説明

ケーブル類保護案内装置

【課題】リンク枠体の多角形運動に伴って屈曲外周側で生じる周辺部材とリンク枠体との間の衝撃騒音を抑制し、ケーブル類と屈曲外周側連結板との接触による摩耗損傷を抑制するケーブル類保護案内装置を提供すること。
【解決手段】離間配置した左右一対のリンクプレート111、111とリンクプレート111、111相互の屈曲内周側および屈曲外周側にそれぞれ横架した屈曲内周側連結板112と屈曲外周側連結板113とで構成して矩形状枠断面のケーブル類収容空間Rを形成するリンク枠体110が、相互に屈曲自在に多数連結されてケーブル固定端からケーブル移動端に向けてケーブル類を案内保護して、屈曲外周側連結板113が、屈曲外周側連結板113の横架方向に渡って外嵌囲繞する円筒状弾性部材120を備えているケーブル類保護案内装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械、電子機器、土木機械、産業用ロボット、搬送装置などに使用され、これらの移動部に給電、信号電送、給液、給気などを行う電気ケーブル、光ファイバーケーブル、流体供給用ホースなどの可撓性のケーブルやホース等(以下、単に「ケーブル類」という)を確実に保護案内するケーブル類保護案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーブル類保護案内装置500は、図12に示すように、ケーブル固定端Fに固定された固定端ブラケット530とケーブル移動端Mに設けられた移動端ブラケット540との間に、左右一対のリンクプレート511、511に屈曲内周側連結板512と屈曲外周側連結板513とを横架して構成されるリンク枠体510を屈曲可能に多数連結してケーブル類(図示せず)を収容し、ケーブル固定端Fとケーブル移動端Mの間に設けられたケーブル類を保護案内している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−121736号公報(段落[0003]、図13参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のケーブル類保護案内装置500は、リンク枠体510が屈曲動作時に多角形状の軌道を描く多角形運動を呈するため、ケーブル移動端Mが図12の紙面右方向に水平移動すると、リンクプレート511がガイドレールGに滑らかに着地せず、リンク枠体510とガイドレールGとの間で衝突音が発生するという厄介な問題があった。
【0005】
また、前述したような従来のケーブル類保護案内装置500は、ケーブル類がケーブル枠体510に対してケーブル長手方向に相対的に位置ずれすると屈曲外周側連結板513に直接接触して摺接するため、ケーブル類と屈曲外周側連結板513との間で摺接音が生じたり、ケーブル類が摩耗損傷したりする虞があるという問題があった。
【0006】
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、リンク枠体の多角形運動に伴って屈曲外周側で生じる周辺部材とリンク枠体との間の衝突音を抑制し、ケーブル類と屈曲外周側連結板との接触による摩耗損傷を抑制するケーブル類保護案内装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本請求項1に係る発明は、離間配置した左右一対のリンクプレートと該リンクプレート相互の屈曲内周側および屈曲外周側にそれぞれ横架した屈曲内周側連結板と屈曲外周側連結板とで構成して矩形状枠断面のケーブル類収容空間を形成するリンク枠体が、相互に屈曲自在に多数連結されてケーブル固定端からケーブル移動端に向けてケーブル類を案内保護するケーブル類保護案内装置において、前記屈曲外周側連結板が、該屈曲外周側連結板の横架方向に渡って外嵌囲繞する円筒状弾性部材を備えていることによって、前述した課題を解決するものである。
【0008】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたケーブル類保護案内装置の構成に加えて、前記円筒状弾性部材が、前記屈曲外周側連結板を中心に回動自在に遊嵌されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載されたケーブル類保護案内装置の構成に加えて、前記円筒状弾性部材が、前記屈曲内周側連結板と屈曲外周側連結板とに係合してケーブル類収容空間内を左右に区画する縦仕切り板を挟持して位置決めするように前記屈曲外周側連結板の横架方向に渡って分割配置されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のケーブル類保護案内装置の構成に加えて、前記屈曲内周側連結板が、該屈曲内周側連結板の横架方向に渡って外嵌囲繞する円筒状弾性部材を備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0011】
まず、本発明に係るケーブル類保護案内装置によれば、離間配置した左右一対のリンクプレートとこのリンクプレート相互の屈曲内周側および屈曲外周側にそれぞれ横架した屈曲内周側連結板と屈曲外周側連結板とで構成して矩形状枠断面のケーブル類収容空間を形成するリンク枠体が相互に屈曲自在に多数連結されてケーブル固定端からケーブル移動端に向けてケーブル類を案内保護することにより、ケーブル類収容空間内にケーブル類を収容配置して屈曲自在に案内保護することができるばかりではなく、以下のような特有の効果を奏することができる。
【0012】
すなわち、本請求項1に係る発明は、屈曲外周側連結板がこの屈曲外周側連結板の横架方向に渡って外嵌囲繞する円筒状弾性部材を備えていることにより、屈曲時に多角形状の軌道を描くリンク枠体が屈曲姿勢から直線姿勢に移行する際に、円筒状弾性部材が周辺部材に接触するとともに屈曲外周側連結板とガイドレール等の周辺部材との間に挟まれた状態で弾性変形するため、リンク枠体を周辺部材に緩やかに接触させてリンク枠体の多角形運動に伴って屈曲外周側で生じがちな周辺部材とリンク枠体との間の衝突音を抑制することができる。
【0013】
本請求項2に係る発明によれば、請求項1に係るケーブル類保護案内装置が奏する効果に加えて、円筒状弾性部材が屈曲外周側連結板を中心に回動自在に遊嵌されていることにより、円筒状弾性部材がケーブル長手方向に水平移動するケーブル類を屈曲外周側連結板に直接摺動させることなくケーブル類と転がり状態で接触するため、屈曲外周側連結板との摺動摩耗によるケーブル類の摩耗損傷の進行を抑制してケーブル類の長寿命化を達成することができ、また、ケーブル類がケーブル類収容空間内で屈曲内周側から屈曲外周側に向けて移動した場合であっても、円筒状弾性部材が屈曲外周側連結板との間の隙間で弾性変形を伴いながら撓りつつケーブル類を受け止めて円筒状弾性部材とケーブル類との衝突を緩衝するため、屈曲外周側連結板とケーブル類の衝突による衝突音を軽減することができる。
【0014】
本請求項3に係る発明によれば、請求項1または請求項2のいずれか1項に係るケーブル類保護案内装置が奏する効果に加えて、円筒状弾性部材が屈曲外周側連結板と屈曲内周側連結板とに係合してケーブル類収容空間内を左右に区画する縦仕切り板を挟持して位置決めするように屈曲外周側連結板の横架方向に渡って分割配置されていることにより、円筒状弾性部材が屈曲外周側連結板の横架方向の左右から縦仕切り板を挟んで縦仕切り板を確実に位置決めするため、ケーブル類が縦仕切り板に衝突しても縦仕切り板の転倒や脱落を防止してケーブル類を所定の位置に整然と仕分けるとともにケーブル類の絡まりを回避することができる。
【0015】
そして、本請求項4に係る発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のケーブル類保護案内装置が奏する効果に加えて、屈曲内周側連結板がこの屈曲内周側連結板の横架方向に渡って外嵌囲繞する円筒状弾性部材を備えていることにより、隣接するリンクプレートのうち一方のリンクプレートに設けられた凸部と他方のリンクプレートに設けられた切り欠き部とが互いに係合し凸部が切り欠き部の側壁に衝突してリンクプレート相互の屈曲角度を規制するのに先立ち、ケーブル長手方向に連続する円筒状弾性部材同士が互いに弾性変形してリンク枠体の屈曲動作に対して屈曲抵抗となりリンク枠体の屈曲動作の進行を緩やかにするため、凸部が切り欠き部の側壁に衝突する際に生じる衝突音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例であるケーブル類保護案内装置を示す正面図。
【図2】図1のリンク枠体と円筒状弾性部材を示す斜視図。
【図3】図1のケーブル類保護案内部材を示す左側面図。
【図4】図3のI−I線で示す円筒状弾性部材とガイドレールの接触前の状態を示す断面図。
【図5】図4の円筒状弾性部材とガイドレールの接触後の状態を示す断面図。
【図6】図3のII−II線で示す円筒状弾性部材とケーブル類が転がり接触している状態を示す断面図。
【図7】図3のII−II線で示す円筒状弾性部材が弾性変形してケーブル類を受けている状態を示す断面図。
【図8】本発明の第2実施例であるケーブル類保護案内装置に用いるリンク枠体を示す斜視図。
【図9】図8のリンク枠体を屈曲させる前の状態を示す断面図。
【図10】図9のリンク枠体を屈曲させて円筒状弾性部材を接触させた状態を示す断面図。
【図11】図10のリンク枠体をさらに屈曲させて凸部を切り欠き部の側壁に当てた状態を示す断面図。
【図12】従来のケーブル類保護案内装置を示す正面図。
【図13】従来のケーブル類保護案内装置に用いるリンク枠体の屈曲前の状態を示す図。
【図14】従来のケーブル類保護案内装置に用いるリンク枠体の屈曲後の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、離間配置した左右一対のリンクプレートとこれらのリンクプレート相互の屈曲内周側および屈曲外周側にそれぞれ横架した屈曲内周側連結板と屈曲外周側連結板とで構成して矩形状枠断面のケーブル類収容空間を形成するリンク枠体が相互に屈曲自在に多数連結されてケーブル固定端からケーブル移動端に向けてケーブル類を案内保護するケーブル類保護案内装置において、屈曲外周側連結板がこの屈曲外周側連結板の横架方向に渡って外嵌囲繞する円筒状弾性部材を備えて、リンク枠体の多角形運動に伴って屈曲外周側で生じる周辺部材とリンク枠体との間の衝突音を抑制し、ケーブル類と屈曲外周側連結板との接触による摺接音と摩耗損傷を抑制するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【0018】
例えば、本発明のケーブル類保護案内装置で用いるリンク枠体は、左右一対のリンクプレートに屈曲内周側連結板と屈曲外周側連結板とがそれぞれ横架されて矩形状枠断面を呈して、少なくとも屈曲外周側連結板が左右一対のリンクプレートに対して係合自在に構成されていれば良い。
【0019】
本発明のケーブル類保護案内装置で用いる円筒状弾性部材は、弾性変形を発揮するエラストマーであれば如何なるものであっても良く、特に、ウレタンゴムやフッ素ゴムなどの熱硬化性エラストマーを採用した場合には、優れた耐摩耗性や高弾性を発揮するので、より好ましい。
また、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを採用した場合には、エラストマーの弾性率の温度依存性が低く、低温時と高温時とで弾性率の変化幅が小さいので、より好ましい。
【実施例1】
【0020】
以下に、本発明の第1実施例であるケーブル類保護案内装置について、図面に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の第1実施例であるケーブル類保護案内装置を示す正面図であり、図2は、図1のリンク枠体と円筒状弾性部材を示す斜視図であり、図3は、固定端ブラケットと移動端ブラケットを省略した図1のケーブル類保護案内部材を示す左側面図であり、図4は、図3のI−I線で示す円筒状弾性部材とガイドレールの接触前の状態を示す断面図であり、図5は、図4の円筒状弾性部材とガイドレールの接触後の状態を示す断面図であり、図6は、図3のII−II線で示す円筒状弾性部材とケーブル類が転がり接触している状態を示す断面図であり、図7は、図3のII−II線で示す円筒状弾性部材が弾性変形してケーブル類を受けている状態を示す断面図である。
【0021】
まず、本発明の第1実施例であるケーブル類保護案内装置100は、例えば、各種の測定装置、製造装置等のケーブル固定端とケーブル移動端とを接続し、電気信号の伝達や電力の供給を行う電気ケーブルや圧力液体や圧力気体を供給するホースのようなケーブル類を保護案内するために用いられる。
【0022】
前述したケーブル類保護案内装置100は、図1および図2に示すように、離間配置した左右一対のリンクプレート111、111とこのリンクプレート111、111相互の屈曲内周側および屈曲外周側にそれぞれ横架した屈曲内周側連結板112と屈曲外周側連結板113とで構成して矩形状枠断面のケーブル類収容空間を形成するリンク枠体110が、ケーブル固定端Fに固定された固定端ブラケット130とケーブル移動端Mに設けられた移動端ブラケット140との間を、相互に屈曲自在に多数連結されてケーブル類Cを案内保護している。
なお、本実施例では、リンク枠体110は、優れた強度特性を発揮できるガラス繊維強化ポリアミド系樹脂を用いて成形加工されているが、ポリエステル系樹脂やポリアセタール樹脂であっても良い。
図1における符号Gは、ケーブル固定端F上に敷設されてリンク枠体110を直線状に案内支持するガイドレールを示す。
【0023】
前述したリンク枠体110は、図1に示すように、ケーブル固定端Fとケーブル移動端Mとを接続するために長尺状に多数連結されて、ケーブル固定端Fとケーブル移動端Mとの間の移動状況に応じて直線姿勢または屈曲姿勢を呈している。
【0024】
前述したリンクプレート111は、図2に示すように、プレート幅方向に相互のプレート厚み分だけズレた段差を形成した前方連結部111aと後方連結部111bとで構成されている。
【0025】
また、図2に示すように、リンクプレート111の前方連結部111aには、連結ピン孔111cが設けられ、リンクプレート111の後方連結部111bには、連結ピン孔111cに嵌合される連結ピン111dが設けられている。
先行配置したリンク枠体110の連結ピン111dに対して後続配置したリンク枠体110の連結ピン孔111cが嵌合することによって、連続配置されるリンク枠体110同士は、屈曲自在に連結されている。
【0026】
また、図2に示すように、リンクプレート111の前方連結部111aには、凸部111eが設けられ、リンクプレート111の後方連結部111bには、凸部111eと係合する切り欠き部111fが設けられている。
連続配置されるリンク枠110、110同士が屈曲する際に、先行配置したリンク枠体110の切り欠き部111fに対して後続配置したリンク枠体110の凸部111eが係合することにより、リンク枠体110、110相互の屈曲角度が規制されている。
【0027】
また、図3に示すように、左右一対のリンクプレート111、111の間を屈曲内周側連結板112と屈曲外周側連結板113の間に装着自在に設けられた縦仕切り板114は、ケーブル類収容空間R内のケーブル類Cを左右に仕分けている。
【0028】
次に、本実施例のケーブル類保護案内装置100が最も特徴とする円筒状弾性部材120の具体的な態様について、図に基づいて説明する。
まず、図2に示すように、屈曲外周側連結板113は、屈曲外周側連結板113の横架方向に渡って外嵌囲繞する円筒状弾性部材120を備えている。
また、この円筒状弾性部材120は、熱硬化性エラストマーから成っている。
これにより、図4および図5に示すように、屈曲時に多角形状の軌道を描いたリンク枠体110が屈曲姿勢から直線姿勢に移行する際に、円筒状弾性部材120が、ガイドレールGに接触するとともに屈曲外周側連結板113とガイドレールGとの間に挟まれた状態で弾性変形するようになっている。
なお、本実施例においては、円筒状弾性部材120に熱硬化性エラストマーを採用したが、対摩耗性や弾性を発揮するエラストマーであれば如何なるものであっても構わない。
【0029】
また、前述した円筒状弾性部材120は、図3に示すように、屈曲内周側連結板112と屈曲外周側連結板113とに係合してケーブル類収容空間R内をそれぞれ左右に区画する2枚の縦仕切り板114を挟持して位置決めするように屈曲外周側連結板113の横架方向に渡って分割配置されている。
これにより、円筒状弾性部材120が、屈曲外周側連結板113の横架方向の左右から縦仕切り板114を挟んで縦仕切り板114を確実に位置決めして、ケーブル類Cが縦仕切り板114に衝突する場合であっても、縦仕切り板114の転倒や脱落を回避して所定の位置に整然とケーブル類Cを仕分けるとともにケーブル類Cの絡まりを防止している。
【0030】
さらに、円筒状弾性部材120は、図6および図7に示すように、屈曲外周側連結板113を中心に回動自在に遊嵌されている。
これにより、例えば、図6に示すように、円筒状弾性部材120が、図6の紙面左方向に水平移動するケーブル類Cと転がり接触して屈曲外周側連結板113を中心に右回りで回転して、ケーブル類Cを屈曲外周側連結板113に直接摺動させることなくケーブル類Cと転がり状態で接触し、また、図7に示すように、円筒状弾性部材120が、屈曲内周側から屈曲外周側に向けて、すなわち、図7の紙面上方向に垂直移動するケーブル類Cに押圧されて屈曲外周側連結板113との間の隙間で弾性変形を伴いながら撓りつつケーブル類を受け止め円筒状弾性部材120とケーブル類Cとの衝突を緩衝している。
【0031】
このようにして得られた本実施例のケーブル類保護案内装置100は、屈曲外周側連結板113がこの屈曲外周側連結板113の横架方向に渡って外嵌囲繞する円筒状弾性部材120を備えてことにより、リンク枠体110をガイドレールGに緩やかに接触させてリンク枠体110の多角形運動に伴って屈曲外周側で生じがちなガイドレールGとの衝突音を抑制することができる。
【0032】
そして、円筒状弾性部材120が屈曲外周側連結板113を中心に回動自在に遊嵌されていることにより、屈曲外周側連結板113との摺動によるケーブル類Cの摩耗損傷の進行を抑制しケーブル類Cの長寿命化を達成することができ、また、屈曲外周側連結板113とケーブル類Cの衝突による衝突音を軽減できる等、その効果は甚大である。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明の第2実施例であるケーブル類保護案内装置200について、図面に基づいて説明する。
ここで、図8は、本発明の第2実施例であるケーブル類保護案内装置に用いるリンク枠体を示す斜視図であり、図9は、図8のリンク枠体を屈曲させる前の状態を示す断面図であり、図10は、図9のリンク枠体を屈曲させて円筒状弾性部材を接触させた状態を示す断面図であり、図11は、図10のリンク枠体をさらに屈曲させて凸部を切り欠き部の側壁に当てた状態を示す断面図である。
本発明の第2実施例であるケーブル類保護案内装置200は、図8に示すように、上述した第1実施例のケーブル類保護案内装置100と比較すると、円筒状弾性部材220の構成のみが異なっており、その余の部品構成については、基本的に何ら変わることがないため、上述した第1実施例のケーブル類保護案内装置100と同一の部材について対応する200番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0034】
屈曲内周側連結板212は、図8に示すように、屈曲内周側連結板212の横架方向に渡って外嵌囲繞する円筒状弾性部材220を備えている。
【0035】
以下、リンク枠体210の屈曲時における円筒状弾性部材220の具体的な動作について説明する。
まず、従来のケーブル類保護案内装置500に用いられるリンク枠体510は、図13および図14に示すように、リンク枠体510の屈曲時に、凸部511eおよび切り欠き部511fが係合しており、凸部511eが切り欠き部511fの側壁511fsに衝突して屈曲動作を終了する。
一方、本実施例のケーブル類保護案内装置200に用いられるリンク枠体210は、図9乃至図11に示すように、リンク枠体210を屈曲させると、凸部211eが切り欠き部211fの側壁211fsに当接する前に、互いに隣接するリンク枠体210の屈曲内周側にそれぞれ設けられてリンクプレート211の屈曲内周側のプレート側縁211hよりも張り出した円筒状弾性部材220、220同士が外接する。
その後、リンク枠体210は、円筒状弾性部材220を弾性変形させながら凸部211eが切り欠き部211fの側壁211fsに当接するまで屈曲し続けて、凸部211eが切り欠き部211fの側壁211fsに当接すると屈曲動作を終了する。
【0036】
このようにして得られた本実施例のケーブル類保護案内装置200は、前述した第1実施例のケーブル類保護案内装置100と同様の効果を奏するだけではなく、隣接するリンクプレート211、211のうち一方のリンクプレート211に設けられた凸部211eと他方のリンクプレート211に設けられた切り欠き部211fとが互いに係合し凸部211eが切り欠き部211fの側壁211fsに衝突してリンクプレート211相互の屈曲角度を規制するのに先立ち、ケーブル長手方向に連続する円筒状弾性部材220、220同士が互いに弾性変形してリンク枠体210の屈曲動作時の屈曲抵抗となってリンク枠体210の屈曲動作の進行を緩やかにするため、凸部211eが切り欠き部211fの側壁211fsに衝突する際に生じる衝突音を低減することができる等、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0037】
100、200、500 ・・・ ケーブル類保護案内装置
110、210、510 ・・・ リンク枠体
111、211、511 ・・・ リンクプレート
111a、211a・・・ 前方連結部
111b、211b・・・ 後方連結部
111c、211c・・・ 連結ピン孔
111d、211d・・・ 連結ピン
111e、211e、511e・・・ 凸部
111f、211f、511f・・・ 切り欠き部
211fs、511fs・・・側壁
111g・・・屈曲外周側のプレート側縁
211h・・・屈曲内周側のプレート側縁
112、212、512 ・・・ 屈曲内周側連結板
113、213、513 ・・・ 屈曲外周側連結板
114、214 ・・・ 縦仕切り板
120、220 ・・・ 円筒状弾性部材
130、 530 ・・・ 固定端ブラケット
140、 540 ・・・ 移動端ブラケット
C ・・・ ケーブル類
F ・・・ ケーブル固定端
G ・・・ ガイドレール
M ・・・ ケーブル移動端
R ・・・ ケーブル類収容空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
離間配置した左右一対のリンクプレートと該リンクプレート相互の屈曲内周側および屈曲外周側にそれぞれ横架した屈曲内周側連結板と屈曲外周側連結板とで構成して矩形状枠断面のケーブル類収容空間を形成するリンク枠体が、相互に屈曲自在に多数連結されてケーブル固定端からケーブル移動端に向けてケーブル類を案内保護するケーブル類保護案内装置において、
前記屈曲外周側連結板が、該屈曲外周側連結板の横架方向に渡って外嵌囲繞する円筒状弾性部材を備えていることを特徴とするケーブル類保護案内装置。
【請求項2】
前記円筒状弾性部材が、前記屈曲外周側連結板を中心に回動自在に遊嵌されていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル類保護案内装置。
【請求項3】
前記円筒状弾性部材が、前記屈曲内周側連結板と屈曲外周側連結板とに係合してケーブル類収容空間内を左右に区画する縦仕切り板を挟持して位置決めするように前記屈曲外周側連結板の横架方向に渡って分割配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のケーブル類保護案内装置。
【請求項4】
前記屈曲内周側連結板が、該屈曲内周側連結板の横架方向に渡って外嵌囲繞する円筒状弾性部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のケーブル類保護案内装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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