引して予備燃料ガスに空気を混合させることができる。
また、混合比調整手段は、ベンチュリーミキサーに供給する予備燃料ガスの圧力および流量の少なくとも一方を調整して、混合気の混合比を調整自在とするように構成されているので、混合比調整手段によって、予備燃料ガスの圧力および流量少なくとも一方を調整するだけで、予備燃料ガスと空気との混合比を迅速に燃焼装置の燃焼器に適した状態に調整することができる。従って、迅速に混合気のウォッベ指数を第1ウォッベ指数範囲内または第2ウォッベ指数範囲内に調整することができるとともに、第1ウォッベ指数範囲内に調整した混合気を第1燃焼器に、第2ウォッベ指数範囲内に調整した混合気を第2燃焼器にそれぞれ供給することで、それぞれの燃焼器において適正燃焼を実現することができる。
【0027】
本発明に係るガス混合気供給システムの更なる特徴構成は、
前記混合比調整手段に対して、前記第1燃焼器供給状態への切換及び前記第2燃焼器供給状態への切換を指令する指令スイッチが備えられ、前記混合比調整手段は、前記指令スイッチによる指令に基づいて、前記第1燃焼器供給状態と前記第2燃焼器供給状態との間での切換を行うように構成されている点にある。
【0028】
上記特徴構成によれば、指令スイッチによる指令に基づいて、混合比調整手段を、第1燃焼器供給状態と第2燃焼器供給状態との間での切換を行う指令スイッチが備えられるので、指令スイッチの操作によって、混合比調整手段を、第1燃焼器供給状態と第2燃焼器供給状態との間で簡単かつ迅速に切換えることができる。
【0029】
本発明に係るガス混合気供給システムの更なる特徴構成は、
前記混合気を供給する供給対象燃焼器が、前記第1燃焼器か前記第2燃焼器かの情報を取得して、前記混合比調整手段に対して、前記第1燃焼器供給状態への切換及び前記第2燃焼器供給状態への切換を指令する指令手段が備えられ、前記混合比調整手段は、前記指令手段による指令に基づいて、前記第1燃焼器供給状態と前記第2燃焼器供給状態との間での切換を行うように構成されている点にある。
【0030】
この構成では、混合気の供給対象である供給対象燃焼器に関する情報を、指令手段が取得し、取得された情報に従って、混合比調整手段における、第1燃焼器供給状態と第2燃焼器供給状態の選択を行える。結果、各燃焼器を適切な状態で燃焼させることが可能となる。この構成において、特に、混合気の供給対象である燃焼装置(具体的には燃焼器)から、指令手段へ、第1燃焼器であるか第2燃焼器であるかの情報を送るように構成しておくと、非常時等に、自動的に適切な混合気を燃焼器へ送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ガス混合気供給システムの概略図。
【図2】混合比調整手段および混合部の概略図。
【図3】都市ガスおよび混合気のウォッベ指数と燃焼速度との関係を示す図。
【図4】従来のガス混合気供給システムの概略図。
【図5】従来のガス混合気供給システムにおけるガスエンジンの排気温度を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係るガス混合気供給システムを図面に基づいて説明する。
本実施形態に係るガス混合気供給システム1は、図1に示すように、都市ガス供給路2を流通する都市ガスG1(通常燃料ガスに相当する)の供給を受けて燃焼する複数の燃焼装置Sを混合気Mの供給対象とし、都市ガスG1とは異なるLPガスG2(予備燃料ガスに相当する)を貯留するLPガスタンク3(予備燃料ガスタンクに相当する)からLPガスG2の供給を受け、そのLPガスG2に空気Aを混合させた混合気Mを燃焼装置Sに供給するLPガス混合気供給路4(予備混合気供給路に相当する)を備えている。そして、混合気Mは、LPガス混合気供給路4に設けられた混合気生成装置Nによって生成される。
これにより、都市ガス供給路2によって都市ガスG1の供給が受けられなくなった場合に、燃焼装置Sは、LPガス混合気供給路4にて供給されるLPガスG2と空気Aとの混合気Mによって燃焼可能となる。
【0033】
都市ガス供給路2とLPガス混合気供給路4とは接続部5において接続されて一本の共通流路6を形成して、共通流路6の下流側の分岐部7で再び分岐されて、複数の燃焼装置Sへと接続されている。
そして、接続部5には、都市ガス供給路2と共通流路6を接続して都市ガスG1を燃焼装置Sに供給する都市ガス供給状態と、LPガス混合気供給路4と共通流路6を接続して混合気Mを燃焼装置Sに供給する混合気供給状態とを択一的に選択することができる供給路側三方弁10が設けられている。
【0034】
また、燃焼装置Sとしては、混合気Mのウォッベ指数の適正燃焼範囲がガスエンジン用ウォッベ指数範囲W1(第1ウォッベ指数範囲に相当する)であるガスエンジンV1(第1燃焼器に相当する)を有するコージェネレーションシステムS1(第1燃焼装置に相当する)と、適正燃焼範囲がガスエンジン用ウォッベ指数範囲W1と異なるバーナ用ウォッベ指数範囲W2(第2ウォッベ指数範囲に相当する)であるバーナV2(第2燃焼器に相当する)を有する加熱装置S2(第2燃焼装置に相当する)とが備えられる。
【0035】
そして、ガスエンジンV1に都市ガスG1または混合気Mを供給するガスエンジン用供給路8と、バーナV2に都市ガスG1または混合気Mを供給するバーナ用供給路9が設けられるとともに、共通流路6の下流側の分岐部7には、共通流路6とガスエンジン用供給路8を接続して都市ガスG1または混合気MをガスエンジンV1に供給可能なガスエンジン接続状態と、共通流路6とバーナ用供給路9を接続して都市ガスG1または混合気MをバーナV2に供給可能なバーナ接続状態とを択一的に選択することができる燃焼装置側三方弁11が設けられている。
【0036】
コージェネレーションシステムS1は、ガスエンジンV1の排ガスEを浄化する排気浄化触媒12を備えるとともに、ガスエンジンV1を動力源として発電する発電装置13と、ガスエンジンV1で発生した排熱を回収する排熱回収装置14とを備えて構成されている。一方、加熱装置S2は、バーナV2と、点火手段15とを備えて構成されている。
【0037】
また、コージェネレーションシステムS1において、ガスエンジンV1は、発電装置13からの負荷に応じて、その出力を増減するようにスロットルバルブ(図示せず)の開度が調整される。また、発電装置13は、ガスエンジンV1によって駆動され、商用電力系統(図示せず)と連系して発電した電力を商用電力系統に供給可能に構成されている。
一方、排熱回収装置14は、ガスエンジンV1から排出された排ガスEにて貯湯タンク17に給水された水を循環加熱する排ガス熱交換器19とを備えている。排熱回収装置14は、循環ポンプ(図示せず)を作動させて貯湯タンク17の水を排ガス熱交換器19に循環させ、排ガスEの排熱を回収可能に構成されている。そして、回収した排ガスEの排熱により加熱された温水を貯湯タンク17に貯留させ、その温水を給湯利用箇所や暖房機器等の熱負荷(図示せず)に給湯可能に構成されている。
【0038】
一方、加熱装置S2において、バーナV2は、バーナ用供給路9によって供給される都市ガスG1または混合気Mに対して空気を予混合して、バーナV2の火炎ノズルで燃焼させるものである。例えば、バーナV2の火炎ノズルの直前に設けられて都市ガスG1または混合気Mに空気を予混合する方式のものなど、種々の方式の一般的なバーナが適用可能である。また、加熱装置S2には、バーナV2を点火することができる点火手段15が設けられている。
【0039】
また、ガスエンジンV1の排ガスEを浄化する排気浄化触媒12は、例えば、酸化ジルコニウムを主成分とする無機酸化物にイリジウムを担持して構成された三元触媒として構成することができる。これにより、排ガスEが低温でも低温浄化性能に優れたものとしつつ、排ガスE中に排出された未燃の都市ガスG1の主成分であるメタンまたはLPガスG2の主成分であるプロパンを還元剤として排ガスE中の窒素酸化物を浄化することができる。
【0040】
次に、混合気生成装置Nについて図2に基づいて説明する。混合気生成装置Nは図2に示すように、混合比調整弁30(混合比調整手段に相当する)およびLPガス混合気供給路4に設けられたベンチュリーミキサー31によって構成されている。ベンチュリーミキサー31にLPガスG2を供給するガス管に、混合気Mの混合比を調整自在な圧力調整弁で構成される混合比調整弁30が備えられ、その混合比調整弁30は、混合気Mのウォッベ指数をガスエンジン用ウォッベ指数範囲W1内とするガスエンジン用混合比(第1燃焼器用混合比に相当する)に混合比を調整するガスエンジン供給状態(第1燃焼器供給状態に相当する)と、混合気Mのウォッベ指数をバーナ用ウォッベ指数範囲W2内とするバーナ用混合比(第2燃焼器用混合比に相当する)に混合比を調整するバーナ供給状態(第2燃焼器供給状態に相当する)とに切換自在に構成されている。これにより、混合比調整弁30をガスエンジン供給状態またはバーナ供給状態とすると、混合比調整弁30の出口側のガス圧力がそれぞれの供給状態に対応する圧力となる。従って、ベンチュリーミキサー31へのLPガスG2の供給圧力が、ガスエンジン供給状態またはバーナ供給状態に対応した供給圧力となる。
【0041】
そして、ベンチュリーミキサー31は、図2に示すように、LPガス混合気供給路4に設けられたベンチュリー管31aと、このベンチュリー管31aの開口部において、ガスの流動方向に向けてLPガスG2を噴射する噴射ノズル31bと、この噴射ノズル31bの近傍に設けられた空気Aの空気供給口31cより構成されている。
従って、混合比調整弁30をガスエンジン供給状態またはバーナ供給状態とすると、ベンチュリーミキサー31の噴射ノズル31bから噴射されるLPガスG2の噴射圧力が、ガスエンジン供給状態またはバーナ供給状態に対応した噴射圧力となって、これにより、噴射ノズル31bからのLPガスG2の噴射状態が異なるものとなる。
【0042】
また、ベンチュリーミキサー31は、LPガスG2の通流により吸引力を発生して、その吸引力によって空気Aを吸引してLPガスG2に空気Aを混合させる構成とされており、混合比調整弁30は、ベンチュリーミキサー31に供給するLPガスG2の圧力を調整して、混合比を調整可能に構成されている。つまり、混合比調整弁30は、その状態を、上述のように、ガスエンジン供給状態とバーナ供給状態とに切り替えて、その出口側のLPガスG2のガス圧力を調整して、ベンチュリーミキサー31において噴射ノズル31bから噴射されるLPガスG2の噴射圧力を変更可能に構成されている。
【0043】
具体的には、混合気Mはベンチュリーミキサー31において、噴射ノズル31bからLPガスG2がベンチュリー管31aへ吹き込まれ、その吹き込みによって、ベンチュリー管31aの入口近傍に設けられた空気供給口31cより、空気Aがエゼクタ作用による吸引力によって所定の割合でベンチュリー管31aに吸引されて、その空気AとLPガスG2とが混合されて混合気Mが生成される。その際、混合比調整弁30によって、ガスエンジン供給状態とバーナ供給状態とに切り替えて、ベンチュリーミキサー31への空気Aの吸入量を調整できるように構成されている。つまり、混合比調整弁30が、ガスエンジン供給状態とバーナ供給状態とに切り替えによって、噴射ノズル31bからのLPガスG2の噴射圧力が変更させるとともに噴射流量が変更されて、ベンチュリー管31aを通過するLPガスG2の流速が変化する。その結果、ベンチュリーミキサー31の空気供給口31cに発生する吸引力が変化して、空気Aの吸入量が変化する。このように、LPガスG2の流量の変化に伴って、空気Aの吸入量が変化するが、それぞれの流量の変化割合が異なっているので、LPガスG2と空気Aの混合気Mの混合比を調整することが可能となっている。
【0044】
なお、LPガスタンク3のガス圧力は、例えば、0.15〜1.56MPa程度とされるが、このLPガスG2のガス圧力は、LPガスタンク3に装備されている図示しない減圧弁等によって減圧されて混合比調整弁30に供給されている。また、調整弁34によって混合気Mの圧力を所望の圧力(例えば1.5〜2.5kPa)として燃焼装置Sに供給することができるように構成されている。
【0045】
また、ガス混合気供給システム1の主要構成機構となっている混合気生成装置Nには、混合比調整弁30に対してガスエンジン供給状態への切換及びバーナ供給状態への切換を指令する指令スイッチ32が指令制御部33に備えられている。指令制御部33は、指令スイッチ32による指令に基づいて、混合比調整弁30の状態を、混合気Mのウォッベ指数をガスエンジン用ウォッベ指数範囲W1内とするガスエンジン用混合比に混合比を調整するガスエンジン供給状態と、混合気Mのウォッベ指数をバーナ用ウォッベ指数範囲W2内とするバーナ用混合比に混合比を調整するバーナ供給状態とに変化させて、出口側のガス圧力の切換を行うように構成されている。
【0046】
ここで、ウォッベ指数WIは、WI=H/SQRT(S)によって表され、Hは混合気Mの総発熱量であり、Sは混合気Mの比重である。総発熱量Hを比重Sの2乗根で除するのは、燃焼器V1、V2の燃料ノズルからの混合気Mの噴出量が1/SQRT(S)に比例するからである。よって、ウォッベ指数は、燃焼器V1、V2への混合気Mの入熱量を示す指数となっている。そして、それぞれの燃焼器V1、V2は、その燃焼方式などによって最適な固有のウォッベ指数範囲W1、W2を有している。従って、混合気Mが燃焼器V1、V2において適正に燃焼するために、ガスエンジンV1に供給する混合気Mは、ガスエンジン用ウォッベ指数範囲W1内に調整された混合気Mであり、バーナV2に供給する混合気Mは、バーナ用ウォッベ指数範囲W2内に調整された混合気Mであることが必要である。
【0047】
そして、指令制御部33に設けられた指令スイッチ32の操作によって、混合比調整弁30の状態を、ガスエンジン供給状態とバーナ供給状態との間で切り替えると、指令制御部33は、それに応じて分岐部7の燃焼装置側三方弁11が制御されるように構成されている。つまり、指令スイッチ32によって混合比調整弁30をガスエンジン供給状態とした場合は、それに連動して分岐部7に設けられた燃焼装置側三方弁11が制御されて、ガスエンジン用供給路8と共通流路6を接続するガスエンジン接続状態となるように制御される。一方、指令スイッチ32によって混合比調整弁30をバーナ供給状態とした場合は、それに連動して分岐部7の燃焼装置側三方弁11が制御されて、バーナ用供給路9と共通流路6を接続するバーナ接続状態となるように制御される。
【0048】
このようにして、混合気生成装置Nにおいて生成された混合気Mを、混合比調整弁30の出口側のガス圧力を調整しつつ、ガスエンジンV1またはバーナV2に供給して燃焼させるのであるが、図3に基づいて、混合気Mの供給先をバーナV2からガスエンジンV1に変更する場合、すなわち、混合比調整弁30をバーナ供給状態からガスエンジン供給状態へ変更する時の混合気Mの状態の変化の一例について説明する。
図3は都市ガスG1および混合気Mのウォッベ指数(WI)と最大燃焼速度(MCP)との関係を示す図である。バーナV2において適正燃焼を可能にする混合気Mのバーナ用ウォッベ指数範囲W2は、バーナV2の形式によって異なるものであるが、例えば、図3中の鎖線で示される範囲(WI=53.0〜54.0)とされる。また、ガスエンジンV1において適正燃焼を可能にする混合気Mのガスエンジン用ウォッベ指数範囲W1は、ガスエンジンV1の形式によって異なるが、例えば、図3中の鎖線で示される範囲(WI=56.0〜57.0)とされる。
【0049】
一方、最大燃焼速度とは、混合気Mをある空気比としたときに得られる燃焼速度の最大値であり、混合気Mに固有の値である。この最大燃焼速度が適正燃焼を得られる範囲を逸脱していると、例えば、火炎がバーナV2より浮き上がる現象や火炎がバーナV2内に燃え戻る現象が生じて、安定した燃焼の確保が困難となる。従って、バーナV2に供給する混合気Mの最大燃焼速度は、バーナV2において安定した燃焼が確保できるバーナ用燃焼速度範囲C2内の値であることが必要である。同様に、ガスエンジンV1に供給する混合気Mの最大燃焼速度は、ガスエンジンV1において安定した燃焼が確保できるガスエンジン用燃焼速度範囲C1内の値であることが必要である。
【0050】
そして、バーナ供給状態においては、上述のように混合比調整弁30が指令制御部33によって制御され、ガスエンジン供給状態としたときよりも、比較的LPガスG2の混合割合が少なく、発熱量が低い混合気Mが生成されて、図3に示すように、ウォッベ指数がバーナ用ウォッベ指数範囲W2内となるバーナ用ウォッベ指数Wb(例えばWb=53.5)に調整されるとともに、最大燃焼速度がバーナ用燃焼速度範囲C2内とされるバーナ用混合気M2が生成される。同時に、指令制御部33によって燃焼装置側三方弁11が制御され、バーナ用供給路9と共通流路6とが流通可能に接続されたバーナ接続状態となって、混合気MがバーナV2に供給されて、バーナV2において適正に燃焼される。
【0051】
次に、混合気MをガスエンジンV1に供給するには、混合気生成装置Nの指令制御部33の指令スイッチ32を操作して、混合比調整弁30の状態を、バーナ供給状態からガスエンジン供給状態に変更する。ガスエンジン供給状態に変更すると、バーナ供給状態において生成されたバーナ用混合気M2よりもLPガスG2の混合割合が多く、発熱量が高いガスエンジン用混合気M1が生成される。これにより、図3に破線矢印で示すように、ウォッベ指数がバーナ用混合気M2おける値から上昇して、ガスエンジン用ウォッベ指数範囲W1内となるガスエンジン用ウォッベ指数Wa(例えばWa=56.5)に調整されるとともに、最大燃焼速度がガスエンジン用燃焼速度範囲C1内とされるガスエンジン用混合気M1が生成される。そして、このLPガスG2のガスエンジン用混合気M1におけるガスエンジン用ウォッベ指数Waは、都市ガス供給状態において、都市ガス供給路2よりガスエンジンV1に供給される都市ガスG1のウォッベ指数と略同一の値となっている。
また、混合比調整弁30がガスエンジン供給状態に調整されると同時に、指令制御部33によって燃焼装置側三方弁11が制御されて、ガスエンジン用供給路8と共通流路6とが接続されたガスエンジン接続状態となって、混合気MがガスエンジンV1に供給されて、ガスエンジンV1において適正に燃焼される。
【0052】
そして、このガス混合気供給システム1は、上述のような構成とされて、地震時などの緊急時において、都市ガスG1の供給配管が切断されて、都市ガスG1が供給されなくなった場合においても、LPガスタンク3に貯留されているLPガスG2と空気Aとによって混合気Mを生成して燃焼装置Sに供給することで、燃焼装置Sを稼動させることを可能にするものである
【0053】
〔別実施形態〕
(A)上記実施形態においては、LPガス混合気供給路4に設けられたLPガスG2を噴射する噴射ノズル31bの上流側において、LPガスG2の圧力および流量の少なくとも一方を調整する混合比調整弁30を設けたが、これに加えて、空気Aをベンチュリーミキサー31へ供給する供給管に空気Aの供給量を調整可能な空気用混合比調整弁を設けて、混合比調整弁30および空気用混合比調整弁の両方を調整して、空気AおよびLPガスG2のベンチュリーミキサー31への供給量を調整して、混合気Mの混合比を調整自在に構成してもよい。
【0054】
(B)上記実施形態においては、LPガス混合気供給路4のベンチュリーミキサー31に供給される空気Aは、LPガスG2の通流により発生する吸引力によって空気供給口31cから吸引されてLPガスG2に混合される構成とされているが、この空気Aは加圧された状態で空気供給口31cに供給されていてもよい。これにより、より混合気Mのウォッベ指数を広い範囲において迅速に調整することができる。
【0055】
(C)上記実施形態においては、混合比調整弁30は、LPガスG2のベンチュリーミキサー31への供給圧力を調整する圧力調整弁とされたが、これに限らず、混合比調整弁30を、LPガスG2の流量を調整する流量調整弁として、LPガスG2のベンチュリーミキサー31への供給流量を調整することで混合気Mの混合比を調整自在となるように構成されていてもよい。
【0056】
(D)上記実施形態においては、ベンチュリーミキサー31と調整弁34は、LPガス混合気供給路4でのみで接続されているが、これに限らず、LPガス混合気供給路4において、ベンチュリーミキサー31と調整弁34との間に、混合気Mが一時貯蔵される小型のクッションタンクを設けてもかまわない。
【0057】
(E)上記実施形態においては、第1燃焼装置は、内燃機関を動力源として発電する発電装置13を備えているコージェネレーションシステムS1としたが、これに限らず、第1燃焼装置は、内燃機関を動力源として駆動するコンプレッサを備えたヒートポンプシステムにより構成されていてもよい。
【0058】
(F)上記実施形態においては、混合比調整弁30における、第1燃焼器供給状態と第2燃焼器供給状態との間での切換を、指令スイッチ32の選択によるものとして説明したが、本来、この状態選択は、混合気Mの供給先の特性に起因するため、混合気Mを供給する供給対象燃焼器が、第1燃焼器か第2燃焼器かの情報を、第1燃焼器(第1燃焼装置)、第2燃焼器(第2燃焼装置)から取得して、混合比調整弁30に対して、第1燃焼器供給状態への切換及び第2燃焼器供給状態への切換を指令する指令手段を設け、混合比調整弁30は、この指令手段による指令に基づいて、第1燃焼器供給状態と第2燃焼器供給状態との間での切換を行うようにしてもよい。
このようにすると、混合気Mの供給対象燃焼器から自動的に正確な情報を得て適正な燃焼を確保できる。なお、上記実施形態においては、第1燃焼装置をコージェネレーションシステムS1とし、第2燃焼装置を加熱装置S2として構成されるとともに、第1燃焼器をガスエンジンV1とし、第2燃焼器をバーナV2として構成されている。
【0059】
(G)上記実施形態においては、第2燃焼装置は、バーナV2を有する加熱装置S2としたが、これに限らず、第2燃焼装置を、バーナV2によって加熱される再生器を備えた吸収式冷凍機としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上説明したように、複数の燃焼装置において適正燃焼を実現するために、予備燃料ガスと空気との混合気の状態を迅速に燃焼装置に適した状態に変化させて供給することができるガス混合気供給システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 ガス混合気供給システム
3 LPガスタンク(予備燃料ガスタンク)
4 LPガス混合気供給路(予備混合気供給路)
12 排気浄化触媒
13 発電装置
14 排熱回収装置
30 混合比調整弁(混合比調整手段)
31 ベンチュリーミキサー
32 指令スイッチ
A 空気
G1 都市ガス(通常燃料ガス)
G2 LPガス(予備燃料ガス)
M 混合気
S 燃焼装置
S1 コージェネレーションシステム(第1燃焼装置)
S2 加熱装置(第2燃焼装置)
V1 ガスエンジン(第1燃焼器)
V2 バーナ(第2燃焼器)
W1 ガスエンジン用ウォッベ指数範囲(第1ウォッベ指数範囲)
W2 バーナ用ウォッベ指数範囲(第2ウォッベ指数範囲)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常燃料ガスの供給を受けて燃焼する燃焼装置及び、前記通常燃料ガスとは異なる予備燃料ガスを貯留する予備燃料ガスタンクに対し、その予備燃料ガスタンクから供給される前記予備燃料ガスに空気を混合させた混合気を前記燃焼装置に供給する予備混合気供給路を備え、
前記燃焼装置が前記予備混合気供給路にて供給される前記混合気で燃焼可能とするガス混合気供給システムであって、
前記燃焼装置としての、前記混合気のウォッベ指数の適正燃焼範囲が第1ウォッベ指数範囲である第1燃焼器を有する第1燃焼装置あるいは前記適正燃焼範囲が前記第1ウォッベ指数範囲と異なる第2ウォッベ指数範囲である第2燃焼器を有する第2燃焼装置に対し、前記予備混合気供給路に供給する前記予備燃料ガスの供給量を調整して、前記混合気に於ける前記予備燃料ガスと空気との混合比を調整自在な混合比調整手段を備え、
その混合比調整手段は、前記混合気のウォッベ指数を前記第1ウォッベ指数範囲内とする第1燃焼器用混合比に混合比を調整する第1燃焼器供給状態と、前記混合気のウォッベ指数を前記第2ウォッベ指数範囲内とする第2燃焼器用混合比に混合比を調整する第2燃焼器供給状態とに切換自在に構成されているガス混合気供給システム。
【請求項2】
前記第1燃焼器は内燃機関であり、前記第1燃焼装置は、前記内燃機関の排ガスを浄化する排気浄化触媒を備えており、前記第2燃焼器は前記内燃機関以外の燃焼器である請求項1に記載のガス混合気供給システム。
【請求項3】
前記第1燃焼装置は、前記内燃機関を動力源として発電する発電装置と、前記内燃機関で発生した排熱を回収する排熱回収装置とを備えているコージェネレーションシステムまたは前記内燃機関を動力源として駆動するコンプレッサを備えたヒートポンプシステムにて構成されている請求項2に記載のガス混合気供給システム。
【請求項4】
前記予備混合気供給路に、前記予備燃料ガスの流通により発生する吸引力によって空気を吸引して前記予備燃料ガスに空気を混合させるベンチュリーミキサーが備えられ、前記混合比調整手段は、前記ベンチュリーミキサーに供給する前記予備燃料ガスの圧力および流量の少なくとも一方を調整する請求項1〜3の何れか1項に記載のガス混合気供給システム。
【請求項5】
前記混合比調整手段に対して、前記第1燃焼器供給状態への切換及び前記第2燃焼器供給状態への切換を指令する指令スイッチが備えられ、前記混合比調整手段は、前記指令スイッチによる指令に基づいて、前記第1燃焼器供給状態と前記第2燃焼器供給状態との間での切換を行うように構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載のガス混合気供給システム。
【請求項6】
前記混合気を供給する供給対象燃焼器が、前記第1燃焼器か前記第2燃焼器かの情報を取得して、前記混合比調整手段に対して、前記第1燃焼器供給状態への切換及び前記第2燃焼器供給状態への切換を指令する指令手段が備えられ、前記混合比調整手段は、前記指令手段による指令に基づいて、前記第1燃焼器供給状態と前記第2燃焼器供給状態との間での切換を行うように構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載のガス混合気供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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