説明

クランプ装置

【課題】クランプ装置において、クランプアームの回動角度が調整された際、該クランプアームの回動状態を簡便且つ高精度に検出する。
【解決手段】クランプ装置10においてクランプ・アンクランプ状態を検出する検出機構24は、ピストン48及びピストンロッド50と共に変位する検出体96と、前記検出体96に臨むように配置され、該検出体96の位置を検出可能な基板94と、前記基板94に接続されクランプ・アンクランプ状態に応じて点灯・消灯する表示灯108とを備える。そして、アーム22の回動角度が変更された際、検出機構24に設けられた設定用ボタン110を押すことで、アンクランプ状態を検出するための基板94における第2検出位置128を変更し、検出体96を新たに設定した検出位置で検出可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンの変位作用下に所定角度回動するクランプアームを介してワークをクランプすることが可能なクランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、自動車等の構成部品を溶接する際、その構成部品をクランプするためにクランプ装置が用いられる。本出願人は、本体部と、該本体部に連結されたシリンダ部と、該シリンダ部の駆動作用下に本体部内に設けられたトグルリンク機構を介して所定角度回動するクランプアームとを有するクランプ装置を提案している(特許文献1参照)。
【0003】
このクランプ装置は、シリンダ部に供給される圧力流体によってシリンダ部のピストン及びピストンロッドを軸方向へと変位させることにより、前記ピストンロッドに接続されたトグルリンク機構を介してクランプアームがピストンの変位量に基づいた作動角度で回動し、ワークをクランプ可能なクランプ状態と、前記クランプ状態が解除されたアンクランプ状態とを切り換えている。
【0004】
また、このクランプ装置には、ピストンロッドに連結されたナックルブロックに対して検出部を連結し、ボディの側部に設けられた2つの近接スイッチで前記検出部を検出することによってクランプアームの回動状態を検出している。
【0005】
近年、クランプアームの回動状態をより簡便且つ高精度に検出したいという要請がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−113468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、クランプアームの回動角度を変更した場合でも、該クランプアームの回動状態を簡便且つ高精度に検出することが可能なクランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は、シリンダ部における直線運動をトグルリンク機構によって回動運動に変換してクランプアームによりワークをクランプするクランプ装置において、
本体部と、
前記本体部に連結され、圧力流体による押圧作用下に軸方向に沿って変位するピストン及びピストンロッドを有するシリンダ部と、
前記シリンダ部に変位自在に設けられ、前記ピストンの変位を規制して該ピストンのストローク変位量を調整可能な調整機構と、
前記ピストン及びピストンロッドと共にストローク変位する検出体と、該検出体の位置を検出可能な検出部とを有し、前記検出体がストローク変位した際の位置を前記検出部で検出することで前記クランプアームによる前記ワークのクランプ・アンクランプ状態を検出する検出機構と、
前記調整機構によって前記ストローク変位量が調整された際、前記検出部による前記検出体の検出位置を校正する校正手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、クランプ装置において、調整機構によってピストンのストローク変位量を調整してクランプアームの回動角度を変更した場合、検出機構の検出体を検出部で検出する際の検出位置を校正手段によって変更することができるため、例えば、前記クランプアームの回動角度を変更する度に、検出機構を本体部から取り外して調整作業を行う必要がなく、前記回動角度の変更に対応した検出位置の変更作業を簡便に行うことができる。その結果、クランプアームの回動角度の調整を確実且つ効率的に行うことが可能となり、それに伴って、クランプアームの回動状態を高精度に検出することができる。
【0010】
また、校正手段は、検出部に対して電気的に接続され、クランプアームがクランプ又はアンクランプ状態にある場合に押圧することで、前記クランプ又はアンクランプ状態に対応した前記検出部の検出位置を校正可能なスイッチであるとよい。
【0011】
さらに、検出体は、ピストンロッドに連結された連結アームに保持されるホルダと、
前記ホルダの内部に収納され、磁気を有する検出子と、
を備え、
前記検出子の磁気を検出部で検出するとよい。
【0012】
さらにまた、検出子を、コイルから構成するとよい。
【0013】
またさらに、検出機構は、ワークのクランプ・アンクランプ状態で点灯する表示灯を備え、前記表示灯を検出機構において外部から視認可能な位置に配置するとよい。
【0014】
また、表示灯は、クランプ状態で点灯する第1表示灯と、
アンクランプ状態で点灯する第2表示灯と、
を備え、
前記第1表示灯と第2表示灯とをそれぞれ異なる色で形成するとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0016】
すなわち、調整機構によってピストンのストローク変位量を調整してクランプアームの回動角度を変更する場合に、検出機構の検出体を検出部で検出する際の検出位置を校正手段で変更することができるため、例えば、前記クランプアームの回動角度を変更する度に、検出機構を本体部から取り外して調整作業を行う必要がなく、前記回動角度の変更に対する検出位置の変更作業を簡便に行うことができる。その結果、クランプアームの回動角度の調整を確実且つ効率的に行うことができ、その回動状態を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係るクランプ装置の外観斜視図である。
【図2】図1のクランプ装置から第1ケーシング及びスイッチハウジングを取り外した状態を示す一部分解斜視図である。
【図3】図1に示すクランプ装置の一部省略全体断面図である。
【図4】図3のクランプ装置における検出機構近傍を示す拡大断面図である。
【図5】図1に示すクランプ装置において検出機構近傍を斜め下方から見た拡大斜視図である。
【図6】図5に示す検出機構を構成するスイッチハウジングの底面図である。
【図7】図2に示す検出機構を別の方向から見た斜視図である。
【図8】図3に示すクランプ装置においてアームが所定角度だけ回動したアンクランプ状態を示す一部省略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るクランプ装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係るクランプ装置を示す。
【0019】
このクランプ装置10は、図1〜図3に示されるように、圧力流体の供給作用下に駆動するシリンダ部12と、該シリンダ部12の上端部に連結され、第1及び第2ケーシング14、16から扁平状に形成されるボディ(本体部)18と、前記ボディ18から外部へと突出した矩形状の軸受部20に連結されるアーム(クランプアーム)22と、前記ボディ18の側部に設けられ、前記アーム22によるワーク(図示せず)のクランプ・アンクランプ状態を検出する検出機構24とを備える。なお、ボディ18の側面には、図示しない取付用ねじを螺入してクランプ装置10を他の部材に取り付ける複数の取付孔26が形成されている。
【0020】
シリンダ部12は、シリンダ室28を内部に有する中空状のシリンダチューブ30と、該シリンダチューブ30の一端部に連結されて前記シリンダ室28を閉塞するエンドブロック32と、前記シリンダチューブ30の他端部を閉塞するエンドプレート34とを含む。この場合、シリンダチューブ30は、断面扁平状に形成されるが、これに限定されるものではなく、例えば、断面円形状又は断面長円状に形成してもよい。
【0021】
なお、エンドブロック32の四隅角部には軸方向(矢印A、B方向)に沿った貫通孔(図示せず)が形成され、前記貫通孔にそれぞれ締結ボルト36(図1及び図2参照)が挿通されボディ18に対して締め付けられることで、前記シリンダチューブ30及びエンドプレート34が前記シリンダチューブ30とボディ18との間に挟持され、前記エンドブロック32、シリンダチューブ30及びエンドプレート34がボディ18に対して一体的に連結される。
【0022】
シリンダチューブ30の側面には、図3に示されるように、エンドブロック32近傍となる位置に圧力流体(例えば、圧縮空気)が導入・導出される一対の第1流体ポート38a、38bが形成され、エンドプレート34近傍となる位置に圧力流体(例えば、圧縮空気)が導入・導出される一対の第2流体ポート40a、40bが形成される。
【0023】
第1流体ポート38a、38bと第2流体ポート40a、40bとは、シリンダチューブ30の軸方向(矢印A、B方向)に沿って互いに所定間隔離間して配置されると共に、前記シリンダチューブ30の軸線に対して略対称となるように反対側の側面にもそれぞれ形成される。
【0024】
そして、一対の第1及び第2流体ポート38a、38b、40a、40bは、そのいずれか一方のみが選択的に使用され、例えば、使用されない他方の第1及び第2流体ポート38b、40bはプラグ42によってそれぞれ閉塞される(図3参照)。そして、第1及び第2流体ポート38a、38b、40a、40bは、それぞれシリンダ室28と連通している。
【0025】
エンドブロック32の略中央部には、下方から調整ボルト44が螺合され、その端部が所定長さだけシリンダ室28内に突出している。この調整ボルト44は、例えば、スタッドボルトからなり、その端部には、例えば、ゴム製材料によって形成されたダンパ46が装着される。そして、後述するシリンダ部12のピストン48を締結する連結ボルト54が調整ボルト44に当接することで、該ピストン48の変位が規制されると共に、当接時に生じる衝撃や衝撃音がダンパ46によって好適に吸収される(図8参照)。
【0026】
また、調整ボルト44は、その螺回作用下にシリンダチューブ30の軸方向(矢印A、B方向)に沿って変位自在に設けられると共に、エンドブロック32の外側にロックナット49が螺合されている。そして、調整ボルト44は、シリンダ室28側(矢印A方向)への突出長さを変更することによってピストン48の軸方向(矢印B方向)に沿った変位量(ストローク量)を調整すると共に、調整のなされた調整ボルト44に対してロックナット49を螺回させ、エンドブロック32の端面に当接させることで該調整ボルト44の軸方向(矢印A、B方向)に沿った変位が規制され固定される。
【0027】
すなわち、調整ボルト44は、ピストン48の変位量を調整することで、アーム22の回動角度を調整可能な調整機構として機能する。
【0028】
エンドプレート34は、その略中央部に後述するシリンダ部12のピストンロッド50が挿通される孔部52を有し、前記ピストンロッド50を軸方向(矢印A、B方向)に沿って変位自在に支持している。
【0029】
一方、シリンダチューブ30の内部には、シリンダ室28に沿って変位自在なピストン48が設けられ、該ピストン48の中央部には連結ボルト54によって長尺なピストンロッド50の一端部が連結される。ピストン48の外周面には、環状溝を介してピストンパッキン56が装着される。この場合、ピストン48がボディ18から離間する方向(矢印B方向)に変位し、連結ボルト54が調整ボルト44に設けられたダンパ46に当接することにより、該ピストン48の変位が変位終端位置(下限位置)で規制されると共に、前記ピストン48が当接した際に生じる衝撃が前記ダンパ46によって緩衝される。また、ピストンロッド50は、ボディ18側(矢印A方向)に向かって延在するように配置される。
【0030】
ボディ18は、非対称形状に形成された第1ケーシング14と第2ケーシング16とからなり、前記第1ケーシング14と第2ケーシング16とが一体的に組み付けられる。
【0031】
第1ケーシング14及び第2ケーシング16の内壁面には、それぞれ軸方向(矢印A、B方向)に沿ってガイド溝(図示せず)が形成され、前記ピストンロッド50の他端部に連結されたナックルジョイント58が摺動自在に設けられる。
【0032】
また、ボディ18の側面には、スリット60が軸方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さで開口し、該スリット60には後述する検出機構24の連結アーム95が挿通される。
【0033】
ナックルジョイント58は、所定間隔離間して略平行に分岐した二股部62を有するナックルブロック64と、前記二股部62に形成された孔部に挿通されるナックルピン66とから構成され、ピストンロッド50の直線運動をアーム22の回動運動へと変換するトグルリンク機構68が設けられる。
【0034】
また、ナックルブロック64の二股部62には、上方に向かって突出したリリース用突起部70が設けられ、該リリース用突起部70は、アーム22によってワークをクランプした際に、第1及び第2ケーシング14、16の上部に形成された略長方形状の開孔72から所定長だけそれぞれ突出するように設けられる。
【0035】
トグルリンク機構68は、ボディ18の内部に設けられ、ナックルピン66を介してナックルジョイント58の二股部62の間に連結されるリンクプレート74と、第1及び第2ケーシング14、16に形成された開口部にそれぞれ回動自在に軸支される支持レバー76とを有する。なお、トグルリンク機構68はボディ18の内部に設けられることで、例えば、クランプ装置10の設置環境下において大気中に飛散するスパッタ等の付着が防止される。
【0036】
リンクプレート74は、ナックルジョイント58と支持レバー76との間に介装され、前記ナックルジョイント58と支持レバー76とをリンクする機能を営む。このリンクプレート74には、所定間隔離間した一組の孔部が形成され、一方の孔部に軸支されるナックルピン66及びナックルジョイント58を介してピストンロッド50の他端部に連結され、他方の孔部に軸支されるリンクピン78を介して支持レバー76に連結される。
【0037】
支持レバー76は、リンクピン78が軸支される二股状の支持部80と、ピストンロッド50の軸線と略直交する方向に突出し、開口部を介してボディ18の外部に露呈する一組の軸受部20とを有する。この軸受部20には、図示しないワークをクランプするアーム22が着脱自在に装着され、前記アーム22が支持レバー76と共に回動自在に設けられる(図1参照)。
【0038】
すなわち、ピストンロッド50の直線運動は、ナックルジョイント58及びリンクプレート74を介して支持レバー76へと伝達され、該支持レバー76が所定角度だけ回動変位することにより、該支持レバー76に装着されたアーム22が回動することとなる。
【0039】
さらに、第1及び第2ケーシング14、16の内部には、トグルリンク機構68の近傍となる上部側の凹部にガイドローラ84が回転自在に設けられる。このガイドローラ84は、ピン部材86を介して回転自在に軸支され、該ガイドローラ84の内部には、その周方向に沿って複数のニードルベアリング88が装着されている。すなわち、ニードルベアリング88の転動作用下にガイドローラ84が円滑に回動するように設けられる。そして、トグルリンク機構68を構成するリンクプレート74の回動作用下にその湾曲面が接触することによってガイドローラ84が回転変位する。
【0040】
一方、ボディ18の頂部には、リリース用突起部70をカバーするトップカバー90が着脱自在に設けられ、前記リリース用突起部70を操作する際には、例えば、ゴムから形成されるトップカバー90をボディ18に対して取り外して該リリース用突起部70を外部に露呈させると共に、該リリース用突起部70の操作を行わない場合には、開孔72から突出するリリース用突起部70を含む頂部が前記トップカバー90によって全体的に包被される。
【0041】
検出機構24は、図3及び図4に示されるように、第1及び第2ケーシング14、16の側面にボルト(図示せず)を介して装着され、スイッチハウジング92と、前記スイッチハウジング92の内部に設けられる基板(検出部)94と、ナックルブロック64に連結された連結アーム95の端部に設けられ前記基板94に沿って変位する検出体96と、前記基板94で検出された前記検出体96の位置を検出信号として外部に出力する出力端子98とを含む。
【0042】
スイッチハウジング92は、例えば、樹脂製材料から箱状に形成され、その開口した端部がスリット60の形成されたボディ18の側面に対して装着される(図2及び図3参照)。このスイッチハウジング92は、前記スリット60を覆うように装着される。そして、スイッチハウジング92の長手方向(矢印A、B方向)と直交する貫通孔100に図示しないボルトを挿入し、ボディ18の側面に対して螺合させることで前記スイッチハウジング92が前記ボディ18に対して固定される。
【0043】
また、スイッチハウジング92には、その長手方向(矢印A、B方向)に沿った略中央部近傍にボディ18から離間する方向(側方)に膨出した膨出部102を有し、該膨出部102の底部には出力端子98が設けられる。この底部は、スイッチハウジング92の長手方向(矢印A、B方向)と略直交するように形成される。
【0044】
出力端子98は、スイッチハウジング92の内部において基板94に電気的に接続されると共に、その一部が外部に露呈するように設けられる。そして、出力端子98には、その外部に突出した部位にコネクタ104が接続され、基板94によって検出された検出体96の位置が、出力信号として前記コネクタ104に接続されたリード線106を介して図示しないコントローラへと出力される。
【0045】
また、膨出部102の底部には、出力端子98に対して離間した位置にアーム22のクランプ・アンクランプ状態を視認可能な表示灯108が設けられると共に、前記表示灯108の近傍には、前記アーム22のアンクランプ状態を認識させる際に用いられる校正用ボタン(校正手段)110が設けられる。
【0046】
なお、表示灯108及び校正用ボタン110は、それぞれスイッチハウジング92の外部に露呈すると共に、図示しない配線等を介して基板94と電気的にそれぞれ接続されている。
【0047】
この表示灯108は、スイッチハウジング92において視認し易い位置に設けられ、例えば、アーム22がクランプ状態で点灯するクランプ灯(第1表示灯)112と、前記アーム22がアンクランプ状態で点灯するアンクランプ灯(第2表示灯)114と、電源が供給されている際に点灯する電源灯116とから構成される。クランプ灯112、アンクランプ灯114及び電源灯116は、互いに所定間隔離間して一直線上に配置され、それぞれ異なる色に設定すると視認が容易となり好適である。
【0048】
一方、スイッチハウジング92の内部には、ボディ18に対して平行且つ所定間隔離間するように基板94が設けられる。この基板94は、スイッチハウジング92に対して固定されると共に、前記スイッチハウジング92の長手方向に沿って所定長さで形成される。
【0049】
検出体96は、図1〜図7に示されるように、例えば、樹脂製材料から断面略矩形状に形成されたホルダ118と、前記ホルダ118に開口した収納穴120に収納されるコイル(検出子)122(図4参照)とからなり、前記コイル122は前記孔部内において封止体124によって封止されている。
【0050】
また、検出体96は、その一側面に連結アーム95の一端部が連結され、前記一側面と反対側となる他側面が基板94と略平行、且つ、一定間隔離間した状態で配置される(図4参照)。そして、連結アーム95の他端部が、ボルト125によってナックルブロック64に連結された状態で、ピストン48、ピストンロッド50及び前記ナックルブロック64が軸方向(矢印A、B方向)に沿って変位することにより、連結アーム95を介して検出体96が基板94に沿って変位する。
【0051】
すなわち、検出体96が基板94に沿って移動することで、コイル122で生じる磁気を予め基板94に設定された第1及び第2検出位置126、128(図4参照)で検出し、出力端子98及びコネクタ104を通じて図示しないコントローラへ制御信号として出力することで、前記検出体96の軸方向(矢印A、B方向)に沿った位置に基づきアーム22の回動角度を検出する。
【0052】
本発明の実施の形態に係るクランプ装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0053】
先ず、図示しない固定手段を介してクランプ装置10を所定位置に固定すると共に、圧力流体供給源に接続された図示しないチューブ等を第1及び第2流体ポート38a、40aにそれぞれ接続する。一方、検出機構24の出力端子98に接続されたコネクタ104は、リード線106を介して図示しないコントローラに接続され、検出機構24において電源灯116が通電されて点灯した状態にある。
【0054】
なお、図3は、図示しないワークをクランプしたクランプ状態のクランプ装置10を示し、図8はアンクランプ状態のクランプ装置10を示すものであり、以下、図3のクランプ状態を初期状態として説明する。
【0055】
アーム22のクランプ状態において、図3及び図4に示されるように、検出体96がスイッチハウジング92内で上方に位置し、該検出体96に臨む第1検出位置126が予め前記基板94に対して設定されている。すなわち、図4に示されるように、検出体96が第1検出位置126に対峙した際、基板94からコントローラ(図示せず)に対して前記クランプ状態にあることを示す制御信号が出力されると共に、前記基板94を通じてクランプ灯112が通電され点灯状態となる。
【0056】
このように、クランプ灯112の点灯状態にある初期状態のクランプ装置10において、図示しない圧力流体供給源から第2流体ポート40aへと圧力流体を供給し、該圧力流体がシリンダ室28へと導入される。このシリンダ室28に導入された圧力流体の作用下にピストン48がボディ18から離間する方向(矢印B方向)に向かって押圧され、該シリンダ室28に沿ってエンドブロック32側へと下降する。そして、ピストン48及びピストンロッド50の変位作用下にナックルブロック64がガイド溝(図示しない)の案内作用下に摺動変位する。なお、この際、第1流体ポート38aは、大気開放状態としておく。
【0057】
この際、ナックルブロック64に連結された連結アーム95と共に検出体96がスイッチハウジング92の内部を基板94に沿って下降し、前記検出体96が第1検出位置126から離間するのに伴って、該第1検出位置126においてコイル122の磁気が検出されなくなり、その結果、コントローラへの出力信号が滅勢されるため、該コントローラにおいてクランプ装置10のクランプ状態が解除されたことが確認される。同時に、基板94から表示灯108のクランプ灯112への通電が停止され、点灯状態にあった前記クランプ灯112が消灯する。これにより、クランプ装置10のクランプ状態が解除されたことを、クランプ灯112の消灯によって前記クランプ装置10の外部から確実に確認できる。なお、アンクランプ灯114は消灯状態のまま維持される。
【0058】
このピストン48の直線運動は、ピストンロッド50及びナックルジョイント58を介してトグルリンク機構68へと伝達され、前記トグルリンク機構68を構成する支持レバー76の回動作用下にアーム22の回動運動へと変換される。すなわち、ピストン48の直線運動によって、ピストンロッド50に連結されたナックルジョイント58及びリンクプレート74を下方(矢印B方向)に向かって引張する力が作用する。
【0059】
そして、リンクプレート74に対する引張力は、ナックルピン66を支点として該リンクプレート74を所定角度回動させると共に、該リンクプレート74のリンク作用下に支持レバー76を時計回りに回動させることで、前記支持レバー76の軸受部20を支点としてアーム22が所定角度回動する。そして、ピストン48に連結された連結ボルト54がエンドブロック32に螺合された調整ボルト44のダンパ46に当接することにより、前記ピストン48のさらなる変位が規制され、ピストンロッド50及びトグルリンク機構68を介した該アーム22の回動変位が停止する。
【0060】
その結果、クランプ装置10は、図8に示されるように、アーム22がクランプ状態から時計回りに所定角度だけ回動したアンクランプ状態となり、検出体96が下降して基板94の第2検出位置128に対峙した状態となる。
【0061】
そして、検出体96のコイル122による磁気が、第2検出位置128で検出された後、出力信号として図示しないコントローラへと出力されクランプ装置10がアンクランプ状態にあることが確認されると共に、該基板94を通じて表示灯108のアンクランプ灯114が通電されて点灯する。
【0062】
なお、基板94の第2検出位置128は、アーム22のアンクランプ状態において前記検出体96が対峙する位置(図4中、二点鎖線形状参照)に予め設定されている。
【0063】
一方、図8に示すクランプ装置10のアンクランプ状態において、図示しない切換弁の切換作用下に第1流体ポート38aに圧力流体を供給することによりピストン48がボディ18側(矢印A方向)に向かって変位する。なお、この際、第2流体ポート40aは、大気開放状態としておく。そして、このピストン48と共にピストンロッド50がボディ18側(矢印A方向)に向かって変位することにより、トグルリンク機構68を構成するリンクプレート74を介して支持レバー76が前記とは逆方向に回動し、それに伴って、アーム22が図示しないワーク側に向かって回動する。
【0064】
この際、ナックルブロック64に連結された連結アーム95を介して検出体96が基板94に沿って上方(矢印A方向)へと変位し、該検出体96が前記基板94の第1検出位置126に対峙することで、コイル122の磁気が検出されて前記検出体96が前記第1検出位置126に到達したことが検出される。これにより、検出体96が第1検出位置126に到達したことが出力信号として出力端子98、コネクタ104を通じて図示しないコントローラへと出力され、クランプ装置10がクランプ状態にあることが確認されると共に、基板94からアンクランプ灯114への通電が遮断されて消灯し、一方、クランプ灯112が通電されて点灯する。
【0065】
次に、上述したクランプ装置10において、調整ボルト44によってアーム22の回動角度を調整し、それに伴って、検出機構24の調整を行う場合について簡単に説明する。ここでは、アーム22の回動角度を上述したクランプ装置10に対して小さくする場合について説明し、詳細には、アーム22のアンクランプ位置を変更する場合について説明する。
【0066】
先ず、調整ボルト44を螺回し、その端部のボディ18側(矢印A方向)への突出長さを大きくし、ロックナット49によって固定する。これにより、アーム22をクランプ状態からアンクランプ状態へと切り換える際、調整ボルト44の端部が、上述したクランプ装置10の場合と比較してボディ18側に移動しているため、ピストン48の下方への変位量が小さくなる。そのため、ピストン48の変位作用下にトグルリンク機構68を介して回動変位するアーム22の回動角度が小さくなる。
【0067】
次に、ピストン48を締結する連結ボルト54が調整ボルト44に当接し、アーム22がアンクランプ状態にあることを確認した後、作業者が検出機構24の校正用ボタン110を押すことにより、基板94において検出体96の対峙している部位が新たな第2検出位置128として設定される。すなわち、調整ボルト44によってアーム22の回動角度を変更することで、アンクランプ位置が変更されるため、校正用ボタン110を押すことでアンクランプ状態を検出するための第2検出位置128を基板94において再設定(校正)する。
【0068】
これにより、アーム22の回動角度が変更された場合でも、校正用ボタン110によって基板94に対して第2検出位置128を簡単に再設定することができるため、変更されたアーム22のアンクランプ位置を検出機構24によって確実且つ高精度に検出することができる。
【0069】
以上のように、本実施の形態では、クランプ装置10においてアーム22の回動角度を変更した場合でも、該アーム22のアンクランプ状態において前記検出機構24の校正用ボタン110を押すことで、検出機構24に臨む基板94の第2検出位置128を再設定することができる。そのため、例えば、アーム22の回動角度を変更する度に、検出機構24をボディ18から取り外して再調整を行う必要がなく、前記回動角度の変更に対する検出機構24の調整作業を簡便に行うことができる。その結果、アーム22の回動角度の調整を確実且つ効率的に行うことが可能となる。
【0070】
また、アーム22のクランプ・アンクランプ状態を、検出機構24において電気的に検出することができるため、より高精度に前記アーム22の回動状態を確認することができる。
【0071】
さらに、アーム22のクランプ・アンクランプ状態を、表示灯108におけるクランプ灯112、アンクランプ灯114によって外部からより一層容易且つ確実に確認できるため、例えば、前記アーム22の回動状態が視認しにくい設置環境下(例えば、暗所)においても前記表示灯108を確認することで、外部から確実に確認できるため好適である。
【0072】
さらにまた、上述した本実施の形態においては、アーム22がアンクランプ状態にあることを検出するための第2検出位置128を校正用ボタン110によって再設定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、前記アーム22のクランプ状態を検出するための第1検出位置126を前記校正用ボタン110で再設定できるようにしてもよい。
【0073】
なお、本発明に係るクランプ装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0074】
10…クランプ装置 12…シリンダ部
18…ボディ 22…アーム
24…検出機構 30…シリンダチューブ
38a、38b…第1流体ポート 40a、40b…第2流体ポート
44…調整ボルト 48…ピストン
50…ピストンロッド 58…ナックルジョイント
60…スリット 64…ナックルブロック
66…ナックルピン 68…トグルリンク機構
92…スイッチハウジング 94…基板
95…連結アーム 96…検出体
98…出力端子 102…膨出部
108…表示灯 110…校正用ボタン
112…クランプ灯 114…アンクランプ灯
116…電源灯 118…ホルダ
126…第1検出位置 128…第2検出位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ部における直線運動をトグルリンク機構によって回動運動に変換してクランプアームによりワークをクランプするクランプ装置において、
本体部と、
前記本体部に連結され、圧力流体による押圧作用下に軸方向に沿って変位するピストンを有するシリンダ部と、
前記シリンダ部に変位自在に設けられ、前記ピストンの変位を規制して該ピストンのストローク変位量を調整可能な調整機構と、
前記ピストン及びピストンロッドと共にストローク変位する検出体と、該検出体の位置を検出可能な検出部とを有し、前記検出体がストローク変位した際の位置を前記検出部で検出することで前記クランプアームによる前記ワークのクランプ・アンクランプ状態を検出する検出機構と、
前記調整機構によって前記ストローク変位量が調整された際、前記検出部による前記検出体の検出位置を校正する校正手段と、
を備えることを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
請求項1記載のクランプ装置において、
前記校正手段は、前記検出部に対して電気的に接続され、前記クランプアームがクランプ又はアンクランプ状態にある場合に押圧することで、前記クランプ又はアンクランプ状態に対応した前記検出部の前記検出位置を校正するスイッチからなることを特徴とするクランプ装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のクランプ装置において、
前記検出体は、前記ピストンロッドに連結された連結アームに保持されるホルダと、
前記ホルダの内部に収納され、磁気を有する検出子と、
を備え、
前記検出子の磁気が前記検出部で検出されることを特徴とするクランプ装置。
【請求項4】
請求項3記載のクランプ装置において、
前記検出子は、コイルからなることを特徴とするクランプ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のクランプ装置において、
前記検出機構は、前記ワークのクランプ・アンクランプ状態に点灯する表示灯を備え、前記表示灯が前記検出機構において外部から視認可能な位置に配置されることを特徴とするクランプ装置。
【請求項6】
請求項5記載のクランプ装置において、
前記表示灯は、前記クランプ状態で点灯する第1表示灯と、
前記アンクランプ状態で点灯する第2表示灯と、
を備え、
前記第1表示灯と第2表示灯とがそれぞれ異なる色で形成されることを特徴とするクランプ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−52464(P2013−52464A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191170(P2011−191170)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】