説明

ゲートウェイ装置

【課題】現用系と予備系の各々のTDMデータの内容及びその出力タイミングを簡単に一致させることができるゲートウェイ装置を提供する。
【解決手段】
中継部の各々は、系切り替え手段による指定に関らず、IP網から到来したパケットを一時的に記憶する記憶部を含み、当該系切り替え手段によって現用系中継部として指定されたときは、先頭パケットに含まれるシーケンス番号を先頭シーケンス番号として予備系中継部に供給するとともに、当該先頭パケットを受信した時刻に所定遅延時間を加算して得られた読出し開始時刻を当該予備系中継部に供給し、当該系切り替え手段によって予備系中継部として指定されたときは、当該先頭シーケンス番号以降のシーケンス番号のパケットのみを当該記憶部に記憶し、且つ当該読出し開始時刻が到来してから当該記憶部に記憶されているパケットの読出しを開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信品質の維持のために二重化されたゲートウェイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、TDM(Time Division Multiplexing:時分割多重)フレームとIP(Internet Protocol)パケットとの間でデータフォーマットを変換しつつデータを中継するゲートウェイ装置が知られている。例えば電話サービスの場合には、回線交換網から到来した音声のTDMフレームをIPパケットにフォーマット変換してIP網に送出し、且つ、IP網から到来した音声のIPパケットをTDMフレームにフォーマット変換して回線交換網に送出する。一般的に、ゲートウェイ装置は二重化されており、故障発生時には通信路を現用系から予備系に切り替えることにより、サービス提供の中断を回避している。
【0003】
通常、二重化されたゲートウェイ装置においては、障害発生時に予備系から現用系への系切替が確実になされることを保証するための動作確認として、障害が発生していないときにも定期的に系切替を行っている。定期系切替時には、実際には障害が発生していないので、通信トラフィックの瞬断が生じないようにしなければならない。そのためには、現用系と予備系とで通信タイミングが一致していることを要する。通常、IP網内で生じるいわゆる遅延ゆらぎにより、ゲートウェイ装置におけるパケットの受信間隔は一定ではなくなっている。この遅延ゆらぎを吸収して通信タイミングを一致させるためにゲートウェイ装置には現用系バッファ1及び予備系バッファ2が設けられている。
【0004】
図1には、現用系バッファ1及び予備系バッファ2と、パケットp1、p2、p3及びp4とが示されている。パケットp1、p2、p3及びp4は、IP網から順次到来して現用系バッファ1及び予備系バッファ2に一時的に記憶され、TDMフレーム化されるために所定間隔Tpで順次出力される。かかる動作を行なう際には、以下のような問題が生じることが考えられる。
【0005】
第1に、現用系バッファ1及び予備系バッファ2の各々へのパケットの書込みタイミングの同期が取れないという問題がある。両バッファへの受信パケットの入力タイミングはほぼ一致しているが、IP網の伝送クロックが両系で同期しておらず、且つ、当該入力タイミングは回線交換網のクロックとも同期していないので、書込みタイミングの同期が取れないのである。両系で同期が取れていない場合、TDMフレームの位相を両系で一致させることができなくなってしまう。
【0006】
第2に、例えば、両系のバッファが回線交換網のクロックに同期して同時に動作を開始したとしても、IP網から到来したパケットp1を、予備系バッファ2は動作開始直後に受信できたが、現用系バッファ1は受信できないということも起こり得る。例えば、現用系へのパケットp1の到来時刻が予備系のそれよりも遅かった場合に、現用系バッファ1が動作開始時にパケットp1を認識できずに受信できないということが考えられる。この場合、例えば、現用系バッファ1からはパケットp2が出力され、これと同タイミングで予備系バッファ1からはパケットp1が出力されるということが起こり得る。この場合、両系から出力されるTDMフレームの内容が異なってしまう。
【0007】
例えば特許文献1には、このような問題を解決するための冗長化ゲートウェイシステムが開示されている。当該システムにおいては、以下の3つの動作を行なっている。すなわち、(1)現用系側の受信IPパケットを回線交換網のクロックに乗せ換えてからバッファメモリに書き込む、(2)当該IPパケットと書込み時のライトポインタとを予備系バッファに与える、(3)現用系バッファのリードポインタを予備系バッファに対して定期的に与える、という動作を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−178060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術の場合には、クロックの乗せ換え等の複雑な動作を行わなければならず、予備系に対して与える情報量も多くなってしまうという問題がある。また、これらの動作を実行するためのハードウェア資源を要するのでコストや装置規模の点からも問題がある。
【0010】
本発明は上記した如き問題点に鑑みてなされたものであって、現用系と予備系の各々のTDMフレームの内容及びその出力タイミングを簡単に一致させることができるゲートウェイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるゲートウェイ装置は、回線交換網とIP網との間でデータフォーマットを変換しつつデータを中継可能な2つの中継部と、前記2つの中継部のうちの一方を現用系中継部として指定し他方を予備系中継部として指定し且つ前記現用系中継部と予備系中継部とを選択的に切り替えて前記現用系中継部による前記データの中継を許可する系切替え手段と、を含むゲートウェイ装置であって、前記中継部の各々は、前記IP網から到来したパケットを一時的に記憶する記憶部を含み、前記現用系中継部として指定されたときは、通信開始後に最初に前記IP網から到来したパケットである先頭パケットに含まれるシーケンス番号を先頭シーケンス番号として前記予備系中継部に供給するシーケンス番号供給手段と、前記先頭パケットを受信した時刻に所定遅延時間を加算して得られた読出し開始時刻を前記予備系中継部に供給する読出し開始時刻供給手段と、前記パケットを前記記憶部に順次記憶せしめる現用系書込み制御部と、前記読出し開始時刻が到来してから前記記憶部に記憶されているパケットの読出しを開始せしめる現用系読出し制御部と、を含み、前記予備系中継部として指定されたときは、前記先頭シーケンス番号以降のシーケンス番号のパケットのみを前記記憶部に記憶せしめる予備系書込み制御部と、前記読出し開始時刻が到来してから前記記憶部に記憶されているパケットの読出しを開始せしめる予備系読出し制御部と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるゲートウェイ装置によれば、現用系と予備系の各々のTDMフレームの内容及びその出力タイミングを簡単に一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来のゲートウェイ装置における現用系及び予備系のバッファの入出力パケットを示す説明図である。
【図2】本発明の実施例であるゲートウェイ装置の構成を回線交換網及びIP網と共に示すブロック図である。
【図3】図2のインターワーク処理部によるインターワーク処理の対象となるTDMフレーム及びIPパケットを示す説明図である。
【図4】インターワーク処理部の構成を示すブロック図である。
【図5】インターワーク処理部の入出力データを示すタイムチャートである。
【図6】図4の遅延ゆらぎ吸収バッファによる遅延ゆらぎの吸収を示す説明図である。
【図7】現用系及び予備系の遅延ゆらぎ吸収バッファの構成を示すブロック図である。
【図8】IP網から現用系のIP網回線終端部に到来するパケットを示すタイムチャートである。
【図9】現用系及び予備系の遅延ゆらぎ吸収バッファの動作を示すシーケンス図である。
【図10】現用系及び予備系の遅延ゆらぎ吸収バッファの記憶パケット及び出力パケットを示す説明図である。
【図11】本実施例のゲートウェイ装置における現用系及び予備系の遅延ゆらぎ吸収バッファの入出力パケットを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図2には、本発明の実施例であるゲートウェイ装置101の構成が示されている。ゲートウェイ装置101は、対向側のゲートウェイ装置102との間でデータを中継することができる。ゲートウェイ装置101は、回線交換網201から到来したTDMフレームをIPパケットにフォーマット変換してIP網300に送出する。また、ゲートウェイ装置101は、IP網300から到来したIPパケットをTDMフレームにフォーマット変換して回線交換網201に送出する。
【0016】
ゲートウェイ装置101は、回線交換網回線終端部111及び112と、インターワーク処理部121及び122と、IP網回線終端部131及び132と、を含む。ゲートウェイ装置101においては、各機能ブロックが二重化されている。以下、回線交換網回線終端部111、インターワーク処理部122、IP網回線終端部131からなる構成を現用系の中継部と称し、回線交換網回線終端部112、インターワーク処理部121、IP網回線終端部132からなる構成を予備系の中継部と称する。
【0017】
ゲートウェイ装置101は、現用系と予備系とを選択的に切り替える系切替え手段(図示せず)を有する。系切替え手段は、2つの中継部のうちの一方を現用系中継部として指定し他方を予備系中継部として指定し、且つ現用系中継部と予備系中継部との指定を選択的に切り替えて現用系中継部によるデータの中継を許可する。系切替え手段は、例えば、初期動作時に回線交換網回線終端部111及び112のうちの一方を現用系として指定し、系切り替え時には他方を現用系として指定する。系切替え手段は、インターワーク処理部121及び122、IP網回線終端部131及び132についても同様に現用系を択一的に指定する。系切替え手段は、現用系ではない方の機能ブロックを予備系として指定する。系切替え手段は、例えば、故障発生時や動作確認のための定期系切替え時に系切り替えを行う。
【0018】
図2においては、現用系を構成する各機能ブロックの各々には黒三角の符号が付されており、現用系を構成する各機能ブロックの各々には白三角の符号が付されている。また、現用系側のデータの流れを太い矢印で示している。なお、各機能ブロックについては個別に現用系又は予備系として設定可能であり、上記の現用系/予備系の設定は一例に過ぎない。
【0019】
回線交換網回線終端部111は、回線交換網201に対する回線終端機能を有する。詳細には、回線交換網回線終端部111は、回線交換網201から到来したTDMフレームをインターワーク処理部121及び122の各々に供給し、且つ、インターワーク処理部121及び122の各々から供給されたTDMフレームのうちの現用系側のデータを回線交換網201に送出する。回線交換網回線終端部112も、回線交換網回線終端部111と同様の機能を有する。
【0020】
インターワーク処理部121は、回線交換網回線終端部111のためのTDMフレームとIP網のためのIPパケットとをインターワークする機能を有する。詳細には、インターワーク処理部121は、回線交換網回線終端部111及び112の各々から供給されたTDMフレームのうちの現用系側のデータをIPパケットに変換してIP網回線終端部131及び132の各々に供給し、且つ、IP網回線終端部131及び132の各々から供給されたIPパケットのうちの現用系側のパケットをTDMフレームに変換して回線交換網回線終端部111及び112の各々に供給する。インターワーク処理部122も、インターワーク処理部121と同様の機能を有する。インターワーク処理の対象となるTDMフレーム及びIPパケットの詳細については後述する(図3)。
【0021】
IP網回線終端部131は、IP網300に対する回線終端機能を有する。詳細には、IP網回線終端部131は、IP網300から到来したIPパケットをインターワーク処理部121及び122の各々に供給し、且つ、インターワーク処理部121及び122の各々から供給されたIPパケットのうちの現用系側のパケットをIP網300に送出する。IP網回線終端部132も、IP網回線終端部131と同様の機能を有する。
【0022】
対向側のゲートウェイ装置102も、ゲートウェイ装置101と同様の機能を有する。
【0023】
図3には、インターワーク処理部121及び122によるインターワーク処理の対象となるTDMフレーム及びIPパケットが示されている。
【0024】
TDMフレームは、回線交換網の通信フォーマットであり、8kHzフレーム毎すなわち125μ秒周期で複数チャネルch1、ch2、・・・のチャネルデータがそれぞれ1バイト単位で時分割多重されて構成されている。IPパケットは、IP網の通信フォーマットであり、発着信アドレスや各種制御情報を格納したヘッダと、ある1つのチャネルについての複数のチャネルデータを格納したペイロードとからなる。TDMフレームとIPパケットにおけるチャネルデータの対応が矢印で示されている。
【0025】
図4には、インターワーク処理部121及び122の構成が示されている。
【0026】
インターワーク処理部121は、選択部11と、パケット生成部12と、選択部13と、遅延ゆらぎ吸収バッファ14と、TDMフレーム生成部15と、を含む。
【0027】
選択部11は、回線交換網回線終端部111及び112(図2)の各々から供給されたTDMフレーム41及び42のうちの現用系のデータを選択してパケット生成部12に供給する。
【0028】
パケット生成部12は、選択部11から供給されたTDMフレームを構成する複数のチャネルデータのうちのある1つのチャネルについてのデータを含むIPパケット51をチャネル毎に生成する。パケット生成部12は、IPパケット51をIP網回線終端部131及び132(図2)の各々に順次供給する。
【0029】
選択部13は、IP網回線終端部131及び132(図2)の各々から供給されたIPパケット61及び62のうちの現用系のパケットを選択して遅延ゆらぎ吸収バッファ14に供給する。
【0030】
遅延ゆらぎ吸収バッファ14は、選択部13から供給されたIPパケットを一時的に記憶し、その後出力する。遅延ゆらぎ吸収バッファ14による遅延ゆらぎ処理については後述する(図6)。
【0031】
TDMフレーム生成部15は、遅延ゆらぎ吸収バッファ14から出力されたIPパケットに含まれるチャネルデータを例えば125μ秒周期で各チャネルについて1バイト単位で時分割多重してTDMフレーム71を生成する。TDMフレーム生成部15は、TDMフレーム71を回線交換網回線終端部111及び112(図2)の各々に順次供給する。
【0032】
インターワーク処理部122は、選択部21と、パケット生成部22と、選択部23と、遅延ゆらぎ吸収バッファ24と、TDMフレーム生成部25と、を含む。
【0033】
選択部21は、回線交換網回線終端部111及び112(図2)の各々から供給されたTDMフレーム41及び42のうちの現用系のデータを選択してパケット生成部22に供給する。
【0034】
パケット生成部22は、選択部21から供給されたTDMフレームを構成する複数のチャネルデータのうちのある1つのチャネルについてのデータを含むIPパケット52をチャネル毎に生成する。パケット生成部22は、IPパケット52をIP網回線終端部131及び132(図2)の各々に順次供給する。
【0035】
選択部23は、IP網回線終端部131及び132(図2)の各々から供給されたIPパケット61及び62のうちの現用系のパケットを選択して遅延ゆらぎ吸収バッファ24に供給する。
【0036】
遅延ゆらぎ吸収バッファ24は、選択部23から供給されたIPパケットを一時的に記憶し、その後出力する。遅延ゆらぎ吸収バッファ24による遅延ゆらぎ処理については後述する(図6)。
【0037】
TDMフレーム生成部25は、遅延ゆらぎ吸収バッファ24から出力されたIPパケットに含まれるチャネルデータを例えば125μ秒周期で各チャネルについて1バイト単位で時分割多重してTDMフレーム72を生成する。TDMフレーム生成部25は、TDMフレーム72を回線交換網回線終端部111及び112(図2)の各々に順次供給する。
【0038】
図5には、インターワーク処理部121及び122の入出力データが示されている。
【0039】
選択部11及び21の各々に供給されるTDMフレーム41の位相とTDMフレーム42の位相とは一致している。TDMフレーム41及び42は回線交換網回線終端部111及び112(図2)からそれぞれ供給される。なお、これら両TDMフレームの位相を一致させることは技術的に容易である。
【0040】
パケット生成部12が出力するIPパケット51の位相とパケット生成部22が出力するIPパケット52の位相とは一致している。なお、図5では、IPパケット51及び52についてはチャネルch1のみが示されている。パケット化周期Tp毎にチャネルch1の位相が一致している。なお、これら両パケットの位相を一致させることは技術的に容易である。
【0041】
選択部13及び23の各々に供給されるIPパケット61の位相とIPパケット62の位相とは、ある許容偏差内で異なっているのが通常である。また、IP網300内でいわゆる遅延ゆらぎの影響を受けるので、パケット間の間隔T1、T2及びT3は一定ではない。IPパケット61及び62はIP網回線終端部131及び132(図2)からそれぞれ供給される。
【0042】
TDMフレーム生成部15が出力するTDMフレーム71の位相とTDMフレーム生成部25が出力するTDMフレーム72の位相とは一致している。これら両TDMフレームの位相を一致させる動作については後述する(図8〜図11)。
【0043】
図6には、遅延ゆらぎ吸収バッファ14による遅延ゆらぎの吸収動作の概略が示されている。パケットp1、p2及びp3は、対向側のゲートウェイ装置102(図2)から所定のパケット化周期TpでIP網300に送出される。しかし、IP網300内での遅延ゆらぎによって、ゲートウェイ装置101に順次到来するときのパケット間隔T1及びT2は周期Tpとは異なっており、一定ではなくなっている。遅延ゆらぎ吸収バッファ14及び24の各々は、パケットp1、p2及びp3を一時的に記憶し、その後、これらを周期Tpで出力し、TDMフレーム生成部15及び25に供給する。かかる動作より、遅延ゆらぎによってT1及びT2に変化したパケット間隔をTpに戻す。
【0044】
図7には、現用系の遅延ゆらぎ吸収バッファ24、及び予備系の遅延ゆらぎ吸収バッファ14の構成を示すブロック図である。
【0045】
遅延ゆらぎ吸収バッファ24は、記憶部91と、タイミング生成部92と、書込み制御部93と、読出し制御部94と、を含む。
【0046】
記憶部91は、選択部23(図4)から順次供給されたIPパケットを一時的に記憶し、その後、順次出力してTDMフレーム生成部25(図4)に供給する。詳細には、記憶部91は、各々が1の番号に対応付けられたN個(Nは2以上の整数)の記憶領域からなる。換言すれば、記憶部91の記憶容量はN個のIPパケット相当である。記憶部91は、書込み制御部93から与えられるライトポインタWPの番号が示す記憶領域に、選択部23から供給されたIPパケットを書き込む。また、記憶部91は、読出し制御部94から与えられるリードポインタRPの番号が示す記憶領域に記憶しているIPパケットを読み出して出力する。ライトポインタWP及びリードポインタRPの各々は、記憶領域の論理アドレスである。ライトポインタWPは0≦WP≦N−1の範囲内の整数値であり、リードポインタRPは0≦RP≦N−1の範囲内の整数値である。
【0047】
タイミング生成部92は、読出しタイミング信号を生成して読出し制御部94に供給する。また、タイミング生成部92は、タイミング同期信号T_SYNCを生成して予備系のタイミング生成部82に供給する。タイミング生成部92は、回線交換網同期クロックを分周してこれらの信号を生成する。現用系のタイミング生成部92は、予備系のタイミング生成部82との間でタイミング同期信号T_SYNCを交換することにより、予備系と動作タイミングを一致させている。
【0048】
また、タイミング生成部92は、回線交換網同期クロックに同期して現在時刻tをカウントする。例えば、周期をMとすると、0≦t≦M−1とし得る。また、例えば、周期Mをパケット化周期Tpの倍数とし得る。パケット化周期Tpは、対向側のゲートウェイ装置102(図2)が、回線交換網202から到来したTDMフレームに含まれるチャネルデータを抽出してIPパケットのペイロードに充填するのに要する時間である。また、例えば、周期Mは、後述のTv及びTcと比較すると、Tv<M、及びTc<Mの関係となり得る。
【0049】
書込み制御部93は、記憶部91に対してライトポインタWPを与える。ライトポインタWPの初期値は”0”である。例えば、記憶部91がIPパケットを10個まで記憶可能である場合には、ライトポインタWPは”0”から”9”までの間を循環しながらインクリメントされる。
【0050】
また、書込み制御部93は、選択部23から供給されたIPパケットに含まれるシーケンス番号SNを取得することができる。シーケンス番号SNは、例えば、IPパケットのRTPヘッダに含まれている16ビットの符号無し整数である。シーケンス番号SNは、送信元である対向側のゲートウェイ装置102がIPパケットを送信する毎に巡回インクリメントされる。例えば、シーケンス番号SNの最大値が216−1である場合、SN=216−1をインクリメントするとSN=0となる。
【0051】
特に、書込み制御部93は、遅延ゆらぎ吸収バッファ24の動作開始後、選択部23から供給された最初のIPパケットに含まれるシーケンス番号(以下、先頭シーケンス番号と称する)SN_BASEを取得して書込み制御部83に供給する。以下、当該供給手段をシーケンス番号供給手段と称する。
【0052】
読出し制御部94は、後述の読出し開始時刻T_BASEの決定後に、読出しタイミング信号に同期して、記憶部91に対してリードポインタRPを与える。換言すれば、読出し制御部94は、読出し開始時刻T_BASEが到来するまでは、記憶部91に対してリードポインタRPを与えない。この間、記憶部91はIPパケットの読出しを行わない。リードポインタRPの初期値は”0”であり、読出しタイミング信号に同期してインクリメントされる。例えば、記憶部91がIPパケットを10個まで記憶可能である場合には、リードポインタRPは”0”から”9”までの間を循環しながらインクリメントされる。
【0053】
また、読出し制御部94は、遅延ゆらぎ吸収バッファ24の動作開始後、最初のIPパケットが到来したときの時刻tに所定の固定遅延時間Tcを加算して得られた時刻を読出し開始時刻T_BASEとして予備系の読出し制御部84に供給する。以下、当該供給手段を読出し開始時刻供給手段と称する。固定遅延時間Tcは、IP網300内で生じる最大遅延ゆらぎ時間Tv以上の値とする。
【0054】
遅延ゆらぎ吸収バッファ14は、記憶部81と、書込み制御部82と、タイミング生成部83と、読出し制御部84と、を含む。
【0055】
記憶部81は、選択部13(図4)から順次供給されたIPパケットを一時的に記憶し、その後、順次出力してTDMフレーム生成部15(図4)に供給する。詳細には、記憶部81は、各々が1の番号に対応付けられたN個(Nは2以上の整数)の記憶領域からなる。換言すれば、記憶部81の記憶容量はN個のIPパケット相当である。記憶部81は、書込み制御部83から与えられるライトポインタWPの番号が示す記憶領域に、選択部13から供給されたIPパケットを書き込む。また、記憶部81は、読出し制御部84から与えられるリードポインタRPの番号が示す記憶領域に記憶しているIPパケットを読み出して出力する。ライトポインタWP及びリードポインタRPの各々は、記憶領域の論理アドレスである。例えば、記憶部81の記憶容量がN個のIPパケット相当である場合、ライトポインタWPは0≦WP≦N−1の範囲内の整数値であり、リードポインタRPは0≦RP≦N−1の範囲内の整数値である。
【0056】
タイミング生成部82は、読出しタイミング信号を生成して読出し制御部84に供給する。また、タイミング生成部82は、タイミング同期信号T_SYNCを生成して現用系のタイミング生成部92に供給する。タイミング生成部82は、回線交換網同期クロックを分周してこれらの信号を生成する。また、タイミング生成部82は、回線交換網同期クロックに同期して現在時刻tをカウントする。予備系のタイミング生成部82は、現用系のタイミング生成部92からタイミング同期信号T_SYNCの供給を受けることにより、現用系と動作タイミングを一致させている。
【0057】
書込み制御部83は、現用系の書込み制御部93から先頭シーケンス番号SN_BASEが供給されてから、記憶部81に対するライトポインタWPの供給を開始する。換言すれば、書込み制御部83は、現用系の書込み制御部93から先頭シーケンス番号SN_BASEの供給を受けるまでは待機状態にあり、記憶部81に対してライトポインタWPを供給しない。この間、記憶部81はIPパケットを記憶しない。
【0058】
書込み制御部83は、選択部13から供給されたIPパケットに含まれるシーケンス番号SNを取得することができる。書込み制御部83は、当該取得したシーケンス番号SNが先頭シーケンス番号SN_BASEよりも小さい場合には、記憶部81に対してライトポインタWPを供給しない。この場合、記憶部81は当該IPパケットを記憶せずに破棄する。一方、書込み制御部83は、当該取得したシーケンス番号SNが先頭シーケンス番号SN_BASE以降の番号である場合には、記憶部81に対してライトポインタWPを供給する。この場合、記憶部81は、ライトポインタWPにより指定された論理アドレスにIPパケットを記憶する。かかる処理により、現用系の記憶部91に記憶されるIPパケットと、予備系の記憶部81に記憶されるIPパケットとが一致する。
【0059】
書込み制御部83は、記憶部81に対してライトポインタWPを与える。ライトポインタWPの初期値は”0”である。例えば、記憶部81がIPパケットを10個まで記憶可能である場合には、ライトポインタWPは”0”から”9”までの間を循環しながらインクリメントされる。
【0060】
読出し制御部84は、読出し開始時刻T_BASEが到来してから、読出しタイミング信号に同期して、記憶部81に対してリードポインタRPを与える。換言すれば、読出し制御部84は、読出し開始時刻T_BASEが到来するまでは、記憶部81に対してリードポインタRPを与えない。この間、記憶部81はIPパケットの読出しを行わない。読出し開始時刻T_BASEは、現用系の読出し制御部94から供給される。リードポインタRPの初期値は”0”であり、読出しタイミング信号に同期してインクリメントされる。例えば、記憶部81がIPパケットを10個まで記憶可能である場合には、リードポインタRPは”0”から”9”までの間を循環しながらインクリメントされる。
【0061】
以下、図8〜図11を参照しつつ、IP網300からIPパケットが到来した際における現用系及び予備系の遅延ゆらぎ吸収バッファ14及び24の遅延ゆらぎ吸収動作について説明する。
【0062】
図8に示されるように、ゲートウェイ装置101(図2)には、時刻T0に通信動作を開始してから、IPパケットp5、p6、p8、p7、p9及びp10がIP網300から順次到来する。通信動作開始後、最初のIPパケットp5が到来した時刻T1から固定遅延時間Tcだけ経過した時点の時刻すなわち読出し開始時刻T_BASEは、IPパケットp9の到来時刻とIPパケットp10の到来時刻との間に位置する。
【0063】
先ず、現用系の遅延ゆらぎ吸収バッファ24が通信動作を開始する(ステップS1)。通信動作開始直後は、遅延ゆらぎ吸収バッファ24にはIPパケットが記憶されていない(図10(a))。また、予備系の遅延ゆらぎ吸収バッファ14は、待機状態であり、通信動作を未だ開始していない(ステップS2)。
【0064】
遅延ゆらぎ吸収バッファ24は、通信動作開始後、IP網回線終端部132(図2)によって受信された最初のIPパケットp5を選択部23(図4)から受け取る(ステップS3)。
【0065】
書込み制御部93は、IPパケットp5に含まれるシーケンス番号SNを取得し、これを先頭シーケンス番号SN_BASEとする(ステップS4)。
【0066】
読出し制御部94は、IPパケットp5がゲートウェイ装置101に到来したときに、タイミング生成部92によりカウントされている時刻を参照し、当該時刻T1に固定遅延時間Tcを加算して得られた時刻を読出し開始時刻T_BASEとする(ステップS5)。実際には、カウント時刻tが0〜M−1の範囲で循環することから、読出し開始時刻T_BASE=(t+Tc)modMとして算出する。なお、(t+Tc)modMは、周期Mを法としたときの(t+Tc)の剰余を表す。
【0067】
書込み制御部93は先頭シーケンス番号SN_BASEを予備系の書込み制御部83に供給し、読出し制御部94は読出し開始時刻T_BASEを予備系の読出し制御部84に供給する(ステップS6)。
【0068】
予備系の遅延ゆらぎ吸収バッファ14は、これらの情報の供給を受けてから通信動作を開始する(ステップS7)。遅延ゆらぎ吸収バッファ14は、通信動作開始後、IP網回線終端部131(図2)によって受信されたIPパケットを選択部13(図4)から順次受け取る。
【0069】
遅延ゆらぎ吸収バッファ14の書込み制御部83は、選択部13から供給されるIPパケットに含まれるシーケンス番号SNを取得する。そして、書込み制御部83は、当該取得したシーケンス番号SNが先頭シーケンス番号SN_BASEよりも小さい場合には記憶部81に対してライトポインタWPを供給せず、シーケンス番号SNが先頭シーケンス番号SN_BASE以上である場合には記憶部81に対してライトポインタWPを供給する(ステップS8)。
【0070】
遅延ゆらぎ吸収バッファ14の読出し制御部84は、読出し開始時刻T_BASEが到来するまで、記憶部81からのIPパケットの読出しを行なわない(ステップS8)。
【0071】
この間、現用系の記憶部91は、ゲートウェイ装置101に到来したIPパケットをシーケンス番号順に記憶する(ステップS9)。ライトポインタWPの初期値は”0”であり、最初のパケットp5は、記憶部91の記憶領域のうちのWP=0で示される領域に記憶される(図10(b))。
【0072】
書込み制御部93は、IPパケットp6等の後続パケットについてのライトポインタWPをWP=SN−SB_BASEにより算出する。ライトポインタWPを単純にインクリメントせずに、このように算出することによって、IPパケットの到来順序が逆になっている場合(例えば図8におけるIPパケットp7とp8)でも、IPパケットをシーケンス番号順に整列させて記憶することができる。すなわち、ライトポインタWPの値の増加順にIPパケットが記憶される(図10(c)及び(d))。
【0073】
実際には、シーケンス番号SNが0〜216−1の範囲で循環すること、及びライトポインタWPが0〜Nの範囲で循環することから、ライトポインタWPをWP=((SN−SN_BASE)mod216)modNとして算出する。書込み制御部93は、このようにして算出したライトポインタWPが示す記憶部91の記憶領域にIPパケットを順次記憶せしめる(ステップS9)。
【0074】
予備系の記憶部81も、SN_BASE及びT_BASEの設定後に(ステップS8)、ゲートウェイ装置101に到来したIPパケットをシーケンス番号順に記憶する(ステップS10)。ライトポインタWPの初期値は”0”であり、最初のパケットp5は、記憶部91の記憶領域のうちのWP=0で示される領域に記憶される(図10(b))。
【0075】
書込み制御部83は、現用系の書込み制御部93と同様に、IPパケットp6等の後続パケットについてのライトポインタWPをWP=((SN−SN_BASE)mod216)modNとして算出する。書込み制御部83は、このようにして算出したライトポインタWPが示す記憶部81の記憶領域にIPパケットを順次記憶せしめる(ステップS10、図10(c)及び(d))。
【0076】
かかる処理により、現用系の書込み制御部93のライトポインタWPと、予備系の書込み制御部83のライトポインタWPとは一致し、同一シーケンス番号のIPパケットは同一番号の記憶領域に記憶される。
【0077】
現用系の読出し制御部94は、現在時刻tが読出し開始時刻T_BASEになってから記憶部91に記憶されているIPパケットの読み出しを開始する(ステップS11)。読出し制御部94は、タイミング生成部92から供給される読出しタイミング信号に同期して周期Tp毎に記憶部91に対してリードポインタRPを与える。リードポインタRPの初期値は”0”であり、記憶部91の記憶領域のうちのRP=0で示される領域から最初のパケットp5が読み出される(図10(e))。
【0078】
読出し制御部94は、IPパケットp6等の後続パケットについてのリードポインタRPをRP=(RPp+1)modNにより算出する。ここで、RPpは、現在IPパケットの直前のIPパケットについてのリードポインタ値である。Nは、記憶領域の総数である。RPが0〜N−1の範囲で循環することから、(RPp+1)modNとして算出している。読出し制御部94は、このようにして算出したリードポインタRPが示す記憶部91の記憶領域からIPパケットを順次記読み出す(ステップS11)。かかる動作により、現用系の遅延ゆらぎ吸収バッファ24からIPパケットp5、p6、・・・が間隔Tpで順次出力される(図10(e))。
【0079】
同様に、予備系の読出し制御部84は、現在時刻tが読出し開始時刻T_BASEになってから記憶部81に記憶されているIPパケットの読み出しを開始する(ステップS11)。読出し制御部84は、タイミング生成部82から供給される読出しタイミング信号に同期して周期Tp毎に記憶部81に対してリードポインタRPを与える。リードポインタRPの初期値は”0”であり、記憶部81の記憶領域のうちのRP=0で示される領域から最初のパケットp5が読み出される(図10(e))。
【0080】
読出し制御部84は、IPパケットp6等の後続パケットについてのリードポインタRPをRP=(RPp+1)modNにより算出する。ここで、RPpは、現在IPパケットの直前のIPパケットについてのリードポインタ値である。Nは、記憶領域の総数である。読出し制御部84は、このようにして算出したリードポインタRPが示す記憶部81の記憶領域からIPパケットを順次記読み出す(ステップS11)。かかる動作により、予備系の遅延ゆらぎ吸収バッファ14からもIPパケットp5、p6、・・・が間隔Tpで順次出力される(図10(e))。
【0081】
現用系及び予備系の各々の読出しタイミング信号が示す読出しタイミングは一致している。また、現用系及び予備系の各々のリードポインタRPの初期値は共に”0”である。現用系の遅延ゆらぎ吸収バッファ24及び予備系の遅延ゆらぎ吸収バッファ14の各々から最初に出力されるIPパケットは共にp5で一致しており、且つ、その出力タイミングも一致している(図11)。後続のパケットp6、p7、・・・についても、現用系及び予備系の各々のリードポインタRPは一致しており、出力タイミングも一致している(図11)。このように、現用系及び予備系の各々の出力IPパケットの内容及びその出力タイミングを一致させることができるので、これ以降、現用系と予備系とを切り替えても通信の瞬断は生じない。
【0082】
上記したように、本実施例のゲートウェイ装置101においては、第1に、現用系において最初のIPパケットp5に対して所定の固定遅延時間Tcを与えてから読み出すので、IP網内での伝送によって生じたIPパケットp5の遅延ゆらぎを吸収することができる。一般的には、入力タイミングのずれはナノ秒オーダーであり、固定遅延時間Tcはミリ秒単位に設定される。
【0083】
第2に、現用系において最初のIPパケットを受信した時刻tに所定の固定遅延時間Tcを加算して得られた読出し開始時刻T_BASEを予備系に供給し、現用系及び予備系ともに読出し開始時刻T_BASEが到来してからIPパケットを出力するので、現用系と予備系とで読み出しタイミングを一致させることができる。
【0084】
第3に、現用系において最初に受信したIPパケットの先頭シーケンス番号SN_BASEを予備系に供給し、予備系においてシーケンス番号SNが先頭シーケンス番号SN_BASE以上のIPパケットから記憶を開始することにより、現用系と予備系とでバッファに記憶するIPパケットを一致させることができる。
【0085】
例えば、両系のバッファが回線交換網のクロックに同期して同時に動作を開始したとしても、図11に示されるように、現用系へのIPパケットp4の到来時刻が予備系のそれよりも遅かった場合に、IPパケットp4を、予備系バッファは動作開始直後に受信できたが、現用系バッファは動作開始時にIPパケットp4を認識できずに受信できないということが考えられる。このような場合でも、予備系バッファは、現用系バッファが最初に記憶したIPパケットp5から記憶し始めるので、現用系と予備系とでバッファに記憶するIPパケットを一致させることができる。
【0086】
かかる動作により、現用系及び予備系の各々の出力IPパケットの内容及びその出力タイミングを一致させることができるので、現用系と予備系の切り替え時においても通信の瞬断は生じない。また、本実施例のゲートウェイ装置101においては、従来技術におけるクロックの乗せ換え等の複雑な動作を行なう必要がなく、且つ予備系に対して与える情報量も少ないので、コストや装置規模の点からも有利である。
【0087】
このように、本発明によるゲートウェイ装置によれば、現用系と予備系の各々のTDMフレームの内容及びその出力タイミングを簡単に一致させることができ、通信の瞬断を生じることなく系切り替えを行うことができる。
【0088】
上記の実施例は、予備系の遅延ゆらぎ吸収バッファ14が、現用系の遅延ゆらぎ吸収バッファ24から先頭シーケンス番号SN_BASE等の動作パラメータの供給を受けてから通信動作を開始する場合の例であるがこれに限られない。例えば、予備系の遅延ゆらぎ吸収バッファ14も、現用系の遅延ゆらぎ吸収バッファ24と同時に通信動作を開始し、動作パラメータの供給を受けてから先頭シーケンス番号SN_BASEにライトポイントWP=0をマッピングし直しても良い。
【0089】
また、上記の実施例は、現用系と予備系とが同時に運用を開始した場合の例であるが、これに限られない。例えば、現用系の運用中に、故障した予備系を交換する場合が考えられる。現用系の遅延ゆらぎ吸収バッファ24は、予備系のインターワーク処理部121が新規に組み込まれた際に発せられる新規組込み信号(図示せず)に応じて、T_SYNC、T_BASE、及びSN_BASEを予備系の遅延ゆらぎ吸収バッファ14に供給する。新規組込み信号は、例えば、予備系のインターワーク処理部121やゲートウェイ装置101内の制御部(図示せず)から現用系の遅延ゆらぎ吸収バッファ24に発せられる。予備系のインターワーク処理部121は、現用系から供給されたSN_BASE等の動作パラメータに基づいて上記したのと同様にライトポインタWP及びリードポインタRPを算出する。かかる動作により、予備系におけるライトポインタWP及びリードポインタRPを現用系におけるものと正確に一致させることができるので、現用系と予備系は同期を取ることができる。
【0090】
なお、図7に破線で示すように、予備系から現用系に対しても、動作パラメータすなわちタイミング同期信号T_SYNC、先頭シーケンス番号SN_BASE、及び読出し開始時刻T_BASEを供給し、現用系から予備系に系切替されたときに現用系側でこれらの動作パラメータを用いることにより上記と同様に動作することができる。
【符号の説明】
【0091】
101、102 ゲートウェイ装置
111、112 回線交換網回線終端部
121、122 インターワーク処理部
131、132 IP網回線終端部
201、202 回線交換網
300 IP網
11、21 選択部
12、22 パケット生成部
13、23 選択部
14、24 遅延ゆらぎ吸収バッファ
15、25 TDMフレーム生成部
41、42 入力TDMフレーム
51、52 出力パケット
61、62 入力パケット
71、72 出力TDMフレーム
81、91 記憶部
82、92 タイミング生成部
83、93 書込み制御部
84、94 読出し制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線交換網とIP網との間でデータフォーマットを変換しつつデータを中継可能な2つの中継部と、前記2つの中継部のうちの一方を現用系中継部として指定し他方を予備系中継部として指定し且つ前記現用系中継部と予備系中継部とを選択的に切り替えて前記現用系中継部による前記データの中継を許可する系切替え手段と、を含むゲートウェイ装置であって、
前記中継部の各々は、
前記IP網から到来したパケットを一時的に記憶する記憶部を含み、
前記現用系中継部として指定されたときは、
通信開始後に最初に前記IP網から到来したパケットである先頭パケットに含まれるシーケンス番号を先頭シーケンス番号として前記予備系中継部に供給するシーケンス番号供給手段と、
前記先頭パケットを受信した時刻に所定遅延時間を加算して得られた読出し開始時刻を前記予備系中継部に供給する読出し開始時刻供給手段と、
前記パケットを前記記憶部に順次記憶せしめる現用系書込み制御部と、
前記読出し開始時刻が到来してから前記記憶部に記憶されているパケットの読出しを開始せしめる現用系読出し制御部と、を含み、
前記予備系中継部として指定されたときは、
前記先頭シーケンス番号以降のシーケンス番号のパケットのみを前記記憶部に記憶せしめる予備系書込み制御部と、
前記読出し開始時刻が到来してから前記記憶部に記憶されているパケットの読出しを開始せしめる予備系読出し制御部と、を含むことを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項2】
前記記憶部は、1の連続番号に対応付けられた複数の記憶領域からなり、
前記現用系書込み制御部は、前記連続番号のうちの1の番号を示すライトポインタを前記記憶部に供給して前記パケットを書き込むべき記憶領域を指定し、
前記予備系書込み制御部は、前記1の番号と同一番号を示すライトポインタを前記記憶部に供給して前記パケットを書き込むべき記憶領域を指定することを特徴とする請求項1に記載のゲートウェイ装置。
【請求項3】
前記シーケンス番号は、その総数がMからなる循環番号であり、
前記ライトポインタは、その総数がNからなる循環番号であり、
前記現用系書込み制御部及び前記予備系書込み制御部の各々は、現在ライトポインタをWP、前記IP網から到来した現在パケットに含まれるシーケンス番号をSN、前記先頭シーケンス番号をSN_BASE、Yを法としたときのXの剰余をXmodY、としたときに、前記現在ライトポインタをWP=((SN−SN_BASE)modM)modNとして算出することを特徴とする請求項2に記載のゲートウェイ装置。
【請求項4】
前記現用系読出し制御部は、前記連続番号のうちの1の番号を示すリードポインタを前記記憶部に供給して前記パケットを読み出すべき記憶領域を指定し、
前記予備系読出し制御部は、前記1の番号と同一番号を示すリードポインタを前記記憶部に供給して前記パケットを読み出すべき記憶領域を指定することを特徴とする請求項3に記載のゲートウェイ装置。
【請求項5】
前記リードポインタは、その総数がNからなる循環番号であり、
前記現用系読出し制御部及び予備系読出し制御部の各々は、現在リードポインタをRP、前記現在パケットの直前のパケットについてのリードポインタ値をRPp、Yを法としたときのXの剰余をXmodY、としたときに、前記現在リードポインタをRP=(RPp+1)modNとして算出することを特徴とする請求項4に記載のゲートウェイ装置。
【請求項6】
前記所定遅延時間は、前記IP網で生じる最大遅延ゆらぎ時間以上であることを特徴とする請求項5に記載のゲートウェイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−110659(P2013−110659A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255752(P2011−255752)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】