コジェネレーションシステム
【課題】その稼働率を向上できると共に、集合住宅における湯水循環路の下流側の住戸に対しても、十分に熱の供給が可能なコジェネレーションシステムを提供する。
【解決手段】複数の住戸の夫々に、気体を回転駆動する通気性吸湿体112cからなるデシカントロータ112の吸湿部112a又は再生部112bを通流させ温度調節及び湿度調節して空調用空気SAとして空調対象空間Sへ供給するデシカント空調装置100を備え、デシカントロータ112の再生部112bを通流して通気性吸湿体112cの再生に用いる気体を、湯水循環路208にて循環供給される湯水と熱交換する加熱用熱交換器115を備えると共に、通気性吸湿体112cの再生に用いる気体を加熱自在な加熱手段120を備える。
【解決手段】複数の住戸の夫々に、気体を回転駆動する通気性吸湿体112cからなるデシカントロータ112の吸湿部112a又は再生部112bを通流させ温度調節及び湿度調節して空調用空気SAとして空調対象空間Sへ供給するデシカント空調装置100を備え、デシカントロータ112の再生部112bを通流して通気性吸湿体112cの再生に用いる気体を、湯水循環路208にて循環供給される湯水と熱交換する加熱用熱交換器115を備えると共に、通気性吸湿体112cの再生に用いる気体を加熱自在な加熱手段120を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の住戸からなる集合住宅又は地域に供給される電力及び熱を発生可能な熱電併給装置が設けられ、当該熱電併給装置にて発生される熱を湯水との熱交換にて回収する排熱回収熱交換器と、湯水を貯湯可能な貯湯槽と、前記排熱回収熱交換器と前記貯湯槽との間で湯水を循環可能な湯水循環路とを備え、前記湯水循環路が前記貯湯槽からの湯水を、前記複数の住戸に循環供給可能に構成されたコジェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の集合住宅にあっては、省エネルギの観点から、上述のようなコジェネレーションシステムで発電電力の大きいもの(例えば、10kWクラスのもの)を設置して、その電力を集合住宅の共用部や各住戸に供給すると共に、その熱を温水として各住戸に供給して給湯や暖房に使用可能なものが、知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−42545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に開示のコジェネレーションシステムでは、特に夏季の昼間の時間帯において、熱需要が少なく、発生した熱の有効な利用先がないため、その稼働率が低下する場合があり、電力ピークの時間帯に、10kWクラスのコジェネレーションシステムを有効に利用できない場合があった。
また、集合住宅にあっては、コジェネレーションシステムにて発生された熱は、湯水循環路に湯水を通流させる形態で、夫々の住宅に供給されるのであるが、湯水循環路の湯水の温度は、下流側に進むにつれて低下するため、下流側においては、十分な熱が供給されない虞があるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、集合住宅において、夏季の熱需要が少ない場合で、その熱を有効に利用してその稼働率を向上できると共に、集合住宅における湯水循環路の下流側の住戸に対しても、十分に熱の供給が可能なコジェネレーションシステムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためのコジェネレーションシステムは、
複数の住戸からなる集合住宅又は地域に供給される電力及び熱を発生可能な熱電併給装置が設けられ、当該熱電併給装置にて発生される熱を湯水との熱交換にて回収する排熱回収熱交換器と、湯水を貯湯可能な貯湯槽と、前記排熱回収熱交換器と前記貯湯槽との間で湯水を循環可能な湯水循環路とを備え、前記湯水循環路が前記貯湯槽からの湯水を前記複数の住戸に循環供給可能に構成されたコジェネレーションシステムであって、その特徴構成は、
前記複数の住戸の夫々に、気体を回転駆動する通気性吸湿体からなるデシカントロータの吸湿部又は再生部を通流させ温度調節及び湿度調節して空調用空気として空調対象空間へ供給するデシカント空調装置を備え、
前記デシカントロータの前記再生部を通流して前記通気性吸湿体の再生に用いる気体を、前記湯水循環路にて循環供給される湯水と熱交換する加熱用熱交換器を備えると共に、
前記通気性吸湿体の再生に用いる気体を加熱自在な加熱手段を備える点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、コジェネレーションシステムにて発生した熱は、その熱を保有する湯水が湯水循環路を循環する形態で、集合住宅の夫々に循環供給される。各集合住宅に供給された湯水の保有する熱は、集合住宅の夫々に設けられたデシカント空調装置のデシカントロータの通気性吸湿体の再生熱源として有効に利用できる。このように再生されたデシカントロータは、例えば、その吸湿部にて気体を適切に除湿して空調用空気を生成することができるので、夏季に、適切に湿度調整された空調用空気を、各集合住宅の空調対象空間にて利用することができる。
即ち、上記特徴構成によれば、特に、夏季の電力ピークの時間帯に、コジェネレーションシステムにて発生する熱を、集合住宅の夫々に設けられたデシカント空調装置にて空調用に利用することができるので、コジェネレーションシステムを電力需要に追従する状態で稼動させながらも、それにより発生した熱を捨てることなく有効利用することができる。
また、湯水循環路に湯水を循環する形態で、集合住宅の夫々の住戸に対し熱を供給する構成を採用している場合、湯水循環路の下流側の住戸を循環する湯水の温度が低下し、熱量が不足する場合がある。特に、本発明の如く、湯水の熱をデシカント空調装置のデシカントロータの通気性吸湿体の再生に用いている場合には、通気性吸湿体を適切に再生できないといった問題が生じる。
本発明では、このような場合でも、デシカント空調装置のデシカントロータの通気性吸湿体を再生させる気体を加熱自在な加熱手段を備えているので、加熱手段にてデシカントロータの通気性吸湿体の再生に用いられる気体を加熱でき、気体を再生に適切温度にまで昇温させることができる。即ち、熱量の不足を加熱手段にて補うことができるのである。
以上より、集合住宅において、夏季の熱重要が少ない場合でも、その熱を各集合住宅にて、空調用空気の生成に有効に利用して、その稼働率を向上できると共に、湯水循環路の下流側の住戸に対しても、十分に熱を供給することができるコジェネレーションが実現できる。
【0008】
本発明のコジェネレーションシステムの更なる特徴構成は、
前記加熱手段は、供給される燃料ガスを燃焼用空気と共に燃焼可能な燃焼装置であり、
前記燃焼装置に供給される燃料ガスを、前記複数の住戸のガスメータを介さない状態で、前記燃焼装置へ直接供給する直通ガス管が設けられている点にある。
【0009】
上述したように、デシカント空調装置のデシカントロータの通気性吸湿体を再生する気体を加熱する燃焼装置は、集合住宅の各住戸において、コジェネレーションシステムから供給される熱が不足する場合に稼動するものである。このような熱の不足は、熱を湯水循環路にて湯水を循環させる状態で集合住宅に供給する場合、上流側よりも下流側で起こり易いため、上記燃焼装置は、上流側の住戸よりも下流側の住戸で良く利用されることとなる。このため、燃焼装置にて消費される燃料ガスを、各住戸にて課金した場合、上流側の住戸と下流側の住戸とで、不平等が生じる虞がある。
上記特徴構成によれば、燃焼装置にて消費される燃料ガスは、直通ガス管により、住戸のガスメータを介さない状態で、燃焼装置へ直接供給されるので、当該燃料ガスの費用が、各住戸に課金され住戸間に不平等が生じることを避けることができる。
尚、使用された燃料ガスの料金は、集合住宅のすべての住戸にて、均等割りする等の課金形態をとることにより、熱利用の観点において、各住戸間で均等な課金を行うことができる。
【0010】
本発明のコジェネレーションシステムの更なる特徴構成は、
前記デシカント空調装置が、前記デシカントロータの前記吸湿部を通流した気体を冷却用媒体との熱交換により冷却する第1冷却用熱交換器と、気体を加湿する第1加湿機とを備え、
気体を前記デシカントロータの前記吸湿部と前記第1冷却用熱交換器とを記載順に通流させる第1空調流路と、気体を前記冷却用媒体として前記第1冷却用熱交換器へ導き、前記加熱用熱交換器及び前記加熱手段へ導いた後、前記デシカントロータの前記再生部を通流させる第2空調流路とを形成可能に構成され、
第1気体を前記第1空調流路にて空調した後に前記第1加湿機にて加湿して空調用空気として空調対象空間へ導くと共に、再生用空気を前記第2空調流路へ導く第1運転状態と、
第2気体を前記第2空調流路にて空調した後に前記第1加湿機にて加湿して空調用空気として空調対象空間へ導くと共に、吸湿用空気を前記デシカントロータの前記吸湿部へ導く第2運転状態とを、択一的に切り替える切替手段を備える点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、集合住宅の夫々において、コジェネレーションシステムにて発生される熱をデシカント空調装置の熱源として利用して、切替手段を第1運転状態に切り替えて除湿冷房運転を実行すると共に、切替手段を第2運転状態に切り替えて加湿暖房運転を実行することができる。
ここで、第1運転状態で除湿冷房運転を実行している場合、第1空調流路を通流する第1気体は、室外空気が好適に用いられ、第2運転状態で加湿暖房運転を実行している場合、第2空調流路を通流する第2気体についても、室外空気が好適に用いられる。
ここで、第1気体及び第2気体は、同じ気体であっても良いし、異なる気体であっても良い。
【0012】
以下、上述の除湿冷房運転及び加湿暖房運転につき説明を加える。
除湿冷房運転にあっては、切替手段により第1運転状態に切り替えることで、第1気体を、デシカントロータの吸湿部にて除湿し、第1冷却用熱交換器にて冷却した後に、第1加湿機にて水分を供給してその水分の蒸発潜熱が奪われる形態で冷却し、適切に除湿冷却された第1気体を空調用空気として空調対象空間へ供給できる。
特に、このとき、再生用空気は、冷却用媒体として第1冷却用熱交換器に導かれて加熱され、加熱用熱交換器にて加熱用媒体との熱交換にて加熱され、加熱手段によっても加熱された後、デシカントロータの再生部を通流して再生している。このような構成を採用することにより、例え、コジェネレーションシステムによる熱の供給が不十分で、当該熱にて加熱される加熱用媒体が十分に昇温されない状態で加熱用熱交換器に導かれ、加熱用熱交換器にて再生用空気を十分に昇温できない場合でも、再生用空気を加熱手段にて加熱して、デシカントロータの再生部を再生可能な程度にまで昇温できる。
【0013】
一方、加湿暖房運転にあっては、切替手段により第2運転状態に切り替えることで、第2気体を、冷却用媒体として第1冷却用熱交換器に導いて加熱し、加熱用熱交換器にて加熱し、加熱手段によっても加熱し、デシカントロータの再生部にて加湿した後、第1加湿機にてさらに加湿して、適切に加湿加熱された第2気体を空調用空気として空調対象空間へ供給できる。即ち、加湿暖房運転にあっても、コジェネレーションシステムによる熱の供給が不十分で、当該熱にて加熱される加熱用媒体が十分に昇温されない状態で加熱用熱交換器に導かれる場合でも、第2気体を加熱手段にて加熱して、空調用空気として求められる温度にまで適切に昇温できる。
尚、上記特徴構成によれば、コジェネレーションシステムから供給される熱が十分で、当該熱により十分に昇温された加熱用熱媒体を加熱用熱交換器に供給可能であり、加熱用熱媒体にて十分に再生用空気を昇温可能な場合には、加熱手段による加熱を省略しても、除湿冷房運転、加湿暖房運転の双方を良好に実行することができる。
【0014】
本発明のコジェネレーションシステムの更なる特徴構成は、
前記切替手段が、運転状態を前記第1運転状態に切り替えているときで、前記第1気体として室外空気を用いている場合に、
前記再生用空気として前記第2空調流路に導かれる室内空気の一部を、前記第1空調流路に導く第3空調流路が設けられている点にある。
【0015】
今日、一般に知られているエアコン等の空調機にあっては、700m3/h程度の空調用空気を供給可能となっており、使用者の使用感を高める観点からは、この程度の流量を供給できることが好ましい。
しかしながら、デシカントロータを用いた空調システムにあっては、空調用空気は、デシカントロータ及び熱交換器等の圧力損失の大きい機器を複数通流する必要があるため、省エネの観点から送風ファンの出力を抑えた状態において、十分な流量を供給し難い状況にあった。
上記特徴構成によれば、切替手段により第1運転状態に切り替えて、除湿冷房運転を実行しているときに、第1空調流路に通流する室外空気に、再生用空気として第2空調流路に導かれる室内空気の一部が、第3空調流路により、第1空調流路に導かれることとなるので、空調用空気として、室外空気と共に室内空気の一部が供給されることになる。これにより、特に、送風ファン等の出力を増加させることなく、空調対象空間に導かれる空調用空気の流量を増加させることができる。
尚、通常、空調用空気の絶対湿度を下げる場合、デシカントロータの再生部を通流する再生用空気を昇温させる必要がある。しかしながら、上述の如く、室外空気に室内空気を混合して空調用空気を生成することで、再生用空気を昇温させなくとも、空調用空気の絶対湿度を下げることができる。
【0016】
本発明のコジェネレーションシステムの更なる特徴構成は、
前記第3空調流路には、前記室内空気の通流量を制御する流量制御弁が設けられている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、第3空調流路に流量制御弁を設けているので、第2空調流路の圧力を第1空調流路の圧力よりも高めておき、上記流量制御弁の開度を制御するという、簡易な構成により、第3空調流路により第2空調流路から第1空調流路へ供給される室内空気の通流量を調整できる。
【0018】
本発明のコジェネレーションシステムの更なる特徴構成は、
室外空気を加湿する第2加湿機を備え、
前記第2加湿機にて加湿された室外空気と、前記第1空調流路の前記第1冷却用熱交換器を通流した後の空調用空気とを熱交換可能な第2冷却用熱交換器が設けられている点にある。
【0019】
真夏等で室外空気の温度が高くなる場合等には、空調用空気の十分な冷却が望まれる場合がある。
上記特徴構成によれば、第2冷却用熱交換器において、第1空調流路でデシカントロータの吸湿部にて除湿され、第1冷却用熱交換器にて冷却された空調用空気を、第2加湿機にて水分が供給されその水分の蒸発潜熱が奪われる形態で冷却された室外空気と、熱交換させ、空調用空気の温度を、より一層低下させることができる。
これにより、室外空気の温度が高くなる場合でも、適切な除湿冷房運転を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】集合住宅に適用されるコジェネレーションシステムの概略構成図である。
【図2】各住戸のデシカント空調装置及び各ユーティリティ消費機器への電力・湯水等の供給状態を示す概略図である。
【図3】デシカント空調装置の回路が除湿冷房運転状態である場合の回路図である。
【図4】図3の回路の所定の点における各気体の温度状態及び湿度状態の変化を示す空気線図である。
【図5】図3の回路の所定の点における各気体の温度・湿度等の値を示す表である。
【図6】循環温水の温度変化に対する除湿冷房性能の変化を示すグラフ図である。
【図7】デシカントロータの通気性吸湿体を再生する再生空気の温度の変化に対する除湿冷房性能の変化を示すグラフ図である。
【図8】デシカント空調装置の回路が加湿暖房運転状態である場合の回路図である。
【図9】図8の回路の所定の点における各気体の温度状態及び湿度状態の変化を示す空気線図である。
【図10】図8の回路の所定の点における各気体の温度・湿度等の値を示す表である。
【図11】循環温水の温度変化に対する加湿暖房性能の変化を示すグラフ図である。
【図12】デシカント空調装置の回路が除湿運転状態である場合の回路図である。
【図13】図12の回路の所定の点における各気体の温度状態及び湿度状態の変化を示す空気線図である。
【図14】図12の回路の所定の点における各気体の温度・湿度等の値を示す表である。
【図15】室外空気の相対湿度の変化に対する除湿性能の変化を示すグラフ図である。
【図16】デシカントロータの通気性吸湿体を再生する再生空気の温度の変化に対する室内空気の除湿量の変化を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のコジェネレーションシステム200は、集合住宅の夫々の住戸201において、コジェネレーションシステム200にて発生した熱を、その再生熱源として利用可能なデシカント空調装置100を設けている点を特徴とするものである。
本発明のコジェネレーションシステム200の更なる特徴は、集合住宅の夫々の住戸201に対して供給される熱が不足する場合でも、その熱の不足を補う状態で、上述のデシカント空調装置100の再生熱源として利用可能なガス焚きバーナ120(加熱手段、燃焼装置の一例)を設けている点にある。以下、本発明のコジェネレーションシステム200について、図面に基づいて説明する。
【0022】
〔集合住宅用コジェネレーションシステム〕
まず、図1に基づいて、本発明のコジェネレーションシステム200の基本構成を説明する。
本発明のコジェネレーションシステム200は、図1に示すように、複数の住戸201からなる集合住宅の夫々の住戸201に供給される電力及び熱を発生可能な熱電併給装置としてガスエンジン202が設けられ、当該ガスエンジン202の排ガスと湯水とを熱交換する形態で排ガスの熱を回収する排熱回収熱交換器229と、温度成層を形成した状態で湯水を貯湯可能な第1貯湯槽203(貯湯槽の一例)と、排熱回収熱交換器229と第1貯湯槽203との間で湯水(加熱用媒体の一例)を循環可能な湯水循環路204とを備え、湯水循環路204が第1貯湯槽203からの湯水を複数の住戸201の夫々に循環供給可能に構成されている。
【0023】
尚、当該明細書において示す数値は、特に明示しない限り、100戸規模の集合住宅に、発電出力35kW(発電効率34%LHV基準)、温水出力51.5kWのガスエンジン202を2台備えたものに対応する数値とする。
また、後述する第1ヒートポンプ206、第2ヒートポンプ211の温水出力は200kW、太陽熱温水器210の温水出力は40kW、太陽光発電装置214の発電出力は20kW、第1貯湯槽203及び第2貯湯槽209は、貯湯量が600Lのものを複数台で構成するものとする。
【0024】
湯水循環路204は、複数の循環ポンプ207にて湯水が圧送されて、常に湯水が循環するように構成されている。そして、湯水循環路204は、当該湯水循環路204を循環する湯水の温度が低下した場合に、その湯水を補助的に加熱する補助ボイラ205及び第1ヒートポンプ206が設けられている。
第1ヒートポンプ206、排熱回収熱交換器229、及び補助ボイラ205は、第1貯湯槽203から供給された湯水が、それらを記載順に循環する状態で設けられている。
【0025】
第1ヒートポンプ206は、排熱回収熱交換器229を通流した後の排ガスの排熱を蒸発器(図示せず)にて回収し、回収した熱を圧縮機(図示せず)にて、湯水循環路204を循環する湯水に供給するように構成されている。
尚、第1ヒートポンプ206は、それに導かれる湯水の温度が高い場合には、その成績係数が低下する。そこで、成績係数を向上させるべく、第1ヒートポンプ206に導かれる湯水には、給水路230から低温の水が混合可能に構成されている。これにより、第1ヒートポンプ206に40℃以下の湯水が供給可能となっている。
そして、第1ヒートポンプ206を通流した湯水の温度を、65℃〜75℃に昇温させ、その下流側の排熱回収熱交換器229に導くことができ、ガスエンジン202のエクセルギー面での熱効率を向上させることができる。
【0026】
第1貯湯槽203に貯湯されている湯水は、80〜90℃程度の温度で、湯水循環路204に導かれる。
尚、湯水循環路204に設けられた複数の循環ポンプ207が、湯水循環路204を循環して第1貯湯槽203に戻る湯水の戻り流量及び戻り温度が設定したものとなるように、インバータ制御されている。湯水の戻り流量及び戻り温度は、集合住宅の規模により異なるが、戻り流量としては、20〜50L/minで、戻り温度が50〜60℃である。
【0027】
尚、給水路230は、第1貯湯槽203、第2貯湯槽209、及び集合住宅の各住戸201等に、適宜給水が可能な状態に配設されている。
【0028】
さらに、当該湯水循環路204には、湯水供給路208が接続されており、当該湯水供給路208を介して、第2貯湯槽209に貯湯された湯水が供給可能に構成されている。
第2貯湯槽209は、太陽熱にて湯水を加熱する太陽熱温水器210や、排熱回収熱交換器229を通流した後の排ガスと湯水とを熱交換する形態で湯水を加熱する第2ヒートポンプ211にて、加熱された湯水が温度成層を形成した状態で貯湯可能に構成されている。
【0029】
ガスエンジン202にて発電された電力は、第1給電線212にて商用電力系統と連携する連携装置213を介して、各住戸201や共用設備(図示せず)に供給可能に構成されている。連携装置213には、AC/DCコンバータを介する状態で、太陽光発電装置214や電気自動車215が第2給電線216により電気的に接続可能に構成されている。上記第1給電線212及び第2給電線216が、マイクログリッドとして構成されている。
尚、系統電力需要が増加する時間帯(例えば、午前9時から午後6時の間)にあっては、コジェネレーションシステム200及び太陽光発電装置214にて発生した電力のうち、余剰電力を商用電力系統に逆潮流可能に構成されている。
【0030】
〔住戸に係る構成〕
次に、各住戸201における電力及び熱(湯水)等の供給状態を、図2に基づいて説明する。
各住戸201には、湯水循環路204を循環する湯水が、デシカント空調装置100、熱負荷219、及び蓄熱ユニット220の夫々を通流した後、再び湯水循環路204に戻るように、湯水供給路208が配設されると共に、当該湯水供給路208に湯水を圧送する圧送ポンプ217が設けられている。尚、湯水供給路208を流れる湯水は、各住戸201の給湯需要に基づいて、湯水供給路208に連接されている給湯用の開閉バルブ222を開閉制御することで、各住戸201に給湯用として供給可能となっている。
各住戸201に湯水供給路208から取り込まれる湯水の流量は、例えば、10L/min程度の流量である。
【0031】
上記蓄熱ユニット220は、湯水供給路208を湯水が通流する際、湯水が余分な熱を保有している場合に蓄熱し、湯水の熱が不足している場合に熱を供給可能に構成されている。当該蓄熱ユニット220により、熱負荷の平準化の効果が得られ、熱を効率的に循環させることができるので、湯水循環路204の管径を小口径化することができる。具体的には、集合住宅が、50〜100戸の住戸201を含む場合、湯水循環路204の管径は、25mm〜40mm程度とすることができる。
【0032】
各住戸201における湯水の利用に対する課金は、各住戸201の湯水供給路208に湯水を圧送する圧送ポンプ217の駆動時間と、各住戸201での給湯量を制御する開閉バルブ222の開度及び開き時間に基づいて、決定される。
【0033】
電力については、電気メータ223を介して各電力消費機器224に導かれ、給水については、水量メータ225を介して水消費機器226に導かれ、燃料ガスについては、その一部がガスメータ227を介して各ガス消費機器228に導かれると共に、その残部がガスメータ227を介さない状態で直通ガス管231にて、デシカント空調装置100のガス焚きバーナ120に導かれるように構成されている。
電力、給水、及び燃料ガスの夫々の課金は、電気メータ223、水量メータ225、及びガスメータ227の夫々の値に基づいて、各住戸201に課金されるように構成されている。尚、デシカント空調装置100にて消費される燃料ガスについては、各住戸201に課金せず、集合住宅のすべての住戸201に均等に課金されるように構成されている。
【0034】
〔デシカント空調装置〕
次に、各住戸201に設けられているデシカント空調装置100につき、図面に基づいて説明する。
当該デシカント空調装置100は、通気性吸湿体112cから成るデシカントロータ112の再生熱源として、コジェネレーションシステム200のガスエンジン202にて発生した熱を利用すると共に、その熱が不足する場合に、補助熱源であるガス焚きバーナ120にて熱を補う点を特徴としている。
また、当該デシカント空調装置100は、除湿冷房運転、加湿暖房運転、及び除湿運転を、実行可能に構成されており、特に、除湿冷房運転にあっては、空調対象空間Sに供給する空調用空気SAの流量を、170〜360m3/h程度の大流量にできる点も特徴としている。
【0035】
以下、そのデシカント空調装置100について、図面に基づいて説明する。
デシカント空調装置100は、第1四方弁110及び第2四方弁117を切り替えることにより、その回路状態を、図3に示す第1運転状態として除湿冷房運転を実行可能に構成されていると共に、図8に示す第2運転状態として加湿暖房運転を実行可能に構成されている。さらに、デシカント空調装置100は、第1四方弁110及び第2四方弁117を切り替えることにより、図12に示す第3運転状態として除湿運転をも実行可能に構成されている。
そして、当該デシカント空調装置100では、除湿冷房運転、加湿暖房運転、除湿運転を実行するべく、後述する第1空調流路R1、第2空調流路R2、第3空調流路R3、及び第4空調流路R4を形成可能に構成されており、これらの第1空調流路R1〜第4空調流路R4に、室外空気OA又は室内空気RAを通流させることで、温度及び湿度が適切に調整された空調用空気SAを生成している。
そこで、まず、これら第1空調流路R1〜第4空調流路R4について、図面に基づいて説明する。
【0036】
第1空調流路R1(図3、8、12で、二点鎖線で示す流路)は、図3、8、12に示すように、気体を、第1ファン118にて圧送することにより、デシカントロータ112の吸湿部112a、第1冷却用熱交換器114の被冷却側、第2冷却用熱交換器121の被冷却側の夫々を通流させる流路である。
尚、第1冷却用熱交換器13の冷却側には、第2空調流路R2(図3、8、12で、一点鎖線で示す流路)を流れる比較的低温の気体が通流するように構成されており、第2冷却用熱交換器121の冷却側には、第4空調流路R4を流れる比較的低温の気体が通流するように構成されている。
これにより、第1空調流路R1を通流する気体は、デシカントロータ112の吸湿部112aにて除湿され、第1冷却用熱交換器114の被冷却側にて冷却され、第2冷却用熱交換器121の被冷却側にて冷却されることとなる。
【0037】
第2空調流路R2(図3、8、12で、一点鎖線で示す流路)は、図3、8、12に示すように、気体を、第2ファン116にて圧送することにより、第1冷却用熱交換器114の冷却側、加熱用熱交換器115、ガス焚きバーナ120、デシカントロータ112の再生部112bの夫々を通流させる流路である。
尚、加熱用熱交換器115は、コジェネレーションシステム200にて発生した熱を有する湯水を循環する湯水循環路204から湯水供給路208を介して各住戸201へ導かれた湯水と、気体とを熱交換させるものである。ガス焚きバーナ120は、外部から導かれた燃料ガスを燃焼させて気体を直接昇温するものである。
これにより、第2空調流路R2を通流する気体は、第1冷却用熱交換器114の冷却側にて昇温し、加熱用熱交換器115にて加熱され、ガス焚きバーナ120にて直接昇温され、デシカントロータ112の再生部112bにて加湿されることとなる。
【0038】
ここで、デシカントロータ112は、第1空調流路R1に気体を通流させると共に第2空調流路R2へ気体を通流させることで、その吸湿部112aにて気体を除湿すると共に再生部112bにて気体に湿分を放湿する形態で、湿分の吸放湿サイクルを実行するようになっている。
【0039】
第3空調流路R3は、図3に示すように、第1空調流路R1のデシカントロータ112の吸湿部112aの上流側と、第2空調流路R2の第1冷却用熱交換器114の上流側とを連通する流路である。第3空調流路R3は、第1空調流路R1及び第2空調流路R2に気体を通流させているときに、第1空調流路R1及び第2空調流路R2の圧力の関係から、第2空調流路R2から第1空調流路R1へ気体が通流するようになっている。ここで、第3空調流路R3には、当該第3空調流路R3を通流する気体の流量を調整する流量調整弁122が設けられている。
これにより、第3空調流路R3が開放されている状態で、第3空調流路R3が設けられている部位において第1空調流路R1の圧力よりも第2空調流路R2の圧力が高い場合にあっては、第1空調流路R1にて空調される気体の流量を増加できることとなり、その流量は流量調整弁122により自在に調整可能となっている。
【0040】
第4空調流路R4は、図3、12に示すように、気体を、第3ファン123にて圧送することにより、気体を加湿する第2加湿機124及び第2冷却用熱交換器121の冷却側を通流する流路である。
これにより、第4空調流路R4を通流する気体は、第2加湿機124にて加湿されその湿分が蒸発することによる蒸発潜熱が奪われる形態で冷却され、第2冷却用熱交換器121の冷却側を通流して、その被冷却側を通流する気体を冷却する。
【0041】
次に、除湿冷房運転・加湿暖房運転・除湿運転の夫々を実行する場合に、上記第1空調流路R1〜第4空調流路R4夫々への気体の通流状態、及び空調用空気SAの生成過程について説明する。
【0042】
〔除湿冷房運転〕
除湿冷房運転にあっては、図3に示すように、室外空気OA(第1気体の一例)を第1空調流路R1に通流させると共に、室内空気RAを第2空調流路R2に通流させるように、第1四方弁110及び第2四方弁117を切り替え制御される。
このときに、第3空調流路R3の流量調整弁122は全開に設定されており、第2空調流路R2を通流する室内空気RAが、第1空調流路R1に導かれるように構成されている。第3空調流路R3を通流する流量、即ち、第2空調流路R2から第1空調流路R1に導かれる室内空気RAの流量は、第1空調流路R1を通流する室外空気OAの流量と略同程度の流量である。これにより、第1空調流路R1を通流する気体は、略2倍に増加する。
尚、第4空調流路R4には、第1空調流路R1に気体(室外空気OAと室内空気RAの混合気)を通流させている状態において、第2加湿機124にて加湿され冷却された室外空気OAが通流され、当該室外空気OAが第2冷却用熱交換器121の冷却側を通流しており、第1空調流路R1を通流する気体の冷却を促進する。
そして、第1空調流路R1にて空調された室外空気OAは、第2四方弁117を介して、第1加湿機111に導かれ、第1加湿機111にて加湿され、その湿分が蒸発するときの蒸発潜熱が奪われる形態で冷却された後、空調用空気SAとして空調対象空間Sに導かれる。
一方、第2空調流路R2を通流した室内空気RAは、第1四方弁110を介して排気VAとして室外空間へ放出される。
【0043】
以上の如く、室外空気OA及び室内空気RAを通流させることで、除湿・冷却された空調用空気SAを空調対象空間Sに導いて、空調対象空間Sを適切に除湿冷房できる。
また、除湿冷房運転を実行すれば、室内空気RAと室外空気OAとが入れ替わり換気が実行されるので、この除湿冷房運転を24時間実行することにより、24時間換気を実現することができる。
【0044】
〔除湿冷房運転の空調性能〕
次に、図3の回路状態における除湿冷房運転の空調性能を、図4の空気線図、図5の気体の性質の一覧表に基づいて説明する。
図3で、室外空気OAが第1空調流路R1を介して空調用空気SAへと空調される流れにおいて、P1〜P6で示す位置における温度・絶対湿度・相対湿度等を、図4、図5の夫々に示している。
図3で、室外空気OAが第4空調流路R4を介して排気VAとして排出される流れにおいて、P7〜P10で示す位置における温度・絶対湿度・相対湿度等を、図5に示している。
図3で、室内空気RAが第2空調流路R2を介して排気VAとして排出される流れにおいて、P11〜P17で示す位置における温度・絶対湿度・相対湿度等を、図4、図5の夫々に示している。
【0045】
まず、図4の空気線図において、特徴的な箇所について説明すると、室外空気OAが空調用空気SAに空調される流れ(P1〜P6の流れ)において、P1.5〜P2間において、絶対湿度及び温度が共に低下していることがわかる。これは、第3空調流路R3を設けることで、室外空気OAに比較的湿度・温度の低い室内空気RAを混合したためである。これにより、空調用空気SAの湿度・温度は、P6に示すように、十分に低くなっている。即ち、室外空気OAに室内空気RAを混合することで、デシカントロータ112の再生部112bを再生する再生温度を変化させていないにも関わらず、空調用空気の絶対湿度を低下できている。
また、図4に示すように、空調用空気SAの絶対湿度(P6)を、室内空気RAの絶対湿度(P11)よりも低くなるように設定しているので、空調対象空間Sにおける呼気や発生水分の除湿が可能になっている。
【0046】
空調用空気SAの流量は、図5の一覧表で、P1.5からP2への変化を見ると分かるように、略2倍程度に増加している。これは、第3空調流路R3を設けることで、室外空気OAにそれと同程度の室内空気RAを混合したためである。これにより、空調対象空間Sに導かれる空調用空気SAの流量は、図5でP6に示すように、532m3/hの大流量とすることができている。
【0047】
〔除湿冷房運転の循環温水温度及び再生空気温度に基づく評価〕
以下、循環温水温度及び再生空気温度を変化させた場合の除湿冷房運転の性能評価を、図6、図7に基づいて行う。
尚、当該性能評価の条件は、室内空気RAの温度が27℃、相対湿度55%、デシカントロータ112の除湿性能を80%で実施している。また、第1ファン118、第2ファン116、第3ファン123の合計電力消費量は、310Wである。
【0048】
図6は、ガス焚きバーナ120を作動させない評価結果である。(a)が湯水循環路204を循環する湯水の温度を変化させた場合の冷房能力(W)、(b)が温水熱負荷(W)、(c)が空調用空気SAの温度(℃)、(d)がデシカントロータ112の除湿量(kg/h)を示している。
図6(d)により、循環湯水の温度が60℃以上であれば、室外空気OAが2.5kg/h以上除湿できており、適切な除湿が可能であることがわかる。しかしながら、当該循環湯水の温度が低下すると、再生空気の温度が低下し、デシカントロータ112での除湿量が低下するため、第1加湿機111での噴霧量を減らさざるを得ず、図6(a)に示すように、冷房能力が低下すると共に、図6(c)に示すように、空調用空気SAの温度が上がってしまう。
【0049】
一方、図7に、ガス焚きバーナ120を作動させた場合の評価結果を示す。循環湯水の温度を75℃に固定した場合において、(a)がデシカントロータ112の通気性吸湿体112cを再生する再生空気の温度を変化させた場合の冷房能力(W)、(b)がガス焚きバーナ120の熱負荷(W)、(c)空調用空気SAの温度(℃)を示している。
図7(a)より、再生空気の温度を85℃以上とすることで、顕熱だけの冷房能力として1000Wが得られており、図7(c)より、18.6℃の空調用空気SAを得ることができる。図7(b)より、この場合のガス焚きバーナ120の熱負荷は、630Wである。
このように、ガス焚きバーナ120を適切に働かせることにより、デシカント空調装置100にて、適切に冷房能力を発揮することができる。
【0050】
〔加湿暖房運転〕
加湿暖房運転にあっては、図8に示すように、室外空気OA(第2気体の一例)を第2空調流路R2に通流させると共に、室内空気RAを第1空調流路R1に通流させるように、第1四方弁110及び第2四方弁117を切り替え制御される。尚、ここで、第2空調流路R2におけるガス焚きバーナ120は作動させていない。
このときに、第3空調流路R3の流量調整弁122は全閉に設定されており、第2空調流路R2から第1空調流路R1へ気体が導かれないようになっている。
また、第4空調流路R4には、室外空気OAが通流しない。
そして、第2空調流路R2にて空調された室外空気OAは、第2四方弁117を介して、第1加湿機111に導かれ、第1加湿機111にて加湿された後、空調用空気SAとして空調対象空間Sに導かれる。
一方、第1空調流路R1通流した室内空気RAは、第1四方弁110を介して排気VAとして室外空間へ放出される。
【0051】
以上の如く、室外空気OA及び室内空気RAを通流させることで、加湿・加熱された空調用空気SAを空調対象空間Sに導いて、空調対象空間Sを適切に加湿暖房できる。
また、加湿暖房運転を24時間実行することにより、除湿冷房運転を同様に、24時間換気が実行される。
【0052】
〔加湿暖房運転の空調性能〕
次に、図8の回路状態における図8の加湿暖房運転の空調性能を、図9の空気線図、図10の気体の性質の一覧表に基づいて説明する。
図8で、室外空気OAが第2空調流路R2を介して空調用空気SAへと空調される流れで、P11〜P17で示す位置における温度・絶対湿度・相対湿度等を、図9、10の夫々に示している。
図8で、室内空気RAが第1空調流路R1を介して排気VAとして排出される流れで、P1〜P6で示す位置における温度・絶対湿度・相対湿度等を、図9、10に示している。
【0053】
図9、10において、P14、15の温度は同じであることからわかるように、加湿暖房運転においては、ガス焚きバーナ120を作動させていない。この場合であっても、空調用空気SAの温度を55、6℃まで昇温できると共に、その絶対湿度を9.52g/kg乾燥空気まで加湿できる。
尚、室外空気OAの温度が低い場合には、当然にガス焚きバーナ120を作動させて、空調用空気SAの温度を上昇させることができる。
【0054】
〔加湿暖房運転の循環温水温度に基づく評価〕
以下、循環温水温度を変化させた場合の加湿暖房運転の性能評価を、図11に基づいて行う。
尚、当該性能評価の条件は、室外空気OAの温度7℃、相対湿度65%、室内空気RAの温度が20℃、相対湿度35%、換気風量170m3/hである。このときの第1ファン118、第2ファン116の合計消費電力は、120Wである。
【0055】
図11において、(a)が湯水循環路204を循環する湯水の温度を変化させた場合の温水熱負荷(W)、(b)が室内空気RAからの回収湿分(g/h)、(c)が空調用空気SAの温度(℃)、(d)が水噴霧による加湿分(g/h)を示している。
図11(a)に示すように、温水熱負荷を1500Wとした場合、循環温水の温度を55℃にでき、図11(c)に示すように、循環温水温度55℃のときには、空調用空気SAの温度を、35℃程度に維持できる。そして、循環温水温度55℃にした場合には、図11(b)に示すように、デシカントロータ112における室内空気RAからの回収湿分としての640g/hと、図11(d)に示すように、水噴霧による加湿分400g/hとを合わせて、1000g/h以上の加湿を行うことができる。
【0056】
しかしながら、循環温水の温度が低下した場合、デシカントロータ112における室内空気RAからの回収湿分が低下するので、それを補うべく、水噴霧を行った場合、空調用空気SAの温度が低下するという問題が生じる。
この場合であっても、本発明によれば、ガス焚きバーナ120を作動させることにより、空調用空気SAの温度の低下を防ぐことができる。
【0057】
〔除湿運転〕
除湿運転にあっては、図12に示すように、室外空気OA(第1気体の一例)を第1空調流路R1に通流させると共に、室内空気RAを第2空調流路R2に通流させるように、第1四方弁110及び第2四方弁117を切り替え制御される。
このときに、第3空調流路R3の流量調整弁122は全閉に設定されており、第2空調流路R2を通流する室内空気RAは、第1空調流路R1に導かれない。これにより、除湿運転において、第1空調流路R1にて空調される気体、即ち、空調用空気SAとして空調対象空間Sに供給される気体の流量は、除湿冷房運転の場合のそれと比べて、小さいもの(略半分程度)となる。
また、第4空調流路R4では、第3ファン123を作動させず、室外空気OAを通流させない。
室外空気OAが通流しており、第2冷却用熱交換器121にて、室外空気OAが適切に冷却される。
そして、第1空調流路R1にて除湿・冷却された室外空気OAは、第2四方弁117を介して、第1加湿機111に導かれ、第1加湿機111にて加湿され、その湿分が蒸発するときの蒸発潜熱が奪われる形態で冷却された後、空調用空気SAとして空調対象空間Sに導かれる。
一方、第2空調流路R2を通流した室内空気RAは、第1四方弁110を介して排気VAとして室外空間へ放出される。
【0058】
以上の如く、室外空気OA及び室内空気RAを通流させることで、除湿された空調用空気SAを空調対象空間Sに導いて、空調対象空間Sを適切に除湿できる。
また、除湿運転を実行すれば、除湿冷房運転の場合と同様に、室内空気RAと室外空気OAとが入れ替わり換気が実行されるので、この除湿運転を24時間実行することにより、24時間換気を実現できる。
【0059】
〔除湿運転の空調性能〕
次に、図12の回路状態における除湿運転の空調性能を、図13の空気線図、図14の気体の性質の一覧表に基づいて説明する。
図12で、室外空気OAが第1空調流路R1を介して空調用空気SAへと空調される流れにおいて、P1〜P6で示す位置における温度・絶対湿度等を、図13、14に示している。
図12で、室内空気RAが第2空調流路R2を介して排気VAとして排出される流れにおいて、P11〜P17で示す位置における温度・絶対湿度等について、図13、14に示している。
【0060】
図13、14において、空調用空気SAの温度(P6)は、室内空気RAの温度(P11)と略同程度の温度に調整でき、且つ、空調用空気SAの湿度(P6)は、室内空気RAの湿度(P11)よりも低下できていることがわかり、適切に除湿運転が実行できていることがわかる。
【0061】
〔除湿運転の循環温水温度及び再生空気温度に基づく評価〕
以下、室外空気OAの相対湿度及び再生空気温度を変化させた場合の除湿運転の評価を、図15、16に基づいて行う。
尚、当該性能評価の条件は、循環温水の温度が75℃、室内空気RAの温度が27℃、相対湿度が55%、室外空気OAの温度が25℃である。第1ファン118、第2ファン116、第3ファン123の合計電力は、120Wである。
【0062】
図15は、ガス焚きバーナ120を作動させなかった場合のグラフである。図15(a)に示すように、室外空気OAの相対湿度が85%以上になると、その絶対湿度は、16g/kgDA以上となる。そして、そのときの冷房能力は、図15(d)に示すように、20W以下となり、図15(c)に示すように、空調用空気SAの温度も、27℃以上と高くなってしまう。
【0063】
一方、ガス焚きバーナ120を作動させた場合で、デシカントロータ112の再生空気の温度を変化させたときの、室内空気RAの除湿量の変化を図16に示す。
図16から、ガス焚きバーナ120を作動させて、デシカントロータ112の再生空気の温度を上昇させることで、室内空気RAの除湿能力を高められていることがわかる。このように、除湿運転においても、ガス焚きバーナ120を作動させることにより、再生空気の温度を室外空気OAの相対湿度に応じて高めて、室内空気RAの湿度を快適な値に調整することができる。
【0064】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態においては、熱電併給装置にて発生される熱として、ガスエンジン202の排ガスの熱を例として説明したが、当該熱電併給装置にて発生される熱は、例えば、ガスエンジン202を冷却するエンジン冷却水の保有する熱であっても良い。
【0065】
(2)上記実施形態においては、100戸程度の集合住宅に本発明を適用する場合について例示したが、例えば、200戸程度の集合住宅に本発明を適用することもできる。この場合、発電出力35kW(発電効率34%LHV基準)、温水出力51.5kWのガスエンジン202を4台備えることが好ましい。
また、400戸程度の集合住宅に本発明を適用する場合には、発電出力400kW(発電効率40%LHV基準)、温水出力400kWのガスエンジン202を1台備えることが好ましい。
【0066】
(3)上記実施形態では、熱電併給装置の一例として、ガスエンジンを例として挙げたが、当該熱電併給装置は、熱と電力を発生できるものであれば、どのようなものでも適用することができ、例えば、燃料電池等も適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のコジェネレーションシステムは、集合住宅において、夏季の熱需要が少ない場合で、その熱を有効に利用してその稼働率を向上できると共に、集合住宅における湯水循環路の下流側の住戸に対しても、十分に熱の供給が可能なコジェネレーションシステムとして、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
111 :第1加湿機
112 :デシカントロータ
112a :吸湿部
112b :再生部
112c :通気性吸湿体
114 :第1冷却用熱交換器
115 :加熱用熱交換器
120 :ガス焚きバーナ(燃焼装置の一例)
121 :第2冷却用熱交換器
122 :流量調整弁
124 :第2加湿機
100 :デシカント空調装置
200 :コジェネレーションシステム
201 :住戸
203 :第1貯湯槽
204 :湯水循環路
205 :補助ボイラ
OA :室外空気
RA :室内空気
SA :空調用空気
S :空調対象空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の住戸からなる集合住宅又は地域に供給される電力及び熱を発生可能な熱電併給装置が設けられ、当該熱電併給装置にて発生される熱を湯水との熱交換にて回収する排熱回収熱交換器と、湯水を貯湯可能な貯湯槽と、前記排熱回収熱交換器と前記貯湯槽との間で湯水を循環可能な湯水循環路とを備え、前記湯水循環路が前記貯湯槽からの湯水を、前記複数の住戸に循環供給可能に構成されたコジェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の集合住宅にあっては、省エネルギの観点から、上述のようなコジェネレーションシステムで発電電力の大きいもの(例えば、10kWクラスのもの)を設置して、その電力を集合住宅の共用部や各住戸に供給すると共に、その熱を温水として各住戸に供給して給湯や暖房に使用可能なものが、知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−42545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に開示のコジェネレーションシステムでは、特に夏季の昼間の時間帯において、熱需要が少なく、発生した熱の有効な利用先がないため、その稼働率が低下する場合があり、電力ピークの時間帯に、10kWクラスのコジェネレーションシステムを有効に利用できない場合があった。
また、集合住宅にあっては、コジェネレーションシステムにて発生された熱は、湯水循環路に湯水を通流させる形態で、夫々の住宅に供給されるのであるが、湯水循環路の湯水の温度は、下流側に進むにつれて低下するため、下流側においては、十分な熱が供給されない虞があるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、集合住宅において、夏季の熱需要が少ない場合で、その熱を有効に利用してその稼働率を向上できると共に、集合住宅における湯水循環路の下流側の住戸に対しても、十分に熱の供給が可能なコジェネレーションシステムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためのコジェネレーションシステムは、
複数の住戸からなる集合住宅又は地域に供給される電力及び熱を発生可能な熱電併給装置が設けられ、当該熱電併給装置にて発生される熱を湯水との熱交換にて回収する排熱回収熱交換器と、湯水を貯湯可能な貯湯槽と、前記排熱回収熱交換器と前記貯湯槽との間で湯水を循環可能な湯水循環路とを備え、前記湯水循環路が前記貯湯槽からの湯水を前記複数の住戸に循環供給可能に構成されたコジェネレーションシステムであって、その特徴構成は、
前記複数の住戸の夫々に、気体を回転駆動する通気性吸湿体からなるデシカントロータの吸湿部又は再生部を通流させ温度調節及び湿度調節して空調用空気として空調対象空間へ供給するデシカント空調装置を備え、
前記デシカントロータの前記再生部を通流して前記通気性吸湿体の再生に用いる気体を、前記湯水循環路にて循環供給される湯水と熱交換する加熱用熱交換器を備えると共に、
前記通気性吸湿体の再生に用いる気体を加熱自在な加熱手段を備える点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、コジェネレーションシステムにて発生した熱は、その熱を保有する湯水が湯水循環路を循環する形態で、集合住宅の夫々に循環供給される。各集合住宅に供給された湯水の保有する熱は、集合住宅の夫々に設けられたデシカント空調装置のデシカントロータの通気性吸湿体の再生熱源として有効に利用できる。このように再生されたデシカントロータは、例えば、その吸湿部にて気体を適切に除湿して空調用空気を生成することができるので、夏季に、適切に湿度調整された空調用空気を、各集合住宅の空調対象空間にて利用することができる。
即ち、上記特徴構成によれば、特に、夏季の電力ピークの時間帯に、コジェネレーションシステムにて発生する熱を、集合住宅の夫々に設けられたデシカント空調装置にて空調用に利用することができるので、コジェネレーションシステムを電力需要に追従する状態で稼動させながらも、それにより発生した熱を捨てることなく有効利用することができる。
また、湯水循環路に湯水を循環する形態で、集合住宅の夫々の住戸に対し熱を供給する構成を採用している場合、湯水循環路の下流側の住戸を循環する湯水の温度が低下し、熱量が不足する場合がある。特に、本発明の如く、湯水の熱をデシカント空調装置のデシカントロータの通気性吸湿体の再生に用いている場合には、通気性吸湿体を適切に再生できないといった問題が生じる。
本発明では、このような場合でも、デシカント空調装置のデシカントロータの通気性吸湿体を再生させる気体を加熱自在な加熱手段を備えているので、加熱手段にてデシカントロータの通気性吸湿体の再生に用いられる気体を加熱でき、気体を再生に適切温度にまで昇温させることができる。即ち、熱量の不足を加熱手段にて補うことができるのである。
以上より、集合住宅において、夏季の熱重要が少ない場合でも、その熱を各集合住宅にて、空調用空気の生成に有効に利用して、その稼働率を向上できると共に、湯水循環路の下流側の住戸に対しても、十分に熱を供給することができるコジェネレーションが実現できる。
【0008】
本発明のコジェネレーションシステムの更なる特徴構成は、
前記加熱手段は、供給される燃料ガスを燃焼用空気と共に燃焼可能な燃焼装置であり、
前記燃焼装置に供給される燃料ガスを、前記複数の住戸のガスメータを介さない状態で、前記燃焼装置へ直接供給する直通ガス管が設けられている点にある。
【0009】
上述したように、デシカント空調装置のデシカントロータの通気性吸湿体を再生する気体を加熱する燃焼装置は、集合住宅の各住戸において、コジェネレーションシステムから供給される熱が不足する場合に稼動するものである。このような熱の不足は、熱を湯水循環路にて湯水を循環させる状態で集合住宅に供給する場合、上流側よりも下流側で起こり易いため、上記燃焼装置は、上流側の住戸よりも下流側の住戸で良く利用されることとなる。このため、燃焼装置にて消費される燃料ガスを、各住戸にて課金した場合、上流側の住戸と下流側の住戸とで、不平等が生じる虞がある。
上記特徴構成によれば、燃焼装置にて消費される燃料ガスは、直通ガス管により、住戸のガスメータを介さない状態で、燃焼装置へ直接供給されるので、当該燃料ガスの費用が、各住戸に課金され住戸間に不平等が生じることを避けることができる。
尚、使用された燃料ガスの料金は、集合住宅のすべての住戸にて、均等割りする等の課金形態をとることにより、熱利用の観点において、各住戸間で均等な課金を行うことができる。
【0010】
本発明のコジェネレーションシステムの更なる特徴構成は、
前記デシカント空調装置が、前記デシカントロータの前記吸湿部を通流した気体を冷却用媒体との熱交換により冷却する第1冷却用熱交換器と、気体を加湿する第1加湿機とを備え、
気体を前記デシカントロータの前記吸湿部と前記第1冷却用熱交換器とを記載順に通流させる第1空調流路と、気体を前記冷却用媒体として前記第1冷却用熱交換器へ導き、前記加熱用熱交換器及び前記加熱手段へ導いた後、前記デシカントロータの前記再生部を通流させる第2空調流路とを形成可能に構成され、
第1気体を前記第1空調流路にて空調した後に前記第1加湿機にて加湿して空調用空気として空調対象空間へ導くと共に、再生用空気を前記第2空調流路へ導く第1運転状態と、
第2気体を前記第2空調流路にて空調した後に前記第1加湿機にて加湿して空調用空気として空調対象空間へ導くと共に、吸湿用空気を前記デシカントロータの前記吸湿部へ導く第2運転状態とを、択一的に切り替える切替手段を備える点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、集合住宅の夫々において、コジェネレーションシステムにて発生される熱をデシカント空調装置の熱源として利用して、切替手段を第1運転状態に切り替えて除湿冷房運転を実行すると共に、切替手段を第2運転状態に切り替えて加湿暖房運転を実行することができる。
ここで、第1運転状態で除湿冷房運転を実行している場合、第1空調流路を通流する第1気体は、室外空気が好適に用いられ、第2運転状態で加湿暖房運転を実行している場合、第2空調流路を通流する第2気体についても、室外空気が好適に用いられる。
ここで、第1気体及び第2気体は、同じ気体であっても良いし、異なる気体であっても良い。
【0012】
以下、上述の除湿冷房運転及び加湿暖房運転につき説明を加える。
除湿冷房運転にあっては、切替手段により第1運転状態に切り替えることで、第1気体を、デシカントロータの吸湿部にて除湿し、第1冷却用熱交換器にて冷却した後に、第1加湿機にて水分を供給してその水分の蒸発潜熱が奪われる形態で冷却し、適切に除湿冷却された第1気体を空調用空気として空調対象空間へ供給できる。
特に、このとき、再生用空気は、冷却用媒体として第1冷却用熱交換器に導かれて加熱され、加熱用熱交換器にて加熱用媒体との熱交換にて加熱され、加熱手段によっても加熱された後、デシカントロータの再生部を通流して再生している。このような構成を採用することにより、例え、コジェネレーションシステムによる熱の供給が不十分で、当該熱にて加熱される加熱用媒体が十分に昇温されない状態で加熱用熱交換器に導かれ、加熱用熱交換器にて再生用空気を十分に昇温できない場合でも、再生用空気を加熱手段にて加熱して、デシカントロータの再生部を再生可能な程度にまで昇温できる。
【0013】
一方、加湿暖房運転にあっては、切替手段により第2運転状態に切り替えることで、第2気体を、冷却用媒体として第1冷却用熱交換器に導いて加熱し、加熱用熱交換器にて加熱し、加熱手段によっても加熱し、デシカントロータの再生部にて加湿した後、第1加湿機にてさらに加湿して、適切に加湿加熱された第2気体を空調用空気として空調対象空間へ供給できる。即ち、加湿暖房運転にあっても、コジェネレーションシステムによる熱の供給が不十分で、当該熱にて加熱される加熱用媒体が十分に昇温されない状態で加熱用熱交換器に導かれる場合でも、第2気体を加熱手段にて加熱して、空調用空気として求められる温度にまで適切に昇温できる。
尚、上記特徴構成によれば、コジェネレーションシステムから供給される熱が十分で、当該熱により十分に昇温された加熱用熱媒体を加熱用熱交換器に供給可能であり、加熱用熱媒体にて十分に再生用空気を昇温可能な場合には、加熱手段による加熱を省略しても、除湿冷房運転、加湿暖房運転の双方を良好に実行することができる。
【0014】
本発明のコジェネレーションシステムの更なる特徴構成は、
前記切替手段が、運転状態を前記第1運転状態に切り替えているときで、前記第1気体として室外空気を用いている場合に、
前記再生用空気として前記第2空調流路に導かれる室内空気の一部を、前記第1空調流路に導く第3空調流路が設けられている点にある。
【0015】
今日、一般に知られているエアコン等の空調機にあっては、700m3/h程度の空調用空気を供給可能となっており、使用者の使用感を高める観点からは、この程度の流量を供給できることが好ましい。
しかしながら、デシカントロータを用いた空調システムにあっては、空調用空気は、デシカントロータ及び熱交換器等の圧力損失の大きい機器を複数通流する必要があるため、省エネの観点から送風ファンの出力を抑えた状態において、十分な流量を供給し難い状況にあった。
上記特徴構成によれば、切替手段により第1運転状態に切り替えて、除湿冷房運転を実行しているときに、第1空調流路に通流する室外空気に、再生用空気として第2空調流路に導かれる室内空気の一部が、第3空調流路により、第1空調流路に導かれることとなるので、空調用空気として、室外空気と共に室内空気の一部が供給されることになる。これにより、特に、送風ファン等の出力を増加させることなく、空調対象空間に導かれる空調用空気の流量を増加させることができる。
尚、通常、空調用空気の絶対湿度を下げる場合、デシカントロータの再生部を通流する再生用空気を昇温させる必要がある。しかしながら、上述の如く、室外空気に室内空気を混合して空調用空気を生成することで、再生用空気を昇温させなくとも、空調用空気の絶対湿度を下げることができる。
【0016】
本発明のコジェネレーションシステムの更なる特徴構成は、
前記第3空調流路には、前記室内空気の通流量を制御する流量制御弁が設けられている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、第3空調流路に流量制御弁を設けているので、第2空調流路の圧力を第1空調流路の圧力よりも高めておき、上記流量制御弁の開度を制御するという、簡易な構成により、第3空調流路により第2空調流路から第1空調流路へ供給される室内空気の通流量を調整できる。
【0018】
本発明のコジェネレーションシステムの更なる特徴構成は、
室外空気を加湿する第2加湿機を備え、
前記第2加湿機にて加湿された室外空気と、前記第1空調流路の前記第1冷却用熱交換器を通流した後の空調用空気とを熱交換可能な第2冷却用熱交換器が設けられている点にある。
【0019】
真夏等で室外空気の温度が高くなる場合等には、空調用空気の十分な冷却が望まれる場合がある。
上記特徴構成によれば、第2冷却用熱交換器において、第1空調流路でデシカントロータの吸湿部にて除湿され、第1冷却用熱交換器にて冷却された空調用空気を、第2加湿機にて水分が供給されその水分の蒸発潜熱が奪われる形態で冷却された室外空気と、熱交換させ、空調用空気の温度を、より一層低下させることができる。
これにより、室外空気の温度が高くなる場合でも、適切な除湿冷房運転を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】集合住宅に適用されるコジェネレーションシステムの概略構成図である。
【図2】各住戸のデシカント空調装置及び各ユーティリティ消費機器への電力・湯水等の供給状態を示す概略図である。
【図3】デシカント空調装置の回路が除湿冷房運転状態である場合の回路図である。
【図4】図3の回路の所定の点における各気体の温度状態及び湿度状態の変化を示す空気線図である。
【図5】図3の回路の所定の点における各気体の温度・湿度等の値を示す表である。
【図6】循環温水の温度変化に対する除湿冷房性能の変化を示すグラフ図である。
【図7】デシカントロータの通気性吸湿体を再生する再生空気の温度の変化に対する除湿冷房性能の変化を示すグラフ図である。
【図8】デシカント空調装置の回路が加湿暖房運転状態である場合の回路図である。
【図9】図8の回路の所定の点における各気体の温度状態及び湿度状態の変化を示す空気線図である。
【図10】図8の回路の所定の点における各気体の温度・湿度等の値を示す表である。
【図11】循環温水の温度変化に対する加湿暖房性能の変化を示すグラフ図である。
【図12】デシカント空調装置の回路が除湿運転状態である場合の回路図である。
【図13】図12の回路の所定の点における各気体の温度状態及び湿度状態の変化を示す空気線図である。
【図14】図12の回路の所定の点における各気体の温度・湿度等の値を示す表である。
【図15】室外空気の相対湿度の変化に対する除湿性能の変化を示すグラフ図である。
【図16】デシカントロータの通気性吸湿体を再生する再生空気の温度の変化に対する室内空気の除湿量の変化を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のコジェネレーションシステム200は、集合住宅の夫々の住戸201において、コジェネレーションシステム200にて発生した熱を、その再生熱源として利用可能なデシカント空調装置100を設けている点を特徴とするものである。
本発明のコジェネレーションシステム200の更なる特徴は、集合住宅の夫々の住戸201に対して供給される熱が不足する場合でも、その熱の不足を補う状態で、上述のデシカント空調装置100の再生熱源として利用可能なガス焚きバーナ120(加熱手段、燃焼装置の一例)を設けている点にある。以下、本発明のコジェネレーションシステム200について、図面に基づいて説明する。
【0022】
〔集合住宅用コジェネレーションシステム〕
まず、図1に基づいて、本発明のコジェネレーションシステム200の基本構成を説明する。
本発明のコジェネレーションシステム200は、図1に示すように、複数の住戸201からなる集合住宅の夫々の住戸201に供給される電力及び熱を発生可能な熱電併給装置としてガスエンジン202が設けられ、当該ガスエンジン202の排ガスと湯水とを熱交換する形態で排ガスの熱を回収する排熱回収熱交換器229と、温度成層を形成した状態で湯水を貯湯可能な第1貯湯槽203(貯湯槽の一例)と、排熱回収熱交換器229と第1貯湯槽203との間で湯水(加熱用媒体の一例)を循環可能な湯水循環路204とを備え、湯水循環路204が第1貯湯槽203からの湯水を複数の住戸201の夫々に循環供給可能に構成されている。
【0023】
尚、当該明細書において示す数値は、特に明示しない限り、100戸規模の集合住宅に、発電出力35kW(発電効率34%LHV基準)、温水出力51.5kWのガスエンジン202を2台備えたものに対応する数値とする。
また、後述する第1ヒートポンプ206、第2ヒートポンプ211の温水出力は200kW、太陽熱温水器210の温水出力は40kW、太陽光発電装置214の発電出力は20kW、第1貯湯槽203及び第2貯湯槽209は、貯湯量が600Lのものを複数台で構成するものとする。
【0024】
湯水循環路204は、複数の循環ポンプ207にて湯水が圧送されて、常に湯水が循環するように構成されている。そして、湯水循環路204は、当該湯水循環路204を循環する湯水の温度が低下した場合に、その湯水を補助的に加熱する補助ボイラ205及び第1ヒートポンプ206が設けられている。
第1ヒートポンプ206、排熱回収熱交換器229、及び補助ボイラ205は、第1貯湯槽203から供給された湯水が、それらを記載順に循環する状態で設けられている。
【0025】
第1ヒートポンプ206は、排熱回収熱交換器229を通流した後の排ガスの排熱を蒸発器(図示せず)にて回収し、回収した熱を圧縮機(図示せず)にて、湯水循環路204を循環する湯水に供給するように構成されている。
尚、第1ヒートポンプ206は、それに導かれる湯水の温度が高い場合には、その成績係数が低下する。そこで、成績係数を向上させるべく、第1ヒートポンプ206に導かれる湯水には、給水路230から低温の水が混合可能に構成されている。これにより、第1ヒートポンプ206に40℃以下の湯水が供給可能となっている。
そして、第1ヒートポンプ206を通流した湯水の温度を、65℃〜75℃に昇温させ、その下流側の排熱回収熱交換器229に導くことができ、ガスエンジン202のエクセルギー面での熱効率を向上させることができる。
【0026】
第1貯湯槽203に貯湯されている湯水は、80〜90℃程度の温度で、湯水循環路204に導かれる。
尚、湯水循環路204に設けられた複数の循環ポンプ207が、湯水循環路204を循環して第1貯湯槽203に戻る湯水の戻り流量及び戻り温度が設定したものとなるように、インバータ制御されている。湯水の戻り流量及び戻り温度は、集合住宅の規模により異なるが、戻り流量としては、20〜50L/minで、戻り温度が50〜60℃である。
【0027】
尚、給水路230は、第1貯湯槽203、第2貯湯槽209、及び集合住宅の各住戸201等に、適宜給水が可能な状態に配設されている。
【0028】
さらに、当該湯水循環路204には、湯水供給路208が接続されており、当該湯水供給路208を介して、第2貯湯槽209に貯湯された湯水が供給可能に構成されている。
第2貯湯槽209は、太陽熱にて湯水を加熱する太陽熱温水器210や、排熱回収熱交換器229を通流した後の排ガスと湯水とを熱交換する形態で湯水を加熱する第2ヒートポンプ211にて、加熱された湯水が温度成層を形成した状態で貯湯可能に構成されている。
【0029】
ガスエンジン202にて発電された電力は、第1給電線212にて商用電力系統と連携する連携装置213を介して、各住戸201や共用設備(図示せず)に供給可能に構成されている。連携装置213には、AC/DCコンバータを介する状態で、太陽光発電装置214や電気自動車215が第2給電線216により電気的に接続可能に構成されている。上記第1給電線212及び第2給電線216が、マイクログリッドとして構成されている。
尚、系統電力需要が増加する時間帯(例えば、午前9時から午後6時の間)にあっては、コジェネレーションシステム200及び太陽光発電装置214にて発生した電力のうち、余剰電力を商用電力系統に逆潮流可能に構成されている。
【0030】
〔住戸に係る構成〕
次に、各住戸201における電力及び熱(湯水)等の供給状態を、図2に基づいて説明する。
各住戸201には、湯水循環路204を循環する湯水が、デシカント空調装置100、熱負荷219、及び蓄熱ユニット220の夫々を通流した後、再び湯水循環路204に戻るように、湯水供給路208が配設されると共に、当該湯水供給路208に湯水を圧送する圧送ポンプ217が設けられている。尚、湯水供給路208を流れる湯水は、各住戸201の給湯需要に基づいて、湯水供給路208に連接されている給湯用の開閉バルブ222を開閉制御することで、各住戸201に給湯用として供給可能となっている。
各住戸201に湯水供給路208から取り込まれる湯水の流量は、例えば、10L/min程度の流量である。
【0031】
上記蓄熱ユニット220は、湯水供給路208を湯水が通流する際、湯水が余分な熱を保有している場合に蓄熱し、湯水の熱が不足している場合に熱を供給可能に構成されている。当該蓄熱ユニット220により、熱負荷の平準化の効果が得られ、熱を効率的に循環させることができるので、湯水循環路204の管径を小口径化することができる。具体的には、集合住宅が、50〜100戸の住戸201を含む場合、湯水循環路204の管径は、25mm〜40mm程度とすることができる。
【0032】
各住戸201における湯水の利用に対する課金は、各住戸201の湯水供給路208に湯水を圧送する圧送ポンプ217の駆動時間と、各住戸201での給湯量を制御する開閉バルブ222の開度及び開き時間に基づいて、決定される。
【0033】
電力については、電気メータ223を介して各電力消費機器224に導かれ、給水については、水量メータ225を介して水消費機器226に導かれ、燃料ガスについては、その一部がガスメータ227を介して各ガス消費機器228に導かれると共に、その残部がガスメータ227を介さない状態で直通ガス管231にて、デシカント空調装置100のガス焚きバーナ120に導かれるように構成されている。
電力、給水、及び燃料ガスの夫々の課金は、電気メータ223、水量メータ225、及びガスメータ227の夫々の値に基づいて、各住戸201に課金されるように構成されている。尚、デシカント空調装置100にて消費される燃料ガスについては、各住戸201に課金せず、集合住宅のすべての住戸201に均等に課金されるように構成されている。
【0034】
〔デシカント空調装置〕
次に、各住戸201に設けられているデシカント空調装置100につき、図面に基づいて説明する。
当該デシカント空調装置100は、通気性吸湿体112cから成るデシカントロータ112の再生熱源として、コジェネレーションシステム200のガスエンジン202にて発生した熱を利用すると共に、その熱が不足する場合に、補助熱源であるガス焚きバーナ120にて熱を補う点を特徴としている。
また、当該デシカント空調装置100は、除湿冷房運転、加湿暖房運転、及び除湿運転を、実行可能に構成されており、特に、除湿冷房運転にあっては、空調対象空間Sに供給する空調用空気SAの流量を、170〜360m3/h程度の大流量にできる点も特徴としている。
【0035】
以下、そのデシカント空調装置100について、図面に基づいて説明する。
デシカント空調装置100は、第1四方弁110及び第2四方弁117を切り替えることにより、その回路状態を、図3に示す第1運転状態として除湿冷房運転を実行可能に構成されていると共に、図8に示す第2運転状態として加湿暖房運転を実行可能に構成されている。さらに、デシカント空調装置100は、第1四方弁110及び第2四方弁117を切り替えることにより、図12に示す第3運転状態として除湿運転をも実行可能に構成されている。
そして、当該デシカント空調装置100では、除湿冷房運転、加湿暖房運転、除湿運転を実行するべく、後述する第1空調流路R1、第2空調流路R2、第3空調流路R3、及び第4空調流路R4を形成可能に構成されており、これらの第1空調流路R1〜第4空調流路R4に、室外空気OA又は室内空気RAを通流させることで、温度及び湿度が適切に調整された空調用空気SAを生成している。
そこで、まず、これら第1空調流路R1〜第4空調流路R4について、図面に基づいて説明する。
【0036】
第1空調流路R1(図3、8、12で、二点鎖線で示す流路)は、図3、8、12に示すように、気体を、第1ファン118にて圧送することにより、デシカントロータ112の吸湿部112a、第1冷却用熱交換器114の被冷却側、第2冷却用熱交換器121の被冷却側の夫々を通流させる流路である。
尚、第1冷却用熱交換器13の冷却側には、第2空調流路R2(図3、8、12で、一点鎖線で示す流路)を流れる比較的低温の気体が通流するように構成されており、第2冷却用熱交換器121の冷却側には、第4空調流路R4を流れる比較的低温の気体が通流するように構成されている。
これにより、第1空調流路R1を通流する気体は、デシカントロータ112の吸湿部112aにて除湿され、第1冷却用熱交換器114の被冷却側にて冷却され、第2冷却用熱交換器121の被冷却側にて冷却されることとなる。
【0037】
第2空調流路R2(図3、8、12で、一点鎖線で示す流路)は、図3、8、12に示すように、気体を、第2ファン116にて圧送することにより、第1冷却用熱交換器114の冷却側、加熱用熱交換器115、ガス焚きバーナ120、デシカントロータ112の再生部112bの夫々を通流させる流路である。
尚、加熱用熱交換器115は、コジェネレーションシステム200にて発生した熱を有する湯水を循環する湯水循環路204から湯水供給路208を介して各住戸201へ導かれた湯水と、気体とを熱交換させるものである。ガス焚きバーナ120は、外部から導かれた燃料ガスを燃焼させて気体を直接昇温するものである。
これにより、第2空調流路R2を通流する気体は、第1冷却用熱交換器114の冷却側にて昇温し、加熱用熱交換器115にて加熱され、ガス焚きバーナ120にて直接昇温され、デシカントロータ112の再生部112bにて加湿されることとなる。
【0038】
ここで、デシカントロータ112は、第1空調流路R1に気体を通流させると共に第2空調流路R2へ気体を通流させることで、その吸湿部112aにて気体を除湿すると共に再生部112bにて気体に湿分を放湿する形態で、湿分の吸放湿サイクルを実行するようになっている。
【0039】
第3空調流路R3は、図3に示すように、第1空調流路R1のデシカントロータ112の吸湿部112aの上流側と、第2空調流路R2の第1冷却用熱交換器114の上流側とを連通する流路である。第3空調流路R3は、第1空調流路R1及び第2空調流路R2に気体を通流させているときに、第1空調流路R1及び第2空調流路R2の圧力の関係から、第2空調流路R2から第1空調流路R1へ気体が通流するようになっている。ここで、第3空調流路R3には、当該第3空調流路R3を通流する気体の流量を調整する流量調整弁122が設けられている。
これにより、第3空調流路R3が開放されている状態で、第3空調流路R3が設けられている部位において第1空調流路R1の圧力よりも第2空調流路R2の圧力が高い場合にあっては、第1空調流路R1にて空調される気体の流量を増加できることとなり、その流量は流量調整弁122により自在に調整可能となっている。
【0040】
第4空調流路R4は、図3、12に示すように、気体を、第3ファン123にて圧送することにより、気体を加湿する第2加湿機124及び第2冷却用熱交換器121の冷却側を通流する流路である。
これにより、第4空調流路R4を通流する気体は、第2加湿機124にて加湿されその湿分が蒸発することによる蒸発潜熱が奪われる形態で冷却され、第2冷却用熱交換器121の冷却側を通流して、その被冷却側を通流する気体を冷却する。
【0041】
次に、除湿冷房運転・加湿暖房運転・除湿運転の夫々を実行する場合に、上記第1空調流路R1〜第4空調流路R4夫々への気体の通流状態、及び空調用空気SAの生成過程について説明する。
【0042】
〔除湿冷房運転〕
除湿冷房運転にあっては、図3に示すように、室外空気OA(第1気体の一例)を第1空調流路R1に通流させると共に、室内空気RAを第2空調流路R2に通流させるように、第1四方弁110及び第2四方弁117を切り替え制御される。
このときに、第3空調流路R3の流量調整弁122は全開に設定されており、第2空調流路R2を通流する室内空気RAが、第1空調流路R1に導かれるように構成されている。第3空調流路R3を通流する流量、即ち、第2空調流路R2から第1空調流路R1に導かれる室内空気RAの流量は、第1空調流路R1を通流する室外空気OAの流量と略同程度の流量である。これにより、第1空調流路R1を通流する気体は、略2倍に増加する。
尚、第4空調流路R4には、第1空調流路R1に気体(室外空気OAと室内空気RAの混合気)を通流させている状態において、第2加湿機124にて加湿され冷却された室外空気OAが通流され、当該室外空気OAが第2冷却用熱交換器121の冷却側を通流しており、第1空調流路R1を通流する気体の冷却を促進する。
そして、第1空調流路R1にて空調された室外空気OAは、第2四方弁117を介して、第1加湿機111に導かれ、第1加湿機111にて加湿され、その湿分が蒸発するときの蒸発潜熱が奪われる形態で冷却された後、空調用空気SAとして空調対象空間Sに導かれる。
一方、第2空調流路R2を通流した室内空気RAは、第1四方弁110を介して排気VAとして室外空間へ放出される。
【0043】
以上の如く、室外空気OA及び室内空気RAを通流させることで、除湿・冷却された空調用空気SAを空調対象空間Sに導いて、空調対象空間Sを適切に除湿冷房できる。
また、除湿冷房運転を実行すれば、室内空気RAと室外空気OAとが入れ替わり換気が実行されるので、この除湿冷房運転を24時間実行することにより、24時間換気を実現することができる。
【0044】
〔除湿冷房運転の空調性能〕
次に、図3の回路状態における除湿冷房運転の空調性能を、図4の空気線図、図5の気体の性質の一覧表に基づいて説明する。
図3で、室外空気OAが第1空調流路R1を介して空調用空気SAへと空調される流れにおいて、P1〜P6で示す位置における温度・絶対湿度・相対湿度等を、図4、図5の夫々に示している。
図3で、室外空気OAが第4空調流路R4を介して排気VAとして排出される流れにおいて、P7〜P10で示す位置における温度・絶対湿度・相対湿度等を、図5に示している。
図3で、室内空気RAが第2空調流路R2を介して排気VAとして排出される流れにおいて、P11〜P17で示す位置における温度・絶対湿度・相対湿度等を、図4、図5の夫々に示している。
【0045】
まず、図4の空気線図において、特徴的な箇所について説明すると、室外空気OAが空調用空気SAに空調される流れ(P1〜P6の流れ)において、P1.5〜P2間において、絶対湿度及び温度が共に低下していることがわかる。これは、第3空調流路R3を設けることで、室外空気OAに比較的湿度・温度の低い室内空気RAを混合したためである。これにより、空調用空気SAの湿度・温度は、P6に示すように、十分に低くなっている。即ち、室外空気OAに室内空気RAを混合することで、デシカントロータ112の再生部112bを再生する再生温度を変化させていないにも関わらず、空調用空気の絶対湿度を低下できている。
また、図4に示すように、空調用空気SAの絶対湿度(P6)を、室内空気RAの絶対湿度(P11)よりも低くなるように設定しているので、空調対象空間Sにおける呼気や発生水分の除湿が可能になっている。
【0046】
空調用空気SAの流量は、図5の一覧表で、P1.5からP2への変化を見ると分かるように、略2倍程度に増加している。これは、第3空調流路R3を設けることで、室外空気OAにそれと同程度の室内空気RAを混合したためである。これにより、空調対象空間Sに導かれる空調用空気SAの流量は、図5でP6に示すように、532m3/hの大流量とすることができている。
【0047】
〔除湿冷房運転の循環温水温度及び再生空気温度に基づく評価〕
以下、循環温水温度及び再生空気温度を変化させた場合の除湿冷房運転の性能評価を、図6、図7に基づいて行う。
尚、当該性能評価の条件は、室内空気RAの温度が27℃、相対湿度55%、デシカントロータ112の除湿性能を80%で実施している。また、第1ファン118、第2ファン116、第3ファン123の合計電力消費量は、310Wである。
【0048】
図6は、ガス焚きバーナ120を作動させない評価結果である。(a)が湯水循環路204を循環する湯水の温度を変化させた場合の冷房能力(W)、(b)が温水熱負荷(W)、(c)が空調用空気SAの温度(℃)、(d)がデシカントロータ112の除湿量(kg/h)を示している。
図6(d)により、循環湯水の温度が60℃以上であれば、室外空気OAが2.5kg/h以上除湿できており、適切な除湿が可能であることがわかる。しかしながら、当該循環湯水の温度が低下すると、再生空気の温度が低下し、デシカントロータ112での除湿量が低下するため、第1加湿機111での噴霧量を減らさざるを得ず、図6(a)に示すように、冷房能力が低下すると共に、図6(c)に示すように、空調用空気SAの温度が上がってしまう。
【0049】
一方、図7に、ガス焚きバーナ120を作動させた場合の評価結果を示す。循環湯水の温度を75℃に固定した場合において、(a)がデシカントロータ112の通気性吸湿体112cを再生する再生空気の温度を変化させた場合の冷房能力(W)、(b)がガス焚きバーナ120の熱負荷(W)、(c)空調用空気SAの温度(℃)を示している。
図7(a)より、再生空気の温度を85℃以上とすることで、顕熱だけの冷房能力として1000Wが得られており、図7(c)より、18.6℃の空調用空気SAを得ることができる。図7(b)より、この場合のガス焚きバーナ120の熱負荷は、630Wである。
このように、ガス焚きバーナ120を適切に働かせることにより、デシカント空調装置100にて、適切に冷房能力を発揮することができる。
【0050】
〔加湿暖房運転〕
加湿暖房運転にあっては、図8に示すように、室外空気OA(第2気体の一例)を第2空調流路R2に通流させると共に、室内空気RAを第1空調流路R1に通流させるように、第1四方弁110及び第2四方弁117を切り替え制御される。尚、ここで、第2空調流路R2におけるガス焚きバーナ120は作動させていない。
このときに、第3空調流路R3の流量調整弁122は全閉に設定されており、第2空調流路R2から第1空調流路R1へ気体が導かれないようになっている。
また、第4空調流路R4には、室外空気OAが通流しない。
そして、第2空調流路R2にて空調された室外空気OAは、第2四方弁117を介して、第1加湿機111に導かれ、第1加湿機111にて加湿された後、空調用空気SAとして空調対象空間Sに導かれる。
一方、第1空調流路R1通流した室内空気RAは、第1四方弁110を介して排気VAとして室外空間へ放出される。
【0051】
以上の如く、室外空気OA及び室内空気RAを通流させることで、加湿・加熱された空調用空気SAを空調対象空間Sに導いて、空調対象空間Sを適切に加湿暖房できる。
また、加湿暖房運転を24時間実行することにより、除湿冷房運転を同様に、24時間換気が実行される。
【0052】
〔加湿暖房運転の空調性能〕
次に、図8の回路状態における図8の加湿暖房運転の空調性能を、図9の空気線図、図10の気体の性質の一覧表に基づいて説明する。
図8で、室外空気OAが第2空調流路R2を介して空調用空気SAへと空調される流れで、P11〜P17で示す位置における温度・絶対湿度・相対湿度等を、図9、10の夫々に示している。
図8で、室内空気RAが第1空調流路R1を介して排気VAとして排出される流れで、P1〜P6で示す位置における温度・絶対湿度・相対湿度等を、図9、10に示している。
【0053】
図9、10において、P14、15の温度は同じであることからわかるように、加湿暖房運転においては、ガス焚きバーナ120を作動させていない。この場合であっても、空調用空気SAの温度を55、6℃まで昇温できると共に、その絶対湿度を9.52g/kg乾燥空気まで加湿できる。
尚、室外空気OAの温度が低い場合には、当然にガス焚きバーナ120を作動させて、空調用空気SAの温度を上昇させることができる。
【0054】
〔加湿暖房運転の循環温水温度に基づく評価〕
以下、循環温水温度を変化させた場合の加湿暖房運転の性能評価を、図11に基づいて行う。
尚、当該性能評価の条件は、室外空気OAの温度7℃、相対湿度65%、室内空気RAの温度が20℃、相対湿度35%、換気風量170m3/hである。このときの第1ファン118、第2ファン116の合計消費電力は、120Wである。
【0055】
図11において、(a)が湯水循環路204を循環する湯水の温度を変化させた場合の温水熱負荷(W)、(b)が室内空気RAからの回収湿分(g/h)、(c)が空調用空気SAの温度(℃)、(d)が水噴霧による加湿分(g/h)を示している。
図11(a)に示すように、温水熱負荷を1500Wとした場合、循環温水の温度を55℃にでき、図11(c)に示すように、循環温水温度55℃のときには、空調用空気SAの温度を、35℃程度に維持できる。そして、循環温水温度55℃にした場合には、図11(b)に示すように、デシカントロータ112における室内空気RAからの回収湿分としての640g/hと、図11(d)に示すように、水噴霧による加湿分400g/hとを合わせて、1000g/h以上の加湿を行うことができる。
【0056】
しかしながら、循環温水の温度が低下した場合、デシカントロータ112における室内空気RAからの回収湿分が低下するので、それを補うべく、水噴霧を行った場合、空調用空気SAの温度が低下するという問題が生じる。
この場合であっても、本発明によれば、ガス焚きバーナ120を作動させることにより、空調用空気SAの温度の低下を防ぐことができる。
【0057】
〔除湿運転〕
除湿運転にあっては、図12に示すように、室外空気OA(第1気体の一例)を第1空調流路R1に通流させると共に、室内空気RAを第2空調流路R2に通流させるように、第1四方弁110及び第2四方弁117を切り替え制御される。
このときに、第3空調流路R3の流量調整弁122は全閉に設定されており、第2空調流路R2を通流する室内空気RAは、第1空調流路R1に導かれない。これにより、除湿運転において、第1空調流路R1にて空調される気体、即ち、空調用空気SAとして空調対象空間Sに供給される気体の流量は、除湿冷房運転の場合のそれと比べて、小さいもの(略半分程度)となる。
また、第4空調流路R4では、第3ファン123を作動させず、室外空気OAを通流させない。
室外空気OAが通流しており、第2冷却用熱交換器121にて、室外空気OAが適切に冷却される。
そして、第1空調流路R1にて除湿・冷却された室外空気OAは、第2四方弁117を介して、第1加湿機111に導かれ、第1加湿機111にて加湿され、その湿分が蒸発するときの蒸発潜熱が奪われる形態で冷却された後、空調用空気SAとして空調対象空間Sに導かれる。
一方、第2空調流路R2を通流した室内空気RAは、第1四方弁110を介して排気VAとして室外空間へ放出される。
【0058】
以上の如く、室外空気OA及び室内空気RAを通流させることで、除湿された空調用空気SAを空調対象空間Sに導いて、空調対象空間Sを適切に除湿できる。
また、除湿運転を実行すれば、除湿冷房運転の場合と同様に、室内空気RAと室外空気OAとが入れ替わり換気が実行されるので、この除湿運転を24時間実行することにより、24時間換気を実現できる。
【0059】
〔除湿運転の空調性能〕
次に、図12の回路状態における除湿運転の空調性能を、図13の空気線図、図14の気体の性質の一覧表に基づいて説明する。
図12で、室外空気OAが第1空調流路R1を介して空調用空気SAへと空調される流れにおいて、P1〜P6で示す位置における温度・絶対湿度等を、図13、14に示している。
図12で、室内空気RAが第2空調流路R2を介して排気VAとして排出される流れにおいて、P11〜P17で示す位置における温度・絶対湿度等について、図13、14に示している。
【0060】
図13、14において、空調用空気SAの温度(P6)は、室内空気RAの温度(P11)と略同程度の温度に調整でき、且つ、空調用空気SAの湿度(P6)は、室内空気RAの湿度(P11)よりも低下できていることがわかり、適切に除湿運転が実行できていることがわかる。
【0061】
〔除湿運転の循環温水温度及び再生空気温度に基づく評価〕
以下、室外空気OAの相対湿度及び再生空気温度を変化させた場合の除湿運転の評価を、図15、16に基づいて行う。
尚、当該性能評価の条件は、循環温水の温度が75℃、室内空気RAの温度が27℃、相対湿度が55%、室外空気OAの温度が25℃である。第1ファン118、第2ファン116、第3ファン123の合計電力は、120Wである。
【0062】
図15は、ガス焚きバーナ120を作動させなかった場合のグラフである。図15(a)に示すように、室外空気OAの相対湿度が85%以上になると、その絶対湿度は、16g/kgDA以上となる。そして、そのときの冷房能力は、図15(d)に示すように、20W以下となり、図15(c)に示すように、空調用空気SAの温度も、27℃以上と高くなってしまう。
【0063】
一方、ガス焚きバーナ120を作動させた場合で、デシカントロータ112の再生空気の温度を変化させたときの、室内空気RAの除湿量の変化を図16に示す。
図16から、ガス焚きバーナ120を作動させて、デシカントロータ112の再生空気の温度を上昇させることで、室内空気RAの除湿能力を高められていることがわかる。このように、除湿運転においても、ガス焚きバーナ120を作動させることにより、再生空気の温度を室外空気OAの相対湿度に応じて高めて、室内空気RAの湿度を快適な値に調整することができる。
【0064】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態においては、熱電併給装置にて発生される熱として、ガスエンジン202の排ガスの熱を例として説明したが、当該熱電併給装置にて発生される熱は、例えば、ガスエンジン202を冷却するエンジン冷却水の保有する熱であっても良い。
【0065】
(2)上記実施形態においては、100戸程度の集合住宅に本発明を適用する場合について例示したが、例えば、200戸程度の集合住宅に本発明を適用することもできる。この場合、発電出力35kW(発電効率34%LHV基準)、温水出力51.5kWのガスエンジン202を4台備えることが好ましい。
また、400戸程度の集合住宅に本発明を適用する場合には、発電出力400kW(発電効率40%LHV基準)、温水出力400kWのガスエンジン202を1台備えることが好ましい。
【0066】
(3)上記実施形態では、熱電併給装置の一例として、ガスエンジンを例として挙げたが、当該熱電併給装置は、熱と電力を発生できるものであれば、どのようなものでも適用することができ、例えば、燃料電池等も適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のコジェネレーションシステムは、集合住宅において、夏季の熱需要が少ない場合で、その熱を有効に利用してその稼働率を向上できると共に、集合住宅における湯水循環路の下流側の住戸に対しても、十分に熱の供給が可能なコジェネレーションシステムとして、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
111 :第1加湿機
112 :デシカントロータ
112a :吸湿部
112b :再生部
112c :通気性吸湿体
114 :第1冷却用熱交換器
115 :加熱用熱交換器
120 :ガス焚きバーナ(燃焼装置の一例)
121 :第2冷却用熱交換器
122 :流量調整弁
124 :第2加湿機
100 :デシカント空調装置
200 :コジェネレーションシステム
201 :住戸
203 :第1貯湯槽
204 :湯水循環路
205 :補助ボイラ
OA :室外空気
RA :室内空気
SA :空調用空気
S :空調対象空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の住戸からなる集合住宅又は地域に供給される電力及び熱を発生可能な熱電併給装置が設けられ、当該熱電併給装置にて発生される熱を湯水との熱交換にて回収する排熱回収熱交換器と、湯水を貯湯可能な貯湯槽と、前記排熱回収熱交換器と前記貯湯槽との間で湯水を循環可能な湯水循環路とを備え、前記湯水循環路が前記貯湯槽からの湯水を前記複数の住戸に循環供給可能に構成されたコジェネレーションシステムであって、
前記複数の住戸の夫々に、気体を回転駆動する通気性吸湿体からなるデシカントロータの吸湿部又は再生部を通流させ温度調節及び湿度調節して空調用空気として空調対象空間へ供給するデシカント空調装置を備え、
前記デシカントロータの前記再生部を通流して前記通気性吸湿体の再生に用いる気体を、前記湯水循環路にて循環供給される湯水と熱交換する加熱用熱交換器を備えると共に、
前記デシカントロータの前記通気性吸湿体の再生に用いる気体を加熱自在な加熱手段を備えるコジェネレーションシステム。
【請求項2】
前記加熱手段は、供給される燃料ガスを燃焼用空気と共に燃焼可能な燃焼装置であり、
前記燃焼装置に供給される燃料ガスを、前記複数の住戸のガスメータを介さない状態で、前記燃焼装置へ直接供給する直通ガス管が設けられている請求項1に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項3】
前記デシカント空調装置が、前記デシカントロータの前記吸湿部を通流した気体を冷却用媒体との熱交換により冷却する第1冷却用熱交換器と、気体を加湿する第1加湿機とを備え、
気体を前記デシカントロータの前記吸湿部と前記第1冷却用熱交換器とを記載順に通流させる第1空調流路と、気体を前記冷却用媒体として前記第1冷却用熱交換器へ導き、前記加熱用熱交換器及び前記加熱手段へ導いた後、前記デシカントロータの前記再生部を通流させる第2空調流路とを形成可能に構成され、
第1気体を前記第1空調流路にて空調した後に前記第1加湿機にて加湿して空調用空気として空調対象空間へ導くと共に、再生用空気を前記第2空調流路へ導く第1運転状態と、
第2気体を前記第2空調流路にて空調した後に前記第1加湿機にて加湿して空調用空気として空調対象空間へ導くと共に、吸湿用空気を前記デシカントロータの前記吸湿部へ導く第2運転状態とを、択一的に切り替える切替手段を備える請求項1又は2に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項4】
前記切替手段が、運転状態を前記第1運転状態に切り替えているときで、前記第1気体として室外空気を用いている場合に、
前記再生用空気として前記第2空調流路に導かれる室内空気の一部を、前記第1空調流路に導く第3空調流路が設けられている請求項3に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項5】
前記第3空調流路には、前記室内空気の通流量を制御する流量制御弁が設けられている請求項4に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項6】
室外空気を加湿する第2加湿機を備え、
前記第2加湿機にて加湿された室外空気と、前記第1空調流路の前記第1冷却用熱交換器を通流した後の空調用空気とを熱交換可能な第2冷却用熱交換器が設けられている請求項3乃至5の何れか一項に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項1】
複数の住戸からなる集合住宅又は地域に供給される電力及び熱を発生可能な熱電併給装置が設けられ、当該熱電併給装置にて発生される熱を湯水との熱交換にて回収する排熱回収熱交換器と、湯水を貯湯可能な貯湯槽と、前記排熱回収熱交換器と前記貯湯槽との間で湯水を循環可能な湯水循環路とを備え、前記湯水循環路が前記貯湯槽からの湯水を前記複数の住戸に循環供給可能に構成されたコジェネレーションシステムであって、
前記複数の住戸の夫々に、気体を回転駆動する通気性吸湿体からなるデシカントロータの吸湿部又は再生部を通流させ温度調節及び湿度調節して空調用空気として空調対象空間へ供給するデシカント空調装置を備え、
前記デシカントロータの前記再生部を通流して前記通気性吸湿体の再生に用いる気体を、前記湯水循環路にて循環供給される湯水と熱交換する加熱用熱交換器を備えると共に、
前記デシカントロータの前記通気性吸湿体の再生に用いる気体を加熱自在な加熱手段を備えるコジェネレーションシステム。
【請求項2】
前記加熱手段は、供給される燃料ガスを燃焼用空気と共に燃焼可能な燃焼装置であり、
前記燃焼装置に供給される燃料ガスを、前記複数の住戸のガスメータを介さない状態で、前記燃焼装置へ直接供給する直通ガス管が設けられている請求項1に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項3】
前記デシカント空調装置が、前記デシカントロータの前記吸湿部を通流した気体を冷却用媒体との熱交換により冷却する第1冷却用熱交換器と、気体を加湿する第1加湿機とを備え、
気体を前記デシカントロータの前記吸湿部と前記第1冷却用熱交換器とを記載順に通流させる第1空調流路と、気体を前記冷却用媒体として前記第1冷却用熱交換器へ導き、前記加熱用熱交換器及び前記加熱手段へ導いた後、前記デシカントロータの前記再生部を通流させる第2空調流路とを形成可能に構成され、
第1気体を前記第1空調流路にて空調した後に前記第1加湿機にて加湿して空調用空気として空調対象空間へ導くと共に、再生用空気を前記第2空調流路へ導く第1運転状態と、
第2気体を前記第2空調流路にて空調した後に前記第1加湿機にて加湿して空調用空気として空調対象空間へ導くと共に、吸湿用空気を前記デシカントロータの前記吸湿部へ導く第2運転状態とを、択一的に切り替える切替手段を備える請求項1又は2に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項4】
前記切替手段が、運転状態を前記第1運転状態に切り替えているときで、前記第1気体として室外空気を用いている場合に、
前記再生用空気として前記第2空調流路に導かれる室内空気の一部を、前記第1空調流路に導く第3空調流路が設けられている請求項3に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項5】
前記第3空調流路には、前記室内空気の通流量を制御する流量制御弁が設けられている請求項4に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項6】
室外空気を加湿する第2加湿機を備え、
前記第2加湿機にて加湿された室外空気と、前記第1空調流路の前記第1冷却用熱交換器を通流した後の空調用空気とを熱交換可能な第2冷却用熱交換器が設けられている請求項3乃至5の何れか一項に記載のコジェネレーションシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−96604(P2013−96604A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237882(P2011−237882)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】
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