説明

キャパシタモジュール

【課題】ケース内に多くの蓄電素子を収納できるように、ケース内の収納スペースを確保しながら、防水性を有する蓄電モジュールを提供する。
【解決手段】隣り合ったキャパシタセル1を長手方向に交互に逆向きに配置して、隣り合った正極と負極とをバスバで電気的に接続して8本のキャパシタセルを直列に接続した束の、直列接続の端部である端子部の正極及び負極にL型バスバ11を配して各端子部がキャパシタセルの側面部に引き回され、キャパシタセルの側面部で配線された構造であって、キャパシタセルの側面部上に正極用バー及び負極用バーを配置して、引き回された正負極の各端子部が、それぞれ正極用バー及び負極用バーに接続されてなる蓄電モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池に係り、電池使用時に電池内部で発生するガスによって生じる、電極構造体のずれや面圧不足を抑制することができるリチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、カート、トラックなどの車両や各種の機器に搭載される蓄電モジュールは、出力を大きくするために、複数の蓄電素子を直列または並列に接続してなる蓄電素子群を、ケースに収納して構成している。ただし、蓄電モジュールは、設置スペースなどの問題から、大きさに制限があるため、高出力と省スペースを両立する必要がある。すなわち、ケース内の限られたスペースに蓄電素子をなるべく多く収納できるようにする必要がある〔例えば、特開2004−71168号公報(特許文献1)〕。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−71168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電モジュールの設置場所によっては、雨水にさらされて、ケースの内部に浸水が発生することがある。そのため、蓄電モジュールの高出力化及び省スペース化だけでなく、防水構造を有する蓄電モジュールが必要とされている。
【0005】
本発明の目的は、ケース内に多くの蓄電素子を収納できるように、ケース内の収納スペースを確保しながら、防水性を有する蓄電モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、次に示すような構成が有効と考えられる。
【0007】
隣り合ったキャパシタセルを長手方向に交互に逆向きに配置して、隣り合った正極と負極とをバスバで電気的に接続して8本のキャパシタセルを直列に接続した束の、直列接続の端部である端子部の正極及び負極にL型バスバを配して各端子部がキャパシタセルの側面部に引き回され、キャパシタセルの側面部で配線された構造であって、キャパシタセルの側面部上に正極用バー及び負極用バーを配置して、引き回された正負極の各端子部が、それぞれ正極用バー及び負極用バーに接続されてなるキャパシタモジュール。
【0008】
特に、8本のキャパシタセルの束を複数直列に接続したキャパシタモジュール。
【0009】
また、8本のキャパシタセルの束を複数並列に接続したキャパシタモジュール。
【発明の効果】
【0010】
キャパシタモジュールに必要なケーブルやバスバを、キャパシタモジュールの組立て後に配置することが可能となり、複数モジュールの直列、並列組が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明が適用可能な実施形態のキャパシタモジュールの一例を示す上面図である。
【図2】本発明が適用可能な実施形態のキャパシタモジュールの一例を示す前面図である。
【図3】図1に示すキャパシタモジュールのA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において、適宜実施することが可能なものである。
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の一例を示すキャパシタモジュールの上面図、すなわち略円筒形のキャパシタセル1の側面側から見た図である。キャパシタセル1の正極、負極の各端子から、L型バスバ11によりキャパシタセル1の側面側に端子を引き回し、キャパシタモジュールの上面側(キャパシタセル1の側面側)において、配線の作業を行うことができる。
【0015】
図2は、本発明の一例を示すキャパシタモジュールの前面図、すなわち略円筒形のキャパシタセル1の端面側から見た図である。ここでは、8本のキャパシタセル1を直列に接続し、その8本を一束にして5つの束をそれぞれ並列に接続している。8本の一束の中では、各キャパシタセル1はバスバ18により接続され、5つの束は、それぞれL型バスバ11により、キャパシタモジュールの上面側に端子が引き回されている。
【0016】
図3は、図1に示すA−A断面を拡大した図である。キャパシタモジュールの上面側において、ベーク板8をほぼ前面に配し、ベーク板8上にゴムシート9を配し、ゴムシート9上に銅バー(ここではA−A断面なので負極用銅バー7)を配置する。
【0017】
キャパシタモジュール前面部より、L型バスバ11によって引き回された端子は、段付き銅バー3または正極用ケーブル4あるいは負極用ケーブル5によって正極用銅バー6または負極用銅バー7上に接続される。このとき、正極用ケーブル4及び負極用ケーブル5と負極用銅バー7及び正極用銅バー6とは、それぞれ極性の異なる組合せ間において、絶縁シート10を介在させている。
【0018】
キャパシタモジュールの正極、負極の各端子部をそれぞれまとめて、コネクタ2に接続する構造としている。このとき、正極用銅バー6及び負極用銅バー7はそれぞれナット15で締結されている。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を具体的に適用した実施例を説明する。
(実施例1)
隣り合ったキャパシタセルを長手方向に交互に逆向きに配置して、の、前記直列接続の端部である端子部の正極及び負極にL型バスバを配して
隣り合ったキャパシタセル1を長手方向に交互に逆向きに配置して、隣り合った正極と負極とをバスバ18で電気的に接続して8本のキャパシタセルを直列に接続した束を準備する。その束を、例えば5組直列に接続すると、図2に示す構造とは異なり、40本のキャパシタセル1が直列接続されたキャパシタモジュールが得られる。
【0020】
このとき、8本のキャパシタセル1の端部(他のキャパシタセル1と接続されていない端部)にL型バスバ11を配置して、端子部を図1に示すようなキャパシタモジュール上面部で配線する。キャパシタモジュール上面部では、絶縁シート10を介して段付き銅バー3を使用することにより、正極・負極の各端子部をまとめることができる。
【0021】
ケーブルの引き回しの自由度が増し、直列・並列のモジュール構造への対応が容易になった。
(実施例2)
実施例1と同様に作製した8本のキャパシタセル1の束を、例えば5組並列に接続すると、図2に示すような40本のキャパシタセル1を搭載したキャパシタモジュールが得られる。8本が直列接続され、5組が並列接続されている。
【0022】
これらの実施態様においては、キャパシタセルモジュールと銅バーとの間に、絶縁板であるベーク板を配した。
【0023】
また、従来は六角レンチとスパナとで銅バーとケーブルとをネジ止めしていた構成を、スパナのみでネジ止めできるようになった。
(比較例1)
キャパシタモジュールから直接ケーブルを引き出す構造である。例えば8本のキャパシタセルを直列接続し、その8本のセルを一束にしたもの5組を並列接続した構造の場合、配線の引き回し作業が大変困難であった。
【符号の説明】
【0024】
1…キャパシタセル、2…コネクタ、3…断付き銅バー、4…正極用ケーブル、5…負極用ケーブル、6…正極用銅バー、7…負極用銅バー、8…ベーク板、9…ゴムシート、10…絶縁シート、11…L型バスバ、12…穴付ボルト、13…スプリングワッシャー、14…平ワッシャー、15…ナット、16…塩化ビニルテープ、17…熱収縮チューブ、18…バスバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合ったキャパシタセルを長手方向に交互に逆向きに配置して、隣り合った正極と負極とをバスバで電気的に接続して8本のキャパシタセルを直列に接続した束の、前記直列接続の端部である端子部の正極及び負極にL型バスバを配して前記各端子部が前記キャパシタセルの側面部に引き回され、前記キャパシタセルの側面部で配線された構造のキャパシタモジュールであって、
前記キャパシタセルの側面部上に正極用バー及び負極用バーを配置して、前記引き回された正負極の各端子部が、それぞれ前記正極用バー及び前記負極用バーに接続されてなることを特徴とするキャパシタモジュール。
【請求項2】
前記8本のキャパシタセルの束を複数直列に接続したことを特徴とする請求項1に記載のキャパシタモジュール。
【請求項3】
前記8本のキャパシタセルの束を複数並列に接続したことを特徴とする請求項1に記載のキャパシタモジュール。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−115221(P2013−115221A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259744(P2011−259744)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000001203)新神戸電機株式会社 (518)