説明

グリセリドを調製するための方法

式(I)を有する化合物を調製するための方法が提供される、ここでR、R、およびRは、独立して水素およびアシル基から選択され、ここでR、R、およびRのうちの少なくとも1つは、式(II)の分枝長鎖アシル基である、ここでnは9から21までであり、mは2nであり、かつpは0から4までである、ここでR、R、およびRのうちの他のものは、式(III)の短いアシル基から選択され、ここでqは0から4までである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方法に関連する。特に、本発明は、例えば可塑剤または衝撃改質剤として、ポリマーにおいて使用し得る化合物を調製するための方法、その方法によって産生された化合物、およびポリマーおよびその化合物を含む組成物に関連する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリマーの製造特性、例えばそのようなポリマーの押し出し特性は、多くの場合それに対する可塑剤の添加によって修飾/増強される。US−A−4426477のような先行技術において認識されるように、通常使用されるアジピン酸ジオクチル(DOA)のような可塑剤およびフタル酸ジオクチル(DOP)のようなフタル酸可塑剤を避ける傾向がある。これらの可塑剤の安全性が、特にある適用において疑問視された。
【0003】
例えば、特許文献1において、フタル酸可塑剤の問題に取り組む。特許文献1は、式:
【0004】
【化1】

の化合物のような物質に関連する。
【0005】
この化合物は、SOFT N SAFEとしてDaniscoA/Sによって販売され、そして商業的に成功した。特許文献1は、開示化合物を調製する多くの経路を教示する。これらの経路の2つを、以下のスキームにおいてまとめる。
【0006】
【化2】

これらの経路は、望ましい官能性を有する産物を適切に生じるが、それらは、長鎖脂肪酸鎖のアシル分枝基の位置に関して制限される。例えば、ヒマシ油の場合、12位におけるヒドロキシ基が、アシル化がここで起こることを決定する。ヒドロキシ基が長鎖脂肪酸鎖に存在する必要性も、特許文献1の方法において使用される出発時の油を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第01/14466号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
最初の局面において、本発明は、式:
【0009】
【化3】

を有する化合物を調製するための方法を提供し、ここで
、R、およびRは、独立して水素およびアシル基から選択され、
、R、およびRのうちの少なくとも1つは、式:
【0010】
【化4】

の分枝長鎖アシル基であり、ここで
nは9から21までであり、mは2nであり、かつpは0から4までであり、
、R、およびRのうちの他のものは、式:
【0011】
【化5】

の短いアシル基から選択され、ここで、
qは0から4までであり、その方法は、以下:
(1)式:
【0012】
【化6】

を有する不飽和化合物を提供する工程であって、ここで
、R、およびRは、独立して以下:
(a)水素、
(b)式:
【0013】
【化7】

の不飽和長鎖アシル基であって、ここで
xは0から3までであり、nは9から21までであり、かつmは2n−1−x、2n−3−x、または2n−5−xである、不飽和長鎖アシル基;および
(c)式:
【0014】
【化8】

の短いアシル基であって、ここで
qは0から4までである、短いアシル基
から選択され、
、R、およびRのうちの少なくとも1つは、不飽和長鎖アシル基である、工程;ならびに
(2)R、R、およびRのうちの少なくとも1つが水素である場合、必要に応じて化合物をアシル化する工程;ならびに
(3a)
(i)不飽和長鎖アシル基をヒドロキシル化して、式:
【0015】
【化9】

のヒドロキシ長鎖アシル基を提供する工程であって、ここで
yは1から4までであり、nは9から21までであり、かつmは2n+1−y、2n−1−y、または2n−3−yである、工程、および
(ii)ヒドロキシ長鎖アシル基をアシル化して、式:
【0016】
【化10】

の分枝長鎖アシル基を提供する工程であって、ここで
zは1から4までであり、nは9から21までであり、mは2n+1−z、2n−1−z、または2n−3−zであり、かつpは0から4までである、工程;
あるいは
(3b)不飽和長鎖アシル基を、式:
【0017】
【化11】

のカルボン酸と反応させて、式:
【0018】
【化12】

の分枝長鎖アシル基を提供する工程であって、ここで
zは1から4までであり、nは9から21までであり、mは2n+1−z、2n−1−z、または2n−3−zであり、かつpは0から4までである、工程を包含する。
【0019】
2番目の局面において、本発明は、本明細書中で定義した方法によって得られた、または得ることができる化合物を提供する。
【0020】
3番目の局面において、本発明は、式:
【0021】
【化13】

の化合物から選択される化合物を提供する。
【0022】
4番目の局面において、本発明は、i)ポリマー;およびii)本明細書中で定義された化合物を含む組成物を提供する。
【0023】
参照を容易にするために、本発明のこれらおよびさらなる局面を、適当な項目の表題のもとで議論する。しかし、各項目下の教示は、必ずしもそれぞれの特定の項目に制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1である。
【図2】図2である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書中で議論するように、本方法は工程(1)および(2)、および(3a)または(3b)を必要とする。
【0026】
1つの局面において、工程(1)、(2)および(3a)を行う。この局面において、本発明は、式:
【0027】
【化14】

を有する化合物を調製するための方法を提供し、ここで
、RおよびRは、独立して水素およびアシル基から選択され、
、RおよびRのうちの少なくとも1つは、式:
【0028】
【化15】

の分枝長鎖アシル基であり、ここで
nは9から21までであり、mは2nであり、かつpは0から4までであり、
、RおよびRのうちの他のものは、式:
【0029】
【化16】

の短いアシル基から選択され、ここで
qは0から4までであり、その方法は以下:
(1)式:
【0030】
【化17】

を有する不飽和化合物を提供する工程であって、ここで
、RおよびRは、独立して以下:
(a)水素
(b)式:
【0031】
【化18】

の不飽和長鎖アシル基であって、ここで
xは0から3までであり、nは9から21までであり、かつmは2n−1−x、2n−3−xまたは2n−5−xである、不飽和長鎖アシル基;および
(c)式:
【0032】
【化19】

の短いアシル基であって、ここで
qは0から4までである、短いアシル基
から選択され、
、RおよびRのうちの少なくとも1つは、不飽和長鎖アシル基である、工程;ならびに
(2)もしR、RおよびRのうちの少なくとも1つが水素である場合、必要に応じてその化合物をアシル化する工程;ならびに
(3a)
(i)不飽和長鎖アシル基をヒドロキシル化して、式:
【0033】
【化20】

のヒドロキシ長鎖アシル基を提供する工程であって、ここで
yは1から4までであり、nは9から21までであり、かつmは2n+1−y、2n−1−y、または2n−3−yである、工程、および
(ii)ヒドロキシ長鎖アシル基をアシル化して、式:
【0034】
【化21】

の分枝長鎖アシル基を提供する工程であって、ここで
zは1から4までであり、nは9から21までであり、mは2n+1−z、2n−1−z、または2n−3−zであり、かつpは0から4までである、工程、を包含する。
【0035】
1つの局面において、工程(1)、(2)および(3b)を行う。この局面において、本発明は、式:
【0036】
【化22】

を有する化合物を調製するための方法を提供し、ここで
、RおよびRは、独立して水素およびアシル基から選択され、
、RおよびRのうちの少なくとも1つは、式:
【0037】
【化23】

の分枝長鎖アシル基であり、ここで
nは9から21までであり、mは2nであり、かつpは0から4までであり、
、RおよびRのうちの他のものは、式:
【0038】
【化24】

の短いアシル基から選択され、ここで
qは0から4までであり、その方法は、以下:
(1)式:
【0039】
【化25】

を有する不飽和化合物を提供する工程であって、ここで
、RおよびRは、独立して以下:
(a)水素
(b)式:
【0040】
【化26】

の不飽和長鎖アシル基であって、ここで
xは0から3までであり、nは9から21までであり、かつmは2n−1−x、2n−3−xまたは2n−5−xである、不飽和長鎖アシル基;および
(c)式:
【0041】
【化27】

の短いアシル基であって、ここで
qは0から4までである、短いアシル基
から選択され、
、RおよびRのうちの少なくとも1つは、不飽和長鎖アシル基である、工程;ならびに
(2)もしR、RおよびRのうちの少なくとも1つが水素である場合、必要に応じてその化合物をアシル化する工程;ならびに
(3b)不飽和長鎖アシル基を、式:
【0042】
【化28】

のカルボン酸と反応させて、式:
【0043】
【化29】

の分枝長鎖アシル基を提供する工程であって、ここで
zは1から4までであり、nは9から21までであり、mは2n+1−z、2n−1−z、または2n−3−zであり、かつpは0から4までである、工程、を包含する。
【0044】
1つの局面において、その方法の工程(2)、すなわちもしR、RおよびRのうちの少なくとも1つが水素である場合、必要に応じてその化合物をアシル化することを行う。この局面において、工程(2)は、もしR、RおよびRのうちの少なくとも1つが水素であるなら、その化合物をアシル化することを必要とする。
【0045】
1つの局面において、その方法の工程(2)、すなわちもしR、RおよびRのうちの少なくとも1つが水素である場合、必要に応じてその化合物をアシル化することを行わない。この局面において、工程(2)は省略する。
【0046】
本明細書中で議論するように、本発明は、とりわけ式:
【0047】
【化30】

を有する化合物を提供し、ここで
、RおよびRは、独立して水素およびアシル基から選択され、
、RおよびRのうちの少なくとも1つは、式:
【0048】
【化31】

の分枝長鎖アシル基であり、ここで
zは1から4までであり、nは9から21までであり、mは2n+1−zまたは2n−1−zであり、かつpは0から4までである。
【0049】
上記化合物は、式:
【0050】
【化32】

を有する不飽和化合物に由来し、ここで
、RおよびRは、独立して水素、式:
【0051】
【化33】

の不飽和長鎖アシル基(xは0から3までであり、nは9から21までであり、かつmは2n−1−x、2n−3−xまたは2n−5−xである);および、式:
【0052】
【化34】

の短いアシル基(qは0から4までである)から選択され、
ここでR、RおよびRのうちの少なくとも1つは、不飽和長鎖アシル基である。その不飽和長鎖アシル基をヒドロキシル化して、式:
【0053】
【化35】

のヒドロキシ長鎖アシル基を提供し、ここで
yは1から4までであり、nは9から21までであり、かつmは2n+1−y、2n−1−y、または2n−3−yである。
【0054】
不飽和長鎖アシル基に関して1つの好ましい局面において、nは9から21までであり、およびmは2n−1−xである。この局面において、ヒドロキシ長鎖アシル基に関してnは9から21までであり、およびmは2n+1−yである。
【0055】
好ましい局面において、式:
【0056】
【化36】

を有する化合物を調製し、ここで
、RおよびRのうちの2つが短いアシル基であり、そしてR、RおよびRの1つが分枝長鎖アシル基である。この局面において、RおよびRが短いアシル基であり得、そしてRが分枝長鎖アシル基である。この局面において、RおよびRが短いアシル基であり得、そしてRが分枝長鎖アシル基である。この局面において、RおよびRが短いアシル基であり得、そしてRが分枝長鎖アシル基である。
【0057】
長鎖アシル鎖の長さを意味するnの値を、必要に応じて選択し得る。好ましい局面において、nは13から19までである。好ましくは、nは15から19までである。高度に好ましい局面において、nは17である。nが17である場合、その長鎖アシル鎖はC18脂肪酸由来である。特に好ましい長鎖アシル鎖はオレイン酸由来である。
【0058】
長鎖アシル鎖の分枝の長さを意味するpの値を、必要に応じて選択し得る。好ましい局面において、pは0から3までである。高度に好ましい局面において、pは0または1である。さらに高度に好ましい局面において、pは0である。pが0である場合、長鎖アシル鎖の分枝はアセチル基である。
【0059】
工程(3b)を行う、すなわち不飽和長鎖アシル基を式:
【0060】
【化37】

のカルボン酸と反応させて、式:
【0061】
【化38】

の分枝長鎖アシル基を提供する局面において、そのカルボン酸を、望ましい分枝長鎖アシル基を提供するように選択する。pは0から4までであるので、本発明において使用するために適当なカルボン酸は、酢酸(p=0)、プロパン酸(p=1)、ブタン酸(p=2)、ペンタン酸(p=3)、およびヘキサン酸(p=4)である。
【0062】
短いアシル鎖の長さを意味するqの値を、必要に応じて選択し得る。好ましい局面において、qは0から3までである。高度に好ましい局面において、qは0または1である。さらに高度に好ましい局面において、qは0である。qが0である場合、短いアシル基はアセチル基である。
【0063】
不飽和長鎖アシル基の−OH基の数を意味するxの値を、必要に応じて選択し得る。好ましい局面において、xは0または1である。好ましくはxは0である。
【0064】
ヒドロキシ長鎖アシル基の−OH基の数を意味するyの値を、必要に応じて選択し得る。好ましい局面において、yは1または2である。好ましくは、yは1である。
【0065】
分枝長鎖アシル基の側鎖の数を意味するzの値を、必要に応じて選択し得る。好ましい局面において、zは1または2である。好ましくは、zは1である。
【0066】
xが、OH基が不飽和長鎖アシル基に存在する、または存在しないことを可能にすることが、当業者によって理解される。その方法の工程(3a)によって必要であるように、不飽和長鎖アシル基をヒドロキシル化して、ヒドロキシ長鎖アシル基を提供する。ヒドロキシル化の性質によって、ヒドロキシ長鎖アシル基を提供するために、少なくとも1つのOH基が、不飽和長鎖アシル基に付加されなければならない。従って、ヒドロキシ長鎖アシル基が1つのOH基を有する(すなわちyが1である)場合、これはヒドロキシル化工程の間に加えられなければならない。ヒドロキシ長鎖アシル基が1つより多いOH基を有する(例えばyが2である)場合、OH基のうちの1つまたはそれより多いが、不飽和長鎖アシル基に存在し得(例えばxが1)、そして残りのOH基がヒドロキシル化工程中に加えられた;しかし、あるいはOH基が不飽和長鎖アシル基に存在し得ず(すなわちxが0である)、そして全てのOH基がヒドロキシル化工程の間に付加されたことが認識される。
【0067】
式:
【0068】
【化39】

の不飽和化合物を、任意の適当な供給源から得ることができる、またはそれ由来であり得る。典型的には、それを植物油から得る。その植物油は、必要な不飽和化合物を提供するように当業者によって選択され得る。例えば、ある油は、特定の不飽和脂肪酸が豊富であり、そしてある油は、特定の−OHを含む不飽和脂肪酸が豊富である。有意な量の不飽和脂肪酸を含むほとんど全ての植物油が、開始材料となり得る。例えば、その不飽和化合物は、ヒマワリ油、大豆油、ナタネ(キャノーラ)油、ヒマワリ油、綿実油、ベニバナ油、コーン油、ピーナッツ油、からし油(mustard seed oil)、オリーブ油、パーム油、米ぬか油、パーム核油、モリンガ油またはその混合物由来であり得る。1つの好ましい局面において、その不飽和化合物は、ヒマワリ油由来である。好ましくは、そのヒマワリ油は、オレイン酸を、全脂肪酸含有量に基づいて少なくとも80重量%の量で含む。主にモノエン脂肪酸(オレイン酸、エルカ酸)を含む植物油は、二重結合のいずれかの側に位置するOH基(その後アシル基)を有する、モノヒドロキシル化(その後アセチル化される)化合物を得る。多価不飽和脂肪酸(リノール酸、リノレン酸)を多く含む油の使用は、二重結合のいずれかの側に位置する−OH基(後にアシル基)を有する、ジ−またはトリヒドロキシル化化合物(その後アセチル化される)を得る。部分的に水素付加した植物油も、この方法において使用し得る。
【0069】
【化40】

当業者によって理解されるように、分枝長鎖アシル基の分枝は、長鎖アシル基の鎖の長さのどの部分にも位置し得る。実際、不飽和化合物の選択によって、および特に不飽和長鎖アシル基の不飽和の位置の選択によって、分枝の位置をコントロールし得ることが本発明の利点である。好ましい局面において、その分枝長鎖アシル基は、式:
【0070】
【化41】

の基であり、ここでpは0から4までである。より好ましくは、その長鎖アシル基は、式:
【0071】
【化42】

の基であり、ここでpは0から4までである。
【0072】
上記の局面において、pは好ましくは0であり、そして従って分枝長鎖アシル基は式:
【0073】
【化43】

の基である。
【0074】
好ましくは、その分枝長鎖アシル基は、式:
【0075】
【化44】

の基である。
【0076】
高度に好ましい実施態様において、その化合物は、式:
【0077】
【化45】

の化合物から選択される。
【0078】
好ましくは、その化合物は、式:
【0079】
【化46】

の化合物から選択される。
【0080】
1つの局面において、その化合物は、式:
【0081】
【化47】

の化合物である。
【0082】
好ましくは、その化合物は、式:
【0083】
【化48】

の化合物から選択される。
【0084】
1つの局面において、その化合物は、式:
【0085】
【化49】

の化合物である。
【0086】
好ましくは、その化合物は、式:
【0087】
【化50】

の化合物から選択される。
【0088】
1つの局面において、その化合物は、式:
【0089】
【化51】

の化合物である。
【0090】
さらなる方法の工程
本明細書中で記載される方法の工程は、網羅的ではないこと、および本発明は、本明細書中で記載された工程の前、本明細書中で記載された工程の後、本明細書中で記載された工程の中間、およびその組み合わせのいずれかに、1つまたはそれより多い工程を加えることによって実施し得ることが、当業者によって理解される。例えば、その方法は、不飽和長鎖アシル基をヒドロキシル化する前に、その不飽和化合物のヒドロキシル基のいずれかを保護する工程を含み得る、その方法は、ヒドロキシ長鎖アシル基のアシル化の後に、保護された基を脱保護する工程を含み得る、方法の工程(3a)(ii)は、化合物の全てのヒドロキシ基がアシル化されるように、ヒドロキシ長鎖アシル基をアシル化すること、および他のヒドロキシ基をアシル化することを含み得る。
【0091】
その方法は、本方法の反応産物を精製するさらなる工程を含み得る。これは例えば分画により得る。その方法における典型的な分画工程を、150から300℃、より好ましくは180から250℃の範囲で、そして0.15から100Pa(1mBar)、より好ましくは0.15から10Paの圧力で行い得る。次いで当業者は日常的な実験を使用して、特定の装置における特定の産生のための回収率および純度の間の最適なバランスを生じると考えられる流速を選択する。適当な方法および方法のパラメーターは、WO2006/108754において教示される。
【0092】
ポリマー組成物
本明細書中で議論されるように、本発明は、以下:
i)ポリマー;および
ii)式:
【0093】
【化52】

を有する化合物を含む組成物を提供し、ここで
、R、およびRは、独立して水素およびアシル基から選択され、
、R、およびRのうちの少なくとも1つは、式:
【0094】
【化53】

の分枝長鎖アシル基であり、ここで
nは9から21までであり、mは2nであり、かつpは0から4までであり
、R、およびRのうちの他のものは、式:
【0095】
【化54】

の短いアシル基から選択され、ここで
qは0から4までであり、その化合物を、以下:
(1)式:
【0096】
【化55】

を有する不飽和化合物を提供する工程であって、ここで
、R、およびRは、独立して以下:
(a)水素
(b)式:
【0097】
【化56】

の不飽和長鎖アシル基であって、ここで
xは0から3までであり、nは9から21までであり、かつmは2n−1−x、2n−3−x、または2n−5−xである、不飽和長鎖アシル基;および
(c)式:
【0098】
【化57】

の短いアシル基であって、ここで
qは0から4までである、短いアシル基
から選択され、
、R、およびRのうちの少なくとも1つは不飽和長鎖アシル基である、工程;ならびに
(2)もしR、R、およびRのうちの少なくとも1つが水素である場合、必要に応じてその化合物をアシル化する工程;ならびに
(3a)
(i)不飽和長鎖アシル基をヒドロキシル化して、式:
【0099】
【化58】

のヒドロキシ長鎖アシル基を提供する工程であって、ここで
yは1から4までであり、nは9から21までであり、かつmは2n+1−y、2n−1−y、または2n−3−yである、工程、および
(ii)ヒドロキシ長鎖アシル基をアシル化して、式:
【0100】
【化59】

の分枝長鎖アシル基を提供する工程であって、ここで
zは1から4までであり、nは9から21までであり、mは2n+1−z、2n−1−z、または2n−3−zであり、かつpは0から4までである、工程;あるいは
(3b)不飽和長鎖アシル基を、式:
【0101】
【化60】

のカルボン酸と反応させて、式:
【0102】
【化61】

の分枝長鎖アシル基を提供する工程であって、ここで
zは1から4までであり、nは9から21までであり、mは2n+1−z、2n−1−z、または2n−3−zであり、かつpは0から4までである、工程
を包含する方法によって得る、または得ることができる。
【0103】
本明細書中で議論されるように、本発明はさらに、以下:
i)ポリマー;および
ii)式:
【0104】
【化62】

の化合物から選択される化合物、および
iii)任意で、式:
【0105】
【化63】

の化合物を含む組成物を提供する。
【0106】
好ましい局面において、そのポリマーは熱可塑性ポリマーである。好ましくは、その熱可塑性ポリマーは、塩化ビニルポリマーまたは、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル/塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル/エチレンコポリマー、および塩化ビニルをエチレン/酢酸ビニルコポリマーにグラフトすることによって調製されるコポリマーから選択される塩化ビニルコポリマー、ならびにその混合物である、またはそれらを含む。
【0107】
好ましい局面において、その熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリマー、好ましくは上記で定義したような熱可塑性ポリマー、および2番目のポリマーのポリマー混合物である、またはそれを含む。好ましくは、その2番目のポリマーは、メタクリルポリマーまたはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマーである。
【0108】
本発明の組成物を、組成物の必要な特性を提供する、任意の様式で処方し得る。特定の局面において、本発明の組成物は、ポリマーの100重量部あたり0.01重量部から150重量部の量のような、ポリマーの100重量部あたり1重量部から100重量部の量のような、ポリマーの100重量部あたり10重量部から100重量部の量のような、ポリマーの100重量部あたり20重量部から80重量部の量のような、ポリマーの100重量部あたり30重量部から80重量部の量のような、ポリマーの100重量部あたり40重量部から80重量部の量のような、ポリマーの100重量部あたり50重量部から80重量部の量のような、ポリマーの100重量部あたり60重量部から70重量部の量のような、ポリマーの100重量部あたり0.01重量部から200重量部の量で、その化合物を含む。
【0109】
1つの局面において、本発明は、上記で定義したような化合物および脂肪族ポリエステルを含む組成物を提供する。好ましくは、その脂肪族ポリエステルは生分解性である。
【0110】
生分解性によって、物質が、多くの場合自然の風化および酸化または還元過程と組み合わせて、常在性または外来性の生物、またはその酵素によって分解され得ることを意味する。
【0111】
1つの局面において、その組成物は、任意の生分解性ポリマーを微量で、または脂肪族ポリエステルの完全な置き換えとして含み得る。従って、1つの局面において、本発明は、以下:
i)生分解性ポリマー
ii)(a)本発明の方法によって得た化合物;または
(b)本発明の方法によって得られる化合物;または
(c)式:
【0112】
【化64】

の化合物から選択される化合物のような、本明細書中で定義された化合物
を含む組成物を提供する。
【0113】
適切な生分解性ポリマーの詳細は、文献「Biodegradable Plastics − Developments and Environmental Impacts」、2002年10月、Australian Government Department of the Environment and Heritageにおいて見出すことができる(そのコピーは、http://www.deh.gov.au/settlements/publications/waste/degradables/biodegradable/chapter3.htmlにおいて見出し得る)。
【0114】
本組成物は、バイオレメディエーションに供され得る。バイオレメディエーションは、汚染物質によって変化した環境を、そのもとの状態に戻すために、生分解のこれらの過程を意図的に使用することである。これは、汚染物質を探索し、そしておそらくそれを発掘し、続いて他に廃棄するか、または焼却するよりも安価である、または問題が少ない。
【0115】
好ましくは、そのポリマーは可塑性ポリマーである。可塑性によって、典型的には熱および/または圧力下で流動し、そして次いでその後に固めることができる物質を意味する。
【0116】
EP1029890において議論されるように、本発明において使用するために適当な脂肪族ポリエステルは、分子中に乳酸ユニットを含む脂肪族ポリエステルを含む。その特定の例は、(1)ポリ乳酸、および乳酸−他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸コポリマー、(2)多官能性多糖類および乳酸ユニットを含む脂肪族ポリエステル、(3)脂肪族多価カルボン酸ユニット、脂肪族多価アルコールユニット、および乳酸ユニットを含む脂肪族ポリエステル、および(4)その混合物を含む。すなわち、その例は、乳酸に基づくポリマー(1)から(4)を含む。その中で、ポリ乳酸および乳酸−他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸コポリマーを使用し得る。さらに好ましいのはポリ乳酸である。
【0117】
乳酸は、L−乳酸およびD−乳酸を含む。本発明において単に乳酸と呼ぶ場合、他に示されなければ、L−乳酸およびD−乳酸の両方を示す。ポリマーの分子量は、他に示されなければ重量平均分子量を示す。本発明において使用されるポリ乳酸として、L−乳酸のみから成るポリ(L−乳酸)、D−乳酸のみから成るポリ(D−乳酸)、L−乳酸ユニットおよびD−乳酸ユニットを様々な割合で含むポリ(DL−乳酸)等が列挙される。乳酸−他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸コポリマーのヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等が列挙される。
【0118】
乳酸に基づくポリマーのようなポリマーの使用は、構成する物質が化石燃料、例えば原油から得られるのではない(またはそれらからより少ない程度得られる)ポリマー系の提供を可能にする。従って、これらのポリマー系は生物学的に持続可能(bio−sustainable)である。
【0119】
本明細書中で使用されるポリ乳酸を産生するための方法として、L−乳酸、D−乳酸またはDL−乳酸を、直接脱水および重縮合する方法、ラクチド、そのような乳酸の環状ダイマーを、開環重合する方法等が列挙される。開環重合をまた、高級アルコール、ヒドロキシカルボン酸等のようなヒドロキシル基を有する化合物の存在下で行い得る。その化合物を、任意の方法によって産生し得る。乳酸−他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸コポリマーを産生するための方法として、上記で記載した乳酸および上記で記載した脂肪族ヒドロキシカルボン酸を脱水および重縮合する方法、ラクチド、上記で記載した乳酸の環状ダイマー、および上記で記載したヒドロキシカルボン酸の環状体を開環共重合する方法等が列挙される。そのコポリマーを、あらゆる方法によって産生し得る。乳酸−他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸コポリマーに含まれる乳酸ユニットの量は、好ましくは少なくとも40mol%である。
【0120】
多官能性多糖類および乳酸ユニットを含む脂肪族ポリエステルを産生するために使用される多官能性多糖類の例は、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロイド、ビスコースレーヨン、再生セルロース、セロファン、キュプラ、銅アンモニアレーヨン、キュプロファン(cuprofan)、ベンベルグ、ヘミセルロース、デンプン、アクロペクチン(acropectin)、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、ペクチン、キチン、キトサン、アラビアゴム(gum arabic)、グアーガム(cyamoposis gum)、ローカストビーンガム、アラビアゴム(acacia gum)等、および混合物、および誘導体を含む。その中で、酢酸セルロースおよびエチルセルロースが好ましい。
【0121】
多官能性多糖類および乳酸ユニットを含む脂肪族ポリエステルを産生するための方法として、上記で記載した多糖類を、上記で記載したポリ乳酸、乳酸−他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸コポリマー等と反応させる方法など、上記で記載した多糖類を、上記で記載した乳酸、環状エステル等と反応させる方法など、および他の方法が列挙される。その脂肪族ポリエステルを、あらゆる方法によって産生し得る。その脂肪族ポリエステルに含まれる乳酸ユニットの量は、少なくとも50mol%であることが好ましい。
【0122】
脂肪族多価カルボン酸ユニット、脂肪族多価アルコールユニット、および乳酸ユニットを産生するために使用される脂肪族多価カルボン酸の例は、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等、およびその無水物を含む。これらを、酸無水物と混合し得る。脂肪族多価アルコールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を含む。
【0123】
脂肪族多価カルボン酸ユニット、脂肪族多価アルコールユニット、および乳酸ユニットを含む脂肪族ポリエステルを産生するための方法として、上記で記載した脂肪族多価カルボン酸および上記で記載した脂肪族多価アルコールを、上記で記載したポリ乳酸、乳酸−他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸コポリマー等と反応させる方法、上記で記載した脂肪族多価カルボン酸および上記で記載した脂肪族多価アルコールを、上記で記載したポリ乳酸、環状エステル等と反応させる方法、および他の方法が列挙される。その脂肪族ポリエステルを、あらゆる方法によって産生し得る。その脂肪族ポリエステルに含まれる乳酸ユニットの量は、少なくとも50mol%であることが好ましい。
【0124】
本組成物からフィルムを調製することが望ましい場合、その脂肪族ポリエステルの分子量が、フィルムへの加工性、および得られるフィルムの強度および分解性に影響を与える。その分子量が低い場合、得られたフィルムの強度は減少し、そしてフィルムは使用中に破損し得る。さらに、分解速度は増加する。他方、その分子量が高い場合、加工性は減少し、そしてフィルムの成形は困難になる。そのような観点から、その脂肪族ポリエステルの分子量は、約10,000から約1,000,000の範囲である。さらに好ましい範囲は、100,000から300,000である。
【0125】
本明細書中で記載された化合物を、可塑剤としてポリマーにおいて使用し得る。代替の適用において、本明細書中で記載された化合物を、衝撃改質剤としてポリマーにおいて使用し得る。従って1つの局面において、本発明は、(a)本発明の方法によって得られた化合物;または(b)本発明の方法によって得られる化合物;または(c)式:
【0126】
【化65】

の化合物から選択される化合物のような、本明細書中で定義された化合物を含む可塑剤を提供する。
【0127】
さらなる局面において、本発明は、(a)本発明の方法によって得られた化合物;または(b)本発明の方法によって得られる化合物;または(c)式:
【0128】
【化66】

の化合物から選択される化合物のような、本明細書中で定義された化合物を含む衝撃改質剤を提供する。
【0129】
本発明を、以下の実施例においてさらに詳細に説明する
【実施例】
【0130】
モノグリセリドの合成
全ての反応を、N雰囲気下で行う。2000gのトリグリセリドを、700gのグリセロールおよび0.1%の塩基性触媒と共に反応器へ加える。反応混合物を、均一になるまで撹拌しながら250℃まで加熱する。さらに30分後、その反応混合物を約100℃まで冷却し、そして減圧下で過剰なグリセロールを除去する。モノグリセリドを、短経路蒸留(short path distillation)によって反応混合物から除去する。モノグリセリドの純度を、ガスクロマトグラフィー(GC)、OH価および酸価の標準的な測定によって決定する。
【0131】
アセチル化モノグリセリドの合成
全ての反応を、N雰囲気下で行う。500gのモノグリセリドを、反応器に充填し、そして100℃まで加熱する。350gの無水酢酸を、撹拌しながら加える。この反応は発熱性であるので、無水酢酸の添加は注意深く行う。反応混合物を加熱還流し、そして60分後、蒸留および減圧蒸留によって酢酸および過剰な無水酢酸を除去する。未精製の反応混合物を100℃まで冷却し、脱臭(desodorize)し、そして短経路蒸留によって精製する。アセチル化モノグリセリドの純度を、GC、OH価および酸価の標準的な測定によって決定する。
【0132】
モノヒドロキシおよびモノアセチル化産物の調製
440g(1mol)の完全にアセチル化されたモノオレアートを、750mlの乾燥THFに溶解する。THF中1Mのボラン溶液を500ml、不活性雰囲気下でよく撹拌しながら60分で加える。水浴で冷却することによって、反応混合物を20℃未満に維持する。
【0133】
その混合物を、さらに3時間室温で撹拌し、そしてメタノールを1滴ずつ加えることによって反応をクエンチする。Hの放出が止まった後、160mlの3M NaOH溶液、続いて108mlの50%H溶液を加え、それによって温度を35℃未満に維持する。その混合物をさらに1時間撹拌し、そして500mlの水を加える。水相を除去し、そして有機相を飽和NaCl溶液で数回洗浄する。有機相をNaSOで乾燥し、そして減圧中で溶媒を除去する。その産物をGC、質量分析(MS)、酸価およびOH価によって分析および同定する。
【0134】
そのヒドロキシル化合物を、90−130℃で、過剰な(1.5eq.)無水酢酸でアセチル化する。反応が完了した後(約1−2時間)、酢酸および過剰な無水酢酸を減圧中で除去する。その液体産物を、GC/MS、酸価およびOH価によって分析および特徴付けする。
【0135】
反応産物、SOSAR SEL3568の同定:
この2工程の合成の合わせた収率は>90%である。その産物を、本明細書中でSOSAR SEL3568と示す。SOSAR SEL3568は、9−および10−アセトキシ−オクタデカン酸2,3−ジアセトキシプロピルエステル(M=500.67)、すなわち
【0136】
【化67】

の混合物を含むことが見出された。
【0137】
その確認は、12−アセトキシ−オクタデカン酸2,3−ジアセトキシプロピルエステル(Soft−N−Safe)との比較に基づく。SOSAR SEL3568の主なピークは、2つの共溶出する構成成分のペアから成る(1,3−ジアセトキシプロピルエステルも含む)。MSはSoft−N−Safeと比較して同じ主な断片を示す:
m/z=43(アセトキシ基)、m/z=440(酢酸の喪失)、m/z=380(2×酢酸の喪失)、およびm/z=159(2,3−ジアセトキシプロピルエステル部分)。さらに、Soft−N−Safe分子は、m/z=355(12−アセトキシ基の隣の脂肪族鎖の喪失+酢酸の喪失)を示す。同様に、SOSAR SEL3568の1つの構成成分ペアはm/z=313(9−アセトキシ基の隣の脂肪族鎖+酢酸の喪失)、他方はm/z=327(10−アセトキシ基の隣の脂肪族鎖の喪失+酢酸の喪失)を示す。この断片化パターンは、m/z=327である9−および10−アセトキシ−化合物に由来する。
【0138】
エステル交換SOSAR SEL3568(エチルおよびメチルエステルの両方として)のGC/MS分析は、上記の実験から得られた発見および結論を確認した。
【0139】
その反応産物をさらに精製し得る。上記で議論したように、本研究において、さらなる精製を短経路蒸留によって行った。
【0140】
KD−L5短経路蒸留ユニットを、215℃に調整した伝熱流体および70℃にした冷却器と共に使用した。蒸留を4×10−3mbarで行う。留出物の量は、750g/hの流量で、80%のカットに対応する。
【0141】
留出物を、GCおよびLCによって分析し、アシル化C−18−OHモノグリセリドが約84%で主な構成成分であり、残りは主にアシル化C−16およびC−18モノグリセリドであることを示す。比較のための12−アセトキシ−オクタデカン酸2,3−ジアセトキシプロピルエステル(Soft−N−Safe;SNS)参照サンプルのクロマトグラムである図2と共に、蒸留反応産物のGC−クロマトグラムを、図1において見ることができる。
【0142】
ジヒドロキシル化モノグリセリドの合成
150gのモノグリセリド(モノオレアート)を、反応器に充填し、そして50℃まで加熱する。10gのギ酸および70gの50%過酸化水素溶液を、撹拌しながら加える。その反応混合物を、さらに4時間撹拌する。100mlのシクロヘキサンを加え、そして反応混合物を、分液漏斗に移す。有機層を、水性亜硫酸ナトリウムおよび脱塩水で洗浄する。有機層を分離し、そして溶媒を減圧中で除去する。その産物の純度を、GC、I−、OH−、および酸価によって分析する。
【0143】
ジヒドロキシル化合物を、上記で記載したようにアセチル化する。その産物を、GC/MS、酸価およびOH価によって分析および特徴付けする。その産物を本明細書中でSOSAR MKH3972と示す。SOSAR MKH3972は、式:
【0144】
【化68】

の化合物を含むことが見出された。
【0145】
可塑剤試験
GRINDSTED SOFT−N−SAFE、SOSAR SEL 3568およびSOSAR MKH 3972を、DIN53457に従って引っ張り強さ、引っ張り応力、および伸びに関して評価し、そしてDIN53505に従ってショアA硬さに関して評価した。
【0146】
【表1】

GRINDSTED SOFT−N−SAFEは、下記に示す式の化合物であり、そしてDaniscoA/S、Denmarkから入手可能である:
【0147】
【化69】

SOSAR SEL 3568は、有効な可塑剤であり、そしてGRINDSTED SOFT−N−SAFEに匹敵する力学的特性を有することが見出された。
【0148】
SOSAR MKH 3972も可塑剤として作用する。
【0149】
上記の明細書中で述べられた全ての出版物は、本明細書中で参考文献に組み込まれる。本発明の記載された方法およびシステムの様々な修飾および変更が、本発明の範囲および意図から離れることなく、当業者に明らかである。本発明は特定の好ましい実施態様に関連して記載されたが、請求される本発明は、そのような特定の実施態様に過度に制限されるべきではないことが理解されるべきである。実際、化学または関連する分野の当業者に明らかである、本発明を実施するための記載された方式の様々な修飾が、以下の請求の範囲内であることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化70】

を有する化合物を調製するための方法であって、ここで、
、R、およびRは、独立して水素およびアシル基から選択され、
、R、およびRのうちの少なくとも1つは、式:
【化71】

の分枝長鎖アシル基であり、ここで、
nは9から21までであり、mは2nであり、かつpは0から4までであり、
、R、およびRのうちのその他のものは、式:
【化72】

の短いアシル基から選択され、ここで、
qは0から4までであり、該方法は:
(1)式:
【化73】

を有する不飽和化合物を提供する工程であって、ここで、
、R、およびRは、独立して以下:
(a)水素、
(b)式:
【化74】

の不飽和長鎖アシル基であって、ここで、
xは0から3までであり、nは9から21までであり、かつmは2n−1−x、2n−3−x、または2n−5−xである、不飽和長鎖アシル基、および
(c)式:
【化75】

の短いアシル基であって、ここで、
qは0から4までである、短いアシル基
から選択され、
、R、およびRのうちの少なくとも1つは、不飽和長鎖アシル基である、工程;ならびに
(2)R、R、およびRのうちの少なくとも1つが水素である場合、必要に応じて該化合物をアシル化する工程;ならびに
(3a)
(i)該不飽和長鎖アシル基をヒドロキシル化して、式:
【化76】

のヒドロキシ長鎖アシル基を提供する工程であって、ここで、
yは1から4までであり、nは9から21までであり、かつmは2n+1−y、2n−1−y、または2n−3−yである、工程、および
(ii)該ヒドロキシ長鎖アシル基をアシル化して、式:
【化77】

の分枝長鎖アシル基を提供する工程であって、ここで、
zは1から4までであり、nは9から21までであり、mは2n+1−z、2n−1−z、または2n−3−zであり、かつpは0から4までである、工程;あるいは
(3b)該不飽和長鎖アシル基を、式:
【化78】

のカルボン酸と反応させて、式:
【化79】

の分枝長鎖アシル基を提供する工程であって、ここで、
zは1から4までであり、nは9から21までであり、mは2n+1−z、2n−1−z、または2n−3−zであり、かつpは0から4までである、工程
を包含する、方法。
【請求項2】
工程(3a)が実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式:
【化80】

の不飽和長鎖アシル基において、xは0から3までであり、nは9から21までであり、かつmは2n−1である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記式:
【化81】

のヒドロキシ長鎖アシル基において、yは1から4までであり、nは9から21までであり、かつmは2nである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記式:
【化82】

を有する化合物を調製するための、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法であって、ここで、R、RおよびRのうちの2つが前記短いアシル基であり、そしてR、RおよびRのうちの1つが分枝長鎖アシル基である、方法。
【請求項6】
nが13から19までである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
nが15から19までである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
nが17である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
pが0から3までである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
pが0である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
qが0から3までである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
qが0である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
xが0である、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
yが1である、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
zが1である、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記不飽和化合物が、ヒマワリ油、大豆油、ナタネ(キャノーラ)油、ヒマワリ油、綿実油、ベニバナ油、コーン油、ピーナッツ油、からし油、オリーブ油、パーム油、米ぬか油、パーム核油、モリンガ油またはその混合物に由来する、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ヒマワリ油が、オレイン酸を、全脂肪酸含有量に基づいて少なくとも80重量%の量で含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記分枝長鎖アシル基が、式:
【化83】

の基であり、ここで、pが0から4までである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記分枝長鎖アシル基が、式:
【化84】

の基であり、ここで、pが0から4までである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記分枝長鎖アシル基が、式:
【化85】

の基であり、ここで、pが0から4までである、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記分枝長鎖アシル基が、式:
【化86】

の基である、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
式:
【化87】

を有する化合物を調製するための、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
式:
【化88】

を有する化合物を調製するための、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
式:
【化89】

を有する化合物を調製するための、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記不飽和長鎖アシル基をヒドロキシル化する前に、前記不飽和化合物上の任意のヒドロキシル基を保護する工程を包含する、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記ヒドロキシ長鎖アシル基のアシル化の後に、保護された前記基を脱保護する工程を包含する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
工程(3a)(ii)が、前記化合物上の全てのヒドロキシ基がアシル化されるように、前記ヒドロキシ長鎖アシル基をアシル化すること、および他のヒドロキシ基をアシル化することを含む、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法によって得られる化合物。
【請求項29】
式:
【化90】

の化合物。
【請求項30】
式:
【化91】

の化合物。
【請求項31】
式:
【化92】

の化合物。
【請求項32】
i)式:
【化93】

の化合物、および
ii) 請求項28、29、30または31に記載の化合物
を含む、組成物。
【請求項33】
i)ポリマー
ii)請求項28、29、30または31に記載の化合物、あるいは請求項32に記載の組成物
を含む、組成物。
【請求項34】
前記ポリマーが熱可塑性ポリマーである、請求項33に記載の組成物。
【化94】

【請求項35】
前記熱可塑性ポリマーが、塩化ビニルポリマー、または、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル/塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル/エチレンコポリマー、および塩化ビニルをエチレン/酢酸ビニルコポリマーにグラフトすることによって調製されるコポリマーから選択される塩化ビニルコポリマー、ならびにその混合物である、またはそれらを含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記ポリマーが、生分解性ポリマーである、請求項33または34に記載の組成物。
【請求項37】
先に実質的に記載された、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
先に実質的に記載された、請求項28、29、30または31に記載の化合物。
【請求項39】
先に実質的に記載された、請求項32または33に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−502405(P2013−502405A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525223(P2012−525223)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002992
【国際公開番号】WO2011/021107
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(397060588)デュポン ニュートリション バイオサイエンシーズ エーピーエス (67)
【Fターム(参考)】