説明

クランプとクランプの製造方法

本発明は、スライドレール(12)と、前記スライドレール(12)上を可動するスライドアーム(48)と、金属材料製で、前記スライドレール(12)上に固定的に配置された固定アーム(22)と、前記固定アーム(22)に配置された、加工品のための圧力片(42)とを有するクランプに関する。前記スライドレールと前記固定クランプは、単一部品として一体に結合され、前記圧力片は固定クランプとは別部品で、該固定クランプに凸または凹嵌合で固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料から作られるスライドレールと、スライドレールの上を可動するスライドアームと、スライドレールの上に固定して配置された金属材料から作られた固定アームと、固定アームの上に配置された加工品に対する圧力片から成るクランプであって、そのスライドレールと固定アームは、一体に結合されているところのクランプに関する。加えて、本発明は、クランプの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベッセイ社(BESSEY Tool GmbH & Co.KG)はエルエム(LM)の名称で複数のネジクランプを流通させている。これらはスライドレールと固定アームを有している。固定アームはスライドレールとは分離した構造部材で、スライドレールに対して圧接して保持されている。
【0003】
加えて、ベッセイ社は、加熱成形によって形成された、スライドアームと、固定アームと、圧力片の一体成形の組合せを有するジーゼット(GZ)の名称のすべてスチール製のネジクランプを流通させている。
【0004】
その一つのクランプはドイツ特許番号DE 100 05 350 A1として公知で、このクランプはクランプ機構を支えるスライドアームをガイドするためのレールと、同一の材料で同一の輪郭を持って一体的に形成された固定アームを有しており、レールと固定アームは、曲がった肘部品によってお互いに接続されていて、実質的に互いに直角に延在している。
【0005】
加工品をクランプするC字形状のクランプは、ドイツ特許番号DE 42 36 049 A1によって公知であり、C字形状のクランプバーと、クランプバーの一端に配置されたスピンドルナットと、スピンドルナットの中に配置されたクランプ用スピンドルと、クランプバーの下端に配置されたサポートを有している。クランプバーは、C字形状のクランプのための連続的に調整可能な付加的要素をガイドするためのガイド面を有するガイド部分を有している。
【0006】
平らな表面をクランプするネジクランプは、ヨーロッパ特許番号 EP 0 070 400 A2によって公知であり、ガイドレールを有しており、そのガイドレールの上に、ガイドレールに向かって横方向に延在する固定クランプが配置されており、また前記固定クランプに対してほぼ平行なスライドクランプが可動的にガイドされている。 ガイドレールに対してほぼ平行に設けられたネジスピンドルのための雌ネジが、二つのクランプ部品のうちの第一のクランプに設けられている。加えて、二つのクランプ用表面シューが設けられていて、そのうちの一つは二つのクランプ部品のうちの第二の部品に配置されており、もう一つは、板状のキャップに配置されている。特に、板状のキャップは、ネジスピンドルの上に回転可能に設けられていて、相対するクランプ用表面を有し、また二つのクランプ部品の平面に対して垂直である軸を中心に傾斜可能である。
【0007】
更に、クランプはフランス特許番号 FR1 070 193や米国特許番号 US2,815,778によって公知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡単な方法で製造出来る上記タイプのクランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は上記クランプを有する本発明によって、圧力片が固定アームとは分離した部品であって、固定アームに対する形状ロックおよび/または圧力ロックによる嵌合によって保持されることによって達成される。
【0010】
スライドレールは、低温延伸または低温圧延などの冷間成形によって、連続した板状材料から固定アームと共に輪郭切断されて形成され得る。冷間成形された材料は、自然な状態の材料と比較して実質的に増大された強度を有する。もし、スライドレールと固定アームが一体的に結合していれば、この対応する組合せは曲げ加工による簡単な方法で形成することが出来る。
【0011】
基本的には、冷間成形で製造した加工品に対して材料変形を行うために加熱すると、強度の退行と共に好ましくない構造上の変化が発生する。本発明による解決方法では、その様な構造上の変化を防止するために、加工品に対して作用する圧力片は、続いて、固定アームに配置されて、それ故に、固定アーム上に一体的に形成されていない。その結果、固定アームとスライドレールの加熱は必要なく、そのため、同様に、強度のロスを伴った構造的な変化も起こらない。
【0012】
一つ以上の加工品がクランプされている間、圧力片には実質的に圧縮力だけが掛かっている。固定アームにはその強い力が掛かっており、特に、張力と曲げ力が掛かっている。最適化された力の分散の条件下での高い安定性は、スライドレールに一体的に保持されていることが原因である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単で安価な方法で製造出来るクランプが提供される。
【0014】
実施態様によれば、圧力片は、圧入によって固定アームに保持される。その結果、圧力片は簡単に保持することが出来、一体的に強固に保持することが出来る。
【0015】
例えば、圧力片は、ロックまたはピンまたはネジ結合によって、特に、正の嵌合によって、固定アームに保持することが可能である。
【0016】
もし、固定アームを、構造的に変化する方法で加熱する必要がない製造方法で圧力片を固定アームに保持する場合にはとりわけ有益である。これによって、本発明のクランプは、簡単な方法で製造され得る。
【0017】
固定アームが曲げ加工によってスライドレールに形成される場合も有益である。スライドレールに対して横方向に曲がりを有して位置している固定アームは、対応する(特に、既に輪郭切断された)母材から、曲げ機によって形成することが出来る。その結果、分離して形成された固定アームを、次の段階として、スライドレールに実質的に保持する必要が無くなる。
【0018】
特に、固定アームは、凸状にカーブした外側面と、凹状にカーブした内側面を有している。そのような固定アームは、簡単な方法で、輪郭切断したレール上に形成することが出来、実質的に真直ぐなスライドレールと、カーブしている固定アームはその輪郭切断したレール上に形成することが出来る。
【0019】
特に、外側面と内側面は互いに平行である。この結果、簡単に製造することが出来る。そのようなスライドレールを固定したアームの組合せは、真直ぐなレールから形成することが出来、その真直ぐなレールは冷間成形によって形成され、対応する輪郭を有する。
【0020】
加えて、固定アームの凸状にカーブした外側面が、スライドレールと接線方向に合流し、固定アームの凹状にカーブした内側面がスライドレールと接線方向に合流することは好ましい。これによって、角やエッジも無い“スムース”な遷移が生まれる。および、このために、力の最適化された流れが可能になる。
【0021】
実施態様によれば、固定アームは少なくとも、(円形の)リング部分形状の一領域を有している。この結果、曲げ機で曲げ加工することによって、簡単な方法で、固定アームを形成することが可能になる。
【0022】
特に、スライドレールは直線形状である。このため、スライドアームは、スライドレールにガイドされることが可能になる。
【0023】
スライドレールと固定アームの組合せが、冷間成形で形成されることは有益である。例えば、固定アームが後に曲げ加工によって形成されるところの対応する輪郭を有する棒は、連続する帯状材料(例えば、スチールの帯状材料)を冷間圧延するかまたは冷間延伸することによって形成される。
【0024】
特に、スライドレールの上部外皮面と固定アームの上部外皮面は一致する。更に、特に、スライドレールの下部外皮面と固定アームの下部外皮面は一致する。固定アームは、平面を曲げ加工することによってスライドレール上に形成することが出来る。
【0025】
特に、固定アームの圧力片上のカウンター圧力片と中心が一致するクランプ装置が、スライドクランプ上に位置している。これによって、一つ以上の加工品を圧力片とカウンター圧力片の間にクランプすることが可能となる。
【0026】
次に、圧力片とカウンター圧力片が、確定的なクランプを可能にするために、加工品のための実質的に平行な接触表面を有することは好ましいことである。
【0027】
実施態様によれば、クランプ装置は、スライドアームのネジ山にガイドされる(少なくとも)一つのクランプネジを有している。圧力片とカウンター圧力片の間に一つ以上の加工品をクランプする時、スライドアームは、スライドレール上において傾けることによって保持することが可能である。対応するクランプ力は、クランプネジによって発揮することが出来る。偏心クランプやレバークランプなどのクランプ装置のその他の形態も可能である。
【0028】
特に、クランプネジの回転軸は圧力片に接触する。この結果、回転方向と同軸の力の方向に好ましい力が発揮されるようになる。
【0029】
圧力片は、加工品のための接触表面を有する接触領域と、固定アームに保持するための保持領域を有することが好ましい。圧力片は、保持領域によって、固定アームに接続されている。接触領域は、加工品のための接触表面を提供する。
【0030】
例えば、圧力片は、固定アーム領域の受入スペースを有するキャップの形状をしている。圧力片は、受入スペースによって、固定アームに取り付けることが出来、保持領域への形状ロックおよび/または圧力ロックによる嵌合によって圧力片を保持するために、この受入スペースを使用して圧入することが出来る。対応した大きさの“内側”接触表面が、圧力片の保持領域への圧入嵌合のために提供される。
【0031】
圧力片は、保持領域だけで、あるいはネジの様な形状ロック要素によっても保持することが可能である。ロックやピンの接合の様な形状ロックのその他の可能性も存在する。
【0032】
例示的実施態様に於いて、圧力片は、スライドレールの近くに、またはスライドレールまで、またはスライドレールの近くの固定アームの領域に延材している接触領域を有する。この結果、拡張された接触領域が提供される。圧力片は保持領域から分離しているので、圧力片の接触表面は、固定アームの形状に追従する必要がない。このことは、接触表面のサイズを大きくするために利用することが出来る。
【0033】
例示的実施態様においては、接触領域は、スライドレールまたはスライドレールの近くの固定アーム領域に保持される。この結果、安定性が増す。
【0034】
特に、その固定は、形状ロックおよび/または圧力ロックであり、従って、固定具のために構造を変化させる(それ故に、強度を低下させる)加熱を必要としない。
【0035】
本発明の更なる目的は、簡単な方法で実施できるクランプの製造方法を提供することである。
【0036】
この目的は、スライドレールと固定アームのための母材が冷間成形によって形成され、固定アームが、曲げ加工によってその母材の上に形成され、圧力片が形状ロックおよび/または圧力ロックによる嵌合によって保持されることによって、本発明によって達成される。
【0037】
本発明による方法は、本発明によるクランプの関連で既に説明した利点を有している。
【0038】
スライドレールの対応する(目的の)輪郭を有する輪郭レールは、冷間成形(特に、冷間延伸または冷間圧延)によって、連続材料から形成することが出来る。固定アームは、曲げ加工、特に、曲げ機によって、その様な輪郭レールの上に形成される。固定アームに接する加工品に対する必要な接触表面は、圧力片を保持することによって得られる。
【0039】
好ましい実施形態に関する以下の記述は、次に掲げる図面と共に、本発明を更に詳しく説明することが目的である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明によるクランプの第一の例示的実施態様の斜視図である。
【図2】図1によるクランプの平面図である。
【図3】図2によるクランプのAの方向からの図である。
【図4】図2によるクランプのBの方向からの図である。
【図5】本発明によるクランプの第二の例示的実施態様の斜視図である。
【図6】図5によるクランプの平面図である。
【図7】図6によるクランプのBの方向からの図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
図1乃至4に示し、参照番号10を付与された本発明のクランプの例示的実施態様はネジクランプである。ネジクランプ10は、スライドレール12から成る。スライドレール12は、例えば、スチールのような金属材料から形成される。スライドレールは、縦方向14(図2)にまっすぐに延在している。スライドレール12の外側面16と内側面18は、互いに平行であって、縦方向14と平行である。
【0042】
スライドレール12は輪郭切断される。スライドレールは、外側面16の領域と、内側面18の領域に、例えば、それぞれの細い襞20を有している。
【0043】
クランプ中に加工品に作用する固定アーム22は、スライドレール12に一体的に結合している。固定アーム22は、スライドレール12上の片持ちアームである。この固定アーム22は、スライドレール12の外側面16と内側面18を超えて横方向に突出している。固定アーム22それ自体は、凸状の外側面24を有しているが、この凸状外側面は接線方向にスライドレール12の外側面16に合流している。加えて、固定アーム22は、凹状の内側面26を有し、この凹状内側面は、接線方向にスライドレール12の内側面18に合流している。
【0044】
固定アーム22は、スライドレール12を曲げ加工することによって形成される。直線形状のスライドレールと固定アームから成る輪郭切断された母材は、曲げ機によって曲げ成形して、凸状外側面24と凹状内側面26を有する固定アーム22を形成する。
【0045】
固定アーム22は、例えば、円形リング状部分28を有している。その他のカーブ状形状も可能である。
【0046】
図示した例示的実施態様では、固定アーム22は、面端部30を有している。この面端部は、スライドレール12の面端部32と同様の断面形状を有している。固定アーム22の面端部30は、スライドレール12の縦方向14に対してある角度を持つように設定されていて、その角度は、例えば、ほぼ70度である。この角度は、図2においては参照番号34によって示されている。
【0047】
固定アーム22がリング部分の形状の場合、その角度34は、固定アームが円形リングの部分の形状の場合、固定アーム22がその上に延在する角状の領域と実質的に対応している。
【0048】
スライドレール12は、上部外皮面36と下部外皮面38(図3)を有している。この二つの外皮面36と38は実質的に互いに平行である。外側面16と内側面18は、上部外皮面36と外皮面38に対して横断的に、特に、垂直に位置している。固定アーム22の対応する上部外皮面は、上部外皮面36と一致し、固定アーム22の対応する下部外皮面は、スライドレール12の下部外皮面38と一致する。
【0049】
一体的に結合している輪郭切断されたスライドレール12と固定アーム22の組合せは、金属材料を冷間成形によって、特に、冷間延伸または冷間圧延によって形成される。
【0050】
例えば、スライドレール12と固定アーム22の組合せは、固定アーム22を曲げ加工する前に、冷間延伸または冷間圧延によって、連続した帯状材料から輪郭切断によって形成される。この組合せの材料は、歪み硬化される。固定アーム22は、固定アーム22がそのサイズに切断される前または後に、曲げ加工によって、スライドレール12の凸状外側面24と凹状内側面26を有して形成される。曲率は、“冷間”曲げ加工が、材料を加熱しないで、曲げ機で可能である方法で選択される。
【0051】
圧力要素42は、固定アーム22の保持領域40(図2)に設置され、その圧力要素42は、圧力片42の保持領域41によって、固定アーム22の保持領域40に保持される。保持領域40は、固定アーム22の端部30によって範囲が定められる。
【0052】
圧力片42は、加工品に対する接触表面44を有している。この接触表面44は連続的に結合されている。接触表面44は、複数部分から構成することも出来る。この接触表面は、縦方向14に対して(及び、スライドレール12に対して)横断的であり、特に、少なくともほぼ垂直に設定されている。
【0053】
圧力片42は、固定アーム22とは分離した要素であり、後で固定アームに保持される。固定は、固定アーム22の加熱を必要としない方法で行われる。そのような加熱は、歪み硬化によって製造された固定アーム22(および、スライドレール12)の構造上の変化につながる可能性がある。
【0054】
圧力片42は、例えば、金属材料または塑性材料から形成することが出来る。
【0055】
圧力片42は、圧力ロックおよび/または形状ロックによって、固定アーム22に保持される。
【0056】
例示的実施態様によれば、圧力片42は、保持領域41に受入スペース46を有している。受入スペースによって、圧力片42は、固定アーム22の保持領域40に設置され(特に、圧入され)、この受入スペースによって、取り外し不能に圧入される。
【0057】
圧力片42は、特に、キャップの形状をしている。圧力片42は、ネジクランプ10の製造中に、受入スペース46を使用して、固定アーム22に設置することが出来る。
【0058】
圧力片42を固定アーム22に保持するためのそれ以外の可能性は存在する。例えば、圧力片42は、ロックや、ピンあるいはネジ結合によって、固定アーム22に形状ロック嵌合によって保持される。
【0059】
スライドアーム48は、スライドレール12に配置される。このスライドアームは、凹部52を有するスライド領域50から成っている。スライドレール12は、この凹部52に通される。
【0060】
加えて、スライドアーム48は、ネジ領域54を有す。このネジ領域54は、ネジ山56を有しており、それによって、クランプ用ネジ58をガイドする。クランプ用ネジ58は、把持要素60に保持されている。把持要素60は、手で保持するために形成される。クランプ用ネジ58は、把持要素60を回転させることによって、回転軸62の周りを回転するようになっている。この場合、回転する方向によって、クランプ用ネジの前端に位置するカウンター圧力片64は、圧力片42に向かって、あるいはそれから離れるように移動する。
【0061】
カウンター圧力片64は、スライドレール12に対して横断的および、特に、実質的に垂直的に(スライドレールの縦方向14に)位置している、加工品に対する接触表面66を有している。特に、接触表面66は、圧力片42の接触表面44に対して実質的に平行に調整されている。
【0062】
カウンター圧力片64は、クランプ用ネジ58上をある範囲で枢動するように取り付けることが出来る。例えば、このカウンター圧力片のために、あるタイプの球状取り付けを設置することが出来る。
【0063】
スライドアーム48は、加えて、スライド領域50とネジ領域54の間にブリッジ領域68を有している。ブリッジ領域68は、スライド領域50とネジ領域54と共に、例えば、固定アーム22に対面しており、スライドレール12に対して少なくともほぼ垂直に位置している平らな側面70を有している。ブリッジ領域68は、この固定アームから離れた側面で、スライドレール12に対して(さらにスライドレールの縦方向14に対して)、例えば、約170度の角度に設定された側面71を有している。
【0064】
スライドアーム48の凹部52は、スライドアーム48が襞20を有しているスライドレール12上で傾斜可能な寸法になっている。この結果、一つ以上の加工品を、圧力片42とカウンター圧力片64の間に、クランプ用ネジ58を締めることによってクランプすることが出来る。
【0065】
回転軸62は、圧力要素42の接触表面44に接触する。
【0066】
本発明によれば、簡単な方法で製造可能なクランプ10が提供される。曲がっている固定アーム22は、スライドレール12と一体で配置されている。対応する輪郭切断された母材は冷間成形によって簡単な方法で形成することが出来、固定アーム22は曲げ加工によってよって形成する。固定アームをスライドレール12に接続する作業はない。接続領域は、根本的に、負荷を掛けた時、危険な領域である。そのような危険領域を、本発明による解決法によって避けている。
【0067】
固定アーム22の一つ以上の加工品のための接触表面44は、圧力片42によって提供される。圧力片42は、固定アーム22とは分離した要素であって、後で、固定アームに保持される。この結果、十分に大きく平らな接触表面44が提供される。接触表面44を形成するのに、固定アーム22の加熱は必要ない。そのような加熱は、冷間成形した固定アーム22の場合には、好ましくない構造上の変化につながる可能性がある。
【0068】
圧力片42は、加工品が、クランプ用ネジ58とカウンター圧力片64から成るクランプ装置72と、圧力片42にクランプされた時、実質的に、圧縮力だけを吸収しなければならない。スライドレール12上に一体的に形成された固定アーム22は対応する張力と曲げ力を吸収することが出来る。
【0069】
例えば、ネジクランプなどのクランプは、必要な機械的安定性を有し、一方で簡単に制作出来る本発明によって提供される。
【0070】
圧力片42は、保持領域41と、接触表面44が形成される接触領域74を有している。接触領域74は、スライドレール12の厚さ方向に関して(上部外皮面36と下部外皮面38の間の)、保持領域41よりも大きな幅を有するように形成することが出来る。この結果、十分に大きな接触表面44および連続して接続された接触表面44が提供される。
【0071】
図5乃至7に示し、参照番号76を付与したクランプの第二の例示的実施態様も、ネジクランプである。ネジクランプ76は、圧力片78以外、ネジクランプ10と同じ方法で形成される。同じ参照番号を、同じ要素に使用する。
【0072】
圧力片78は、受入スペース82を有する保持領域80を有している。圧力片78は、受入スペース82によって、固定アーム22の保持領域40に取り付けられている。特に、圧力片78は圧入される。
【0073】
加えて、圧力片78は、保持領域80に位置して、特に保持領域と一体化する接触領域84を有している。接触領域84は、スライドレール12から圧力片78のもっとも大きな間隔を有する圧力片78の上部端86から、スライドレール12の上に存在する端部88まで延在する。単純にあるいは複合的に結合した接触領域90は、接触領域84に形成される。この接触領域90は、スライドレール12に対して横断的に、特に、垂直に位置している。接触領域90は、上部端86から、スライドレール12まで延在して、スライドレール12の内側面18を超えている。端部88において、また端部88の近くで、圧力片78は、圧力ロックおよび/または形状ロックによる嵌合によってスライドレール12に接続することが出来る。
【0074】
圧力片78は、スライドレール12まで延在する接触表面90を提供する。
【0075】
凹部92をスライドレール12の領域の中の接触領域84に配置することが出来るが、その凹部92に、スライドレール12の対応する領域94が、少なくとも部分的に位置する。
【0076】
その他の点では、ネジクランプ76は上記の様に作動する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドレール(12)と、前記スライドレール(12)上を可動するスライドアーム(48)と、金属材料製で、前記スライドレール(12)上に固定的に配置された固定アーム(22)と、前記固定アーム(22)に配置された、加工品のための圧力片(42;78)とを有し、前記スライドレール(12)と前記固定アーム(22)は、一体に結合されたクランプであって、前記圧力片(42;78)は、前記固定アーム(22)とは分離された部品であり、形状ロックおよび/または圧力ロックによる嵌合によって前記固定アーム(22)に保持されたことを特徴とするクランプ。
【請求項2】
前記圧力片(42;78)は、圧入によって、前記固定アーム(22)に保持されたことを特徴とする請求項1のクランプ。
【請求項3】
前記圧力片(42;78)は、ロックによる接続またはピンによる接続またはネジによる接続によって、前記固定アーム(22)に保持されることを特徴とする請求項1のクランプ。
【請求項4】
前記圧力片(42;78)は、前期固定アーム(22)が、構造的に変化する方法で加熱されることを必要としない方法で、前記固定アーム(22)に保持されることを特徴とする前記請求項のうちの一つのクランプ。
【請求項5】
前記固定アーム(22)は、曲げ加工によって、前記スライドレール(12)上に形成されることを特徴とする前記請求項のうちの一つのクランプ。
【請求項6】
前記固定クランプ(22)は、凸状にカーブした外側面(24)と、凹状にカーブした内側面(26)を有することを特徴とする前記請求項のうちの一つのクランプ。
【請求項7】
前記外側面(24)と前記内側面(26)は互いに平行であることを特徴とする請求項6のクランプ。
【請求項8】
前記固定クランプ(22)の前記凸状にカーブした外側面(24)は、接線方向に前記スライドレール(12)と合流することを特徴とする請求項6または7のクランプ。
【請求項9】
前記固定クランプ(22)の前記凹状にカーブした内側面(26)は、接線方向に前記スライドレール(12)と合流することを特徴とする請求項6乃至8のクランプ。
【請求項10】
前記固定アーム(22)は、リング部分の形状をしている少なくとも一つの領域(28)を有することを特徴とする請求項6乃至9のクランプ。
【請求項11】
前記スライドレール(12)はまっすぐであることを特徴とする前記請求項のうちの一つのクランプ。
【請求項12】
前記スライドレール(12)と前記固定アーム(22)の組合せは、冷間成形によって形成されることを特徴とする前記請求項のうちの一つのクランプ。
【請求項13】
前記スライドレール(12)の上部外皮面(36)と前記固定アーム(22)の上部外皮面は一致することを特徴とする前記請求項のうちの一つのクランプ。
【請求項14】
前記固定アーム(22)の下部外皮面と、前記スライドレール(12)の下部外皮面(38)は一致することを特徴とする前記請求項のうちの一つのクランプ。
【請求項15】
前記固定アーム(22)上の前記圧力片(42;78)のカウンター圧力片(74)と中心が一致するクランプ装置(72)は、前記スライドアーム(48)の上に位置していることを特長とするクランプ。
【請求項16】
前記圧力片(42;78)と前記カウンター圧力片(64)は、加工品のために実質的に平行な接触表面(44、66;44、90)を有していることを特徴とする請求項15のクランプ。
【請求項17】
前記クランプ装置(72)は、前記スライドアーム(48)のネジ山(56)にガイドされたクランプネジ(58)を有していることを特徴とする請求項15または16のクランプ。
【請求項18】
前記クランプネジ(58)の回転軸(62)は、前記圧力片(42;78)に接触することを特徴とする請求項17のクランプ。
【請求項19】
前記圧力片(42;78)は、接触領域(74;84)と、前記固定アーム(22)に保持するための保持領域(41;80)を有することを特徴とする前記請求項のうちの一つのクランプ。
【請求項20】
前記圧力片(42;78)は、固定アーム保持領域(40)のための受入スペース(46;82)を有したキャップの形状をしていることを特徴とする前記請求項のうちの一つのクランプ。
【請求項21】
前記圧力片(42;78)は、前記スライドレール(12)の近くに、あるいは前記スライドレール(12)まで、あるいは前記スライドレール(12)の近くの前記固定アーム(22)の一領域の中に延在する接触領域(81)を有することを特徴とする前記請求項のうちの一つのクランプ。
【請求項22】
前記接触領域(84)は、前記スライドレール(12)または前記スライドレール(12)の近くの前記固定アーム(22)の前記領域に保持されていることを特徴とする請求項21のクランプ。
【請求項23】
前記保持は、形状ロックおよび/または圧力ロックであることを特徴とする請求項22のクランプ。
【請求項24】
前記スライドレールと前記固定アームの母材は冷間成形によって形成され、前記固定アームは前記母材の上に曲げ加工によって形成され、圧力片は形状ロックまたは圧力ロックによる嵌合によって前記固定アームに保持されることを特徴とする前記請求項のうちの一つのクランプの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−524813(P2011−524813A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525277(P2010−525277)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058262
【国際公開番号】WO2009/003939
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(509328157)ベッセイ ツール ゲゼルシャフト ミット べシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー カー ゲー (1)
【Fターム(参考)】