説明

ギャングウエイタワーのリプレース方法

【課題】ギャングウエイタワーの据え替え工事を短期間、例えば5日で終了することを可能にするギャングウエイタワーのリプレース方法を提供することを課題とする。
【解決手段】新ギャングウエイタワー5のベースとなるサブフレーム4を桟橋1上に設置するために、旧ギャングウエイタワーを使用したまま、桟橋1にサブフレーム固定用アンカーボルトを埋設する工程、前記アンカーボルトの埋設位置に対応するボルト穴を穿設したサブフレーム4と、その上に設置される新ギャングウエイタワー5を工場において製作する工程、新ギャングウエイタワー5とサブフレーム4を現場に搬入する工程、前記旧ギャングウエイタワーを撤去する工程、サブフレーム4を桟橋1上に配置して前記アンカーボルトにて固定すると共に、サブフレーム4上に新ギャングウエイタワー5を固定する工程から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はギャングウエイタワーのリプレース方法、より詳細には、桟橋に着桟するタンカー等の大型船に、作業員が通行するために桟橋から架け渡される可動連絡橋(ギャングウエイ)を備えたタワーをリプレースするための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
着桟した船舶と桟橋との間に、作業員等が通行するための可動連絡橋が渡される。連絡橋は桟橋側に設置されるが、従来は、それと共に、連絡橋を船舶の甲板の高さに合わせて旋回上下動させて船に架けるための揚重設備60と、連絡橋を船舶側に移動させるための軌條設備61が設置されたものが一般的であった(図4、図5)。
【0003】
当然のことながら、老朽化したギャングウエイタワーは据え替える必要があるが、そのためには、先ず古いギャングウエイタワーを撤去し、その後、新しいギャングウエイタワーを据え付けることになる。通例、その据え替え工事には、少なくとも1ヶ月の工期が必要となり、当然のことながら、その間その桟橋は使用不可となる。
【0004】
しかるに、タンカー等の入船スケジュールは長期契約によって設定されているため、このように長期に亘って桟橋が使用不可となることは、燃料の販売契約等に支障を来たすために容認できないところであり、そのリプレース工事の工期短縮化は至上課題となる。
【0005】
【特許文献1】特開2003−26083号公報
【特許文献2】特開2003−27417号公報
【特許文献3】特開2003−313812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記要望に応えるためになされたもので、ギャングウエイタワーの据え替え工事を短期間、例えば5日で終了することを可能にするギャングウエイタワーのリプレース方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係るギャングウエイタワーのリプレース方法は、下
記工程から成ることを特徴とする。
a.新ギャングウエイタワーのベースとなるサブフレームを桟橋上に設置するために、
旧ギャングウエイタワーを使用したまま、前記桟橋に前記サブフレーム固定用アン
カーボルトを埋設する工程
b.前記アンカーボルトの埋設位置に対応するボルト穴を穿設したサブフレームと、そ
の上に設置される新ギャングウエイタワーを工場において製作する工程
c.前記新ギャングウエイタワーと前記サブフレームを現場に搬入する工程
d.前記旧ギャングウエイタワーを撤去する工程
e.前記サブフレームを前記桟橋上に配置して前記アンカーボルトにて固定すると共に
前記サブフレーム上に前記新ギャングウエイタワーを固定する工程
【0008】
好ましくは、前記新ギャングウエイタワーの製作に際し、それに付設される電気配線、配管等の機器、部品を可能な限り設置しておくこととし、また、前記c、d、eの各工程を並行して行なう。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る方法においては、旧ギャングウエイタワーの使用下において、新ギャングウエイタワー設置用のサブフレームを桟橋に固定するためのサブフレーム固定用アンカーボルトを埋設しておくので、旧ギャングウエイタワーを撤去後にサブフレームを桟橋に固定する作業が容易で、更に、サブフレーム上にギャングウエイタワーを固定することも容易であるため、例えば5日でリプレース作業を終了させることが可能であって、作業コストも大幅に削減できるだけでなく、船舶の入船スケジュールを変更する必要がなく、しかも、ギャングウエイタワーの耐震性、安全性等の向上が計れる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態につき、添付図面に依拠して説明する。本発明に係るギャングウエイタワーのリプレース方法は下記工程から成る。なお、図1において符号20はギャングウエイタワーに沿って昇降する連絡橋を示し、符号21はタンカーを示している。
【0011】
1)アンカーボルト埋設工程
本発明に係る方法の最大の特徴は、旧ギャングウエイタワーを撤去直前まで使用可
能にしておく点にある。そのために先ず、旧ギャングウエイタワーをそのままにし
ておいて、桟橋1にサブフレーム4を固定するためのアンカーボルト3を多数、桟
橋1上に埋設する。好ましくはアンカーボルト3は、桟橋1の基礎杭2上に埋設す
る。
【0012】
2)サブフレーム製作工程
工場において、上記アンカーボルト3の配置に対応するようにアンカーボルト挿通
孔を多数穿設したサブフレーム4を製作する。また、サブフレーム4には、新ギャ
ングウエイタワー5、詳細には、新ギャングウエイタワー5の4本の支柱6の下底
に設置されるボルト孔9付きベースプレート7をボルト止めするための、対応する
ボルト孔8も多数穿設する。サブフレーム4は、例えば、図3に示されるようなH
型鋼を組み合わせた四角形状とされる。なお、サブフレーム4に、タワー5におい
て用いられる電気、空圧、水圧、油圧等の各種配管類を支持する支持金具を付設す
ることもある。
【0013】
3)新ギャングウエイタワー製作工程
新ギャングウエイタワー5は予め工場において製作されるが、その際、必要な電気
配線、空圧、水圧、油圧等の配管等を行い、また、エレベーター等の電気機械器具
及びその駆動装置等を取り付ける等、可能な限りの装備を予め工場内で行い、現場
での作業ができるだけ少なくなるよう配慮する。
【0014】
なお、本発明における新ギャングウエイタワー5の型式は、図示したようなエレベータータワータイプのものに限られる訳ではなく、図4又は図5に示される、あるいは、上記特許文献1及び2に示されるようなコラムポストタイプのもの、その他任意の型式のものであってよく、また、その大小も問わないことは、言うまでもないところである。
【0015】
4)旧ギャングウエイタワー撤去工程
通例、桟橋1上に設置された低いコンクリートベース上に設置されている旧ギャン
グウエイタワーを、コンクリートベースごと撤去する。
【0016】
5)新ギャングウエイタワー及びサブフレーム搬送工程
工場で製作した新ギャングウエイタワー5は、普通海上輸送するが、工場が桟橋に
近い場合には、工場から吊り上げ状態にて現場に搬入することができる。もちろん
サブフレーム4は、陸路輸送することもできる。
【0017】
6)サブフレーム及び新ギャングウエイタワー設置工程
旧ギャングウエイタワーを撤去した後、先ずサブフレーム4を、予め埋設されてい
るアンカーボルト3にて固定する。サブフレーム4には、埋設されている多数のア
ンカーボルト3に対応するボルト孔が穿設されているので、サブフレーム4の位置
決め及び固定は容易で、作業を迅速になし得る。
【0018】
次いで、サブフレーム4上に新ギャングウエイタワー5を固定する。その固定は、4本の支柱6の下底に設置されているベースプレート7をサブフレーム4にボルト止めすることによって行なう。サブフレーム4及びベースプレート7には、それぞれ対応するボルト孔8、9が穿設されているため、そのボルト止め作業は容易且つ迅速になし得る。
【0019】
なお、工期短縮のため、上記新ギャングウエイタワー5及びサブフレーム4の搬送工程、旧ギャングウエイタワーの撤去工程及びサブフレーム4及び新ギャングウエイタワー5の設置工程は、間を置かずに並行して行なう。
【0020】
このように、本発明に係る方法においては、新ギャングウエイタワー5をサブフレーム4を介して設置することによって、そのリプレース作業を簡単且つ迅速に行なうことが可能となり、また、サブフレーム4は複数の基礎杭2に跨って設置されることになるので、ギャングウエイタワーの荷重負荷が、複数の基礎杭2に分散されることになり、その荷重負荷が特定の基礎杭2に集中してその寿命が早まるということがなく、ギャングウエイタワーの耐震性、安全性等の向上が計れる。
【0021】
サブフレーム4に配管等の支持金具を設置した場合は、これにタワー5に引き上げられる電気配管や油圧配管等を支持させることができる。従って、これらの配管の配設も、容易且つ見ためよく行うことが可能となる。
【0022】
サブフレーム4を用いることの更なる効用として、ギャングウエイタワー5のベースプレート7の腐食防止という点を挙げることができる。即ち、高波・降雨時には桟橋上が海水で洗われ、その結果、ベースプレート7が腐食する事態が発生するおそれがあるが、サブフレーム4がある場合はその分嵩上げされることになって、海水に晒される機会が少なくなり、以てベースプレート7が海水から保護される。
【0023】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る方法によってリプレースされた新ギャングウエイタワーを示す図である。
【図2】本発明に係る方法において用いられるサブフレームの設置状態を示す図である。
【図3】本発明に係る方法における新ギャングウエイタワーの設置方法を示す図である。
【図4】本発明に係る方法において撤去される旧ギャングウエイタワーの構成例を示す図である。
【図5】本発明に係る方法において撤去される旧ギャングウエイタワーの他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1 桟橋
2 基礎杭
3 アンカーボルト
4 サブフレーム
5 新ギャングウエイタワー
6 支柱
7 ベースプレート
8 ボルト孔
9 ボルト孔
20 連絡橋
21 タンカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程から成ることを特徴とするギャングウエイタワーのリプレース方法。
a.新ギャングウエイタワーのベースとなるサブフレームを桟橋上に設置するために、
旧ギャングウエイタワーを使用したまま、前記桟橋に前記サブフレーム固定用アン
カーボルトを埋設する工程
b.前記アンカーボルトの埋設位置に対応するボルト穴を穿設したサブフレームと、そ
の上に設置される新ギャングウエイタワーを工場において製作する工程
c.前記新ギャングウエイタワーと前記サブフレームを現場に搬入する工程
d.前記旧ギャングウエイタワーを撤去する工程
e.前記サブフレームを前記桟橋上に配置して前記アンカーボルトにて固定すると共に
前記サブフレーム上に前記新ギャングウエイタワーを固定する工程
【請求項2】
前記新ギャングウエイタワーの製作に際し、それに付設される電気配線、配管等の機器、部品を可能な限り設置しておく請求項1に記載のギャングウエイタワーのリプレース方法。
【請求項3】
前記c、d、eの各工程を並行して行なう請求項1又は2に記載のギャングウエイタワーのリプレース方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−240381(P2006−240381A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56228(P2005−56228)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(301026387)株式会社リバーコーポレーション (3)