説明

ケーブル収容管補修システム及び方法並びに補修システムにおける加圧チューブ及びライニング材

【課題】所定の管路の保護管内の既設ケーブルを布設した状態で、ライニング材により管路を補修するケーブル収容管補修方法を提供する。
【解決手段】本発明のケーブル収容管補修方法は、既設ケーブル4を管状防護材30で包み込むステップと、ライニング材6を環状に連結する連結手段9により、ライニング材6で既設ケーブル4を包み込むステップと、複数の流路を有する加圧チューブ31を既設ケーブル4とライニング材6との間に布設するステップと、加圧チューブ31の複数の流路を加圧して膨らませ、ライニング材6を保護管2の内面に当接し、ライニング材6を硬化させるステップと、所定時間を経過後、加圧チューブ31を取り除くステップと、加圧チューブ31を取り除いた後、管状防護材30を取り除くステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にケーブルが布設されている管路を補修するケーブル布設済みケーブル収容管補修システム及び方法並びに補修システムにおける加圧チューブ及びライニング材に関する。
【背景技術】
【0002】
地下に埋設されている管路の鋼管等の保護管の内面を補修するのに、筒状ライニング材が用いられる。筒状ライニング材は、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂或いは常温硬化性樹脂を含浸又は塗布した可撓性のある材料で形成される。このような筒状ライニング材を未硬化の状態で管路の内部に配置し、次に、水圧或いは空気圧等で膨らませて管路の内面に押し付け、この筒状ライニング材内に、高温の温水、蒸気を通し、或いは紫外線を照射することにより、筒状ライニング材の硬化性樹脂を硬化させてライニングする。
【0003】
一方、既に現用のケーブルが管路に布設されているような場合、このケーブルが管路の補修の邪魔になり、保護管からケーブルを取り除くことは、運用中のケーブルの代わりとなる補助的経路の確保を要し、極めて作業効率が悪い。
【0004】
そこで、この問題に対処するために、管路内部にケーブルが布設されている場合であっても、ケーブルが布設されたままの状態で管路を補修することができる技術が開示されている(特許文献1,2参照)。
【0005】
これらの従来技術では、シート状ライニング材からなる未硬化の状態のライニングシートと、可撓性ある1本のチューブとを用いる。これらの従来技術を、図19〜図22を参照して概説する。図19は、保護管の一方の開口部から他方の開口部に亘って保護管内に、ライニングシートから形成されるライニングシート管とチューブを引き込む工程を示す縦断面図である。図20は、保護管内でケーブルを包みながらライニングシートの両側辺を連結してライニングシート管を形成する工程を示す横断面図である。図21は、保護管内でケーブルを包みながらライニングシートの両側辺を連結してライニングシート管を形成する工程を示す斜視図である。図22は、チューブを高温の温水で膨らませてライニングシート管を保護管の内面に当接させた状態の保護管の断面図である。
【0006】
図19〜図22に示すように、地下1に埋設されている管路の鋼管等の保護管2の内面を補修するのに、保護管2の内径に応じた寸法の幅を有する帯状に形成された未硬化の状態の可撓性あるライニングシート6を巻回して、シートロール7として回転自在に支持するロールスタンド5を用意する。このロールスタンド5は、保護管2の内径に応じた寸法の幅を有する帯状に形成された可撓性あるチューブ19を巻回して回転自在に支持するものとしても利用できる。
【0007】
これらの従来技術において、まず、ライニングシート6によりケーブル4を包み込むために、ファスナー(スライド連結操作体)8等の連結手段9によりライニングシート6の両側辺に設けられた連結子10a,10bを噛み合い連結させながら牽引用ロープ11で牽引する。このようにして、保護管2の一方の開口部側(マンホール3a側の挿入口12)にてライニングシートの幅方向の両端を相互に連結して管状形態のライニングシート管15を形成するとともに、他方の開口部(マンホール3b側の引き出し口13)から牽引用ロープ14でライニングシート6を引き込み、保護管2の一方の開口部から他方の開口部に亘ってライニングシート6を配置する。次に、保護管2の一方の開口部から他方の開口部に亘って保護管2内に配置したライニングシート6内に、チューブ19を挿入して引き込み、該チューブ19を高温の温水で膨らませてライニングシート6を保護管2の内面に当接し、所定時間この状態を維持してライニングシート6を硬化させてライニングシート管15を形成し保護管2の内面に固定する。その後、チューブ19を取り除くようにしている。
【0008】
【特許文献1】特開2005−288786号公報
【特許文献2】特開2006−15704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の従来技術では、管路内部にケーブルが既設されている場合であっても、ケーブルが布設されたままの状態で管路を補修することができるため、極めて有用な技術である。しかしながら、既設ケーブルを傷つけない程度にライニングシート又はチューブを引き入れるには、制限された牽引力(例えば、1000N未満の牽引力)で挿入して確実な施工を確保することが要求され、補修に係る施工効率には改善の余地がある。
【0010】
また、上述の従来技術では、1本の流路を有するチューブを用い、ライニングシートを加圧して固着させるため、既設ケーブルを管内側壁に押し付ける部分が生じ、圧力が均一にかからず、補修品質に改善の余地がある。
【0011】
さらに、ライニングシート等に用いるファスナーは、このファスナー部分自体が補修効果のあるライニング材の不連続部を形成し、他の部分と比較して補修強度が低下するおそれがあり、補修品質に改善の余地がある。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上述の問題に鑑み、補修品質を改善したケーブル収容管補修システム及び方法並びに補修システムにおける加圧チューブ及びライニング材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のケーブル収容管補修システムは、所定の管路の保護管内の既設ケーブルを布設した状態で、ライニング材により管路を補修するケーブル収容管補修システムであって、補修する管路に亘って既設ケーブルを包み込むための管状防護材と、前記補修する管路に亘って前記管状防護材を包み込むためのライニング材と、前記補修する管路に亘って前記既設ケーブルと前記ライニング材との間に布設するための複数の流路を有する加圧チューブと、前記ライニング材を前記保護管の内面に当接し、この当接した状態を所定時間維持して前記ライニング材を硬化させるための、前記加圧チューブの複数の流路を所定時間で定まる前記ライニング材の硬化条件以上の気密又は液密状態で加圧する加圧手段と、前記所定時間を経過後、前記加圧チューブを取り除くチューブ撤去手段と、前記加圧チューブを取り除いた後、前記管状防護材を取り除く防護材撤去手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明のケーブル収容管補修方法は、所定の管路の保護管内の既設ケーブルを布設した状態で、ライニング材により管路を補修するケーブル収容管補修方法であって、補修する管路に亘って既設ケーブルを管状防護材で包み込むステップと、前記補修する管路に亘って前記ライニング材を環状に連結する連結手段により、前記ライニング材で前記既設ケーブルを包み込むステップと、前記補修する管路に亘って複数の流路を有する加圧チューブを前記既設ケーブルと前記ライニング材との間に布設するステップと、前記加圧チューブの複数の流路を所定時間で定まる前記ライニング材の硬化条件以上の気密又は液密状態で加圧して膨らませ、前記ライニング材を前記保護管の内面に当接し、この当接した状態を所定時間維持して前記ライニング材を硬化させるステップと、前記所定時間を経過後、前記加圧チューブを取り除くステップと、前記加圧チューブを取り除いた後、前記管状防護材を取り除くステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明のケーブル収容管補修方法において、前記加圧チューブを取り除くステップは、前記加圧チューブの複数の流路を構成する各流路用チューブを1つずつ取り除くステップを更に含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明のケーブル収容管補修方法において、前記加圧チューブを取り除くステップは、前記加圧チューブの複数の流路を構成する各流路用チューブを1つずつ取り除く際に、前記気密又は液密状態で加圧しながら各流路用チューブを取り除くステップを更に含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明のケーブル収容管補修方法において、前記加圧チューブの複数の流路を所定時間で定まる前記ライニング材の硬化条件以上の気密又は液密状態で加圧して膨らませるステップは、一入口−多出口の構造の円筒型の加圧治具により複数の流路を同時に加圧するステップを更に含むことを特徴とする。
【0018】
更に、本発明の加圧チューブは、本発明のケーブル収容管補修方法で用いられる加圧チューブであって、前記加圧チューブは、複数の流路を構成する各流路用チューブと、各流路用チューブを分離可能な接着部とからなることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の加圧チューブにおいて、前記加圧チューブの長尺方向に対して垂直の幅方向の長さは、前記ライニング材を環状にした内周長に対して105%以上200%以下にすることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の加圧チューブにおいて、前記接着部は、各流路用チューブと同一材料のミシン目構造からなることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の加圧チューブにおいて、前記接着部は、接着テープからなることを特徴とする。
【0022】
更に、本発明のライニング材は、本発明のケーブル収容管補修方法で用いられるライニング材であって、前記連結手段によって環状に連結する場合に、前記ライニング材の硬化用樹脂部材が連続した環状形態となるように、前記ライニング材の少なくとも一側端に硬化用樹脂部材の余剰部分が予め設けられていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明のライニング材において、前記連結手段によって環状に連結する場合に、前記ライニング材の硬化用樹脂部材が連続した環状形態となるように、前記ライニング材の少なくとも一側端に硬化用樹脂部材の余剰部分が予め設けられ、且つ互いに噛み合せ可能に多層の硬化用樹脂部材で構成されていることを特徴とする。
【0024】
また、本発明のライニング材において、前記連結手段によって環状に連結する場合に、前記ライニング材の硬化用樹脂部材が連続した環状形態となるように、前記ライニング材の少なくとも一側端に硬化用樹脂部材の余剰部分が予め設けられ、且つ環状にする硬化用樹脂部材が互いに交差するように構成されていることを特徴とする。
【0025】
また、本発明のライニング材において、前記ライニング材における余剰部分は、環状に接着するための接着部分を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によるケーブル収容管補修方法によれば、管路内部にケーブルが既設されている場合であっても、ケーブルが布設されたままの状態で管路を補修することができ、且つ既設ケーブルを傷つけることを防止しながらケーブル収容管補修の施工時間を短縮させることができる。また、管内に収容される既設ケーブルに損傷なく、且つ機能低下させることなく、引き込み張力に制限がある場合でも、今まで不可能であった長距離防護区間にて施工が可能となる。
【0027】
また、本発明による加圧チューブによれば、ケーブルを包み込むことで、ケーブルを管内壁に押し付けることを防止し、熟硬化性樹脂などからなるライニング材を管路内面から加圧して成形・硬化させる際に、ライニング材内側に布設済ケーブルが存在しても、管路周面方向へ均一に加圧できるため、肉厚不足や成形不良を回避できる。
【0028】
また、本発明による加圧チューブによれば、並行する流路と流路が接続されている箇所にミシン目等の切れ目を入れることで、並行する複数の流路をそれぞれ切り離し、独立させることが可能になり、円筒冶具との接続が、1本の流路のみで構成されるチューブの場合と同様な方法で可能になる。また、加圧チューブ全長にわたり、切れ目を入れることで、任意の場所で流路を独立させることが可能となり、様々な管路長に対応できる。それぞれの流路を円筒冶具を介して加圧水等を供給するホースと水密に接続可能になり、各流路に通水できる。流路と流路を接続している箇所にミシン目等の切れ目を入れ、任意の場所でそれぞれの流路を切り離し可能となる。
【0029】
また、本発明による加圧チューブによれば、チューブを管路周面方向に内径以上の寸法となるように設定し、両軸をラップさせて、布設済ケーブルを確実に包みこむことができる。これにより、布設済ケーブルがチューブ内に包みこまれため、均一に加圧できる。また、加圧チューブを管路周面方向において、必ずラップする寸法設定として、管路品質を向上させることができる。
【0030】
また、本発明による加圧チューブによれば、各流路を単独で反転撤去できるように、流路接続部のミシン目の切断耐力を小さくする。また、撤去時に圧縮空気等で流路内を加圧することで、確実に反転するようにする。加圧チューブを用意に撤去できるため、施工時間を短縮できる。また、布設済ケーブルが存在する環境でも容易に加圧チューブの撤去が可能である。流路と流路を接続するミシン目等の切断耐力を小さく設定する。また、撤去時に圧縮空気等で内圧をかける。
【0031】
また、本発明によるライニング材によれば、樹脂を含浸させた基材を、内側と外側の複数枚で構成し、不連続部をずらすようにし、また、ファスナー部において、樹脂を含浸させた基材をラップさせ、一般部より肉厚を確保するようにしたので、ライニング材間の不連続部をなくすか、又はその強度を強化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
まず、本発明による一実施例のケーブル布設済み保護管の補修するケーブル収容管補修方法を説明する。
【0033】
本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法は、前述した従来技術が対象とするケーブル布設済み保護管の補修の場合と同様に、管路内部にケーブルが布設されている場合であっても、ケーブルが布設されたままの状態で管路を補修する技術である。同様な構成要素には同一の参照記号を付して説明する。
【0034】
即ち、図1に概略的に示すように、地下1に埋設されている管路の鋼管等の保護管2の内面を補修するのに、保護管2の内径に応じた寸法の幅を有する帯状に形成された未硬化の状態の可撓性あるライニングシート6を用意し、ケーブル4を包むようにライニングシート6に設けられたファスナー(スライド連結操作体)8等で連結し、保護管2の一方の開口部側(マンホール3a側)から挿入し、所定時間加圧状態を維持してライニングシート6を硬化させ、保護管2の内面に固定することで管路を補修する。尚、本実施例では、代表的にシート状のライニング材をライニングシートと称して説明するが、ライニング材とは可撓性ある任意の形態を含む。
【0035】
以下、本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法を手順1〜手順6として具体的に説明する。
【0036】
(手順1)
図2に、本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法における手順1を示す。図2に示すように、補修前の状態は、地下1に、保護管2が所定間隔(例えば、約150m)で垂直に立設するマンホール3a、3bで区切られた状態(以下、スパンとも称する)で埋設されている。この保護管2内には光ファイバケーブル等のケーブル4が布設されている。特に、このような保護管2には、1条の既設ケーブルのほか、多数のケーブルを増設したいときに、例えば保護管2に錆又は腐食があると多条布設の妨げとなる場合があるため、通常、事前に保護管2が腐食しているか否かを検査する。検査技法については、本願発明の主題ではないため詳説しないが、管路内にカメラを走査させて検査することができる。尚、本願発明は、必ずしも管路内検査を要するものではない。
【0037】
(手順2)
図3に、本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法における手順2を示す。図3に示すように、スパン全長に亘って、ポリエチレン等の管状防護材30でケーブル4を覆うように包み込む。尚、管状防護材30は、シート状で可撓性の防護材の両側辺に、互いにシートを噛み合わせ連結するための噛み合わせシートを有する構造をしており、シート状の防護材の幅方向の両端を相互に連結して、管状防護材30を形成することができる。例えば、保護管2の一方の開口部側(マンホール3a側)にてシート状の防護材の幅方向の両端を相互に連結して管状防護材30を形成するとともに、他方の開口部(マンホール3b側)から所定の牽引用ロープ(図示せず)で管状防護材30を引き込み、保護管2の一方の開口部から他方の開口部に亘ってケーブル4を覆うように包み込むようにする。
【0038】
(手順3)
図4に、本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法における手順3を示す。手順3では、加圧チューブ31及びライニングシート6をそれぞれ別に、或いは又、加圧チューブ31及びライニングシート6を同時に、保護管2の一方の開口部から他方の開口部に亘って保護管2内に配置させる。ライニングシート6は、例えば不浸透性内側フィルム層と硬化性樹脂を含浸した樹脂吸着性内層と不浸透性外側フィルム層の可撓性のある3層構造になっている。硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、或いは常温硬化性樹脂が挙げられ、フェルトに含浸されて樹脂吸収性内層となっている。また、不浸透性内側フィルム層としてはポリウレタンフィルムが使用され、不浸透性外側フィルム層としてはポリエチレンフィルムが使用されているが、これに限定されるものではない。また、加圧チューブ31は、気密或いは液密材料で形成された可撓性ある材料であればよく、上述の材質に特に限定されるものではないが、従来のような1本の流路を有するチューブとは相違して、2つのチューブの幅方向の両端を相互に接続した2本の流路を有するチューブ構造を有し、膨らませたとき、保護管2の内周面全体を2つの流路で圧接する径を有する。
【0039】
図4に示すように、地表にライニングシート6を冷蔵して収納するライニング材格納箱5aを用意する。熱硬化性樹脂からなるライニングシート6は、典型的には、60℃の熱で3〜4時間程度で硬化し、80℃の熱で1時間程度で硬化する性質を有する。そこで、ライニングシート6を冷蔵して収納するライニング材格納箱5aは、比較的低温(好適には、例えば−5℃以下)に保つのが好適である。ライニング材格納箱5aは、保護管2の内径に応じた寸法の幅を有する帯状に形成されたライニングシート6を巻回したシートロールを回転自在に支持させるロールスタンド5を内蔵又は隣接設置するようにしてもよい。また、このロールスタンド5は、ライニングシート6を巻回するのに用いるほか、加圧チューブ31をライニングシート6を多重して巻回するのに用いてもよい。或いは又、加圧チューブ31用のロールスタンドを設けてもよいことは云うまでもない。
【0040】
また、ライニングシート6の幅方向の両側辺は、連結手段9により連結して管状に形成されるようになっている。かかる連結手段9として、ライニングシート6の両側辺に、ファスナーや両面接着テープ等の連結具を設けるか、又は、接着剤による接着或いは熱融着、縫着、或いはフックやホック等による係止とするか、又は、これらの複合構造とすることができる。また、ライニングシート6の幅方向の両側辺の連結は、後述するように、連結後の品質を考慮して連続的に連結可能な構造にするのが好適である。
【0041】
保護管2の一方の開口部側(マンホール3a側)にて、ライニングシート6の両側辺に設けられた連結子10a,10bで噛み合い連結させるファスナー(限定するものではないが、好適には面ファスナー)8等の連結手段9を、ファスナー嵌合用の引き込みガイド39により、ライニングシートの幅方向の両端を相互に連結しながら、他方の開口部(マンホール3b側)から牽引機38により牽引用ロープ32でリール34a,34bを介して牽引することで、ライニングシート6を引き込み、保護管2の一方の開口部から他方の開口部に亘ってライニングシート管を配置する。その一方で、保護管2の一方の開口部から他方の開口部に亘って保護管2内に配置するライニングシート6内に、加圧チューブ31をケーブル4の下側に敷くように挿入する。
【0042】
加圧チューブ31及びライニングシート6をそれぞれ別に、或いは又、加圧チューブ31及びライニングシート6を同時に、保護管2の一方の開口部から牽引するために、加圧チューブ31及び/又はライニングシート6の先端には、従来と同様に牽引用ロープ11で直接加圧チューブ31及び/又はライニングシート6の先端を直接固定する非回転式牽引治具を用いて牽引するように構成してもよいが、牽引時の回転を加圧チューブ31及び/又はライニングシート6に伝わらないように構成した2つの独立回転構造の分離回転式牽引治具33を連結するのが好適である。この分離回転式牽引治具33は、ライニングシート6側を固定する治具と牽引側を固定する治具とを回動可能に連結する構造とすればよい。内部にケーブル4を通した状態で結束バンドやネジ等により環状に牽引用ロープ32及びライニングシート6を独立回転式に連結する。ライニングシート6の先端は、分離回転式牽引治具33の後端外周に嵌め、固定する。分離回転式牽引治具33の先端には、牽引用ロープ32の一端を連結する。牽引用ロープ32は保護管2内を通し、その先端を次のマンホール3bで牽引する。この分離回転式牽引治具33は、加圧チューブ31及びライニングシート6のそれぞれを別に牽引するのに用いることもできるが、加圧チューブ31及びライニングシート6の双方を固定して同時に牽引するのに用いることもできる。
【0043】
尚、図4には図示していないが、従来の一流路のチューブ19を用いて施工する場合の牽引方法として、ライニングシート6を挿入した後、一流路のチューブ19を圧力挿入することもできる。この場合、環状のライニングシート6内に一流路のチューブ19を引き込む際に、一流路のチューブ19の先端を閉じ、後端の開口部を保護管2の一方の開口部に固定した状態から、一流路のチューブ19内に空気を送り込み、一流路のチューブ19を反転させながらその先端を保護管2の他方の開口部側に前進させることにより、環状のライニングシート6内に一流路のチューブ19を引き込むようにする。しかしながら、二流路の加圧チューブ31を用いてライニングシート6を挿入した後に挿入する場合には、挿入外圧の影響を軽減することが可能な、前述した2つの独立回転構造の分離回転式牽引治具33を用いて施工するのが好適である。
【0044】
このように、加圧チューブ31をケーブル4に配置し、環状にしたライニングシート6を形成しながら、牽引用ロープ32をマンホール3b側から牽引することにより、マンホール3aに開口する保護管2の一方の開口部からマンホール3bに開口する他方の開口部に亘って加圧チューブ31及び環状にしたライニングシート6を設置させる。
【0045】
このとき、保護管2内における加圧チューブ31及び環状にしたライニングシート6の移動を容易にするために、滑材或いは水等を使用してもよい。
【0046】
次に、ライニングシート6及びチューブ19を設置後、分離回転式牽引治具33を取り外す。
【0047】
(手順4)
図5に、本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法における手順4を示す。手順4では、保護管2の内面に当接しておらず、撓んだ状態にある未硬化のライニングシート6を、加圧チューブ31の2つの流路に熱風、高温の温水或いは蒸気を送り込み、ライニングシート6を加圧させて、保護管2の内面に当接させ、この状態を所定時間(例えば、60℃の温水で3〜4時間)維持し、ライニングシート6を硬化させて、ライニングシート管15を形成する。
【0048】
加圧チューブ31の2つの流路に熱風、高温の温水或いは蒸気を送り込むために、マンホール3a,3b側で2つの流路を有する加圧チューブ31の入り口及び出口の両端に、一方を開口し他方を閉じた筒状の栓プラグ40をそれぞれ取り付ける。
【0049】
入り口側の栓プラグ40は、その筒壁に、熱風、高温の温水或いは蒸気を送り込むためのボイラー35からのホースを取り付ける流体流通装置35bを有している。また、栓プラグ40には、その筒壁の長手(軸)方向に溝を形成して加圧チューブ31が嵌合するようにするのが好適であるが、任意の既知の手法で加圧チューブ31を固定する。また、入り口側の栓プラグ40は、温水量を調整する調整弁36からのホース37を取り付けて、2つの流路に流れる熱風、高温の温水或いは蒸気の量を調整して圧力管理するのが好適である。
【0050】
このようにして、マンホール3a,3b側で加圧チューブ31の両端に栓プラグ40を取り付けた後、ボイラー35から温水を送り込み、加圧チューブ31を膨らませて環状のライニングシート6を保護管2の内面に密着させる。
【0051】
尚、ライニングシート6に含浸或いは塗布されている硬化性樹脂が熱硬化性樹脂である場合は、加圧チューブ31内に熱風、高温の温水或いは蒸気を送り込むようにし、硬化性樹脂が光硬化性樹脂である場合は、流体流通装置35bから紫外線を照射するようにし、硬化性樹脂が常温硬化性樹脂である場合は、一定時間放置し、ライニングシート6の未硬化の熱硬化性樹脂を硬化させようにして、保護管2の内面に固定することができる。
【0052】
(手順5)
図6に、本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法における手順5を示す。手順5では、ライニングシート6が硬化して、ライニングシート管15の形成が完了した後、加圧チューブ31を撤去する。加圧チューブ31の撤去は、前述したロールスタンドを用いることができるが、固着したライニングシート管15から剥がし取るのを容易にし、且つ高品質を維持するための、加圧チューブ31の撤去する際の好適例は後述する。
【0053】
(手順6)
図7に、本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法における手順6を示す。手順6では、前述したロールスタンドを用いて管状防護材30を撤去する。これにより、ケーブル収容管補修後、保護管2内の余裕空間にインナーパイプなどを布設して、2条目のケーブルを布設することができるようになる。
【0054】
このような手順により、内部にケーブル4が布設された保護管2の補修をより高品質で行うことができるようになる。特に、硬化したライニング材が自立管としての性能を有するため、既設管路の腐食が更に進んでも、管路としての機能を維持することができるようになる。
【0055】
次に、加圧チューブ31の構造について、詳細に説明する。
【0056】
(加圧チューブ)
従来の1本の流路からなるチューブ19を用いて加圧し、ライニングシート管15を保護管2内に形成した場合、図8(a)に示すような形態になる(管状防護材の図示は省略)。この場合、チューブ19は、ケーブル4を包み込むことなく保護管2に押し付けるため、図8(b)に示すように、ケーブル4付近に固着するライニング材は、“樹脂溜まり”を生じさせる。このような“樹脂溜まり”は、ケーブル4を傷つけない観点から好ましいものではなく、品質面で滑らかな仕上がりが好ましいため、従来のチューブ構造には改善の余地があった。
【0057】
そこで、加圧チューブ31は、2つの流路を並列に配置接着したチューブ構造を有する。図9(b)に示すように、加圧チューブ31は、第1チューブ31aと第2チューブ31bとからなり、第1チューブ31aと第2チューブ31bとは、接着部31cで接着されている。この場合、加圧チューブ31は、ケーブル4を包み込むように機能するため、図9(a)に示すように、ケーブル4付近に“樹脂溜まり”を生じない。これにより、ケーブル4を管内壁に押し付けることを防止し、管路周面方向へ均一に加圧でき、ライニング材の硬化の滑らかな仕上がりを得ることができるようになる。更に、管路周面方向へ均一に加圧できるため、肉厚不足や成形不良を回避できる。チューブを複数の流路で構成することで、各流路に加圧水を通水し伸張させる際に、加圧チューブでケーブルを包みこむことが可能となる。尚、加圧チューブ31は、より多くの数のチューブを接着した構造にしてもよい。
【0058】
また、加圧チューブ31は、ケーブル4を確実に包み込むようにする必要があるため、例えば図10(a)に示すように、ライニングシート6を環状にした内周長よりも短い幅方向(長尺方向に対して垂直な方向)の長さで構成すると、加圧チューブ31の加圧時にケーブル4が、加圧チューブ31で包み込まれず、加圧チューブ31の外側に移動し、“樹脂溜まり”を生じさせうる。そこで、図10(b)に示すように、加圧チューブ31の幅方向の長さを、ライニングシート6を環状にした内周長に対して105%以上200%以下(実用上、150%以下)にするのが好適である。この場合、図10(c)に示すように、加圧チューブ31の加圧時に余剰分の皺31a,31bになるとしても、“樹脂溜まり”を生じることはなく、ケーブル収容管補修品質を確実に改善することができる。
【0059】
また、図11(a)に示すように、従来技術でも用いるチューブを固定するための通常の円筒型字具の栓プラグ40は、チューブ31aの先端部分を専用のホースバンドで固定し、さらにホース37bを部分的に被せて2箇所の専用のホースバンドで固定するように用いられる。しかしながら、このような栓プラグ40を、2本の流路を有する加圧チューブ31において、それぞれ利用すると、連続した薄い2本の流路を均一に機密状態に保つことは容易ではない(図11(b)参照)。そこで、図12に示すように、加圧チューブ31の先端を2本に別れるようにし、且つそれぞれのチューブに固定する栓プラグ40を1つの流路から加圧可能にする“一入口−二出口”構造の円筒型の加圧治具41を用いるようにする。加圧治具41は、加圧入口部41c、第1流路用管41a、及び第2流路用管41bからなり、加圧入口部41cからの気密又は液密状態は、第1流路用管41aから第1チューブ31aに向かい、出口側栓プラグ42aへと抜ける機密状態と、第2流路用管41bから第2チューブ31bに向かい、出口側栓プラグ42bへと抜ける機密状態とを均一にすることができる。加圧チューブ31を多数のチューブを接着して構成することもでき、総括して、1つの入り口から2以上の出口の加圧補助する“一入口−多出口”構造の円筒型の加圧治具41を用いるようにする。
【0060】
更に、加圧チューブ31の先端を容易に2本に分離できるようにするために、加圧チューブ31の接続部31cを、手作業分離に適切な強度の分離力となるミシン目部31cとするか(図13(a)参照)、又はポリプロピレン(PP)などの接着テープ31cとするか(図13(b)参照)、又は、2つのチューブを接着固定するのに適した接着力を有し、且つ2つに分離可能な任意の接着部材を用いるようにする。このようにして、加圧チューブ31の先端を任意の箇所でY字状に分離できるようにする。この接着テープ31cの接着力は、3〜20N/cmのものを用いるようにする。
【0061】
更に、ライニングシート管15の硬化後、加圧チューブ31を撤去する際には、従来でも1本のチューブを加圧した後、逆反転剥ぎ取り(19)で剥ぎ取っていたが(図14(a)参照)、ライニング材に触れる面積が多く、比較的強めの剥ぎ取り強度を有していたのに対し、2本の流路を有する加圧チューブ31の各チューブずつ剥ぎ取る場合には(図14(b)参照)、ライニング材に触れる面積が少なく、比較的弱めの剥ぎ取り強度で剥ぎ取ることができ、施工効率が改善する。
【0062】
更に加圧チューブ31を撤去する効率を高めるために、ライニングシート管15の硬化後、加圧チューブ31を撤去する際には、1本のチューブを加圧した後に、逆反転剥ぎ取りを行うと皺が生じる場合があり(図15(a)参照)、この皺が生じた分の大きな剥ぎ取り強度が必要となる。これを解決するために、1本のチューブを加圧しながら、逆反転剥ぎ取りを行うようにする(図15(b)参照)。これにより、逆反転剥ぎ取り時の皺が生じにくくなり、より施工効率が改善する。
【0063】
次に、ライニングシート6の構造について、詳細に説明する。
【0064】
(ライニングシート)
図21で参照した従来技術のライニングシート6は、そのライニングシート6の両側辺に設けられた連結子10a,10bで噛み合い連結させるファスナー8等の連結手段9を牽引用ロープ11で牽引するように用いられていた(図16(a)参照)。例えば、ライニングシート6のライニング樹脂部分の幅aに対して、連結子10a,10bは、幅bを有するとする。この場合、連結子10a,10bの幅bの部分は、図16(b)に示すように、ファスナー8を連結した状態では、ライニング樹脂部分が不連続となる部分が生じる。このような構造でライニング樹脂部分を硬化させた場合、その熱硬化後に連続性を維持できたとしても、管体としての強度が不足しうる。
【0065】
そこで、本実施例に係るライニングシート6は、一方の側辺に設けられた連結子10aは、ライニングシート6の側辺端から内側に所定距離設け、他方の側辺に設けられた連結子10bで噛み合い連結させる構造にしている(図17(a)参照)。例えば、ライニングシート6の中央のライニング樹脂部分6bの幅aに対して、連結子10a,10bは、幅bとし、更にライニングシート6の一端側のライニング樹脂部分(即ち、余剰の硬化用樹脂部分)6aの幅cを有する。この場合、連結子10a,10bの幅bの部分は、図17(b)に示すように、ファスナー8を連結した状態では、ライニング樹脂部分6aの存在により不連続となる部分が生じなくなる。このような構造でライニング樹脂部分を硬化させた場合、その熱硬化後に、管体としての強度を増大させることができる。
【0066】
このようなライニング樹脂部分の連続性を維持するライニングシート6の例には、様々な態様が考えられ、例えば、図18(a)に示すように、複数のライニングシートを多層にしたライニングシート6を構成し、ファスナー8を連結した状態では、多層にしたライニングシート6の端部6aを互いに噛み合うようにする。これは、複数枚構成としたライニング材を覆うフィルムをラップさせない構造となる。又は、図18(b)に示すように、複数のライニングシートを多層にしたライニングシート6を構成し、2つのファスナー8を連結した状態では、多層にしたライニングシート6の端部6aを互いに噛み合うようにする。あるいは、図18(c)に示すように、ライニングシート6におけるファスナー8を環状の内側に連結した状態では、ライニングシート6のライニング樹脂部分6aの存在により不連続となる部分が生じなくする。この場合、図18(d)に示すように、ライニングシート6におけるファスナー8を環状の内側に連結した状態では、ライニングシート6のライニング樹脂部分6aを接着する接着部分43を設け、例えば管路に凹凸がある場合にも、この凹凸の影響を受けることなく確実に環状を維持して挿入又は保持できるようにする。また、図18(c)又は図18(d)は、一層のライニングシート6を環状にした様子を示しているが、これを多層にして、図18(b)のように2つのファスナー部分をずらすように構成することができる。従って、例示した以外にも、上記の組み合わせからなる様々な態様が考えられる。
【0067】
また、管状防護材30、加圧チューブ31、及び接着テープ31cの代表的な材料及び特徴リストを表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
このように、本発明は、前述した実施例に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。従って、本発明は、上述の実施例にて制限されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、既設ケーブルを布設したまま、効率よく地下に埋設されている管路の鋼管等の保護管の内面を補修することができるので、ケーブル収容管補修の用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法を示す図である。
【図2】本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法における手順1を示す図である。
【図3】本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法における手順2を示す図である。
【図4】本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法における手順3を示す図である。
【図5】本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法における手順4を示す図である。
【図6】本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法における手順5を示す図である。
【図7】本発明による一実施例のケーブル収容管補修方法における手順6を示す図である。
【図8】従来の1本の流路からなるチューブを用いて保護管を補修した場合を説明する図である。
【図9】本発明による一実施例の2本の流路からなるチューブを用いて保護管を補修した場合を説明する図である。
【図10】本発明による一実施例の2本の流路からなるチューブを用いて保護管を補修した場合の例を説明する図である。
【図11】本発明による一実施例の2本の流路からなるチューブの加圧方法を説明する図である。
【図12】本発明による一実施例の2本の流路からなるチューブの加圧方法を説明する図である。
【図13】本発明による一実施例の2本の流路からなるチューブの分離方法を説明する図である。
【図14】本発明による一実施例の2本の流路からなるチューブの逆反転剥ぎ取り方法を説明する図である。
【図15】本発明による一実施例の2本の流路からなるチューブの逆反転剥ぎ取り方法を説明する図である。
【図16】従来のライニングシートの構造を説明する図である。
【図17】本発明による一実施例のライニングシートの構造を説明する図である。
【図18】本発明による一実施例のライニングシートの構造を説明する図である。
【図19】従来のケーブル収容管補修方法の工程を示す縦断面図である。
【図20】従来のケーブル収容管補修方法の工程を示す横断面図である。
【図21】従来のケーブル収容管補修方法の工程を示す斜視図である。
【図22】従来のケーブル収容管補修方法の工程における保護管の断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 地下
2 保護管
3a,3b マンホール
4 ケーブル
5 ロールスタンド
5a ライニング材格納箱
6 ライニングシート
6a ライニングシートのライニング樹脂部分
6a ライニングシートの端部
8 ファスナー(スライド連結操作体)
9 連結手段
10a,10b 連結子
12 挿入口
13 引き出し口
14 牽引用ロープ
15 ライニングシート管
19 チューブ
30 管状防護材
31 加圧チューブ
31a 第1チューブ
31b 第2チューブ
31c ミシン目部
31c 接着テープ
32 牽引用ロープ
33 分離回転式牽引治具
34a,34b リール
35 ボイラー
35b 流体流通装置
36 調整弁
37 ホース
38 牽引機
39 引き込みガイド
40 栓プラグ
41 加圧治具
42a 出口側栓プラグ
43 接着部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の管路の保護管内の既設ケーブルを布設した状態で、ライニング材により管路を補修するケーブル収容管補修システムであって、
補修する管路に亘って既設ケーブルを包み込むための管状防護材と、
前記補修する管路に亘って前記管状防護材を包み込むためのライニング材と、
前記補修する管路に亘って前記既設ケーブルと前記ライニング材との間に布設するための複数の流路を有する加圧チューブと、
前記ライニング材を前記保護管の内面に当接し、この当接した状態を所定時間維持して前記ライニング材を硬化させるための、前記加圧チューブの複数の流路を所定時間で定まる前記ライニング材の硬化条件以上の気密又は液密状態で加圧する加圧手段と、
前記所定時間を経過後、前記加圧チューブを取り除くチューブ撤去手段と、
前記加圧チューブを取り除いた後、前記管状防護材を取り除く防護材撤去手段と、
を備えることを特徴とする、ケーブル収容管補修システム。
【請求項2】
所定の管路の保護管内の既設ケーブルを布設した状態で、ライニング材により管路を補修するケーブル収容管補修方法であって、
補修する管路に亘って既設ケーブルを管状防護材で包み込むステップと、
前記補修する管路に亘って前記ライニング材を環状に連結する連結手段により、前記ライニング材で前記既設ケーブルを包み込むステップと、
前記補修する管路に亘って複数の流路を有する加圧チューブを前記既設ケーブルと前記ライニング材との間に布設するステップと、
前記加圧チューブの複数の流路を所定時間で定まる前記ライニング材の硬化条件以上の気密又は液密状態で加圧して膨らませ、前記ライニング材を前記保護管の内面に当接し、この当接した状態を所定時間維持して前記ライニング材を硬化させるステップと、
前記所定時間を経過後、前記加圧チューブを取り除くステップと、
前記加圧チューブを取り除いた後、前記管状防護材を取り除くステップと、
を含むことを特徴とする、ケーブル収容管補修方法。
【請求項3】
前記加圧チューブを取り除くステップは、前記加圧チューブの複数の流路を構成する各流路用チューブを1つずつ取り除くステップを更に含むことを特徴とする、請求項2に記載のケーブル収容管補修方法。
【請求項4】
前記加圧チューブを取り除くステップは、前記加圧チューブの複数の流路を構成する各流路用チューブを1つずつ取り除く際に、前記気密又は液密状態で加圧しながら各流路用チューブを取り除くステップを更に含むことを特徴とする、請求項3に記載のケーブル収容管補修方法。
【請求項5】
前記加圧チューブの複数の流路を所定時間で定まる前記ライニング材の硬化条件以上の気密又は液密状態で加圧して膨らませるステップは、一入口−多出口の構造の円筒型の加圧治具により複数の流路を同時に加圧するステップを更に含むことを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載のケーブル収容管補修方法。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載のケーブル収容管補修方法で用いられる加圧チューブであって、
前記加圧チューブは、複数の流路を構成する各流路用チューブと、各流路用チューブを分離可能な接着部とからなることを特徴とする、加圧チューブ。
【請求項7】
前記加圧チューブの長尺方向に対して垂直の幅方向の長さは、前記ライニング材を環状にした内周長に対して105%以上200%以下にすることを特徴とする、請求項6に記載の加圧チューブ。
【請求項8】
前記接着部は、各流路用チューブと同一材料のミシン目構造からなることを特徴とする、請求項7に記載の加圧チューブ。
【請求項9】
前記接着部は、接着テープからなることを特徴とする、請求項7に記載の加圧チューブ。
【請求項10】
請求項2〜5のいずれか一項に記載のケーブル収容管補修方法で用いられるライニング材であって、前記連結手段によって環状に連結する場合に、前記ライニング材の硬化用樹脂部材が連続した環状形態となるように、前記ライニング材の少なくとも一側端に硬化用樹脂部材の余剰部分が予め設けられていることを特徴とする、ライニング材。
【請求項11】
前記ライニング材は、前記連結手段によって環状に連結する場合に、前記ライニング材の硬化用樹脂部材が連続した環状形態となるように、前記ライニング材の少なくとも一側端に硬化用樹脂部材の余剰部分が予め設けられ、且つ互いに噛み合せ可能に多層の硬化用樹脂部材で構成されていることを特徴とする、請求項10に記載のライニング材。
【請求項12】
前記ライニング材は、前記連結手段によって環状に連結する場合に、前記ライニング材の硬化用樹脂部材が連続した環状形態となるように、前記ライニング材の少なくとも一側端に硬化用樹脂部材の余剰部分が予め設けられ、且つ環状にする硬化用樹脂部材が互いに交差するように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載のライニング材。
【請求項13】
前記ライニング材における余剰部分は、環状に接着するための接着部分を有することを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一項に記載のライニング材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−74914(P2010−74914A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238054(P2008−238054)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000100942)アイレック技建株式会社 (45)
【出願人】(302059953)株式会社メーシック (24)
【出願人】(508165490)旭テック環境ソリューション株式会社 (51)