説明

キャリパブレーキ装置

【課題】外部からの振動に起因するピストンの振動を抑制する。
【解決手段】本発明は、車輪5とともに回転するディスク6を挟んで摩擦力を付与するキャリパブレーキ装置100であって、車体に支持されるキャリパ本体10と、キャリパ本体10に対して進退しディスク6に摺接して摩擦力を付与可能な制輪子7と、制輪子7を圧縮空気の圧力によってディスク6に押圧するダイヤフラムアクチュエータ50とを備え、ダイヤフラムアクチュエータ50は、キャリパ本体10に固定されるシリンダ51と、背面52bに凹状に形成される凹部52cを有しシリンダ51に対して進退して制輪子7を押圧可能なピストン52と、凹部52cに沿うようにピストン52の背面52bに当接するとともにシリンダ内51に圧力室55を画成し、圧力室55内の圧力によって弾性変形してピストン52を移動させるダイヤフラム53とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪とともに回転するディスクに摩擦力を付与して車輪の回転を制動するキャリパブレーキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄道車両等の車両には、油圧や空気圧などの流体圧を利用して制動を行う流体圧ブレーキ装置が用いられている。
【0003】
特許文献1には、流体圧の変化に伴う弾性膜の変形によって進退するピストンが制輪子をディスクに押圧するキャリパブレーキ装置が開示されている。このキャリパブレーキ装置では、ピストンは、弾性膜によって支持されており、制輪子との当接面に形成される凹部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−47427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のキャリパブレーキ装置では、ピストンにおける制輪子との当接面に凹部が形成されるため、ピストンの重心位置は、制輪子から離れた位置となる。そのため、外部から振動が加わると、制輪子とディスクとの当接面を中心とするモーメントが作用して、ピストンが振動するおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、外部からの振動に起因するピストンの振動を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車輪とともに回転するディスクを挟んで摩擦力を付与するキャリパブレーキ装置であって、車体に支持されるキャリパ本体と、前記キャリパ本体に対して進退し、前記ディスクに摺接して摩擦力を付与可能な制輪子と、前記制輪子を作動流体の圧力によって前記ディスクに押圧する押圧機構と、を備え、前記押圧機構は、前記キャリパ本体に固定されるシリンダと、背面に凹状に形成される凹部を有し、前記シリンダに対して進退して前記制輪子を押圧可能なピストンと、前記凹部に沿うように前記ピストンの背面に当接するとともに前記シリンダ内に圧力室を画成し、前記圧力室内の圧力によって弾性変形して前記ピストンを移動させる弾性膜と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、制輪子を押圧するピストンの背面に凹部が形成される。これにより、ピストンの重心位置は、従来のピストンと比較すると制輪子に近い位置となる。ピストンに作用するモーメントは、制輪子とピストンとの当接面と重心位置との間の距離が近いため小さくなる。したがって、外部からの振動に起因するピストンの振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係るキャリパブレーキ装置の平面図である。
【図2】図1における正面図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】(a)は、ピストンの重心位置を示す断面図であり、(b)は、ピストンと組み立てられる前の弾性膜の断面図である。
【図5】(a)は、本発明の実施の形態の変形例に係るピストンの正面図であり、(b)は、図5(a)におけるB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係るキャリパブレーキ装置100について説明する。
【0011】
まず、図1及び図2を参照して、キャリパブレーキ装置100の全体構成について説明する。
【0012】
キャリパブレーキ装置100は、作動流体として圧縮空気が用いられる鉄道車両用の空気圧ブレーキである。キャリパブレーキ装置100は、支持枠20を介して図示しない台車(車体)に支持されるキャリパ本体10と、キャリパ本体10に対して進退しディスク6に摺接して摩擦力を付与可能な一対の制輪子7と、制輪子7を圧縮空気の圧力によってディスク6に押圧する押圧機構としてのダイヤフラムアクチュエータ50と、制輪子7をキャリパ本体10に支持する一対のアジャスタ40とを備える。
【0013】
キャリパブレーキ装置100は、車輪5とともに回転するディスク6を挟んで摩擦力を付与するものである。具体的には、キャリパブレーキ装置100は、ディスク6をその両面から一対の制輪子7で挟持し、ディスク6と制輪子7との間の摩擦力によって車輪5の回転を制動する。
【0014】
ディスク6は、車輪5の表裏両面に形成されて車輪5と一体に回転する。ディスク6を車輪5と一体に形成する構成に代わり、車輪5とともに回転する別体のディスク6を設けてもよい。
【0015】
キャリパ本体10は、ディスク6に跨るようにして延びる第一キャリパアーム12及び第二キャリパアーム14と、第一キャリパアーム12と第二キャリパアーム14とを結ぶヨーク部13と、キャリパ本体10を台車上に支持するための一対のブラケット部15とを備える。
【0016】
キャリパ本体10は、上スライドピン30と下スライドピン32とによって支持枠20に対して摺動可能にフローティング支持される。これにより、キャリパ本体10は、台車に対する車輪5の軸方向への相対移動に追従し、制輪子7が車輪5のディスク6に対して平行に対峙する。
【0017】
上スライドピン30と下スライドピン32とは、支持枠20を貫通して設けられる。上スライドピン30と下スライドピン32との両端部は、キャリパ本体10のブラケット部15に各々連結される。キャリパ本体10は、上スライドピン30と下スライドピン32との軸方向への相対移動が可能なように支持枠20に支持される。上スライドピン30と下スライドピン32との露出部は、ゴム製のブーツ34によって覆われ、ダスト等から保護されている。
【0018】
制輪子7は、ダイヤフラムアクチュエータ50による押圧力を受け、ディスク6に平行に押圧されて当接する。制輪子7は、車輪5とともに回転するディスク6に当接するライニング9を有する。制輪子は、ライニング9が設けられる面と反対の背面が、ダイヤフラムアクチュエータ50によって押圧される。制輪子7は、ライニング9とディスク6との当接によって発生する摩擦力によって、車輪5の回転を制動する。制輪子7の上下端は、後述するアジャスタ40のアンカピン43に固定されている。
【0019】
次に、図3及び図4を参照してキャリパ本体10の内部構造について説明する。
【0020】
図3に示すように、ダイヤフラムアクチュエータ50は、キャリパ本体10に固定されるシリンダ51と、シリンダ51に対して進退して制輪子7をディスク6に押圧可能なピストン52と、制動時に圧縮空気が供給される圧力室55をシリンダ51内に画成する弾性膜としてのダイヤフラム53と、ダイヤフラム53をピストン52に固定する固定機構57とを備える。
【0021】
ダイヤフラムアクチュエータ50は、圧力室55における空気圧を調整することでダイヤフラム53を変形させ、ダイヤフラム53の変形によってピストン52をシリンダ51に対して進退させるものである。ダイヤフラムアクチュエータ50は、ピストン52をシリンダ51から退出させることによって、制輪子7をディスク6に押圧するものである。
【0022】
シリンダ51は、内周をピストン52が進退するシリンダ本体51aと、シリンダ本体51aとの間にダイヤフラム53を挟み込んで固定し、シリンダ本体51aの背面を閉塞して圧力室55を画成するキャリパカバー54とを備える。
【0023】
シリンダ本体51aは、ピストン52の周囲を環状に囲むような楕円形の筒状に形成される。シリンダ本体51aの内周には、ピストン52の外周面に摺接してダスト等から保護するダストシール51bが設けられる。
【0024】
キャリパカバー54は、シリンダ本体51aに対応する楕円形に形成される板材である。キャリパカバー54は、複数のボルト54aによってシリンダ本体51aの端面に固定される。
【0025】
圧力室55は、シリンダ51の内部に、ダイヤフラム53とキャリパカバー54とによって画成される。圧力室55は、その容積の拡縮に伴って、ピストン52を進退させる。圧力室55には、通孔56(図2参照)が設けられる。制動時にダイヤフラム53を変形させるための圧縮空気は、外部の空気圧源から通孔56を通じて供給される。
【0026】
ピストン52は、制輪子7の背面と当接してシリンダ51内に設けられる。ピストン52は、制輪子7と当接する当接面52aと、当接面52aの反対の面である背面52bとを有する。ピストン52は、背面52bに当接するダイヤフラム53の変形によってシリンダ51内を進退する。
【0027】
当接面52aは、制輪子7を押圧する楕円形の平面である。当接面52aは、シリンダ本体51aの内周と比較してひとまわり小さな楕円形に形成される。
【0028】
背面52bは、ダイヤフラム53が当接する面である。背面52bは、凹状に形成される凹部52cと、凹部52cの外周に環状に立設される立設部52dとを有する。
【0029】
凹部52cは、背面52bからピストン52の内部に向けてくり抜かれて凹状に形成される。凹部52cは、その底面が当接面52aと比較してひとまわり小さな楕円形となるように形成される。
【0030】
図4(a)に示すように、ピストン52の背面52bに凹部52cが形成されることによって、ピストン52の重心位置は、従来の当接面に凹部が形成されたピストンと比較すると、制輪子7に近い位置となる。そのため、ピストン52に作用するモーメントは、当接面52aと重心位置との間の距離が近くなった分だけ小さくなる。したがって、外部からの振動に起因するピストン52の振動を抑制することができる。
【0031】
立設部52dは、ピストン52の進退方向と平行に、背面52bから立設される。立設部52dは、ダイヤフラム53と当接する内周側と外周側との二箇所の角部52eが曲面状に形成される。これにより、ダイヤフラム53と当接したときに、ダイヤフラム53を傷つけることが防止される。
【0032】
図3に示すように、ダイヤフラム53は、ピストン52の凹部52cに沿うようにピストン52の背面52bに当接する。ダイヤフラム53は樹脂製弾性材であり、例えばカーボン繊維,ケプラー繊維等の強化材を複合したものを用いてベローズ形成される。また、ゴム製チューブや金属薄板からなるベローズであってもよい。
【0033】
ダイヤフラム53は、圧力室55内の圧力によって弾性変形してピストン52を移動させるものである。ダイヤフラム53は、最外周を形成する周縁部53aと、最内周に形成される押圧部53cと、周縁部53aと押圧部53cとの間に連続して形成されるベローズ部53bとを有する。
【0034】
周縁部53aは、シリンダ本体51aとキャリパカバー54との間に挟まれて固定される。このとき、周縁部53aがパッキンの役割を果たすため、圧力室55の気密性が担保される。
【0035】
ベローズ部53bは、シリンダ本体51aの内周面とピストン52の外周面との間に位置する。ベローズ部53bは、圧力室55の圧力が上昇すると折りたたまれた状態(図3の状態)から伸長し、圧力室55の圧力が下降すると折りたたまれた状態に戻る。つまり、ベローズ部53bは、圧力室55に供給される空気圧によって、折りたたまれた状態と伸長した状態とに変形可能である。
【0036】
押圧部53cは、ピストン52と当接しており、折りたたまれていたベローズ部53bが伸長することによってピストン52の退出方向に変位する。押圧部53cが変位することによって、ピストン52は押圧されてシリンダ51内を移動する。押圧部53cには、立設部52dの内周側の角部52eに対応する段部53dが形成される。
【0037】
図4(b)に示すように、ダイヤフラム53は、ピストン52と組み立てられる前には、押圧部53cとベローズ部53bとの間の段部53dが段差を形成する二段のカップ状に形成されている。この状態から、まず、ピストン52の凹部52cに押圧部53cを挿入して底面に当接させる。次に、ピストン52の立設部52dの内周側の角部52eに段部53dが当接するように、ダイヤフラム53を凹部52cの内周面に沿わせる。そして、押圧部53cとベローズ部53bとの間の曲面が立設部52dの外周側の角部52eに当接するように、ベローズ部53bを立設部52dの外周に折り返す。
【0038】
これにより、ダイヤフラム53は、凹部52cの内周面と立設部52dの外周面との間に渡ってピストン52と当接することとなる。このように、押圧部53cとベローズ部53bとが、ピストン52の立設部52dを内周面と外周面との両面から挟みこむ。これにより、ピストン52の立設部52dの外周は、ダイヤフラム53によって全周方向から弾性的に支持されることとなる。よって、ダイヤフラム53の弾性によって、ピストン52の径方向への移動が規制される。したがって、外部からの振動に起因するピストン52の振動を、さらに抑制することができる。
【0039】
図3に示すように、固定機構57は、ダイヤフラム53を、ピストン52の凹部52cに固定するものである。固定機構57は、ダイヤフラム53を挟んで凹部52cに嵌めこまれる固定プレート57aと、固定プレート57aを凹部52cに固定する固定部材としてのボルト57dとを備える。
【0040】
固定プレート57aは、凹部52cに対応する形状に形成されるカップ状の板材である。固定プレート57aは、平板状の底面部57bと、底面部57bから凹部52cに沿って立設される立設部57cとを有する。
【0041】
ボルト57dは、固定プレート57aとダイヤフラム53とを貫通してピストン52に締結される。ボルト57dは、複数設けられ、底面部57bを凹部52cの底面に締結し、立設部57cを凹部52cの内周面に締結する。これにより、ダイヤフラム53とピストン52との当接面が滑って当接状態が変化することを防止できる。
【0042】
ボルト57dは、ピストン52における凹部52c内にて締結される。そのため、ボルト57dが凹部52cからキャリパカバー54に向かってはみ出ることはない。これにより、ピストン52の背面52bに凹部52cが形成されない場合と比較すると、キャリパ本体10の小型化が可能である。
【0043】
アジャスタ40は、ダイヤフラムアクチュエータ50の上下にそれぞれ配置される。アジャスタ40は、アンカボルト42によってキャリパ本体10の上下端部にそれぞれ締結される。アジャスタ40は、アンカボルト42によってキャリパ本体10に固定される制輪子受41と、制輪子受41に対して進退可能に設けられて制輪子7をキャリパ本体10に支持するアンカピン43とを備える。
【0044】
アンカピン43は、略円柱状に形成される。アンカピン43は、外周に環状に突出して形成される鍔部43bを有する。アンカピン43は、鍔部43bが制輪子7と係合することで、制輪子7と一体に移動する。アンカピン43は、制動時にダイヤフラム53が変形して制輪子7をディスク6に押圧する際に、制輪子7の移動によって軸方向に引き出される。
【0045】
アンカピン43は、制輪子7がディスク6に摺接する制動時に、摩擦力によってディスク6が制輪子7を周方向に移動させようとするのに抗して、制輪子7を保持する。アンカピン43において摺動時に制輪子受41から外部に露出する摺動部は、ゴム製のブーツ47によって覆われ、ダスト等から保護されている。
【0046】
以上の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0047】
制輪子7を押圧するピストン52の背面52bに凹部52cが形成されることにより、ピストン52の重心位置は、従来のピストンと比較すると制輪子7に近い位置となる。そのため、ピストン52に作用するモーメントは、制輪子7とピストン52との当接面と重心位置との間の距離が近くなった分だけ小さくなる。したがって、外部からの振動に起因するピストン52の振動を抑制することができる。
【0048】
次に、図5を参照して、本発明の実施の形態の変形例に係るピストン152について説明する。以下では、上述した実施の形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0049】
ピストン152は、制輪子7と当接する当接面52aと、当接面52aの反対の面である背面52bと、背面52bに凹状に形成される凹部52cと、背面52bにおける凹部52cの外周に環状に立設される立設部52dとを有する。また、ピストン152は、当接面52aから背面52bに貫通して形成される貫通孔152f及び貫通孔152gを有する。
【0050】
貫通孔152fは、ピストン152の長手方向に間隔をあけて一対形成され、貫通孔152gは、一対の貫通孔152fの間に形成される。貫通孔152fにおける凹部52cに開口する端部には、座ぐりが形成される。貫通孔152fには、ピストン152を制輪子7に固定するためのピン(図示省略)が挿入される。
【0051】
ピンの先端には、制輪子7に形成される雌ねじ(図示省略)に締結される雄ねじが形成される。ピンの基端には、貫通孔152fの座ぐりに対応する形状に形成される鍔部が形成される。この鍔部は、ピンが貫通孔152fに挿入されたときに凹部52cの底面と面一となるように形成される。
【0052】
ここで、ピストン152は、シリンダ51の内周に当接しておらず、ダイヤフラム53を介してシリンダ51内に弾性的に支持されている。そのため、ピストン152は、重力によって、ダイヤフラム53を変形させて下方向に移動しようとする。
【0053】
しかしながら、ピストン152は、貫通孔152fに挿入されたピンが制輪子7の雌ねじに締結されることによって制輪子7に固定される。よって、ピストン152が重力によって下方向に移動することを防止できる。
【0054】
なお、制輪子7に雌ねじを形成するのではなく、ピンの先端が嵌入される孔又は凹部を形成してもよい。この場合、ピンの先端に雄ねじは形成されない。ピストン52とダイヤフラム53とが組み立てられたときには、凹部52cの底面に当接するダイヤフラム53によって、鍔部がピストン52に押さえつけられる。よって、ピンが制輪子7の孔に嵌入されているだけであっても、ピンが抜けることはない。また、このとき、ピンの鍔部と凹部52cの底面との間に段差がないため、ダイヤフラム53は、貫通孔152fが形成されない場合と同等の当接状態となる。
【0055】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【0056】
例えば、上記の実施の形態では、ダイヤフラムアクチュエータ50は、第一キャリパアーム12側のみに設けられる。しかしながら、ダイヤフラムアクチュエータ50が一方にのみ設けられるフローティング型ではなく、ダイヤフラムアクチュエータ50が第一キャリパアーム12と第二キャリパアーム14との双方に設けられる対向ピストン型としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、鉄道車両等の車両のブレーキ装置として用いることができる。
【符号の説明】
【0058】
100 キャリパブレーキ装置
5 車輪
6 ディスク
7 制輪子
9 ライニング
10 キャリパ本体
40 アジャスタ
50 ダイヤフラムアクチュエータ(押圧機構)
51 シリンダ
52 ピストン
52a 当接面
52b 背面
52c 凹部
52d 立設部
52e 角部
53 ダイヤフラム(弾性膜)
55 圧力室
57 固定機構
57a 固定プレート
57d ボルト(固定部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪とともに回転するディスクを挟んで摩擦力を付与するキャリパブレーキ装置であって、
車体に支持されるキャリパ本体と、
前記キャリパ本体に対して進退し、前記ディスクに摺接して摩擦力を付与可能な制輪子と、
前記制輪子を作動流体の圧力によって前記ディスクに押圧する押圧機構と、を備え、
前記押圧機構は、
前記キャリパ本体に固定されるシリンダと、
背面に凹状に形成される凹部を有し、前記シリンダに対して進退して前記制輪子を押圧可能なピストンと、
前記凹部に沿うように前記ピストンの背面に当接するとともに前記シリンダ内に圧力室を画成し、前記圧力室内の圧力によって弾性変形して前記ピストンを移動させる弾性膜と、を備えることを特徴とするキャリパブレーキ装置。
【請求項2】
前記ピストンは、前記背面における前記凹部の外周に環状に立設される立設部を有し、
前記弾性膜は、前記凹部の内周面と前記立設部の外周面との間に渡って前記ピストンに当接することを特徴とする請求項1に記載のキャリパブレーキ装置。
【請求項3】
前記立設部は、前記弾性膜と当接する角部が曲面状に形成されることを特徴とする請求項2に記載のキャリパブレーキ装置。
【請求項4】
前記弾性膜は、
前記ピストンの前記凹部に当接する押圧部と、
前記押圧部の外周に形成され、前記立設部の外周に折り返されるベローズ部と、
前記押圧部と前記ベローズ部との間に形成されて前記立設部の角部に当接する段部と、を有し、
前記ピストンと組み立てられる前の状態では、前記段部が段差を形成する二段のカップ状に形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載のキャリパブレーキ装置。
【請求項5】
前記弾性膜を前記凹部に固定する固定機構をさらに備え、
前記固定機構は、
前記凹部に対応する形状に形成され、前記弾性膜を挟んで前記凹部に嵌めこまれる固定プレートと、
前記固定プレートを前記凹部に固定する固定部材と、を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のキャリパブレーキ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−53654(P2013−53654A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191518(P2011−191518)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】