説明

クロスガイダー装置

【課題】 樹脂発泡体の揺れを抑えることで、樹脂発泡体の幅方向端辺を揃えて巻き取ることができるクロスガイダー装置を提供する。
【解決手段】 展開された樹脂発泡体Fの幅方向両端部のうちの少なくとも一端部側に配置されて樹脂発泡体Fの幅方向位置を検出する検出手段5と、検出手段5からの検出信号に基づいて樹脂発泡体Fを挟持して樹脂発泡体Fの幅方向端辺の位置を調節する挟持ローラ6とを備え、少なくとも一方の挟持ローラ6は、樹脂発泡体Fの送り方向に対する設置角度が調節可能となるように、回動自在に構成され、送られている樹脂発泡体Fの幅方向両端部を挟持ローラ6が挟持した状態で、検出手段5からの検出信号に基づいて挟持ローラ6の設置角度を変更する変更手段Cを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状に連続して形成されて周方向の一箇所で切断された樹脂発泡体をシート状に展開するのに用いられるクロスガイダー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、円筒状に連続して形成される樹脂発泡体を順次下流側に送る途中で、該樹脂発泡体を周方向の一箇所で切断して展開し、シート状の樹脂発泡体として順次巻き取るようにしたシート製造装置が提案されている。
【0003】
上記シート製造装置は、円筒状の樹脂発泡体が送り方向に連続的に送られるのに伴い、該樹脂発泡体を周方向の一箇所で連続的に切断する切断部と、切断部で切断されシート状に展開された樹脂発泡体を巻き取る巻取り部とを備えている。
【0004】
そして、上記シート製造装置は、切断部と巻取り部との間にクロスガイダー装置を備えている。このクロスガイダー装置は、切断部で切断された樹脂発泡体をシート状に展開すると共に、シート状の樹脂発泡体の幅方向端辺の位置を、巻取り部における巻き取り位置に対して調整することができるように構成されている。
【0005】
かかるクロスガイダー装置は、シート状の樹脂発泡体の幅方向両側それぞれに配置されて樹脂発泡体の幅方向端部を挟持する上下一対の挟持ローラと、シート状の樹脂発泡体の幅方向端辺の位置を検出する検出手段とを備えている。そして、クロスガイダー装置は、検出手段からの検出信号に基づいて、シート状の樹脂発泡体の幅方向端辺の位置が所望位置からずれていることを検出すると、樹脂発泡体の幅方向両側の挟持ローラのうち、一方の挟持ローラの挟持を解放し、他方の挟持ローラのみで樹脂発泡体を挟持する。このようにすると、シート状の樹脂発泡体をずれた方向とは反対側に移動させることができるから、シート状の樹脂発泡体の幅方向端辺の位置を、前記巻き取り位置に対して調整して巻取り部に巻き取られるシート状の樹脂発泡体の幅方向端辺を揃えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平4−17859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記構成のクロスガイダー装置は、樹脂発泡体の幅方向端部に対して、挟持(圧接)と解放とを繰り返すことによって、樹脂発泡体の展開と幅方向端辺の位置調整とをすることができる。
【0008】
しかし、前記挟持ローラによる樹脂発泡体の挟持(圧接)と解放とを繰り返すと、樹脂発泡体に対する挟持ローラの接触・非接触が繰り返され、その繰り返しによって樹脂発泡体に揺れが発生し、その揺れが前後(樹脂発泡体の送り方向上流側と下流側)に伝達される。
【0009】
前記揺れが上流側に伝達されると、切断部で樹脂発泡体が揺れることになるため、切断部による切断位置が、所定位置からずれて(例えば、蛇行して)安定しない。そうすると、切断された樹脂発泡体の幅方向端辺が不揃いになる。
【0010】
また、前記揺れが下流側に伝達されると、巻取り部で樹脂発泡体が揺れることになるため、巻取り部に巻き取られる樹脂発泡体の幅方向端辺が不揃いになる。
【0011】
そこで本発明は上記課題に鑑み、樹脂発泡体の揺れを抑えることで、樹脂発泡体の幅方向端辺を揃えて巻き取ることができるクロスガイダー装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のクロスガイダー装置は、連続的に円筒状に形成される樹脂発泡体が送り方向に送られるのに伴い該樹脂発泡体を周方向の一箇所で連続的に切断する切断部と、該切断部で切断されシート状に展開された樹脂発泡体を巻き取る巻取り部とを備えたシート製造装置の該切断部と該巻き取り部との間に設けられ、前記切断部で切断された樹脂発泡体をシート状に展開して前記巻取り部に巻き取らせるクロスガイダー装置であって、前記展開された樹脂発泡体の幅方向両端部のうちの少なくとも一端部側に配置されて樹脂発泡体の幅方向端辺の位置を検出する検出手段と、該検出手段からの検出信号に基づいて樹脂発泡体を挟持して該樹脂発泡体の幅方向端辺の位置を調節すべく樹脂発泡体の幅方向両側に配置される挟持ローラとを備え、前記少なくとも一方の挟持ローラは、樹脂発泡体の送り方向に対する設置角度が調節可能となるように、シート状の樹脂発泡体の表裏方向に沿う軸心回りに回動自在に構成され、前記送られている樹脂発泡体の幅方向両端部を前記挟持ローラが挟持した状態で、前記検出手段からの検出信号に基づいて、前記一方の挟持ローラを前記軸心回りに回動させて該一方の挟持ローラの設置角度を変更する変更手段を備えていることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、送られる樹脂発泡体の幅方向両端部を前記挟持ローラが挟持した状態になっていることから、樹脂発泡体の揺れが発生することを確実に抑えることができる。従って、樹脂発泡体の切断位置を所定位置に安定させる(合わせる)ことができ、また、樹脂発泡体の幅方向端辺を巻取り部に揃えた状態で巻き取ることができる。しかも、変更手段が、検出手段からの検出信号に基づいて、一方の挟持ローラを回動させて該一方の挟持ローラの設置角度を変更することによって、前記一方の挟持ローラによる樹脂発泡体の幅方向への引張力を強弱させることができ、従って、樹脂発泡体の幅方向端辺の幅方向での位置ずれを精度よく修正することができる。
【0014】
また、本発明のクロスガイダー装置は、前記変更手段が、前記挟持ローラを軸心回りに回動操作するシリンダと、前記検出手段からの検出信号に基づいて前記シリンダの駆動を制御する駆動制御手段とを備えていてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、検出手段からの検出信号により駆動制御手段がシリンダを駆動制御して挟持ローラを自動的に回動操作することができ、樹脂発泡体の幅方向端辺の幅方向での位置ずれを精度よく修正することができる。尚、シリンダとしては、油圧シリンダや電動シリンダ等を用いることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のクロスガイダー装置は、樹脂発泡体の幅方向両端部を挟持ローラが挟持した状態になっていることから、樹脂発泡体に揺れが発生することを確実に抑えることができ、切断部の切断位置を所定位置に合わせることができるだけでなく、樹脂発泡体の幅方向端辺を巻取り部に揃えた状態で巻き取ることができる。しかも、変更手段が、検出手段からの検出信号に基づいて、一方の挟持ローラを回動させて該一方の挟持ローラの設置角度を変更することによって、樹脂発泡体の幅方向端辺の幅方向での位置ずれを精度よく修正して巻取り精度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るクロスガイダー装置を組み込んだ、シート製造装置全体の概略側面図である。
【図2】同クロスガイダー装置の平面図である。
【図3】同クロスガイダー装置の左側の挟持ローラを示す平面図である。
【図4】(a)は図3におけるB−B線矢視図、(b)は図3におけるA−A線矢視図である。
【図5】同クロスガイダー装置の左側の挟持ローラを回動方向の一方側へ最大角度回転させた状態を示す拡大平面図である。
【図6】同クロスガイダー装置の左側の挟持ローラを回動方向の他方側へ最大角度回転させた状態を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るクロスガイダー装置の一実施形態について、図1〜図6を参酌して説明する。
【0019】
該クロスガイダー装置は、例えばポリスチレン系発泡樹脂シートを製造するシート製造設備に組み込まれて使用される装置の一つである。このシート製造設備は、図1に示すように、発泡材を含んだポリスチレン系樹脂組成物を溶融混練するための押出機としてタンデム押出機100を備える。このタンデム押出機100の先端には、前記ポリスチレン系樹脂組成物を発泡状態で押出して円筒状の樹脂発泡体101を形成する押出発泡用の金型としてのサーキュラーダイ102が装着されている。
【0020】
また、製造設備は、前記サーキュラーダイ102の前方に設けられる冷却マンドレル(プラグともいう)103を備える。この冷却マンドレル103は、サーキュラーダイ102の前面に開口している円環状のダイスリット(吐出口)から円筒状に吐出される前記樹脂発泡体101を内面側から冷却するとともに該樹脂発泡体101を拡径して所定の大きさの円筒状に形成するように構成されている。
【0021】
更に、製造設備は、前記冷却マンドレル103によって冷却された円筒状の樹脂発泡体101を周方向の一箇所で連続的に切断するための切断部111を備える。この切断部111により円筒状の樹脂発泡体101の周方向一箇所に切れ目を入れることによって、樹脂発泡体101に端を形成することができる。
【0022】
そして、切断部111により切断されたシートをシート状のポリスチレン系発泡樹脂シート(以下、単にシートFという)に展開するための展開ロール105が、切断部111のシート送り方向下流側に設けられている。この展開ロール105により展開されたシートFを巻取り部104に幅方向の位置ずれがないように更に展開しながら巻き取るためのクロスガイダー装置106が、切断部111のシート送り方向下流側に位置する展開ロール105と巻き取り部104との間に設けられている。
【0023】
また、クロスガイダー装置106のシート送り方向下流側に、シートFの表裏両面に付着した異物を除去する異物除去装置112が設けられている。尚、この異物除去装置112は省略しても構わない。前記異物とは、前記サーキュラーダイ102の突出口付近に堆積した目ヤニと呼ばれる樹脂の塊である。その異物が、該サーキュラーダイ102から離脱してシートFに付着し、その付着した塊(異物)を異物除去装置112で除去することができる。異物除去装置112による異物除去処理が終了したシートFは、巻取り機104により巻き取られる。
【0024】
異物除去装置112は、シートFの表裏両側から異物を吸引すべく、シートFの表裏両側、つまりシートFの上側及び下側に配置した上下一対の吸引装置1,2からなっている。尚、上側の吸引装置1は、下側の吸引装置2に対してシート送り方向上流側に位置ずれした状態で配置されている。
【0025】
巻取り機104は、シート送り方向上流側から、シートFに所定の圧力を付与する上下一対のニップロール107、シートFをS字状に巻回する上下一対のSロール108、巻き取る直前のシートFを案内するガイドロール109、シートFを巻き取る巻取りロール110を備えている。
【0026】
クロスガイダー装置106は、図1及び図2に示すように、シートFの幅方向両側に配置した左右一対の挟持ローラ3,4と、樹脂発泡体のシートFの幅方向位置を検出する検出手段としての光電式のセンサ5とを備えている。尚、左右の挟持ローラ3と4とは、図2に示すように、左右対称の構成であるため、ここでは挟持ローラ3のみについて説明し、挟持ローラ4については説明を省略する。
【0027】
挟持ローラ3は、図4(a)に示すように、上下一対のローラ6,7から構成され、上側のローラ6に対して下側のローラ7が上下動可能(矢印Z方向に移動可能)に構成されている。従って、上側のローラ6とでシートFを挟持すべく上側のローラ6に接近した接近位置(図4(a)参照)と、シートFを上下のローラ6,7間にセットし易くするために上側ローラ6から所定距離下方側へ離間した離間位置(図示せず)とに下側のローラ7を移動させることができる。
【0028】
上側のローラ6は、幅方向一端側に配置されたアーム8の上端に片持ち支持した支軸9に回転自在に取り付けられている。下側のローラ7は、上側のローラ6の直下方に配置され、支持ブラケット10に両持ち支持された支軸11に回転自在に取り付けられている。支持ブラケット10は、幅方向に長い底板部10Aと、底板部10Aの幅方向両端から上方へ立ち上がった左右一対の縦板部10B,10Bとからなり、左右一対の縦板部10B,10B間に支軸11が貫通支持されている。
【0029】
アーム8は、図3に示すように、前記上側のローラ6が取り付けられ、シート送り方向上流側に延びる第1アーム部8Aと、第1アーム部8Aのシート送り方向上流端から90度折れ曲がってシート幅方向内側に向かって延びる第2アーム部8Bと、第2アーム部8Bの内側端から90度折れ曲がってシート送り方向上流側に更に延びる第3アーム部8Cとを備える。
【0030】
そして、アーム8は、シート幅方向に沿って設けられたスライドレール12に移動自在に取り付けられたスライド部材13に、上下方向の軸心X回りに回動するように取り付けられている。従って、アーム8がスライド部材13を介してシート幅方向に移動することによって、上側のローラ6がシートFの幅に合わせて移動できるようになっている。尚、図示していないが、下側のローラ7は、支持ブラケット10がアーム8に繋がっており、上側のローラ6のシートFの幅方向への移動に伴い、上側のローラ6と一体的にシート幅方向に移動することができる。
【0031】
アーム8の取り付け構造について詳述すれば、アーム8の第2アーム部8Bのシート幅方向内側端部、換言すれば第3アーム部8Cのシート送り方向下流側端部が、前記スライド部材13に設けられた支持軸(ピン)14の軸心X回りに回転自在に取り付けられている。また、前記したように下側のローラ7の支持ブラケット10がアーム8に繋がっていることから、上側のローラ6を回動させることによって、下側のローラ7が一体的に回動できるようになっている。よって、上下のローラ6,7のシートFの送り方向Yに対する設置角度が調節可能に構成されている。前記支持軸14の軸心Xは、シートFの表裏方向に沿った方向、換言すればシートFの鉛直方向に沿って設けられ、その方向が図2及び図3では、縦方向(上下方向)になっている。前記支持軸(ピン)14は、ローラ6,7のシート幅方向外側端からシート送り方向下手側に寄った位置に設定されている。
【0032】
また、図2に示すように、センサ5からの検出信号に基づいてシート幅方向両側の挟持ローラ6,7のうちの一方の挟持ローラ6,7の設置角度を変更する変更手段Cが設けられている。変更手段Cは、挟持ローラ6,7を軸心X回りに回動操作する駆動用シリンダ15と、センサ5からの検出信号に基づいて駆動用シリンダ15の駆動を制御する駆動制御手段Dとから構成されている。
【0033】
駆動用シリンダ15のピストンロッド15Aの先端が、第3アーム部8Cのシート送り方向上流端に枢支連結され、また、駆動用シリンダ15のシリンダチューブ15Bが、スライド部材13に固定された支持部材16に連結されている。従って、駆動用シリンダ15の伸縮作動によって、アーム8を軸心X回りに回動させることで、挟持ローラ6,7のシートFの送り方向に対する設置角度を調節することができる。
【0034】
駆動制御手段Dは、制御装置U内に設けられており、制御装置Uからの指令信号により駆動用シリンダ15の駆動を左右別々に制御することができるようになっている。尚、制御装置Uは、シート製造装置に設けられている。尚、駆動用シリンダとしては、油圧シリンダや電動シリンダ等を用いることができる。
【0035】
支持部材16は、平面視においてシート幅方向に長い第1長方形部分16Aと、長方形部分16Aのシート送り方向上流側端でかつシート幅方向内側部となる位置にシート送り方向上流側に延びる前記長方形部分16Aよりも小さな第2長方形部分16Bとから構成されている。第2長方形部分16Bのシートの幅方向外側端に固着されたナット17に第1棒状部材18の一端を螺着し、前記シリンダチューブ15Bの支持部材16側端に固着したナット19に第2棒状部材20の一端を螺合している。そして、第1棒状部材18の他端と第2棒状部材20の他端とがフレキシブルジョイント21により連結されている。
【0036】
第3アーム部8Cのシート送り方向中間部と、第1長方形部分16Aとに渡って前記駆動用シリンダ15によるアーム8の設置角度を制限するための角度制限手段22を備えている。
【0037】
角度制限手段22は、挟持ローラ6,7の回動開始位置を設定する第1設定手段23と、第1設定手段23により設定された挟持ローラ6,7の回動開始位置から所定角度範囲に渡って挟持ローラ6,7を回動可能に設定する第2設定手段24とを備えている。
【0038】
第1設定手段23は、支持部材16の幅方向内側端に固定された支持部材25と、支持部材16上に幅方向に移動自在に配置された可動部材26と、支持部材25に貫通支持されるとともに可動部材26に螺進自在に挿入された操作軸27と、操作軸27の幅方向内側端に一体化されている回転式のハンドル28とから構成されている。可動部材26は、支持部材16の上面に載置される底板部26Aと、底板部26Aのシート幅方向両端の上面から上方に立ち上げられた縦板部26B,26Cとからなり、シート幅方向内側に位置する縦板部26Cに操作軸27が螺進自在に挿入されている。
【0039】
第2設定手段24は、前記可動部材26と、可動部材26のシート幅方向外側に位置する縦板部26Bに挿入された調節螺子29と、縦板部26Bを挟んで調節螺子29の両側にそれぞれ螺合した2組のダブルナット30,31、32,33とを備えている。調節螺子29のシート幅方向外側端が、フレキシブルジョイント34の一端に連結され、フレキシブルジョイント34の他端が、第3アーム部8Cのシート送り方向中間部に立設された縦板35に固着されたナット35Nに一端が螺着された螺子軸36の他端に連結されている。
【0040】
第1設定手段23により挟持ローラ6,7の回動開始位置を設定するには、ハンドル28を例えば時計回りに回転することによって、可動部材26をシート幅方向内側へ移動させる。これにより、アーム8が軸心X回りに回動して、挟持ローラ6,7のシート送り方向に対する回動開始位置を設定することができる。図3に挟持ローラ6,7がシートFの幅方向と平行な状態(シートFの送り方向と直交する状態)の回動開始位置を示している。次に、図5において左側のダブルナット30,31を縦板部26Bから離間する左側へ設定距離aのみ移動させる。この移動させた設定距離aだけ、駆動用シリンダ15を短縮作動させることができ、挟持ローラ6,7を、図5で示す回動開始位置から図6で示す最大回動位置までの範囲内において回動させることができる。つまり、左側のダブルナット30,31のうちの右側のダブルナット31(図5参照)が縦板部26Bに当接する(図6参照)までの範囲が、設定された挟持ローラ6,7の回動範囲となる。図6では、縦板部26Bから右側のダブルナット32,33が右側に設定距離aだけ離間するように調節螺子29が右側に移動した状態になっている。
【0041】
センサ5は、図4(a)に示すように、シートFの上方に配置され、下方のシートFに向けて光を照射する発光部5Aと、シートFの下方に配置され、発光部5Aからの光を受光する受光部5Bとから構成されている。従って、発光部5Aからの照射光がシートFに当たることにより受光部5Bで受光できない場合には、シートFを検出している状態であると制御装置Uが判断し、また、発光部5Aからの照射光がシートFに当たらずに受光部5Bで受光した場合には、シートFを検出できていない状態であると制御装置Uが判断する。
【0042】
以上の構成のクロスガイダー装置106によりシートFの幅方向端辺を揃えることについて説明する。まず、左右の下側の挟持ローラ7,7のそれぞれを下方へ移動させて左右の上側の挟持ローラ6,6に対して手動力(又はアクチュエータによる電動力でもよい)により離間させる。この状態で送り出されたシートFの幅方向端部を上下の挟持ローラ6,7間に挿入してから、左右の下側の挟持ローラ7,7を元に戻すことによって、シートFの幅方向両端を左右の挟持ローラ6,7で挟持した状態にするとともに、巻取り部104に巻き取れる状態にセットし、シートFの製造を開始する。
【0043】
冷却マンドレル103で冷却された円筒状の樹脂発泡体101は、送り方向下流側に送られて、すぐに切断部111により周方向の下部一箇所で切断される。そして、切断された樹脂発泡体101は、連続して送り方向下手側に送られつつ展開ロール105によってシート状に展開されてシートFとなり、展開されたシートFをクロスガイダー装置106により更に展開するとともにシートFの幅方向端辺を揃える。揃えられたシートFは、送り方向下流側へ搬送されて巻取り部104に順次巻き取られる。
【0044】
切断部111により一箇所が切断された樹脂発泡体101の幅方向両端部は、左右の挟持ローラ6,7により挟持された状態になっているため、樹脂発泡体101が不測に揺れることを抑えることができる。従って、樹脂発泡体101の切断位置を所定位置に安定させる(合わせる)ことができ、また、樹脂発泡体101の幅方向端辺を巻取り部に揃えた状態で巻き取ることができる。また、挟持ローラ6,7の後側(樹脂発泡体101の送り方向下流側)にある巻取り部104に、樹脂発泡体101の幅方向端辺を揃えて良好に巻き取ることができる。
【0045】
また、送られた樹脂発泡体101の両端部の位置を、左右のセンサ5,5により検出し、その検出信号に基づいて、一方の挟持ローラ6,7を回動させて一方の挟持ローラ6,7の設置角度を変更することによって、一方の挟持ローラ6,7による樹脂発泡体101の幅方向への引張力を強弱させることができる。従って、樹脂発泡体101の幅方向端辺の幅方向での位置ずれを精度よく修正することができる。
【0046】
具体的には、図2の実線で示すようにシートFが送り出されると、左右の両方のセンサ5,5がシートFを良好に検出している状態となる。よって、図2の実線で示すように、左右の挟持ローラ6,7(下側の挟持ローラ7は、上側の挟持ローラ6に上下方向でラップしているため、見えていない)の両方をシートFの幅方向と平行な姿勢にした状態でシートFを案内する。
【0047】
また、図2の一点鎖線で示すようにシートFが送り出されると、右側のセンサ5がシートFを検出している状態で、かつ、左側のセンサ5がシートFを検出していない状態となる。そうすると、シートFが右側に位置ずれしたと制御装置Uが判断し、図2(左側に一点鎖線で示している)及び図6の実線で示すように、左側の挟持ローラ6,7(下側の挟持ローラ7は、上側の挟持ローラ6に上下方向でラップしているため、見えていない)をシート幅方向内側ほどシート送り方向下流側に位置する傾斜姿勢にする(右側の挟持ローラ6,7は、シートFの幅方向と平行な姿勢のままにしておく)。そうすると、左側の挟持ローラ6,7のシートFを幅方向外向きに引っ張る引張力が強くなって、左側にシートFを強制的に移動させることができ、シートFの幅方向端辺を精度よく揃えることができる。
【0048】
前記とは反対に図2の破線で示すようにシートFが送り出されると、左側のセンサ5がシートFを検出している状態で、かつ、右側のセンサ5がシートFを検出していない状態となる。そうすると、シートFが左側に位置ずれしたと制御装置Uが判断し、図2の右側に破線で示すように、右側の挟持ローラ6,7(下側の挟持ローラ7は、上側の挟持ローラ6に上下方向でラップしているため、見えていない)をシート幅方向内側ほどシートF長さ方向下流側に位置する傾斜姿勢にする(左側の挟持ローラ6,7は、シートFの幅方向と平行な姿勢のままにしておく)。そうすると、右側の挟持ローラ6,7のシートFを幅方向外向きに引っ張る引張力が強くなって、右側にシートFを強制的に移動させることができ、シートFの幅方向端辺を精度よく揃えることができる。
【0049】
尚、挟持ローラ6,7の設置角度範囲は、例えば4.6度から5.8度程度に設定することによって、位置ずれしたシートFの修正を徐々に行えるように構成してもよいし、10度を越える設置角度範囲に設定して実施することもできる。そして、挟持ローラ6,7の設置角度を大きくすればするほど、挟持ローラ6,7によるシートFの幅方向への引張力を大きくすることができる。
【0050】
尚、本発明に係るシートの異物除去装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
前記実施形態では、樹脂発泡体の幅方向位置を検出する検出手段として、光電式のセンサを用いたが、超音波式のセンサなどの非接触式のセンサの他、リミットセンサなどの接触式のセンサを用いてもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、樹脂発泡体の幅方向位置を検出する検出手段を樹脂発泡体の幅方向両側に配置したが、樹脂発泡体の幅方向の一方側にのみ検出手段を配置し、樹脂発泡体の幅方向端辺の位置を検出し、その位置検出情報から樹脂発泡体の幅方向位置を把握する構成であってもよい。
【0053】
また、前記実施形態では、挟持ローラ6,7の設置角度を機械的な機構から構成される角度制限手段22を用いて制限する構成であったが、ソフトによりシリンダの伸縮領域を規制することで挟持ローラ6,7の設置角度を制限する構成であってもよい。
【0054】
また、前記実施形態では、シートFが位置ずれした場合に、左右の挟持ローラ6,7のうちの一方の挟持ローラ6,7の設置角度のみを調節してシートFの一端側のみを引っ張る構成にしたが、左右両方の挟持ローラ6,7の設置角度を調節してシートFの両端を引っ張る構成であってもよい。
【0055】
また、前記実施形態では、挟持ローラ6,7をシートFの幅に応じてシートFの幅方向へ手動操作力により移動自在に構成したが、電動力を用いてシートFの幅に応じてシートFの幅方向へ挟持ローラ6,7を自動的に移動させる構成であってもよいし、また、シートFの幅が所定幅に決まっている専用のシート製造装置の場合には、挟持ローラ6,7を移動不能に固定した構成であってもよい。
【0056】
また、前記実施形態では、左右の挟持ローラ6,7の両方をシートFの幅方向と平行な姿勢にした状態を回動開始位置としているが、左右の挟持ローラ6,7を幅方向内側ほどシート長さ方向下流側に位置する傾斜姿勢(ハの字となる姿勢)にした状態を回動開始位置にしてもよく、左右の挟持ローラ6,7の回動開始位置での姿勢はどのように設定してもよい。また、左右の挟持ローラ6,7の回動範囲をシートFの幅方向と平行な姿勢とシートFの幅方向内側ほどシート長さ方向下流側に位置する傾斜姿勢とに渡る範囲に設定したが、シートFの幅方向内側ほどシート長さ方向下流側に位置する傾斜姿勢とシートFの幅方向内側ほどシート長さ方向上流側に位置する傾斜姿勢とに渡る範囲に設定してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,2…吸引装置、3,4…挟持ローラ、5…センサ(検出手段)、5A…発光部、5B…受光部、6,7…ローラ、8…アーム、8A,8B,8C…アーム部、9…支軸、10…支持ブラケット、10A…底板部、10B…縦板部、11…支軸、12…スライドレール、13…スライド部材、14…ピン、15…駆動用シリンダ、15A…ピストンロッド、15B…シリンダチューブ、16…支持部材、16A,16B…長方形部分、17…ナット、18…棒状部材、19…ナット、20…棒状部材、21…フレキシブルジョイント、22…角度制限手段、23,24…設定手段、25…支持部材、26…可動部材、26A…底板部、26B,26C…縦板部、27…操作軸、28…ハンドル、29…調節螺子、30,31,32,33…ダブルナット、34…フレキシブルジョイント、35…縦板、35N…ナット、36…螺子軸、100…タンデム押出機、101…樹脂発泡体、102…サーキュラーダイ、103…冷却マンドレル、104…巻取り部、105…展開ロール、106…クロスガイダー装置、107…ニップロール、108…Sロール、109…ガイドロール、110…巻取りロール、111…切断部、112…異物除去装置、C…変更手段、D…駆動制御手段、F…シート、U…制御装置、X…縦軸、Y…送り方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に円筒状に形成される樹脂発泡体が送り方向に送られるのに伴い該樹脂発泡体を周方向の一箇所で連続的に切断する切断部と、該切断部で切断されシート状に展開された樹脂発泡体を巻き取る巻取り部とを備えたシート製造装置の該切断部と該巻き取り部との間に設けられ、前記切断部で切断された樹脂発泡体をシート状に展開して前記巻取り部に巻き取らせるクロスガイダー装置であって、
前記展開された樹脂発泡体の幅方向両端部のうちの少なくとも一端部側に配置されて樹脂発泡体の幅方向端辺の位置を検出する検出手段と、該検出手段からの検出信号に基づいて樹脂発泡体を挟持して該樹脂発泡体の幅方向端辺の位置を調節すべく樹脂発泡体の幅方向両側に配置される挟持ローラとを備え、
前記少なくとも一方の挟持ローラは、樹脂発泡体の送り方向に対する設置角度が調節可能となるように、シート状の樹脂発泡体の表裏方向に沿う軸心回りに回動自在に構成され、
前記送られている樹脂発泡体の幅方向両端部を前記挟持ローラが挟持した状態で、前記検出手段からの検出信号に基づいて、前記一方の挟持ローラを前記軸心回りに回動させて該一方の挟持ローラの設置角度を変更する変更手段を備えていることを特徴とするクロスガイダー装置。
【請求項2】
前記変更手段が、前記挟持ローラを軸心回りに回動操作するシリンダと、前記検出手段からの検出信号に基づいて前記シリンダの駆動を制御する駆動制御手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のクロスガイダー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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