説明

キッチンキャビネット及びキッチンキャビネットの間口寸法変更方法

【課題】容易に扉,引出しのサイズ変更が可能なキッチンキャビネットの間口寸法変更方法を提供する。
【解決手段】縦フレーム15,16と奥行きフレーム17,18,19,20を略額縁状に枠組みした複数の枠組みフレーム12A,12B,12C,12Dに、横フレーム13A,13B,13C,13Dを組み付けた骨組みを備え、各枠組みフレーム12A,12B,12C,12Dの上端の奥行きフレーム17,17,17上に天板を載せて構成したキッチンキャビネットにおいて、任意の枠組みフレーム12Bの横フレーム13A,13B,13C,13Dとの係合を解き、横フレーム13A,13B,13C,13Dに予め設けた孔21の位置に枠組みフレーム12Bを移動させて横フレーム13A,13B,13C,13Dにビスで係合することで、任意の枠組みフレーム12Bと別の枠組みフレーム12C間の間口寸法を変更させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易に間口寸法を変更させることができ、後発的に扉,引出し等のサイズ変更が可能となるキッチンキャビネット、及び、キッチンキャビネットの間口寸法変更方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキッチンキャビネットにおいて、例えば特許文献1に開示されているように、横フレームに溝を形成させ、溝に沿って縦フレームを横幅方向にスライドさせることで、レイアウト変更可能としたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−223006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている構造では、縦フレームを横フレームの溝に沿って移動させるものであるため、縦フレームの位置決めに工数がかかるという問題点があり、また、縦フレームは奥行き方向のレール取付金具で略H形状に枠組みされたものであり、縦フレームの上端に載せられる天板(ワークトップ)を縦フレームが点で支持する構造であり、天板が収縮した場合等にH形状に枠組みした縦フレームが変形しやすく、縦フレームの精度維持が困難となり易く、そのため、縦フレームは肉厚の大なる強固なもので構成する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、強度と精度が確保された額縁状の枠組みフレームを用いて、容易に間口寸法を変更させることができ、後発的に扉,引出し等のサイズ変更が可能となるキッチンキャビネット、及び、キッチンキャビネットの間口寸法変更方法の提供を目的とし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明のキッチンキャビネットの間口寸法変更方法は、縦フレームと奥行きフレームを略額縁状に枠組みした複数の枠組みフレームに横フレームを組み付けた骨組みを備え、前記各枠組みフレームの上端の奥行きフレーム上に天板を載せて構成したキッチンキャビネットにおいて、任意の枠組みフレームの前記横フレームとの係合を解き、該横フレームに予め設けた孔の位置に該任意の枠組みフレームを移動させて前記横フレームに係合することで、任意の枠組みフレームと別の枠組みフレーム間の間口寸法を変更させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のキッチンキャビネットの間口寸法変更方法では、横フレームに予め孔を複数設けておき、任意の孔の位置に枠組みフレームを移動させて、容易に位置決めして枠組みフレームを横フレームに係合させることで、枠組みフレームと別の枠組みフレーム間の間口寸法を容易に変更させ、後発的にキッチンキャビネットの扉,引出し等のサイズ変更を行うことができる。
また、枠組みフレームは縦フレームと奥行きフレームが略額縁状に枠組みされたものであるため、強度と精度が確保されており、天板を各枠組みフレームの上端の奥行きフレームで面で支持することができ、サイズ変更してもキッチンキャビネットの精度が良好に維持されるものとなる。
【0007】
また、本発明のキッチンキャビネットは、縦フレームと奥行きフレームを略額縁状に枠組みした複数の枠組みフレームに横フレームを組み付けた骨組みを備え、前記各枠組みフレームの上端の奥行きフレーム上に天板を載せて構成したキッチンキャビネットにおいて、前記横フレームに、任意の枠組みフレームを移動させて該横フレームに係合することのできる間口寸法変更用の複数の孔を設けたことを要旨とする。
本発明のキッチンキャビネットでは、横フレームに設けた間口寸法変更用の孔の位置に枠組みフレームを移動させて、枠組みフレームを横フレームに係合させることで、枠組みフレームと別の枠組みフレーム間の間口寸法を容易に変更させ、後発的にキッチンキャビネットの扉,引出し等のサイズ変更を行うことができる。
また、枠組みフレームは縦フレームと奥行きフレームが略額縁状に枠組みされたものであるため、サイズ変更してもキッチンキャビネットの精度が良好に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】横幅の狭い引出しを設けたキッチンキャビネットの斜視構成図である。
【図2】横幅の広い引出しに変更したキッチンキャビネットの斜視構成図である。
【図3】図1に対応したキッチンキャビネットの骨組みを構成するフレーム体の斜視構成図である。
【図4】枠組みフレームを移動させた状態の図2に対応したフレーム体の斜視構成図である。
【図5】フレーム体の構成部材の分解斜視図である。
【図6】図5における横フレームと枠組みフレームの接続部の要部拡大斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
キッチンキャビネットは図1の斜視図で示すような構造となっている。
キッチンキャビネット1は、キャビネット本体2の上面に天板3が設けられ、この天板3にはシンク4とコンロ5が設けられ、また、シンク4には水栓6が取り付けられている。
キャビネット本体2の前面には、開閉可能な扉7,7が左右側に設けられており、各扉7,7の奥側に収納空間が形成されている。また、キャビネット本体2の中央部には、二段の引出し8が前方側へ引き出し可能に設けられている。
【0010】
このようなキッチンキャビネット1において、引出し8を、横幅寸法の広いサイズの大きいものに変更したい場合、即ち、図2に斜視図で示すような幅広の引出し8に変更したい場合に、キャビネット本体2を作り直すことなく容易に幅広の引出し8に変更させることができる。
【0011】
図3は、キャビネット本体2の骨組みを構成する金属製のフレーム体11の斜視図であり、図3は、図1のような幅の狭い引出し8が設けられている場合のフレーム体11の斜視図であり、図4は、図2のような横幅の広い引出し8に変更させた場合のフレーム体11の斜視図である。なお、図中9は、側板であり、図中10は、けこみである。このけこみ10の上端側にキャビネット本体2の底板14が設けられている。
【0012】
フレーム体11は、それぞれ略額縁状に枠組みした4体の枠組みフレーム12A,12B,12C,12Dに、横フレーム13A,13B,13C,13Dを組み付けて構成されたものであり、各横フレーム13A,13B,13C,13Dはビスを用いて各枠組みフレーム12A,12B,12C,12Dに組み付けられている。
図5にフレーム体11の分解斜視図を示すように、各枠組みフレーム12A,12B,12C,12Dは、それぞれ、前後一対の縦フレーム15,16と、奥行き方向の複数の奥行きフレーム17,18,19,20を略額縁状に枠組みして形成されている。
【0013】
枠組みフレーム12Bを例に取って説明すると、前縦フレーム15の上端と後縦フレーム16の上端間に上面奥行きフレーム17が組み付けられ、上面奥行きフレーム17の下方に平行状に上奥行きフレーム18が組み付けられている。また、前縦フレーム15の下端と後縦フレーム16の間に底面奥行きフレーム20が組み付けられ、底面奥行きフレーム20の上方に平行状に下奥行きフレーム19が組み付けられている。
【0014】
このように各枠組みフレーム12A,12B,12C,12Dの外周は、前縦フレーム15と上面奥行きフレーム17と後縦フレーム16と底面奥行きフレーム20により略方形額縁状に形成されており、4体の枠組みフレーム12A,12B,12C,12Dのそれぞれの上面奥行きフレーム17上に天板3が載せられて、角パイプで構成された4本の上面奥行きフレーム17,17,17,17がそれぞれ面で天板3に当接し、4体の枠組みフレーム12A,12B,12C,12Dで天板3を支持する構造となっている。
【0015】
このように各枠組みフレーム12A,12B,12C,12Dは略額縁状に枠組みされているため、強度が大であり、荷重により変形等が生ずることがなく、精度が維持されて、がたつき等が全くない精度の良いキッチンキャビネット1が構成されている。
なお、各枠組みフレーム12A,12B,12C,12Dは強固な額縁状であるため強度が出やすく、そのため、細い或いは薄肉の前縦フレーム15,後縦フレーム16,奥行きフレーム17,18,19,20で構成することができ、全体を軽量化できるものである。
【0016】
なお、枠組みフレームの前縦フレーム15の上端には、前面側が切り欠かれて切り欠き状の上端切欠部15aが形成されており、また、上端切欠部15aの下方側の前縦フレーム15の前面には、コの字状に凹ませて切り欠いた係合凹部15bが形成されている。
この枠組みフレームの上端切欠部15aに横フレーム13Aを嵌め込み状にして取り付けることができ、また、前縦フレーム15の係合凹部15bには、前面側から断面略コの字状の横フレーム13Bを嵌め込んで取り付けできるものである。なお、図6は、枠組みフレーム12Bの前縦フレーム15の上端の上端切欠部15aに横フレーム13Aを組み付けた状態の要部拡大図である。
また、各枠組みフレームの後縦フレーム16の上端にも、後面側が切り欠かれて上端切欠部16aが形成されており、この上端切欠部16aに横フレーム13Cを嵌め込み状にして取り付けできる。
【0017】
なお、本例では、横フレーム13A,13B,13C,13Dには、予め例えば150mmピッチ間隔で横方向に複数の孔21,21,21が形成されたものとなっている。
この孔21を通してビスを枠組みフレームの前縦フレーム15或いは後縦フレーム16にねじ込み、各横フレーム13A,13B,13C,13Dを枠組みフレームに組み付けできるものである。
【0018】
横幅の広い引出し8に変更させる場合には、図3の状態から、ビスをゆるめて横フレーム13A,13B,13C,13Dから枠組みフレーム12Bを外し、幅広の引出し8の間口寸法に対応する寸法分、枠組みフレーム12Bを横方向、即ち枠組みフレーム12Aの方向に移動させ、横フレーム13A,13B,13C,13Dに形成されている孔21の位置に整合させて枠組みフレーム12Bを位置決めし、この位置で、孔21内にビスを挿通させて、ビスを前縦フレーム15および後縦フレーム16に締め付け、枠組みフレーム12Bを図4のように変更位置に固定することができる。これにより、枠組みフレーム12Bと枠組みフレーム12C間の間口寸法は、狭い間口寸法から広い間口寸法に変更されたこととなり、良好に図2のように横幅の広い引出し8に変更させることができるものである。
なお、この場合は、図示左側の扉7は逆に横幅の狭いものに変更される。
なお、横幅の広い引出し8に変更させる場合の他、枠組みフレーム12Bを移動させて、枠組みフレーム12Bと枠組みフレーム12C間に食器洗い機などを後発的に組み込むことも可能である。
【0019】
なお、本例では、枠組みフレーム12Bを移動させる場合を例示しているが、枠組みフレーム12Cを移動させることも容易であり、適宜移動させて、その位置の孔21に整合させて位置決めした後に組み付けることができ、容易に扉7や引出し8のサイズの変更が可能である。しかも、このような間口寸法を変更させる作業を行っても、各枠組みフレーム12A,12B,12C,12Dは略額縁状に強固に枠組みされたものであるため、変形等が生ずることがなく、良好な精度を維持してキッチンキャビネット1のレイアウトの変更が可能となり、変更作業も容易に短時間で行えるものである。
【符号の説明】
【0020】
1 キッチンキャビネット
2 キャビネット本体
3 天板
4 シンク
5 コンロ
7 扉
8 引出し
11 フレーム体
12A,12B,12C,12D 枠組みフレーム
13A,13B,13C,13D 横フレーム
15 前縦フレーム
16 後縦フレーム
17 上面奥行きフレーム
18 上奥行きフレーム
19 下奥行きフレーム
20 底面奥行きフレーム
21 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦フレームと奥行きフレームを略額縁状に枠組みした複数の枠組みフレームに横フレームを組み付けた骨組みを備え、前記各枠組みフレームの上端の奥行きフレーム上に天板を載せて構成したキッチンキャビネットにおいて、
任意の枠組みフレームの前記横フレームとの係合を解き、該横フレームに予め設けた孔の位置に該任意の枠組みフレームを移動させて前記横フレームに係合することで、任意の枠組みフレームと別の枠組みフレーム間の間口寸法を変更させる
ことを特徴とするキッチンキャビネットの間口寸法変更方法。
【請求項2】
縦フレームと奥行きフレームを略額縁状に枠組みした複数の枠組みフレームに横フレームを組み付けた骨組みを備え、前記各枠組みフレームの上端の奥行きフレーム上に天板を載せて構成したキッチンキャビネットにおいて、
前記横フレームに、任意の枠組みフレームを移動させて該横フレームに係合することのできる間口寸法変更用の複数の孔を設けたことを特徴とするキッチンキャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−125459(P2011−125459A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285700(P2009−285700)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】