ゲートウェイ装置およびパケット変換システム
【課題】ネットワーク間でパケットの変換を行い且つパケットの長さを短くする。
【解決手段】IPv4パケットの(3)IPv4ヘッダのうち、斜線で示す位置の情報が、IPv6パケットのIPv6ヘッダにおける予め定められた位置に格納される。これにより、IPv6パケットの長さが規定の最長値を超えることはなく、パケットの分割、合成が不要となる。
【解決手段】IPv4パケットの(3)IPv4ヘッダのうち、斜線で示す位置の情報が、IPv6パケットのIPv6ヘッダにおける予め定められた位置に格納される。これにより、IPv6パケットの長さが規定の最長値を超えることはなく、パケットの分割、合成が不要となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートウェイ装置およびパケット変換システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来にあっては、パケットの長さが所定の最長値を超えるような場合には、パケットを分割することで、各パケットの長さを最長値以下にする。
【0003】
図10は、パケットの分割が必要な場合の一例を示す図である。
【0004】
ゲートウェイ装置1Aは、IPv4で規定されるネットワーク11から、FCS格納部、データ部、IPv4ヘッダ、Etherヘッダからなるパケットを受信する。
【0005】
このパケットをIPv6で規定されるネットワーク12に送出するには、IPv6ヘッダが必要になる。
【0006】
ゲートウェイ装置1Aは、パケットに対し、単純にIPv6ヘッダを加えると、パケットの長さが最長値を超えるので、パケットを分割し、分割した各パケットにIPv6ヘッダを加え、ネットワーク12に送出する。いわゆるフラグメンテーションである。
【0007】
ゲートウェイ装置2Aは、ネットワーク12から各パケットを受信し、パケットからIPv6ヘッダを除去し、FCS格納部、データ部、IPv4ヘッダ、Etherヘッダを含むパケットを合成し、ネットワーク13に送出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−92607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のようなパケット分割、合成に起因して、以下の問題が発生する。
【0010】
つまり、(1)ゲートウェイ装置でのパケットの分割に必要なCPUの負荷増、(2)ゲートウェイ装置でのパケットのリオーダ、(3)ネットワークでのパケット増に伴うヘッダ分の通信帯域の浪費、が発生する。例えば、パケットが分割されると、パケットの順序性の混乱が生じて、順序性の求められる通信、たとえば電話や映像などのRTP通信については音声の跡切れやパケットノイズとなる。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ネットワーク間でパケットの変換を行え且つパケットの長さを短くできるゲートウェイ装置およびパケット変換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明に係るゲートウェイ装置は、第1のネットワークと第2のネットワークとに接続され、前記第1のネットワークからのパケットを変換して前記第2のネットワークに送出する一方、前記第2のネットワークからのパケットを変換して前記第1のネットワークに送出するゲートウェイ装置であって、前記第1のネットワークからのパケットの予め定められた位置の情報を前記第2のネットワークに送出されるパケットのヘッダの予め定められた位置に格納する一方、前記第2のネットワークからのパケットのヘッダの予め定められた位置の情報を前記第1のネットワークに送出されるパケットに格納する制御部を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るパケット変換システムは、第1のネットワークと第2のネットワークとに接続され、前記第1のネットワークからのパケットを変換して前記第2のネットワークに送出する一方、前記第2のネットワークからのパケットを変換して前記第1のネットワークに送出する第1のゲートウェイ装置、ならびに、第3のネットワークと前記第2のネットワークとに接続され、前記第3のネットワークからのパケットを変換して前記第2のネットワークに送出する一方、前記第2のネットワークからのパケットを変換して前記第3のネットワークに送出する第2のゲートウェイ装置とを備えるパケット変換システムであって、前記第1のゲートウェイ装置は、前記第1のネットワークからのパケットの予め定められた位置の情報を前記第2のネットワークに送出されるパケットのヘッダの予め定められた位置に格納する一方、前記第2のネットワークからのパケットのヘッダの予め定められた位置の情報を前記第1のネットワークに送出されるパケットに格納する制御部を備え、前記第2のゲートウェイ装置は、前記第3のネットワークからのパケットの予め定められた位置の情報を前記第2のネットワークに送出されるパケットのヘッダの予め定められた位置に格納する一方、前記第2のネットワークからのパケットのヘッダの予め定められた位置の情報を前記第3のネットワークに送出されるパケットに格納するる制御部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ネットワーク間でパケットの変換を行え且つパケットの長さを短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係るゲートウェイ装置1、2を備えたパケット変換システムを含む通信システムの構成を示す図である。
【図2】ゲートウェイ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】ゲートウェイ装置における起動の際の動作を示すフローチャートである。
【図4】ゲートウェイ装置で生成された変換情報の一例を示す図である。
【図5】ゲートウェイ装置におけるIPv4パケットの受信の際の動作を示すフローチャートである。
【図6】IPv4パケットの構成の一例を示す図である。
【図7】IPv6パケットの構成の一例を示す図である。
【図8】ゲートウェイ装置におけるIPv6パケットの受信の際の動作を示すフローチャートである。
【図9】端末31とサーバ32の間の通信に関するシーケンス図である。
【図10】パケットの分割が必要な場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係るゲートウェイ装置1、2を備えたパケット変換システムを含む通信システムの構成を示す図である。
【0018】
ゲートウェイ装置1は、ネットワーク11、12に接続され、ゲートウェイ装置2は、ネットワーク12、13に接続されている。
【0019】
ネットワーク11は、IPv4で規定されるパケット(以下、かかるパケットをIPv4パケットという)が送信されるネットワークであり、ルータ21、ネットワーク装置23、端末31が含まれる。ネットワーク12は、IPv6で規定されるパケット(以下、かかるパケットをIPv6パケットという)が送信されるネットワークである。ネットワーク13は、IPv4パケットが送信されるネットワークであり、ルータ22、ネットワーク装置24、サーバ32が含まれる。
【0020】
ネットワーク11の端末31とルータ21の間、ネットワーク13のサーバ32とルータ22の間は、IPv4のローカルIPアドレスが使用される区間である。
【0021】
ネットワーク11のルータ21とゲートウェイ装置1の間、ネットワーク13のルータ22とゲートウェイ装置2の間は、IPv4のグローバルIPアドレスが使用される区間である。
【0022】
各ネットワーク11、12、13には、図示しない不特定数の端末、サーバ、ルータ、ネットワーク装置などが含まれる。
【0023】
ネットワーク12には、ゲートウェイ装置1、2と同様な、図示しない不特定数のゲートウェイ装置が接続される。
【0024】
端末31とルータ21の間で送受信されるIPv4パケット、サーバ32とルータ22の間で送受信されるIPv4パケット、ルータ21とネットワーク装置23の間で送受信されるIPv4パケット、ルータ22とネットワーク装置24の間で送受信されるIPv4パケット、ネットワーク装置23とゲートウェイ装置1の間で送受信されるIPv4パケット、ネットワーク装置24とゲートウェイ装置2の間で送受信されるIPv4パケットは、それぞれ(1)FCS格納部、(2)データ部、(3)IPv4ヘッダ、(4)Etherヘッダを含む。
【0025】
ゲートウェイ装置1、2間で送受信されるIPv6パケットは、(A)FCS格納部、(B)データ部、(C)IPv6ヘッダ、(D)Etherヘッダを含む。
【0026】
以下、ゲートウェイ装置1、2を区別せず、かつ、個々のゲートウェイ装置に言及するときは、単にゲートウェイ装置という。
【0027】
図2は、ゲートウェイ装置の概略構成を示すブロック図である。
【0028】
ゲートウェイ装置は、IPv4パケットを送受信するIPv4パケット送信部101、IPv4パケット受信部102と、IPv6パケットを送受信するIPv6パケット送信部111、IPv6パケット受信部112と、IPv4パケットとIPv6パケットの間の変換等を行う制御部121と、パケットのルーチングに用いられるIPv4用とIPv6用のルーチング情報が記憶されるルーチング情報記憶部131と、パケットの変換に用いられる変換情報が記憶される変換情報記憶部141と、パケットの変換に用いられるルール情報が予め記憶されたルール情報記憶部151と、変換情報を生成するための設定情報が記憶される設定情報記憶部161とを備える。
【0029】
図3は、ゲートウェイ装置における起動の際の動作を示すフローチャートである。
【0030】
ゲートウェイ装置では、電源投入されると、オペレーティングシステムが起動し(S1)、まず、制御部121が、設定情報記憶部161に記憶された設定情報を基に変換情報を生成し(S3)、変換情報を変換情報記憶部141に記憶させる。
【0031】
図4(a)は、ゲートウェイ装置1で生成された変換情報の一例を示す図である。
【0032】
変換情報は、IPv4で規定されるルータ21、22のアドレス(IPv4アドレス)である第1、第2IPv4アドレス、IPv6で規定されるゲートウェイ装置1、2のアドレス(IPv6アドレス)である第1、第2IPv6アドレス、IPv4ヘッダのバージョン、IHLと称される情報、サービス種別と称される情報、ゲートウェイ装置2を示す16バイトの対向装置識別子を含む。
【0033】
図4(b)は、ゲートウェイ装置2で生成された変換情報の一例を示す図である。
【0034】
変換情報は、IPv4で規定されるルータ22、21のアドレス(IPv4アドレス)である第1IPv4アドレス、第2IPv4アドレス、IPv6で規定されるゲートウェイ装置2、1のアドレス(IPv6アドレス)である第1IPv6アドレス、第2IPv6アドレス、IPv4ヘッダのバージョン、IHLと称される情報、サービス種別と称される情報、ゲートウェイ装置1を示す16バイトの対向装置識別子を含む。
【0035】
図3に戻り、次に、制御部121は、生成した変換情報内の対向装置識別子に対応するゲートウェイ装置から当該変換情報に対応する変換情報を取得し、生成した変換情報が取得した変換情報に整合するか否かを判定する(S5)。
【0036】
例えば、ゲートウェイ装置1の制御部121は、ゲートウェイ装置2から図4(b)に示す変換情報を取得し、これと図4(a)に示す変換情報の整合性を確認する。
【0037】
具体的には、制御部121は、(1)一方の第1IPv4アドレスと他方の第2IPv4アドレスとが同じ、(2)一方の第2IPv4アドレスと他方の第1IPv4アドレスとが同じ、(3)一方の第1IPv6アドレスと他方の第2IPv6アドレスとが同じ、(4)一方の第2IPv6アドレスと他方の第1IPv6アドレスとが同じ、(5)一方のIPv4ヘッダのバージョン、IHL、サービス種別と他方のIPv4ヘッダのバージョン、IHL、サービス種別とが同じ、(6)取得した変換情報の対向装置識別子がゲートウェイ装置1を示すものである、の全条件が充足されれば、図4(a)に示す変換情報は、図4(b)に示す変換情報に整合すると判断する。
【0038】
制御部121は、他のゲートウェイ装置とも同様に変換情報の整合性を確認する。
【0039】
次に、制御部121は、整合すると判定された変換情報を全て有効化し(S7)、処理を終える。
【0040】
図5は、ゲートウェイ装置におけるIPv4パケットの受信の際の動作を示すフローチャートである。ここでは、ゲートウェイ装置1にとってのネットワーク11とゲートウェイ装置2にとってのネットワーク13を共にIPv4ネットワークという。
【0041】
制御部121は、IPv4パケットを受信したら、IPv4パケットのIPv4ヘッダ(後述の(3)IPv4ヘッダ)に含まれる送信元IPアドレスと同じ第1IPv4アドレス、並びに、そのIPv4ヘッダに含まれる宛先IPアドレスと同じ第2IPv4アドレスを含む変換情報を変換情報記憶部141から検索する(S101)。
【0042】
制御部121は、該当の変換情報がなかったなら(S101:なし)、宛先IPアドレスに基づいて、IPv4パケットをIPv4ネットワークに送出すべきか、IPv4パケットをIPv6パケットに変換してネットワーク12に送出すべきかを判定する(S103)。
【0043】
制御部121は、IPv4パケットをIPv4ネットワークに送出すべきなら(S103:Ipv4)、ルーチング情報記憶部131のIPv4用のルーチング情報に基づいて、IPv4パケットの次の送信先を特定し(S105)、当該送信先にIPv4パケット送信部101がIPv4パケットを送信し(S107)、処理を終える。
【0044】
制御部121は、IPv4パケットをIPv6パケットに変換してネットワーク12に送出すべきなら(S103:IPv6)、IPv4パケットを所定の方法でIPv6パケットに変換する(S111)。ステップS111でのパケット変換は、トンネル変換であり、パケットの分割が必要となる場合がある。
【0045】
制御部121は、該当の変換情報があったなら(S101:YES)、変換情報が有効化されているか否かを判定する(S121)。
【0046】
制御部121は、変換情報が有効化されていないなら(S121:NO)、ステップS5と同様に、変換情報内の対向装置識別子に対応するゲートウェイ装置から、当該変換情報に対応する変換情報を取得し、検索した変換情報が取得した変換情報に整合するか否かを判定する(S123)。制御部121は、検索した変換情報が取得した変換情報に整合しないなら(S123:NO)、ステップS111に進む。
【0047】
制御部121は、検索した変換情報が取得した変換情報に整合したなら(S123:YES)、検索した変換情報を有効化する(S125)。
【0048】
制御部121は、変換情報が有効化されている(S121:YES)、または、検索した変換情報を有効化した(S125)なら、IPv4パケットをIPv6パケットに変換する(S131)。
【0049】
制御部121は、ステップS131では、変換情報に対応づけて予めルール情報記憶部151に記憶されたルール情報を読み出し、IPv4パケットの予めルール情報に定められた位置の情報をIPv6パケットのIPv6ヘッダやデータ部における予めルール情報に定められた位置に格納する。
【0050】
図6は、IPv4パケットの構成の一例を示す図である。図7は、IPv6パケットの構成の一例を示す図である。
【0051】
図6に示すように、IPv4パケットは、(1)FCS格納部、(2)データ部、(3)IPv4ヘッダ、(4)Etherヘッダを有する。それぞれのビット数は、例えば、「4」、「1480」、「20」、「14」である。
【0052】
図7に示すように、IPv6パケットは、(A)FCS格納部、(B)データ部、(C)IPv6ヘッダ、(D)Etherヘッダを有する。それぞれのビット数は、例えば、「4」、「1460」、「40」、「14」である。
【0053】
制御部121は、IPv4パケットの(3)IPv4ヘッダのうち、斜線で示す位置の情報を取り出し、IPv6パケットの(C)IPv6ヘッダにおける斜線で示す位置に格納する。
【0054】
また、制御部121は、検索した変換情報から第2IPv6アドレスを取り出し、これをIPv6パケットの(C)IPv6ヘッダにおける符号C1の位置に宛先IPアドレスとして格納する。
【0055】
また、制御部121は、検索した変換情報から第1IPv6アドレスを取り出し、これをIPv6パケットの(C)IPv6ヘッダにおける符号C2の位置に送信元IPアドレスとして格納する。
【0056】
また、制御部121は、IPv4パケットの(2)データ部の中のデータDA〜DTをIPv6パケットの(C)IPv6ヘッダにおけるデータDA〜DTの位置に格納する。
【0057】
また、制御部121は、IPv4パケットの(2)データ部の中のデータDUをIPv6パケットの(B)データ部に格納する。
【0058】
また、制御部121は、IPv6パケットの(C)IPv6ヘッダにおける他の位置に所定の情報を格納する。
【0059】
また、制御部121は、IPv6パケットの(D)Etherヘッダに所定の情報を格納する。
【0060】
また、制御部121は、IPv6パケットからフレームチェックシーケンス(FCS)という値を求め、これをIPv6パケットの(A)FCS格納部に格納する。
【0061】
こうして生成されたIPv6パケットの長さは、IPv4パケットの(2)データ部の一部の情報および(3)IPv4ヘッダの一部の情報が(C)IPv6ヘッダに格納され、(B)IPv6パケットのデータ部が短くなったことにより、規定の最長値を超えることはない。つまり、ルール情報は、IPv6パケットの長さが最長値を超えないように作られているのである。したがって、IPv4パケットの分割が不要であり、またリオーダが発生しない。
【0062】
さて、制御部121は、ステップS111またはS131でIPv6パケットを生成したなら、ルーチング情報記憶部131のルーチング情報に基づいて、IPv6パケットの送信先を特定し(S141)、当該送信先にIPv6パケット送信部111がIPv6パケットを送信し(S143)、処理を終える。
【0063】
図8は、ゲートウェイ装置におけるIPv6パケットの受信の際の動作を示すフローチャートである。ここでは、ゲートウェイ装置1にとってのネットワーク11とゲートウェイ装置2にとってのネットワーク13を共にIPv4ネットワークという。
【0064】
制御部121は、IPv6パケットを受信したら、IPv6パケットの(C)IPv6ヘッダに含まれる(C1)宛先IPアドレスと同じ第1IPv6アドレス、並びに、その(C)IPv6ヘッダに含まれる(C2)送信元IPアドレスと同じ第2IPv6アドレスを含む変換情報を変換情報記憶部141から検索する(S201)。
【0065】
制御部121は、該当の変換情報がなかったなら(S201:NO)、IPv6パケットのIPv6ヘッダの宛先IPアドレスに基づいて、IPv6パケットをIPv4パケットに変換してIPv4ネットワークに送出すべきか、IPv6パケットをネットワーク12に送出すべきかを判定する(S203)。
【0066】
制御部121は、IPv6パケットをネットワーク12に送出すべきなら(S203:IPv6)、ルーチング情報記憶部131のIPv6用のルーチング情報に基づいて、IPv6パケットの次の送信先を特定し(S205)、当該送信先にIPv6パケット送信部111がIPv6パケットを送信し(S207)、処理を終える。
【0067】
制御部121は、IPv6パケットをIPv4パケットに変換してIPv4ネットワークに送出すべきなら、IPv6パケットを所定の方法でIPv4パケットに変換する(S211)。
【0068】
制御部121は、該当の変換情報があったなら(S201:あり)、変換情報が有効化されているか否かを判定する(S221)。
【0069】
制御部121は、変換情報が有効化されていないなら(S221:NO)、ステップS5と同様に、変換情報内の対向装置識別子に対応するゲートウェイ装置から、当該変換情報に対応する変換情報を取得し、検索した変換情報が取得した変換情報に整合するか否かを判定する(S223)。制御部121は、検索した変換情報が取得した変換情報に整合しないなら(S223:なし)、IPv6パケットを廃棄し(S225)、処理を終える。
【0070】
制御部121は、検索した変換情報が取得した変換情報に整合したなら(S223:あり)、検索した変換情報を有効化する(S226)。
【0071】
制御部121は、変換情報が有効化されている(S221:YES)、または、検索した変換情報を有効化した(S226)なら、IPv6パケットをIPv4パケットに変換する(S231)。
【0072】
制御部121は、ステップS231では、変換情報に対応づけて予めルール情報記憶部151に記憶されたルール情報を読み出し、IPv6パケットのヘッダ部の予めルール情報に定められた位置の情報をIPv4パケットの予めルール情報に定められた位置に格納する。
【0073】
図6、図7を参照すれば、制御部121は、IPv6パケットの(C)IPv6ヘッダにおける斜線で示す位置に格納された情報を取り出し、IPv4パケットの(3)IPv4ヘッダの斜線で示す位置に格納する。
【0074】
また、制御部121は、検索した変換情報から第1IPv4アドレスを取り出し、これをIPv4パケットの(3)IPv4ヘッダにおける符号31の位置に宛先IPアドレスとして格納する。
【0075】
また、制御部121は、検索した変換情報から第2IPv4アドレスを取り出し、これをIPv4パケットの(3)IPv4ヘッダにおける符号32の位置に送信元IPアドレスとして格納する。
【0076】
また、制御部121は、検索した変換情報からIPv4ヘッダのバージョン、IHL、サービス種別を取り出し、これらをIPv4パケットの(3)IPv4ヘッダにおける符号33、34、35の位置に格納する。
【0077】
また、制御部121は、Etherを利用した通信であることから、Etherパケットの長さを求め、予めルール情報に定められた範囲の長さを求め、これをIPv4パケットの(3)IPv4ヘッダにおける符号36の位置にペイロード長として格納する。
【0078】
また、制御部121は、IPv6パケットの(C)IPv6ヘッダの中のデータDA〜DTをIPv4パケットの(2)データ部の中のデータDA〜DTの位置に格納する。
【0079】
また、制御部121は、IPv6パケットの(B)データ部のデータDUをIPv4パケットの(2)データ部の中のデータDUの位置に格納する。
【0080】
また、制御部121は、IPv4パケットの(4)Etherヘッダに所定の情報を格納する。
【0081】
また、制御部121は、IPv4パケットからフレームチェックシーケンス(FCS)という値を求め、これをIPv4パケットの(1)FCS格納部に格納する。
【0082】
制御部121は、ステップS211またはS231でIPv4パケットを生成したなら、ルーチング情報記憶部131のルーチング情報に基づいて、IPv4パケットの送信先を特定し(S241)、当該送信先にIPv4パケット送信部101がIPv4パケットを送信し(S243)、処理を終える。
【0083】
図9は、端末31とサーバ32の間の通信に関するシーケンス図である。
【0084】
ゲートウェイ装置1は、変換情報を生成し、ゲートウェイ装置2から、対応する変換情報を取得し(T1)、生成した変換情報が取得した変換情報に整合するなら、変換情報を有効化する(T2)。
【0085】
ゲートウェイ装置2も同様に、変換情報を生成し、ゲートウェイ装置1から、対応する変換情報を取得し(T3)、生成した変換情報が取得した変換情報に整合するなら、変換情報を有効化する(T4)。
【0086】
次に、例えば、ルータ21は、通信を確立する際の予め定められた手順にしたがい、IPv4パケットを生成し、図示しないネットワーク装置23を介して、IPv4パケットをゲートウェイ装置1に送信する(T11)。
【0087】
ゲートウェイ装置1は、前述のステップS131の方法で、IPv4パケットをIPv6パケットに変換し(T13)、ゲートウェイ装置2に送信する(T15)。
【0088】
ゲートウェイ装置2は、前述のS231の方法で、IPv6パケットをIPv4パケットに変換し(T17)、図示しないネットワーク装置24を介して、IPv4パケットをルータ22に送信する(T19)。
【0089】
これに対し、図示しないが、ルータ22からルータ21へ同様の方法で、パケットが送信される。これにより、ルータ21、22間が通信可能となる。
【0090】
以降、端末31、サーバ32は、通信可能となった経路を介して、互いに通信(ユーザ通信)を行う。その際、ゲートウェイ装置1、2では前述の方法でパケット変換が行われる。
【0091】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ゲートウェイ装置1(2)は、ネットワーク11、12(13、12)に接続され、ネットワーク11(13)からのIPv4パケットをIPv6パケットに変換してネットワーク12に送出する一方、ネットワーク12からのIPv6パケットをIPv4パケットに変換してネットワーク11(13)に送出するゲートウェイ装置であって、IPv4パケットの予め定められた位置の情報をネットワーク12に送出されるIPv6パケットの(C)IPv6ヘッダの予め定められた位置に格納する一方、ネットワーク12からのIPv6パケットの(C)IPv6ヘッダの予め定められた位置の情報をネットワーク11(13)に送出されるIPv4パケットに格納する制御部121を備えることで、IPv6パケットの長さが最長値を超えないようにでき、よって、パケット分割、合成に起因する問題発生の防止を図ることができる。
【0092】
なお、本実施の形態では、IPv4パケット、IPv6パケットを例にして説明したが、変換前、変換後のパケットの種類は任意である。
【0093】
また、本実施の形態では、端末31とサーバ32の間の通信について説明したが、本発明は、端末同士またはサーバ同士の通信に適用してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1、2…ゲートウェイ装置
11、12、13…ネットワーク
21、22…ルータ
31…端末
32…サーバ
101…IPv4パケット送信部
102…IPv4パケット受信部
111…IPv6パケット送信部
112…IPv6パケット受信部
121…制御部
131…ルーチング情報記憶部
141…変換情報記憶部
151…ルール情報記憶部
161…設定情報記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートウェイ装置およびパケット変換システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来にあっては、パケットの長さが所定の最長値を超えるような場合には、パケットを分割することで、各パケットの長さを最長値以下にする。
【0003】
図10は、パケットの分割が必要な場合の一例を示す図である。
【0004】
ゲートウェイ装置1Aは、IPv4で規定されるネットワーク11から、FCS格納部、データ部、IPv4ヘッダ、Etherヘッダからなるパケットを受信する。
【0005】
このパケットをIPv6で規定されるネットワーク12に送出するには、IPv6ヘッダが必要になる。
【0006】
ゲートウェイ装置1Aは、パケットに対し、単純にIPv6ヘッダを加えると、パケットの長さが最長値を超えるので、パケットを分割し、分割した各パケットにIPv6ヘッダを加え、ネットワーク12に送出する。いわゆるフラグメンテーションである。
【0007】
ゲートウェイ装置2Aは、ネットワーク12から各パケットを受信し、パケットからIPv6ヘッダを除去し、FCS格納部、データ部、IPv4ヘッダ、Etherヘッダを含むパケットを合成し、ネットワーク13に送出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−92607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のようなパケット分割、合成に起因して、以下の問題が発生する。
【0010】
つまり、(1)ゲートウェイ装置でのパケットの分割に必要なCPUの負荷増、(2)ゲートウェイ装置でのパケットのリオーダ、(3)ネットワークでのパケット増に伴うヘッダ分の通信帯域の浪費、が発生する。例えば、パケットが分割されると、パケットの順序性の混乱が生じて、順序性の求められる通信、たとえば電話や映像などのRTP通信については音声の跡切れやパケットノイズとなる。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ネットワーク間でパケットの変換を行え且つパケットの長さを短くできるゲートウェイ装置およびパケット変換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明に係るゲートウェイ装置は、第1のネットワークと第2のネットワークとに接続され、前記第1のネットワークからのパケットを変換して前記第2のネットワークに送出する一方、前記第2のネットワークからのパケットを変換して前記第1のネットワークに送出するゲートウェイ装置であって、前記第1のネットワークからのパケットの予め定められた位置の情報を前記第2のネットワークに送出されるパケットのヘッダの予め定められた位置に格納する一方、前記第2のネットワークからのパケットのヘッダの予め定められた位置の情報を前記第1のネットワークに送出されるパケットに格納する制御部を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るパケット変換システムは、第1のネットワークと第2のネットワークとに接続され、前記第1のネットワークからのパケットを変換して前記第2のネットワークに送出する一方、前記第2のネットワークからのパケットを変換して前記第1のネットワークに送出する第1のゲートウェイ装置、ならびに、第3のネットワークと前記第2のネットワークとに接続され、前記第3のネットワークからのパケットを変換して前記第2のネットワークに送出する一方、前記第2のネットワークからのパケットを変換して前記第3のネットワークに送出する第2のゲートウェイ装置とを備えるパケット変換システムであって、前記第1のゲートウェイ装置は、前記第1のネットワークからのパケットの予め定められた位置の情報を前記第2のネットワークに送出されるパケットのヘッダの予め定められた位置に格納する一方、前記第2のネットワークからのパケットのヘッダの予め定められた位置の情報を前記第1のネットワークに送出されるパケットに格納する制御部を備え、前記第2のゲートウェイ装置は、前記第3のネットワークからのパケットの予め定められた位置の情報を前記第2のネットワークに送出されるパケットのヘッダの予め定められた位置に格納する一方、前記第2のネットワークからのパケットのヘッダの予め定められた位置の情報を前記第3のネットワークに送出されるパケットに格納するる制御部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ネットワーク間でパケットの変換を行え且つパケットの長さを短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係るゲートウェイ装置1、2を備えたパケット変換システムを含む通信システムの構成を示す図である。
【図2】ゲートウェイ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】ゲートウェイ装置における起動の際の動作を示すフローチャートである。
【図4】ゲートウェイ装置で生成された変換情報の一例を示す図である。
【図5】ゲートウェイ装置におけるIPv4パケットの受信の際の動作を示すフローチャートである。
【図6】IPv4パケットの構成の一例を示す図である。
【図7】IPv6パケットの構成の一例を示す図である。
【図8】ゲートウェイ装置におけるIPv6パケットの受信の際の動作を示すフローチャートである。
【図9】端末31とサーバ32の間の通信に関するシーケンス図である。
【図10】パケットの分割が必要な場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係るゲートウェイ装置1、2を備えたパケット変換システムを含む通信システムの構成を示す図である。
【0018】
ゲートウェイ装置1は、ネットワーク11、12に接続され、ゲートウェイ装置2は、ネットワーク12、13に接続されている。
【0019】
ネットワーク11は、IPv4で規定されるパケット(以下、かかるパケットをIPv4パケットという)が送信されるネットワークであり、ルータ21、ネットワーク装置23、端末31が含まれる。ネットワーク12は、IPv6で規定されるパケット(以下、かかるパケットをIPv6パケットという)が送信されるネットワークである。ネットワーク13は、IPv4パケットが送信されるネットワークであり、ルータ22、ネットワーク装置24、サーバ32が含まれる。
【0020】
ネットワーク11の端末31とルータ21の間、ネットワーク13のサーバ32とルータ22の間は、IPv4のローカルIPアドレスが使用される区間である。
【0021】
ネットワーク11のルータ21とゲートウェイ装置1の間、ネットワーク13のルータ22とゲートウェイ装置2の間は、IPv4のグローバルIPアドレスが使用される区間である。
【0022】
各ネットワーク11、12、13には、図示しない不特定数の端末、サーバ、ルータ、ネットワーク装置などが含まれる。
【0023】
ネットワーク12には、ゲートウェイ装置1、2と同様な、図示しない不特定数のゲートウェイ装置が接続される。
【0024】
端末31とルータ21の間で送受信されるIPv4パケット、サーバ32とルータ22の間で送受信されるIPv4パケット、ルータ21とネットワーク装置23の間で送受信されるIPv4パケット、ルータ22とネットワーク装置24の間で送受信されるIPv4パケット、ネットワーク装置23とゲートウェイ装置1の間で送受信されるIPv4パケット、ネットワーク装置24とゲートウェイ装置2の間で送受信されるIPv4パケットは、それぞれ(1)FCS格納部、(2)データ部、(3)IPv4ヘッダ、(4)Etherヘッダを含む。
【0025】
ゲートウェイ装置1、2間で送受信されるIPv6パケットは、(A)FCS格納部、(B)データ部、(C)IPv6ヘッダ、(D)Etherヘッダを含む。
【0026】
以下、ゲートウェイ装置1、2を区別せず、かつ、個々のゲートウェイ装置に言及するときは、単にゲートウェイ装置という。
【0027】
図2は、ゲートウェイ装置の概略構成を示すブロック図である。
【0028】
ゲートウェイ装置は、IPv4パケットを送受信するIPv4パケット送信部101、IPv4パケット受信部102と、IPv6パケットを送受信するIPv6パケット送信部111、IPv6パケット受信部112と、IPv4パケットとIPv6パケットの間の変換等を行う制御部121と、パケットのルーチングに用いられるIPv4用とIPv6用のルーチング情報が記憶されるルーチング情報記憶部131と、パケットの変換に用いられる変換情報が記憶される変換情報記憶部141と、パケットの変換に用いられるルール情報が予め記憶されたルール情報記憶部151と、変換情報を生成するための設定情報が記憶される設定情報記憶部161とを備える。
【0029】
図3は、ゲートウェイ装置における起動の際の動作を示すフローチャートである。
【0030】
ゲートウェイ装置では、電源投入されると、オペレーティングシステムが起動し(S1)、まず、制御部121が、設定情報記憶部161に記憶された設定情報を基に変換情報を生成し(S3)、変換情報を変換情報記憶部141に記憶させる。
【0031】
図4(a)は、ゲートウェイ装置1で生成された変換情報の一例を示す図である。
【0032】
変換情報は、IPv4で規定されるルータ21、22のアドレス(IPv4アドレス)である第1、第2IPv4アドレス、IPv6で規定されるゲートウェイ装置1、2のアドレス(IPv6アドレス)である第1、第2IPv6アドレス、IPv4ヘッダのバージョン、IHLと称される情報、サービス種別と称される情報、ゲートウェイ装置2を示す16バイトの対向装置識別子を含む。
【0033】
図4(b)は、ゲートウェイ装置2で生成された変換情報の一例を示す図である。
【0034】
変換情報は、IPv4で規定されるルータ22、21のアドレス(IPv4アドレス)である第1IPv4アドレス、第2IPv4アドレス、IPv6で規定されるゲートウェイ装置2、1のアドレス(IPv6アドレス)である第1IPv6アドレス、第2IPv6アドレス、IPv4ヘッダのバージョン、IHLと称される情報、サービス種別と称される情報、ゲートウェイ装置1を示す16バイトの対向装置識別子を含む。
【0035】
図3に戻り、次に、制御部121は、生成した変換情報内の対向装置識別子に対応するゲートウェイ装置から当該変換情報に対応する変換情報を取得し、生成した変換情報が取得した変換情報に整合するか否かを判定する(S5)。
【0036】
例えば、ゲートウェイ装置1の制御部121は、ゲートウェイ装置2から図4(b)に示す変換情報を取得し、これと図4(a)に示す変換情報の整合性を確認する。
【0037】
具体的には、制御部121は、(1)一方の第1IPv4アドレスと他方の第2IPv4アドレスとが同じ、(2)一方の第2IPv4アドレスと他方の第1IPv4アドレスとが同じ、(3)一方の第1IPv6アドレスと他方の第2IPv6アドレスとが同じ、(4)一方の第2IPv6アドレスと他方の第1IPv6アドレスとが同じ、(5)一方のIPv4ヘッダのバージョン、IHL、サービス種別と他方のIPv4ヘッダのバージョン、IHL、サービス種別とが同じ、(6)取得した変換情報の対向装置識別子がゲートウェイ装置1を示すものである、の全条件が充足されれば、図4(a)に示す変換情報は、図4(b)に示す変換情報に整合すると判断する。
【0038】
制御部121は、他のゲートウェイ装置とも同様に変換情報の整合性を確認する。
【0039】
次に、制御部121は、整合すると判定された変換情報を全て有効化し(S7)、処理を終える。
【0040】
図5は、ゲートウェイ装置におけるIPv4パケットの受信の際の動作を示すフローチャートである。ここでは、ゲートウェイ装置1にとってのネットワーク11とゲートウェイ装置2にとってのネットワーク13を共にIPv4ネットワークという。
【0041】
制御部121は、IPv4パケットを受信したら、IPv4パケットのIPv4ヘッダ(後述の(3)IPv4ヘッダ)に含まれる送信元IPアドレスと同じ第1IPv4アドレス、並びに、そのIPv4ヘッダに含まれる宛先IPアドレスと同じ第2IPv4アドレスを含む変換情報を変換情報記憶部141から検索する(S101)。
【0042】
制御部121は、該当の変換情報がなかったなら(S101:なし)、宛先IPアドレスに基づいて、IPv4パケットをIPv4ネットワークに送出すべきか、IPv4パケットをIPv6パケットに変換してネットワーク12に送出すべきかを判定する(S103)。
【0043】
制御部121は、IPv4パケットをIPv4ネットワークに送出すべきなら(S103:Ipv4)、ルーチング情報記憶部131のIPv4用のルーチング情報に基づいて、IPv4パケットの次の送信先を特定し(S105)、当該送信先にIPv4パケット送信部101がIPv4パケットを送信し(S107)、処理を終える。
【0044】
制御部121は、IPv4パケットをIPv6パケットに変換してネットワーク12に送出すべきなら(S103:IPv6)、IPv4パケットを所定の方法でIPv6パケットに変換する(S111)。ステップS111でのパケット変換は、トンネル変換であり、パケットの分割が必要となる場合がある。
【0045】
制御部121は、該当の変換情報があったなら(S101:YES)、変換情報が有効化されているか否かを判定する(S121)。
【0046】
制御部121は、変換情報が有効化されていないなら(S121:NO)、ステップS5と同様に、変換情報内の対向装置識別子に対応するゲートウェイ装置から、当該変換情報に対応する変換情報を取得し、検索した変換情報が取得した変換情報に整合するか否かを判定する(S123)。制御部121は、検索した変換情報が取得した変換情報に整合しないなら(S123:NO)、ステップS111に進む。
【0047】
制御部121は、検索した変換情報が取得した変換情報に整合したなら(S123:YES)、検索した変換情報を有効化する(S125)。
【0048】
制御部121は、変換情報が有効化されている(S121:YES)、または、検索した変換情報を有効化した(S125)なら、IPv4パケットをIPv6パケットに変換する(S131)。
【0049】
制御部121は、ステップS131では、変換情報に対応づけて予めルール情報記憶部151に記憶されたルール情報を読み出し、IPv4パケットの予めルール情報に定められた位置の情報をIPv6パケットのIPv6ヘッダやデータ部における予めルール情報に定められた位置に格納する。
【0050】
図6は、IPv4パケットの構成の一例を示す図である。図7は、IPv6パケットの構成の一例を示す図である。
【0051】
図6に示すように、IPv4パケットは、(1)FCS格納部、(2)データ部、(3)IPv4ヘッダ、(4)Etherヘッダを有する。それぞれのビット数は、例えば、「4」、「1480」、「20」、「14」である。
【0052】
図7に示すように、IPv6パケットは、(A)FCS格納部、(B)データ部、(C)IPv6ヘッダ、(D)Etherヘッダを有する。それぞれのビット数は、例えば、「4」、「1460」、「40」、「14」である。
【0053】
制御部121は、IPv4パケットの(3)IPv4ヘッダのうち、斜線で示す位置の情報を取り出し、IPv6パケットの(C)IPv6ヘッダにおける斜線で示す位置に格納する。
【0054】
また、制御部121は、検索した変換情報から第2IPv6アドレスを取り出し、これをIPv6パケットの(C)IPv6ヘッダにおける符号C1の位置に宛先IPアドレスとして格納する。
【0055】
また、制御部121は、検索した変換情報から第1IPv6アドレスを取り出し、これをIPv6パケットの(C)IPv6ヘッダにおける符号C2の位置に送信元IPアドレスとして格納する。
【0056】
また、制御部121は、IPv4パケットの(2)データ部の中のデータDA〜DTをIPv6パケットの(C)IPv6ヘッダにおけるデータDA〜DTの位置に格納する。
【0057】
また、制御部121は、IPv4パケットの(2)データ部の中のデータDUをIPv6パケットの(B)データ部に格納する。
【0058】
また、制御部121は、IPv6パケットの(C)IPv6ヘッダにおける他の位置に所定の情報を格納する。
【0059】
また、制御部121は、IPv6パケットの(D)Etherヘッダに所定の情報を格納する。
【0060】
また、制御部121は、IPv6パケットからフレームチェックシーケンス(FCS)という値を求め、これをIPv6パケットの(A)FCS格納部に格納する。
【0061】
こうして生成されたIPv6パケットの長さは、IPv4パケットの(2)データ部の一部の情報および(3)IPv4ヘッダの一部の情報が(C)IPv6ヘッダに格納され、(B)IPv6パケットのデータ部が短くなったことにより、規定の最長値を超えることはない。つまり、ルール情報は、IPv6パケットの長さが最長値を超えないように作られているのである。したがって、IPv4パケットの分割が不要であり、またリオーダが発生しない。
【0062】
さて、制御部121は、ステップS111またはS131でIPv6パケットを生成したなら、ルーチング情報記憶部131のルーチング情報に基づいて、IPv6パケットの送信先を特定し(S141)、当該送信先にIPv6パケット送信部111がIPv6パケットを送信し(S143)、処理を終える。
【0063】
図8は、ゲートウェイ装置におけるIPv6パケットの受信の際の動作を示すフローチャートである。ここでは、ゲートウェイ装置1にとってのネットワーク11とゲートウェイ装置2にとってのネットワーク13を共にIPv4ネットワークという。
【0064】
制御部121は、IPv6パケットを受信したら、IPv6パケットの(C)IPv6ヘッダに含まれる(C1)宛先IPアドレスと同じ第1IPv6アドレス、並びに、その(C)IPv6ヘッダに含まれる(C2)送信元IPアドレスと同じ第2IPv6アドレスを含む変換情報を変換情報記憶部141から検索する(S201)。
【0065】
制御部121は、該当の変換情報がなかったなら(S201:NO)、IPv6パケットのIPv6ヘッダの宛先IPアドレスに基づいて、IPv6パケットをIPv4パケットに変換してIPv4ネットワークに送出すべきか、IPv6パケットをネットワーク12に送出すべきかを判定する(S203)。
【0066】
制御部121は、IPv6パケットをネットワーク12に送出すべきなら(S203:IPv6)、ルーチング情報記憶部131のIPv6用のルーチング情報に基づいて、IPv6パケットの次の送信先を特定し(S205)、当該送信先にIPv6パケット送信部111がIPv6パケットを送信し(S207)、処理を終える。
【0067】
制御部121は、IPv6パケットをIPv4パケットに変換してIPv4ネットワークに送出すべきなら、IPv6パケットを所定の方法でIPv4パケットに変換する(S211)。
【0068】
制御部121は、該当の変換情報があったなら(S201:あり)、変換情報が有効化されているか否かを判定する(S221)。
【0069】
制御部121は、変換情報が有効化されていないなら(S221:NO)、ステップS5と同様に、変換情報内の対向装置識別子に対応するゲートウェイ装置から、当該変換情報に対応する変換情報を取得し、検索した変換情報が取得した変換情報に整合するか否かを判定する(S223)。制御部121は、検索した変換情報が取得した変換情報に整合しないなら(S223:なし)、IPv6パケットを廃棄し(S225)、処理を終える。
【0070】
制御部121は、検索した変換情報が取得した変換情報に整合したなら(S223:あり)、検索した変換情報を有効化する(S226)。
【0071】
制御部121は、変換情報が有効化されている(S221:YES)、または、検索した変換情報を有効化した(S226)なら、IPv6パケットをIPv4パケットに変換する(S231)。
【0072】
制御部121は、ステップS231では、変換情報に対応づけて予めルール情報記憶部151に記憶されたルール情報を読み出し、IPv6パケットのヘッダ部の予めルール情報に定められた位置の情報をIPv4パケットの予めルール情報に定められた位置に格納する。
【0073】
図6、図7を参照すれば、制御部121は、IPv6パケットの(C)IPv6ヘッダにおける斜線で示す位置に格納された情報を取り出し、IPv4パケットの(3)IPv4ヘッダの斜線で示す位置に格納する。
【0074】
また、制御部121は、検索した変換情報から第1IPv4アドレスを取り出し、これをIPv4パケットの(3)IPv4ヘッダにおける符号31の位置に宛先IPアドレスとして格納する。
【0075】
また、制御部121は、検索した変換情報から第2IPv4アドレスを取り出し、これをIPv4パケットの(3)IPv4ヘッダにおける符号32の位置に送信元IPアドレスとして格納する。
【0076】
また、制御部121は、検索した変換情報からIPv4ヘッダのバージョン、IHL、サービス種別を取り出し、これらをIPv4パケットの(3)IPv4ヘッダにおける符号33、34、35の位置に格納する。
【0077】
また、制御部121は、Etherを利用した通信であることから、Etherパケットの長さを求め、予めルール情報に定められた範囲の長さを求め、これをIPv4パケットの(3)IPv4ヘッダにおける符号36の位置にペイロード長として格納する。
【0078】
また、制御部121は、IPv6パケットの(C)IPv6ヘッダの中のデータDA〜DTをIPv4パケットの(2)データ部の中のデータDA〜DTの位置に格納する。
【0079】
また、制御部121は、IPv6パケットの(B)データ部のデータDUをIPv4パケットの(2)データ部の中のデータDUの位置に格納する。
【0080】
また、制御部121は、IPv4パケットの(4)Etherヘッダに所定の情報を格納する。
【0081】
また、制御部121は、IPv4パケットからフレームチェックシーケンス(FCS)という値を求め、これをIPv4パケットの(1)FCS格納部に格納する。
【0082】
制御部121は、ステップS211またはS231でIPv4パケットを生成したなら、ルーチング情報記憶部131のルーチング情報に基づいて、IPv4パケットの送信先を特定し(S241)、当該送信先にIPv4パケット送信部101がIPv4パケットを送信し(S243)、処理を終える。
【0083】
図9は、端末31とサーバ32の間の通信に関するシーケンス図である。
【0084】
ゲートウェイ装置1は、変換情報を生成し、ゲートウェイ装置2から、対応する変換情報を取得し(T1)、生成した変換情報が取得した変換情報に整合するなら、変換情報を有効化する(T2)。
【0085】
ゲートウェイ装置2も同様に、変換情報を生成し、ゲートウェイ装置1から、対応する変換情報を取得し(T3)、生成した変換情報が取得した変換情報に整合するなら、変換情報を有効化する(T4)。
【0086】
次に、例えば、ルータ21は、通信を確立する際の予め定められた手順にしたがい、IPv4パケットを生成し、図示しないネットワーク装置23を介して、IPv4パケットをゲートウェイ装置1に送信する(T11)。
【0087】
ゲートウェイ装置1は、前述のステップS131の方法で、IPv4パケットをIPv6パケットに変換し(T13)、ゲートウェイ装置2に送信する(T15)。
【0088】
ゲートウェイ装置2は、前述のS231の方法で、IPv6パケットをIPv4パケットに変換し(T17)、図示しないネットワーク装置24を介して、IPv4パケットをルータ22に送信する(T19)。
【0089】
これに対し、図示しないが、ルータ22からルータ21へ同様の方法で、パケットが送信される。これにより、ルータ21、22間が通信可能となる。
【0090】
以降、端末31、サーバ32は、通信可能となった経路を介して、互いに通信(ユーザ通信)を行う。その際、ゲートウェイ装置1、2では前述の方法でパケット変換が行われる。
【0091】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ゲートウェイ装置1(2)は、ネットワーク11、12(13、12)に接続され、ネットワーク11(13)からのIPv4パケットをIPv6パケットに変換してネットワーク12に送出する一方、ネットワーク12からのIPv6パケットをIPv4パケットに変換してネットワーク11(13)に送出するゲートウェイ装置であって、IPv4パケットの予め定められた位置の情報をネットワーク12に送出されるIPv6パケットの(C)IPv6ヘッダの予め定められた位置に格納する一方、ネットワーク12からのIPv6パケットの(C)IPv6ヘッダの予め定められた位置の情報をネットワーク11(13)に送出されるIPv4パケットに格納する制御部121を備えることで、IPv6パケットの長さが最長値を超えないようにでき、よって、パケット分割、合成に起因する問題発生の防止を図ることができる。
【0092】
なお、本実施の形態では、IPv4パケット、IPv6パケットを例にして説明したが、変換前、変換後のパケットの種類は任意である。
【0093】
また、本実施の形態では、端末31とサーバ32の間の通信について説明したが、本発明は、端末同士またはサーバ同士の通信に適用してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1、2…ゲートウェイ装置
11、12、13…ネットワーク
21、22…ルータ
31…端末
32…サーバ
101…IPv4パケット送信部
102…IPv4パケット受信部
111…IPv6パケット送信部
112…IPv6パケット受信部
121…制御部
131…ルーチング情報記憶部
141…変換情報記憶部
151…ルール情報記憶部
161…設定情報記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワークと第2のネットワークとに接続され、前記第1のネットワークからのパケットを変換して前記第2のネットワークに送出する一方、前記第2のネットワークからのパケットを変換して前記第1のネットワークに送出するゲートウェイ装置であって、
前記第1のネットワークからのパケットの予め定められた位置の情報を前記第2のネットワークに送出されるパケットのヘッダの予め定められた位置に格納する一方、前記第2のネットワークからのパケットのヘッダの予め定められた位置の情報を前記第1のネットワークに送出されるパケットに格納する制御部
を備えたことを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項2】
第1のネットワークと第2のネットワークとに接続され、前記第1のネットワークからのパケットを変換して前記第2のネットワークに送出する一方、前記第2のネットワークからのパケットを変換して前記第1のネットワークに送出する第1のゲートウェイ装置、ならびに、第3のネットワークと前記第2のネットワークとに接続され、前記第3のネットワークからのパケットを変換して前記第2のネットワークに送出する一方、前記第2のネットワークからのパケットを変換して前記第3のネットワークに送出する第2のゲートウェイ装置とを備えるパケット変換システムであって、
前記第1のゲートウェイ装置は、
前記第1のネットワークからのパケットの予め定められた位置の情報を前記第2のネットワークに送出されるパケットのヘッダの予め定められた位置に格納する一方、前記第2のネットワークからのパケットのヘッダの予め定められた位置の情報を前記第1のネットワークに送出されるパケットに格納する制御部
を備え、
前記第2のゲートウェイ装置は、
前記第3のネットワークからのパケットの予め定められた位置の情報を前記第2のネットワークに送出されるパケットのヘッダの予め定められた位置に格納する一方、前記第2のネットワークからのパケットのヘッダの予め定められた位置の情報を前記第3のネットワークに送出されるパケットに格納するる制御部
を備えることを特徴とするパケット変換システム。
【請求項1】
第1のネットワークと第2のネットワークとに接続され、前記第1のネットワークからのパケットを変換して前記第2のネットワークに送出する一方、前記第2のネットワークからのパケットを変換して前記第1のネットワークに送出するゲートウェイ装置であって、
前記第1のネットワークからのパケットの予め定められた位置の情報を前記第2のネットワークに送出されるパケットのヘッダの予め定められた位置に格納する一方、前記第2のネットワークからのパケットのヘッダの予め定められた位置の情報を前記第1のネットワークに送出されるパケットに格納する制御部
を備えたことを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項2】
第1のネットワークと第2のネットワークとに接続され、前記第1のネットワークからのパケットを変換して前記第2のネットワークに送出する一方、前記第2のネットワークからのパケットを変換して前記第1のネットワークに送出する第1のゲートウェイ装置、ならびに、第3のネットワークと前記第2のネットワークとに接続され、前記第3のネットワークからのパケットを変換して前記第2のネットワークに送出する一方、前記第2のネットワークからのパケットを変換して前記第3のネットワークに送出する第2のゲートウェイ装置とを備えるパケット変換システムであって、
前記第1のゲートウェイ装置は、
前記第1のネットワークからのパケットの予め定められた位置の情報を前記第2のネットワークに送出されるパケットのヘッダの予め定められた位置に格納する一方、前記第2のネットワークからのパケットのヘッダの予め定められた位置の情報を前記第1のネットワークに送出されるパケットに格納する制御部
を備え、
前記第2のゲートウェイ装置は、
前記第3のネットワークからのパケットの予め定められた位置の情報を前記第2のネットワークに送出されるパケットのヘッダの予め定められた位置に格納する一方、前記第2のネットワークからのパケットのヘッダの予め定められた位置の情報を前記第3のネットワークに送出されるパケットに格納するる制御部
を備えることを特徴とするパケット変換システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−27018(P2013−27018A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163118(P2011−163118)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]