ガス絶縁開閉装置
【課題】 接続ケーブルが不要で小型化を図る2L−4CB−2B(バイパス付)のガス絶縁開閉装置を提供すること
【解決手段】 受電線1L,2Lに接続される回路と、変圧器1B,2Bに接続される回路を同一の筐体内に実装する第1,第2受電・変圧器ユニット11,12と、両ユニット間内の各回路同士を接続するバイパス回路を備える母線連絡断路器ユニット13と、両受電・変圧器ユニットにそれぞれ接続されるVCT断路器ユニット14,バイパス断路器ユニット16と、VCT断路器ユニットに接続される計器用変成器ユニット15と、を備える。各ユニット同士の接続部位は、6本の母線を装着する六相絶縁スペーサ20〜24が配置される。
【解決手段】 受電線1L,2Lに接続される回路と、変圧器1B,2Bに接続される回路を同一の筐体内に実装する第1,第2受電・変圧器ユニット11,12と、両ユニット間内の各回路同士を接続するバイパス回路を備える母線連絡断路器ユニット13と、両受電・変圧器ユニットにそれぞれ接続されるVCT断路器ユニット14,バイパス断路器ユニット16と、VCT断路器ユニットに接続される計器用変成器ユニット15と、を備える。各ユニット同士の接続部位は、6本の母線を装着する六相絶縁スペーサ20〜24が配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス絶縁開閉装置(以下、「GIS」という。)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1及び図2は、受変電設備の一例である2L−4CB−2B(バイパス断路器付)(以下、バイパス付きとする)から構成されるGISを示している。図1はそのGISのスケルトン図であり、図2はそのGISのレイアウトを示す正面図である。このGISは、1Lと2Lの2回線で受電でき、装置内に実装される各接点を開閉することで所定の経路を構成し、二系統の変圧器1B,2Bに電力供給をするものであり、具体的な構成は、以下の通りである。まず、各回線1L,2Lにそれぞれ接続される受電回路を実装した第1,第2受電ユニット6,4と、二系統の変圧器1B,2Bにそれぞれ接続される第1,第2変圧器ユニット1,3と、それら第1,第2変圧器ユニット1,3間を接続するための変圧器側母線連絡断路器ユニット2と、第1,第2受電ユニット6,4間を接続するための受電側母線連絡断路器ユニット5と、第1受電ユニット6と第1変圧器ユニット1との間に配置した電力取引量を計測する取引用計器用変成器ユニット7を備えている。各ユニットは、図1のスケルトン図に示す回路を構成するための各機器が組み込まれる。“4CB”であるので、各受電ユニット6,4と各変圧器ユニット1,3のそれぞれのユニットの経路内には、遮断器(CB(図では、ガス遮断器GCB))が組み込まれる。
【0003】
さらに、図2に示すように、取引用計器用変成器ユニット7を除く各ユニット1〜6は、ほぼ同一形状の外形状(高さは若干相違する)からなり、それらが隣接して配置されるとともに、その上方の高さがほぼ揃えられ、各ユニット1〜6の両側又は片側の上方部位から導出された母線にて接続される。さらに、取引用計器用変成器ユニット7は、ここでは、第1受電ユニット6の外側に配置される。そして、図1のスケルトン図から明らかなように、取引用計器用変成器ユニット7は、第1受電ユニット6と第1変圧器ユニット1に接続する構成を採る。そのため、図2に示すように、第1変圧器ユニット1と取引用計器用変成器ユニット7は、GISを構成するユニット群の左右両端に配置されているため、両ユニット1,7は、ユニット群の外部に配線した接続ケーブル8にて接続する。また、受変電設備のGISは三相であるので、接続ケーブル8も3本を1セットとし、その両端の接続端子8aは、3個を直接タンクに取り付け、その状態で各ユニット1,6の所望位置にセットされる。
【0004】
係る構成の2L−4CB−2B(バイパス付)のGISは、1L,2Lのいずれの回線から受電した電力を、経路を切り替え設定することで1B,2Bのいずれの変圧器にも出力することができる。つまり1L→1B,1L→2B,2L→1B,2L→2Bの4つのパターンがあり、いずれの場合も取引用計器用変成器ユニット7(取引用計器用変成器:VCT)を通過させる必要がある。そのため、1L→1Bは、第1受電ユニット6→取引用計器用変成器ユニット7→接続ケーブル8→第1変圧器ユニット1→変圧器1Bにつながる最も短い経路となる。また、2L→2Bは、第2受電ユニット4→受電側母線連絡断路器ユニット5→第1受電ユニット6→取引用計器用変成器ユニット7→接続ケーブル8→第1変圧器ユニット1→変圧器側母線連絡断路器ユニット2→第2変圧器ユニット3→変圧器2Bにつながる最も長い経路となる。1L→2B並びに2L→1Bの具体的な経路の説明は省略するが、いずれも接続ケーブル8を通過することになる。
【0005】
GISは、上記の2L−4CB−2B(バイパス付)に限ることはなく、バイパスのないものもあれば、2L−2CB−2Bのように、2つの受電ユニットには遮断器を実装するが変圧器ユニットには遮断器を実装しないタイプもある。GISの一例としては、例えば特許文献1に開示された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−45621
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のGISでは、受電ユニット,変圧器ユニット,各断路器ユニットのように機能ごとにユニット化し、スケルトン図の構成にあうように各ユニットを接続しており、その点では連結処理も容易に行える。しかし、上記の2L−4CB−2B(バイパス付)のGISでは、図2に示したように、接続ケーブル8が必須の構成となり、装置が大型化するとともに接続ケーブル8のユニットへの接続処理等も煩雑となるばかりでなく、現地での組み立て並びにケーブルの接続作業に時間がかかり、工期が長くなる。なお、図1から明らかなように、各ユニットは、いずれも別の2つのユニットと接続することから、図2に示す各ユニットの配置順をどのように変えても、接続ケーブルは必須の構成となる。
【0008】
また、ユニット間に配線する母線は、三相(3本)であるので、ユニット間に三相絶縁スペーサを介在させ、その三相スペーサに母線を装着する構成を採ることもある。この三相絶縁スペーサは、楕円形の外形形状を有し、母線を通すための3つの貫通孔を同一直線状に配置した構造となっている。従って、係る楕円形を製造するのは煩雑であるという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明に係るガス絶縁開閉装置は、(1)受電線と変圧器との間に設置されるガス絶縁開閉装置であって、前記受電線に接続される回路と、前記変圧器に接続される回路を同一の筐体内に実装する少なくとも一つの受電・変圧器ユニットと、前記受電線に接続される回路と、前記変圧器に接続される回路との間に介在する計器用変成器が実装された計器用変成器ユニットと、を備え、前記ユニット同士の接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されるようにするとよい。受電・変圧器ユニットと、計器用変成器ユニットとは、直接連結しても良いし、別のユニットを介在させて連結しても良い。要は、受電線から受電された電力が変圧器に向けて出力される途中で計器用変成器を通過するようになっていればよい。
【0010】
本発明では、受電線に接続される回路と、変圧器に接続される回路を同一の筐体内に実装した受電・変圧器ユニットとしたため、その受電・変圧器ユニットから別のユニットへ接続するための母線は、受電系と変圧器系の2系統となる。よって、それらを多相絶縁スペーサでまとめて他のユニットとの連携を図ることができる。これにより、計器用変成器ユニットも受電系と変圧器系にそれぞれ接続される2系統となるが、これらも多相絶縁スペーサにより一括して取り付けることで、従来のように接続ケーブルを用いることなくユニット同士を適宜の配置レイアウトで設置し連結することでGISを構成することができる。よって、小型化が可能となるとともに、接続ケーブルの設置処理が不要となるので工期も短縮できる。多相絶縁スペーサは、実施形態では、通常はそれぞれの系統で三相ずつの計六相であるが、計器用変圧器ユニットの母線接続では、各相のうち相順が共通する1相を共通接続(コモン接続)して、合計五相とする構成があるので、五相以上としている。
【0011】
(2)前記受電・変圧器ユニットを2個備え、一方の受電・変圧器ユニットと前記計器用変成器ユニットとの間には、断路器が実装されたVCT断路器ユニットを介在させ、他方の受電・変圧器ユニットと前記計器用変成器ユニットとの間には、母線連絡断路器ユニットを介在させ、前記母線連絡断路器ユニット内には、前記2個の受電・変圧器ユニット内に実装された前記受電線に接続される回路同士を接続するバイパス経路と、前記変圧器に接続される回路同士を接続するバイパス経路を実装し、各ユニット同士の接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されるとよい。この発明は、図3から図7に示す実施形態により実現される。
【0012】
(3)上記の(2)の発明を前提とし、前記他方の受電・変圧器ユニット内の前記受電線に接続される回路と、前記変圧器に接続される回路を接続するための断路器は、その他方の受電・変圧器ユニットとは別の筐体で構成されるバイパス断路器ユニットに実装され、そのバイパス断路器ユニットと前記他方の受電・変圧器ユニットとの接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されるとよい。この発明は、図3から図7に示す実施形態により実現される。
【0013】
(4)前記受電・変圧器ユニットを2個備え、その2個の受電・変圧器ユニットの間に前記計器用変成器ユニットを配置し、各ユニット同士の接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されるとよい。この発明は、図8,図9,図11に示す実施形態により実現される。
【0014】
(5)前記多相絶縁スペーサにおける前記母線の装着箇所は、仮想の円周上に配置されるものとするとよい。
【0015】
(6)前記多相絶縁スペーサは、6本の母線を装着する六相絶縁スペーサであり、前記母線の装着箇所は、仮想の円周上に等間隔に配置されるものとするとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、受電線に接続される回路と、変圧器に接続される回路を同一の筐体内に実装する受電・変圧器ユニットを設けると共に、母線は多相絶縁スペーサにて複数系統を纏めて装着して他のユニットと連係するようにしたので、接続ケーブルを用いる必要もなく、システム全体を小型化すると共に、設置作業も簡単・短期に行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来例を示すスケルトン図である。
【図2】従来例を示す外観図である。
【図3】本発明に係るGISの好適な実施形態を示すスケルトン図である。
【図4】その外観図である。
【図5】その正面図(一部断面図)である。
【図6】その平面図(一部断面図)である。
【図7】図5のA−A線矢視断面図である。
【図8】本発明に係るGISの好適な別の実施形態を示すスケルトン図である。
【図9】その外観図である。
【図10】比較例としての従来例を示す図である。
【図11】本発明に係るGISの好適な別の実施形態を示すスケルトン図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図3は、本発明に係るガス絶縁開閉装置の好適な一実施形態である2L−4CB−2B(バイパス付)(2受電−4遮断器−2変圧器(バイパス付き))のGISのスケルトン図を示しており、図4〜図7はその具体的な構成図を示している。図3と図1とを比較すると明らかなように、具体的な回路構成は同じにしているが、点線で区画したユニットを構成する単位を従来のものと異ならせた。具体的には、GIS10は、回線1Lと変圧器1Bに接続される従来の第1受電ユニットと第1変圧器ユニットを一体化し、それら両ユニットの構成要素の大部分を実装した第1受電・変圧器ユニット11と、回線2Lと変圧器2Bに接続される従来の第2受電ユニットと第2変圧器ユニットを一体化し、それら両ユニットの構成要素の大部分を実装した第2受電・変圧器ユニット12と、従来の受電側母線連絡断路器ユニット5と変圧器側母線連絡ユニット2を一体化した母線連絡断路器ユニット13と、VCT断路器ユニット14と、取引用計器用変成器ユニット15と、バイパス断路器ユニット16と、を備えている。
【0019】
上記の各ユニットは、図4〜図6に示すような配置レイアウトを採る。すなわち、中央に母線連絡断路器ユニット13を配置し、その左右両側に第1受電・変圧器ユニット11と第2受電・変圧器ユニット12を配置する。図中左側の第1受電・変圧器ユニット11の左外側には、VCT断路器ユニット14を配置し、図中右側の第2受電・変圧器ユニット12の右外側にはバイパス断路器ユニット16を配置する。さらに、VCT断路器ユニット14の後側には取引用計器用変成器ユニット15を配置する。そして、各ユニットの側面所定位置には、母線を通すための所定数の連結管を外側に突出形成し、隣接する各ユニット同士は、その連結管の先端同士を結合して機械的に連結されるとともに、その連結管内を挿入配置する母線により各ユニット内の回路が導通する。
【0020】
第1受電・変圧器ユニット11は、図1に示す第1受電ユニット6と第1変圧器ユニット1の構成要素のうち、他のユニットとの接続側の断路器DSと接地開閉器ESを除く回路構成を実装している。そして、その除かれた断路器DS並びに接地開閉器ESが、VCT断路器ユニット14に実装される。これにより、従来の第1受電ユニット6内の母線の所定部位で切断され、その切断された部位が第1受電・変圧器ユニット11とVCT断路器ユニット14との第1コネクト部位C1となる。同様に従来の第1変圧器ユニット1内の母線の所定部位で切断され、その切断された部位が第1受電・変圧器ユニット11とVCT断路器ユニット14との第2コネクト部位C2となる。つまり、第1受電・変圧器ユニット11のように、回線1Lに接続される経路(母線)と、変圧器1Bに接続される経路(母線)を1つの筐体内に実装するとともに、元々第1受電ユニット6と第1変圧器ユニット1に含まれていた断路器DSをVCT断路器ユニット14という1つの筐体内に実装したことで、第1受電・変圧器ユニット11とVCT断路器ユニット14との間の接続部位は、第1コネクト部位C1と第2コネクト部位C2となり、それぞれのコネクト部位は三相であるので、2つのコネクト部位C1,C2を一つにまとめると、6本の配線を備えた六相で接続可能となる。
【0021】
同様に、VCT断路器ユニット14と取引用計器用変成器ユニット15の間の接続部位は、回線側の第3コネクト部位C3と変圧器側の第4コネクト部位C4があり、やはり、それらを一つにまとめると、6本の配線を備えた六相で接続可能となる。ただし、相順が共通する1相をコモン接続することで五相接続も可能となる。
【0022】
また、本実施形態では、従来の変圧器側母線連絡断路器ユニット2と受電側母線連絡断路器ユニット5を1つの母線連絡断路器ユニット13にまとめたため、図3から明らかなように、母線連絡断路器ユニット13と第1受電・変圧器ユニット11との間の接続部位も、取引用計器用変成器VCTの上流側と下流側のそれぞれで第5コネクト部位C5と第6コネクト部位C6となり、それらを一つにまとめると、6本の配線を備えた六相で接続可能となる。
【0023】
さらに、第2受電・変圧器ユニット12は、図1に示す第2受電ユニット4と第2変圧器ユニット3の構成要素のうち、第2受電ユニット4内の第2変圧器ユニット3との接続の断路器DSを除く回路構成を実装している。そして、その除かれた断路器DSがバイパス断路器ユニット16に実装される。このように第2受電ユニット4内の1つの断路器DSを取り除いて第2受電・変圧器ユニット12を構成することで、当該部位に断路器を組み込む構成と、断路器を組み込まない構成のいずれにも第2受電・変圧器ユニット12を兼用することができるようにするためであり、このバイパス断路器ユニット16内の断路器DSも第2受電・変圧器ユニット12内に組み込む態様としても良い。
【0024】
この第2受電・変圧器ユニット12と他のユニットの接続部位を見ると、母線連絡断路器ユニット13との間では、第7コネクト部位C7と第8コネクト部位C8の2つとなり、それらを一つにまとめると6本の配線を備えた六相で接続可能となる。同様に、第2受電・変圧器ユニット12とバイパス断路器ユニット16との間の接続部位は、第9コネクト部位C9と第10コネクト部位C10があり、やはり、それらを一つにまとめると、6本の配線を備えた六相で接続可能となる。
【0025】
本実施形態では、取引用計器用変圧器ユニット15以外のユニットは、矩形状の筐体から構成し、取引用計器用変成器ユニット15は円筒形の筐体から構成する。そして、第1受電・変圧器ユニット11と、第2受電・変圧器ユニット12と、母線連絡断路器ユニット13は、その矩形状の筐体の左側面の所定位置に第1連結管11a,12a,13aを設けるとともに右側面の所定位置に第2連結管11b,12b,13bを設ける。また、VCT断路器ユニット14の背面の所定位置に第1連結管14aを設けるとともに、右側面の所定位置に第2連結管14bを設ける。さらに取引用計器用変成器ユニット15の前面の所定位置には第2連結管15bを設け、また、バイパス断路器ユニット16の左側面の所定位置には第1連結管16aを設けた。これらの各第1連結管11a〜14a,16a並びに第2連結管11b〜15bは、いずれも両端開口した同一径の円筒管からなり、その先端には径方向外側に突出するフランジ部が形成されている。そして、隣接するユニットの第1連結管と第2連結管の先端のフランジ部同士を突き合わせるとともにボルト・ナットにて締結して固定する。
【0026】
この連結した第1,第2連結管内を、それぞれの母線を通すのであるが、上述したように、接続するユニット同士の接続部位は、対となるコネクト部位を有し、いずれも6本の配線を備えた六相で接続可能となることから、本実施形態では、円板状の六相絶縁スペーサ20〜24を用意し、図5,図6に示すように、それぞれの六相絶縁スペーサを第1連結管と第2連結管の接続部位に実装するようにした。この六相絶縁スペーサ20〜24は、いずれも同一形状で構成される。具体的な構成は、図5,図7に示すように、円板状のベース20a,23aに所定径の円周上に等間隔に母線を装着するための貫通孔20b,23bを6個配置した構成を採る。このベース20a,23aの材質・構造等は、従来GISにおいて、三相絶縁スペーサとして用いられる楕円形(横一列に3個の貫通孔を備える)のものと同様のもので実現できる。換言すると、従来楕円形であった絶縁スペーサを円形にし、さらに、母線を装着するための貫通孔の配列が直線状で一列に配置していたものに対して円周上に等間隔に配置した。このように円形にすることで、製造・加工が容易になる。さらに、円周上に配置することで、バランスよく装着できる。
【0027】
図7は、図5のA−A線矢視断面図であるため、第2受電・変圧器ユニット12と母線連絡断路器ユニット13の間に介在させる六相絶縁スペーサ23について示しているが、他の六相絶縁スペーサも同一の構成を採る。これにより、部品の共通化が図れ、製造コストの低減並びに部品の保管・管理コストの削減を図ることができる。
【0028】
さらに第1受電・変圧器ユニット11と、第2受電・変圧器ユニット12の背面には、変圧器に接続するための第3連結管11c,12cを設けている。なお、この第3連結管11c,12cも、上記第1,第2連結管と同一径で構成されるとともに、六相絶縁スペーサ25,26を配置する。変圧器1B,2Bへの経路は、三相でよいので、六相絶縁スペーサに設けた6つの貫通孔のうち、3つを用いる。つまり、残りの3つの貫通孔へは母線は装着しないため、従来の楕円形などからなる三相絶縁スペーサを用いても良いが、六相絶縁スペーサを用いることで、部品の共通化を図っている。
【0029】
本実施形態では、従来のGISのように、計器用変成器と接続するためのケーブルが不要となり、ケーブル敷設のための現場での工事が不要で、各ユニットを所定のレイアウトで配置するとともに連結管同士を連結するだけでよいので、設置のための工期が短期間となるとともに、低コストで設置可能となる。
【0030】
なお、受電・変圧器ユニットは、同一の筐体内に実装するが、これには、受電線に接続される回路と、変圧器に接続される回路のそれぞれを納める区画(部屋)を溶接して同一筐体としたり、ボルト結合して同一筐体とする。つまり、本発明でいう同一の筐体とは、完全に1個の箱・容器から構成されるものはもちろんのこと、複数の収納部を連結して一体化することで一つのユニットとして構成されるものも含む。
【0031】
また、上記のように従来別に設置していた受電ユニットと変圧器ユニットを一体化するとともに六相絶縁スペーサを適用した機器レイアウトをとることで、様々なタイプのGISへ容易に対応可能となる。
【0032】
例えば図8は、パイパス付でない2L−4CB−2BタイプのGISのスケルトン図を示しており、図9は、その外観図を示している。また、図10は、従来の2L−4CB−2BタイプのGISのスケルトン図を示している。各スケルトン図において、点線で囲んだ部分が、それぞれ個々のユニットとして構成される。つまり、従来は、第1受電ユニット6′,第2受電ユニット4′,第1変圧器ユニット1′,第2変圧器ユニット3′並びに取引用計器用変成器ユニット7′をそれぞれ別々で合計5つのユニットとして構成し、それらを適宜のレイアウトで配置するとともに隣接するユニット間を連結する。これに対し、本発明のGISは、図8,図9に示すように、第1受電・変圧器ユニット11と第2受電・変圧器ユニット12と、取引用計器用変成器ユニット15′の3つのユニットから構成される。そして、中央に取引用計器用変成器ユニット15′を配置し、その左右両側に第1受電・変圧器ユニット11と第2受電・変圧器ユニット12を配置する。
【0033】
各ユニット同士は、第1受電・変圧器ユニット11の第2連結管11bと取引用計器用変成器ユニット15′の第1連結管15′aとを連結し、第2受電・変圧器ユニット12の第1連結管12aと、取引用計器用変成器ユニット15′の第2連結管15′bとを連結することで一体化する。また、図8から明らかなように、第1受電・変圧器ユニット11と取引用計器用変成器ユニット15′とは、回線1L側の三相と、変圧器1B側の三相の計6本の母線が接続されるので、第1受電・変圧器ユニット11の第2連結管11bと取引用計器用変成器ユニット15′の第1連結管15′aとの間に六相絶縁スペーサ27を介在させ、その六相絶縁スペーサ27に母線をセットする。同様に、第2受電・変圧器ユニット12と取引用計器用変成器ユニット15′とは、回線2L側の三相と、変圧器2B側の三相の計6本の母線が接続されるので、第2受電・変圧器ユニット12の第1連結管11aと取引用計器用変成器ユニット15′の第2連結管15′bとの間に六相絶縁スペーサ28を介在させ、その六相絶縁スペーサ28に母線をセットする。
【0034】
また、図8と図3とを比較すると明らかなように、第1受電・変圧器ユニット11や第2受電・変圧器ユニット12は、両実施形態で共通化できる。つまり、2L−4CB−2B(バイパス付き)のGISと、2L−4CB−2B(バイパス無し)GISで、ユニットの共通化が図れ、ユーザの用途に応じて適宜のシステム構成を採ることができる。
【0035】
もちろん、第1,第2受電・変圧器ユニット11,12の背面側には、第3連結管11c,12cが設けられており、それぞれ変圧器1B,2Bへ接続される。そして、この第3連結管11c,12cの先端側にも六相絶縁スペーサが設置される。
【0036】
さらに図11は、2L−2CB−2BタイプのGISのスケルトン図を示している。この例では、図8と比較すると明らかなように、第1受電・変圧器ユニット11′は、第1受電・変圧器ユニット11内の変圧器1Bに接続する系統におけるガス遮断器GCB及びそれに接続する接地開閉器ESが省略されている。同様に、第2受電・変圧器ユニット12′は、第2受電・変圧器ユニット12内の変圧器2Bに接続する系統におけるガス遮断器GCB及びそれに接続する接地開閉器ESが省略されている。よって、それぞれのユニットを構成する筐体は、図9に示すものと共通化できる。
【符号の説明】
【0037】
10 GIS
11,11′ 第1受電・変圧器ユニット
12,12′ 第2受電・変圧器ユニット
13 母線連絡断路器ユニット
14 VCT断路器ユニット
15,15′ 取引用計器用変成器ユニット
16 バイパス断路器ユニット
20〜28 六相絶縁スペーサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス絶縁開閉装置(以下、「GIS」という。)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1及び図2は、受変電設備の一例である2L−4CB−2B(バイパス断路器付)(以下、バイパス付きとする)から構成されるGISを示している。図1はそのGISのスケルトン図であり、図2はそのGISのレイアウトを示す正面図である。このGISは、1Lと2Lの2回線で受電でき、装置内に実装される各接点を開閉することで所定の経路を構成し、二系統の変圧器1B,2Bに電力供給をするものであり、具体的な構成は、以下の通りである。まず、各回線1L,2Lにそれぞれ接続される受電回路を実装した第1,第2受電ユニット6,4と、二系統の変圧器1B,2Bにそれぞれ接続される第1,第2変圧器ユニット1,3と、それら第1,第2変圧器ユニット1,3間を接続するための変圧器側母線連絡断路器ユニット2と、第1,第2受電ユニット6,4間を接続するための受電側母線連絡断路器ユニット5と、第1受電ユニット6と第1変圧器ユニット1との間に配置した電力取引量を計測する取引用計器用変成器ユニット7を備えている。各ユニットは、図1のスケルトン図に示す回路を構成するための各機器が組み込まれる。“4CB”であるので、各受電ユニット6,4と各変圧器ユニット1,3のそれぞれのユニットの経路内には、遮断器(CB(図では、ガス遮断器GCB))が組み込まれる。
【0003】
さらに、図2に示すように、取引用計器用変成器ユニット7を除く各ユニット1〜6は、ほぼ同一形状の外形状(高さは若干相違する)からなり、それらが隣接して配置されるとともに、その上方の高さがほぼ揃えられ、各ユニット1〜6の両側又は片側の上方部位から導出された母線にて接続される。さらに、取引用計器用変成器ユニット7は、ここでは、第1受電ユニット6の外側に配置される。そして、図1のスケルトン図から明らかなように、取引用計器用変成器ユニット7は、第1受電ユニット6と第1変圧器ユニット1に接続する構成を採る。そのため、図2に示すように、第1変圧器ユニット1と取引用計器用変成器ユニット7は、GISを構成するユニット群の左右両端に配置されているため、両ユニット1,7は、ユニット群の外部に配線した接続ケーブル8にて接続する。また、受変電設備のGISは三相であるので、接続ケーブル8も3本を1セットとし、その両端の接続端子8aは、3個を直接タンクに取り付け、その状態で各ユニット1,6の所望位置にセットされる。
【0004】
係る構成の2L−4CB−2B(バイパス付)のGISは、1L,2Lのいずれの回線から受電した電力を、経路を切り替え設定することで1B,2Bのいずれの変圧器にも出力することができる。つまり1L→1B,1L→2B,2L→1B,2L→2Bの4つのパターンがあり、いずれの場合も取引用計器用変成器ユニット7(取引用計器用変成器:VCT)を通過させる必要がある。そのため、1L→1Bは、第1受電ユニット6→取引用計器用変成器ユニット7→接続ケーブル8→第1変圧器ユニット1→変圧器1Bにつながる最も短い経路となる。また、2L→2Bは、第2受電ユニット4→受電側母線連絡断路器ユニット5→第1受電ユニット6→取引用計器用変成器ユニット7→接続ケーブル8→第1変圧器ユニット1→変圧器側母線連絡断路器ユニット2→第2変圧器ユニット3→変圧器2Bにつながる最も長い経路となる。1L→2B並びに2L→1Bの具体的な経路の説明は省略するが、いずれも接続ケーブル8を通過することになる。
【0005】
GISは、上記の2L−4CB−2B(バイパス付)に限ることはなく、バイパスのないものもあれば、2L−2CB−2Bのように、2つの受電ユニットには遮断器を実装するが変圧器ユニットには遮断器を実装しないタイプもある。GISの一例としては、例えば特許文献1に開示された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−45621
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のGISでは、受電ユニット,変圧器ユニット,各断路器ユニットのように機能ごとにユニット化し、スケルトン図の構成にあうように各ユニットを接続しており、その点では連結処理も容易に行える。しかし、上記の2L−4CB−2B(バイパス付)のGISでは、図2に示したように、接続ケーブル8が必須の構成となり、装置が大型化するとともに接続ケーブル8のユニットへの接続処理等も煩雑となるばかりでなく、現地での組み立て並びにケーブルの接続作業に時間がかかり、工期が長くなる。なお、図1から明らかなように、各ユニットは、いずれも別の2つのユニットと接続することから、図2に示す各ユニットの配置順をどのように変えても、接続ケーブルは必須の構成となる。
【0008】
また、ユニット間に配線する母線は、三相(3本)であるので、ユニット間に三相絶縁スペーサを介在させ、その三相スペーサに母線を装着する構成を採ることもある。この三相絶縁スペーサは、楕円形の外形形状を有し、母線を通すための3つの貫通孔を同一直線状に配置した構造となっている。従って、係る楕円形を製造するのは煩雑であるという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明に係るガス絶縁開閉装置は、(1)受電線と変圧器との間に設置されるガス絶縁開閉装置であって、前記受電線に接続される回路と、前記変圧器に接続される回路を同一の筐体内に実装する少なくとも一つの受電・変圧器ユニットと、前記受電線に接続される回路と、前記変圧器に接続される回路との間に介在する計器用変成器が実装された計器用変成器ユニットと、を備え、前記ユニット同士の接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されるようにするとよい。受電・変圧器ユニットと、計器用変成器ユニットとは、直接連結しても良いし、別のユニットを介在させて連結しても良い。要は、受電線から受電された電力が変圧器に向けて出力される途中で計器用変成器を通過するようになっていればよい。
【0010】
本発明では、受電線に接続される回路と、変圧器に接続される回路を同一の筐体内に実装した受電・変圧器ユニットとしたため、その受電・変圧器ユニットから別のユニットへ接続するための母線は、受電系と変圧器系の2系統となる。よって、それらを多相絶縁スペーサでまとめて他のユニットとの連携を図ることができる。これにより、計器用変成器ユニットも受電系と変圧器系にそれぞれ接続される2系統となるが、これらも多相絶縁スペーサにより一括して取り付けることで、従来のように接続ケーブルを用いることなくユニット同士を適宜の配置レイアウトで設置し連結することでGISを構成することができる。よって、小型化が可能となるとともに、接続ケーブルの設置処理が不要となるので工期も短縮できる。多相絶縁スペーサは、実施形態では、通常はそれぞれの系統で三相ずつの計六相であるが、計器用変圧器ユニットの母線接続では、各相のうち相順が共通する1相を共通接続(コモン接続)して、合計五相とする構成があるので、五相以上としている。
【0011】
(2)前記受電・変圧器ユニットを2個備え、一方の受電・変圧器ユニットと前記計器用変成器ユニットとの間には、断路器が実装されたVCT断路器ユニットを介在させ、他方の受電・変圧器ユニットと前記計器用変成器ユニットとの間には、母線連絡断路器ユニットを介在させ、前記母線連絡断路器ユニット内には、前記2個の受電・変圧器ユニット内に実装された前記受電線に接続される回路同士を接続するバイパス経路と、前記変圧器に接続される回路同士を接続するバイパス経路を実装し、各ユニット同士の接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されるとよい。この発明は、図3から図7に示す実施形態により実現される。
【0012】
(3)上記の(2)の発明を前提とし、前記他方の受電・変圧器ユニット内の前記受電線に接続される回路と、前記変圧器に接続される回路を接続するための断路器は、その他方の受電・変圧器ユニットとは別の筐体で構成されるバイパス断路器ユニットに実装され、そのバイパス断路器ユニットと前記他方の受電・変圧器ユニットとの接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されるとよい。この発明は、図3から図7に示す実施形態により実現される。
【0013】
(4)前記受電・変圧器ユニットを2個備え、その2個の受電・変圧器ユニットの間に前記計器用変成器ユニットを配置し、各ユニット同士の接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されるとよい。この発明は、図8,図9,図11に示す実施形態により実現される。
【0014】
(5)前記多相絶縁スペーサにおける前記母線の装着箇所は、仮想の円周上に配置されるものとするとよい。
【0015】
(6)前記多相絶縁スペーサは、6本の母線を装着する六相絶縁スペーサであり、前記母線の装着箇所は、仮想の円周上に等間隔に配置されるものとするとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、受電線に接続される回路と、変圧器に接続される回路を同一の筐体内に実装する受電・変圧器ユニットを設けると共に、母線は多相絶縁スペーサにて複数系統を纏めて装着して他のユニットと連係するようにしたので、接続ケーブルを用いる必要もなく、システム全体を小型化すると共に、設置作業も簡単・短期に行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来例を示すスケルトン図である。
【図2】従来例を示す外観図である。
【図3】本発明に係るGISの好適な実施形態を示すスケルトン図である。
【図4】その外観図である。
【図5】その正面図(一部断面図)である。
【図6】その平面図(一部断面図)である。
【図7】図5のA−A線矢視断面図である。
【図8】本発明に係るGISの好適な別の実施形態を示すスケルトン図である。
【図9】その外観図である。
【図10】比較例としての従来例を示す図である。
【図11】本発明に係るGISの好適な別の実施形態を示すスケルトン図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図3は、本発明に係るガス絶縁開閉装置の好適な一実施形態である2L−4CB−2B(バイパス付)(2受電−4遮断器−2変圧器(バイパス付き))のGISのスケルトン図を示しており、図4〜図7はその具体的な構成図を示している。図3と図1とを比較すると明らかなように、具体的な回路構成は同じにしているが、点線で区画したユニットを構成する単位を従来のものと異ならせた。具体的には、GIS10は、回線1Lと変圧器1Bに接続される従来の第1受電ユニットと第1変圧器ユニットを一体化し、それら両ユニットの構成要素の大部分を実装した第1受電・変圧器ユニット11と、回線2Lと変圧器2Bに接続される従来の第2受電ユニットと第2変圧器ユニットを一体化し、それら両ユニットの構成要素の大部分を実装した第2受電・変圧器ユニット12と、従来の受電側母線連絡断路器ユニット5と変圧器側母線連絡ユニット2を一体化した母線連絡断路器ユニット13と、VCT断路器ユニット14と、取引用計器用変成器ユニット15と、バイパス断路器ユニット16と、を備えている。
【0019】
上記の各ユニットは、図4〜図6に示すような配置レイアウトを採る。すなわち、中央に母線連絡断路器ユニット13を配置し、その左右両側に第1受電・変圧器ユニット11と第2受電・変圧器ユニット12を配置する。図中左側の第1受電・変圧器ユニット11の左外側には、VCT断路器ユニット14を配置し、図中右側の第2受電・変圧器ユニット12の右外側にはバイパス断路器ユニット16を配置する。さらに、VCT断路器ユニット14の後側には取引用計器用変成器ユニット15を配置する。そして、各ユニットの側面所定位置には、母線を通すための所定数の連結管を外側に突出形成し、隣接する各ユニット同士は、その連結管の先端同士を結合して機械的に連結されるとともに、その連結管内を挿入配置する母線により各ユニット内の回路が導通する。
【0020】
第1受電・変圧器ユニット11は、図1に示す第1受電ユニット6と第1変圧器ユニット1の構成要素のうち、他のユニットとの接続側の断路器DSと接地開閉器ESを除く回路構成を実装している。そして、その除かれた断路器DS並びに接地開閉器ESが、VCT断路器ユニット14に実装される。これにより、従来の第1受電ユニット6内の母線の所定部位で切断され、その切断された部位が第1受電・変圧器ユニット11とVCT断路器ユニット14との第1コネクト部位C1となる。同様に従来の第1変圧器ユニット1内の母線の所定部位で切断され、その切断された部位が第1受電・変圧器ユニット11とVCT断路器ユニット14との第2コネクト部位C2となる。つまり、第1受電・変圧器ユニット11のように、回線1Lに接続される経路(母線)と、変圧器1Bに接続される経路(母線)を1つの筐体内に実装するとともに、元々第1受電ユニット6と第1変圧器ユニット1に含まれていた断路器DSをVCT断路器ユニット14という1つの筐体内に実装したことで、第1受電・変圧器ユニット11とVCT断路器ユニット14との間の接続部位は、第1コネクト部位C1と第2コネクト部位C2となり、それぞれのコネクト部位は三相であるので、2つのコネクト部位C1,C2を一つにまとめると、6本の配線を備えた六相で接続可能となる。
【0021】
同様に、VCT断路器ユニット14と取引用計器用変成器ユニット15の間の接続部位は、回線側の第3コネクト部位C3と変圧器側の第4コネクト部位C4があり、やはり、それらを一つにまとめると、6本の配線を備えた六相で接続可能となる。ただし、相順が共通する1相をコモン接続することで五相接続も可能となる。
【0022】
また、本実施形態では、従来の変圧器側母線連絡断路器ユニット2と受電側母線連絡断路器ユニット5を1つの母線連絡断路器ユニット13にまとめたため、図3から明らかなように、母線連絡断路器ユニット13と第1受電・変圧器ユニット11との間の接続部位も、取引用計器用変成器VCTの上流側と下流側のそれぞれで第5コネクト部位C5と第6コネクト部位C6となり、それらを一つにまとめると、6本の配線を備えた六相で接続可能となる。
【0023】
さらに、第2受電・変圧器ユニット12は、図1に示す第2受電ユニット4と第2変圧器ユニット3の構成要素のうち、第2受電ユニット4内の第2変圧器ユニット3との接続の断路器DSを除く回路構成を実装している。そして、その除かれた断路器DSがバイパス断路器ユニット16に実装される。このように第2受電ユニット4内の1つの断路器DSを取り除いて第2受電・変圧器ユニット12を構成することで、当該部位に断路器を組み込む構成と、断路器を組み込まない構成のいずれにも第2受電・変圧器ユニット12を兼用することができるようにするためであり、このバイパス断路器ユニット16内の断路器DSも第2受電・変圧器ユニット12内に組み込む態様としても良い。
【0024】
この第2受電・変圧器ユニット12と他のユニットの接続部位を見ると、母線連絡断路器ユニット13との間では、第7コネクト部位C7と第8コネクト部位C8の2つとなり、それらを一つにまとめると6本の配線を備えた六相で接続可能となる。同様に、第2受電・変圧器ユニット12とバイパス断路器ユニット16との間の接続部位は、第9コネクト部位C9と第10コネクト部位C10があり、やはり、それらを一つにまとめると、6本の配線を備えた六相で接続可能となる。
【0025】
本実施形態では、取引用計器用変圧器ユニット15以外のユニットは、矩形状の筐体から構成し、取引用計器用変成器ユニット15は円筒形の筐体から構成する。そして、第1受電・変圧器ユニット11と、第2受電・変圧器ユニット12と、母線連絡断路器ユニット13は、その矩形状の筐体の左側面の所定位置に第1連結管11a,12a,13aを設けるとともに右側面の所定位置に第2連結管11b,12b,13bを設ける。また、VCT断路器ユニット14の背面の所定位置に第1連結管14aを設けるとともに、右側面の所定位置に第2連結管14bを設ける。さらに取引用計器用変成器ユニット15の前面の所定位置には第2連結管15bを設け、また、バイパス断路器ユニット16の左側面の所定位置には第1連結管16aを設けた。これらの各第1連結管11a〜14a,16a並びに第2連結管11b〜15bは、いずれも両端開口した同一径の円筒管からなり、その先端には径方向外側に突出するフランジ部が形成されている。そして、隣接するユニットの第1連結管と第2連結管の先端のフランジ部同士を突き合わせるとともにボルト・ナットにて締結して固定する。
【0026】
この連結した第1,第2連結管内を、それぞれの母線を通すのであるが、上述したように、接続するユニット同士の接続部位は、対となるコネクト部位を有し、いずれも6本の配線を備えた六相で接続可能となることから、本実施形態では、円板状の六相絶縁スペーサ20〜24を用意し、図5,図6に示すように、それぞれの六相絶縁スペーサを第1連結管と第2連結管の接続部位に実装するようにした。この六相絶縁スペーサ20〜24は、いずれも同一形状で構成される。具体的な構成は、図5,図7に示すように、円板状のベース20a,23aに所定径の円周上に等間隔に母線を装着するための貫通孔20b,23bを6個配置した構成を採る。このベース20a,23aの材質・構造等は、従来GISにおいて、三相絶縁スペーサとして用いられる楕円形(横一列に3個の貫通孔を備える)のものと同様のもので実現できる。換言すると、従来楕円形であった絶縁スペーサを円形にし、さらに、母線を装着するための貫通孔の配列が直線状で一列に配置していたものに対して円周上に等間隔に配置した。このように円形にすることで、製造・加工が容易になる。さらに、円周上に配置することで、バランスよく装着できる。
【0027】
図7は、図5のA−A線矢視断面図であるため、第2受電・変圧器ユニット12と母線連絡断路器ユニット13の間に介在させる六相絶縁スペーサ23について示しているが、他の六相絶縁スペーサも同一の構成を採る。これにより、部品の共通化が図れ、製造コストの低減並びに部品の保管・管理コストの削減を図ることができる。
【0028】
さらに第1受電・変圧器ユニット11と、第2受電・変圧器ユニット12の背面には、変圧器に接続するための第3連結管11c,12cを設けている。なお、この第3連結管11c,12cも、上記第1,第2連結管と同一径で構成されるとともに、六相絶縁スペーサ25,26を配置する。変圧器1B,2Bへの経路は、三相でよいので、六相絶縁スペーサに設けた6つの貫通孔のうち、3つを用いる。つまり、残りの3つの貫通孔へは母線は装着しないため、従来の楕円形などからなる三相絶縁スペーサを用いても良いが、六相絶縁スペーサを用いることで、部品の共通化を図っている。
【0029】
本実施形態では、従来のGISのように、計器用変成器と接続するためのケーブルが不要となり、ケーブル敷設のための現場での工事が不要で、各ユニットを所定のレイアウトで配置するとともに連結管同士を連結するだけでよいので、設置のための工期が短期間となるとともに、低コストで設置可能となる。
【0030】
なお、受電・変圧器ユニットは、同一の筐体内に実装するが、これには、受電線に接続される回路と、変圧器に接続される回路のそれぞれを納める区画(部屋)を溶接して同一筐体としたり、ボルト結合して同一筐体とする。つまり、本発明でいう同一の筐体とは、完全に1個の箱・容器から構成されるものはもちろんのこと、複数の収納部を連結して一体化することで一つのユニットとして構成されるものも含む。
【0031】
また、上記のように従来別に設置していた受電ユニットと変圧器ユニットを一体化するとともに六相絶縁スペーサを適用した機器レイアウトをとることで、様々なタイプのGISへ容易に対応可能となる。
【0032】
例えば図8は、パイパス付でない2L−4CB−2BタイプのGISのスケルトン図を示しており、図9は、その外観図を示している。また、図10は、従来の2L−4CB−2BタイプのGISのスケルトン図を示している。各スケルトン図において、点線で囲んだ部分が、それぞれ個々のユニットとして構成される。つまり、従来は、第1受電ユニット6′,第2受電ユニット4′,第1変圧器ユニット1′,第2変圧器ユニット3′並びに取引用計器用変成器ユニット7′をそれぞれ別々で合計5つのユニットとして構成し、それらを適宜のレイアウトで配置するとともに隣接するユニット間を連結する。これに対し、本発明のGISは、図8,図9に示すように、第1受電・変圧器ユニット11と第2受電・変圧器ユニット12と、取引用計器用変成器ユニット15′の3つのユニットから構成される。そして、中央に取引用計器用変成器ユニット15′を配置し、その左右両側に第1受電・変圧器ユニット11と第2受電・変圧器ユニット12を配置する。
【0033】
各ユニット同士は、第1受電・変圧器ユニット11の第2連結管11bと取引用計器用変成器ユニット15′の第1連結管15′aとを連結し、第2受電・変圧器ユニット12の第1連結管12aと、取引用計器用変成器ユニット15′の第2連結管15′bとを連結することで一体化する。また、図8から明らかなように、第1受電・変圧器ユニット11と取引用計器用変成器ユニット15′とは、回線1L側の三相と、変圧器1B側の三相の計6本の母線が接続されるので、第1受電・変圧器ユニット11の第2連結管11bと取引用計器用変成器ユニット15′の第1連結管15′aとの間に六相絶縁スペーサ27を介在させ、その六相絶縁スペーサ27に母線をセットする。同様に、第2受電・変圧器ユニット12と取引用計器用変成器ユニット15′とは、回線2L側の三相と、変圧器2B側の三相の計6本の母線が接続されるので、第2受電・変圧器ユニット12の第1連結管11aと取引用計器用変成器ユニット15′の第2連結管15′bとの間に六相絶縁スペーサ28を介在させ、その六相絶縁スペーサ28に母線をセットする。
【0034】
また、図8と図3とを比較すると明らかなように、第1受電・変圧器ユニット11や第2受電・変圧器ユニット12は、両実施形態で共通化できる。つまり、2L−4CB−2B(バイパス付き)のGISと、2L−4CB−2B(バイパス無し)GISで、ユニットの共通化が図れ、ユーザの用途に応じて適宜のシステム構成を採ることができる。
【0035】
もちろん、第1,第2受電・変圧器ユニット11,12の背面側には、第3連結管11c,12cが設けられており、それぞれ変圧器1B,2Bへ接続される。そして、この第3連結管11c,12cの先端側にも六相絶縁スペーサが設置される。
【0036】
さらに図11は、2L−2CB−2BタイプのGISのスケルトン図を示している。この例では、図8と比較すると明らかなように、第1受電・変圧器ユニット11′は、第1受電・変圧器ユニット11内の変圧器1Bに接続する系統におけるガス遮断器GCB及びそれに接続する接地開閉器ESが省略されている。同様に、第2受電・変圧器ユニット12′は、第2受電・変圧器ユニット12内の変圧器2Bに接続する系統におけるガス遮断器GCB及びそれに接続する接地開閉器ESが省略されている。よって、それぞれのユニットを構成する筐体は、図9に示すものと共通化できる。
【符号の説明】
【0037】
10 GIS
11,11′ 第1受電・変圧器ユニット
12,12′ 第2受電・変圧器ユニット
13 母線連絡断路器ユニット
14 VCT断路器ユニット
15,15′ 取引用計器用変成器ユニット
16 バイパス断路器ユニット
20〜28 六相絶縁スペーサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電線と変圧器との間に設置されるガス絶縁開閉装置であって、
前記受電線に接続される回路と、前記変圧器に接続される回路を同一の筐体内に実装する少なくとも一つの受電・変圧器ユニットと、
前記受電線に接続される回路と、前記変圧器に接続される回路との間に介在する計器用変成器が実装された計器用変成器ユニットと、を備え、
前記ユニット同士の接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されることを特徴とする、ガス絶縁開閉装置。
【請求項2】
前記受電・変圧器ユニットを2個備え、
一方の受電・変圧器ユニットと前記計器用変成器ユニットとの間には、断路器が実装されたVCT断路器ユニットを介在させ、前記2個の受電・変圧器ユニットの間には、母線連絡断路器ユニットを介在させ、
前記母線連絡断路器ユニット内には、前記2個の受電・変圧器ユニット内に実装された前記受電線に接続される回路同士を接続する母線連絡経路と、前記変圧器に接続される回路同士を接続する母線連絡経路を実装し、
各ユニット同士の接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項3】
前記他方の受電・変圧器ユニット内の前記受電線に接続される回路と、前記変圧器に接続される回路を接続するための断路器は、その他方の受電・変圧器ユニットとは別の筐体で構成されるバイパス断路器ユニットに実装され、
そのバイパス断路器ユニットと前記他方の受電・変圧器ユニットとの接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されることを特徴とする請求項2に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項4】
前記受電・変圧器ユニットを2個備え、
その2個の受電・変圧器ユニットの間に前記計器用変成器ユニットを配置し、
各ユニット同士の接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項5】
前記多相絶縁スペーサにおける前記母線の装着箇所は、仮想の円周上に配置されるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項6】
前記多相絶縁スペーサは、6本の母線を装着する六相絶縁スペーサであり、
前記母線の装着箇所は、仮想の円周上に等間隔に配置されるものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項1】
受電線と変圧器との間に設置されるガス絶縁開閉装置であって、
前記受電線に接続される回路と、前記変圧器に接続される回路を同一の筐体内に実装する少なくとも一つの受電・変圧器ユニットと、
前記受電線に接続される回路と、前記変圧器に接続される回路との間に介在する計器用変成器が実装された計器用変成器ユニットと、を備え、
前記ユニット同士の接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されることを特徴とする、ガス絶縁開閉装置。
【請求項2】
前記受電・変圧器ユニットを2個備え、
一方の受電・変圧器ユニットと前記計器用変成器ユニットとの間には、断路器が実装されたVCT断路器ユニットを介在させ、前記2個の受電・変圧器ユニットの間には、母線連絡断路器ユニットを介在させ、
前記母線連絡断路器ユニット内には、前記2個の受電・変圧器ユニット内に実装された前記受電線に接続される回路同士を接続する母線連絡経路と、前記変圧器に接続される回路同士を接続する母線連絡経路を実装し、
各ユニット同士の接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項3】
前記他方の受電・変圧器ユニット内の前記受電線に接続される回路と、前記変圧器に接続される回路を接続するための断路器は、その他方の受電・変圧器ユニットとは別の筐体で構成されるバイパス断路器ユニットに実装され、
そのバイパス断路器ユニットと前記他方の受電・変圧器ユニットとの接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されることを特徴とする請求項2に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項4】
前記受電・変圧器ユニットを2個備え、
その2個の受電・変圧器ユニットの間に前記計器用変成器ユニットを配置し、
各ユニット同士の接続部位は、5本以上の母線を装着する多相絶縁スペーサが配置されることを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項5】
前記多相絶縁スペーサにおける前記母線の装着箇所は、仮想の円周上に配置されるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項6】
前記多相絶縁スペーサは、6本の母線を装着する六相絶縁スペーサであり、
前記母線の装着箇所は、仮想の円周上に等間隔に配置されるものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のガス絶縁開閉装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−39837(P2012−39837A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180694(P2010−180694)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(000002842)株式会社高岳製作所 (72)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(000002842)株式会社高岳製作所 (72)
【Fターム(参考)】
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