キャスター
【課題】360°旋回するキャスターの軌跡が占める空間の直径を小さくし、キャスター本体のうちの旋回軸を支持する部分などが破損するおそれを低減する。
【解決手段】車軸2を支持するキャスター本体1と、右車輪3Rと、左車輪3Lと、旋回軸8とを具備するキャスター100において、車軸2の中心軸線2'を含む鉛直面VS上に旋回軸8の中心軸線8'を配置し、補助車輪5を支持する補助車軸6の中心軸線を鉛直面VSから外れた位置に配置し、床面FSに投影された補助車輪5の像が、床面FSに投影された右車輪3Rの像および左車輪3Lの像の共通外接円であって、旋回軸8の中心軸線8'を中心とする共通外接円の内側に位置するように、補助車輪5を配置した。
【解決手段】車軸2を支持するキャスター本体1と、右車輪3Rと、左車輪3Lと、旋回軸8とを具備するキャスター100において、車軸2の中心軸線2'を含む鉛直面VS上に旋回軸8の中心軸線8'を配置し、補助車輪5を支持する補助車軸6の中心軸線を鉛直面VSから外れた位置に配置し、床面FSに投影された補助車輪5の像が、床面FSに投影された右車輪3Rの像および左車輪3Lの像の共通外接円であって、旋回軸8の中心軸線8'を中心とする共通外接円の内側に位置するように、補助車輪5を配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向に延びている車軸がキャスター本体によって支持され、車軸に対して回転できるように右車輪が車軸に取り付られ、車軸に対して回転できるように左車輪が車軸に取り付けられ、鉛直方向に延びている旋回軸に対して旋回できるようにキャスター本体が旋回軸に接続されており、右車輪と左車輪とが床面に接触するように床面上に配置されるキャスターに関する。
【0002】
特に、本発明は、旋回軸に対してキャスター本体を360°旋回させる場合におけるキャスターの軌跡が占める空間の直径を小さくすることができ、キャスター本体のうちの旋回軸を支持する部分、旋回軸および/または被装着物のうちの旋回軸が取り付けられる部分が破損するおそれを低減することができるキャスターに関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、水平方向に延びている車軸がキャスター本体(フレーム本体)によって支持され、車軸に対して回転できるように右車輪が車軸に取り付られ、車軸に対して回転できるように左車輪が車軸に取り付けられ、鉛直方向に延びている旋回軸に対して旋回できるようにキャスター本体(フレーム本体)が旋回軸に接続されており、右車輪と左車輪とが床面に接触するように床面上に配置されるキャスターが知られている。この種のキャスターの例としては、例えば特許文献1(特開平9−104203号公報)の図5に記載されたものがある。
【0004】
特許文献1の図5に記載されたキャスターでは、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されている。そのため、特許文献1の図5に記載されたキャスターでは、旋回軸の中心軸線を中心にキャスター本体(フレーム本体)を360°旋回させる場合にキャスターの軌跡が占める空間の直径が大きくなってしまう。
【0005】
また、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されている特許文献1の図5に記載されたキャスターでは、車軸からキャスター本体(フレーム本体)に加わる上向きの力に伴って、例えばキャスター本体(フレーム本体)のうちの旋回軸を支持する部分と、旋回軸との接触部分に回転モーメントがかかる。その結果、特許文献1の図5に記載されたキャスターでは、キャスターが装着される被装着物の重量が大きい場合に、キャスター本体(フレーム本体)のうちの旋回軸を支持する部分と、旋回軸との接触部分に大きいこじり力がかかり、キャスター本体(フレーム本体)のうちの旋回軸を支持する部分および/または旋回軸が破損するおそれが高くなってしまう。
【0006】
同様に、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されている特許文献1の図5に記載されたキャスターでは、車軸からキャスター本体(フレーム本体)に加わる上向きの力に伴って、例えば旋回軸と、被装着物のうちの旋回軸が取り付けられる部分との接触部分に回転モーメントがかかる。その結果、特許文献1の図5に記載されたキャスターでは、キャスターが装着される被装着物の重量が大きい場合に、旋回軸と、被装着物のうちの旋回軸が取り付けられる部分との接触部分に大きいこじり力がかかり、旋回軸および/または被装着物のうちの旋回軸が取り付けられる部分が破損するおそれが高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−104203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記問題点に鑑み、本発明は、旋回軸に対してキャスター本体を360°旋回させる場合におけるキャスターの軌跡が占める空間の直径を小さくすることができ、キャスター本体のうちの旋回軸を支持する部分、旋回軸および/または被装着物のうちの旋回軸が取り付けられる部分が破損するおそれを低減することができるキャスターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、水平方向に延びている車軸(2)をキャスター本体(1)によって支持し、
車軸(2)に対して右車輪(3R)が回転できるように、右車輪(3R)を車軸(2)に取り付け、
車軸(2)に対して左車輪(3L)が回転できるように、左車輪(3L)を車軸(7)に取り付け、
鉛直方向に延びている旋回軸(8)に対してキャスター本体(1)が旋回できるように、キャスター本体(1)と旋回軸(8)とを接続し、
右車輪(3R)と左車輪(3L)とが床面(FS)に接触するように床面(FS)上に配置されるキャスター(100)において、
車軸(2)の中心軸線(2’)を含む鉛直面(VS)上に旋回軸(8)の中心軸線(8’)を配置し、
水平方向に延びており、かつ、車軸(2)に平行な補助車軸(6)を、キャスター本体(1)によって直接的または間接的に支持し、
補助車軸(6)の中心軸線(6’)を中心に回転可能な補助車輪(5)を床面(FS)に接触させ、
車軸(2)の中心軸線(2’)を含む鉛直面(VS)から外れた位置に補助車軸(6)の中心軸線(6’)を配置し、
床面(FS)に投影された補助車輪(5)の像(5’)が、床面(FS)に投影された右車輪(3R)の像(3R’)および床面(FS)に投影された左車輪(3L)の像(3L’)の共通外接円(CC)であって、旋回軸(8)の中心軸線(8’)を中心とする共通外接円(CC)の内側に位置するように、補助車輪(5)を配置したことを特徴とするキャスター(100)が提供される。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、補助車軸(6)を支持するために概略コ字状の断面形状を有するヨーク(4)を設け、
上下方向に移動できるように、キャスター本体(1)によってヨーク(4)をガイドし、
補助車輪(5)が床面(FS)に接触するように、ヨーク(4)を下向きに付勢したことを特徴とする請求項1に記載のキャスター(100)が提供される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のキャスター(100)では、水平方向に延びている車軸(2)がキャスター本体(1)によって支持されている。また、車軸(2)に対して右車輪(3R)が回転できるように、右車輪(3R)が車軸(2)に取り付けられている。更に、車軸(2)に対して左車輪(3L)が回転できるように、左車輪(3L)が車軸(7)に取り付けられている。また、鉛直方向に延びている旋回軸(8)に対してキャスター本体(1)が旋回できるように、キャスター本体(1)と旋回軸(8)とが接続されている。
【0012】
更に、請求項1に記載のキャスター(100)は、右車輪(3R)と左車輪(3L)とが床面(FS)に接触するように床面(FS)上に配置される。
【0013】
仮に、例えば引用文献1の図5に記載されたキャスターのように、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されていると、旋回軸に対してキャスター本体を360°旋回させる場合にキャスターの軌跡が占める空間の直径が大きくなってしまう。
【0014】
また、仮に、例えば引用文献1の図5に記載されたキャスターのように、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されていると、キャスターが装着される例えば什器などの被装着物の重量が大きい場合に、キャスター本体のうちの旋回軸を支持する部分と、旋回軸と、被装着物のうちの旋回軸が取り付けられる部分とにかかる回転モーメントが大きくなり、キャスター本体のうちの旋回軸を支持する部分、旋回軸および/または被装着物のうちの旋回軸が取り付けられる部分が破損するおそれが高くなってしまう。
【0015】
この点に鑑み、請求項1に記載のキャスター(100)では、車軸(2)の中心軸線(2’)を含む鉛直面(VS)上に旋回軸(8)の中心軸線(8’)が配置されている。
【0016】
そのため、請求項1に記載のキャスター(100)によれば、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されている引用文献1の図5に記載されたキャスターよりも、旋回軸(8)に対してキャスター本体(1)を360°旋回させる場合におけるキャスター(100)の軌跡が占める空間の直径(DSP)を小さくすることができる。
【0017】
更に、請求項1に記載のキャスター(100)によれば、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されている引用文献1の図5に記載されたキャスターとは異なり、キャスター本体(1)のうちの旋回軸(8)を支持する部分と、旋回軸(8)と、被装着物のうちの旋回軸(8)が取り付けられる部分とにかかる回転モーメントをほぼゼロにすることができ、その結果、キャスター本体(1)のうちの旋回軸(8)を支持する部分、旋回軸(8)および/または被装着物のうちの旋回軸(8)が取り付けられる部分が破損するおそれを低減することができる。
【0018】
一方、例えば引用文献1の図5に記載されたキャスターのように、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されていると、キャスター本体の進行方向とは異なる向きに旋回軸に対して力が加えられる場合に、右車輪が床面から受ける反力に伴う旋回軸まわりの回転モーメントと、左車輪が床面から受ける反力に伴う旋回軸まわりの回転モーメントとが完全に相殺されない。そのため、右車輪が床面から受ける反力と左車輪が床面から受ける反力とによって、旋回軸に対して加えられる力の向きと一致する向きにキャスター本体が指向するように、キャスター本体が旋回軸に対して旋回することができる。
【0019】
それに対し、車軸(2)の中心軸線(2’)を含む鉛直面(VS)上に旋回軸(8)の中心軸線(8’)が配置されていると、キャスター本体(1)の進行方向とは異なる向きに旋回軸(8)に対して力が加えられる場合に、右車輪(3R)が床面(FS)から受ける反力に伴う旋回軸(8)まわりの回転モーメントと、左車輪(3L)が床面(FS)から受ける反力に伴う旋回軸(8)まわりの回転モーメントとが完全に相殺されてしまう。そのため、右車輪(3R)が床面(FS)から受ける反力と左車輪(3L)が床面(FS)から受ける反力とによって、キャスター本体(1)が旋回軸(8)に対して旋回することができない。
【0020】
この点に鑑み、請求項1に記載のキャスター(100)では、水平方向に延びており、かつ、車軸(2)に平行な補助車軸(6)が、キャスター本体(1)によって直接的または間接的に支持されている。また、補助車軸(6)の中心軸線(6’)を中心に回転可能な補助車輪(5)が床面(FS)に接触せしめられている。更に、車軸(2)の中心軸線(2’)を含む鉛直面(VS)から外れた位置に補助車軸(6)の中心軸線(6’)が配置されている。
【0021】
そのため、請求項1に記載のキャスター(100)では、キャスター本体(1)の進行方向とは異なる向きに旋回軸(8)に対して力が加えられる場合に、補助車輪(5)が床面(FS)から受ける反力によって、旋回軸(8)に対して加えられる力の向きと一致する向きにキャスター本体(1)が指向するように、キャスター本体(1)が旋回軸(8)に対して旋回することができる。
【0022】
更に、請求項1に記載のキャスター(100)では、床面(FS)に投影された補助車輪(5)の像(5’)が、床面(FS)に投影された右車輪(3R)の像(3R’)および床面(FS)に投影された左車輪(3L)の像(3L’)の共通外接円(CC)であって、旋回軸(8)の中心軸線(8’)を中心とする共通外接円(CC)の内側に位置するように、補助車輪(5)が配置されている。
【0023】
そのため、請求項1に記載のキャスター(100)によれば、旋回軸(8)に対してキャスター本体(1)を360°旋回させる場合におけるキャスター(100)の軌跡が占める空間の直径(DSP)を、補助車輪(5)が設けられない場合と等しくすることができる。
【0024】
換言すれば、請求項1に記載のキャスター(100)によれば、旋回軸(8)に対してキャスター本体(1)を360°旋回させる場合におけるキャスター(100)の軌跡が占める空間の直径(DSP)を小さくすることができ、キャスター本体(1)のうちの旋回軸(8)を支持する部分、旋回軸(8)および/または被装着物のうちの旋回軸(8)が取り付けられる部分が破損するおそれを低減することができる。
【0025】
補助車輪(5)の像(5’)が共通外接円(CC)の内側に位置するように補助車輪(5)が設けられる場合には、補助車輪(5)の直径が右車輪(3R)および左車輪(3L)の直径よりも小さくなる。そのため、補助車輪(5)の外周面の磨耗が、右車輪(3R)および左車輪(3L)の外周面の磨耗よりも進行するおそれがある。
【0026】
この点に鑑み、請求項2に記載のキャスター(100)では、補助車軸(6)を支持するために概略コ字状の断面形状を有するヨーク(4)が設けられている。また、ヨーク(4)が、上下方向に移動できるようにキャスター本体(1)によってガイドされている。更に、補助車輪(5)が床面(FS)に接触するように、ヨーク(4)が下向きに付勢されている。
【0027】
そのため、請求項2に記載のキャスター(100)によれば、補助車輪(5)の外周面の磨耗が右車輪(3R)および左車輪(3L)の外周面の磨耗よりも進行した場合であっても、補助車輪(5)を床面(FS)に確実に接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施形態のキャスター100を示した図である。
【図2】第1の実施形態のキャスター100を示した図である。
【図3】第1の実施形態のキャスター100を示した図である。
【図4】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成するキャスター本体1の部品図である。
【図5】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する車軸2の部品図である。
【図6】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する右車輪3Rの部品図である。
【図7】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する左車輪3Lの部品図である。
【図8】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成するヨーク4の部品図である。
【図9】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する補助車輪5の部品図である。
【図10】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する補助車軸6の部品図である。
【図11】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する旋回軸8の部品図である。
【図12】第1の実施形態のキャスター100の特徴を示した図である。
【図13】第1の実施形態のキャスター100および比較例のキャスターの特徴を比較して示した図である。
【図14】第1の実施形態のキャスター100の旋回動作を説明するための図である。
【図15】車軸の中心軸線を含む鉛直面VSから外れた位置に旋回軸の中心軸線83’が配置されている比較例のキャスターの旋回動作を説明するための図である。
【図16】第1の実施形態のキャスター100のキャスター本体1が旋回軸8から受ける下向きの力FDなどを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明のキャスターの第1の実施形態について説明する。図1〜図3は第1の実施形態のキャスター100を示した図である。詳細には、図1は第1の実施形態のキャスター100が床面FS上に配置され、第1の実施形態のキャスター100の右車輪3Rの外周面3R1、左車輪3Lの外周面3L1および補助車輪5の外周面5aと床面FSとが接触している状態の第1の実施形態のキャスター100を示した図である。図2および図3は第1の実施形態のキャスター100が床面FSから持ち上げられ、第1の実施形態のキャスター100の右車輪3Rの外周面3R1、左車輪3Lの外周面3L1および補助車輪5の外周面5aと床面FSとが離間している状態の第1の実施形態のキャスター100を示した図である。
【0030】
更に詳細には、図1(A)は第1の実施形態のキャスター100の左側面図、図1(B)は第1の実施形態のキャスター100の正面図、図1(C)は第1の実施形態のキャスター100の右側面図である。図1(D)は図1(B)のB−B線に沿った鉛直断面図、図1(E)は図1(A)のA−A線に沿った鉛直断面図、図1(F)は図1(B)のC−C線に沿った鉛直断面図である。
【0031】
また、図2(A)は第1の実施形態のキャスター100の左側面図、図2(B)は第1の実施形態のキャスター100の正面図、図2(C)は第1の実施形態のキャスター100の右側面図である。図2(D)は図2(B)のE−E線に沿った鉛直断面図、図2(E)は図2(A)のD−D線に沿った鉛直断面図、図2(F)は図2(B)のF−F線に沿った鉛直断面図である。
【0032】
更に、図3(A)は左前側かつ上側から見た第1の実施形態のキャスター100の斜視図、図3(B)は左後側かつ上側から見た第1の実施形態のキャスター100の斜視図、図3(C)は左前側かつ下側から見た第1の実施形態のキャスター100の斜視図、図3(D)は左後側かつ下側から見た第1の実施形態のキャスター100の斜視図である。
【0033】
図4は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成するキャスター本体1の部品図である。詳細には、図4(A)はキャスター本体1の平面図、図4(B)はキャスター本体1の左側面図、図4(C)はキャスター本体1の正面図、図4(D)はキャスター本体1の右側面図、図4(E)は図4(A)のH−H線に沿った鉛直断面図、図4(F)は図4(A)のG−G線に沿った鉛直断面図、図4(F)は図4(A)のI−I線に沿った鉛直断面図である。
【0034】
図5は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する車軸2の部品図である。詳細には、図5(A)は車軸2の正面図、図5(B)は車軸2の右側面図である。図6は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する右車輪3Rの部品図である。詳細には、図6(A)は右車輪3Rの左側面図、図6(B)は右車輪3Rの正面図、図6(C)は図6(A)のJ−J線に沿った鉛直断面図である。図7は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する左車輪3Lの部品図である。詳細には、図7(A)は左車輪3Lの正面図、図7(B)は左車輪3Lの右側面図、図7(C)は図7(A)のK−K線に沿った鉛直断面図である。
【0035】
図8は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成するヨーク4の部品図である。詳細には、図8(A)はヨーク4の左側面図、図8(B)はヨーク4の正面図、図8(C)はヨーク4の右側面図、図8(D)は図8(B)のM−M線に沿った鉛直断面図、図8(E)は図8(A)のL−L線に沿った鉛直断面図、図8(F)は図8(B)のN−N線に沿った鉛直断面図である。図9は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する補助車輪5の部品図である。詳細には、図9(A)は補助車輪5の左側面図、図9(B)は補助車輪5の正面図、図9(C)は補助車輪5の右側面図、図9(D)は図9(A)のP−P線に沿った鉛直断面図である。図10は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する補助車軸6の部品図である。詳細には、図10(A)は補助車軸6の正面図、図10(B)は補助車軸6の右側面図である。図11は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する旋回軸8の部品図である。詳細には、図11(A)は旋回軸8の平面図、図11(B)は旋回軸8の正面図、図11(C)は図11(A)のQ−Q線に沿った鉛直断面図である。
【0036】
第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)、図1(E)および図1(F)に示すように、水平方向(図1(E)の左右方向)に延びている車軸2の中央部2c(図5参照)と、キャスター本体1の穴1b(図4参照)とが嵌合せしめられ、車軸2がキャスター本体1によって支持されている。
【0037】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、図1(E)に示すように、車軸2に対して右車輪3Rが回転できるように、右車輪3Rが車軸2に取り付けられている。詳細には、車軸2の右車輪装着部2a(図5参照)と、右車輪3Rの穴3R2(図6参照)の内周面3R2a(図6参照)とが隙間嵌めを構成している。その結果、右車輪3Rが車軸2に対して回転することができる。更に、右車輪3Rの穴3R2(図6参照)の内周面3R2a(図6参照)の係止突起3R2a1(図6参照)が、車軸2の右車輪装着部2a(図5参照)の係止溝2a1(図5参照)に係止されている。その結果、右車輪3Rが車軸2から抜けてしまうことが防止されている。
【0038】
第1の実施形態のキャスター100では、車軸2の右車輪装着部2a(図5参照)と右車輪3Rの穴3R2(図6参照)の内周面3R2a(図6参照)とによって隙間嵌めが構成されているが、第2の実施形態のキャスター100では、代わりに、車軸2の右車輪装着部2aと右車輪3Rの穴3R2の内周面3R2aとの間にベアリングを設けることも可能である。
【0039】
また、第1の実施形態のキャスター100では、右車輪3Rの穴3R2(図6参照)の内周面3R2a(図6参照)の係止突起3R2a1(図6参照)と、車軸2の右車輪装着部2a(図5参照)の係止溝2a1(図5参照)との係止によって、右車輪3Rが車軸2から抜けてしまうことが防止されているが、第3の実施形態のキャスター100では、代わりに、右車輪3Rが車軸2から抜けてしまうことを防止するために、例えばEリングなどの抜け止め手段を設けることも可能である。
【0040】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、図1(E)に示すように、車軸2に対して左車輪3Lが回転できるように、左車輪3Lが車軸2に取り付けられている。詳細には、車軸2の左車輪装着部2b(図5参照)と、左車輪3Lの穴3L2(図7参照)の内周面3L2a(図7参照)とが隙間嵌めを構成している。その結果、左車輪3Lが車軸2に対して回転することができる。更に、左車輪3Lの穴3L2(図7参照)の内周面3L2a(図7参照)の係止突起3L2a1(図7参照)が、車軸2の左車輪装着部2b(図5参照)の係止溝2b1(図5参照)に係止されている。その結果、左車輪3Lが車軸2から抜けてしまうことが防止されている。
【0041】
第1の実施形態のキャスター100では、車軸2の左車輪装着部2b(図5参照)と左車輪3Lの穴3L2(図7参照)の内周面3L2a(図7参照)とによって隙間嵌めが構成されているが、第2の実施形態のキャスター100では、代わりに、車軸2の左車輪装着部2bと左車輪3Lの穴3L2の内周面3L2aとの間にベアリングを設けることも可能である。
【0042】
また、第1の実施形態のキャスター100では、左車輪3Lの穴3L2(図7参照)の内周面3L2a(図7参照)の係止突起3L2a1(図7参照)と、車軸2の左車輪装着部2b(図5参照)の係止溝2b1(図5参照)との係止によって、左車輪3Lが車軸2から抜けてしまうことが防止されているが、第3の実施形態のキャスター100では、代わりに、左車輪3Lが車軸2から抜けてしまうことを防止するために、例えばEリングなどの抜け止め手段を設けることも可能である。
【0043】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)、図1(E)および図1(F)に示すように、鉛直方向(図1(D)、図1(E)および図1(F)の上下方向)に延びている旋回軸8に対してキャスター本体1が旋回できるように、キャスター本体1と旋回軸8とが接続されている。詳細には、旋回軸8の嵌合部8a(図11参照)の外周面8a1(図11参照)と、キャスター本体1の穴1a(図4参照)の内周面1a1(図4参照)とが隙間嵌めを構成している。その結果、キャスター本体1が旋回軸8に対して旋回することができる。更に、キャスター本体1の穴1a(図4参照)の内周面1a1(図4参照)の係止突起1a1a(図4参照)が、旋回軸8の嵌合部8a(図11参照)の外周面8a1(図11参照)の係止溝8a1a(図11参照)に係止されている。その結果、キャスター本体1が旋回軸8から抜けてしまうことが防止されている。
【0044】
第1の実施形態のキャスター100では、旋回軸8の嵌合部8a(図11参照)の外周面8a1(図11参照)とキャスター本体1の穴1a(図4参照)の内周面1a1(図4参照)とによって隙間嵌めが構成されているが、第4の実施形態のキャスター100では、代わりに、旋回軸8とキャスター本体1との間にベアリングを設けることも可能である。
【0045】
また、第1の実施形態のキャスター100では、キャスター本体1の穴1a(図4参照)の内周面1a1(図4参照)の係止突起1a1a(図4参照)と、旋回軸8の嵌合部8a(図11参照)の外周面8a1(図11参照)の係止溝8a1a(図11参照)との係止によって、キャスター本体1が旋回軸8から抜けてしまうことが防止されているが、第5の実施形態のキャスター100では、代わりに、キャスター本体1が旋回軸8から抜けてしまうことを防止するために、例えばEリングなどの抜け止め手段を設けることも可能である。
【0046】
第1の実施形態のキャスター100では、例えば什器などの被装着物(図示せず)の底面(図示せず)に形成された穴(図示せず)に対して、旋回軸8の軸状の装着部8b(図11参照)を圧入することによって、第1の実施形態のキャスター100が被装着物(図示せず)に装着される。第6の実施形態のキャスター100では、代わりに、例えば什器などの被装着物(図示せず)の底面(図示せず)に形成された穴(図示せず)の雌ねじ部(図示せず)と、旋回軸8の軸状の装着部8bの雄ねじ部(図示せず)とを螺合させることによって、第6の実施形態のキャスター100を被装着物(図示せず)に装着することも可能である。あるいは、第7の実施形態のキャスター100では、例えば什器などの被装着物(図示せず)の底面(図示せず)に対して、旋回軸8の板状の装着部(図示せず)を接続することによって、第7の実施形態のキャスター100を被装着物(図示せず)に装着することも可能である。
【0047】
また、第1の実施形態のキャスター100では、図1〜図3に示すように、補助車輪5が設けられている。詳細には、図1(D)および図1(F)に示すように、水平方向に延びている補助車軸6に対して補助車輪5が回転できるように、補助車軸6の嵌合部6c(図10参照)と、補助車輪5の穴5b(図9参照)とが隙間嵌めを構成している。
【0048】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)、図1(F)、図3(C)および図3(D)に示すように、概略コ字状の断面形状を有するヨーク4(図8参照)が設けられている。また、補助車軸6の嵌合部6a(図10参照)と、ヨーク4の右側壁4a(図8参照)の穴4a1(図8参照)とが嵌合せしめられると共に、補助車軸6の嵌合部6b(図10参照)と、ヨーク4の左側壁4b(図8参照)の穴4b1(図8参照)とが嵌合せしめられ、補助車軸6がヨーク4によって支持されている。
【0049】
また、第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)、図1(F)、図2(D)および図2(F)に示すように、ヨーク4、補助車軸6および補助車輪5が鉛直方向(図1(D)、図1(F)、図2(D)および図2(F)の上下方向)に移動可能に構成されている。詳細には、キャスター本体1の凹部1d(図4参照)の一部を構成するガイド溝1d3(図4参照)によって、ヨーク4の右側壁4a(図8参照)が、鉛直方向に移動可能にガイドされている。更に、キャスター本体1の凹部1d(図4参照)の一部を構成するガイド溝1d4(図4参照)によって、ヨーク4の左側壁4b(図8参照)が、鉛直方向に移動可能にガイドされている。また、キャスター本体1の凹部1d(図4参照)の長穴1d1(図4参照)と補助車軸6の嵌合部6d(図10参照)とが嵌合せしめられると共に、キャスター本体1の凹部1d(図4参照)の長穴1d2(図4参照)と補助車軸6の嵌合部6e(図10参照)とが嵌合せしめられている。
【0050】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)、図1(F)、図2(D)および図2(F)に示すように、圧縮コイルバネ7の上端部がキャスター本体1の凹部1c(図4参照)の上面1c1(図4参照)に当接せしめられると共に、圧縮コイルバネ7の下端部がヨーク4の中央部4c(図8参照)の凹部4c1(図8参照)の底面4c1a(図8参照)に当接せしめられている。その結果、ヨーク4、補助車軸6および補助車輪5が圧縮コイルバネ7によって鉛直方向の下向き(図1(D)、図1(F)、図2(D)および図2(F)の下向き)に付勢されている。詳細には、図1に示すように、第1の実施形態のキャスター100が床面FS上に配置されている場合には、圧縮コイルバネ7によって鉛直方向の下向きに付勢されている補助車輪5の外周面5aが、床面FSに接触せしめられる。一方、図2および図3に示すように、第1の実施形態のキャスター100が床面FSから持ち上げられている場合には、圧縮コイルバネ7によって鉛直方向の下向きに付勢されている補助車軸6の嵌合部6d,6e(図10参照)が、キャスター本体1の長穴1d1,1d2(図4参照)の下端部に当接せしめられる。
【0051】
図12および図13は第1の実施形態のキャスター100および比較例のキャスターの特徴を比較して示した図である。
【0052】
詳細には、図12(A)および図13(A)は床面FSに投影された第1の実施形態のキャスター100の右車輪3R(図6参照)の像3R’と、左車輪3L(図7参照)の像3L’と、補助車輪5(図9参照)の像5’と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’と、車軸2(図5参照)の中心軸線2’(図5参照)を含む鉛直面VSとの関係を示した図である。図12(B)および図13(B)は床面FSに投影された第1の実施形態のキャスター100の右車輪3R(図6参照)の像3R’と、左車輪3L(図7参照)の像3L’と、補助車輪5(図9参照)の像5’と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする像3R’,3L’の共通外接円CCと、旋回軸8(図11参照)に対してキャスター本体1(図4参照)を360°旋回させる場合に第1の実施形態のキャスター100(図1〜図3参照)の軌跡が占める空間の直径DSPと、床面FSに投影されたその空間の像SP’との関係を示した図である。
【0053】
図12(C)は補助車輪5(図9参照)が取り外された第1の実施形態のキャスター100の右車輪3R(図6参照)の像3R’と、左車輪3L(図7参照)の像3L’と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’と、車軸2(図5参照)の中心軸線2’(図5参照)を含む鉛直面VSとの関係を示した図である。図12(D)は補助車輪5(図9参照)が取り外された第1の実施形態のキャスター100の右車輪3R(図6参照)の像3R’と、左車輪3L(図7参照)の像3L’と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする像3R’,3L’の共通外接円CCと、旋回軸8(図11参照)に対してキャスター本体1(図4参照)を360°旋回させる場合に補助車輪5(図9参照)が取り外された第1の実施形態のキャスター100(図1〜図3参照)の軌跡が占める空間の直径DSP2と、床面FSに投影されたその空間の像SP2’との関係を示した図である。
【0054】
図13(C)は車軸の中心軸線を含む鉛直面VSから外れた位置に旋回軸の中心軸線83’が配置されている比較例のキャスターの右車輪の像3R’と、左車輪の像3L’と、旋回軸の中心軸線83’と、車軸の中心軸線を含む鉛直面VSとの関係を示した図である。図13(D)は車軸の中心軸線を含む鉛直面VSから外れた位置に旋回軸の中心軸線83’が配置されている比較例のキャスターの右車輪の像3R’と、左車輪の像3L’と、旋回軸の中心軸線83’と、旋回軸の中心軸線83’を中心とする像3R’,3L’の共通外接円CC’と、旋回軸に対してキャスター本体を360°旋回させる場合に比較例のキャスターの軌跡が占める空間の直径DSP3と、床面FSに投影されたその空間の像SP3’との関係を示した図である。
【0055】
図14は第1の実施形態のキャスター100の旋回動作を説明するための図である。詳細には、図14(A)は旋回動作前の床面FSに投影された第1の実施形態のキャスター100の右車輪3R(図6参照)の像3R’と、右車輪3R(図6参照)と床面FSとの接点P3Rと、左車輪3L(図7参照)の像3L’と、左車輪3L(図7参照)と床面FSとの接点P3Lと、補助車輪5(図9参照)の像5’と、補助車輪5(図9参照)と床面FSとの接点P5と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’と、車軸2(図5参照)の中心軸線2’(図5参照)を含む鉛直面VSとの関係を示した図である。
【0056】
図14(B)は第1の実施形態のキャスター100の旋回軸8(図11参照)に力F8が加えられる場合に右車輪3R(図6参照)が床面FSから受ける反力F3R、左車輪3L(図7参照)が床面FSから受ける反力F3Lおよび補助車輪5(図9参照)が床面FSから受ける反力F5を示した図である。図14(C)は図14(B)に示す反力F3Rを、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする円C1の径方向成分F3RXと周方向成分F3RYとに分解し、反力F3Lを、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする円C1の径方向成分F3LXと周方向成分F3LYとに分解し、反力F5を、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする円C2の径方向成分F5Yと周方向成分F5Xとに分解した図である。
【0057】
図14(D)は図14(C)に示す周方向成分F3RYに伴う旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする反時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3RYと距離rRとの積)と、周方向成分F3LYに伴う旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3LYと距離rLとの積)と、周方向成分F5Xに伴う旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする反時計まわりの回転モーメント(周方向成分F5Xと距離r5との積)とを説明するための図である。図14(E)は旋回動作後の床面FSに投影された第1の実施形態のキャスター100の右車輪3R(図6参照)の像3R’と、左車輪3L(図7参照)の像3L’と、補助車輪5(図9参照)の像5’と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’と、車軸2(図5参照)の中心軸線2’(図5参照)を含む鉛直面VSとの関係を示した図である。
【0058】
図15は車軸の中心軸線を含む鉛直面VSから外れた位置に旋回軸の中心軸線83’が配置されている比較例のキャスターの旋回動作を説明するための図である。詳細には、図15(A)は旋回動作前の床面FSに投影された比較例のキャスターの右車輪の像3R’と、右車輪と床面FSとの接点P3Rと、左車輪の像3L’と、左車輪と床面FSとの接点P3Lと、旋回軸の中心軸線83’と、車軸の中心軸線を含む鉛直面VSとの関係を示した図である。
【0059】
図15(B)は比較例のキャスターの旋回軸に力F8が加えられる場合に右車輪が床面FSから受ける反力F3Rおよび左車輪が床面FSから受ける反力F3Lを示した図である。図15(C)は図15(B)に示す反力F3Rを、旋回軸の中心軸線83’を中心とする円C3の径方向成分F3R2と周方向成分F3R1とに分解し、反力F3Lを、旋回軸の中心軸線83’を中心とする円C3の径方向成分F3L2と周方向成分F3L1とに分解した図である。
【0060】
図15(D)は図15(C)に示す周方向成分F3R1に伴う旋回軸の中心軸線83’を中心とする反時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3R1と距離rR3との積)と、周方向成分F3L1に伴う旋回軸の中心軸線83’を中心とする時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3L1と距離rL3との積)とを説明するための図である。図15(E)は旋回動作後の床面FSに投影された比較例のキャスターの右車輪の像3R’と、左車輪の像3L’と、旋回軸の中心軸線83’と、車軸の中心軸線2’を含む鉛直面VSとの関係を示した図である。
【0061】
図16(A)は図1(F)および図4(G)に示す鉛直断面内において第1の実施形態のキャスター100のキャスター本体1が旋回軸8(図1(F)参照)から受ける下向きの力FDを説明するための図である。図16(B)は図1(F)および図4(G)に示す鉛直断面内において第1の実施形態のキャスター100のキャスター本体1が車軸2(図1(F)参照)から受ける上向きの力FUを説明するための図である。
【0062】
図16(C)は車軸の中心軸線2’を含む鉛直面VSから外れた位置に旋回軸の中心軸線83’が配置されている比較例のキャスターのキャスター本体1が旋回軸から受ける下向きの力FDを説明するための図である。図16(D)は車軸の中心軸線2’を含む鉛直面VSから外れた位置に旋回軸の中心軸線83’が配置されている比較例のキャスターのキャスター本体1が車軸から受ける上向きの力FUを説明するための図である。
【0063】
第1の実施形態のキャスター100の特徴を説明する前に、車軸の中心軸線2’(図16(C)および図16(D)参照)を含む鉛直面VS(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)から外れた位置に旋回軸の中心軸線83’(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)が配置されている比較例のキャスターの特徴(問題点)について説明する。
【0064】
車軸の中心軸線2’(図16(C)および図16(D)参照)を含む鉛直面VS(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)から外れた位置に旋回軸の中心軸線83’(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)が配置されている比較例のキャスターでは、図13(C)および図13(D)に示すように、旋回軸の中心軸線83’を中心にキャスター本体1(図16(C)および図16(D)参照)を360°旋回させる場合にキャスターの軌跡が占める空間の直径DSP3(>直径DSP(図13(B)参照)が大きくなってしまう。
【0065】
更に、車軸の中心軸線2’(図16(C)および図16(D)参照)を含む鉛直面VS(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)から外れた位置に旋回軸の中心軸線83’(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)が配置されている比較例のキャスターでは、図16(D)に示すように、車軸からキャスター本体1の位置P12に加わる上向きの力FUに伴って、例えば位置P18を中心とする時計まわりの回転モーメントM(力FUと距離r28との積)が、キャスター本体1の位置P18にかかる。その結果、比較例のキャスターでは、キャスターが装着される例えば什器などの被装着物(図示せず)の重量が大きい場合に、キャスター本体1のうちの旋回軸を支持する部分と、旋回軸との接触部分に大きいこじり力がかかり、キャスター本体1のうちの旋回軸を支持する部分および/または旋回軸が破損するおそれが高くなってしまう。
【0066】
同様に、車軸の中心軸線2’(図16(C)および図16(D)参照)を含む鉛直面VS(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)から外れた位置に旋回軸の中心軸線83’(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)が配置されている比較例のキャスターでは、車軸からキャスター本体1の位置P12(図16(D)参照)に加わる上向きの力FUに伴って、例えば旋回軸と、被装着物(図示せず)のうちの旋回軸が取り付けられる部分との接触部分を中心とする回転モーメントが、その接触部分にかかる。その結果、比較例のキャスターでは、キャスターが装着される例えば什器などの被装着物(図示せず)の重量が大きい場合に、旋回軸と、被装着物(図示せず)のうちの旋回軸が取り付けられる部分との接触部分に大きいこじり力がかかり、旋回軸および/または被装着物(図示せず)のうちの旋回軸が取り付けられる部分が破損するおそれが高くなってしまう。
【0067】
これらの問題点に鑑み、第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)および図1(F)に示すように、車軸2の中心軸線2’(図1(E)および図5参照)を含む鉛直面VS上に旋回軸8の中心軸線8’が配置されている。
【0068】
そのため、第1の実施形態のキャスター100によれば、図13(B)および図13(D)に示すように、旋回軸8(図1参照)に対してキャスター本体1(図1参照)を360°旋回させる場合におけるキャスター100の軌跡が占める空間の直径DSP(図13(B)参照)を、比較例のキャスターの軌跡が占める空間の直径DSP3(図13(D)参照)よりも小さくすることができる。
【0069】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、図16(A)および図16(B)に示すように、車軸2(図5参照)の中心軸線2’を含む鉛直面VS上に旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’が配置されているため、図16(C)および図16(D)に示す比較例のキャスターとは異なり、車軸2(図5参照)からキャスター本体1の位置P12に加わる上向きの力FUによってキャスター本体1の位置P18に回転モーメントが殆どかからない。その結果、第1の実施形態のキャスター100によれば、キャスター本体1のうちの旋回軸8(図1および図11参照)を支持する部分、旋回軸8(図1および図11参照)および/または被装着物(図示せず)のうちの旋回軸8(図1および図11参照)が取り付けられる部分が破損するおそれを低減することができる。
【0070】
一方、比較例のキャスターでは、図15(A)に示すように、車軸の中心軸線2’(図16(C)および図16(D)参照)を含む鉛直面VSから外れた位置に旋回軸の中心軸線83’が配置されている。そのため、比較例のキャスターでは、図15(B)に示すように、キャスター本体1(図16(C)および図16(D)参照)の進行方向(図15(A)および図15(B)のY方向のマイナス側)とは異なる向きに旋回軸に対して力F8が加えられる場合に、右車輪が床面FSから受ける反力F3Rの周方向成分F3R1(図15(C)および図15(D)参照)に伴う旋回軸の中心軸線83’を中心とする反時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3R1と距離rR3との積)が、左車輪が床面FSから受ける反力F3Lの周方向成分F3L1(図15(C)および図15(D)参照)に伴う旋回軸の中心軸線83’を中心とする時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3L1と距離rL3との積)より大きくなる。その結果、比較例のキャスターでは、右車輪が床面FSから受ける反力F3R(図15(B)参照)と左車輪が床面FSから受ける反力F3L(図15(B)参照)とによって、図15(E)に示すように、旋回軸に対して加えられる力F8(図15(B)参照)の向きと一致する向きにキャスター本体1(図16(C)および図16(D)参照)が指向するように、キャスター本体1が旋回軸の中心軸線83’を中心に反時計まわりに旋回することができる。
【0071】
それに対し、第1の実施形態のキャスター100のように、車軸2(図1参照)の中心軸線2’(図1参照)を含む鉛直面VS(図1および図14(A)参照)上に旋回軸8(図1参照)の中心軸線8’(図1および図14(A)参照)が配置されていると、図14(B)に示すように、キャスター本体1(図1参照)の進行方向(図14(A)および図14(B)のY方向のマイナス側)とは異なる向きに旋回軸8(図1参照)に対して力F8が加えられる場合に、右車輪3R(図1参照)が床面FSから受ける反力F3Rの周方向成分F3RY(図14(C)および図14(D)参照)に伴う旋回軸8(図1参照)の中心軸線8’を中心とする反時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3RYと距離rRとの積)と、左車輪3L(図1参照)が床面FSから受ける反力F3Lの周方向成分F3LY(図14(C)および図14(D)参照)に伴う旋回軸8(図1参照)の中心軸線8’を中心とする時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3LYと距離rLとの積)とが完全に相殺される。そのため、第1の実施形態のキャスター100では、右車輪3R(図1参照)が床面FSから受ける反力F3Rと左車輪3L(図1参照)が床面FSから受ける反力F3Lとによって、キャスター本体1(図1参照)が旋回軸8(図1参照)に対して旋回することができない。
【0072】
そこで、第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)および図1(F)に示すように、水平方向に延びており、かつ、車軸2に平行な補助車軸6が、キャスター本体1に対して鉛直方向に移動可能なヨーク4によって支持されている。また、補助車軸6の中心軸線6’(図10参照)を中心に回転可能な補助車輪5が床面FSに接触せしめられている。更に、車軸2の中心軸線2’(図1(E)および図5参照)を含む鉛直面VSから外れた位置に補助車軸6の中心軸線6’(図10参照)が配置されている。つまり、図14(A)に示すように、補助車輪5(図1および図9参照)と床面FSとの接点P5が、車軸2(図1および図5参照)の中心軸線2’(図1(E)および図5参照)を含む鉛直面VSから外れた位置に配置されている。
【0073】
そのため、第1の実施形態のキャスター100では、図14(B)に示すように、キャスター本体1(図1参照)の進行方向(図14(A)および図14(B)のY方向のマイナス側)とは異なる向きに旋回軸8(図1参照)に対して力F8が加えられる場合に、補助車輪5(図1参照)が床面FSから受ける反力F5(図14(B)参照)によって(詳細には、補助車輪5(図1参照)が床面FSから受ける反力F5の周方向成分F5X(図14(C)および図14(D)参照)によって)、図14(E)に示すように、旋回軸8(図1参照)に対して加えられる力F8(図14(B)参照)の向きと一致する向きにキャスター本体1(図1参照)が指向するように、キャスター本体1が旋回軸8(図1参照)の中心軸線8’を中心に反時計まわりに旋回することができる。
【0074】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、図12(B)に示すように、床面FSに投影された補助車輪5(図1および図9参照)の像5’が、床面FSに投影された右車輪3R(図1および図6参照)の像3R’および床面FSに投影された左車輪3L(図1および図7参照)の像3L’の共通外接円CCであって、旋回軸8(図1および図11参照)の中心軸線8’を中心とする共通外接円CCの内側に位置するように、補助車輪5(図1および図9参照)が配置されている。
【0075】
そのため、第1の実施形態のキャスター100によれば、図12(B)に示すように、旋回軸8(図1および図11参照)に対してキャスター本体1(図1および図4参照)を360°旋回させる場合におけるキャスター100の軌跡が占める空間の直径DSPを、補助車輪5(図1および図9参照)が設けられない場合のキャスター100の軌跡が占める空間の直径DSP2(図12(D)参照)と等しくすることができる。
【0076】
換言すれば、第1の実施形態のキャスター100によれば、旋回軸8(図1および図11参照)に対してキャスター本体1(図1および図4参照)を360°旋回させる場合におけるキャスター100の軌跡が占める空間の直径DSP(図12(B)参照)を小さくすることができ、キャスター本体1(図1および図4参照)のうちの旋回軸8(図1および図11参照)を支持する部分、旋回軸8および/または被装着物(図示せず)のうちの旋回軸8が取り付けられる部分が破損するおそれを低減することができる。
【0077】
ところで、第1の実施形態のキャスター100では、図12(B)に示すように、補助車輪5(図1および図9参照)の像5’が共通外接円CCの内側に位置するように補助車輪5が設けられている。そのため、第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)、図1(E)および図1(F)に示すように、補助車輪5の直径が右車輪3Rおよび左車輪3Lの直径よりも小さい。その結果、第1の実施形態のキャスター100では、補助車輪5の外周面5a(図9参照)の磨耗が、右車輪3Rの外周面3R1(図6参照)および左車輪3Lの外周面3L1(図7参照)の磨耗よりも進行するおそれがある。
【0078】
この点に鑑み、第1の実施形態のキャスター100では、補助車軸6(図1(D)、図1(F)および図10参照)を支持するために概略コ字状の断面形状を有するヨーク4(図8参照)が設けられている。また、ヨーク4が、上下方向(図1(D)および図1(F)の上下方向)に移動できるようにキャスター本体1(図1および図4参照)のガイド溝1d3,1d4(図4参照)によってガイドされている。更に、図1(D)および図1(F)に示すように、補助車輪5が床面FSに接触するように、ヨーク4が圧縮コイルバネ7によって下向き(図1(D)および図1(F)の下向き)に付勢されている。そのため、第1の実施形態のキャスター100によれば、補助車輪5の外周面5a(図9参照)の磨耗が右車輪3Rの外周面3R1(図6参照)および左車輪3Lの外周面3L1(図7参照)の磨耗よりも進行した場合であっても、補助車輪5を床面FSに確実に接触させることができる。
【0079】
第1の実施形態のキャスター100では、補助車輪5が圧縮コイルバネ7によって下向き(図1(D)および図1(F)の下向き)に付勢されているが、補助車輪5の外周面5a、右車輪3Rの外周面3R1、および左車輪3Lの外周面3L1が磨耗しづらい環境下で用いられる第8の実施形態のキャスター100では、代わりに、補助車輪5を下向きに付勢する機構を省略することも可能である。具体的には、第8の実施形態のキャスター100では、補助車軸6(図10参照)がキャスター本体1(図4参照)によって支持される。
【0080】
第8の実施形態のキャスター100では、補助車輪5(図9参照)と補助車軸6(図10参照)とが別個の部材によって形成されているが、第9の実施形態のキャスター100では、代わりに、補助車輪5(図9参照)と補助車軸6(図10参照)とを一部材によって形成し、キャスター本体1(図4参照)によって補助車軸6を回転可能に支持すると共に、一部材によって形成された補助車輪5および補助車軸6をスナップフィットによってキャスター本体1に取り付けることも可能である。
【0081】
第10の実施形態では、上述した第1から第9の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 キャスター本体
1a 穴
1a1 内周面
1a1a 係止突起
1b 穴
1c 凹部
1c1 上面
1d 凹部
1d1,1d2 長穴
1d3,1d4 ガイド溝
2 車軸
2a 右車輪装着部
2a1 係止溝
2b 左車輪装着部
2b1 係止溝
2c 中央部
3R 右車輪
3R1 外周面
3R2 穴
3R2a 内周面
3R2a1 係止突起
3L 左車輪
3L1 外周面
3L2 穴
3L2a 内周面
3L2a1 係止突起
4 ヨーク
4a 右側壁
4a1 穴
4b 左側壁
4b1 穴
4c 中央部
4c1 凹部
4c1a 底面
5 補助車輪
5a 外周面
5b 穴
6 補助車軸
6a,6b,6c,6d,6e 嵌合部
7 圧縮コイルバネ
8 旋回軸
8a 嵌合部
8a1 外周面
8a1a 係止溝
8b 装着部
100 キャスター
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向に延びている車軸がキャスター本体によって支持され、車軸に対して回転できるように右車輪が車軸に取り付られ、車軸に対して回転できるように左車輪が車軸に取り付けられ、鉛直方向に延びている旋回軸に対して旋回できるようにキャスター本体が旋回軸に接続されており、右車輪と左車輪とが床面に接触するように床面上に配置されるキャスターに関する。
【0002】
特に、本発明は、旋回軸に対してキャスター本体を360°旋回させる場合におけるキャスターの軌跡が占める空間の直径を小さくすることができ、キャスター本体のうちの旋回軸を支持する部分、旋回軸および/または被装着物のうちの旋回軸が取り付けられる部分が破損するおそれを低減することができるキャスターに関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、水平方向に延びている車軸がキャスター本体(フレーム本体)によって支持され、車軸に対して回転できるように右車輪が車軸に取り付られ、車軸に対して回転できるように左車輪が車軸に取り付けられ、鉛直方向に延びている旋回軸に対して旋回できるようにキャスター本体(フレーム本体)が旋回軸に接続されており、右車輪と左車輪とが床面に接触するように床面上に配置されるキャスターが知られている。この種のキャスターの例としては、例えば特許文献1(特開平9−104203号公報)の図5に記載されたものがある。
【0004】
特許文献1の図5に記載されたキャスターでは、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されている。そのため、特許文献1の図5に記載されたキャスターでは、旋回軸の中心軸線を中心にキャスター本体(フレーム本体)を360°旋回させる場合にキャスターの軌跡が占める空間の直径が大きくなってしまう。
【0005】
また、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されている特許文献1の図5に記載されたキャスターでは、車軸からキャスター本体(フレーム本体)に加わる上向きの力に伴って、例えばキャスター本体(フレーム本体)のうちの旋回軸を支持する部分と、旋回軸との接触部分に回転モーメントがかかる。その結果、特許文献1の図5に記載されたキャスターでは、キャスターが装着される被装着物の重量が大きい場合に、キャスター本体(フレーム本体)のうちの旋回軸を支持する部分と、旋回軸との接触部分に大きいこじり力がかかり、キャスター本体(フレーム本体)のうちの旋回軸を支持する部分および/または旋回軸が破損するおそれが高くなってしまう。
【0006】
同様に、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されている特許文献1の図5に記載されたキャスターでは、車軸からキャスター本体(フレーム本体)に加わる上向きの力に伴って、例えば旋回軸と、被装着物のうちの旋回軸が取り付けられる部分との接触部分に回転モーメントがかかる。その結果、特許文献1の図5に記載されたキャスターでは、キャスターが装着される被装着物の重量が大きい場合に、旋回軸と、被装着物のうちの旋回軸が取り付けられる部分との接触部分に大きいこじり力がかかり、旋回軸および/または被装着物のうちの旋回軸が取り付けられる部分が破損するおそれが高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−104203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記問題点に鑑み、本発明は、旋回軸に対してキャスター本体を360°旋回させる場合におけるキャスターの軌跡が占める空間の直径を小さくすることができ、キャスター本体のうちの旋回軸を支持する部分、旋回軸および/または被装着物のうちの旋回軸が取り付けられる部分が破損するおそれを低減することができるキャスターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、水平方向に延びている車軸(2)をキャスター本体(1)によって支持し、
車軸(2)に対して右車輪(3R)が回転できるように、右車輪(3R)を車軸(2)に取り付け、
車軸(2)に対して左車輪(3L)が回転できるように、左車輪(3L)を車軸(7)に取り付け、
鉛直方向に延びている旋回軸(8)に対してキャスター本体(1)が旋回できるように、キャスター本体(1)と旋回軸(8)とを接続し、
右車輪(3R)と左車輪(3L)とが床面(FS)に接触するように床面(FS)上に配置されるキャスター(100)において、
車軸(2)の中心軸線(2’)を含む鉛直面(VS)上に旋回軸(8)の中心軸線(8’)を配置し、
水平方向に延びており、かつ、車軸(2)に平行な補助車軸(6)を、キャスター本体(1)によって直接的または間接的に支持し、
補助車軸(6)の中心軸線(6’)を中心に回転可能な補助車輪(5)を床面(FS)に接触させ、
車軸(2)の中心軸線(2’)を含む鉛直面(VS)から外れた位置に補助車軸(6)の中心軸線(6’)を配置し、
床面(FS)に投影された補助車輪(5)の像(5’)が、床面(FS)に投影された右車輪(3R)の像(3R’)および床面(FS)に投影された左車輪(3L)の像(3L’)の共通外接円(CC)であって、旋回軸(8)の中心軸線(8’)を中心とする共通外接円(CC)の内側に位置するように、補助車輪(5)を配置したことを特徴とするキャスター(100)が提供される。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、補助車軸(6)を支持するために概略コ字状の断面形状を有するヨーク(4)を設け、
上下方向に移動できるように、キャスター本体(1)によってヨーク(4)をガイドし、
補助車輪(5)が床面(FS)に接触するように、ヨーク(4)を下向きに付勢したことを特徴とする請求項1に記載のキャスター(100)が提供される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のキャスター(100)では、水平方向に延びている車軸(2)がキャスター本体(1)によって支持されている。また、車軸(2)に対して右車輪(3R)が回転できるように、右車輪(3R)が車軸(2)に取り付けられている。更に、車軸(2)に対して左車輪(3L)が回転できるように、左車輪(3L)が車軸(7)に取り付けられている。また、鉛直方向に延びている旋回軸(8)に対してキャスター本体(1)が旋回できるように、キャスター本体(1)と旋回軸(8)とが接続されている。
【0012】
更に、請求項1に記載のキャスター(100)は、右車輪(3R)と左車輪(3L)とが床面(FS)に接触するように床面(FS)上に配置される。
【0013】
仮に、例えば引用文献1の図5に記載されたキャスターのように、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されていると、旋回軸に対してキャスター本体を360°旋回させる場合にキャスターの軌跡が占める空間の直径が大きくなってしまう。
【0014】
また、仮に、例えば引用文献1の図5に記載されたキャスターのように、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されていると、キャスターが装着される例えば什器などの被装着物の重量が大きい場合に、キャスター本体のうちの旋回軸を支持する部分と、旋回軸と、被装着物のうちの旋回軸が取り付けられる部分とにかかる回転モーメントが大きくなり、キャスター本体のうちの旋回軸を支持する部分、旋回軸および/または被装着物のうちの旋回軸が取り付けられる部分が破損するおそれが高くなってしまう。
【0015】
この点に鑑み、請求項1に記載のキャスター(100)では、車軸(2)の中心軸線(2’)を含む鉛直面(VS)上に旋回軸(8)の中心軸線(8’)が配置されている。
【0016】
そのため、請求項1に記載のキャスター(100)によれば、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されている引用文献1の図5に記載されたキャスターよりも、旋回軸(8)に対してキャスター本体(1)を360°旋回させる場合におけるキャスター(100)の軌跡が占める空間の直径(DSP)を小さくすることができる。
【0017】
更に、請求項1に記載のキャスター(100)によれば、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されている引用文献1の図5に記載されたキャスターとは異なり、キャスター本体(1)のうちの旋回軸(8)を支持する部分と、旋回軸(8)と、被装着物のうちの旋回軸(8)が取り付けられる部分とにかかる回転モーメントをほぼゼロにすることができ、その結果、キャスター本体(1)のうちの旋回軸(8)を支持する部分、旋回軸(8)および/または被装着物のうちの旋回軸(8)が取り付けられる部分が破損するおそれを低減することができる。
【0018】
一方、例えば引用文献1の図5に記載されたキャスターのように、車軸の中心軸線を含む鉛直面から外れた位置に旋回軸の中心軸線が配置されていると、キャスター本体の進行方向とは異なる向きに旋回軸に対して力が加えられる場合に、右車輪が床面から受ける反力に伴う旋回軸まわりの回転モーメントと、左車輪が床面から受ける反力に伴う旋回軸まわりの回転モーメントとが完全に相殺されない。そのため、右車輪が床面から受ける反力と左車輪が床面から受ける反力とによって、旋回軸に対して加えられる力の向きと一致する向きにキャスター本体が指向するように、キャスター本体が旋回軸に対して旋回することができる。
【0019】
それに対し、車軸(2)の中心軸線(2’)を含む鉛直面(VS)上に旋回軸(8)の中心軸線(8’)が配置されていると、キャスター本体(1)の進行方向とは異なる向きに旋回軸(8)に対して力が加えられる場合に、右車輪(3R)が床面(FS)から受ける反力に伴う旋回軸(8)まわりの回転モーメントと、左車輪(3L)が床面(FS)から受ける反力に伴う旋回軸(8)まわりの回転モーメントとが完全に相殺されてしまう。そのため、右車輪(3R)が床面(FS)から受ける反力と左車輪(3L)が床面(FS)から受ける反力とによって、キャスター本体(1)が旋回軸(8)に対して旋回することができない。
【0020】
この点に鑑み、請求項1に記載のキャスター(100)では、水平方向に延びており、かつ、車軸(2)に平行な補助車軸(6)が、キャスター本体(1)によって直接的または間接的に支持されている。また、補助車軸(6)の中心軸線(6’)を中心に回転可能な補助車輪(5)が床面(FS)に接触せしめられている。更に、車軸(2)の中心軸線(2’)を含む鉛直面(VS)から外れた位置に補助車軸(6)の中心軸線(6’)が配置されている。
【0021】
そのため、請求項1に記載のキャスター(100)では、キャスター本体(1)の進行方向とは異なる向きに旋回軸(8)に対して力が加えられる場合に、補助車輪(5)が床面(FS)から受ける反力によって、旋回軸(8)に対して加えられる力の向きと一致する向きにキャスター本体(1)が指向するように、キャスター本体(1)が旋回軸(8)に対して旋回することができる。
【0022】
更に、請求項1に記載のキャスター(100)では、床面(FS)に投影された補助車輪(5)の像(5’)が、床面(FS)に投影された右車輪(3R)の像(3R’)および床面(FS)に投影された左車輪(3L)の像(3L’)の共通外接円(CC)であって、旋回軸(8)の中心軸線(8’)を中心とする共通外接円(CC)の内側に位置するように、補助車輪(5)が配置されている。
【0023】
そのため、請求項1に記載のキャスター(100)によれば、旋回軸(8)に対してキャスター本体(1)を360°旋回させる場合におけるキャスター(100)の軌跡が占める空間の直径(DSP)を、補助車輪(5)が設けられない場合と等しくすることができる。
【0024】
換言すれば、請求項1に記載のキャスター(100)によれば、旋回軸(8)に対してキャスター本体(1)を360°旋回させる場合におけるキャスター(100)の軌跡が占める空間の直径(DSP)を小さくすることができ、キャスター本体(1)のうちの旋回軸(8)を支持する部分、旋回軸(8)および/または被装着物のうちの旋回軸(8)が取り付けられる部分が破損するおそれを低減することができる。
【0025】
補助車輪(5)の像(5’)が共通外接円(CC)の内側に位置するように補助車輪(5)が設けられる場合には、補助車輪(5)の直径が右車輪(3R)および左車輪(3L)の直径よりも小さくなる。そのため、補助車輪(5)の外周面の磨耗が、右車輪(3R)および左車輪(3L)の外周面の磨耗よりも進行するおそれがある。
【0026】
この点に鑑み、請求項2に記載のキャスター(100)では、補助車軸(6)を支持するために概略コ字状の断面形状を有するヨーク(4)が設けられている。また、ヨーク(4)が、上下方向に移動できるようにキャスター本体(1)によってガイドされている。更に、補助車輪(5)が床面(FS)に接触するように、ヨーク(4)が下向きに付勢されている。
【0027】
そのため、請求項2に記載のキャスター(100)によれば、補助車輪(5)の外周面の磨耗が右車輪(3R)および左車輪(3L)の外周面の磨耗よりも進行した場合であっても、補助車輪(5)を床面(FS)に確実に接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施形態のキャスター100を示した図である。
【図2】第1の実施形態のキャスター100を示した図である。
【図3】第1の実施形態のキャスター100を示した図である。
【図4】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成するキャスター本体1の部品図である。
【図5】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する車軸2の部品図である。
【図6】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する右車輪3Rの部品図である。
【図7】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する左車輪3Lの部品図である。
【図8】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成するヨーク4の部品図である。
【図9】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する補助車輪5の部品図である。
【図10】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する補助車軸6の部品図である。
【図11】第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する旋回軸8の部品図である。
【図12】第1の実施形態のキャスター100の特徴を示した図である。
【図13】第1の実施形態のキャスター100および比較例のキャスターの特徴を比較して示した図である。
【図14】第1の実施形態のキャスター100の旋回動作を説明するための図である。
【図15】車軸の中心軸線を含む鉛直面VSから外れた位置に旋回軸の中心軸線83’が配置されている比較例のキャスターの旋回動作を説明するための図である。
【図16】第1の実施形態のキャスター100のキャスター本体1が旋回軸8から受ける下向きの力FDなどを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明のキャスターの第1の実施形態について説明する。図1〜図3は第1の実施形態のキャスター100を示した図である。詳細には、図1は第1の実施形態のキャスター100が床面FS上に配置され、第1の実施形態のキャスター100の右車輪3Rの外周面3R1、左車輪3Lの外周面3L1および補助車輪5の外周面5aと床面FSとが接触している状態の第1の実施形態のキャスター100を示した図である。図2および図3は第1の実施形態のキャスター100が床面FSから持ち上げられ、第1の実施形態のキャスター100の右車輪3Rの外周面3R1、左車輪3Lの外周面3L1および補助車輪5の外周面5aと床面FSとが離間している状態の第1の実施形態のキャスター100を示した図である。
【0030】
更に詳細には、図1(A)は第1の実施形態のキャスター100の左側面図、図1(B)は第1の実施形態のキャスター100の正面図、図1(C)は第1の実施形態のキャスター100の右側面図である。図1(D)は図1(B)のB−B線に沿った鉛直断面図、図1(E)は図1(A)のA−A線に沿った鉛直断面図、図1(F)は図1(B)のC−C線に沿った鉛直断面図である。
【0031】
また、図2(A)は第1の実施形態のキャスター100の左側面図、図2(B)は第1の実施形態のキャスター100の正面図、図2(C)は第1の実施形態のキャスター100の右側面図である。図2(D)は図2(B)のE−E線に沿った鉛直断面図、図2(E)は図2(A)のD−D線に沿った鉛直断面図、図2(F)は図2(B)のF−F線に沿った鉛直断面図である。
【0032】
更に、図3(A)は左前側かつ上側から見た第1の実施形態のキャスター100の斜視図、図3(B)は左後側かつ上側から見た第1の実施形態のキャスター100の斜視図、図3(C)は左前側かつ下側から見た第1の実施形態のキャスター100の斜視図、図3(D)は左後側かつ下側から見た第1の実施形態のキャスター100の斜視図である。
【0033】
図4は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成するキャスター本体1の部品図である。詳細には、図4(A)はキャスター本体1の平面図、図4(B)はキャスター本体1の左側面図、図4(C)はキャスター本体1の正面図、図4(D)はキャスター本体1の右側面図、図4(E)は図4(A)のH−H線に沿った鉛直断面図、図4(F)は図4(A)のG−G線に沿った鉛直断面図、図4(F)は図4(A)のI−I線に沿った鉛直断面図である。
【0034】
図5は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する車軸2の部品図である。詳細には、図5(A)は車軸2の正面図、図5(B)は車軸2の右側面図である。図6は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する右車輪3Rの部品図である。詳細には、図6(A)は右車輪3Rの左側面図、図6(B)は右車輪3Rの正面図、図6(C)は図6(A)のJ−J線に沿った鉛直断面図である。図7は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する左車輪3Lの部品図である。詳細には、図7(A)は左車輪3Lの正面図、図7(B)は左車輪3Lの右側面図、図7(C)は図7(A)のK−K線に沿った鉛直断面図である。
【0035】
図8は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成するヨーク4の部品図である。詳細には、図8(A)はヨーク4の左側面図、図8(B)はヨーク4の正面図、図8(C)はヨーク4の右側面図、図8(D)は図8(B)のM−M線に沿った鉛直断面図、図8(E)は図8(A)のL−L線に沿った鉛直断面図、図8(F)は図8(B)のN−N線に沿った鉛直断面図である。図9は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する補助車輪5の部品図である。詳細には、図9(A)は補助車輪5の左側面図、図9(B)は補助車輪5の正面図、図9(C)は補助車輪5の右側面図、図9(D)は図9(A)のP−P線に沿った鉛直断面図である。図10は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する補助車軸6の部品図である。詳細には、図10(A)は補助車軸6の正面図、図10(B)は補助車軸6の右側面図である。図11は第1の実施形態のキャスター100の一部を構成する旋回軸8の部品図である。詳細には、図11(A)は旋回軸8の平面図、図11(B)は旋回軸8の正面図、図11(C)は図11(A)のQ−Q線に沿った鉛直断面図である。
【0036】
第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)、図1(E)および図1(F)に示すように、水平方向(図1(E)の左右方向)に延びている車軸2の中央部2c(図5参照)と、キャスター本体1の穴1b(図4参照)とが嵌合せしめられ、車軸2がキャスター本体1によって支持されている。
【0037】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、図1(E)に示すように、車軸2に対して右車輪3Rが回転できるように、右車輪3Rが車軸2に取り付けられている。詳細には、車軸2の右車輪装着部2a(図5参照)と、右車輪3Rの穴3R2(図6参照)の内周面3R2a(図6参照)とが隙間嵌めを構成している。その結果、右車輪3Rが車軸2に対して回転することができる。更に、右車輪3Rの穴3R2(図6参照)の内周面3R2a(図6参照)の係止突起3R2a1(図6参照)が、車軸2の右車輪装着部2a(図5参照)の係止溝2a1(図5参照)に係止されている。その結果、右車輪3Rが車軸2から抜けてしまうことが防止されている。
【0038】
第1の実施形態のキャスター100では、車軸2の右車輪装着部2a(図5参照)と右車輪3Rの穴3R2(図6参照)の内周面3R2a(図6参照)とによって隙間嵌めが構成されているが、第2の実施形態のキャスター100では、代わりに、車軸2の右車輪装着部2aと右車輪3Rの穴3R2の内周面3R2aとの間にベアリングを設けることも可能である。
【0039】
また、第1の実施形態のキャスター100では、右車輪3Rの穴3R2(図6参照)の内周面3R2a(図6参照)の係止突起3R2a1(図6参照)と、車軸2の右車輪装着部2a(図5参照)の係止溝2a1(図5参照)との係止によって、右車輪3Rが車軸2から抜けてしまうことが防止されているが、第3の実施形態のキャスター100では、代わりに、右車輪3Rが車軸2から抜けてしまうことを防止するために、例えばEリングなどの抜け止め手段を設けることも可能である。
【0040】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、図1(E)に示すように、車軸2に対して左車輪3Lが回転できるように、左車輪3Lが車軸2に取り付けられている。詳細には、車軸2の左車輪装着部2b(図5参照)と、左車輪3Lの穴3L2(図7参照)の内周面3L2a(図7参照)とが隙間嵌めを構成している。その結果、左車輪3Lが車軸2に対して回転することができる。更に、左車輪3Lの穴3L2(図7参照)の内周面3L2a(図7参照)の係止突起3L2a1(図7参照)が、車軸2の左車輪装着部2b(図5参照)の係止溝2b1(図5参照)に係止されている。その結果、左車輪3Lが車軸2から抜けてしまうことが防止されている。
【0041】
第1の実施形態のキャスター100では、車軸2の左車輪装着部2b(図5参照)と左車輪3Lの穴3L2(図7参照)の内周面3L2a(図7参照)とによって隙間嵌めが構成されているが、第2の実施形態のキャスター100では、代わりに、車軸2の左車輪装着部2bと左車輪3Lの穴3L2の内周面3L2aとの間にベアリングを設けることも可能である。
【0042】
また、第1の実施形態のキャスター100では、左車輪3Lの穴3L2(図7参照)の内周面3L2a(図7参照)の係止突起3L2a1(図7参照)と、車軸2の左車輪装着部2b(図5参照)の係止溝2b1(図5参照)との係止によって、左車輪3Lが車軸2から抜けてしまうことが防止されているが、第3の実施形態のキャスター100では、代わりに、左車輪3Lが車軸2から抜けてしまうことを防止するために、例えばEリングなどの抜け止め手段を設けることも可能である。
【0043】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)、図1(E)および図1(F)に示すように、鉛直方向(図1(D)、図1(E)および図1(F)の上下方向)に延びている旋回軸8に対してキャスター本体1が旋回できるように、キャスター本体1と旋回軸8とが接続されている。詳細には、旋回軸8の嵌合部8a(図11参照)の外周面8a1(図11参照)と、キャスター本体1の穴1a(図4参照)の内周面1a1(図4参照)とが隙間嵌めを構成している。その結果、キャスター本体1が旋回軸8に対して旋回することができる。更に、キャスター本体1の穴1a(図4参照)の内周面1a1(図4参照)の係止突起1a1a(図4参照)が、旋回軸8の嵌合部8a(図11参照)の外周面8a1(図11参照)の係止溝8a1a(図11参照)に係止されている。その結果、キャスター本体1が旋回軸8から抜けてしまうことが防止されている。
【0044】
第1の実施形態のキャスター100では、旋回軸8の嵌合部8a(図11参照)の外周面8a1(図11参照)とキャスター本体1の穴1a(図4参照)の内周面1a1(図4参照)とによって隙間嵌めが構成されているが、第4の実施形態のキャスター100では、代わりに、旋回軸8とキャスター本体1との間にベアリングを設けることも可能である。
【0045】
また、第1の実施形態のキャスター100では、キャスター本体1の穴1a(図4参照)の内周面1a1(図4参照)の係止突起1a1a(図4参照)と、旋回軸8の嵌合部8a(図11参照)の外周面8a1(図11参照)の係止溝8a1a(図11参照)との係止によって、キャスター本体1が旋回軸8から抜けてしまうことが防止されているが、第5の実施形態のキャスター100では、代わりに、キャスター本体1が旋回軸8から抜けてしまうことを防止するために、例えばEリングなどの抜け止め手段を設けることも可能である。
【0046】
第1の実施形態のキャスター100では、例えば什器などの被装着物(図示せず)の底面(図示せず)に形成された穴(図示せず)に対して、旋回軸8の軸状の装着部8b(図11参照)を圧入することによって、第1の実施形態のキャスター100が被装着物(図示せず)に装着される。第6の実施形態のキャスター100では、代わりに、例えば什器などの被装着物(図示せず)の底面(図示せず)に形成された穴(図示せず)の雌ねじ部(図示せず)と、旋回軸8の軸状の装着部8bの雄ねじ部(図示せず)とを螺合させることによって、第6の実施形態のキャスター100を被装着物(図示せず)に装着することも可能である。あるいは、第7の実施形態のキャスター100では、例えば什器などの被装着物(図示せず)の底面(図示せず)に対して、旋回軸8の板状の装着部(図示せず)を接続することによって、第7の実施形態のキャスター100を被装着物(図示せず)に装着することも可能である。
【0047】
また、第1の実施形態のキャスター100では、図1〜図3に示すように、補助車輪5が設けられている。詳細には、図1(D)および図1(F)に示すように、水平方向に延びている補助車軸6に対して補助車輪5が回転できるように、補助車軸6の嵌合部6c(図10参照)と、補助車輪5の穴5b(図9参照)とが隙間嵌めを構成している。
【0048】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)、図1(F)、図3(C)および図3(D)に示すように、概略コ字状の断面形状を有するヨーク4(図8参照)が設けられている。また、補助車軸6の嵌合部6a(図10参照)と、ヨーク4の右側壁4a(図8参照)の穴4a1(図8参照)とが嵌合せしめられると共に、補助車軸6の嵌合部6b(図10参照)と、ヨーク4の左側壁4b(図8参照)の穴4b1(図8参照)とが嵌合せしめられ、補助車軸6がヨーク4によって支持されている。
【0049】
また、第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)、図1(F)、図2(D)および図2(F)に示すように、ヨーク4、補助車軸6および補助車輪5が鉛直方向(図1(D)、図1(F)、図2(D)および図2(F)の上下方向)に移動可能に構成されている。詳細には、キャスター本体1の凹部1d(図4参照)の一部を構成するガイド溝1d3(図4参照)によって、ヨーク4の右側壁4a(図8参照)が、鉛直方向に移動可能にガイドされている。更に、キャスター本体1の凹部1d(図4参照)の一部を構成するガイド溝1d4(図4参照)によって、ヨーク4の左側壁4b(図8参照)が、鉛直方向に移動可能にガイドされている。また、キャスター本体1の凹部1d(図4参照)の長穴1d1(図4参照)と補助車軸6の嵌合部6d(図10参照)とが嵌合せしめられると共に、キャスター本体1の凹部1d(図4参照)の長穴1d2(図4参照)と補助車軸6の嵌合部6e(図10参照)とが嵌合せしめられている。
【0050】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)、図1(F)、図2(D)および図2(F)に示すように、圧縮コイルバネ7の上端部がキャスター本体1の凹部1c(図4参照)の上面1c1(図4参照)に当接せしめられると共に、圧縮コイルバネ7の下端部がヨーク4の中央部4c(図8参照)の凹部4c1(図8参照)の底面4c1a(図8参照)に当接せしめられている。その結果、ヨーク4、補助車軸6および補助車輪5が圧縮コイルバネ7によって鉛直方向の下向き(図1(D)、図1(F)、図2(D)および図2(F)の下向き)に付勢されている。詳細には、図1に示すように、第1の実施形態のキャスター100が床面FS上に配置されている場合には、圧縮コイルバネ7によって鉛直方向の下向きに付勢されている補助車輪5の外周面5aが、床面FSに接触せしめられる。一方、図2および図3に示すように、第1の実施形態のキャスター100が床面FSから持ち上げられている場合には、圧縮コイルバネ7によって鉛直方向の下向きに付勢されている補助車軸6の嵌合部6d,6e(図10参照)が、キャスター本体1の長穴1d1,1d2(図4参照)の下端部に当接せしめられる。
【0051】
図12および図13は第1の実施形態のキャスター100および比較例のキャスターの特徴を比較して示した図である。
【0052】
詳細には、図12(A)および図13(A)は床面FSに投影された第1の実施形態のキャスター100の右車輪3R(図6参照)の像3R’と、左車輪3L(図7参照)の像3L’と、補助車輪5(図9参照)の像5’と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’と、車軸2(図5参照)の中心軸線2’(図5参照)を含む鉛直面VSとの関係を示した図である。図12(B)および図13(B)は床面FSに投影された第1の実施形態のキャスター100の右車輪3R(図6参照)の像3R’と、左車輪3L(図7参照)の像3L’と、補助車輪5(図9参照)の像5’と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする像3R’,3L’の共通外接円CCと、旋回軸8(図11参照)に対してキャスター本体1(図4参照)を360°旋回させる場合に第1の実施形態のキャスター100(図1〜図3参照)の軌跡が占める空間の直径DSPと、床面FSに投影されたその空間の像SP’との関係を示した図である。
【0053】
図12(C)は補助車輪5(図9参照)が取り外された第1の実施形態のキャスター100の右車輪3R(図6参照)の像3R’と、左車輪3L(図7参照)の像3L’と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’と、車軸2(図5参照)の中心軸線2’(図5参照)を含む鉛直面VSとの関係を示した図である。図12(D)は補助車輪5(図9参照)が取り外された第1の実施形態のキャスター100の右車輪3R(図6参照)の像3R’と、左車輪3L(図7参照)の像3L’と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする像3R’,3L’の共通外接円CCと、旋回軸8(図11参照)に対してキャスター本体1(図4参照)を360°旋回させる場合に補助車輪5(図9参照)が取り外された第1の実施形態のキャスター100(図1〜図3参照)の軌跡が占める空間の直径DSP2と、床面FSに投影されたその空間の像SP2’との関係を示した図である。
【0054】
図13(C)は車軸の中心軸線を含む鉛直面VSから外れた位置に旋回軸の中心軸線83’が配置されている比較例のキャスターの右車輪の像3R’と、左車輪の像3L’と、旋回軸の中心軸線83’と、車軸の中心軸線を含む鉛直面VSとの関係を示した図である。図13(D)は車軸の中心軸線を含む鉛直面VSから外れた位置に旋回軸の中心軸線83’が配置されている比較例のキャスターの右車輪の像3R’と、左車輪の像3L’と、旋回軸の中心軸線83’と、旋回軸の中心軸線83’を中心とする像3R’,3L’の共通外接円CC’と、旋回軸に対してキャスター本体を360°旋回させる場合に比較例のキャスターの軌跡が占める空間の直径DSP3と、床面FSに投影されたその空間の像SP3’との関係を示した図である。
【0055】
図14は第1の実施形態のキャスター100の旋回動作を説明するための図である。詳細には、図14(A)は旋回動作前の床面FSに投影された第1の実施形態のキャスター100の右車輪3R(図6参照)の像3R’と、右車輪3R(図6参照)と床面FSとの接点P3Rと、左車輪3L(図7参照)の像3L’と、左車輪3L(図7参照)と床面FSとの接点P3Lと、補助車輪5(図9参照)の像5’と、補助車輪5(図9参照)と床面FSとの接点P5と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’と、車軸2(図5参照)の中心軸線2’(図5参照)を含む鉛直面VSとの関係を示した図である。
【0056】
図14(B)は第1の実施形態のキャスター100の旋回軸8(図11参照)に力F8が加えられる場合に右車輪3R(図6参照)が床面FSから受ける反力F3R、左車輪3L(図7参照)が床面FSから受ける反力F3Lおよび補助車輪5(図9参照)が床面FSから受ける反力F5を示した図である。図14(C)は図14(B)に示す反力F3Rを、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする円C1の径方向成分F3RXと周方向成分F3RYとに分解し、反力F3Lを、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする円C1の径方向成分F3LXと周方向成分F3LYとに分解し、反力F5を、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする円C2の径方向成分F5Yと周方向成分F5Xとに分解した図である。
【0057】
図14(D)は図14(C)に示す周方向成分F3RYに伴う旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする反時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3RYと距離rRとの積)と、周方向成分F3LYに伴う旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3LYと距離rLとの積)と、周方向成分F5Xに伴う旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’を中心とする反時計まわりの回転モーメント(周方向成分F5Xと距離r5との積)とを説明するための図である。図14(E)は旋回動作後の床面FSに投影された第1の実施形態のキャスター100の右車輪3R(図6参照)の像3R’と、左車輪3L(図7参照)の像3L’と、補助車輪5(図9参照)の像5’と、旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’と、車軸2(図5参照)の中心軸線2’(図5参照)を含む鉛直面VSとの関係を示した図である。
【0058】
図15は車軸の中心軸線を含む鉛直面VSから外れた位置に旋回軸の中心軸線83’が配置されている比較例のキャスターの旋回動作を説明するための図である。詳細には、図15(A)は旋回動作前の床面FSに投影された比較例のキャスターの右車輪の像3R’と、右車輪と床面FSとの接点P3Rと、左車輪の像3L’と、左車輪と床面FSとの接点P3Lと、旋回軸の中心軸線83’と、車軸の中心軸線を含む鉛直面VSとの関係を示した図である。
【0059】
図15(B)は比較例のキャスターの旋回軸に力F8が加えられる場合に右車輪が床面FSから受ける反力F3Rおよび左車輪が床面FSから受ける反力F3Lを示した図である。図15(C)は図15(B)に示す反力F3Rを、旋回軸の中心軸線83’を中心とする円C3の径方向成分F3R2と周方向成分F3R1とに分解し、反力F3Lを、旋回軸の中心軸線83’を中心とする円C3の径方向成分F3L2と周方向成分F3L1とに分解した図である。
【0060】
図15(D)は図15(C)に示す周方向成分F3R1に伴う旋回軸の中心軸線83’を中心とする反時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3R1と距離rR3との積)と、周方向成分F3L1に伴う旋回軸の中心軸線83’を中心とする時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3L1と距離rL3との積)とを説明するための図である。図15(E)は旋回動作後の床面FSに投影された比較例のキャスターの右車輪の像3R’と、左車輪の像3L’と、旋回軸の中心軸線83’と、車軸の中心軸線2’を含む鉛直面VSとの関係を示した図である。
【0061】
図16(A)は図1(F)および図4(G)に示す鉛直断面内において第1の実施形態のキャスター100のキャスター本体1が旋回軸8(図1(F)参照)から受ける下向きの力FDを説明するための図である。図16(B)は図1(F)および図4(G)に示す鉛直断面内において第1の実施形態のキャスター100のキャスター本体1が車軸2(図1(F)参照)から受ける上向きの力FUを説明するための図である。
【0062】
図16(C)は車軸の中心軸線2’を含む鉛直面VSから外れた位置に旋回軸の中心軸線83’が配置されている比較例のキャスターのキャスター本体1が旋回軸から受ける下向きの力FDを説明するための図である。図16(D)は車軸の中心軸線2’を含む鉛直面VSから外れた位置に旋回軸の中心軸線83’が配置されている比較例のキャスターのキャスター本体1が車軸から受ける上向きの力FUを説明するための図である。
【0063】
第1の実施形態のキャスター100の特徴を説明する前に、車軸の中心軸線2’(図16(C)および図16(D)参照)を含む鉛直面VS(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)から外れた位置に旋回軸の中心軸線83’(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)が配置されている比較例のキャスターの特徴(問題点)について説明する。
【0064】
車軸の中心軸線2’(図16(C)および図16(D)参照)を含む鉛直面VS(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)から外れた位置に旋回軸の中心軸線83’(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)が配置されている比較例のキャスターでは、図13(C)および図13(D)に示すように、旋回軸の中心軸線83’を中心にキャスター本体1(図16(C)および図16(D)参照)を360°旋回させる場合にキャスターの軌跡が占める空間の直径DSP3(>直径DSP(図13(B)参照)が大きくなってしまう。
【0065】
更に、車軸の中心軸線2’(図16(C)および図16(D)参照)を含む鉛直面VS(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)から外れた位置に旋回軸の中心軸線83’(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)が配置されている比較例のキャスターでは、図16(D)に示すように、車軸からキャスター本体1の位置P12に加わる上向きの力FUに伴って、例えば位置P18を中心とする時計まわりの回転モーメントM(力FUと距離r28との積)が、キャスター本体1の位置P18にかかる。その結果、比較例のキャスターでは、キャスターが装着される例えば什器などの被装着物(図示せず)の重量が大きい場合に、キャスター本体1のうちの旋回軸を支持する部分と、旋回軸との接触部分に大きいこじり力がかかり、キャスター本体1のうちの旋回軸を支持する部分および/または旋回軸が破損するおそれが高くなってしまう。
【0066】
同様に、車軸の中心軸線2’(図16(C)および図16(D)参照)を含む鉛直面VS(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)から外れた位置に旋回軸の中心軸線83’(図13(C)、図15、図16(C)および図16(D)参照)が配置されている比較例のキャスターでは、車軸からキャスター本体1の位置P12(図16(D)参照)に加わる上向きの力FUに伴って、例えば旋回軸と、被装着物(図示せず)のうちの旋回軸が取り付けられる部分との接触部分を中心とする回転モーメントが、その接触部分にかかる。その結果、比較例のキャスターでは、キャスターが装着される例えば什器などの被装着物(図示せず)の重量が大きい場合に、旋回軸と、被装着物(図示せず)のうちの旋回軸が取り付けられる部分との接触部分に大きいこじり力がかかり、旋回軸および/または被装着物(図示せず)のうちの旋回軸が取り付けられる部分が破損するおそれが高くなってしまう。
【0067】
これらの問題点に鑑み、第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)および図1(F)に示すように、車軸2の中心軸線2’(図1(E)および図5参照)を含む鉛直面VS上に旋回軸8の中心軸線8’が配置されている。
【0068】
そのため、第1の実施形態のキャスター100によれば、図13(B)および図13(D)に示すように、旋回軸8(図1参照)に対してキャスター本体1(図1参照)を360°旋回させる場合におけるキャスター100の軌跡が占める空間の直径DSP(図13(B)参照)を、比較例のキャスターの軌跡が占める空間の直径DSP3(図13(D)参照)よりも小さくすることができる。
【0069】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、図16(A)および図16(B)に示すように、車軸2(図5参照)の中心軸線2’を含む鉛直面VS上に旋回軸8(図11参照)の中心軸線8’が配置されているため、図16(C)および図16(D)に示す比較例のキャスターとは異なり、車軸2(図5参照)からキャスター本体1の位置P12に加わる上向きの力FUによってキャスター本体1の位置P18に回転モーメントが殆どかからない。その結果、第1の実施形態のキャスター100によれば、キャスター本体1のうちの旋回軸8(図1および図11参照)を支持する部分、旋回軸8(図1および図11参照)および/または被装着物(図示せず)のうちの旋回軸8(図1および図11参照)が取り付けられる部分が破損するおそれを低減することができる。
【0070】
一方、比較例のキャスターでは、図15(A)に示すように、車軸の中心軸線2’(図16(C)および図16(D)参照)を含む鉛直面VSから外れた位置に旋回軸の中心軸線83’が配置されている。そのため、比較例のキャスターでは、図15(B)に示すように、キャスター本体1(図16(C)および図16(D)参照)の進行方向(図15(A)および図15(B)のY方向のマイナス側)とは異なる向きに旋回軸に対して力F8が加えられる場合に、右車輪が床面FSから受ける反力F3Rの周方向成分F3R1(図15(C)および図15(D)参照)に伴う旋回軸の中心軸線83’を中心とする反時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3R1と距離rR3との積)が、左車輪が床面FSから受ける反力F3Lの周方向成分F3L1(図15(C)および図15(D)参照)に伴う旋回軸の中心軸線83’を中心とする時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3L1と距離rL3との積)より大きくなる。その結果、比較例のキャスターでは、右車輪が床面FSから受ける反力F3R(図15(B)参照)と左車輪が床面FSから受ける反力F3L(図15(B)参照)とによって、図15(E)に示すように、旋回軸に対して加えられる力F8(図15(B)参照)の向きと一致する向きにキャスター本体1(図16(C)および図16(D)参照)が指向するように、キャスター本体1が旋回軸の中心軸線83’を中心に反時計まわりに旋回することができる。
【0071】
それに対し、第1の実施形態のキャスター100のように、車軸2(図1参照)の中心軸線2’(図1参照)を含む鉛直面VS(図1および図14(A)参照)上に旋回軸8(図1参照)の中心軸線8’(図1および図14(A)参照)が配置されていると、図14(B)に示すように、キャスター本体1(図1参照)の進行方向(図14(A)および図14(B)のY方向のマイナス側)とは異なる向きに旋回軸8(図1参照)に対して力F8が加えられる場合に、右車輪3R(図1参照)が床面FSから受ける反力F3Rの周方向成分F3RY(図14(C)および図14(D)参照)に伴う旋回軸8(図1参照)の中心軸線8’を中心とする反時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3RYと距離rRとの積)と、左車輪3L(図1参照)が床面FSから受ける反力F3Lの周方向成分F3LY(図14(C)および図14(D)参照)に伴う旋回軸8(図1参照)の中心軸線8’を中心とする時計まわりの回転モーメント(周方向成分F3LYと距離rLとの積)とが完全に相殺される。そのため、第1の実施形態のキャスター100では、右車輪3R(図1参照)が床面FSから受ける反力F3Rと左車輪3L(図1参照)が床面FSから受ける反力F3Lとによって、キャスター本体1(図1参照)が旋回軸8(図1参照)に対して旋回することができない。
【0072】
そこで、第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)および図1(F)に示すように、水平方向に延びており、かつ、車軸2に平行な補助車軸6が、キャスター本体1に対して鉛直方向に移動可能なヨーク4によって支持されている。また、補助車軸6の中心軸線6’(図10参照)を中心に回転可能な補助車輪5が床面FSに接触せしめられている。更に、車軸2の中心軸線2’(図1(E)および図5参照)を含む鉛直面VSから外れた位置に補助車軸6の中心軸線6’(図10参照)が配置されている。つまり、図14(A)に示すように、補助車輪5(図1および図9参照)と床面FSとの接点P5が、車軸2(図1および図5参照)の中心軸線2’(図1(E)および図5参照)を含む鉛直面VSから外れた位置に配置されている。
【0073】
そのため、第1の実施形態のキャスター100では、図14(B)に示すように、キャスター本体1(図1参照)の進行方向(図14(A)および図14(B)のY方向のマイナス側)とは異なる向きに旋回軸8(図1参照)に対して力F8が加えられる場合に、補助車輪5(図1参照)が床面FSから受ける反力F5(図14(B)参照)によって(詳細には、補助車輪5(図1参照)が床面FSから受ける反力F5の周方向成分F5X(図14(C)および図14(D)参照)によって)、図14(E)に示すように、旋回軸8(図1参照)に対して加えられる力F8(図14(B)参照)の向きと一致する向きにキャスター本体1(図1参照)が指向するように、キャスター本体1が旋回軸8(図1参照)の中心軸線8’を中心に反時計まわりに旋回することができる。
【0074】
更に、第1の実施形態のキャスター100では、図12(B)に示すように、床面FSに投影された補助車輪5(図1および図9参照)の像5’が、床面FSに投影された右車輪3R(図1および図6参照)の像3R’および床面FSに投影された左車輪3L(図1および図7参照)の像3L’の共通外接円CCであって、旋回軸8(図1および図11参照)の中心軸線8’を中心とする共通外接円CCの内側に位置するように、補助車輪5(図1および図9参照)が配置されている。
【0075】
そのため、第1の実施形態のキャスター100によれば、図12(B)に示すように、旋回軸8(図1および図11参照)に対してキャスター本体1(図1および図4参照)を360°旋回させる場合におけるキャスター100の軌跡が占める空間の直径DSPを、補助車輪5(図1および図9参照)が設けられない場合のキャスター100の軌跡が占める空間の直径DSP2(図12(D)参照)と等しくすることができる。
【0076】
換言すれば、第1の実施形態のキャスター100によれば、旋回軸8(図1および図11参照)に対してキャスター本体1(図1および図4参照)を360°旋回させる場合におけるキャスター100の軌跡が占める空間の直径DSP(図12(B)参照)を小さくすることができ、キャスター本体1(図1および図4参照)のうちの旋回軸8(図1および図11参照)を支持する部分、旋回軸8および/または被装着物(図示せず)のうちの旋回軸8が取り付けられる部分が破損するおそれを低減することができる。
【0077】
ところで、第1の実施形態のキャスター100では、図12(B)に示すように、補助車輪5(図1および図9参照)の像5’が共通外接円CCの内側に位置するように補助車輪5が設けられている。そのため、第1の実施形態のキャスター100では、図1(D)、図1(E)および図1(F)に示すように、補助車輪5の直径が右車輪3Rおよび左車輪3Lの直径よりも小さい。その結果、第1の実施形態のキャスター100では、補助車輪5の外周面5a(図9参照)の磨耗が、右車輪3Rの外周面3R1(図6参照)および左車輪3Lの外周面3L1(図7参照)の磨耗よりも進行するおそれがある。
【0078】
この点に鑑み、第1の実施形態のキャスター100では、補助車軸6(図1(D)、図1(F)および図10参照)を支持するために概略コ字状の断面形状を有するヨーク4(図8参照)が設けられている。また、ヨーク4が、上下方向(図1(D)および図1(F)の上下方向)に移動できるようにキャスター本体1(図1および図4参照)のガイド溝1d3,1d4(図4参照)によってガイドされている。更に、図1(D)および図1(F)に示すように、補助車輪5が床面FSに接触するように、ヨーク4が圧縮コイルバネ7によって下向き(図1(D)および図1(F)の下向き)に付勢されている。そのため、第1の実施形態のキャスター100によれば、補助車輪5の外周面5a(図9参照)の磨耗が右車輪3Rの外周面3R1(図6参照)および左車輪3Lの外周面3L1(図7参照)の磨耗よりも進行した場合であっても、補助車輪5を床面FSに確実に接触させることができる。
【0079】
第1の実施形態のキャスター100では、補助車輪5が圧縮コイルバネ7によって下向き(図1(D)および図1(F)の下向き)に付勢されているが、補助車輪5の外周面5a、右車輪3Rの外周面3R1、および左車輪3Lの外周面3L1が磨耗しづらい環境下で用いられる第8の実施形態のキャスター100では、代わりに、補助車輪5を下向きに付勢する機構を省略することも可能である。具体的には、第8の実施形態のキャスター100では、補助車軸6(図10参照)がキャスター本体1(図4参照)によって支持される。
【0080】
第8の実施形態のキャスター100では、補助車輪5(図9参照)と補助車軸6(図10参照)とが別個の部材によって形成されているが、第9の実施形態のキャスター100では、代わりに、補助車輪5(図9参照)と補助車軸6(図10参照)とを一部材によって形成し、キャスター本体1(図4参照)によって補助車軸6を回転可能に支持すると共に、一部材によって形成された補助車輪5および補助車軸6をスナップフィットによってキャスター本体1に取り付けることも可能である。
【0081】
第10の実施形態では、上述した第1から第9の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 キャスター本体
1a 穴
1a1 内周面
1a1a 係止突起
1b 穴
1c 凹部
1c1 上面
1d 凹部
1d1,1d2 長穴
1d3,1d4 ガイド溝
2 車軸
2a 右車輪装着部
2a1 係止溝
2b 左車輪装着部
2b1 係止溝
2c 中央部
3R 右車輪
3R1 外周面
3R2 穴
3R2a 内周面
3R2a1 係止突起
3L 左車輪
3L1 外周面
3L2 穴
3L2a 内周面
3L2a1 係止突起
4 ヨーク
4a 右側壁
4a1 穴
4b 左側壁
4b1 穴
4c 中央部
4c1 凹部
4c1a 底面
5 補助車輪
5a 外周面
5b 穴
6 補助車軸
6a,6b,6c,6d,6e 嵌合部
7 圧縮コイルバネ
8 旋回軸
8a 嵌合部
8a1 外周面
8a1a 係止溝
8b 装着部
100 キャスター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びている車軸(2)をキャスター本体(1)によって支持し、
車軸(2)に対して右車輪(3R)が回転できるように、右車輪(3R)を車軸(2)に取り付け、
車軸(2)に対して左車輪(3L)が回転できるように、左車輪(3L)を車軸(7)に取り付け、
鉛直方向に延びている旋回軸(8)に対してキャスター本体(1)が旋回できるように、キャスター本体(1)と旋回軸(8)とを接続し、
右車輪(3R)と左車輪(3L)とが床面(FS)に接触するように床面(FS)上に配置されるキャスター(100)において、
車軸(2)の中心軸線(2’)を含む鉛直面(VS)上に旋回軸(8)の中心軸線(8’)を配置し、
水平方向に延びており、かつ、車軸(2)に平行な補助車軸(6)を、キャスター本体(1)によって直接的または間接的に支持し、
補助車軸(6)の中心軸線(6’)を中心に回転可能な補助車輪(5)を床面(FS)に接触させ、
車軸(2)の中心軸線(2’)を含む鉛直面(VS)から外れた位置に補助車軸(6)の中心軸線(6’)を配置し、
床面(FS)に投影された補助車輪(5)の像(5’)が、床面(FS)に投影された右車輪(3R)の像(3R’)および床面(FS)に投影された左車輪(3L)の像(3L’)の共通外接円(CC)であって、旋回軸(8)の中心軸線(8’)を中心とする共通外接円(CC)の内側に位置するように、補助車輪(5)を配置したことを特徴とするキャスター(100)。
【請求項2】
補助車軸(6)を支持するために概略コ字状の断面形状を有するヨーク(4)を設け、
上下方向に移動できるように、キャスター本体(1)によってヨーク(4)をガイドし、
補助車輪(5)が床面(FS)に接触するように、ヨーク(4)を下向きに付勢したことを特徴とする請求項1に記載のキャスター(100)。
【請求項1】
水平方向に延びている車軸(2)をキャスター本体(1)によって支持し、
車軸(2)に対して右車輪(3R)が回転できるように、右車輪(3R)を車軸(2)に取り付け、
車軸(2)に対して左車輪(3L)が回転できるように、左車輪(3L)を車軸(7)に取り付け、
鉛直方向に延びている旋回軸(8)に対してキャスター本体(1)が旋回できるように、キャスター本体(1)と旋回軸(8)とを接続し、
右車輪(3R)と左車輪(3L)とが床面(FS)に接触するように床面(FS)上に配置されるキャスター(100)において、
車軸(2)の中心軸線(2’)を含む鉛直面(VS)上に旋回軸(8)の中心軸線(8’)を配置し、
水平方向に延びており、かつ、車軸(2)に平行な補助車軸(6)を、キャスター本体(1)によって直接的または間接的に支持し、
補助車軸(6)の中心軸線(6’)を中心に回転可能な補助車輪(5)を床面(FS)に接触させ、
車軸(2)の中心軸線(2’)を含む鉛直面(VS)から外れた位置に補助車軸(6)の中心軸線(6’)を配置し、
床面(FS)に投影された補助車輪(5)の像(5’)が、床面(FS)に投影された右車輪(3R)の像(3R’)および床面(FS)に投影された左車輪(3L)の像(3L’)の共通外接円(CC)であって、旋回軸(8)の中心軸線(8’)を中心とする共通外接円(CC)の内側に位置するように、補助車輪(5)を配置したことを特徴とするキャスター(100)。
【請求項2】
補助車軸(6)を支持するために概略コ字状の断面形状を有するヨーク(4)を設け、
上下方向に移動できるように、キャスター本体(1)によってヨーク(4)をガイドし、
補助車輪(5)が床面(FS)に接触するように、ヨーク(4)を下向きに付勢したことを特徴とする請求項1に記載のキャスター(100)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−158308(P2012−158308A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21254(P2011−21254)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(591220665)株式会社石黒製作所 (18)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(591220665)株式会社石黒製作所 (18)
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