説明

クラブヘッド

【課題】慣性モーメントの増大を図り得ると共に、安価で、かつ、低重心化を図り得るクラブヘッドを提供する。
【解決手段】クラブシャフト1の先端に固定された木製のヘッド本体20と、ヘッド本体20の底部に配置された金属製のソール30と、ソール30に固定されソール30を形成する金属よりも比重の大きい錘部50とを備えたクラブヘッドに関する。ソール30には概ね上下方向に貫通する貫通孔33を設け、ソール30の下面に係合する頭部を持つボルト52が貫通孔33に挿入されて頭部により貫通孔33を閉塞すると共に、ボルト52のオネジ部53がソール30の内側に突出し、ボルト52のオネジ部53に螺合するメネジ部54を持つナット55を設け、ボルト52およびナット53の双方が錘部50を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパークゴルフやグラウンド・ゴルフ(以下、パークゴルフ等という)などのクラブヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゴルフなどのクラブヘッドでは、慣性モーメントの増大を図るために、錘を設けたものが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−65810号(図6)
【0003】
しかし、この先行技術では、ヘッドの内部にソールおよびプレートを介して錘を設けるので、コストアップを招くだけでなく、前記ソールの厚さやプレートの厚さに相当する分だけ錘の位置が上方の位置となるので、クラブヘッドの低重心化が図れない。
【0004】
一方、パークゴルフやグラウンド・ゴルフでは、ボールの直径に比べ、フェースの高さが高い、2打目以降ティーを用いない、などの理由から低重心化を図って、ボールを重心付近で捕らえることが重要である。
【0005】
したがって、本発明の目的は、慣性モーメントの増大を図り得ると共に、安価で、かつ、低重心化を図り得るクラブヘッドを提供することである。
【発明の開示】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、クラブシャフトの先端に固定された木製のヘッド本体と、前記ヘッド本体の底部に配置された金属製のソールと、前記ソールに固定され前記ソールを形成する金属よりも比重の大きい錘部とを備えたクラブヘッドであって、前記ソールには概ね上下方向に貫通する貫通孔が設けられ、前記ソールの下面に係合する頭部を持つボルトが前記貫通孔に挿入されて前記頭部により前記貫通孔を閉塞すると共に、前記ボルトのオネジ部が前記ソールの内側に突出し、前記ボルトのオネジ部に螺合するメネジ部を持つナットが設けられ、前記ボルトおよびナットの双方が前記錘部を形成している。
【0007】
本発明によれば、比重の大きい錘部がソールを上下に貫通しているから、ソールの最下部まで錘部が配置されるので、慣性モーメントの増大と共に低重心化を図り得る。
【0008】
また、錘部を構成するボルトにナットが螺合しているので、錘部の構造が簡易であるから、コストダウンを図り得る。
【0009】
しかも、錘部がソールに固定されているから、錘部が木製のヘッド本体等にねじ込まれていないので、木製のヘッド本体の耐久性が劣化するおそれもない。
【0010】
本発明において、前記ヘッド本体の底部に前記ソールを締結する複数の締結部材が設けられる場合には、前記複数の締結部材のうち1つの締結部材の重心位置よりも前記錘部の重心位置の方が前記ソールの外周縁に近い位置に配置されているのが好ましい。
締結部材によって慣性モーメントの増大や低重心化を図ることも可能であるが、締結部材の本来の機能上、錘部の方が重量を自在に付加し易い。したがって、締結部材をソールの外周縁に近い位置に配置するよりも、錘部をソールの外周縁に近い位置に配置する方が、慣性モーメントが大きくなる。
【0011】
本発明の好ましい実施例では、前記ナットが正六角形以上の多角柱ないし略円柱形の外表面を持ち、前記ナットが収容される収容空間が前記ヘッド本体に形成され、前記ヘッド本体の収容空間に接着剤が埋め込まれている。
この実施例では錘部が多角柱ないし略円柱の外表面を持つので、木製のヘッド本体に円形の孔を穿設することで、ヘッド本体と錘部との間の隙間を小さくすることが可能である。しかも、ヘッド本体と錘部との間に接着剤を充填することにより、木製のヘッドに割れや欠けが生じるのを防止し得る。
【0012】
本発明において、錘部としての機能を十分に発揮するには、前記オネジ部およびメネジ部の呼び径が3mm以上20mm以下で、かつ、前記ナットの外径が10mm以上30mm以下であることが必要である。
【0013】
本発明の好ましい実施例では、ボルトの頭部には工具を係合可能な被係合部を設けていない。これにより、使用者(ユーザ)が自分自身で錘となるボルトを取り換えるのを禁止できる。したがって、競技規則違反の改造などの不正行為を未然に防止し得る。
【0014】
本発明の更に好ましい実施例では、ボルトの頭部とは反対側の先端面に工具を係合可能な被係合部が形成されている。
錘部のナットを回転させようとすると、スパナなどの大型の工具が必要で扱いにくいのに対し、ボルト頭部はナットよりも小さいので小さな工具で回転させることができるから、ボルト・ナットの締結の作業性が向上する。
【0015】
本発明の別の好ましい実施例では、前記ヘッド本体を平面に投影した図形の中心のヒール側よりもトウ側の方の重量が増大するように前記ボルトおよびナットが設けられている。
トウ側の重量を増大させることにより、重心まわりの慣性モーメントIG が増大するだけでなく、シャフトまわりの慣性モーメントIS が大幅に増大する。
【0016】
本発明の好ましい実施例では、前記クラブヘッドの重量が300g〜500gに設定され、前記錘部がソールの外周部の少なくとも一部に配置されて、前記クラブヘッドの重心を通る鉛直線のまわりの慣性モーメントIG が4,500gcm2以上に設定されている。
重心まわりの慣性モーメントIG が大きいと、スイートエリアが増大する。
前記クラブヘッドの重心を通る鉛直線のまわりの慣性モーメントIG が4,500gcm2未満であると、ボールの重量が重く、接触時間が短いため、スイートエリアが増大する効果が少ない。
【0017】
本発明の別の好ましい実施例では、前記クラブヘッドの重量が300g〜500gに設定され前記錘部がソールの外周部のトウ側の少なくとも一部に配置されて、前記クラブシャフトの軸線のまわりの慣性モーメントIS が4,800gcm2以上に設定されている。
シャフトまわりの慣性モーメントIS が大きいと、打撃時のボールに当たる瞬間のヘッドの回転速度が増大する。
前記クラブシャフトの軸線のまわりの慣性モーメントIS が4,800gcm2未満でも、ヘッドの回転速度は、増大するが、打撃時の力が重心が動く方向と逆方向に働き、ヘッドの回転速度の増大が、ボールの初速に及ぼす影響が小さくなる。
【0018】
クラブヘッドの重量は、330g〜450gが更に好ましく、350g〜430gが最も好ましい。
また、重心まわりの慣性モーメントIG は、4,600gcm2以上が更に好ましく、4,700gcm2以上が最も好ましい。
一方、シャフトまわりの慣性モーメントIS は、5,000gcm2以上が更に好ましく、5,400gcm2以上が最も好ましい。
【0019】
更に、前記シャフトまわりの慣性モーメントIS を重心まわりの慣性モーメントIG で除算した慣性モーメント比IS /IG は、1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上が更に好ましい。
このように、大きな慣性モーメント比を得るには、錘部をトウに近い位置に配置することにより実現される。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、パークゴルフ用のクラブシャフト1の先端にはクラブヘッド2が固定されている。
【0021】
図2は前記クラブヘッド2の分解斜視図である。
図2に示すように、前記クラブヘッド2は、クラブシャフト1の先端に固定される木製のヘッド本体20、該ヘッド本体20の底部Bに固定される金属製のソール30および前記ヘッド本体20の前面20fに固定されるフェース40を備えている。プレイヤーは、図1のクラブを振って、クラブヘッド2を前後方向Xに振り抜き、フェース40の前面40fでボールを打撃する。
【0022】
まず、ヘッド本体20とソール30との関係について説明する。
図3に示す前記ソール30は、たとえば10mm以上の深さを持つ椀状に形成されており、前記ヘッド本体20の底部Bの概ね全面を覆っている。前記ソール30の上面には、上方に向って突出する複数のボス31が一体形成されている。前記各ボス31は、クラブヘッド2の重心G(図8)から離れた位置に設けられている。なお、前記各ボス31はソール30の周囲の側面に一体に設けられていてもよい。
【0023】
図5および図6はクラブヘッド2を底面側から見た分解斜視図である。図5に示すように、前記ヘッド本体20の底部Bには、前記各ボス31(図2)に対応する位置に係合孔21が、それぞれ形成されている。
【0024】
図7(a)は前記ボス31付近の縦断面図である。
図7(a)に示すように、前記係合孔21にボス31が挿入されており、前記係合孔21とボス31との間には、接着剤35が充填されている。したがって、係合孔21の内側面21fとボス31の外側面31fとは、接着剤35を介してヘッド2を振り抜く前後方向Xに、互いに隙間なくしっかりと係合している。
【0025】
図3に示すように、前記各ボス31には、メネジ32が形成されている。前記メネジ32は、前方に向って開口していると共に、前後方向Xにボス31を貫通している。一方、前記ヘッド本体20の前面20fには、図7(a)の前記メネジ32に螺合する締結ボルト24(オネジ部材)を挿入するネジ挿入孔22が穿孔されている。前記ネジ挿入孔22から金属製の前記締結ボルト24が前記メネジ32にねじ込まれることにより、ヘッド本体20の底部にソール30が締結されている。
【0026】
なお、ネジ挿入孔22は、ヘッド本体20の前面20fにおいて開口しているが、クラブヘッド2の後方についてはソール30やヘッド本体20で覆われている。
【0027】
ここで、ネジ挿入孔22は、ヘッド本体20の前面20fから後方に向って穿設されており、また、前記締結ボルト24は、ヘッド本体20の前面20fから後方のメネジ32との間で、ヘッド本体20をソール30に締結している。したがって、木製のヘッド本体20に締結ボルト24を挿入するネジ挿入孔22を上下方向に形成する必要がない上、打撃時にソール30とヘッド本体20との間に働く力の方向に、締結ボルト24の軸力が働く方向と一致しているので、ヘッド本体20の耐久性が向上する。
【0028】
また、図6(b)の前記フェース40で覆われるヘッド本体20の前面20fは平坦に加工されているから、前記ネジ挿入孔22をヘッド本体20に穿設する作業は、ヘッド本体20の上方、下方または後方から孔を明けるのに比べ、著しく容易、かつ、確実になる。
【0029】
かかる観点から、フェース40の前面40fに直交する軸線Lに対し、前記ネジ挿入孔22や締結ボルト24の軸線が30°程度まで(好ましくは15°程度まで)傾いていてもよい。すなわち、ネジ挿入孔22は若干斜め後方に向って穿設されていてもよく、この場合、図3のネジ挿入孔22は斜め前方に向って開口する。
【0030】
図2において、前記各締結ボルト24は、フェース40の中心Foを通る水平線Lhよりも下方に配置されている。そのため、重い各締結ボルト24によりクラブヘッド2の低重心化を図ることができる。なお、フェース40の中心Foとはフェース40の外形線により形成される図形の中心(図心)をいう。
【0031】
かかる観点から、全ての締結ボルト24を前記水平線Lhよりも下方に配置するのが最も好ましい。しかし、かかる低重心化は、前記フェース40の上下の中心Foよりも下方に配置された前記締結ボルト24の重量が、前記フェース40の上下の中心Foないし中心Foよりも上方に配置された前記締結ボルトの重量よりも重ければ、ある程度図られる。
【0032】
図8において、点Gはクラブヘッド2の実際の重心であり、点Oはクラブヘッド2を平面に投影した図形の中心(図心)である。図7(b)の前記クラブヘッド2の重心Gを通る鉛直線Vのまわりの慣性モーメントIG を大きくすることで、いわゆるスイートエリアの増大が図られる。
【0033】
一方、図1の前記クラブシャフト1の軸線Sのまわりの慣性モーメントIS を大きくすることで、打撃時のボールに対するヘッドの速度が増大する。すなわち、打撃時に図1のシャフト1の軸線Sの回りにクラブヘッド2が回転するのであるが、トウ側Tへの重心移動により、前記慣性モーメントIS が大きくなって、打撃時のボールに対するヘッドの速度が増大する。
【0034】
なお、クラブシャフト1の先端部11は、図2のヘッド本体20のシャフト挿入孔29に固く嵌合されている。
【0035】
本実施例において、図7(a)の前記オネジ部材24におけるオネジ24sが形成されていない頭部24hは、前記挿入孔22に収容されて前記フェース40の裏面40bの近傍まで設けられている。これにより、重い頭部24hの重量がヘッド2の外周近傍に配置されるから、前記慣性モーメントIG の増大を図り得ると共に、前記挿入孔22に充填する接着剤25が少なくなる。
【0036】
なお、頭部24hとフェース40の裏面40bとの間の隙間には、接着剤25が設けられている。
【0037】
本実施例においては、図8の前記クラブヘッド2の図形中心Oのヒール側Hに設けられたボス31の数よりもトウ側Tに設けられたボス31の数の方が多く、また、前記図形中心Oのヒール側Hに設けられた締結ボルト241 ,242 の総重量よりもトウ側Tに設けられた締結ボルト243 の総重量の方が重い。このように、前記ボス31や締結ボルト24をトウ側Tに片寄って配置することにより、ヘッドの重心Gをトウ側Tに移動させることができる。
【0038】
つぎに、前記慣性モーメントIG ,IS を更に大きくする構造の一例について説明する。
たとえば、図8の前記ソール30を構成する金属の比重よりも前記締結ボルト24を構成する金属の比重を大きく設定したり、前記ボス31の設けられた位置よりも前記ソール30の外周縁30eのトウ側Tに近い位置に、前記ソール30よりも比重の大きい金属からなる錘部50を配置することで、前記慣性モーメントIG ,IS の増大が図られる。特にソール30の湾曲した外周縁30eの近傍におけるトウ側Tに1以上の錘部50を配置することで、前記慣性モーメントIG ,IS の増大が図られ、更に、前記湾曲した外周縁30eの近傍におけるトウ側Tに複数の錘部50を配置することで、前記慣性モーメントIG ,IS が著しく増大する。
【0039】
前記ソール30を構成する金属としては、アルミ合金(たとえば、アルミ鋳物)を用いることができ、一方、前記締結ボルト24および錘部50を構成する金属としては、黄銅(銅と亜鉛の合金で、いわゆる真鍮)を用いることができる。なお、前記ソール30や締結ボルト24としては、他の金属(たとえば、タングステン、チタン合金、マグネシウム合金、銅合金、ステンレス、スチールなど)を用いてもよい。
【0040】
つぎに、本発明の要部である前記錘部50の構造の一例について説明する。
図8において、前記錘部50は前記ソール30の外周縁30eと前記ボス31との間に挟まれるような位置に配置されている。
図3の前記ソール30には概ね上下方向に貫通する複数の貫通孔33が設けられている。図7(b)のように、貫通孔33には、前記ソール30の下面に係合する頭部51を持つ錘ボルト52が前記貫通孔33に挿入されて前記貫通孔33が閉塞されている。前記錘ボルト52のオネジ部53は前記ソール30の内側の空間に突出している。
前記錘ボルト52のオネジ部53には、メネジ部54を持つ錘ナット55が螺合している。前記錘ボルト52および錘ナット55は前記錘部50を形成している。
なお、各ボルトナット52,55などの間は、ネジの緩みを防止する周知の接着剤(ロックタイト(登録商標))により接合されている。
【0041】
図4(b)の前記錘ナット55は、正六角形以上の多角柱ないし略円柱形の外表面を持っているのが好ましい。図6(a)に示すように、前記錘ナット55が収容される収容空間Sが前記ヘッド本体20に形成されている。図7(b)の前記ヘッド本体20の収容空間Sには、接着剤56が埋め込まれている。これにより、木製のヘッド本体20の強度低下を防止し得る。
【0042】
図6(b)の前記錘ボルト52の頭部51には工具を係合可能な被係合部が設けられていない一方で、前記頭部51とは反対側の図4(a)の先端面には工具を係合可能な被係合部(たとえば溝)57が設けられている。前記被係合部57を工具で回転させることにより、錘ボルト52およびナット55の締結の信頼性が向上する。
なお、前記錘ボルト52およびナット55は、複数組設けられている。また、図6(b)のように前記錘ボルト52の頭部51には美観を良くするため、窪みやプリント等の意匠を設けてもよい。
【0043】
図9(a)〜(d)は錘部50の変形例を示す。
これらの図に示すように、前記ソール30には、前記錘部50を固定するための第1のネジ部37を持ち、前記のソール30の上方に向って突出する固定部38が一体に形成されている。前記錘部50は、前記第1のネジ部37に螺合する第2のネジ部58を有する。
なお、前記固定部38および/または錘部50とヘッド本体20(図7(b))との間に接着剤が充填されている。
【0044】
図9(a),(b),(d)の実施例では前記錘部50を前記ソール30に取り付ける際に前記錘部50に回転力を付加するためのトルク付加部57,57Aが錘部50における前記ソール30の内側の空間に設けられている。これにより、前記錘部50はソール30の外側から取り外しできない。なお、図9(a),(b)のトルク付加部57は溝で形成されており、一方、図9(d)のトルク付加部57Aは、ローレット加工やスパナが係合する加工であってもよい。
【0045】
図9(a)に示すように、前記トルク付加部57は、前記ソール30の内側に向って露出する錘部50における前記ソール30の内側の空間に設けられていると共に、当該ソール30が前記第1のネジ部37において開口しておらず、前記錘部50が前記ソール30の内側からのみ螺合可能となっている。これにより、ユーザによる錘部50の交換を防止し得ると共に水等の浸入を防止し得る。
【0046】
図9(c)において、前記第1ネジ部37は前記ソール30の外側に臨む孔部に設けられ、前記錘部50が前記ソール30の外側から螺合されている。
【0047】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、締結部材の軸線を上下方向に設定してもよく、ソールの下面からオネジなどで止めてもよい。
また、締結部材を設ける必要はない。
また、ソールと一体にソールと同種の金属で錘部を設けて慣性モーメントの増大を図ってもよい。
さらに、被係合部としては十字状の溝などを形成してもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明はパークゴルフの他に、グラウンド・ゴルフやゴルフ系スポーツに適用することができる。なお、パークゴルフにおいては、シャフトの最小直径が14mm以上(好ましくは16mm以上)に設定され、一方、グラウンド・ゴルフではクラブシャフトが木製である。したがって、これらのパークゴルフ等のクラブシャフトは、通常のゴルフクラブシャフトに比べ曲げ剛性が大きいので、打撃時に差程撓まない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施例にかかるクラブヘッドを有するパークゴルフ用のクラブの正面図および側面図である。
【図2】同クラブヘッドの分解斜視図である。
【図3】ヘッド本体およびソールを示す分解斜視図である。
【図4】ヘッド本体に錘部が取り付けられる状態を示す斜視図である。
【図5】ソールおよびヘッド本体を底面から見た斜視図である。
【図6】(a)はオネジ部材および錘部の配置を示すヘッド本体の斜視図、(b)は底面側から見たクラブヘッドの分解斜視図である。
【図7】(a)はソールとヘッド本体の締結構造を示す縦断面図、(b)はソールに対する錘部の取付状態を示す縦断面図である。
【図8】オネジ部材、ボスおよび錘部の配置を示すソールの平面図である。
【図9】錘部の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1:クラブシャフト
2:クラブヘッド
20:ヘッド本体
24:締結ボルト(締結部材)
30:ソール
40:フェース
50:錘部
52:錘ボルト
53:オネジ部
54:メネジ部
55:錘ナット
57:被係合部
H:ヒール側
T:トウ側
S :慣性モーメント
G :慣性モーメント
G:重心
V:鉛直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラブシャフトの先端に固定された木製のヘッド本体と、前記ヘッド本体の底部に配置された金属製のソールと、前記ソールに固定され前記ソールを形成する金属よりも比重の大きい錘部とを備えたクラブヘッドであって、
前記ソールには概ね上下方向に貫通する貫通孔が設けられ、
前記ソールの下面に係合する頭部を持つボルトが前記貫通孔に挿入されて前記頭部により前記貫通孔を閉塞すると共に、前記ボルトのオネジ部が前記ソールの内側に突出し、
前記ボルトのオネジ部に螺合するメネジ部を持つナットが設けられ、
前記ボルトおよびナットの双方が前記錘部を形成しているクラブヘッド。
【請求項2】
請求項1において、前記ヘッド本体の底部に前記ソールを締結する複数の締結部材が設けられ、前記複数の締結部材のうち1つの締結部材の重心位置よりも前記錘部の重心位置の方が前記ソールの外周縁に近い位置に配置されているクラブヘッド。
【請求項3】
請求項1において、前記ナットが正六角形以上の多角柱ないし略円柱形の外表面を持ち、
前記ナットが収容される収容空間が前記ヘッド本体に形成され、
前記ヘッド本体の収容空間に接着剤が埋め込まれているクラブヘッド。
【請求項4】
請求項1において、前記オネジ部およびメネジ部の呼び径が3mm以上20mm以下で、かつ、前記ナットの外径が10mm以上30mm以下であるクラブヘッド。
【請求項5】
請求項1において、前記ボルトの頭部には工具を係合可能な被係合部が設けられていないクラブヘッド。
【請求項6】
請求項4において、前記ボルトの頭部とは反対側の先端面に工具を係合可能な被係合部が設けられているクラブヘッド。
【請求項7】
請求項1において、前記ボルトおよびナットが複数組設けられているクラブヘッド。
【請求項8】
請求項1もくしは7において、前記ヘッド本体を平面に投影した図形の中心のヒール側よりもトウ側の方の重量が増大するように前記ボルトおよびナットが設けられたクラブヘッド。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項において、前記クラブヘッドの重量が300g〜500gに設定され前記錘部がソールの外周部の少なくとも一部に配置されて、前記クラブヘッドの重心を通る鉛直線のまわりの慣性モーメントIG が4,500gcm2以上に設定されたクラブヘッド。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれか1項において、前記クラブヘッドの重量が300g〜500gに設定され前記錘部がソールの外周部のトウ側の少なくとも一部に配置されて、前記クラブシャフトの軸線のまわりの慣性モーメントIS が4,800gcm2以上に設定されたクラブヘッド。
【請求項11】
請求項1ないし8のいずれか1項において、前記クラブヘッドの重量が300g〜500gに設定され前記錘部がソールの外周部の少なくとも一部に配置されて、前記クラブヘッドの重心を通る鉛直線のまわりの慣性モーメントIG が4,500gcm2以上に設定され、かつ、前記クラブシャフトの軸線のまわりの慣性モーメントIS が4,800gcm2以上に設定されたクラブヘッド。
【請求項12】
クラブシャフトの先端に固定された木製のヘッド本体と、前記ヘッド本体の底部に配置された金属製のソールと、前記ソールに設けられた錘部とを備え、前記クラブヘッドの重量が300g〜500gに設定されたパークゴルフ用のクラブヘッドであって、前記錘部がソールの外周部の少なくとも一部に配置されて、前記クラブヘッドの重心を通る鉛直線のまわりの慣性モーメントIG が4,500gcm2以上に設定されたクラブヘッド。
【請求項13】
クラブシャフトの先端に固定された木製のヘッド本体と、前記ヘッド本体の底部に配置された金属製のソールと、前記ソールに設けられた錘部とを備え、前記クラブヘッドの重量が300g〜500gに設定されたパークゴルフ用のクラブヘッドであって、前記錘部がソールの外周部のトウ側の少なくとも一部に配置されて、前記クラブシャフトの軸線のまわりの慣性モーメントIS が4,800gcm2以上に設定されたクラブヘッド。
【請求項14】
クラブシャフトの先端に固定された木製のヘッド本体と、前記ヘッド本体の底部に配置された金属製のソールと、前記ソールに設けられた錘部とを備え、前記クラブヘッドの重量が300g〜500gに設定されたパークゴルフ用のクラブヘッドであって、前記錘部がソールの外周部の少なくとも一部に配置されて、前記クラブヘッドの重心を通る鉛直線のまわりの慣性モーメントIG が4,500gcm2以上に設定され、かつ、前記クラブシャフトの軸線のまわりの慣性モーメントIS が4,800gcm2以上に設定されたクラブヘッド。
【請求項15】
請求項12ないし14のいずれか1項において、前記ソールを構成する金属の比重よりも、前記錘部を構成する金属の比重の方が大きいクラブヘッド。
【請求項16】
請求項12ないし15のいずれか1項において、前記錘部が前記ソールにネジ込まれて固定されているクラブヘッド。
【請求項17】
クラブシャフトの先端に固定された木製のヘッド本体と、前記ヘッド本体の底部に配置された金属製のソールと、前記ソールに固定され前記ソールを形成する金属よりも比重の大きい錘部とを備えたクラブヘッドであって、
前記ヘッド本体の底部に前記ソールを締結する複数の締結部材が設けられ、前記複数の締結部材のうち1つの締結部材の重心位置よりも前記錘部の重心位置の方が前記ソールの外周縁に近い位置に配置されているクラブヘッド。
【請求項18】
クラブシャフトの先端に固定された木製のヘッド本体と、前記ヘッド本体の底部に配置された金属製のソールと、前記ソールに固定され前記ソールを形成する金属よりも比重の大きい錘部とを備えたクラブヘッドであって、
前記ソールには、前記錘部を固定するための第1のネジ部を持ち、前記のソールの上方に向って突出する固定部が一体に形成され、
前記錘部は、前記第1のネジ部に螺合する第2のネジ部を有し、
前記ソールの底面から上方に向って突出した前記固定部および/または錘部が、前記ヘッド本体に形成された収容空間に収容され、
前記固定部および/または錘部とヘッド本体との間に接着剤が充填されたクラブヘッド。
【請求項19】
請求項18において、前記錘部を前記ソールに取り付ける際に前記錘部に回転力を付加するためのトルク付加部が錘部における前記ソールの内側に設けられ、これにより、前記錘部がソールの外側から取り外しできないように設けられているクラブヘッド。
【請求項20】
請求項18において、前記第1のネジ部は、前記ソールの内側に向って突出する固定部における前記ソールの内側に設けられていると共に、当該ソールが前記第1のネジ部において開口しておらず、前記錘部が前記ソールの内側からのみ螺合可能となっているクラブヘッド。
【請求項21】
請求項18において、前記第1ネジ部は前記ソールの外側に臨む孔部に設けられ、前記錘部が前記ソールの外側から螺合されているクラブヘッド。
【請求項22】
請求項17ないし21のいずれか1項において、前記クラブヘッドの重量が300g〜500gに設定されたパークゴルフ用のクラブヘッドであって、前記錘部がソールの外周部の少なくとも一部に配置されて、前記クラブヘッドの重心を通る鉛直線のまわりの慣性モーメントIG が4,500gcm2以上に設定されたクラブヘッド。
【請求項23】
請求項17ないし21のいずれか1項において、前記クラブヘッドの重量が300g〜500gに設定されたパークゴルフ用のクラブヘッドであって、前記錘部がソールの外周部のトウ側の少なくとも一部に配置されて、前記クラブシャフトの軸線のまわりの慣性モーメントIS が4,800gcm2以上に設定されたクラブヘッド。
【請求項24】
請求項17ないし21のいずれか1項において、前記クラブヘッドの重量が300g〜500gに設定されたパークゴルフ用のクラブヘッドであって、前記錘部がソールの外周部の少なくとも一部に配置されて、前記クラブヘッドの重心を通る鉛直線のまわりの慣性モーメントIG が4,500gcm2以上に設定され、かつ、前記クラブシャフトの軸線のまわりの慣性モーメントIS が4,800gcm2以上に設定されたクラブヘッド。
【請求項25】
請求項1ないし24のいずれか1項において、前記錘部がトウ側に片寄って配置されていることにより、前記クラブシャフトの軸線のまわりの慣性モーメントIS が、重心を通る鉛直線まわりの慣性モーメントIG の1.1倍以上に設定されているクラブヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−223331(P2006−223331A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37342(P2005−37342)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年11月 株式会社アシックス発行の「2005・春 SPORTING EQUIPMENT[展示会マニュアル]」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年12月 株式会社アシックス発行の「SPORTING EQUIPMENT 2005」に発表
【出願人】(000000310)株式会社アシックス (57)
【Fターム(参考)】