説明

グラフ表示装置およびグラフ表示制御プログラム

【課題】任意の関数式に対応するグラフデータを描画して表示させるためのグラフ表示装置において、表示させたグラフ上の特徴点をより理解し易い形態にして表示すること。
【解決手段】入力関数式[Y1=X2+2X−3]に対応して描画表示されたグラフY上にあって、トレースポインタPがその根(解)が得られる位置に対応する「Y=0」の座標位置に移動到達した際に、同n次関数式を因数分解して簡単化[a(x−b)(x−c)…(x−k)]した変形式[Y1=(X+3)(X−1)]17a2にして表示させる。また、トレースポインタPが極値点(極小点または極大点)に移動到達した際に、同2次関数式を平方完成して簡単化[a(x−p)2+q]した変形式[Y1=(X+1)2−4]17a2にして表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の関数式に対応するグラフデータを描画して表示させるためのグラフ表示装置およびグラフ表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばY=f(X)なる関数式を入力し、予め設定されたレンジのX,Y座標上に、前記入力された関数式をグラフ化して表示するグラフ表示装置が実用化されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなグラフ表示装置では、グラフを表示したその表示画面上に当該グラフに対応した前記入力関数式も共に表示させ、さらには、表示されたグラフ上の任意の点をポインタにより指定することで、当該グラフ上のポインタ指定点に対応するX座標値とY座標値とを共に表示させる機能を備えたものもある。
【特許文献1】特開平07−146947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、前述したようなグラフ表示装置は、グラフ関数電卓と称して市場に供給されており教育現場での使用頻度が高いが、任意の関数式に対応するグラフがどの様な描画軌跡となるのかを容易に確認して学習することはできるものの、それだけでなく、当該関数式に対応するグラフ上のその根(解)が存在する点や極小値・極大値を取る点など、特徴ある点をユーザにとってより理解し易く表示させることが望まれる。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、任意の関数式に対応させて表示したグラフ上の特徴点をより理解し易い形態にして表示することが可能になるグラフ表示装置およびグラフ表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1(請求項8)に記載のグラフ表示装置(グラフ表示制御プログラム)は、関数式を記憶する関数式記憶手段と、この関数式記憶手段により記憶された関数式を表示する関数式表示手段と、この関数式表示手段により表示された関数式に対応するグラフを表示するグラフ表示手段と、このグラフ表示手段により表示されたグラフ上の任意の点を指定表示するグラフ点表示手段と、このグラフ点表示手段により指定表示された点が特徴点であるか否かを判断する特徴点判断手段と、この特徴点判断手段により特徴点であると判断された場合に、前記関数式表示手段により表示されている関数式を当該特徴点を特徴付ける形に変形して表示する式変形表示手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載のグラフ表示装置は、前記請求項1に記載のグラフ表示装置において、前記関数式はn次の関数式であり、前記特徴点判断手段は、前記グラフ点表示手段により指定表示された点がY=0に対応するところの点であるか否かを判断し、前記式変形表示手段は、前記特徴点判断手段によりY=0に対応する点であると判断された場合に、前記関数式表示手段により表示されているn次の関数式を因数分解した変形式にして表示することを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載のグラフ表示装置は、前記請求項1または請求項2に記載のグラフ表示装置において、前記関数式は2次の関数式であり、前記特徴点判断手段は、前記グラフ点表示手段により指定表示された点が極値に対応するところの点であるか否かを判断し、前記式変形表示手段は、前記特徴点判断手段により極値に対応する点であると判断された場合に、前記関数式表示手段により表示されている2次の関数式を平方完成した変形式にして表示することを特徴としている。
【0009】
請求項4(請求項9)に記載のグラフ表示装置(グラフ表示制御プログラム)は、関数式を記憶する関数式記憶手段と、この関数式記憶手段により記憶された関数式を表示する関数式表示手段と、この関数式表示手段により表示された関数式に対応するグラフを表示するグラフ表示手段と、ユーザ操作に応じて特徴点を指定するための指定入力手段と、この指定入力手段により特徴点が指定された際に、前記関数式の特徴点を算出する特徴点算出手段と、この特徴点算出手段により前記関数式の特徴点が算出された場合に、前記グラフ表示手段により表示されたグラフ上の当該特徴点に対応する点を指定表示するグラフ点表示手段と、このグラフ点表示手段による前記グラフ上の特徴点の指定表示と共に、前記関数式表示手段により表示されている関数式を当該特徴点を特徴付ける形に変形して表示する式変形表示手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載のグラフ表示装置は、前記請求項4に記載のグラフ表示装置において、前記関数式はn次の関数式であり、前記特徴点算出手段は、前記関数式のY=0に対応するところの点を算出し、前記式変形表示手段は、前記関数式表示手段により表示されているn次の関数式を因数分解した変形式にして表示することを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載のグラフ表示装置は、前記請求項4または請求項5に記載のグラフ表示装置において、前記関数式は2次の関数式であり、前記特徴点算出手段は、前記関数式の極値に対応する点を算出し、前記式変形表示手段は、前記関数式表示手段により表示されている2次の関数式を平方完成した変形式にして表示することを特徴としている。
【0012】
請求項7(請求項10)に記載のグラフ表示装置(グラフ表示制御プログラム)は、関数式を記憶する関数式記憶手段と、この関数式記憶手段により記憶された関数式を表示する関数式表示手段と、この関数式表示手段により表示された関数式に対応するグラフを表示するグラフ表示手段と、このグラフ表示手段によりグラフ表示された画面上の任意の点を指定する任意点指定手段と、この任意点指定手段により指定された点が前記表示されたグラフの特徴点に対応する点であるか否かを判断する特徴点判断手段と、この特徴点判断手段により特徴点であると判断された場合に、前記関数式表示手段により表示されている関数式を当該特徴点を特徴付ける形に変形して表示する式変形表示手段とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、任意の関数式に対応させて表示したグラフ上の特徴点をより理解し易い形態にして表示することが可能になるグラフ表示装置およびグラフ表示制御プログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明のグラフ表示装置の第1実施形態に係るグラフ関数機能付き小型電子式計算機(グラフ関数電卓)10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0016】
このグラフ関数電卓10は、コンピュータである制御部(CPU)11を備えている。
【0017】
制御部(CPU)11は、ROM12に予め記憶されているシステムプログラム、あるいはメモリカードなどの外部記憶媒体13から記憶媒体読み取り部14を介してROM(フラッシュ)12に読み込まれた計算機制御プログラム、あるいは通信ネットワークN上のWebサーバ(プログラムサーバ)15から通信制御部16を介してダウンロードされ前記ROM(フラッシュ)12に読み込まれた計算機制御プログラムに従いRAM17を作業用メモリ(ワークメモリ)として回路各部の動作を制御する。そして、前記ROM12に予め記憶されたシステムプログラムや計算機制御プログラムは、キー入力部18からのキー入力信号に応じて起動される。
【0018】
制御部(CPU)11には、前記ROM12、記憶媒体読み取り部14、通信制御部16、RAM17、キー入力部18が接続される他に、液晶表示部(LCD)19が接続される。
【0019】
キー入力部18には、通常電卓に備えられる数値や文字データを入力する際に操作される数値・データ入力キー、演算式の入力にあたり各種の演算子や関数記号などを入力する際に操作される演算子・記号キーの他に、入力された関数式に対応するグラフの描画表示を指示する際に操作される「DRAW」キー18a、描画表示されたグラフ上にポインタPを表示させて当該グラフの軌跡をトレースするグラフトレースの開始を指示する際に操作される「TRACE」キー18b、前記グラフトレースのポインタPを当該グラフ上で移動操作して指定表示したり各種の表示選択項目を選択操作したりするための各カーソルキー「↑」18c1〜「→」18c4などが設けられる。
【0020】
RAM17には、キー入力された関数式や当該入力関数式を変形して簡単化した変形式を記憶するための式情報メモリ17a、前記入力関数式に対応して描画されたグラフデータがその描画座標レンジと共に記憶されるグラフ描画情報メモリ17b、前記グラフトレースの状態において前記描画されたグラフ上での前記トレースポインタPの位置するXY座標が記憶されるトレース点メモリ17cなどが備えられる。
【0021】
次に、前記構成の第1実施形態のグラフ関数電卓10によるグラフ表示機能について説明する。
【0022】
図2は、前記第1実施形態のグラフ関数電卓10によるグラフ表示処理(1)を示すフローチャートである。
【0023】
図3は、前記第1実施形態のグラフ関数電卓10によるグラフ表示処理(1)に伴うグラフ表示動作を示す図である。
【0024】
先ず、キー入力部18のユーザ操作に応じてグラフ化すべき任意の関数式(例えば[Y1=X2+2X−3])を入力し、RAM17内の式情報メモリ17aに記憶させた状態で、当該入力関数式に対応するグラフデータを描画表示させるべく「DRAW」キー18aが操作入力されると、例えば図3(A)に示すように、グラフ化表示用にレンジ設定されたグラフ表示画面G上に前記入力関数式に対応するグラフYが描画表示され、これと共に、その入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1が当該画面G上の左上エリアに描画表示される(ステップS1)。
【0025】
このような入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1および該入力関数式に対応するグラフYの描画表示状態において、グラフトレースを開始させるべく「TRACE」キー18bが操作入力されると、同図3(A)に示すように、描画中のグラフY上にカーソルキー18c1〜18c4に応じた方向に適宜移動表示可能なトレースポインタPが表示され、当該ポインタPの位置するグラフY上のXY座標値が例えば「X=−3.1」「Y=0.41」としてトレース点メモリ17cに記憶されると共に指定表示される(ステップS2〜S4)。
【0026】
すると、前記表示中のグラフYに対応する同表示中の入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1がn次式であるか否か判断される(ステップS5)。
【0027】
ここで、前記入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1がn次式であると判断された場合には、その時点において前記トレース点メモリ17cに記憶されている表示中のトレースポインタPのXY座標が前記入力関数式[Y1=X2+2X−3]の根(解)が得られる位置に対応するY=0の座標位置にあるか否か判断される(ステップS5→S6)。
【0028】
そして、前記カーソルキー「↑」18c1〜「→」18c4の操作入力に応じた方向に前記グラフY上のトレースポインタPが移動表示される状態で、図3(B)に示すように、当該グラフY上のトレースポインタPのXY座標が前記入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1の根(解)が得られる位置に対応する「Y=0」の座標位置に到達したと判断されると(ステップS6(YES))、式情報メモリ17aに記憶されて表示中のn次の入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1は当該n次式を解析し易い因数分解した形[a(x−b)(x−c)…(x−k)]の変形式[Y1=(X+3)(X−1)]17a2に変換され(ステップS7)入れ替えられて表示される(ステップS8)。
【0029】
このように、入力されたn次関数式に対応して描画表示されたグラフY上にあって、トレースポインタPがその根(解)が得られる位置に対応する「Y=0」の座標位置に移動到達した際に、同n次関数式を因数分解して簡単化[a(x−b)(x−c)…(x−k)]した変形式[Y1=(X+3)(X−1)]17a2にして表示させることで、ユーザは当該n次関数式の根(解)の持つ意味をより理解し易く確認できるようになる。
【0030】
一方、前記ステップS6において、前記n次関数式に対応したグラフY上のトレースポインタPが、根(解)が得られる位置に対応するY=0の座標位置以外に存在すると判断される場合には(ステップS6(NO))、入力されたn次式は2次式であるか否か判断され(ステップS9)、2次式であると判断された場合にはトレースポインタPの位置が極値点(極小点または極大点)に到達したか否か判断される(ステップS10)。
【0031】
例えば図3(C)に示すように、カーソルキー「→」18c4の繰り返し操作に応じて、グラフY上のトレースポインタPが前記根(解)の得られた位置「X=−3」「Y=0」を外れて右方向に順次移動表示されて行く状態で(ステップS3〜S10(NO)→S3)、図3(D)に示すように、当該トレースポインタPの位置が極値点(この場合「極小点(X=−1,Y=−4)」)に到達したと判断されると(ステップS10(YES))、式情報メモリ17aに記憶されて表示中の2次の入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1は当該2次式の極値を解析し易い平方完成した形[a(x−p)2+q]の変形式[Y1=(X+1)2−4]17a2に変換され(ステップS11)入れ替えられて表示される(ステップS12)。
【0032】
このように、入力された2次関数式に対応して描画表示されたグラフY上にあって、トレースポインタPが極値点(極小点または極大点)に移動到達した際に、同2次関数式を平方完成して簡単化[a(x−p)2+q]した変形式[Y1=(X+1)2−4]17a2にして表示させることで、ユーザは当該2次関数式に対応する極値をより理解し易く確認できるようになる。
【0033】
この後、カーソルキー18c1〜18c4の操作入力によるトレースポインタPの移動表示が行われずに、同キー入力部18におけるユーザ操作により処理終了が指示されると、前記一連のグラフ表示処理(1)が終了される(ステップS13→END)。
【0034】
したがって、前記構成の第1実施形態のグラフ関数電卓10によるグラフ表示機能によれば、入力されたn次関数式[Y1=X2+2X−3]に対応して描画表示されたグラフY上にあって、トレースポインタPがその根(解)が得られる位置に対応する「Y=0」の座標位置に移動到達した際に、同n次関数式を因数分解して簡単化[a(x−b)(x−c)…(x−k)]した変形式[Y1=(X+3)(X−1)]17a2にして表示させることで根を特徴付ける形に変形されるので、ユーザは当該n次関数式の根(解)の持つ意味をより理解し易く学習できるようになる。
【0035】
また、前記構成の第1実施形態のグラフ関数電卓10によるグラフ表示機能によれば、入力された2次関数式[Y1=X2+2X−3]に対応して描画表示されたグラフY上にあって、トレースポインタPが極値点(極小点または極大点)に移動到達した際に、同2次関数式を平方完成して簡単化[a(x−p)2+q]した変形式[Y1=(X+1)2−4]17a2にして表示させることで極値点を特徴付ける形に変形されるので、ユーザは当該2次関数式に対応する極値をより理解し易く学習できるようになる。
【0036】
なお、前記第1実施形態では、入力されたn次関数式に対応するグラフYを描画表示させ、当該グラフY上に表示させたトレースポインタPを移動表示させながらそのXY座標を共に表示させるグラフトレースの状態で、そのトレースポインタPが根(解)の得られる位置に対応する「Y=0」の座標位置に到達した場合と極値点(極小点または極大点)に移動到達した場合とで前記入力関数式をそれぞれその特徴点を学習理解し易い簡単化した式に変形して表示させる構成としたが、次の第2実施形態で説明するように、例えば「根(解)」や「極値」を指定するキー操作に応じて前記入力されたn次関数式に基づきその「根(解)」や「極値」を算出してグラフY上のポインタPをジャンプ移動表示させ、前記同様にそれぞれその特徴点を学習理解し易い簡単化した式に変形して表示させる構成
(第2実施形態)
図4は、本発明のグラフ表示装置の第2実施形態に係るグラフ関数機能付き小型電子式計算機(グラフ関数電卓)10′の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0037】
この第2実施形態のグラフ関数電卓10′において、キー入力部18には、入力されたn次関数式に対応するグラフYの描画表示状態において、根(解)の存在する位置にポインタPを直接ジャンプ表示させる際に操作される「ROOT」キー18d、極小値に対応する位置にポインタPを直接ジャンプ表示させる際に操作される「MIN」キー18e、極大値に対応する位置にポインタPを直接ジャンプ表示させる際に操作される「MAX」キー18fが備えられる。
【0038】
そして、RAM17には、前記キー入力部18における「ROOT」キー18dの操作入力に従って前記入力されたn次関数式に(17a)に基づき算出された「Y=0」になる根(解)点の座標が記憶される根点メモリ17d、同キー入力部18における「MIN」キー18eや「MAX」キー18fの操作入力に従って前記入力された2次関数式(17a)に基づき算出された極小値や極大値の座標が記憶される極値等点情報メモリ17eが備えられる。
【0039】
次に、前記構成の第2実施形態のグラフ関数電卓10′によるグラフ表示機能について説明する。
【0040】
図5は、前記第2実施形態のグラフ関数電卓10′によるグラフ表示処理(2)を示すフローチャートである。
【0041】
図6は、前記第2実施形態のグラフ関数電卓10′によるグラフ表示処理(2)に伴うグラフ表示動作を示す図である。
【0042】
先ず、キー入力部18のユーザ操作に応じてグラフ化すべき任意の関数式(例えば[Y1=X2+2X−3])を入力し、RAM17内の式情報メモリ17aに記憶させた状態で、当該入力関数式に対応するグラフデータを描画表示させるべく「DRAW」キー18aが操作入力されると、例えば図6(A)に示すように、グラフ化表示用にレンジ設定されたグラフ表示画面G上に前記入力関数式に対応するグラフYが描画表示され、これと共に、その入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1が当該画面G上の左上エリアに描画表示される(ステップT1)。
【0043】
このような入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1および該入力関数式に対応するグラフYの描画表示状態では、当該グラフY上の極小点または極大点を表示させるための「MIN」キー18eまたは「MAX」キー18fが操作入力されたか否か判断されると共に(ステップT2)、前記入力関数式[Y1=X2+2X−3]の根(解)(Y=0)に対応するグラフY上の点を表示させるための「ROOT」キー18dが操作入力されたか否かが判断される(ステップT3)。
【0044】
ここで、「ROOT」キー18dが操作入力されたと判断されると(ステップT3(YES))、前記入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1に基づき「Y=0」になる根(解)点の座標が算出され、当該根(解)点の座標が存在するか否か判断される(ステップT4)。
【0045】
そして、現在表示中のグラフYの関数式[Y1=X2+2X−3]17a1において、根(解)点の座標(X=−3,Y=0)が算出された場合には(ステップT4(YES))、この算出された根点座標がRAM17内の根点メモリ17dに記憶されると共に、前記図3(B)で示したように、当該グラフY上の根点座標(X=−3,Y=0)の位置にポインタPがトレースでなく直接ジャンプ表示される(ステップT5)。
【0046】
すると、前記入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1がn次式であるか否か判断され(ステップT6)、n次式であると判断された場合には(ステップT6(YES))、式情報メモリ17aに記憶されて表示中である当該n次の入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1は、そのn次式を解析し易い因数分解した形[a(x−b)(x−c)…(x−k)]の変形式[Y1=(X+3)(X−1)]17a2に変換され(ステップT7)、同図3(B)で示したように入れ替えられて表示される(ステップT8)。
【0047】
このように、入力されたn次関数式[Y1=X2+2X−3]に対応したグラフYが描画表示された状態で、「ROOT」キー18dの操作に応じて当該n次関数式の根(解)(Y=0)に対応するグラフY上の座標点(X,Y)が算出されポインタPがジャンプ表示されると、同n次関数式を因数分解して簡単化[a(x−b)(x−c)…(x−k)]した変形式[Y1=(X+3)(X−1)]17a2が生成されて表示されるので、ユーザは当該n次関数式の根(解)の持つ意味をより理解し易く確認できるようになる。
【0048】
一方、前記ステップT6において、入力関数式がn次式でないと判断された場合には(ステップT6(NO))、前記ステップT1においてグラフYと共に描画表示されている入力関数式は変形されないまま継続表示される(ステップT9)。
【0049】
また一方、前記ステップT4において、現在表示中のグラフYに対応する入力関数式において、根(解)点の座標が算出されず算出エラ−になった場合には(ステップT4(NO))、根なしとするエラーメッセージ「NOT FOUND」が前記グラフ表示画面G上に表示される(ステップT10)。
【0050】
一方、前記ステップT2において、表示中のグラフY上の極小点または極大点を表示させるための「MIN」キー18eまたは「MAX」キー18fが操作入力されたと判断された場合には(ステップT2(YES))、前記入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1に基づき、「MIN」キー18eの場合にはその極小点の座標が算出され、また「MAX」キー18fの場合にはその極大点の座標が算出され、それぞれその極値点座標が存在するか否か判断される(ステップT11)。
【0051】
そして、現在表示中のグラフYの関数式[Y1=X2+2X−3]17a1において、前記極小点または極大点の座標が算出された場合には(ステップT11(YES))、この算出された極値点座標がRAM17内の極値等点情報メモリ17eに記憶されると共に、例えば「MIN」キー18eに応じた極小点座標が算出された場合には、図6(B)に示すように、当該グラフY上の極小点座標(X=−1,Y=−4)の位置にポインタPがトレースでなく直接ジャンプ表示される(ステップT12)。
【0052】
すると、前記入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1が2次式であるか否か判断され(ステップT13)、2次式であると判断された場合には(ステップT13(YES))、当該表示中の2次の入力関数式[Y1=X2+2X−3]17a1は同2次式の極値を解析し易い平方完成した形[a(x−p)2+q]の変形式[Y1=(X+1)2−4]17a2に変換され(ステップT14)入れ替えられて表示される(ステップT15)。
【0053】
このように、入力された2次関数式[Y1=X2+2X−3]に対応したグラフYが描画表示された状態で、「MIN」キー18eまたは「MAX」キー18fの操作に応じて当該グラフY上の極小点座標または極大点座標が算出されポインタPがジャンプ表示されると、同2次関数式を平方完成して簡単化[a(x−p)2+q]した変形式[Y1=(X+1)2−4]17a2が生成されて表示されるので、ユーザは当該2次関数式に対応する極値をより理解し易く確認できるようになる。
【0054】
一方、前記ステップT13において、入力関数式が2次式でないと判断された場合には(ステップT13(NO))、前記ステップT1においてグラフYと共に描画表示されている入力関数式は変形されないまま継続表示される(ステップT9)。
【0055】
また一方、前記ステップT11において、現在表示中のグラフYに対応する入力関数式において、その極小点または極大点の座標が算出されず算出エラ−になった場合には(ステップT11(NO))、極値点なしとするエラーメッセージ「NOT FOUND」が前記グラフ表示画面G上に表示される(ステップT16)。
【0056】
したがって、前記構成の第2実施形態のグラフ関数電卓10′によるグラフ表示機能によれば、入力されたn次関数式[Y1=X2+2X−3]に対応したグラフYが描画表示された状態で、「ROOT」キー18dが操作入力されると、同n次関数式の根(解)(Y=0)に対応するグラフY上の座標点(X,Y)が算出されポインタPがジャンプ表示されると共に、同n次関数式を因数分解して簡単化[a(x−b)(x−c)…(x−k)]した変形式[Y1=(X+3)(X−1)]17a2が生成されて表示されるので、ユーザは当該n次関数式の根(解)の持つ意味をより理解し易く学習できるようになる。
【0057】
また、前記構成の第2実施形態のグラフ関数電卓10′によるグラフ表示機能によれば、入力された2次関数式[Y1=X2+2X−3]に対応したグラフYが描画表示された状態で、「MIN」キー18eまたは「MAX」キー18fが操作入力されると、当該グラフY上の極小点座標または極大点座標が算出されポインタPがジャンプ表示されると共に、同2次関数式を平方完成して簡単化[a(x−p)2+q]した変形式[Y1=(X+1)2−4]17a2が生成されて表示されることで極値点を特徴付ける形に変形されるので、ユーザは当該2次関数式に対応する極値をより理解し易く学習できるようになる。
【0058】
なお、前記各実施形態において説明したグラフ表示機能では、任意の関数式を入力し当該関数式に対応するグラフYを同関数式と共に描画表示させた状態で、その根(解)または極小値/極大値に対応するグラフY上の座標点にポインタPを表示させた場合に、前記表示中の入力関数式を因数分解したり平方完成したりして同グラフY上の特徴点を学習しやすい変形式として表示させる構成としたが、当該根(解)または極小値/極大値に対応する座標点に限らず、例えばある入力関数式に対応するグラフYを表示させそのグラフトレースや所定キー操作に伴いXがある値のときに“解なし”となる不連続点が存在した場合に、この不連続点を特徴点として前記入力関数式を学習しやすい変形式にして表示させる構成としてもよい。また、楕円(円を含む)あるいは双曲線の関数式を入力し、前記入力関数式に対応するグラフYを表示させ、所定キー操作に伴い楕円や双曲線の焦点の座標点にポインタPを表示させた場合、この焦点を特徴点として前記入力関数式を学習しやすい変形式にして表示させる構成としてもよい。
【0059】
具体的には、分数の関数式を入力し当該分数式と共にグラフ表示させた状態で、例えばX軸に沿ってポインタPを順次移動表示させた場合に、そのX座標値に応じて不連続点が存在したときには前記分数式を[Y=k/(X−p)+q]の変形式にして表示させる。
【0060】
また、「√」の関数式を入力し当該√式と共にグラフ表示させた状態で、例えばX軸に沿ってポインタPを順次移動表示させた場合に、そのX座標値に応じて不連続点が存在したときには前記√式を[Y=a√(X−p)+q]の変形式にして表示させる。
【0061】
更には、円の関数式を入力し当該円関数式と共にグラフ表示させた状態で、例えばXY平面に沿ってポインタPを自由に移動表示させた場合に、そのXY座標値が焦点の座標と一致したときには前記円関数式を[(X−a)+(Y−b)=r]の変形式にして表示させる。
【0062】
なお、前記各実施形態において記載した手法、すなわち、図2のフローチャートに示す第1実施形態のグラフ関数電卓10によるグラフ表示処理(1)、図5のフローチャートに示す第2実施形態のグラフ関数電卓10′によるグラフ表示処理(2)などの各手法は、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記憶媒体(13)に格納して配布することができる。そして、関数計算機能およびグラフ描画機能を有する電子式計算機のコンピュータは、この外部記憶媒体(13)に記憶されたプログラムを記憶装置(12)(13)に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記各実施形態において説明したグラフ表示に伴う特徴点での関数式変形表示機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0063】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(公衆回線)N上を伝送させることができ、この通信ネットワークNに接続された通信装置(16)によって前記プログラムデータを関数計算機能およびグラフ描画機能を有する電子式計算機のコンピュータに取り込み、前述したグラフ表示に伴う特徴点での関数式変形表示機能を実現することもできる。
【0064】
なお、本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明のグラフ表示装置の第1実施形態に係るグラフ関数機能付き小型電子式計算機(グラフ関数電卓)10の電子回路の構成を示すブロック図。
【図2】前記第1実施形態のグラフ関数電卓10によるグラフ表示処理(1)を示すフローチャート。
【図3】前記第1実施形態のグラフ関数電卓10によるグラフ表示処理(1)に伴うグラフ表示動作を示す図。
【図4】本発明のグラフ表示装置の第2実施形態に係るグラフ関数機能付き小型電子式計算機(グラフ関数電卓)10′の電子回路の構成を示すブロック図。
【図5】前記第2実施形態のグラフ関数電卓10′によるグラフ表示処理(2)を示すフローチャート。
【図6】前記第2実施形態のグラフ関数電卓10′によるグラフ表示処理(2)に伴うグラフ表示動作を示す図。
【符号の説明】
【0066】
10 …第1実施形態のグラフ関数電卓
10′…第2実施形態のグラフ関数電卓
11 …CPU
12 …ROM
13 …外部記憶媒体
14 …記憶媒体読み取り部
15 …Webサーバ
16 …通信制御部
17 …RAM
17a…式情報(入力式/変形式)メモリ
17a1…入力関数式
17a2…変形式
17b…グラフ描画情報メモリ
17c…トレース点メモリ
17d…根点メモリ
17e…極値等点情報メモリ
18 …キー入力部
18a…「DRAW」キー
18b…「TRACE」キー
18c1〜18c4…カーソルキー
18d…「ROOT」キー
18e…「MIN」キー
18f…「MAX」キー
19 …表示部
G …グラフ表示画面
Y …グラフ
P …ポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関数式を記憶する関数式記憶手段と、
この関数式記憶手段により記憶された関数式を表示する関数式表示手段と、
この関数式表示手段により表示された関数式に対応するグラフを表示するグラフ表示手段と、
このグラフ表示手段により表示されたグラフ上の任意の点を指定表示するグラフ点表示手段と、
このグラフ点表示手段により指定表示された点が特徴点であるか否かを判断する特徴点判断手段と、
この特徴点判断手段により特徴点であると判断された場合に、前記関数式表示手段により表示されている関数式を当該特徴点を特徴付ける形に変形して表示する式変形表示手段と、
を備えたことを特徴とするグラフ表示装置。
【請求項2】
前記関数式はn次の関数式であり、
前記特徴点判断手段は、前記グラフ点表示手段により指定表示された点がY=0に対応するところの点であるか否かを判断し、
前記式変形表示手段は、前記特徴点判断手段によりY=0に対応する点であると判断された場合に、前記関数式表示手段により表示されているn次の関数式を因数分解した変形式にして表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載のグラフ表示装置。
【請求項3】
前記関数式は2次の関数式であり、
前記特徴点判断手段は、前記グラフ点表示手段により指定表示された点が極値に対応するところの点であるか否かを判断し、
前記式変形表示手段は、前記特徴点判断手段により極値に対応する点であると判断された場合に、前記関数式表示手段により表示されている2次の関数式を平方完成した変形式にして表示する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のグラフ表示装置。
【請求項4】
関数式を記憶する関数式記憶手段と、
この関数式記憶手段により記憶された関数式を表示する関数式表示手段と、
この関数式表示手段により表示された関数式に対応するグラフを表示するグラフ表示手段と、
ユーザ操作に応じて特徴点を指定するための指定入力手段と、
この指定入力手段により特徴点が指定された際に、前記関数式の特徴点を算出する特徴点算出手段と、
この特徴点算出手段により前記関数式の特徴点が算出された場合に、前記グラフ表示手段により表示されたグラフ上の当該特徴点に対応する点を指定表示するグラフ点表示手段と、
このグラフ点表示手段による前記グラフ上の特徴点の指定表示と共に、前記関数式表示手段により表示されている関数式を当該特徴点を特徴付ける形に変形して表示する式変形表示手段と、
を備えたことを特徴とするグラフ表示装置。
【請求項5】
前記関数式はn次の関数式であり、
前記特徴点算出手段は、前記関数式のY=0に対応するところの点を算出し、
前記式変形表示手段は、前記関数式表示手段により表示されているn次の関数式を因数分解した変形式にして表示する、
ことを特徴とする請求項4に記載のグラフ表示装置。
【請求項6】
前記関数式は2次の関数式であり、
前記特徴点算出手段は、前記関数式の極値に対応する点を算出し、
前記式変形表示手段は、前記関数式表示手段により表示されている2次の関数式を平方完成した変形式にして表示する、
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のグラフ表示装置。
【請求項7】
関数式を記憶する関数式記憶手段と、
この関数式記憶手段により記憶された関数式を表示する関数式表示手段と、
この関数式表示手段により表示された関数式に対応するグラフを表示するグラフ表示手段と、
このグラフ表示手段によりグラフ表示された画面上の任意の点を指定する任意点指定手段と、
この任意点指定手段により指定された点が前記表示されたグラフの特徴点に対応する点であるか否かを判断する特徴点判断手段と、
この特徴点判断手段により特徴点であると判断された場合に、前記関数式表示手段により表示されている関数式を当該特徴点を特徴付ける形に変形して表示する式変形表示手段と、
を備えたことを特徴とするグラフ表示装置。
【請求項8】
コンピュータを、
関数式をメモリに記憶する関数式記憶手段、
この関数式記憶手段により記憶された関数式を表示部に表示させる関数式表示制御手段、
この関数式表示制御手段により表示された関数式に対応するグラフを前記表示部に表示させるグラフ表示制御手段、
このグラフ表示制御手段により表示されたグラフ上の任意の点をユーザ操作に応じて指定表示させるグラフ点表示制御手段、
このグラフ点表示制御手段により指定表示された点が特徴点であるか否かを判断する特徴点判断手段、
この特徴点判断手段により特徴点であると判断された場合に、前記関数式表示制御手段により表示されている関数式を当該特徴点を特徴付ける形に変形して表示させる式変形表示制御手段、
として機能させるようにしたコンピュータ読み込み可能なグラフ表示制御プログラム。
【請求項9】
コンピュータを、
関数式をメモリに記憶する関数式記憶手段、
この関数式記憶手段により記憶された関数式を表示部に表示させる関数式表示制御手段、
この関数式表示制御手段により表示された関数式に対応するグラフを前記表示部に表示させるグラフ表示制御手段、
ユーザ操作に応じて特徴点を指定するための指定入力手段により特徴点が指定された際に、前記関数式の特徴点を算出する特徴点算出手段、
この特徴点算出手段により前記関数式の特徴点が算出された場合に、前記グラフ表示制御手段により表示されたグラフ上の当該特徴点に対応する点を指定表示させるグラフ点表示制御手段、
このグラフ点表示制御手段による前記グラフ上の特徴点の指定表示と共に、前記関数式表示制御手段により表示されている関数式を当該特徴点を特徴付ける形に変形して表示させる式変形表示制御手段、
として機能させるようにしたコンピュータ読み込み可能なグラフ表示制御プログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
関数式をメモリに記憶する関数式記憶手段、
この関数式記憶手段により記憶された関数式を表示部に表示させる関数式表示制御手段、
この関数式表示制御手段により表示された関数式に対応するグラフを前記表示部に表示させるグラフ表示制御手段、
このグラフ表示制御手段によりグラフ表示された画面上の任意の点をユーザ操作に応じて指定する任意点指定手段、
この任意点指定手段により指定された点が前記表示されたグラフの特徴点に対応する点であるか否かを判断する特徴点判断手段、
この特徴点判断手段により特徴点であると判断された場合に、前記関数式表示制御手段により表示されている関数式を当該特徴点を特徴付ける形に変形して表示する式変形表示制御手段、
として機能させるようにしたコンピュータ読み込み可能なグラフ表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−243069(P2008−243069A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85903(P2007−85903)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】