説明

キッチンの照明装置

【課題】キッチンキャビネットの上面のカウンター上を万遍なく良好に照明できるキッチンの照明装置を提供する。
【解決手段】キッチンキャビネットの上面のカウンター3の裏面に電源と接続して配設された一次コイル11bと、この一次コイル11bより誘導電流を受電する二次コイル12bを備えてカウンター3上に移動可能に設けられる照明器6で構成され、この照明器6は、二次コイル12bが内装された台部7と、台部7に略垂直に保持された導光板9と、この導光板9の上側端面に配置されて二次コイル12b側と電線で接続されたLED10を備え、LED10からの光が導光板9を通し斜め下方へ照射されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンキャビネットのカウンター上に移動可能な照明器を設けたキッチンの照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、キッチンキャビネットの上面のカウンター上に垂直にパネル照明を配置させ、このパネル照明の上側端面にLED光源を配置させて、キッチンキャビネットのカウンター上面を照明できるように構成したキッチン照明装置が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−63800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているキッチン照明装置は、キッチンキャビネットのカウンターに固定されたものであり、移動させることはできないため、カウンター上を万遍なく照明することはできないものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、キッチンキャビネットのカウンター上面を万遍なく照明できるキッチンの照明装置の提供を目的とし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明のキッチンの照明装置は、キッチンキャビネットの上面のカウンターの裏面に、電源と接続して配設された一次コイルと、
該一次コイルより誘導電流を受電する二次コイルを備えて前記カウンター上に移動可能に設けられた照明器で構成され、
該照明器は、前記二次コイルが内装された台部と、該台部に略垂直に保持された導光板と、該導光板の上側端面に配置されて前記二次コイル側と電線で接続されたLED光源を備え、前記LED光源からの光が前記導光板を通し斜め下方へ照射されるように構成したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のキッチンの照明装置では、カウンターの裏面に配設されている一次コイルの位置に照明器を移動させて、照明器内に設けられた二次コイルを介してLED光源を発光させることができ、LED光源からの光が導光板へ入射し、拡散反射されて、光が導光板から斜め下方のカウンター上に照射されるため、カウンター上で調理作業等を行う際に手元を明るく照明することができる。
【0007】
また、本発明のキッチンの照明装置において、前記導光板は、長方形の平面状であり、該導光板の左右いずれか側端あるいは左右両側端に前記電線を配したものとすることもできる。
こうすれば、照明器がスッキリとした形状を呈し、カウンター上で調理作業等を行う際に、広い範囲で手元を明るく照明することができる。
【0008】
また、本発明のキッチンの照明装置において、前記照明器は、表側及び裏側の両面から光が照射されるように構成されているものとすることもできる。
こうすれば、カウンター上での、対面作業時においても、照明器から表側及び裏側へ照射される光により良好にキッチン作業が行えるものとなる。
【0009】
また、表側及び裏側の両面から光が照射されるように構成した前記照明器において、前記導光板が一枚で構成されているものとすることもできる。
こうすれば、導光板が一枚であるためコンパクトな照明器となり、表側及び裏側の両面から光を照射させて、カウンター上での対面作業においても、良好に作業が行えるものとなる。
【0010】
また、本発明のキッチンの照明装置において、前記二次コイルは、前記照明器の下端側の左右長手方向の中央付近に配置されているものとすることもできる。
こうすれば、照明器がカウンター上で回転ずれを生じたような場合でも、一次コイルより誘導電流を良好に二次コイルに給電することができ、照明器がずれた場合でも、照明器の明るさが安定したものとなる。
【0011】
また、本発明のキッチンの照明装置において、前記照明器は、前記台部が円形で、前記導光板が円筒形状であり、該導光板の円筒内に前記電線を配したものとすることもできる。
こうすれば、意匠性に優れた照明器となり、導光板の外周全域から光を照射させることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】照明器を備えたキッチンキャビネットの斜視構成図である。
【図2】照明器の斜視構成図である。
【図3】照明器の要部を拡大して示す正面縦断面構成図である。
【図4】照明器の縦断面側面構成図である。
【図5】照明器から斜め下方へ光が照射される状態を示す照明器の縦断面側面構成図である。
【図6】照射される光の向きを変えた場合の照明器の要部縦断面拡大構成図である。
【図7】裏表両面側へ光を照射させることのできる照明器の縦断面側面構成図である。
【図8】図7の照明器の照明状態の縦断面側面構成図である。
【図9】円形状をなす照明器の斜視構成図である。
【図10】図9の照明器から光が照射されている照明状態の斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、キッチンキャビネットの斜視構成図であり、キッチンキャビネット1は、収納空間が形成されたキャビネット本体2の上面にカウンター3が設けられ、カウンター3には、シンク4と、シンク4内に給水するための水栓5が設けられている。また、カウンター3上には、カウンター3上を照明するための照明器6が設置されている。
この照明器6は、カウンター3から着脱させることができて移動が可能なものであり、別の場所へ持ち運ぶことができ、カウンター3から別の場所へ持ち運んで容易に清掃することができるものである。
【0014】
この照明器6は、図2に斜視図で示すように構成されており、底台部7の左右両端側に起立状に側台部8a,8bが立設され、この左右の側台部8a,8b間に、長方形の平面状の導光板9が嵌め込まれて、導光板9は底台部7上に略垂直に立設されている。この導光板9は、アクリル,ガラス,ポリカーボネート,PP(ポリプロピレン),ABS,その他の光透過性材料で構成され、この導光板9の上側端面には、左右方向に間隔をおいて、例えば20個程度のLED10,10,10が配設されている。
【0015】
図3の要部正面断面図で示すように、底台部7を介して安定的に導光板9をカウンター3上に略垂直に配置させることができ、カウンター3の裏面の所定位置には、一次コイル11a,11bが左右に間隔をおいて配置されており、各一次コイル11a,11bは図示しない電源に接続されている。また、照明器6の底台部7の左右長手方向中央付近には、左右に間隔をおいて2個の二次コイル12a,12bが内装されている。
なお、二次コイル12a,12bと各LED10は電線18で繋がっており、電線18は導光板9の側端の側台部8b内に配線しておくことができる。
【0016】
また、図4の側面断面構成図で示すように、導光板9の裏面側には拡散・反射加工面9aが形成されている。この拡散・反射加工面9aは、導光板9の裏面を細かな凹凸状に加工したものである。
導光板9の拡散・反射加工面9aの裏側には、アルミニウム製の反射フイルム13が貼着されている。また、この反射フイルム13の裏面側に、アルミニウム或いは銅製の放熱板17を設けておいても良い。この放熱板17を設けておけば、LED10からの熱を良好に逃がすことができ、LED10の寿命を延ばすことができる。
【0017】
なお、導光板9の表側及び裏側には窓板15a,15bが底台部7から立設されており、表裏側の窓板15a,15bの上端側は上板14で連結されている。
このように窓板15a,15b及び上板14で、導光板9及びLED10を包囲した形状に形成しておけば、水密性が確保されて、照明器6を丸洗いすることもできる。
【0018】
このような構成において、照明器6を、カウンター3に設けられている一次コイル11a,11bの位置に移動させて、一次コイル11a,11bと二次コイル12a,12bを整合させると、電源に接続されている一次コイル11a,11bより誘導電流を二次コイル12a,12bに給電して、電線18を介してLED10を点灯させることができる。
点灯された多数のLED10からの光は、図5に示すように上方から導光板9内に入射され、導光板の拡散・反射加工面9aで拡散反射された光は、手元照明光Raとして斜め下方へ向かって照射される。
この手元照明光Raでカウンター3上を明るく照らすことができ、カウンター3上で調理作業等を行う際に、手元が明るく照明されて作業を良好に行うことができるものとなる。
【0019】
なお、図3に示すように、二次コイル12a,12bは、照明器6の底台部7の左右長手方向中央付近に配置されているため、照明器6がカウンター3上で回転ずれを生じたような場合でも、一次コイル11a,11bより誘導電流を良好に二次コイル12a,12bに給電することができ、照明器6がずれた場合でも、照明器6の明るさが安定したものとなる。
【0020】
なお、本例では、図3に示すように、カウンター3の裏側に2個の一次コイル11a,11bを設け、照明器6の底台部7内に2個の二次コイル12a,12bを設けているため、一次コイル11aと二次コイル12aを整合させ、かつ一次コイル11bと二次コイル12bを整合させて、2セットの一次コイルと二次コイルを整合させることにより、フルパワーで全部のLED10を点灯させて明るい手元照明光Raを得ることができる。
なお、例えば一次コイル11aと二次コイル12bのみを整合させて、1セットの一次コイルと二次コイルを整合させた場合は、半分の数のLED10を点灯させて照明器6の明るさを半分にすることができる。
【0021】
また、図4における放熱板17の図示右側に、さらに反射フイルム13と導光板9及びLED10を追加して、放熱板17の左右側に背中合わせで2セットの導光板9とLED10を設けた構造の照明器6とした場合には、照明器6の表裏側へ照明光を照射させることができるものとなるが、このような表裏側に照射できるように構成した場合に、図3のように、2セットの一次コイル11a,11bと二次コイル12a,12bを設けた構成では、例えば2セットの一次コイル11a,11bと二次コイル12a,12bを同時に整合させた場合には、表裏両側を同時に照明することができ、1セットの一次コイル11aと二次コイル12bのみを整合させた時には、表側或いは裏側の何れか側のみに照明光を照射させることができるものとなる。
【0022】
なお、図6の拡大断面構成図で示すように、導光板9の反射フイルム13の反対側面に透過・拡散フイルム16a,16bを貼着して設けることで、導光板9から下向きに照射される手元照明光Raの向きを変えることができる。
即ち、手元照明光Raが強すぎるような場合等には、透過・拡散フイルム16a,16bを一枚或いは二枚、更には数枚貼着等して、手元照明光Raの向き及び強さを変えることができるものである。
【0023】
なお、本例では、図3のように、一次コイル及び二次コイルをそれぞれ2個設けたものを例示しているが、一次コイル及び二次コイルはそれぞれ1個ずつであっても良く、更には、一次コイル及び二次コイルはそれぞれ3個或いは4個設けて構成することもできる。
なお、照明器6の底台部7或いは側台部8a,8b内に、コンデンサー或いは二次電池を設けておくこともでき、照明器6内にコンデンサー或いは二次電池が内装されている場合には、これらのコンデンサー或いは二次電池が二次コイル12a,12bで充電されるため、一次コイル11a,11bの位置から照明器6を離した場合にも、良好に照明器6から手元照明光Raを照射させることができるものとなる。
【0024】
次に、図7に側面縦断面構成図で示す照明器6は、一枚の導光板9を用いて裏表両面へ照明光を照射させることができるように構成したものである。
照明器6の底台部7上に垂直に安定して導光板9が立設されており、導光板9の上端には多数のLED10が列設されている。
導光板9には細かい凹凸加工を施した拡散・反射加工面9aが形成されており、この拡散・反射加工面9aの表側には、上下方向中央部から上部のみに反射フイルム13aが貼着されている。また、導光板9の裏側には、上下方向中央部から下部のみに反射フイルム13bが貼着されている。
【0025】
このような構成では、図8に示すように、一次コイル11bと二次コイル12bが整合されて、一次コイル11bから誘導電流が二次コイル12bに給電されると、電線18を介してLED10が点灯し、LED10からの光は導光板9へ上方から入射し、拡散・反射加工面9aで拡散反射され、反射フイルム13aが貼着されている導光板9の上部部位では、裏側へ向かって下向きに対面照明光Rbが照射されることとなり、また、導光板9の下部部位では、反射フイルム13bに反射されて導光板9の表側へ下向きに手元照明光Raが照射される。
従って、手元照明光Raによりカウンター3上で調理作業等を行う際に手元が明るく照明され、さらに対面照明光Rbにより裏側も照明されて、カウンター3上で対面作業する場合にも、手元が明るく照明されることとなる。
このように一枚の導光板9により表側及び裏側両面から光が照射されるため、コンパクトな照明器6となる。
【0026】
次に、図9に示す照明器6は、台部7を円形に形成し、この台部7上に垂直に保持される導光板9は円筒形状に形成したものであり、円筒形状の導光板9の上側端面に、間隔をおいて複数のLED10,10,10を配置させ、各LED10に電力を供給する電線18は、円筒状の導光板9の内周部を通して、台部7内に内装されている二次コイル或いはコンデンサー等に接続させたものである。
【0027】
このような構造の照明器6では、LED10が点灯されると、図10に示すように、導光板9の外周全域から下向きに照明光Raが照射されることとなり、台部7の周囲のカウンター3上を広い範囲で良好に照明できるものとなる。
また、円形であるため意匠性にも優れたものとなり、カウンター3上を万遍なく良好に照明でき、また、使用しない時には、カウンター3上から離して別の場所に置いておくことができるものである。
【符号の説明】
【0028】
1 キッチンキャビネット
2 キャビネット本体
3 カウンター
4 シンク
6 照明器
7 底台部
8a,8b 側台部
9 導光板
9a 拡散・反射加工面
10 LED
11a,11b 一次コイル
12a,12b 二次コイル
13,13a,13b 反射フイルム
15a,15b 窓板
16a,16b 透過・拡散フイルム
17 放熱板
18 電線
Ra 手元照明光
Rb 対面照明光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチンキャビネットの上面のカウンターの裏面に、電源と接続して配設された一次コイルと、
該一次コイルより誘導電流を受電する二次コイルを備えて前記カウンター上に移動可能に設けられた照明器で構成され、
該照明器は、前記二次コイルが内装された台部と、該台部に略垂直に保持された導光板と、該導光板の上側端面に配置されて前記二次コイル側と電線で接続されたLED光源を備え、前記LED光源からの光が前記導光板を通し斜め下方へ照射されるように構成したことを特徴とするキッチンの照明装置。
【請求項2】
前記導光板は、長方形の平面状であり、該導光板の左右いずれか側端あるいは左右両側端に前記電線を配したことを特徴とする請求項1に記載のキッチンの照明装置。
【請求項3】
前記照明器は、表側及び裏側の両面から光が照射されるように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキッチンの照明装置。
【請求項4】
前記照明器は、前記導光板が一枚で構成されている請求項3に記載のキッチンの照明装置。
【請求項5】
前記二次コイルは、前記照明器の下端側の左右長手方向の中央付近に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3または請求項4に記載のキッチンの照明装置。
【請求項6】
前記照明器は、前記台部が円形で、前記導光板が円筒形状であり、該導光板の円筒内に前記電線を配したことを特徴とする請求項1に記載のキッチンの照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−28868(P2011−28868A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170648(P2009−170648)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】