説明

クイックリリース・ラッチを備えたクレジット・カード・ケース

キー・ループ、キー・チェーン、または他のデバイスから簡単に外すことができる一体型クイックリリース・ラッチを備えたクレジット・カード・ケースまたはフォッブを提供する。このクイックリリース・クレジット・カード・ケースは、上側と下側カバー部分、およびこの上側と下側カバー部分を連結する旋回部材を備える。旋回部材は、旋回部材上に取り付けられた少なくとも1つのカードを有するように適合されて、カードを上側と下側カバー部分に対して旋回式に回転することができるようになされている。それぞれ上側および下側カバー部分は、対合可能に位置合わせされた位置にカバーの外面のスロットを有して、キー・チェーン・ループをスロット内に挿入できるようになされている。カバー部分の少なくとも1つ上に取り付けられたラッチは、前記カバー部分内の半径方向に外側に面するスロットの開口部を露出し、前記カバー部分内の前記半径方向に外側に面するスロットの開口部を閉鎖する交互の位置に選択的に可動である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つまたは複数のクレジット・カード、特別な価値のあるカード、または他の支払手段を保持するためのケース、フォッブ、または物品に関し、詳細には、キー・チェーンから簡単に外すことができる一体型クイックリリース・ラッチを備えたクレジット・カード・ケースまたはフォッブに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、参照によりその内容を本明細書に組み込む、2002年10月10日に出願の米国仮出願第60/417,545号に関連し、その優先権を主張するものである。
【0003】
従来のクレジット・カードおよび特別な価値のあるカードの提供者は、ユーザによってその特定のカードが札入れまたは財布の外の使用しやすい場所、たとえばキー・ループ、キー・チェーン、または簡単に使用できる装置上のパケットで持ち運ばれて、カードが使用される可能性が高くなることを望んでいる。カードを札入れまたは財布の外に有して使用しやすくする利点は、ユーザが財布または札入れを開ける必要なくカードをすぐ利用することができ、幾つかの可能な選択の中から特定のカードまたは支払手段を使用する選択を行うことができるようになることである。
【0004】
カードがキー・チェーン上で持ち運ばれる場合、クレジット・カードをカード自体またはカード番号の盗難から保護するため、カードを隠すためのケースまたはフォッブが開発されてきた。カードを使用する人は、通常、カードをキー・チェーンから外さずにケース、容器、またはフォッブを開けて、カードを使用しやすい位置に旋回し、カードを磁気カード読取機構、または無線周波数読取機構、あるいは他の識別システムを通すことができるようにする。しかし、カードを使用するために、ケースまたは容器をキー・チェーンから外さなければならない場合もある。たとえば、チェーン上のキーが自動車のイグニションに入っているときに、ファースト・フードのドライブインで使用するために、ケースに手を伸ばしてケースをチェーンから外すことが必要な場合もある。従来のキー・チェーン・ケースでは、通常、自動車のエンジンを停止して、キーをイグニションから取り出し、両手を使用してケースまたは容器をキー・チェーンから外さなければならない。したがって、ケースまたはクレジット・カードを使用するために簡単にキー・チェーンから取り外すことができる、一体型クイックリリース・ラッチを備えたクレジット・カード・ケースを提供する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、一体型クイックリリース・ラッチ(integrated quick−release latch)を備えて、キー・ループ(key loop)またはキー・チェーン(key chain)から簡単に外すことができるクレジット・カード・ケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、クイックリリース・クレジット・カード・ケースは、上側と下側カバー部分、およびこの上側と下側カバー部分を連結する旋回部材を備える。旋回部材は、旋回部材上に取り付けられた少なくとも1つのカードを有して、カードを上側および下側カバー部分に対して旋回式に回転することができるように適合されている。それぞれ上側および下側カバー部分は、カバーの外面にスロットを有しており、このスロットを位置合わせし対合して、キー・チェーン・ループをスロット内に挿入できるようになされている。上側および下側カバー部分のうちの少なくとも1つ上に取り付けられたラッチは、交互の位置に選択的に可動である。第1の位置では、ラッチは、前記上側および下側カバー部分内の半径方向に外側に面するスロットの開口部を露出する。第2の位置では、ラッチは、半径方向に外側に面するスロットの開口部を閉鎖またはカバーする。ラッチは、好ましくは、半径方向に外側に面するスロットの開口部をカバーする通常の閉位置にラッチを偏倚させるための、可撓性ばね様部分を備える。最も好ましくは、ラッチがカバー部分の1つの外周面上に形成されたトラック上に摺動可能に取り付けられ、ラッチの可撓性ばね様部分が前記カバー部分の1つ上のフランジと係合する延長部を備える。本発明のクイックリリース・クレジット・カード・ケース、容器、またはフォッブは、片手でキー・チェーンあるいはキー・ループ、またはベルトのループ、ラップトップ・コンピュータ・ケース、衣料、財布、ブリーフ・ケース、あるいはパーソナル・デジタル・アシスタント・ケースなど、ケースが取り付けられた任意の品目から取り外すことができる。人は、本発明のケースを片手でつかみ、もう片方の手を全く使用せずに、片手の親指の運動によってクイックリリース・ラッチを開位置に移動させる。
【0007】
図面は、原寸に比例していない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、キー・ループ、キー・チェーン、または他の品目から簡単に外すことができる一体型クイックリリース・ラッチを備えたクレジット・カード・ケースを提供する。
【0009】
図1および2は、上側カバー部分12(図1)および下側カバー部分14(図2)を有するクイックリリース・クレジット・カード・ケース(quick−release credit card case)[以下単にケースと言う]10を示す。クレジット・カード16は、ケース10内の旋回部材に旋回式に取り付けられる。クレジット・カード16は、ケース10の外周を部分的に超えて延在して、人がカードを親指と人差し指でつかんで、図1ではケース10の下方に、図2では上方に露出位置まで旋回することができるようになされている(どちらも図では示していない)。旋回部材は、当技術分野で周知のリベットまたはポストでもよい。好ましくは、カードは旋回部材から取外し可能であり、ケースから完全に取り外すことができる。これは、カード内にきざみ付き開口部を設け、前記開口部が旋回部材に旋回式に連結するための開放端を有することによって実施することができる。こうした開口部および旋回式連結部を有するカードの説明は、参照により明細書全体を本明細書に組み込む、2002年7月17日に出願のPCT/米国特許出願PCT/US02/22,933号、「Credit Card With Case」に記載されている。クリップ20は、好ましくは、貨幣、運転免許証を保持し、またはケース10を上側カバー部分12に対して他の品目に取り付けるために設けられる。スロットまたはアパーチャ(aperture)22が、上側カバー部分12および下側カバー部分14内に設けられて、キー・チェーン・ループが通過できるようになされている。スロット(slot)22は、実質的に円形の内面を有する弓形状であることが好ましい。ラッチ(latch)24は、半径方向に外側に面するスロット22の開口部(図3)を露出あるいは閉鎖するために設けられる。図1および2では、ラッチ24が、半径方向に外側に面するスロット22の開口部をカバーする閉位置にあるところが示されており、図3では前記開口部を露出する引き込められた開位置にあるところが示されている。ラッチ24は、摩擦を提供する当て部の外面上の複数のうね28を持つ親指当て部26を有して、人の手の親指または他の指と係合した場合に、ラッチが容易に移動できるようにすることが好ましい。
【0010】
図4および5を参照すると、上側カバー部分12は、スロット22の縁部からカバー部分12の外周の一部に沿って長さ方向に延在する平頭セクション32および網セクション34を備えたトラックまたはレール30を有する。トラックの間に乗るようにカバー部分またはラッチのフランジを受ける、ラッチまたはカバー部分上に並行に間隔を置いて配置されたトラックなど他のトラックまたはレール構成を使用してもよい。カバー部分12は、トラックまたはレール30からスロット22の反対側縁部上に湾曲した止め面36を有する。カバー部分12は、トラック30の端部にも止め面38を有する。止め面36および38は、ラッチ24のトラック30上での摺動可能な移動範囲をそれぞれラッチ24の開位置と閉位置までに制限する働きをする。ラッチ24は、トラック30の平頭セクション32および網セクション34上に摺動可能に乗るための長手方向の平頭部分40および網部分42を有する。ラッチ24は一端に、スロット22の縁部上で湾曲止め面36と係合する曲面44を有する。
【0011】
図6および7を参照すると、ラッチ24は、その外端で平坦部分52によって接合された2つの長さ方向に延在する部分48および50を備えた可撓性ばね様テール・セクション46を有する。ピン・セクション54は、平坦部分52から横方向に延在して、カバー部分12の角度を付けたフランジ56(図7)内で係合するようになされている。半径方向のフランジ58および60は、ラッチ24が交互の開閉位置に前後に摺動可能に移動するときに、テール・セクション46を案内する。ラッチ24は、可撓性テール・セクション46にばね様特性を提供する記憶特性と共に強度と可撓性の両方を有するプラスチック材料からなることが好ましい。テール・セクション46は、ラッチ24の一体型部分となるように成形されることが好ましいが、必ずしもそうする必要はない。テールは、ラッチ24に取り付けられた別のセクション、またはラッチ24と係合可能なものでもよい。
【0012】
図8を参照すると、クレジット・カード16およびアパーチャ22を有するケース10の代替実施形態が示されている。キー・パッド70は、パッド上に置かれた1つまたは複数のキー72と共にケースの頂部に備えられる。現在、多くの自動車の使用者はフォッブ(fob)または他のデバイスを所有しており、それは、自分のキーから吊り下げらされ、自動車に遠隔アクセスするためのキーを有するキー・パッドを含んでいる。こうした遠隔アクセス・キーは、たとえば自動車の扉を解錠し、窓を開放またはロールダウン(roll−down)し、トランクのラッチを外し、または車庫の扉の開放機あるいはキーが不要の入力装置を起動させる能力を含む。図8の実施形態は、遠隔アクセス・キーの作動に必要とされる関連電子回路と共に、カード用ケース上の自動車遠隔アクセス・キーを有する標準のキー・パッドを含むことが企図されている。この実施形態では、自動車遠隔アクセス・デバイスを維持するための第2のキー・フォッブがクレジット・カード・ケースに組み込まれているため、ユーザにはその必要性が回避される。
【0013】
本発明の好ましい実施形態を特定してきたが、他の構成および修正形態も本発明の範囲内で提供することができる。たとえば、カード番号および他の識別情報または手段を含むカードの表面だけしか保護する必要がないため、ケース内で持ち運ばれるカードのタイプによっては、カバー部分が1つしか必要でないことが考えられる。また、カードの両側をカバーするために、別々の上側と下側カバー部分ではなく、単一の一体型のカバーを提供できることも考えられる。他の構成のクイックリリース手段を提供することもできる。たとえば、カバー部分の1つに対して平行の平面内で回転してスロット開口部を露出あるいは閉鎖する、回転可能なラッチを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のクイックリリース・クレジット・カード・ケースの一側面を示す斜視図である。
【図2】図1のクイックリリース・クレジット・カード・ケースの裏側を示す斜視図である。
【図3】ケースのキー・チェーン・スロットを露出する開位置にあるラッチを示す、図2と同様の斜視図である。
【図4】ラッチが上側カバーのトラック上に取り付けられており、ラッチがスロット開口部をカバーする閉位置にあるところを示す上側カバーの内面を示す部分斜視図である。
【図5】開位置にあるラッチを示す、図4と同様の部分斜視図である。
【図6】ラッチの可撓性ばね様テール・セクションを示す、ラッチの斜視図である。
【図7】ラッチが開位置にあり、ラッチの可撓性ばね様テール・セクションの端部が上側カバーのフランジと衝合しているところを示す上側カバーの内側を示す部分図である。
【図8】代替実施形態を示す上面斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの周囲にスロットを有するケースであって、
前記スロットの第1の側面上に位置する止め面と、
前記スロットの第2の側面上に摺動可能に取り付けられたラッチであって、前記第2の側面は前記第1の側面に対向しており、
延長部を有する主セクション、および
テール・セクションを備えたラッチと、
前記テール・セクションを受けるためのフランジとを備え、前記テール・セクションが前記ラッチの前記延長部を偏倚させて止め面と接触させるばね機能を提供する、ケース。
【請求項2】
前記ラッチが一体型に形成される、請求項1に記載のケース。
【請求項3】
前記ケースがレールを備え、前記ラッチが前記レールと係合する、請求項1に記載のケース。
【請求項4】
前記テール・セクションの平坦な部材が、前記フランジに対して圧縮された場合に、たわみによってばね機能を提供する、請求項1に記載のケース。
【請求項5】
前記ラッチがプラスチックである、請求項1に記載のケース。
【請求項6】
前記テール・セクションが、平坦部分によって延在する部分の外端で接合される2つの長さ方向に延在する部分を備える、請求項1に記載のケース。
【請求項7】
前記平坦部分が、前記フランジと係合するためのピン・セクションを備える、請求項6に記載のケース。
【請求項8】
前記ケースが、クレジット・カード・デバイスを収容する、請求項1に記載のケース。
【請求項9】
前記ラッチが、複数のうねを有する親指当て部をさらに備える、請求項1に記載のケース。
【請求項10】
ケースの周囲にスロットを有するケースであって、
前記スロットの第1の側面上に位置する止め面と、
前記スロットの第2の側面上に摺動可能に取り付けられたプラスチック・ラッチであって、前記第2の側面は前記第1の側面に対向しており、
延長部を有する主セクション、
複数のうねを有する親指当て部、および
ピン部分を有する平坦部分によって延在する部分の外端で接合される2つの長さ方向に延在する部分を備えるテール・セクションを備えたラッチと、
前記テール・セクションの前記ピン部分を受けるためのフランジとを備え、前記テール・セクションが前記ラッチの前記延長部を偏倚させて止め面と接触させるばね機能を提供する、ケース。
【請求項11】
ケースの周囲にスロットを有するケース内にラッチを形成する方法であって、
前記スロットの第1の側面上に位置する止め面を提供すること、
前記スロットの第2の側面上にラッチを摺動可能に取り付け、前記第2の側面が前記第1の側面に対向しており、前記ラッチが、
延長部を有する主セクション、並びに
テール・セクションを備えること、および
前記テール・セクションを受けるためのフランジを提供することを含み、前記テール・セクションが前記ラッチの前記延長部を偏倚させて止め面と接触させるばね機能を提供する、方法。
【請求項12】
前記ラッチが一体型に形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ケースがレールを備え、前記ラッチが前記レールと係合する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記テール・セクションの平坦な部材が、前記フランジに対して圧縮された場合に、たわみによってばね機能を提供する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ラッチがプラスチックである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記テール・セクションが、平坦部分によって延在する部分の外端で接合される2つの長さ方向に延在する部分を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記平坦部分が、前記フランジと係合するためのピン・セクションを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ケースが、クレジット・カード・デバイスを収容する、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記ラッチが、複数のうねを有する親指当て部をさらに備える、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−501964(P2006−501964A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543622(P2004−543622)
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2003/032069
【国際公開番号】WO2004/032662
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(504023947)ディスカヴァ、フィナンシャル、サーヴィセズ、インク (3)
【Fターム(参考)】