説明

グランド用混合土及びグランド用混合土の作成方法

【課題】野球場での使用に適した性質を有するグランド用混合土を得る。
【解決手段】黒土性表土と砂を混合してグランド用混合土を作成する方法において、前記黒土性表土と砂の割合を黒土性表土6に対して砂3.8〜4.2とし、前記砂は、2.0〜3.0mmの粗目の川砂から成り、前記黒土性表土と川砂との混合は、平坦地面に黒土性表土を6cmの高さになるよう均し黒土性表土層2を作成し、黒土性表土層2上に川砂を3.8〜4.2cmの高さになるように均した砂層3を作成した後、前記砂層3上を深耕ロータリ11が移動することで、耕うん爪13の回転で攪拌し、保水性の確保と風に舞いにくい性質を有するグランド用混合土を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球場等のグランドに適したグランド用混合土を作成する方法に関し、特に、黒土性表土と砂とを混合させて混合土を作成する場合に、埃になりにくく排水性が高い等、良質な性質を有するグランド用混合土を得ることができるグランド用混合土の作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野球場の内野部分に使用されるグランド用混合土には赤土性表土や火山灰性土が使用されていた。しかし、埃がたつ、水の浸透性が悪い、土が硬くなるなどの問題があり、野球場の内野部分の使用に適したグランド混合土の開発が望まれていた。
【0003】
そこで、特許文献1に示されるように、土砂投入ホッパや土砂粉砕装置などから構成される混合土の製造装置を用いることで、黒度性表土、赤土性表土、火山灰性土、粘土性土、砂を混合した原料土を処理してグランド用混合土を得る方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3703399号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の方法で得られた混合土は、野球場の内野部分の使用に適したグランド混合土の性質(埃がたたない、水の浸透性が良い、土が硬くならない等)を十分に満足するものではなかった。
また、上述した特許文献1の方法によれば、混合土を得るために土砂投入ホッパや土砂粉砕装置が必要となるので、これらの装置が現場にないような場合には、グランド用混合土を得ることができないという問題点があった。
また、土砂投入ホッパや土砂粉砕装置等を使用して順次混合土を得るので、一度に大量のグランド用混合土を得ることができないという問題点があった。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みて提案されたもので、専用の機械を使用することなく、野球場に適した性質を有するグランド用混合土を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、グランド用混合土について鋭意研究した結果、グランド用混合土における砂の割合、砂の大きさ、及び、土と砂の混合状態がグランド混合土における水の浸透性や埃の発生のしにくさ等、グランド用混合土の性質に大きく依存することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、請求項1の発明は、黒土性表土と砂を混合してグランド用混合土を作成するグランド用混合土の作成方法において、
前記砂は、2.0〜3.0mmの粗目砂を使用し、
前記黒土性表土と砂との混合は、黒土性表土層の上に砂層を作成した後に、深耕ロータリの耕うん爪で攪拌する
ことを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1のグランド混合土の作成方法において、
平面に黒土性表土を6cmの高さになるよう均して黒土性表土層を作成する黒土性表土層作成工程と、
黒土性表土層上に砂を3.8〜4.2cmの高さになるように均して砂層を作成する砂層作成工程と、
前記砂層上を深耕ロータリが移動し、耕うん爪の回転により前記黒土性表土と砂とを攪拌する攪拌工程を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載した作成方法でグランド混合土を作成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、黒土性表土と砂の割合を黒土性表土6に対して砂3.8〜4.2とし、2.0〜3.0mmの粗目の川砂(白砂)を使用したグランド用混合土とすることにより、水はけの良い良質なグランド用混合土とすることができる。
【0012】
また、黒土性表土と砂との混合に際して、深耕ロータリの耕うん爪による攪拌を行うことで、黒土性表土に対して粗目砂を均一となるように混ぜることができ、風に舞うことが少なくなって埃の発生を抑制することができる。
【0013】
また、黒土性表土と砂との混合は、黒土性表土層上に砂層を形成した後に耕うん爪による攪拌を行うことで、特別な機械を使用することなく、簡単かつ一度に大量にグランド用混合土を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のグランド用混合土の作成手順を示すものであり、黒土性表土層上に砂層を形成した後に耕うん爪による攪拌を行う作業例を示す説明図である。
【図2】黒土性表土と川砂との混合時に使用する耕うん爪の正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るグランド用混合土の作成方法の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。
本発明方法によるグランド用混合土は、黒土性表土と砂と、黒土性表土に対する砂の割合を6:4にして混合することで作成される。黒土性表土は、塊がなく、比較的柔らかなものを使用するのが好ましい。砂は、各粒の最大幅が2.0〜3.0mm程度の粗目の川砂を使用する。粗目の川砂を使用することで、黒土性表土と混合した際に、粗目砂同士の間に水が浸透する土部分が確実に形成されることで、浸透性を良好にすることができる。
また、浸透性を確保するための黒土性表土に対する砂の割合は、6:3.8〜4.2程度であってもよい。
【0016】
黒土性表土と川砂との混合は、図1及び図2に示した深耕ロータリの耕うん爪による攪拌で行う。
すなわち、200〜300坪ほどの畑や空き地の隅の一か所に、それぞれ山状となるように、黒土性表土と川砂(白砂)をトラック等で運搬する。
次に、平面地面1上に、山状となっている黒土性表土の表面を6cmの高さになるよう重機で均して方形状の黒土性表土層2を作成する(黒土性表土層作成工程)。
続いて、黒土性表土層2上に重機で川砂(白砂)を4cmの高さになるように均して方形状の砂層3を作成する(砂層作成工程)。
【0017】
そして、砂層2上を耕うん機10が図1の左方向に進行する場合、深耕ロータリ11を耕うん機10の進行方向と逆方向側に回転させながら移動することで、耕うん爪13の回転により黒土性表土と川砂とを攪拌する(攪拌工程)。
【0018】
深耕ロータリ11は、図1及び図2に示すように、軸12に対して耕うん爪13が四方向に突出することで形成される回転爪14を有している(図2では、上方に突出する耕うん爪13を省略している)。回転爪14の各耕うん爪13は、先端を直角に折曲させた爪部15を有している。回転爪14は、軸12に対して一定間隔毎に複数個形成されている。また、耕うん爪13は、黒土性表土層2の下端層まで届くような長さ、例えば12〜16cmに設定され、爪部15は7〜10cmに形成されている。
耕うん機10が方形状の砂層3上をまんべんなく動くことで、軸12の回転動作により、複数の回転爪14の各爪部15が黒土性表土と川砂とを6:4の割合で十分に攪拌し、グランド用混合土が得られる。
また、黒土性表土層2の上に、黒土性表土層2より薄層となる砂層3を作成した後に、深耕ロータリの耕うん爪13で攪拌することで、黒土性表土層2と砂層3との攪拌を促進し、両者の混合を効率よく行うことができる。
【0019】
このようにして得られたグランド用混合土によれば、野球場の内野部分に搬入してローラで固めた場合、グランド用混合土に適度に粗目の川砂が存在することで、ローラの転圧により平にし易い性質を持たせることができる。
【0020】
そして、グランド用混合土内に程度な割合で粗目の川砂が存在することで、グランド用混合土内の粗目川砂同士の間に水が浸透する土部分を確保して浸透性の向上を図ることができる。また同時に、グランド用混合土内に程度な割合で粗目の川砂が存在することで毛細管現象の確保が可能となり、従来のグランド土に比較して保水性の維持の向上を図ることで、乾きにくい性質を備えることができる。
【0021】
更に、グランド用混合土内に程度な割合で粗目の川砂が存在することで、粗目川砂が重しの役割を発揮し、風に舞いにくくして埃の発生を少なくすることができる。
【0022】
その結果、保水性の確保と風に舞いにくい性質から、従来のグランド土に比較して埃発生防止のための水撒きの回数を減らすことができる。
【0023】
以上説明したように、本発明によるグランド用混合土によれば、(1)浸透性を有する、(2)平坦化させ易い、(3)埃の発生が少ない、といった全てを満足するので、野球場のグランドに最適なグランド用混合土とすることができる。
【符号の説明】
【0024】
1…平坦地面、
2…黒土性表土層、
3…砂層、
10…耕うん機、
11…深耕ロータリ、
12…軸、
13…耕うん爪、
14…回転爪、
15…爪部。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒土性表土と砂を混合してグランド用混合土を作成するグランド用混合土の作成方法において、
前記砂は、2.0〜3.0mmの粗目砂を使用し、
前記黒土性表土と砂との混合は、黒土性表土層の上に砂層を作成した後に、深耕ロータリの耕うん爪で攪拌する
ことを特徴とするグランド用混合土の作成方法。
【請求項2】
平面に黒土性表土を6cmの高さになるよう均して黒土性表土層を作成する黒土性表土層作成工程と、
黒土性表土層上に砂を3.8〜4.2cmの高さになるように均して砂層を作成する砂層作成工程と、
前記砂層上を深耕ロータリが移動し、耕うん爪の回転により前記黒土性表土と砂とを攪拌する攪拌工程を備えた請求項1に記載のグランド用混合土の作成方法。
【請求項3】
請求項2に記載したグランド用混合土作成方法で作成したグランド用混合土。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−21387(P2012−21387A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231936(P2010−231936)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願変更の表示】意願2010−4737(D2010−4737)の変更
【原出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(300052741)興進鋼業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】