説明

ガス遮断装置とそれによる流量変化判定方法、およびガス遮断装置用の制御器

【課題】正常運転時または消し忘れの非使用状態における実質的な流量変化の有無を判定する流量変化有無判定手法を改良することにより、適切なタイミングでの安全継続時間遮断を可能とする。
【解決手段】流量変化検出部112、カウント部113、流量変化有無判定部114、および、保安部116により、早切れ防止用流量変化判定処理、遅切れ防止用流量変化判定処理、および、減少方向流量変化判定処理を並行的に行う。早切れ防止用流量変化判定処理においては、「流量変化最低値以上の流量変化が所定回数(N回)以上発生」することを判定条件として判定を行う。遅切れ防止用流量変化判定処理においては、「着火流量最低値以上の流量変化が発生」することを判定条件として判定を行う。減少方向流量変化判定処理においては、「減少方向変化判定値以上の流量変化が所定時間(X時間)内に所定回数(M回)以上発生」することを判定条件として判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各家庭へのガス供給ライン中に設置されるガスメータなどに利用されるガス遮断装置と方法、およびガス遮断装置用の制御器に関するもので、特に、正常運転時または消し忘れの非使用状態における実質的な流量変化の有無を判定するための流量変化有無判定手法を改良することにより、適切なタイミングでの安全継続時間遮断を可能とし、それによって保安機能とサービスの両方を向上可能とする技術に係る。
【背景技術】
【0002】
各家庭へのガス供給ラインの入り口には、ガス流量計を内蔵したガスメータが取り付けられている。ガスメータは、ガス供給ラインを通過するガス流量を計測し、計測されたガス流量は定期的な請求ガス料金の算出に利用される。かかるガスメータは、ガス流量の計測という基本的な機能に加えて、異常状態発生時にガス供給を遮断するという保安機能を有する。この保安機能は、地震の検出やガス漏れまたは器具の消し忘れなどの異常な使用状態の検出に応答して、ガスメータのガス流路内に設けられた遮断弁によりガスを遮断する機能である。
【0003】
図11は、上記保安機能の一つである安全継続時間オーバ時の遮断機能に利用される安全継続時間設定値を示す図である。この機能は、ガス流量の発生が検出されてから、そのガス流量が継続して使用される場合に、継続時間が過度に長くなる時は、ガス漏れなどの何らかの異常な使用状態が発生したとみなして、ガスを遮断する機能である。
【0004】
図11に示されるとおり、ガス流量が大きい大型の湯沸かし器は、せいぜい30分程度しか継続して使用されず、一方で、ガス流量が小さいストーブは、長時間継続して使用されるであろうとの前提で、ガス流量が大きい時の安全継続時間を短く、ガス流量が小さい時の安全継続時間を長く設定している。
【0005】
そして、ガスメータは、ガス流量が発生した時点や増加側に変化した時点で、何らかのガス器具の使用が開始されたと判断して、その流量が継続する時間を計測し、図11に示す安全継続時間を超えてその流量が継続する場合に、保安上の理由からガス遮断を行っている。すなわち、計測されるガス流量に基づいて、予め設定された複数の流量区分に個別対応するように予め設定された複数の安全継続時間設定値を用いて安全継続時間オーバ遮断を行っている。
【0006】
一方、正常運転中におけるガス器具の流量変化レベルは、例えば3%(または51.82L/h)以下であるため、従来、このようなガス器具の流量変化レベルに応じてしきい値(例えば、3%または51.82L/h)を設定し、このしきい値以上の流量変化を検出した場合に、使用者の器具使用継続の意図に沿った流量変化(例えば、運転モード切換運転条件設定などの操作・選択に基づく流量変化)があったものと判定して継続時間計測用タイマをリセットしてゼロスタートさせるようにしている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0007】
このように、流量変化有無判定に基づいて継続時間計測用タイマをリセットすることにより、継続時間計測のスタートポイントが更新されるため、ガス器具の正常運転時における使用者の器具使用継続の意図に反したガス遮断を回避することができる。
【0008】
このような流量変化有無判定においては、ファンヒータ、給湯器、燃料電池などの比例制御器具の正常運転時における流量変化が比較的緩やかであるという特徴に基づき、ある基準点における基準値からの流量変化として、しきい値(例えば、3%または51.82L/H)以上の流量変化が複数回(例えば3回)連続して検出された場合に流量変化ありと判定し、基準点および基準値を更新している。
【特許文献1】特開2005−241405
【特許文献2】特開2008−32417
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のような従来の安全継続時間遮断における流量変化有無判定手法には、「早切れの発生」、「遅切れの発生」、「減少方向の流量変化判定不能」などの課題が存在している。以下には、これらの課題について順次説明する。
【0010】
[早切れの発生]
ファンヒータ、給湯器、燃料電池などの比例制御器具においては、使用者の器具使用継続の意図に沿った流量変化が発生した場合であっても、図12に示すファンヒータの実流量変化例のように、しきい値(例えば3%または51.82L/h)以上の連続した複数回(例えば3回)の流量変化が発生しない場合があるため、流量変化ありと判定されないことがある。この場合には、継続時間計測用タイマがクリアされず、継続時間計測のスタートポイントが更新されないため、使用者の器具使用継続の意図に反した「早切れ」と呼ばれる早期のガス遮断が行われてしまう。このことは、ファンヒータのような暖房器具の利便性を低下させ、サービス低下につながる。
【0011】
[遅切れの発生]
図13に示すファンヒータの実流量変化例のように、一般的なガス器具の通常着火時に現れる着火流量の最低レベル(例えば100L/h)以下の流量変化しか発生しない場合(例えば70〜80L/h)には、流量変化毎に流量変化ありと判定される。この場合には、ガス器具を消し忘れた使用者がその後に操作を行っていないにもかかわらず、継続時間計測用タイマがクリアされ続けることで、継続時間計測のスタートポイントが更新され続けるため、非使用状態のガス器具に対して必要なガス遮断を適時に行うことができず、「遅切れ」と呼ばれるガス遮断の遅延が発生してしまう。
【0012】
[減少方向の流量変化判定不能]
図14に示す比例制御器具の流量変化検出例のように、実際に流量が減少しているにもかかわらず、ある基準点における基準値からの流量変化として、しきい値(例えば3%または51.82L/h)以上の連続した複数回(例えば3回)の流量変化が検出されない場合には、流量変化ありと判定されなくなってしまう。このように、減少方向の流量変化の判定ができない場合には、流量変化ありと判定された際に行われるべき基準値の更新が行われないため、使用中の基準値と実流量の値が乖離してしまい、以降の判定精度の低下につながる。このことは、適時なタイミングでの安全継続時間遮断の実現に対する支障となる。
【0013】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するために提案されたものであって、その目的は、正常運転時または消し忘れの非使用状態における実質的な流量変化の有無を判定する流量変化有無判定手法を改良することにより、適切なタイミングでの安全継続時間遮断を可能とし、それによって保安機能とサービスの両方を向上可能なガス遮断装置とそれによる流量変化判定方法、およびガス遮断装置用の制御器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のガス遮断装置は、対象ガス流路を流れるガスを遮断する遮断手段と、対象ガス流路を流れるガスに関する物理量として少なくともガス流量を計測する計測手段を備え、対象ガス流路を流れるガスを監視して遮断が必要な場合に前記遮断手段により対象ガス流路を遮断するガス遮断装置において、まず、次のような基本的な構成を備えるものである。
【0015】
すなわち、本発明のガス遮断装置は、前記計測手段により得られた計測データからガス流量の平均流量を算出する平均流量算出手段と、予め設定された複数の流量区分に個別対応するように予め設定された複数の安全継続時間設定値の中から、前記平均流量算出手段により得られた平均流量が属する流量区分に応じて選択される現在の設定値に基づき、継続時間計測用のタイマを用いて、前記対象ガス流路を流れるガス流量の継続時間を計測する継続時間計測手段と、前記継続時間計測用のタイマによる計測時間が、前記現在の設定値として選択されている安全継続時間設定値に達した時点で、前記遮断手段により前記対象ガス流路を遮断させる保安手段と、前記平均流量算出手段により得られた平均流量が変化前の流量に対して予め設定されたしきい値以上変化した場合に流量変化を検出する流量変化検出手段と、この流量変化検出手段により検出された流量変化の回数をカウントするカウント手段と、このカウント手段によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数に達した場合に実質的な流量変化ありと判定する流量変化有無判定手段と、前記計測手段により得られた計測データに基づいて装置内で得られたデータを記憶する記憶手段を備える。
【0016】
本発明のガス遮断装置は、以上のような基本的な構成を備えた上で、上記の目的を達成するために、次のような技術的な特徴を備えるものである。
本発明のガス遮断装置の一つの態様において、前記流量変化検出手段は、予め設定された前記しきい値としてガス器具の通常着火時に現れる流量の最低レベルを表す着火流量最低値を用いることで、平均流量が変化前の流量から当該着火流量最低値以上変化した場合に流量変化を検出する遅切れ防止判定用の流量変化検出手段を含み、前記流量変化有無判定手段は、遅切れ防止判定用のタイマを用いて判定時間を計測しながら遅切れ防止判定用の流量変化有無判定を行い、前記遅切れ防止判定用の流量変化検出手段により流量変化が検出された場合に実質的な流量変化ありと判定する遅切れ防止判定用の流量変化有無判定手段を含み、前記保安手段は、前記遅切れ防止判定用の流量変化有無判定手段により実質的な流量変化ありと判定された場合に、前記継続時間計測用のタイマと前記遅切れ防止判定用のタイマをゼロスタートさせると共に、流量変化ありと判定された時刻とその時点の流量を新たな元流量データとして前記記憶手段に登録するように構成されている。
【0017】
この態様のガス遮断装置によれば、例えば、100L/hの着火流量最低値をしきい値として用いて、少なくとも100L/h以上の流量変化を検出することにより、「100L/h以上の流量変化が発生」することを遅切れ防止判定用の判定条件として遅切れ防止判定用の流量変化有無判定を行うことができる。このような遅切れ防止判定用の流量変化有無判定によれば、ガス器具の消し忘れ時において、ガス器具の着火流量最低レベル以下の例えば70〜80L/h程度の流量変化しか発生しない場合に、実質的な流量変化ありと判定されることを回避できる。その結果、ガス器具の消し忘れ時における継続時間計測用タイマのクリアを防止して、非使用状態のガス器具に対して必要なガス遮断を適時に行うことができるため、高い信頼性で遅切れを防止できる。
【0018】
本発明のガス遮断装置の他の態様において、前記流量変化検出手段は、予め設定された前記しきい値として比例制御器具の減少方向の流量変化とみなす判定レベルを表す減少方向変化判定値を用いることで、平均流量が変化前の流量から当該減少方向変化判定値以上変化した場合に流量変化を検出する減少方向変化判定用の流量変化検出手段を含み、前記カウント手段は、前記減少方向変化判定用の流量変化検出手段により検出された前記しきい値以上の流量変化の回数をカウントする減少方向変化判定用のカウント手段を含み、前記流量変化有無判定手段は、減少方向変化判定用のタイマを用いて判定時間を計測しながら減少方向変化判定用の流量変化有無判定を行い、予め設定された所定時間内に、前記減少方向変化判定用のカウント手段によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数に達した場合に実質的な減少方向の流量変化ありと判定する減少方向変化判定用の流量変化有無判定手段を含み、前記保安手段は、前記減少方向変化判定用の流量変化有無判定手段により実質的な流量変化ありと判定された場合に、前記継続時間計測用のタイマと前記減少方向変化判定用のタイマをゼロスタートさせると共に、流量変化ありと判定された時刻とその時点の流量を新たな元流量データとして前記記憶手段に登録するように構成されている。
【0019】
この態様のガス遮断装置によれば、例えば、3%(または51.82L/h)の減少方向変化判定値をしきい値として用いて、3%(または51.82L/h)以上の流量変化を検出し、所定時間内におけるその発生回数をカウントすることにより、「3%(または51.82L/h)以上の流量変化が所定時間(X時間)内に所定回数(M回)以上発生」することを判定条件として減少方向変化判定用の流量変化有無判定を行うことができる。このような減少方向変化判定用の流量変化有無判定によれば、実流量の減少傾向に応じて、所定時間(X時間)と所定回数(M回)を適切に設定することにより、ある基準点における基準値からの流量変化として、減少方向変化判定値(例えば、3%または51.82L/h)以上の連続した複数回(例えば3回)の流量変化が発生しないような、極めて緩やかな流量減少時であっても、実質的な流量変化ありと判定することができる。その結果、比例制御器具の減少方向の流量変化時には常に、基準値の更新が行われるため、使用中の基準値と実流量の値が乖離することを防止でき、以降の判定精度を維持できる。したがって、適時なタイミングでの安全継続時間遮断の実現に寄与できる。
【0020】
また、本発明のガス遮断装置による流量変化判定方法およびガス遮断装置用の制御器は、上記のガス遮断装置の機能を、方法の観点および装置に使用される制御器の観点からそれぞれ把握したものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、正常運転時または消し忘れの非使用状態における実質的な流量変化の有無を判定する流量変化有無判定手法を改良することにより、適切なタイミングでの安全継続時間遮断を可能とし、それによって保安機能とサービスの両方を向上可能なガス遮断装置とそれによる流量変化判定方法、およびガス遮断装置用の制御器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[構成]
図1は、本発明のガス遮断装置を適用した一つの実施形態に係るガスメータの構成を示す機能ブロック図である。この図1に示すように、本実施形態のガスメータ100は、本発明のガス遮断装置の特徴的な機能を実現するコントローラ(制御器)110、対象ガス流路を流れるガスに関する物理量を計測する計測部120、ガスを遮断する遮断弁130、各種のデータを表示する表示部140、外部とのデータ通信を行う通信装置150、から構成されている。
【0023】
計測部120は、対象ガス流路を流れるガス流量Qを計測するガス流量センサ121と、他の各種の物理量として、例えば、供給圧力、ガス温度、加速度などを計測する各種センサ122を備えている。
【0024】
コントローラ110は、平均流量算出部111、流量変化検出部112、カウント部113、流量変化有無判定部114、継続時間計測部115、保安部116、および、記憶部117、を備えている。なお、図2と図3は、このコントローラ110のうち、流量変化検出部112、カウント部113、流量変化有無判定部114、および、継続時間計測部115の詳細構成を、データの流れと共に示す機能ブロック図である。
【0025】
平均流量算出部111は、計測部120のガス流量センサ121により得られた計測データからガス流量の平均流量を算出する手段である。ここで、平均流量としては、予め設定された所定の時間間隔毎、例えば、30秒間毎にガス流量の連続する計測データの平均値が算出される。
【0026】
流量変化検出部112は、平均流量算出部111により得られた平均流量と変化前の平均流量との差分を予め設定された検出用のしきい値と比較して、平均流量が変化前の流量から当該しきい値以上変化している場合に流量変化を検出する手段である。この流量変化検出部112は、図2に示すように、早切れ防止判定用流量変化検出部1121、遅切れ防止判定用流量変化検出部1122、および、減少方向変化判定用流量変化検出部1123、を備えている。
【0027】
早切れ防止判定用流量変化検出部1121は、予め設定されたしきい値Qd1として30L/hの流量変化最低値を用いることで、平均流量が変化前の流量からしきい値Qd1(=30L/h)以上変化した場合に流量変化を検出する手段である。
【0028】
遅切れ防止判定用流量変化検出部1122は、予め設定されたしきい値Qd2として100L/hの着火流量最低値を用いることで、平均流量が変化前の流量からしきい値Qd2(=100L/h)以上変化した場合に流量変化を検出する手段である。
【0029】
減少方向変化判定用流量変化検出部1123は、予め設定されたしきい値Qd3として3%の減少方向変化判定値を用いることで、平均流量が変化前の流量からしきい値Qd3(=3%)以上変化した場合に流量変化を検出する手段である。
【0030】
カウント部113は、平均流量算出部111により検出された流量変化の回数をカウントする手段であり、図2に示すように、早切れ防止判定用カウント部1131と減少方向変化判定用カウント部1133を備えている。
【0031】
早切れ防止判定用カウント部1131は、早切れ防止判定用流量変化検出部1121により検出されたしきい値Qd1以上の流量変化の回数をカウントする手段である。
減少方向変化判定用カウント部1133は、減少方向変化判定用流量変化検出部1123により検出されたしきい値Qd3(=3%)以上の流量変化の回数をカウントする手段である。
【0032】
流量変化有無判定部114は、判定用のタイマを用いて判定時間を計測しながら、カウント部113によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数に達した場合に実質的な流量変化ありと判定する手段である。この流量変化有無判定部114は、図2に示すように、早切れ防止判定用流量変化有無判定部1141と早切れ防止判定用タイマ1141T、遅切れ防止判定用流量変化有無判定部1142と遅切れ防止判定用タイマ1142T、および、減少方向変化判定用流量変化有無判定部1143と減少方向変化判定用タイマ1143T、を備えている。
【0033】
早切れ防止判定用流量変化有無判定部1141は、早切れ防止判定用タイマ1141Tを用いて判定時間を計測しながら早切れ防止判定用の流量変化有無判定を行い、早切れ防止判定用カウント部1131によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数(N回)に達した場合に実質的な流量変化ありと判定する手段である。変形例として、予め設定された所定時間内に、早切れ防止判定用カウント部1131によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数(N回)に達した場合に実質的な流量変化ありと判定してもよい。
【0034】
遅切れ防止判定用流量変化有無判定部1142は、遅切れ防止判定用タイマ1142Tを用いて判定時間を計測しながら遅切れ防止判定用の流量変化有無判定を行い、遅切れ防止判定用流量変化検出部1122により流量変化が検出された場合に実質的な流量変化ありと判定する手段である。
【0035】
減少方向変化判定用流量変化有無判定部1143は、減少方向変化判定用タイマ1143Tを用いて判定時間を計測しながら減少方向変化判定用の流量変化有無判定を行い、予め設定された所定時間(X時間)内に、減少方向変化判定用カウント部1133によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数(M回)に達した場合に実質的な減少方向の流量変化ありと判定する手段である。例えば、所定回数(M回)を3回とし、所定時間(X時間)を3分間として、この3分間の間に、減少方向変化判定用カウント部1133によりカウントされた流量変化回数が3回に達した場合に実質的な減少方向の流量変化ありと判定することが考えられる。
【0036】
継続時間計測部115は、予め設定された複数の流量区分に個別対応するように予め設定された複数の安全継続時間設定値の中から、平均流量算出部111により得られた平均流量が属する流量区分に応じて選択される現在の設定値に基づき、図3に示すような継続時間計測用タイマ115Tを用いて、対象ガス流路を流れるガス流量の継続時間を計測する手段である。
【0037】
保安部116は、継続時間計測部115の継続時間計測用タイマ115Tによる計測時間が、現在の設定値として選択されている安全継続時間設定値に達した時点で、遮断弁130により対象ガス流路を遮断させる手段である。この保安部116は、予め設定された複数の流量区分に個別対応するように予め設定された複数の安全継続時間設定値の中から、平均流量算出部111により得られた平均流量が属する流量区分に応じて一つの設定値を選択する。
【0038】
この保安部116はまた、早切れ防止判定用流量変化有無判定部1141により実質的な流量変化ありと判定された場合に、継続時間計測用タイマ115Tと早切れ防止判定用タイマ1141Tをリセットしてゼロスタートさせると共に、流量変化ありと判定された時刻とその時点の流量変化ΔQを新たな元流量データ(基準点t0、基準値Q0)として記憶部117に登録する。
【0039】
この保安部116はまた、遅切れ防止判定用流量変化有無判定部1142により実質的な流量変化ありと判定された場合に、継続時間計測用タイマ115Tと遅切れ防止判定用タイマ1142Tをリセットしてゼロスタートさせると共に、流量変化ありと判定された時刻とその時点の流量変化ΔQを新たな元流量データ(基準点t0、基準値Q0)として記憶部117に登録する。
【0040】
この保安部116はまた、減少方向変化判定用流量変化有無判定部1143により実質的な流量変化ありと判定された場合に、継続時間計測用タイマ115Tと減少方向変化判定用タイマ1143Tをリセットしてゼロスタートさせると共に、流量変化ありと判定された時刻とその時点の流量変化ΔQを新たな元流量データ(基準点t0、基準値Q0)として記憶部117に登録する。
【0041】
さらに、保安部116は、平均流量算出部111により得られた平均流量がゼロとなった場合に、継続時間計測用タイマ115Tをクリアさせると共に、判定用タイマ(早切れ防止判定用タイマ1141T、遅切れ防止判定用タイマ1142T、および、減少方向変化判定用タイマ1143T)の中で動作中のタイマをクリアさせる。
【0042】
また、保安部116は、早切れ防止判定用流量変化有無判定部1141または減少方向変化判定用流量変化有無判定部1143により実質的な流量変化ありと判定された場合に、その実質的な流量変化が比例制御器具の流量変化であるか否かを判別し、その判別結果が比例制御器具の流量変化である場合に、判定結果取得先の判定部(114または115)の早切れ防止判定用タイマ1141Tまたは減少方向変化判定用タイマ1143Tをクリアさせる。
【0043】
記憶部117は、計測部120により得られた計測データに基づいて装置内で得られたデータを記憶する手段である。
【0044】
以上のようなコントローラ110のうち、平均流量算出部111、流量変化検出部112、カウント部113、流量変化有無判定部114、継続時間計測部115、および、保安部116は、これらの各部の機能を実現するために特化されたプログラムとそれを組み込んだ電子回路またはコンピュータにより実現される。また、記憶部117は、各種のメモリまたは記憶装置により実現される。
【0045】
[作用]
図4は、以上のような構成を有する本実施形態のガスメータ100のコントローラ110による流量変化判定処理の一例を示すフローチャートである。以下には、図1と図4を参照しながら、流量変化判定処理の流れについて説明する。
【0046】
[流量変化判定処理]
コントローラ110は、計測部120のガス流量センサ121から対象ガス流路を流れるガス流量(の計測データ)Qを取得すると(S110のYES)、平均流量算出部111により、このガス流量Qから平均流量(例えば、30秒間毎の平均流量)Qaveを算出する(S120)。平均流量Qaveがゼロである場合には(S130のYES)、保安部116により、動作中の全てのタイマをクリアした(S140)後、S110に戻る。
【0047】
コントローラ110は、平均流量Qaveがゼロでない場合には(S130のNO)、保安部116により、平均流量Qaveを記憶部117に登録する(S150)。そして、流量変化検出部112、カウント部113、流量変化有無判定部114、および、保安部116により、早切れ防止用流量変化判定処理(S160)、遅切れ防止用流量変化判定処理(S170)、および、減少方向流量変化判定処理(S180)という3種類の個別の流量変化判定処理を並行的に行う。これらの個別の流量変化判定処理の詳細については後述する。
【0048】
コントローラ110の保安部116は、個別の流量変化判定処理(S160,S170,S180)により得られた判定結果を処理して表示部140に表示させる(S190)。継続時間計測用タイマ115Tは、ゼロスタートからの経過時間が平均流量の流量区分に応じて現在選択中の安全継続時間設定値に達した時点で、その旨を示す安全継続時間オーバ信号を保安部116に与える。保安部116は、継続時間計測用タイマ115Tからの安全継続時間オーバ信号を受け取ると(S200のYES)、遮断弁130に遮断信号を与え、対象ガス流路を遮断させる(S210)。
【0049】
保安部116は、継続時間計測用タイマ115Tからの安全継続時間オーバ信号を受け取るまでの間(S200のNO)は、複数の流量区分に個別対応する複数の安全継続時間設定値の中から、平均流量算出部111により得られた平均流量が属する流量区分に応じて一つの安全継続時間設定値を選択し、選択した設定値を示す信号を継続時間計測部115に与えることにより、継続時間計測用タイマ115Tを制御する。
【0050】
[個別の流量変化判定処理]
以下には、図4に示す流量変化判定処理における、早切れ防止用流量変化判定処理(S160)、遅切れ防止用流量変化判定処理(S170)、および、減少方向流量変化判定処理(S180)の各詳細について順次説明する。
【0051】
[早切れ防止用流量変化判定処理]
図5は、図4に示す流量変化判定処理における早切れ防止用流量変化判定処理(S160)の一例を示すフローチャートである。以下には、図1〜図3、図5を参照しながら、早切れ防止用流量変化判定処理(S160)の流れについて説明する。
【0052】
早切れ防止用流量変化判定処理(S160)において、コントローラ110はまず、早切れ防止判定用流量変化検出部1121(図2)により、平均流量算出部111で得られた今回の平均流量と前回の平均流量との差分ΔQをしきい値Qd1(=30L/h)と比較し、平均流量差分ΔQがしきい値Qd1(=30L/h)以上である場合、すなわち、平均流量が変化前の流量からしきい値Qd1(=30L/h)以上変化した場合に(S161のYES)流量変化を検出する(S162)。
【0053】
早切れ防止判定用流量変化検出部1121により流量変化が検出される度に、早切れ防止判定用カウント部1131(図2)により流量変化回数をカウント(カウント値を1ずつ増分)する(S163)。
【0054】
早切れ防止判定用流量変化有無判定部1141(図2)は、早切れ防止判定用カウント部1131によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数(N回)に達したか否かを判定(早切れ防止判定用の流量変化有無判定)し、所定回数(N回)に到達している場合に(S164のYES)実質的な流量変化ありと判定する(S165)。
【0055】
早切れ防止判定用流量変化有無判定部1141により実質的な流量変化ありと判定されると、保安部116は、継続時間計測用タイマ115Tと早切れ防止判定用タイマ1141Tをリセットしてゼロスタートさせる(S166)と共に、流量変化ありと判定された時刻とその時点の流量変化ΔQを新たな元流量データ(基準点t0、基準値Q0)として記憶部117に登録する(S167)。
【0056】
[遅切れ防止用流量変化判定処理]
図6は、図4に示す流量変化判定処理における遅切れ防止用流量変化判定処理(S170)の一例を示すフローチャートである。以下には、図1〜図3、図6を参照しながら、遅切れ防止用流量変化判定処理(S170)の流れについて説明する。
【0057】
遅切れ防止用流量変化判定処理(S170)において、コントローラ110はまず、遅切れ防止判定用流量変化検出部1122(図2)により、平均流量算出部111で得られた今回の平均流量と前回の平均流量との差分ΔQをしきい値Qd2(=100L/h)と比較し、平均流量差分ΔQがしきい値Qd2(=100L/h)以上である場合、すなわち、平均流量が変化前の流量からしきい値Qd2(=100L/h)以上変化した場合に(S171のYES)流量変化を検出する(S172)。
【0058】
遅切れ防止判定用流量変化有無判定部1142(図2)は、遅切れ防止判定用流量変化検出部1122により流量変化が検出された場合に実質的な流量変化ありと判定する(S173)。
【0059】
遅切れ防止判定用流量変化有無判定部1142により実質的な流量変化ありと判定されると、保安部116は、継続時間計測用タイマ115Tと遅切れ防止判定用タイマ1142Tをリセットしてゼロスタートさせる(S174)と共に、流量変化ありと判定された時刻とその時点の流量変化ΔQを新たな元流量データ(基準点t0、基準値Q0)として記憶部117に登録する(S175)。
【0060】
[減少方向流量変化判定処理]
図7は、図4に示す流量変化判定処理における減少方向流量変化判定処理(S180)の一例を示すフローチャートである。以下には、図1〜図3、図7を参照しながら、減少方向流量変化判定処理(S180)の流れについて説明する。
【0061】
減少方向流量変化判定処理(S180)において、コントローラ110はまず、減少方向変化判定用流量変化検出部1123(図2)により、平均流量算出部111で得られた今回の平均流量と前回の平均流量との差分ΔQをしきい値Qd3(=3%)と比較し、平均流量差分ΔQがしきい値Qd3(=3%)以上である場合、すなわち、平均流量が変化前の流量からしきい値Qd3(=3%)以上変化した場合に(S181のYES)流量変化を検出する(S182)。
【0062】
減少方向変化判定用流量変化検出部1123により流量変化が検出される度に、減少方向変化判定用カウント部1133(図2)により流量変化回数をカウント(カウント値を1ずつ増分)する(S183)。
【0063】
減少方向変化判定用流量変化有無判定部1143(図2)は、減少方向変化判定用カウント部1133によりカウントされた流量変化回数が、予め設定された所定時間(X時間)内に予め設定された所定回数(M回)に達したか否かを判定(減少方向変化判定用の流量変化有無判定)し、所定時間(X時間)内に所定回数(M回)に到達している場合に(S184のYES)実質的な流量変化ありと判定する(S185)。
【0064】
減少方向変化判定用流量変化有無判定部1143により実質的な流量変化ありと判定されると、保安部116は、継続時間計測用タイマ115Tと減少方向変化判定用タイマ1143Tをリセットしてゼロスタートさせる(S186)と共に、流量変化ありと判定された時刻とその時点の流量変化ΔQを新たな元流量データ(基準点t0、基準値Q0)として記憶部117に登録する(S187)。
【0065】
[効果]
以上のような構成および作用を有する本実施形態のガスメータ100によれば、次のような効果が得られる。
【0066】
[早切れ防止]
本実施形態によれば、30L/hの流量変化最低値をしきい値Qd1として用いて、少なくとも30L/h以上の流量変化を検出し、その発生回数をカウントすることにより、「30L/h以上の流量変化が所定回数(N回)以上発生」することを判定条件として、図5に示すような早切れ防止判定用の流量変化有無判定を行うことができる。
【0067】
本実施形態におけるこの早切れ防止判定用の流量変化有無判定によれば、3%または51.82L/h以上の流量変化の回数しかカウントできなかった従来手法に比べて、図8の(a)に示すように、少なくとも30L/h以上の流量変化の回数をカウントできる。そのため、3%または51.82L/h以下の流量変化しか発生しない場合や発生回数が少ない場合や連続していない場合であっても、図8の(b)に示すように、ガス流量の流量変化を検出して実質的な流量変化ありと判定することができる。
【0068】
ここで、図8の(b)に示す例においては、所定回数N=3とした場合におけるしきい値の差異による本実施形態の効果を示しており、本実施形態によれば、30L/h以上の流量変化を3回検出して早期のポイントt1で流量変化ありと判定されるのに対し、従来のしきい値51.82L/hでは、それより遅いポイントt2でも流量変化が2回しか検出されず、流量変化ありとは判定されない。
【0069】
このように、本実施形態における早切れ防止判定用の流量変化有無判定によれば、正常運転時の流量変化が緩やかなファンヒータ、給湯器、燃料電池などの比例制御器具であっても、その器具で使用されるガス流量の流量変化を検出して実質的な流量変化ありと判定することができる。その結果、使用者の器具使用継続の意図に沿った流量変化発生時には常に、継続時間計測用タイマをクリアして継続時間計測のスタートポイントを更新できるため、高い信頼性で早切れを防止できる。
【0070】
[遅切れ防止]
本実施形態によれば、100L/hの着火流量最低値をしきい値として用いて、少なくとも100L/h以上の流量変化を検出することにより、「100L/h以上の流量変化が発生」することを判定条件として、図6に示すような遅切れ防止判定用の流量変化有無判定を行うことができる。
【0071】
本実施形態におけるこの遅切れ防止判定用の流量変化有無判定によれば、図9に示すように、ガス器具の消し忘れ時において、ガス器具の着火流量最低レベル以下の例えば70〜80L/h程度の流量変化しか発生しない場合であっても、実質的な流量変化ありと判定されることを回避できる。その結果、ガス器具の消し忘れ時における継続時間計測用タイマのクリアを防止して、非使用状態のガス器具に対して必要なガス遮断を適時に行うことができるため、高い信頼性で遅切れを防止できる。
【0072】
[減少方向の流量変化判定可能]
本実施形態によれば、3%の減少方向変化判定値をしきい値として用いて、このしきい値「3%」以上の流量変化を検出し、所定時間内におけるその発生回数をカウントすることにより、「3%以上の流量変化が所定時間(X時間)内に所定回数(M回)以上発生」することを判定条件として、図7に示すような減少方向変化判定用の流量変化有無判定を行うことができる。
【0073】
本実施形態におけるこの減少方向変化判定用の流量変化有無判定によれば、実流量の減少傾向に応じて、所定時間(X時間)と所定回数(M回)を適切に設定することにより、図10に示すように、ある基準点における基準値からの流量変化として、3%または51.82L/h以上の連続した複数回(例えば3回)の流量変化が発生しないような、極めて緩やかな流量減少時であっても、実質的な流量変化ありと判定することができる。その結果、比例制御器具の減少方向の流量変化時には常に、基準値の更新が行われるため、使用中の基準値と実流量の値が乖離することを防止でき、以降の判定精度を維持できる。したがって、適時なタイミングでの安全継続時間遮断の実現に寄与できる。
【0074】
[他の実施形態]
なお、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な変形例が可能である。例えば、流量変化検出に使用する流量変化最低値、着火流量最低値、減少方向変化判定値として前記実施形態で示した値は、ガス器具の使用時における流量変化の統計学的データに基づく一例にすぎない。すなわち、流量変化最低値、着火流量最低値、減少方向変化判定値として実際に使用する値は、対象とするガス器具の種類やその使用時における実流量の変化に応じて適切に選択される。同様に、流量変化有無判定に使用する具体的な所定時間や所定回数もまた、実流量の変化に応じて適切に選択される。また、図1〜図3に示した機能ブロック図の構成は、本発明を実施するための機能構成例を示すものであり、具体的なハードウェア構成およびソフトウェア構成は適宜選択可能である。
【0075】
また、前記実施形態においては、本発明のガス遮断装置をガスメータに組み込んだ場合について説明したが、本発明のガス遮断装置はガスメータとは別の装置として構成してもよい。さらに、本発明の実施態様は、ガス遮断装置に限らず、ガス遮断装置による流量変化判定方法や、図1にコントローラとして示すような本発明のガス遮断装置の制御器単体もまた、本発明の一つの実施態様である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明のガス遮断装置を適用した一つの実施形態に係るガスメータの構成を 示す機能ブロック図。
【図2】図1に示す流量変化検出部、カウント部、流量変化有無判定部の構成とデー タの流れを示す機能ブロック図。
【図3】図1に示す流量変化有無判定部、継続使用時間計測部の構成とデータの流れ を示す機能ブロック図。
【図4】図1のガスメータのコントローラによる流量変化判定処理の一例を示すフロ ーチャート。
【図5】図4に示す流量変化判定処理における早切れ防止用流量変化判定処理の一例 を示すフローチャート。
【図6】図4に示す流量変化判定処理における遅切れ防止用流量変化判定処理の一例 を示すフローチャート。
【図7】図4に示す流量変化判定処理における減少方向流量変化判定処理の一例を示 すフローチャート。
【図8】図1の実施形態による早切れ防止効果を示す説明図。
【図9】図1の実施形態による遅切れ防止効果を示す説明図。
【図10】図1の実施形態による減少方向の流量変化判定可能の効果を示す説明図。
【図11】従来の安全継続時間オーバ時の判定に使用される安全継続時間設定値を示 す図。
【図12】従来の流量変化有無判定手法における早切れの発生を説明するためのファ ンヒータの実流量変化例を示す図。
【図13】従来の流量変化有無判定手法における遅切れの発生を説明するためのファ ンヒータの実流量変化例を示す図。
【図14】従来の流量変化有無判定手法における現象方向の流量変化判定不能を説明 するための比例制御器具の流量変化検出例を示す図。
【符号の説明】
【0077】
100…ガスメータ
110…コントローラ
111…平均流量算出部
112…流量変化検出部
113…カウント部
114…流量変化有無判定部
115…継続時間計測部
116…保安部
117…記憶部
120…計測部
121…ガス流量センサ
122…各種センサ
130…遮断弁
140…表示部
150…通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象ガス流路を流れるガスを遮断する遮断手段と、対象ガス流路を流れるガスに関する物理量として少なくともガス流量を計測する計測手段を備え、対象ガス流路を流れるガスを監視して遮断が必要な場合に前記遮断手段により対象ガス流路を遮断するガス遮断装置において、
前記計測手段により得られた計測データからガス流量の平均流量を算出する平均流量算出手段と、
予め設定された複数の流量区分に個別対応するように予め設定された複数の安全継続時間設定値の中から、前記平均流量算出手段により得られた平均流量が属する流量区分に応じて選択される現在の設定値に基づき、継続時間計測用のタイマを用いて、前記対象ガス流路を流れるガス流量の継続時間を計測する継続時間計測手段と、
前記継続時間計測用のタイマによる計測時間が、前記現在の設定値として選択されている安全継続時間設定値に達した時点で、前記遮断手段により前記対象ガス流路を遮断させる保安手段と、
前記平均流量算出手段により得られた平均流量が変化前の流量に対して予め設定されたしきい値以上変化した場合に流量変化を検出する流量変化検出手段と、
この流量変化検出手段により検出された流量変化の回数をカウントするカウント手段と、
このカウント手段によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数に達した場合に実質的な流量変化ありと判定する流量変化有無判定手段と、
前記計測手段により得られた計測データに基づいて装置内で得られたデータを記憶する記憶手段を備え、
前記流量変化検出手段は、予め設定された前記しきい値としてガス器具の通常着火時に現れる流量の最低レベルを表す着火流量最低値を用いることで、平均流量が変化前の流量から当該着火流量最低値以上変化した場合に流量変化を検出する遅切れ防止判定用の流量変化検出手段を含み、
前記流量変化有無判定手段は、遅切れ防止判定用のタイマを用いて判定時間を計測しながら遅切れ防止判定用の流量変化有無判定を行い、前記遅切れ防止判定用の流量変化検出手段により流量変化が検出された場合に実質的な流量変化ありと判定する遅切れ防止判定用の流量変化有無判定手段を含み、
前記保安手段は、前記遅切れ防止判定用の流量変化有無判定手段により実質的な流量変化ありと判定された場合に、前記継続時間計測用のタイマと前記遅切れ防止判定用のタイマをゼロスタートさせると共に、流量変化ありと判定された時刻とその時点の流量を新たな元流量データとして前記記憶手段に登録するように構成されている
ことを特徴とするガス遮断装置。
【請求項2】
前記遅切れ防止判定用の流量変化検出手段は、前記着火流量最低値として100L/hの値を用いる
ことを特徴とする請求項1に記載のガス遮断装置。
【請求項3】
対象ガス流路を流れるガスを遮断する遮断手段と、対象ガス流路を流れるガスに関する物理量として少なくともガス流量を計測する計測手段を備え、対象ガス流路を流れるガスを監視して遮断が必要な場合に前記遮断手段により対象ガス流路を遮断するガス遮断装置において、
前記計測手段により得られた計測データからガス流量の平均流量を算出する平均流量算出手段と、
予め設定された複数の流量区分に個別対応するように予め設定された複数の安全継続時間設定値の中から、前記平均流量算出手段により得られた平均流量が属する流量区分に応じて選択される現在の設定値に基づき、継続時間計測用のタイマを用いて、前記対象ガス流路を流れるガス流量の継続時間を計測する継続時間計測手段と、
前記継続時間計測用のタイマによる計測時間が、前記現在の設定値として選択されている安全継続時間設定値に達した時点で、前記遮断手段により前記対象ガス流路を遮断させる保安手段と、
前記平均流量算出手段により得られた平均流量が変化前の流量に対して予め設定されたしきい値以上変化した場合に流量変化を検出する流量変化検出手段と、
この流量変化検出手段により検出された流量変化の回数をカウントするカウント手段と、
このカウント手段によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数に達した場合に実質的な流量変化ありと判定する流量変化有無判定手段と、
前記計測手段により得られた計測データに基づいて装置内で得られたデータを記憶する記憶手段を備え、
前記流量変化検出手段は、予め設定された前記しきい値として比例制御器具の減少方向の流量変化とみなす判定レベルを表す減少方向変化判定値を用いることで、平均流量が変化前の流量から当該減少方向変化判定値以上変化した場合に流量変化を検出する減少方向変化判定用の流量変化検出手段を含み、
前記カウント手段は、前記減少方向変化判定用の流量変化検出手段により検出された前記しきい値以上の流量変化の回数をカウントする減少方向変化判定用のカウント手段を含み、
前記流量変化有無判定手段は、減少方向変化判定用のタイマを用いて判定時間を計測しながら減少方向変化判定用の流量変化有無判定を行い、予め設定された所定時間内に、前記減少方向変化判定用のカウント手段によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数に達した場合に実質的な減少方向の流量変化ありと判定する減少方向変化判定用の流量変化有無判定手段を含み、
前記保安手段は、前記減少方向変化判定用の流量変化有無判定手段により実質的な流量変化ありと判定された場合に、前記継続時間計測用のタイマと前記減少方向変化判定用のタイマをゼロスタートさせると共に、流量変化ありと判定された時刻とその時点の流量を新たな元流量データとして前記記憶手段に登録するように構成されている
ことを特徴とするガス遮断装置。
【請求項4】
前記減少方向変化判定用の流量変化検出手段は、前記減少方向変化判定値として3%または51.82L/hの値を用いる
ことを特徴とする請求項3に記載のガス遮断装置。
【請求項5】
前記保安手段は、前記平均流量算出手段により得られた平均流量がゼロとなった場合に、前記継続時間計測用のタイマをクリアさせると共に、前記判定用のタイマが動作中であれば当該タイマもクリアさせるように構成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載のガス遮断装置。
【請求項6】
前記保安手段は、前記流量変化有無判定手段により実質的な流量変化ありと判定された場合に、その実質的な流量変化が比例制御器具の流量変化であるか否かを判別し、その判別結果が比例制御器具の流量変化である場合に、前記判定用のタイマをクリアさせるように構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のガス遮断装置。
【請求項7】
前記平均流量算出手段、前記継続時間計測手段、前記保安手段、前記流量変化検出手段、前記カウント手段、および、前記流量変化有無判定手段は、これらの手段の機能を実現するために特化されたプログラムとそれを組み込んだ電子回路またはコンピュータにより実現される
ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載のガス遮断装置。
【請求項8】
対象ガス流路を流れるガスを遮断する遮断手段と対象ガス流路を流れるガスに関する物理量として少なくともガス流量を計測する計測手段を用いて、対象ガス流路を流れるガスを監視し、遮断が必要な場合に前記遮断手段により対象ガス流路を遮断するガス遮断装置による流量変化判定方法において、
前記計測手段により得られた計測データからガス流量の平均流量を算出する平均流量算出手段と、
予め設定された複数の流量区分に個別対応するように予め設定された複数の安全継続時間設定値の中から、前記平均流量算出手段により得られた平均流量が属する流量区分に応じて選択される現在の設定値に基づき、継続時間計測用のタイマを用いて、前記対象ガス流路を流れるガス流量の継続時間を計測する継続時間計測手段と、
前記継続時間計測用のタイマによる計測時間が、前記現在の設定値として選択されている安全継続時間設定値に達した時点で、前記遮断手段により前記対象ガス流路を遮断させる保安手段と、
前記平均流量算出手段により得られた平均流量が変化前の流量に対して予め設定されたしきい値以上変化した場合に流量変化を検出する流量変化検出手段と、
この流量変化検出手段により検出された流量変化の回数をカウントするカウント手段と、
このカウント手段によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数に達した場合に実質的な流量変化ありと判定する流量変化有無判定手段と、
前記計測手段により得られた計測データに基づいて装置内で得られたデータを記憶する記憶手段を用いて、
前記流量変化検出手段により、予め設定された前記しきい値としてガス器具の通常着火時に現れる流量の最低レベルを表す着火流量最低値を用いることで、平均流量が変化前の流量から当該着火流量最低値以上変化した場合に流量変化を検出する遅切れ防止判定用の流量変化検出ステップと、
前記流量変化有無判定手段により、遅切れ防止判定用のタイマを用いて判定時間を計測しながら遅切れ防止判定用の流量変化有無判定を行い、前記遅切れ防止判定用の流量変化検出ステップにおいて流量変化が検出された場合に実質的な流量変化ありと判定する遅切れ防止判定用の流量変化有無判定ステップと、
前記保安手段により、前記遅切れ防止判定用の流量変化検出ステップにおいて実質的な流量変化ありと判定された場合に、前記継続時間計測用のタイマと前記遅切れ防止判定用のタイマをゼロスタートさせると共に、流量変化ありと判定された時刻とその時点の流量を新たな元流量データとして前記記憶手段に登録するステップ
を行うことを特徴とするガス遮断装置による流量変化判定方法。
【請求項9】
対象ガス流路を流れるガスを遮断する遮断手段と対象ガス流路を流れるガスに関する物理量として少なくともガス流量を計測する計測手段を用いて、対象ガス流路を流れるガスを監視し、遮断が必要な場合に前記遮断手段により対象ガス流路を遮断するガス遮断装置による流量変化判定方法において、
前記計測手段により得られた計測データからガス流量の平均流量を算出する平均流量算出手段と、
予め設定された複数の流量区分に個別対応するように予め設定された複数の安全継続時間設定値の中から、前記平均流量算出手段により得られた平均流量が属する流量区分に応じて選択される現在の設定値に基づき、継続時間計測用のタイマを用いて、前記対象ガス流路を流れるガス流量の継続時間を計測する継続時間計測手段と、
前記継続時間計測用のタイマによる計測時間が、前記現在の設定値として選択されている安全継続時間設定値に達した時点で、前記遮断手段により前記対象ガス流路を遮断させる保安手段と、
前記平均流量算出手段により得られた平均流量が変化前の流量に対して予め設定されたしきい値以上変化した場合に流量変化を検出する流量変化検出手段と、
この流量変化検出手段により検出された流量変化の回数をカウントするカウント手段と、
このカウント手段によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数に達した場合に実質的な流量変化ありと判定する流量変化有無判定手段と、
前記計測手段により得られた計測データに基づいて装置内で得られたデータを記憶する記憶手段を用いて、
前記流量変化検出手段により、予め設定された前記しきい値として比例制御器具の減少方向の流量変化とみなす判定レベルを表す減少方向変化判定値を用いることで、平均流量が変化前の流量から当該減少方向変化判定値以上変化した場合に流量変化を検出する減少方向変化判定用の流量変化検出ステップと、
前記カウント手段により、前記減少方向変化判定用の流量変化検出ステップにおいて検出された前記しきい値以上の流量変化の回数をカウントする減少方向変化判定用のカウントステップと、
前記流量変化有無判定手段により、減少方向変化判定用のタイマを用いて判定時間を計測しながら減少方向変化判定用の流量変化有無判定を行い、予め設定された所定時間内に、前記減少方向変化判定用のカウントステップにおいてカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数に達した場合に実質的な減少方向の流量変化ありと判定する減少方向変化判定用の流量変化有無判定ステップと、
前記保安手段により、前記減少方向変化判定用の流量変化有無判定ステップにおいて実質的な流量変化ありと判定された場合に、前記継続時間計測用のタイマと前記減少方向変化判定用のタイマをゼロスタートさせると共に、流量変化ありと判定された時刻とその時点の流量を新たな元流量データとして前記記憶手段に登録するステップ
を行うことを特徴とするガス遮断装置による流量変化判定方法。
【請求項10】
対象ガス流路を流れるガスを遮断する遮断手段と、対象ガス流路を流れるガスに関する物理量として少なくともガス流量を計測する計測手段を備え、対象ガス流路を流れるガスを監視して遮断が必要な場合に前記遮断手段により対象ガス流路を遮断するガス遮断装置に使用される制御器において、
前記計測手段により得られた計測データからガス流量の平均流量を算出する平均流量算出手段と、
予め設定された複数の流量区分に個別対応するように予め設定された複数の安全継続時間設定値の中から、前記平均流量算出手段により得られた平均流量が属する流量区分に応じて選択される現在の設定値に基づき、継続時間計測用のタイマを用いて、前記対象ガス流路を流れるガス流量の継続時間を計測する継続時間計測手段と、
前記継続時間計測用のタイマによる計測時間が、前記現在の設定値として選択されている安全継続時間設定値に達した時点で、前記遮断手段により前記対象ガス流路を遮断させる保安手段と、
前記平均流量算出手段により得られた平均流量が変化前の流量に対して予め設定されたしきい値以上変化した場合に流量変化を検出する流量変化検出手段と、
この流量変化検出手段により検出された流量変化の回数をカウントするカウント手段と、
このカウント手段によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数に達した場合に実質的な流量変化ありと判定する流量変化有無判定手段と、
前記計測手段により得られた計測データに基づいて装置内で得られたデータを記憶する記憶手段を備え、
前記流量変化検出手段は、予め設定された前記しきい値としてガス器具の通常着火時に現れる流量の最低レベルを表す着火流量最低値を用いることで、平均流量が変化前の流量から当該着火流量最低値以上変化した場合に流量変化を検出する遅切れ防止判定用の流量変化検出手段を含み、
前記流量変化有無判定手段は、遅切れ防止判定用のタイマを用いて判定時間を計測しながら遅切れ防止判定用の流量変化有無判定を行い、前記遅切れ防止判定用の流量変化検出手段により流量変化が検出された場合に実質的な流量変化ありと判定する遅切れ防止判定用の流量変化有無判定手段を含み、
前記保安手段は、前記遅切れ防止判定用の流量変化有無判定手段により実質的な流量変化ありと判定された場合に、前記継続時間計測用のタイマと前記遅切れ防止判定用のタイマをゼロスタートさせると共に、流量変化ありと判定された時刻とその時点の流量を新たな元流量データとして前記記憶手段に登録するように構成されている
ことを特徴とするガス遮断装置用の制御器。
【請求項11】
対象ガス流路を流れるガスを遮断する遮断手段と、対象ガス流路を流れるガスに関する物理量として少なくともガス流量を計測する計測手段を備え、対象ガス流路を流れるガスを監視して遮断が必要な場合に前記遮断手段により対象ガス流路を遮断するガス遮断装置に使用される制御器において、
前記計測手段により得られた計測データからガス流量の平均流量を算出する平均流量算出手段と、
予め設定された複数の流量区分に個別対応するように予め設定された複数の安全継続時間設定値の中から、前記平均流量算出手段により得られた平均流量が属する流量区分に応じて選択される現在の設定値に基づき、継続時間計測用のタイマを用いて、前記対象ガス流路を流れるガス流量の継続時間を計測する継続時間計測手段と、
前記継続時間計測用のタイマによる計測時間が、前記現在の設定値として選択されている安全継続時間設定値に達した時点で、前記遮断手段により前記対象ガス流路を遮断させる保安手段と、
前記平均流量算出手段により得られた平均流量が変化前の流量に対して予め設定されたしきい値以上変化した場合に流量変化を検出する流量変化検出手段と、
この流量変化検出手段により検出された流量変化の回数をカウントするカウント手段と、
このカウント手段によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数に達した場合に実質的な流量変化ありと判定する流量変化有無判定手段と、
前記計測手段により得られた計測データに基づいて装置内で得られたデータを記憶する記憶手段を備え、
前記流量変化検出手段は、予め設定された前記しきい値として比例制御器具の減少方向の流量変化とみなす判定レベルを表す減少方向変化判定値を用いることで、平均流量が変化前の流量から当該減少方向変化判定値以上変化した場合に流量変化を検出する減少方向変化判定用の流量変化検出手段を含み、
前記カウント手段は、前記減少方向変化判定用の流量変化検出手段により検出された前記しきい値以上の流量変化の回数をカウントする減少方向変化判定用のカウント手段を含み、
前記流量変化有無判定手段は、減少方向変化判定用のタイマを用いて判定時間を計測しながら減少方向変化判定用の流量変化有無判定を行い、予め設定された所定時間内に、前記減少方向変化判定用のカウント手段によりカウントされた流量変化回数が予め設定された所定回数に達した場合に実質的な減少方向の流量変化ありと判定する減少方向変化判定用の流量変化有無判定手段を含み、
前記保安手段は、前記減少方向変化判定用の流量変化有無判定手段により実質的な流量変化ありと判定された場合に、前記継続時間計測用のタイマと前記減少方向変化判定用のタイマをゼロスタートさせると共に、流量変化ありと判定された時刻とその時点の流量を新たな元流量データとして前記記憶手段に登録するように構成されている
ことを特徴とするガス遮断装置用の制御器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−79980(P2013−79980A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−11805(P2013−11805)
【出願日】平成25年1月25日(2013.1.25)
【分割の表示】特願2008−152094(P2008−152094)の分割
【原出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(000168643)高圧ガス保安協会 (92)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(309042071)東光東芝メーターシステムズ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】