説明

グリップ補助具

【課題】柄に、保持や操作を補助する構造物を設けることで、握力の弱い人にも操作が容易で、手首の負担を軽減し、柄を安定で強く保持できる。
【解決手段】図1の如く、柄4に接合する鞍型で上部がドーム状の構造の掌握部2を設け、掌握部2の上部の前半部に前傾して突き出る円柱状の突起する構造の指環部3を設ける。
人差し指と親指を指環部3に引っ掛けて環状に握り、手の母指球を掌握部2にのせられる様にしたグリップ補助具1を、柄4の上に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
棒状の柄に設けるグリップ補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図3に示すように、道具に取り付けられる柄は、手のひらの親指、母指球、小指球側と他の4本の指で挟んで保持する棒状の物であった。
柄をねじる回転方向及び押したり引いたりする前後方向の操作は、手の握力によって生じる摩擦力により行うため、握力が小さいと自在に操作するのが困難であった。
保持する際、手首を小指側へ折り曲げる姿勢になるため、手首に負担がかかり、痛みを伴う事もあった。
これらを補助する構造としては、滑り止めの凹凸形状の付加や、滑りにくい材質の使用、指を掛けて引くまたは押す突起を設けた物は有ったが、全てを一度に解決する構造物は無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−197851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
柄に、保持や操作を補助する構造物を設けることで、握力の弱い人にも操作が容易で、手首の負担を軽減し、道具の柄を安定で強く保持できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1)親指と人差し指で環状に握る円柱状の指環部上面31を有する指環部3と、
2)指環部3の後方にあって母指球5をのせるドーム状の掌握部2と、
3)柄4と接する凹状の底面11とを備えた
ことを特徴とするグリップ補助具。
【0006】
グリップ補助具1の内部に空洞を設けたことを特徴とするグリップ補助具。
【0007】
指環部上面31に構造物を付加したことを特徴とするグリップ補助具。
【0008】
グリップ補助具1の表面に凹凸加工及び彩色を施したことを特徴とするグリップ補助具。
【0009】
底面11と柄4を着脱できる接続装置で連結することを特徴とするグリップ補助具。
【0010】
柄4と一体に設けたことを特徴とするグリップ補助具。
【発明の効果】
【0011】
1)柄4から分岐して上方へ突き出す円柱状の指環部3を、親指と人差し指で環状に握る事により、柄4の回転及び前後方向の操作を、手の握力に頼る事無く行う事ができる。
2)人差し指が、柄4の上側に位置する事により、手首を小指側へ折り曲げる角度が小さくなり、手首の苦痛を和らげる事ができる。
手のひら全体を広く用いて握る事により、小さい力でも安定で強く保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のグリップ補助具の構成。
【図2】本発明のグリップ補助具を柄と一体に作りこんだ場合の構成と、その使用例を示す。
【図3】従来のグリップの構成。
【図4】釣用リールを備えたグリップ補助具。
【図5】犬型デザインのグリップ補助具を取り付けたフライパン。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明のグリップ補助具1の構成を示す。
本発明のグリップ補助具1は、掌握部2と指環部3からなる。
掌握部2は鞍型で、上部は母指球を当てられるようにドーム状になっており、底面11は、柄4と接続するように凹の半円筒形状になっている。
指環部3は、掌握部2の上部の前半部分から、指環部上面31を有し、前傾して上方に突き出る円柱状の突起で、人差し指と親指を引っ掛けて握り易くしている。
本発明のグリップ補助具1は、樹脂や木質材の場合、柄4に一体成型で製造するか、柄4と接着剤又は金具を用いて取り付けてもよい。
グリップ補助具1と柄4を一体化してグリップ10を形成する。
【0014】
図2は、本発明のグリップ補助具を柄と一体に作りこんだ場合の構成と、その使用例を示す。
本発明のグリップ補助具1は、柄4と、柄4の上部に取り付ける掌握部2と、人差し指と親指を引っ掛ける指環部3が一体に構成している。
指環部3の前側に人差し指を引っ掛け、後側に親指を引っ掛ける。
柄4から分岐して突き出す円柱状の指環部3を、親指と人差し指の2本の指で環状に握る事により、柄4の回転及び前後方向の操作を、手の握力に頼る事無く行う事ができる。
掌握部2の上に母指球5をのせ、掌握部2の後ろの柄4の上に小指球6をのせる。
手のひらをグリップ補助具1の側面に当てる。
中指、薬指、小指を柄4の下側からグリップ補助具1の反対側面に回す。
柄4と掌握部2を、手のひらの母指球5、小指球6側と中指、薬指、小指の3本の指で上下から挟んで保持する。
人差し指が、柄4の上側に位置する事により、手首を小指側へ折り曲げる角度が小さくなり、手首の苦痛を和らげる事ができる。
より重い重量を支えるには、手首にかかる負担を前腕7に分散させる肘当て保持をするため、終端部41を延長した柄4が用いられる。
柄4の上に小指球6を乗せる事により、終端部41が前腕7の下側に位置するようになる。
人差し指が、柄4の上側に位置する事により、終端部41と前腕7の距離が近くなる。
終端部41が前腕7の下側に位置し、距離が近くなることにより、肘当て保持への移行が容易になる。
手のひら全体を広く用いて握る事により、小さい力でも安定で強く保持できる。
【0015】
本発明のグリップ補助具1は、フライパン、ポット、片手中華鍋、釣竿、たも網、ギャフ、傘の柄に適用できる。
又、本発明のグリップ補助具1の指環部上面31を開口又は蓋にして、指環部3と掌握部2の内部を空洞にし、内部に収容できる空間を設けてもよい。
【0016】
図4は、釣用リールを備えたグリップ補助具である。
指環部上面31と底面11に取り付け穴81を設けて、釣用リール本体8と接続金具83を取り付けてあり、従来の釣用リールと同様に、接続金具83を釣竿のリールシートで固定して使用するもので、着脱自在である。ハンドル82を操作するとき、釣竿が回転するのを容易に抑制できる。このように、指環部上面31と底面11に取り付け穴81を設けることにより、釣用リール本体8や接続金具83と容易に連結が可能となる。取り付け穴81は、予め接続用の金具を埋め込んでもよい。指環部上面31は、釣用リールに限らず、色々な装置や構造物との接続面として利用できる。
【0017】
図5は、犬型デザインのグリップ補助具を取り付けたフライパンを示す。
指環部上面31に、犬の頭部形状の構造物91を取り付けて、掌握部2に犬の足状の凹凸デザイン形状93の加工及び彩色を施して、柄と一体成型で製造したグリップをフライパン9に取り付けた場合の使用例で、両耳の間の凹部は、お玉受け部92として利用できる。グリップ補助具1は、犬型デザインに限らず、他の動植物や靴のデザインにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
釣具など以外に、掃除道具、農工具、武器防具や色々な分野の道具の柄に応用できる。
【符号の説明】
【0019】
1 グリップ補助具
11 底面
2 掌握部
3 指環部
31 指環部上面
4 柄
41 終端部
5 母指球
6 小指球
7 前腕
8 釣用リール本体
81 取り付け穴
82 ハンドル
83 接続金具
9 フライパン
91 犬の頭部形状の構造物
92 お玉受け部
93 犬の足状の凹凸デザイン形状
10 グリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)親指と人差し指で環状に握る円柱状の指環部上面31を有する指環部3と、
2)指環部3の後方にあって母指球5をのせるドーム状の掌握部2と、
3)柄4と接する凹状の底面11とを備えた
ことを特徴とするグリップ補助具。
【請求項2】
グリップ補助具1の内部に空洞を設けたことを特徴とする請求項1記載のグリップ補助具。
【請求項3】
指環部上面31に構造物を付加したことを特徴とする請求項1記載または請求項2記載のグリップ補助具。
【請求項4】
グリップ補助具1の表面に凹凸加工及び彩色を施したことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のグリップ補助具。
【請求項5】
底面11と柄4を着脱できる接続装置で連結することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のグリップ補助具。
【請求項6】
柄4と一体に設けたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のグリップ補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−187009(P2012−187009A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50929(P2011−50929)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【特許番号】特許第4917676号(P4917676)
【特許公報発行日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(711002708)
【Fターム(参考)】