説明

ゲートユニット

【課題】
敷地の形状等に応じて、各ゲートの相対的な位置関係を異ならしめて設置することができるゲートユニットを提供する。
【解決手段】
車両通行用の第1ゲート1と、人通行用の第2ゲート2と、第1ゲート1と第2ゲート2間に設けたパネル3と、からなるゲートユニットであって、第1ゲート1は、左右の柱体10,11と、柱体10,11間の開口を開閉する扉体13と、を備え、第2ゲート2は、左右の柱体20,21と、柱体20,21間の開口を開閉する扉体22,23と、を備え、パネル3の幅方向の一端側は第1ゲート1の柱体10に対して回動可能に連結されており、パネル3の幅方向の他端側は第2ゲート2の柱体20に対して回動可能に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートユニットに係り、詳しくは、車両通行用ゲートと人通行用ゲートとを備えたゲートユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物敷地内にカーポートを設けた場合には、カーポートの入り口にシャッターゲート等の車両通行用ゲートが設けられる。また、シャッターゲートに隣接して人が出入りするための門扉が設けられる。通常、シャッターゲートと門扉とは別個に用意されて独立して設置される。
【0003】
シャッターゲートと門扉とをユニット化した建築物も提案されている。特許文献1には、住宅のファサードにおける出入口を有するユニット式建造物が記載されており、このユニット式建築物は、異なる形状や大きさを有する数種類のシャッター及び門扉から任意に選択できるシャッターと門扉を備えている。しかしながら、特許文献1に記載されたユニット式建築物は、シャッターと門扉が平面視一直線に並んで配設されるものであり、敷地の形状等に応じて敷地を有効に活用しつつ、かつ全体の意匠性を考慮してユニット式建築物を設置することは困難であった。
【特許文献1】実開平6−56375
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、敷地の形状等に応じて、各ゲートの相対的な位置関係を異ならしめて設置することができるゲートユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が採用した技術手段は、車両通行用の第1ゲートと、人通行用の第2ゲートと、第1ゲートと第2ゲート間に設けたパネルと、からなるゲートユニットであって、第1ゲートは、左右の柱体と、柱体間の開口を開閉する扉体と、を備え、第2ゲートは、左右の柱体と、柱体間の開口を開閉する扉体と、を備え、パネルの幅方向の一端側は第1ゲートの柱体に対して回動可能に連結されており、パネルの幅方向の他端側は第2ゲートの柱体に対して回動可能に連結されている、ゲートユニット、である。
【0006】
1つの態様では、第2ゲートは、第1ゲートの左右の柱体を通る直線に対して、前方側あるいは後方側に偏移させて設置される。
【0007】
1つの態様では、パネルが、第1ゲートの左右の柱体を通る直線に対して後方側に延出することで、第2ゲートは、第1ゲートの左右の柱体を通る直線に対して後方側に退避した位置に設置され、退避した第2ゲートと第1ゲートの左右の柱体を通る直線との間に空間部が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、第1ゲートと第2ゲートとの間に、これらに回動自在に接続されたパネルを設けることで、第1ゲートに対する第2ゲートの相対的な位置関係を変更することができる。第2ゲートを、平面視において、第1ゲートの左右の柱体を通る直線に対して、前方側あるいは後方側に偏移させて設置することができる。したがって、ゲートユニットが設置される敷地の形状や寸法、意匠性等を考慮して、第1ゲート、第2ゲートの相対的位置を異ならしめてゲートユニットを設置することができる。例えば、敷地の角部が直角でなく、隅切りされたような場合に、隅切り部に平行となるように第2ゲートに角度を付けて設置することで、意匠を損ねることなくゲートユニットを設置することができる。
【0009】
パネルが、第1ゲートに対して後方側に延出することで、第2ゲートは、第1ゲートに対して後方側に退避した位置に設置され、退避した第2ゲートと第1ゲートの左右の柱体を通る直線との間に空間部が形成されているものでは、当該空間は、第2ゲートの外側に位置するものでありながら、第1ゲートが形成する垂直面(すなわち、第1ゲートの左右の柱体を通る直線上に形成された垂直面)よりも内側に位置する(敷地内に位置する)ので、有用である。例えば、第2ゲートが前方(外側)に延出する庇を備えているものにあっては、突出する庇が当該空間部(敷地内)に納まるので、突出寸法の大きい庇を採用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1、図8に示すように、本発明に係るゲートユニットは、車両通行用ゲートしてのシャッターゲート(第1ゲート)1、人通行用ゲートとしての門扉(第2ゲート)2と、を備えている。シャッターゲート1と門扉2とは、奥行きパネル3を介して接続されている。
【0011】
シャッターゲート1は、車両通行部の左右に立設された左右の支柱10,11と、当該開口部の上方に位置して、左右の支柱10,11間に支持されたシャッターケース12と、当該開口部を開閉するシャッターカーテン13と、を備えている。左右の支柱10,11には、シャッターカーテン13の幅方向両端部を案内するガイド溝10A、11Aが形成されている(図7参照)。
【0012】
車両通行時には、シャッターカーテン13が、開口部上方のシャッターケース12内に収納されて、支柱10,11間の開口を開放してシャッターゲート1が開放状態となる。シャッターケース12内に収納されているシャッターカーテン13が下降することで、支柱10,11間の開口を閉鎖してシャッターゲート1が閉鎖状態となる。シャッターケース12の前面には意匠性を考慮して化粧パネル120が設けてある。
【0013】
シャッターゲート1に用いられるシャッターカーテン13の種類は限定されず、スラットシャッター(図1参照)、パイプシャッター(図9、図10参照)、パネルシャッター(特許文献1参照)が例示される。また、車両通行用ゲートの1つの態様としてシャッターゲート1を示したが、シャッター以外の扉体によって支柱間の開口を開閉するものでもよい。
【0014】
門扉2は、人の通行部を形成する左右の門柱20,21と、当該開口部を開閉する両開き戸と、を備えている。図示の態様では、両開き戸は、正面視縦長方形状の親扉22と子扉23とからなり、親扉22の戸尻側は一方の門柱20に回動自在に装着されており、子扉23の戸尻側は他方の門柱21に回動自在に装着されている。
【0015】
他方の門柱21は、一方の門柱20よりも幅広に形成されており、他方の門柱21には、ポスト、照明、インターフォン、表札等が設けられる。門柱21の内部は中空となっており、門柱21の内部空間において、ポストの上下空間を利用して、棚板を設置してもよい(図10参照)。
【0016】
左右の門柱20,21の上方部位には、所定の高さを備えた横部材24が設けてあり、横部材24の前面には意匠性を考慮して化粧パネル240が設けてある。横部材24の下方部位には、門扉2の外側および内側に向かって略水平状に延出する庇25が設けてある。図示のように、庇25は、門扉2の外側及び内側に向かって比較的に大きい突出寸法(それぞれの突出寸法が50cm〜60cm程度)を備えている。
【0017】
奥行きパネル3は、縦長方形状の全体形状を備えており、図示の態様では、開き戸の親扉22、子扉23と略同じ高さ寸法を備えている。図2乃至図7に示すように、奥行パネル3は、パネル本体30と、パネル本体30の幅方向両端部に回動部Rを介して回動自在に設けた回動縦框31,32とからなり、回動縦框31,32が奥行きパネル3の左右の端部を形成している。
【0018】
図示の態様では、図2、図3に示すように、奥行きパネル3のパネル本体30は、左右の縦部材300,301と、左右の縦部材300,301間を掛け渡すように、上下方向に平行状に設けた複数の横部材302と、から構成されている。尚、奥行きパネル3の構成は、図示のものに限定されるものではなく、例えば、1枚の板材から奥行きパネルを構成してもよい。
【0019】
図4、図5に示すように、パネル本体30の一方の縦部材300と回動縦框31、他方の縦部材301と回動縦框32が、それぞれ回動部Rを介して回動自在に接続されている。奥行きパネル3の回動縦框31は、シャッターゲート1の支柱10の後面100に螺子101によって固定されている。奥行きパネル3の縦框32は、門扉2の門柱20の前面200に螺子201によって固定されている。奥行きパネル3(パネル本体30)は、シャッターゲート1に対して回動可能であり、かつ、奥行きパネル3(パネル本体30)に対して門扉2の設置姿勢が変更可能となっている。
【0020】
図示の態様では、回動部Rを奥行きパネル3側に設け、奥行きパネル3の左右の端部を形成する回動縦框31,32を螺子101,201でシャッターゲート1の支柱10、門扉2の門柱20にそれぞれ取付けるようにしたので、シャッターゲート1、門扉2に加工を施したり、特別な部品を取付けたりする必要がなく、パネル3を用意するだけで、既存のシャッターゲート1、門扉2を用いてゲートユニットを構成することができる。
【0021】
奥行きパネル3をシャッターゲート1に対して後方側へ延出させ、門扉2をシャッターゲート1に対して後方側へ退避させた状態で設置することができる。図6において、シャッターゲート1が形成する垂直面(シャッターゲート1の左右の柱体10、11を通る直線上に形成された垂直面)をP1、門扉2が形成する垂直面(門扉2の左右の門柱20、21を通る直線上に形成された垂直面)をP2、敷地の境界をA1で示す。図6に方形の線で示すように、後方側へ退避した門扉2の前方側で、かつ、シャッターゲート1が形成する垂直面P1よりも後方側に、奥行き寸法Dを備えた空間部Sを確保することができる。
【0022】
門扉2の前方側に空間部Sを形成したことで、例えば、大きな突出寸法の庇25を門扉2に設ける場合において、庇25が門扉2から前後に大きく突出していても、外側に突出する庇25を敷地内の空間部S内に納めることができる。これに対して、シャッターゲート及び門扉が平面視において一直線に並ぶものでは、シャッターゲートを道路に近接させて設置した場合には、庇が敷地外(道路)まで突出してしまうことから、大きな突出寸法の庇を門扉に設けることは難しい。
【0023】
図1乃至図7に示す態様では、奥行きパネル3は、平面視において、シャッターゲート1及び門扉2に対して垂直方向に延出している。これに対して、図8乃至図10に示す態様では、奥行きパネル3は、平面視において、シャッターゲート1に対して垂直方向に延出しているが、門扉2は奥行きパネル3に対して斜めに延出している。図9に示すように、敷地角部が直角ではなく、隅切りされた土地に建物が設置される場合がある。図9において、A1、A2、A3は敷地の角部の境界を示しており、境界A1はシャッターゲート1に平行しており、境界A2は、門扉2に平行しており、境界A3は奥行きパネル3に平行している。隅切りされた敷地角部の境界A2に平行するように門扉2を斜め状に設置することで、建物全体の意匠性の向上、敷地内有効スペースの確保が可能となっている。より詳しくは、図9において、従来技術で述べたようなシャッターゲート1と門扉2が一直線に並んだゲートユニットを、敷地の端(境界A1に接近させた位置)に寄せて設置しようとしても、敷地角部の境界A2によって十分な寸法が取ることができない。特に境界A2の寸法が大きい場合には尚更である。これに対して、本発明では、敷地の端の寸法(境界A1の寸法)が敷地角部の境界A2によって制限されていても、シャッターゲート1を道路に近接した敷地の端に設置すると共に、奥行きパネル3を介して門扉2を敷地の端に対して後方に下げることができる。
【0024】
図示の態様では、平面視において、シャッターゲート1に対して垂直方向に延出するように設置された奥行きパネル3を示したが、奥行きパネル3を、シャッターゲート1に対して平面視で斜めに延出するように設置してもよい。
【0025】
図示の態様では、奥行きパネル3は、シャッターゲート1に対して後方側へ延出しているが、奥行きパネル3を、シャッターゲート1に対して前方側へ延出させることで、門扉2を、シャッターゲート1に対して前方側へ偏移させて設置することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、建物敷地と道路との間に設置されるゲート(シャッタゲート、門扉)として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ゲートユニットの全体正面図及び全体平面図である。
【図2】図1に示すゲートユニットを右側から見た側面図である。
【図3】図1に示すゲートユニットを左側から見た側面図である。
【図4】図1に示すゲートユニットの平面図の部分拡大図であり、シャッターゲートの支柱とパネルとの接続部を示す。
【図5】図1に示すゲートユニットの平面図の部分拡大図であり、門扉の門柱とパネルとの接続部を示す。
【図6】図1に示すゲートユニットの平面図の部分拡大図であり、シャッターゲートに対して退避した門扉によって形成された有効スペースを示している。
【図7】図1に示すゲートユニットの一部省略横断面図である。
【図8】他の実施形態に係るゲートユニットの全体正面図及び全体平面図である。
【図9】図8に示すゲートユニットを、敷地外側から見た斜視図である。
【図10】図8に示すゲートユニットを、敷地内側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 シャッターゲート
10 支柱
11 支柱
2 門扉
20 門柱
21 門柱
25 庇
3 奥行きパネル
30 パネル本体
31 回動縦框
32 回動縦框
S 空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両通行用の第1ゲートと、人通行用の第2ゲートと、第1ゲートと第2ゲート間に設けたパネルと、からなるゲートユニットであって、
第1ゲートは、左右の柱体と、柱体間の開口を開閉する扉体と、を備え、
第2ゲートは、左右の柱体と、柱体間の開口を開閉する扉体と、を備え、
パネルの幅方向の一端側は第1ゲートの柱体に対して回動可能に連結されており、パネルの幅方向の他端側は第2ゲートの柱体に対して回動可能に連結されている、
ゲートユニット。
【請求項2】
第2ゲートは、第1ゲートの左右の柱体を通る直線に対して、前方側あるいは後方側に偏移させて設置される、請求項1に記載のゲートユニット。
【請求項3】
パネルが、第1ゲートの左右の柱体を通る直線に対して後方側に延出することで、第2ゲートは、第1ゲートの左右の柱体を通る直線に対して後方側に退避した位置に設置され、退避した第2ゲートと第1ゲートの左右の柱体を通る直線との間に空間部が形成されている、請求項1,2いずれかに記載のゲートユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−264063(P2009−264063A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117612(P2008−117612)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(307038540)三和シヤッター工業株式会社 (273)
【Fターム(参考)】