説明

グレーチングの離脱防止方法および離脱防止金具

【課題】新設または既設のグレーチングに対し該グレーチングを開閉することなく、また工具を使うことなく簡易迅速にグレーチングの離脱防止金具が設置される方法を提供する。
【解決手段】主垂下板4と、この主垂下板4の下端側に装着された反転板6とを備えた離脱防止金具1を用意し、反転板6は、主垂下板4の下端側に交差状に支持された支点部6aと、下半身部分6bと、下半身部分6bより重い上半身部分6cとを備える。かくして、反転板6が上半身部分6cを上側に下半身部分6bを下側にする倒立姿勢にされた状態で主垂下板4をグレーチング2の上方から該グレーチングの隣接するメインバー3,3間に差し込んで主垂下板4の上端縁をメインバー3に引っ掛けた状態に垂れ下げ、この垂れ下げに伴って反転板6が自重により支点部6a回りに上下反転してグレーチング2の下端側と被係止体10の下面側との間に前記差込み方向と逆方向に抜止め係合状態に姿勢切り換えする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接するグレーチング同士間、またはコンクリート側溝もしくはコンクリート蓋とグレーチングとの間に設置されてグレーチングが離脱するのを防止するグレーチングの離脱防止方法および離脱防止金具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のグレーチングの離脱防止金具として、例えば、図15のように被着金具20とL形支持杆21からなる離脱防止金具22を隣接するグレーチング23,23のメインバー24,24の上側と下側から挟み込んでL形支持杆21の雄ねじ部21aにナット25を締め付けてグレーチング23,23同士を連結して離脱を防止するもの(特許文献1参照)や、図16のように隣接するグレーチング23,23のメインバー24,24に、一端および他端に係合片26,27を設け、一方の係合片26にコイルばね28を備えた連結金具29を下側から取り付け、隣接するグレーチング23,23間の遊びを無くしてがたつき無く連結するものがある(特許文献2参照)。
また、図17に示すように、掛止部材30と当着部材31、および両部材30,31間に装着したコイルスプリング32により離脱防止金具33を構成し、掛止部材30をグレーチング23のメインバー24に引っ掛けて垂れ下げ、当着部材31をこれの上端面31aに設けた溝35にドライバー等工具を掛けて回転させることで該当着部材31の先端部分31bを門型側溝やコンクリート蓋34の下面に当接し、コイルスプリング32の弾発作用によりグレーチング23と門型側溝又はコンクリート蓋34とを挟持させてグレーチング23の離脱を防止できるようにしたものがある(特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2566605号公報
【特許文献2】特開平7−268941号公報
【特許文献3】特開2005−256393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図15や図16に示すような離脱防止金具22,29では、それらの離脱防止金具の取り付けに当たってグレーチング23を開閉する必要があって多くの手間がかかるばかりか、離脱防止金具22,29の主要部材以外にナット25やコイルばね28等の付属部材を必要とするためコスト高になるという問題があった。
図17に示す離脱防止金具33ではグレーチング23の上側から離脱防止金具33を取り付けることができるためグレーチング23を開閉することなくその取り付けを行うことができるメリットがある反面、当着部材31を回転させるのに工具を必要とするデメリットがある。図15に示す離脱防止金具22においてもナット25を回すための工具を必要とする。
【0005】
本発明は、上記のような諸問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、新設または既設のグレーチングに対し該グレーチングを開閉することなく、また工具を使うことなく離脱防止金具を簡易迅速に設置することができ、また必要部材点数の減少、コストダウンを図れるグレーチングの離脱防止方法および離脱防止金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のグレーチングの離脱防止方法は、請求項1に記載のように、発明の内容を理解しやすくするために図1〜図13に付した符号を参照して説明すると、グレーチング2とこのグレーチング2に隣接する被係止体10との間に離脱防止金具1を設置し、この離脱防止金具1によりグレーチング2が被係止体10から離脱するのを防止するに際し、離脱防止金具1として主垂下板4と、この主垂下板4の下端側に装着された反転板6とを備えたものを用意し、反転板6は、上下方向中間部に設けられ主垂下板4の下端側に交差状に支持された支点部6aと、この支点部6aから上下方向一側に連設された下半身部分6bと、支点部6aから上下方向他側に連設された、下半身部分6bより重い上半身部分6cを備えており、反転板6が上半身部分6cを上向きに下半身部分6bを下向きにする倒立姿勢状態下で主垂下板4をグレーチング2の上方から該グレーチング2内に差込むことにより主垂下板4の上端縁4aをグレーチング2のメインバー3もしくはクロスバー11の上端縁に引っ掛けて垂れ下げ、この垂れ下げに伴って反転板6が上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転してグレーチング2の下端側と被係止体10の下面側との間に主垂下板4の差込み方向と逆方向に抜止め係合状態に姿勢切り換えすることに特徴を有するものである。
茲において、被係止体10とは、コンクリート側溝、隣接するコンクリート蓋、隣接するグレーチング、グレーチングの載置される受枠など固定体もしくは半固定体を含む意味に用いる(以下、同じ)。
【0007】
上記構成のグレーチングの離脱防止方法によれば、グレーチング2に対し主垂下板4を該グレーチング2の上方から落とし込み装着するだけの簡単な操作で、グレーチング2を開閉することなくしかも工具を用いることなく簡易迅速に設置することができる。また、主垂下板4と反転板6の比較的数少ない部材点数で足りるため、それだけコストダウンを図ることができる。
【0008】
本発明のグレーチングの離脱防止金具は、請求項2に記載のように、発明の内容を理解しやすくするために図1〜図3に付した符号を参照して説明すると、グレーチング2とこのグレーチング2に隣接する被係止体10との間に設置されてグレーチング2が被係止体10から離脱するのを防止する離脱防止金具1であって、上端縁4aがグレーチング2のメインバー3の上端縁3aに引っ掛けられて垂れ下がる主垂下板4と、この主垂下板4の、メインバー3の下端縁3bより更に下方に延びる下端側に装着された反転板6とを備えており、反転板6は、上下方向中間部に設けられ主垂下板4の下端側に交差状に支持された支点部6aと、この支点部6aから上下方向一側に連設された下半身部分6bと、支点部6aから上下方向他側に連設された、下半身部分6bより重い上半身部分6cとを備え、主垂下板4がグレーチング2のメインバー3に引っ掛けられて垂れ下がった自由状態において反転板6が上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転して下半身部分6bをメインバー3の下端縁に当接させるとともに、上半身部分6cを被係止体10の下面側に対向させるように構成していることに特徴を有するもである。
【0009】
このような構成の離脱防止金具によれば、主垂下板4上において反転板6が上半身部分6cを上向きに下半身部分6bを下向きにする倒立姿勢状態に重ね合わされ、この重ね合わせ状態を指先で持って維持しながら主垂下板4の上端縁4aをメインバー3の上端縁3aに引っ掛けて垂れ下げる。この主垂下板4の垂れ下がりに伴って指先による反転板6の重ね合わせ拘束状態が解放されるため、反転板6は上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転して上半身部分6cを被係止体10の下面側に対向させるとともに、下半身部分6bをメインバー3の下端縁3bに当接させる、という離脱防止金具の設置状態が得られる。
かかる離脱防止金具の設置状態下では、グレーチング2が離脱、飛散しようとしても、反転板6の上半身部分6cが被係止体10の下面側に係合し、この係合状態は下半身部分6bがメインバー3の下端縁3bに当接していることにより堅持されるため、グレーチング2が離脱、飛散するのを防止できる。
【0010】
請求項2に記載のグレーチングの離脱防止金具は、請求項3に記載のように、主垂下板4の上端縁4aに、メインバー3の上端縁3aに引っ掛けられるフック部8を設けることができる。この構成によると、主垂下板4の上端縁4aをメインバー3の上端縁3aにフック部8を介して簡単且つ確実に引っ掛けることができる。
【0011】
本発明は、請求項4に記載のように、発明の内容を理解しやすくするために図4〜図7に付した符号を参照して説明すると、グレーチング2とこのグレーチング2に隣接する被係止体10との間に設置されてグレーチング2が被係止体10から離脱するのを防止する離脱防止金具であって、上端縁5aがグレーチング2のメインバー3もしくはクロスバー11の上端縁に引っ掛けられて垂れ下がる副垂下板5と、上端縁4aが副垂下板5の上端縁5aにメインバー3もしくはクロスバー11を挟んで副垂下板5と相対向するよう引っ掛けられて垂れ下がる主垂下板4と、主垂下板4の、メインバー3もしくはクロスバー11の下端縁より更に下方に延びる下端側に装着された反転板6とを備えており、反転板6は、上下方向中間部に設けられ主垂下板4の下端側に交差状に支持された支点部6aと、この支点部6aから上下方向一側に連設された下半身部分6bと、支点部6aから上下方向他側に連設された、下半身部分6bより重い上半身部分6cとを備え、主垂下板4がグレーチング2のメインバー3もしくはクロスバー11の上端縁に引っ掛けられて垂れ下がった自由状態において反転板6が上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転して下半身部分6bを副垂下板5の下端縁5bに当接させるとともに、上半身部分6cを被係止体10の下面側に対向させるように構成してあることに特徴を有するものである。
【0012】
このような構成の離脱防止金具によれば、先ず、副垂下板5をグレーチング2の上方からメインバー3もしくはクロスバー11に引っ掛けて垂れ下げ、次いで、主垂下板4上において反転板6が上半身部分6cを上向きに下半身部分6bを下向きにする倒立姿勢状態に重ね合わされ、この重ね合わせ状態を指先で持って維持しながら主垂下板4の上端縁4aを副垂下板5の上端縁5aにメインバー3もしくはクロスバー11を挟んで副垂下板5と相対向するように引っ掛けて垂れ下げる。この主垂下板4の垂れ下がりに伴って指先による反転板6の重ね合わせ拘束状態が解放されるため、反転板6は上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転して上半身部分6cを被係止体10の下面側に対向させるとともに、下半身部分6bを副垂下板5の下端縁5bに当接させる、という離脱防止金具の設置状態が得られる。
この離脱防止金具の設置状態下では、グレーチング2が離脱、飛散しようとしても、反転板6の上半身部分6cが被係止体10の下面側に係合し、この係合状態は下半身部分6bが副垂下板5の下端縁5bに当接していることにより堅持されるため、グレーチング2が離脱、飛散するのを防止できる。
【0013】
請求項4記載のグレーチングの離脱防止金具は、請求項5に記載のように、主垂下板4の上端縁4aに、メインバー3もしくはクロスバー11を挟んで副垂下板5の上端縁5aに引っ掛けられるフック部8を設けることができる。これによると、主垂下板4の上端縁4aを副垂下板5の上端縁5aに簡単且つ確実に引っ掛けることができる。
【0014】
請求項3又は5記載のグレーチングの離脱防止金具は、請求項6に記載のように、主垂下板4のフック部8の長さDは反転板6の上半身部分6cと被係止体10の下面側との間の対向間隙Gよりも長く設定するという構成を採用することができる。この構成によると、設置後、主垂下板4を引き上げて離脱防止金具1をグレーチング2から取外されるのを防止できる。
【0015】
請求項4ないし6のいずれか1項に記載のグレーチングの離脱防止金具は、請求項7に記載のように、主垂下板4は、副垂下板5の上端縁5aに引っ掛けられて垂れ下がった状態から該上端縁5aの一側方へ分離可能に移動できるように成すという構成を採用することができる(図8、図9参照)。この構成によると、溝やます穴の掃除などに際し、離脱防止金具1を設置後においても該離脱防止金具1をグレーチング2から上方へ取出すことができる。
【0016】
本発明のグレーチングの離脱防止金具は、請求項8に記載のように、発明の内容を理解しやすくするために図10〜図11に付した符号を参照して説明すると、グレーチング2とこのグレーチング2に隣接する被係止体10との間に設置されてグレーチング2が被係止体10から離脱するのを防止する離脱防止金具であって、上端縁4aがグレーチング2のメインバー3もしくはクロスバー11の上端縁に引っ掛けられて垂れ下がる主垂下板4と、この主垂下板4の、メインバー3もしくはクロスバー11の下端縁より更に下方に延びる下端側に装着された反転板6と、上端縁5aがメインバー3もしくはクロスバー11に隣接する他のメインバー3もしくはクロスバー11に引っ掛けられて垂れ下がる副垂下板5とを備えており、反転板6は、上下方向中間部に設けられ主垂下板4の下端側に交差状に支持された支点部6aと、この支点部6aから上下方向一側に連設された下半身部分6bと、支点部6aから上下方向他側に連設された、下半身部分6bより重い上半身部分6cとを備え、主垂下板4がグレーチング2のメインバー3もしくはクロスバー11に引っ掛けられて垂れ下がった自由状態において反転板6が上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転して下半身部分6bを被係止体10の下面側に対向させるとともに、上半身部分6cを副垂下板5の下端縁5bで押えるように構成していることに特徴を有するものである。
【0017】
このような構成の離脱防止金具によれば、主垂下板4上において反転板6が上半身部分6cを上向きに下半身部分6bを下向きにする倒立姿勢状態に重ね合わされ、この重ね合わせ状態を指先で持って維持しながら主垂下板4の上端縁4aをメインバー3もしくはクロスバー11の上端縁に引っ掛けて垂れ下げる。この主垂下板4の垂れ下がりに伴って指先による反転板6の重ね合わせ拘束状態が解放されるため、反転板6は上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転して下半身部分6bを被係止体10の下面側に対向させる。上半身部分6cは他のメインバー3もしくはクロスバー11の上端縁に引っ掛けられる副垂下板5の下端縁5bで押えられる、という離脱防止金具の設置状態が得られる。
この離脱防止金具の設置状態下では、グレーチング2が離脱、飛散しようとしても、反転板6の下半身部分6bが被係止体10の下面側に係合し、この係合状態は上半身部分6cが副垂下板5の下端縁5bで押えられていることにより堅持されるため、グレーチング2が離脱、飛散するのを防止できる。
【0018】
請求項8記載のグレーチングの離脱防止金具は、請求項9に記載のように、主垂下板4の上端縁4aに、メインバー3もしくはクロスバー11の上端縁に引っ掛けられるフック部8を設けることができる。これによると、主垂下板4の上端縁4aをメインバー3もしくはクロスバー11の上端縁に簡単且つ確実に引っ掛けることができる。
【0019】
請求項4ないし9のいずれか1項に記載のグレーチングの離脱防止金具は、請求項10に記載のように、副垂下板5の上端縁5aに、メインバー3もしくはクロスバー11の上端縁に引っ掛けられるフック部7を設けることができる。これによると、副垂下板5の上端縁5aをメインバー3もしくはクロスバー11の上端縁に簡単且つ確実に引っ掛けることができる。
【0020】
本発明のグレーチングの離脱防止金具は、請求項11に記載のように、発明の内容を理解しやすくするために図12〜図13に付した符号を参照して説明すると、グレーチング2とこのグレーチング2に隣接する被係止体10との間に設置されてグレーチング2が被係止体10から離脱するのを防止する離脱防止金具1であって、上端縁がグレーチング2のメインバー3もしくはクロスバー11の上端縁に引っ掛けられて垂れ下がるフック部8を備えた主垂下板4と、この主垂下板4の、メインバー3もしくはクロスバー11の下端縁より更に下方に延びる下端側に装着された反転板6とを備えており、反転板6は、上下方向中間部に設けられ主垂下板4の下端側に交差状に支持された支点部6aと、この支点部6aから上下方向一側に連設された下半身部分6bと、支点部6aから上下方向他側に連設された、前記下半身部分6bより重い上半身部分6cとを備え、主垂下板4がグレーチング2のメインバー3もしくはクロスバー11に引っ掛けられて垂れ下がった自由状態において反転板6が上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転して下半身部分6bをフック部8の下端縁に当接させるとともに、上半身部分6cを被係止体10の下面側に対向させるように構成していることに特徴を有するものである。
【0021】
このような構成の離脱防止金具によれば、主垂下板4上において反転板6が上半身部分6cを上向きに下半身部分6bを下向きにする倒立姿勢状態に重ね合わされ、この重ね合わせ状態を指先で持って維持しながら主垂下板4のフック部8をメインバー3もしくはクロスバー11の上端縁に引っ掛けて垂れ下げる。この主垂下板4の垂れ下がりに伴って指先による反転板6の重ね合わせ拘束状態が解放されるため、反転板6は上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転して上半身部分6cを被係止体10の下面側に対向させるとともに、下半身部分6bをフック部8の下端縁8bに当接させる、という離脱防止金具の設置状態が得られる。
かかる離脱防止金具の設置状態下では、グレーチング2が離脱、飛散しようとしても、反転板6の上半身部分6cが被係止体10の下面側に係合し、この係合状態は下半身部分6bがフック部8の下端縁8bに当接していることにより堅持されるため、グレーチング2が離脱、飛散するのを防止できる。
【0022】
請求項2又は4又は8又は11記載のグレーチングの離脱防止金具は、請求項12に記載のように、主垂下板4に装着孔9を設け、この装着孔9に反転板6を挿通して該反転板6を主垂下板4に交差状に装着するという構成を採用することができる。この構成によると、反転板6を主垂下板4に簡単に交差状に装着することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の離脱防止方法および離脱防止金具によれば、新設または既設のグレーチングに対し主垂下板を該グレーチングの上方から落とし込み装着するだけで、グレーチングを開閉することなくしかも工具を用いることなく簡易迅速に設置することができる。また、主垂下板と反転板の比較的数少ない点数で足りるため、それだけコストダウンを図ることができる。主垂下板は反転板を倒立姿勢にした状態でグレーチングの上方から差し込むのでグレーチングのメインバー同士間の間隔が狭い細目グレーチングにも上方から難なく垂れ下げることができ、該細目グレーチングへの設置にもよく対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図、図2(a)〜(b)は同グレーチングの離脱防止金具の取付過程を示す断面図、図3は同グレーチングの離脱防止金具の斜視図、図4は他の実施例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図、図5(a)〜(c)は同グレーチングの離脱防止金具の取付過程を示す断面図、図6は同グレーチングの離脱防止金具の分解斜視図、図7は更に他の実施例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図、図8は更に又、他の実施例のグレーチングの離脱防止金具の分解斜視図、図9は図8のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す正面図、図10は更に又、他の実施例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図、図11(a),(b)は図10のグレーチングの離脱防止金具の取付過程を示す断面図、図12は更に又、他の実施例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図、図13(a),(b)は図12のグレーチングの離脱防止金具の取付過程を示す断面図、図14は更に又、他の実施例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図である。
【0025】
本発明に係るグレーチングの離脱防止方法について、図1〜図14に付した符号を参照して説明すると、グレーチング2とこのグレーチング2に隣接する被係止体10であるコンクリート側溝との間に離脱防止金具1を設置し、この離脱防止金具1によりグレーチング2が被係止体10から離脱するのを防止するに際し、離脱防止金具1として主垂下板4と、この主垂下板4の下端側に装着された反転板6とを備えたものを用意する。反転板6は、上下方向中間部に設けられ主垂下板4の下端側に交差状に支持された支点部6aと、この支点部6aから上下方向一側に連設された下半身部分6bと、支点部6aから上下方向他側に連設された、下半身部分6bより重い上半身部分6cとを備えている。かくして、反転板6が上半身部分6cを上向きに下半身部分6bを下向きにする倒立姿勢にされた状態で主垂下板4をグレーチング2の上方から該グレーチング2の隣接するメインバー3,3間に差し込んで主垂下板4の上端縁をメインバー3に引っ掛けた状態に垂れ下げ、この垂れ下げに伴って反転板6が自重により支点部6a回りに上下反転してグレーチング2の下端側と被係止体10の下面側との間に前記主垂下板4の差込み方向と逆方向(反差込方向)に抜止め係合状態に姿勢切り換えするようにしたものである。
【0026】
図1〜図3は上記グレーチングの離脱防止方法を実施できる離脱防止金具1の一実施例を示している。
図1、図3に示すように、離脱防止金具1は上端縁4aがグレーチング2のメインバー3の上端縁3aに引っ掛けられて垂れ下がる主垂下板4と、この主垂下板4の、メインバー3の下端縁3bより更に下方に延びる下端側に装着された反転板6とを備える。
【0027】
主垂下板4は、四角形の金属製平板等からなり、その上端縁4aにフック部8を設け、このフック部8をグレーチング2のメインバー3の上端縁3aに引っ掛けることにより垂れ下げられる。
【0028】
図3に示すように、反転板6は、主垂下板4の、メインバー3の下端縁3bより更に下方に延びる下端側に交差状に取り付けられる。主垂下板4には反転板6を取り付けるために正面視において広幅孔部9aと狭幅孔部9bを有するT形状の装着孔9が開口される。反転板6は四角形の金属製平板等からなり、上下方向中間部に括れ状に設けられた支点部6aと、この支点部6aから上下方向一側に連設された下半身部分6bと、支点部6aから上下方向他側に下半身部分6bの幅より広幅になるよう連設されて下半身部分6bより重い上半身部分6cとを備える形に形成される。そして、反転板6は、下半身部分6bを装着孔9の広幅孔部9aより差込んでから支点部6aの両端の括れ部を装着孔9の狭幅孔部9bの両端縁に係合させて下方へ移動させることにより、主垂下板4の狭幅孔部9bの下端側に支点部6a回りに上下反転自在に支持される。これにより、反転板6は、自由状態において、上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転してメインバー3の下端縁3bに当接し、この当接により上半身部分6cはこれの少なくとも先端部がグレーチング2に隣接する被係止体10であるコンクリート側溝の下面側に対向する長さに設定してある。
なお、装着孔9は、上記のように幅孔部9aと狭幅孔部9bを有するT形状に形成されたものに限られず、反転板6を支点部6a回りに上下反転自在に且つ抜止め交差状に装着することができれば、その他の形状に形成することもできる(以下の各実施例においても同様である。)。
【0029】
主垂下板4が引っ掛けられるグレーチング2のメインバー3に隣接する端のメインバー3Eは、反転板6の反転動作時に該反転板6と干渉することのないように他のメインバー3よりも短く形成している。これに代えて、主垂下板4が引っ掛けられるメインバー3を他のメインバー3よりも長く形成することもよく、これによっても反転板6の反転動作時に主垂下板4が引っ掛けられるメインバー3に隣接するメインバーに該反転板6が干渉する問題を回避できる。
【0030】
次に、上記構成の離脱防止金具1をグレーチング2と被係止体10であるコンクリート側溝との間に設置する要領について説明する。
【0031】
先ず、図2(a)のように、主垂下板4上において反転板6を上半身部分6cが上向きに下半身部分6bが下向きになる倒立姿勢になるように指先で矢印P方向に押さえて重ね合わせ、この倒立姿勢状態を維持しながら主垂下板4をグレーチング2の上方から下方に向かって矢印A方向に差込む。すると、同図(b)のように、主垂下板4の垂れ下がりに伴って指先による反転板6の重ね合わせ拘束状態が解放されて自由状態になるため、反転板6は上半身部分6cの重力により支点部6a回りに矢印C方向に反転して図1のように下半身部分6bがメインバー3の下端縁3bに当接するとともに、上半身部分6cがコンクリート側溝10の下面側に対向する。つまり、反転板6はグレーチング2の下端側とコンクリート側溝10の下面側との間に主垂下板4の反差込方向に抜止め係合状態に姿勢切り換えする。
【0032】
したがって、この状態下でグレーチング2が離脱しようとしても、反転板6の上半身部分6cがコンクリート側溝10の下面側に係合し、この係合状態は下半身部分6bがメインバー3の下端縁3bに当接していることにより堅持されるため、グレーチング2が被係止体10から離脱、飛散するのを確実に防止できる。
【0033】
上記離脱防止金具1のグレーチング2への設置状態は、主垂下板4をグレーチング2に落とし込み装着することにより簡単に得られる。また、主垂下板4の落とし込みに伴い反転板6は上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転することにより上半身部分6cがコンクリート側溝10の下面側に対向するとともに下半身部分6bがメインバー3の下端縁3bに当接するため、工具を用いることなく、離脱防止金具1をグレーチング2に簡易迅速に設置することができる。図1に示すように、主垂下板4のフック部8の長さDは上半身部分6cとコンクリート側溝10の下面側との間の対向間隙Gよりも長く設定することにより、装着後、主垂下板4を引き上げても離脱防止金具1をグレーチング2から取り外すことができないようにしてある。なお、離脱防止金具1はグレーチング2のメインバー3に代えて、メインバー3に対し交差状に備え付けられるクロスバー11に引っ掛けて取り付けることもできる。
【0034】
図4〜図6はグレーチングの離脱防止金具1の他の実施例を示すものであり、この実施例では、図4、図6に示すように、離脱防止金具1は、グレーチング2のメインバー3に引っ掛けられて垂れ下がる主垂下板4とこれに装着された反転板6に、更に副垂下板5を加えてなる。
【0035】
副垂下板5は、四角形の金属製平板等からなり、その上端縁5aの左右両端にフック部7,7を設け、このフック部7,7をグレーチング2のメインバー3の上端縁3aに引っ掛けることによりグレーチング2に垂れ下げられる。この副垂下板5の上下方向の縦長さはグレーチング2に垂れ下がった状態でその下端縁5bがメインバー3の下端縁3bより更に下方へ突出するような寸法に設定されている。
【0036】
主垂下板4は、副垂下板5の横幅よりも狭い横幅を有しかつ副垂下板5の縦長さよりも長い縦長寸法の四角形の金属製平板等からなり、その上端縁4aにフック部8を設け、このフック部8を副垂下板5の上端縁5aのフック部7,7間に引っ掛けることによりメインバー3を挟んで副垂下板5と対向するように垂れ下げられる。
【0037】
図1〜図3に示す実施例の場合と同様に、反転板6は、主垂下板4の、メインバー3の下端縁3bより更に下方に延びる下端側に交差状に装着される。主垂下板4には反転板6を装着するために正面視において広幅孔部9aと狭幅孔部9bを有するT形状の装着孔9が開口される。反転板6は四角形の金属製平板等からなり、上下方向中間部に括れ状に設けられた支点部6aと、この支点部6aから上下方向一側に連設された下半身部分6bと、支点部6aから上下方向他側に下半身部分6bの幅より広幅になるよう連設されて下半身部分6bより重い上半身部分6cとを備える形に形成される。そして、反転板6は、下半身部分6bを装着孔9の広幅孔部9aより差込んでから支点部6aの両端の括れ部を装着孔9の狭幅孔部9bの両端縁に係合させて下方へ移動させることにより、主垂下板4の狭幅孔部9bの下端側に支点部6a回りに上下反転自在に支持される。これにより、反転板6は、自由状態において、上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転して下半身部分6bが副垂下板5の下端縁5bに当接し、この当接により上半身部分6cはこれの少なくとも先端部がグレーチング2に隣接する被係止体10であるコンクリート側溝の下面側に対向する長さに設定してある。
【0038】
次に、上記構成の離脱防止金具1をグレーチング2と被係止体10であるコンクリート側溝との間に設置する要領について説明する。
【0039】
先ず、図5(a)のように、副垂下板5をグレーチング2の上方から下方に向かって矢印A方向に差込み、同図(b)のようにそのフック部7をメインバー3の上端縁3aに引っ掛けて垂れ下げる。次いで、同図(b)のように主垂下板4上において反転板6を上半身部分6cが上向きに下半身部分6bが下向きになる倒立姿勢になるように指先で矢印P方向に押さえて重ね合わせ、この倒立姿勢状態を維持しながら主垂下板4を矢印A方向に差込むと、同図(c)のようにフック部8を副垂下板5の上端縁5aのフック部7,7間にメインバー3を挟んで副垂下板5と相対向するように引っ掛けて垂れ下げる。すると、主垂下板4の垂れ下がりに伴って指先による反転板6の重ね合わせ拘束状態が解放されて自由状態になるため、反転板6は上半身部分6cの重力により支点部6a回りに矢印C方向に上下反転して図4のように下半身部分6bが副垂下板5の下端縁5bに当接するとともに、上半身部分6cがコンクリート側溝10の下面側に対向する。つまり、反転板6はグレーチング2の下端側とコンクリート側溝10の下面側との間に主垂下板4の反差込方向に抜止め係合状態に姿勢切り換えする。
【0040】
したがって、この状態下でグレーチング2が離脱しようとしても、反転板6の上半身部分6cがコンクリート側溝10の下面側に係合し、この係合状態は下半身部分6bが副垂下板5の下端縁5bに当接していることにより堅持されるため、グレーチング2が離脱、飛散するのを確実に防止できる。
【0041】
上記離脱防止金具1のグレーチング2への装着状態は、副垂下板5をグレーチング2に落とし込み装着してから主垂下板4を落とし込み装着することにより簡単に得られる。また、主垂下板4の落とし込みに伴い反転板6は上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転することにより上半身部分6cがコンクリート側溝10の下面側に対向するとともに下半身部分6bが副垂下板5の下端縁5bに当接するため、工具を用いることなく、離脱防止金具1をグレーチング2に簡易迅速に取り付けることができる。
【0042】
図4に示すように、主垂下板4のフック部8の長さDは上半身部分6cとコンクリート側溝10の下面側との間の対向間隙Gよりも長く設定することにより、装着後、主垂下板4を引き上げても離脱防止金具1をグレーチング2から取り外すことができないようにしてある。
【0043】
反転板6が上半身部分6cをコンクリート側溝10の下面側に対向させるとともに下半身部分6bを副垂下板5の下端縁5bに当接させる状態下での姿勢としては、図4のように主垂下板4と略直交する略水平姿勢に限られず、図7のように主垂下板4と交差する傾斜姿勢であってもよい。
なお、上記実施例において、離脱防止金具1はグレーチング2のメインバー3に代えて、メインバー3に対し交差状に備え付けられるクロスバー11に引っ掛けて取り付けることもできる。
【0044】
図8、図9は更に他の実施例の離脱防止金具を示すものであり、この実施例では図8のように副垂下板5の上端縁5aにフック部7を片方のみに設けることで、図9に実線で示す離脱防止金具1の装着状態から、主垂下板4を副垂下板5の上端縁5a上においてフック部7の無い側の矢印F方向に移動させて仮想線Kで示すように上端縁5aの一側方へ分離できるように成し、これにより、溝やます穴の掃除等にそなえて、離脱防止金具1の装着後においてもグレーチング2から主,副垂下板4,5および反転板6を上方へ取り出せるようにした点が図4〜図6に示す実施例のものと異なる。すなわち、上記のように主垂下板4を副垂下板5の上端縁5a上において矢印F方向に移動させて仮想線Kで示すように上端縁5aの一側方へ分離させると、反転板6の下半身部分6bが副垂下板5の下端縁5bから外れるため、反転板6は上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転して図8に仮想線で示すように上半身部分6cが主垂下板4の片面側で下向きに、下半身部分6bが主垂下板4の他面側で上向きになる状態で主垂下板4上に重ね合わされる状態が得られる。これにより主垂下板4を反転板6ごとグレーチング2から容易に上方へ取り出せることができ、また副垂下板5もグレーチング2から上方へ取り出せることができる。それ以外の構成、作用については図4〜図6に示す実施例のものと同様であるため、同一部材に同一符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図10〜図11はグレーチングの離脱防止金具1の更に他の実施例を示すものであり、この実施例では、離脱防止金具1が、グレーチング2のメインバー3に引っ掛けられて垂れ下がる主垂下板4とこれに装着された反転板6のほかに、更に副垂下板5を加えてなる点で、図4〜図6に示す離脱防止金具1と同様であるが、図4〜図6に示す離脱防止金具1とはグレーチング2に対する主垂下板4および副垂下板5の装着順および装着の仕方が少々異なる。
【0046】
すなわち、先ず、図11(a)のように、主垂下板4上において反転板6を上半身部分6cが上向きに下半身部分6bが下向きになる倒立姿勢になるように指先で矢印P方向に押さえて重ね合わせ、この倒立姿勢状態を維持しながら主垂下板4をグレーチング2の上方から下方に向かって矢印A方向に差込み、同図(b)のようにそのフック部8をメインバー3の上端縁3aに引っ掛けて垂れ下げる。この主垂下板4の垂れ下がりに伴って指先による反転板6の重ね合わせ拘束状態が解放されて自由状態になるため、反転板6は上半身部分6cの重力により支点部6a回りに矢印C方向に上下反転して下半身部分6bがコンクリート側溝10の下面側に対向する。次いで、副垂下板5を矢印E方向に差込んでそのフック部7を前記メインバー3に隣接する他のメインバー3の上端縁3aに引っ掛けて垂れ下げ状態に係合固定する。すると、図10のように副垂下板5の下端縁5bで反転板6の上半身部分6cが押えられる。つまり、反転板6はグレーチング2の下端側とコンクリート側溝10の下面側との間に主垂下板4の反差込方向に抜止め係合状態に姿勢切り換えする。
【0047】
したがって、この状態下でグレーチング2が離脱しようとしても、反転板6の下半身部分6bがコンクリート側溝10の下面側に係合し、この係合状態は上半身部分6cが副垂下板5の下端縁5bで押えられてことにより堅持されるため、グレーチング2が離脱、飛散するのを確実に防止できる。
【0048】
上記離脱防止金具1のグレーチング2への装着状態は、主垂下板4をグレーチング2に落とし込み装着してから副垂下板5を落とし込み装着することにより簡単に得られる。また、主垂下板4の落とし込みに伴い反転板6は上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転することにより下半身部分6bがコンクリート側溝10の下面側に対向し、副垂下板5の落とし込みによりその下端縁5bで反転板6の上半身部分6cを押さえるため、工具を用いることなく、離脱防止金具1をグレーチング2に簡易迅速に取り付けることができる。なお、上記実施例において、離脱防止金具1はグレーチング2のメインバー3に代えて、メインバー3に対し交差状に備え付けられるクロスバー11に引っ掛けて取り付けることもできる。
【0049】
図12〜図13はグレーチングの離脱防止金具1の更に他の実施例を示すものであり、この実施例では、離脱防止金具1が、グレーチング2のメインバー3に引っ掛けられて垂れ下がる主垂下板4とこれに装着された反転板6からなることは、図1〜図3に示す離脱防止金具1と同様であるが、図1〜図3に示す離脱防止金具1とは主垂下板4の上端縁4aに備えたフック部8の長さはグレーチング2のメインバー3の高さよりも長く形成し、これにより離脱防止金具1のグレーチング2への落とし込み装着後、該フック部8の下端縁8bで反転板6の下半身部分6bを受け止めるようにしてある点が異なる。
【0050】
すなわち、上記構成の離脱防止金具1をグレーチング2と被係止体10であるコンクリート側溝との間に設置する要領について説明する。
先ず、図13(a)のように、主垂下板5上において反転板6を上半身部分6cが上向きに下半身部分6bが下向きになる倒立姿勢になるように指先で矢印P方向に押さえて重ね合わせ、この倒立姿勢状態を維持しながら主垂下板5をグレーチング2の上方から下方に向かって矢印A方向に差込む。すると、同図(b)のように、主垂下板4の垂れ下がりに伴って指先による反転板6の重ね合わせ拘束状態が解放されて自由状態になるため、反転板6は上半身部分6cの重力により支点部6a回りに矢印C方向に反転して図12のように下半身部分6bがメインバー3の下端縁3bより更に下方に延びるフック部8の下端縁8bに当接するとともに、上半身部分6cがコンクリート側溝10の下面側に対向する。つまり、反転板6はグレーチング2の下端側とコンクリート側溝10の下面側との間に主垂下板4の反差込方向に抜止め係合状態に姿勢切り換えする。
【0051】
したがって、この状態下でグレーチング2が離脱しようとしても、反転板6の上半身部分6cがコンクリート側溝10の下面側に係合し、この係合状態は下半身部分6bがフック部8の下端縁8bに当接していることにより堅持されるため、グレーチング2が被係止体10から離脱、飛散するのを確実に防止できる。
【0052】
上記離脱防止金具1のグレーチング2への設置状態は、主垂下板4をグレーチング2に落とし込み装着することにより簡単に得られる。また、主垂下板4の落とし込みに伴い反転板6は上半身部分6cの重力により支点部6a回りに上下反転することにより上半身部分6cがコンクリート側溝10の下面側に対向するとともに下半身部分6bがフック部8の下端縁8bに当接するため、工具を用いることなく、離脱防止金具1をグレーチング2に簡易迅速に設置することができる。なお、この離脱防止金具1はグレーチング2のメインバー3に代えて、メインバー3に対し交差状に備え付けられるクロスバー11に引っ掛けて取り付けることもできる。
【0053】
上記実施例では、コンクリート側溝を被係止体10とするが、その他に、図14のように、グレーチング2に隣接するグレーチング12を被係止体10とし、この隣接するグレーチング2,12同士間に離脱防止金具1を設置してグレーチング2が離脱、飛散するのを防止することもできる。この場合、離脱防止金具1の設置後、反転板6の上半身部分6cは隣接するグレーチング12の下面側に対向することになる。
その他に、図示省略するが対象のグレーチングに隣接するコンクリート蓋を被係止体10としてこのコンクリート蓋とグレーチングとの間に上記離脱防止金具1を取り付けたり、受枠の上にグレーチングを設置するタイプの場合はその受枠を被係止体10として、その受枠とグレーチングとの間に離脱防止金具1を取り付けたりすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図である。
【図2】(a)〜(b)は同グレーチングの離脱防止金具の取付過程を示す断面図である。
【図3】同グレーチングの離脱防止金具の斜視図である。
【図4】他の実施例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図である。
【図5】(a)〜(c)は図4のグレーチングの離脱防止金具の取付過程を示す断面図である。
【図6】図4のグレーチングの離脱防止金具の分解斜視図である。
【図7】更に他の実施例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図である。
【図8】更に又、他の実施例のグレーチングの離脱防止金具の分解斜視図である。
【図9】図8のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す正面図である。
【図10】更に又、他の実施例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図である。
【図11】(a),(b)は図10のグレーチングの離脱防止金具の取付過程を示す断面図である。
【図12】更に又、他の実施例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図である。
【図13】(a),(b)は図12のグレーチングの離脱防止金具の取付過程を示す断面図である。
【図14】更に又、他の実施例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図である。
【図15】従来例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図である。
【図16】他の従来例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図である。
【図17】更に他の従来例のグレーチングの離脱防止金具の取付完了状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 離脱防止金具
2 グレーチング
3 メインバー
3a メインバーの上端縁
3b メインバーの下端縁
4 主垂下板
4a 主垂下板の上端縁
4b 主垂下板の下端縁
5 副垂下板
5a 副垂下板の上端縁
5b 副垂下板の下端縁
6 反転板
6a 支点部
6b 下半身部分
6c 上半身部分
7 副垂下板のフック部
8 主垂下板のフック部
10 コンクリート側溝(被係止体)
11 クロスバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレーチングとこのグレーチングに隣接する被係止体との間に離脱防止金具を設置し、この離脱防止金具により前記グレーチングが前記被係止体から離脱するのを防止するに際し、前記離脱防止金具として主垂下板と、この主垂下板の下端側に装着された反転板とを備えたものを用意し、前記反転板は、上下方向中間部に設けられ前記主垂下板の下端側に交差状に支持された支点部と、この支点部から上下方向一側に連設された下半身部分と、前記支点部から上下方向他側に連設された、前記下半身部分より重い上半身部分を備えており、
前記反転板が上半身部分を上向きに下半身部分を下向きにする倒立姿勢状態下で前記主垂下板を前記グレーチングの上方から該グレーチング内に差込むことにより前記主垂下板の上端縁を前記グレーチングのメインバーもしくはクロスバーの上端縁に引っ掛けて垂れ下げ、この垂れ下げに伴って前記反転板が前記上半身部分の重力により前記支点部回りに上下反転して前記グレーチングの下端側と前記被係止体の下面側との間に前記主垂下板の差込み方向と逆方向に抜止め係合状態に姿勢切り換えすることを特徴とする、グレーチングの離脱防止方法。
【請求項2】
グレーチングとこのグレーチングに隣接する被係止体との間に設置されて前記グレーチングが前記被係止体から離脱するのを防止する離脱防止金具であって、上端縁が前記グレーチングのメインバーの上端縁に引っ掛けられて垂れ下がる主垂下板と、この主垂下板の、前記メインバーの下端縁より更に下方に延びる下端側に装着された反転板とを備えており、
前記反転板は、上下方向中間部に設けられ前記主垂下板の下端側に交差状に支持された支点部と、この支点部から上下方向一側に連設された下半身部分と、前記支点部から上下方向他側に連設された、前記下半身部分より重い上半身部分とを備え、前記主垂下板が前記グレーチングのメインバーに引っ掛けられて垂れ下がった自由状態において前記反転板が前記上半身部分の重力により前記支点部回りに上下反転して前記下半身部分を前記メインバーの下端縁に当接させるとともに、前記上半身部分を前記被係止体の下面側に対向させるように構成していることを特徴とする、グレーチングの離脱防止金具。
【請求項3】
前記主垂下板の上端縁に、前記メインバーの上端縁に引っ掛けられるフック部を設けている、請求項2記載のグレーチングの離脱防止金具。
【請求項4】
グレーチングとこのグレーチングに隣接する被係止体との間に設置されて前記グレーチングが前記被係止体から離脱するのを防止する離脱防止金具であって、上端縁が前記グレーチングのメインバーもしくはクロスバーの上端縁に引っ掛けられて垂れ下がる副垂下板と、上端縁が前記副垂下板の上端縁に前記メインバーもしくはクロスバーを挟んで前記副垂下板と相対向するよう引っ掛けられて垂れ下がる主垂下板と、この主垂下板の、前記メインバーもしくはクロスバーの下端縁より更に下方に延びる下端側に装着された反転板とを備えており、
前記反転板は、上下方向中間部に設けられ前記主垂下板の下端側に交差状に支持された支点部と、この支点部から上下方向一側に連設された下半身部分と、前記支点部から上下方向他側に連設された、前記下半身部分より重い上半身部分とを備え、前記主垂下板が前記グレーチングのメインバーもしくはクロスバーに引っ掛けられて垂れ下がった自由状態において前記反転板が前記上半身部分の重力により前記支点部回りに上下反転して前記下半身部分を前記副垂下板の下端縁に当接させるとともに、前記上半身部分を前記被係止体の下面側に対向させるように構成していることを特徴とする、グレーチングの離脱防止金具。
【請求項5】
前記主垂下板の上端縁に、メインバーもしくはクロスバーを挟んで前記副垂下板の上端縁に引っ掛けられるフック部を設けている、請求項4記載のグレーチングの離脱防止金具。
【請求項6】
前記主垂下板のフック部の長さは前記反転板の上半身部分と前記被係止体の下面側との間の対向間隙よりも長く設定している、請求項3又は5記載のグレーチングの離脱防止金具。
【請求項7】
前記主垂下板は、前記副垂下板の上端縁に引っ掛けられて垂れ下がった状態から該上端縁の一側方へ分離可能に移動できるように構成してある、請求項4ないし6のいずれか1項に記載のグレーチングの離脱防止金具。
【請求項8】
グレーチングとこのグレーチングに隣接する被係止体との間に設置されて前記グレーチングが前記被係止体から離脱するのを防止する離脱防止金具であって、上端縁が前記グレーチングのメインバーもしくはクロスバーの上端縁に引っ掛けられて垂れ下がる主垂下板と、この主垂下板の、前記メインバーの下端縁より更に下方に延びる下端側に装着された反転板と、上端縁が前記メインバーに隣接する他のメインバーもしくはクロスバーの上端縁に引っ掛けられて垂れ下がる副垂下板を備えており、
前記反転板は、上下方向中間部に設けられ前記主垂下板の下端側に交差状に支持された支点部と、この支点部から上下方向一側に連設された下半身部分と、前記支点部から上下方向他側に連設された、前記下半身部分より重い上半身部分とを備え、前記主垂下板が前記グレーチングのメインバーもしくはクロスバーに引っ掛けられて垂れ下がった自由状態において前記反転板が前記上半身部分の重力により前記支点部回りに上下反転して前記下半身部分を前記被係止体の下面側に対向させるとともに、前記上半身部分を前記副垂下板の下端縁で押えるように構成していることを特徴とする、グレーチングの離脱防止金具。
【請求項9】
前記主垂下板の上端縁に、前記メインバーもしくはクロスバーの上端縁に引っ掛けられるフック部を設けている、請求項8記載のグレーチングの離脱防止金具。
【請求項10】
前記副垂下板の上端縁に、前記メインバーもしくはクロスバーの上端縁に引っ掛けられるフック部を設けている、請求項4ないし9のいずれか1項に記載のグレーチングの離脱防止金具。
【請求項11】
グレーチングとこのグレーチングに隣接する被係止体との間に設置されて前記グレーチングが前記被係止体から離脱するのを防止する離脱防止金具であって、上端縁が前記グレーチングのメインバーもしくはクロスバーの上端縁に引っ掛けられて垂れ下がるフック部を備えた主垂下板と、この主垂下板の、前記メインバーもしくはクロスバーの下端縁より更に下方に延びる下端側に装着された反転板とを備えており、
前記反転板は、上下方向中間部に設けられ前記主垂下板の下端側に交差状に支持された支点部と、この支点部から上下方向一側に連設された下半身部分と、前記支点部から上下方向他側に連設された、前記下半身部分より重い上半身部分とを備え、前記主垂下板が前記グレーチングのメインバーもしくはクロスバーに引っ掛けられて垂れ下がった自由状態において前記反転板が前記上半身部分の重力により前記支点部回りに上下反転して前記下半身部分を前記フック部の下端縁に当接させるとともに、前記上半身部分を前記被係止体の下面側に対向させるように構成していることを特徴とする、グレーチングの離脱防止金具。
【請求項12】
前記主垂下板に装着孔を設け、この装着孔に前記反転板を挿通して該反転板を前記主垂下板に交差状に装着している、請求項2又は4又は8又は11記載のグレーチングの離脱防止金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−52299(P2009−52299A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220584(P2007−220584)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000006910)株式会社淀川製鋼所 (34)
【Fターム(参考)】