説明

コリオリ質量流量計

【課題】フローチューブを応力分散、耐震性に優れた弓形平行管とし、特に外乱振動、設置条件、配管ストレス、及び熱影響の少ない並列2本の弓形管式のコリオリ質量流量計を提供する。
【解決手段】本発明のコリオリ質量流量計の2本のフローチューブ1,2はそれぞれ、弓形形状に一方向のみに湾曲して形成される。入口側及び出口側マニフォールド25は、それぞれ入口側マニフォールドの流入方向及び出口側マニフォールドの流出方向から2本のフローチューブとの各結合端まで滑らかに湾曲させ、そして、該結合端においては、所定立ち上がり角度にしてフローチューブ1,2と同一方向にして結合される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コリオリ質量流量計に関し、特に、並列2本の弓形フローチューブを用いるタイプのコリオリ質量流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】被測定流体の流通する流管の両端を支持し、該支持点回りに流管を該流管の流れ方向と垂直な方向に振動したとき、流管(以下振動が加えられるべき流管を、フローチューブという)に作用するコリオリの力が質量流量に比例することを利用した質量流量計(コリオリ質量流量計)は周知である。このコリオリ質量流量計におけるフローチューブとしての形状は、湾曲管と直管とに大別される。
【0003】図5は、このような従来の並列2本湾曲管型のコリオリ質量流量計の概略構成図である。図示のように、フローチューブ1、2は、2本の並列湾曲管(U字管)によって構成されると共に、中央部でコイルとマグネットから構成されている駆動装置15によって、この2本のフローチューブ1、2を互いに反対位相で共振駆動している。また、コイルとマグネットから構成されている一対の振動検出センサ16、17が、駆動装置15の取付位置に対して左右両側の対称位置に設置され、コリオリの力に比例した位相差を検知している。
【0004】測定流体は、入口側のフランジ18を介して接続される外部流管より管状構成の本体37に流入し、ここで端部プレート38により方向を90°転向して、2本のフローチューブ1、2に等しく分岐される。そしてフローチューブ1、2の出口側で合流すると共に、端部プレート36により方向を90°転向して、出口側のフランジ19を介して接続される外部流管に流出する。このようにして、2本のフローチューブ1、2に等しく測定流体を流すことにより、流体の種類が変わっても、温度の変動があっても、常に2本のフローチューブ1、2の固有振動数を等しくすることができ、これによって、効率よく安定に駆動することができると共に、外部振動や温度影響の無いコリオリ質量流量計を構成できることが知られている。
【0005】しかし、このような湾曲管型のコリオリ質量流量計は、本体37から横方向に伸びるフローチューブ脚部の振動を利用しかつ測定するものであるから、この横方向脚部に必要な長さを確保する必要がある。即ち、形状的にサイズが大きくなるという問題がある。
【0006】これに対して、直管式のコリオリ質量流量計は、外部流管ライン方向に直管構成のフローチューブを配置し、両端を支持された直管の中央部で直管軸に垂直な方向に振動したとき、直管の支持部と中央部との間でコリオリの力による直管の変位差、即ち位相差信号として質量流量を検知するものであるから、このような直管式のコリオリ質量流量計は、シンプル、コンパクトで堅牢な構成にすることが可能になる。
【0007】しかし、直管式のコリオリ質量流量計のフローチューブは、その両側で固定支持される必要があるために温度影響を受ける。即ち、測定流体の温度が変わると、フローチューブは直ちに追随して温度が変わるのに対して、フローチューブを固定する外筐のような固定構造体の温度変動には遅れが生じる。このため、フローチューブと固定構造体とは伸びに差を生じて、長手方向に応力が発生し、これによるバネ定数の変化によりチューブの固有振動数が変化する。それ故、直管式のコリオリ質量流量計は、その対策のため、ダイヤフラム、ベローズ等の別途の応力吸収手段が必要になる。
【0008】このような温度変動による長手方向の伸びに対する問題は、フローチューブを弓形に構成することにより解決できる。図6は、従来の弓形構成のフローチューブを有するコリオリ質量流量計の動作を説明するための概念図である。
【0009】弓形構成のフローチューブは、応力を分散させることができ、耐震性に優れている。しかし、従来構成の弓形チューブは、マニフォールドとフローチューブの接続が管軸方向であった。そのため、図6の上側の図に、中央のRと、その両側の2つのrで示すように、フローチューブの曲げの工数が3回以上必要となり、特に、対称性が求められる二本管チューブにおいては不利であった。また、図6の下側の図は、上下振動中のフローチューブの2つの状態を示しているが、そこに示されているように、基板で固定された振動の節自体が、振動の際に上下動してしまうことがあり、精度のよい計測を行うことができなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、かかる問題点を解決して、フローチューブを応力分散、耐震性に優れた弓形平行管とし、特に外乱振動、設置条件、配管ストレス、及び熱影響の少ない並列2本の弓形管式のコリオリ質量流量計を提供することを目的としている。
【0011】また、本発明は、漏洩する振動方向に対して剛性を高くして、これにより振動の基部の質量を増加させることなく振動漏洩を少なくすることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のコリオリ質量流量計は、並列2本のフローチューブ1,2と、測定流体流入口より2本のフローチューブ1,2に分岐する入口側マニフォールドと、2本のフローチューブ1,2に流れる測定流体を合流して測定流体流出口より流出させる出口側マニフォールド25と、一方のフローチューブを他方のフローチューブに対して互いに反対位相で共振駆動させる駆動装置15と、該駆動装置15の取付位置に対して左右両側の対称位置に設置されてコリオリの力に比例した位相差を検出する一対の振動検出センサ16,17とを備えている。そして、2本のフローチューブ1,2はそれぞれ、弓形形状、即ち円弧状に、一方向のみに湾曲して形成される。入口側及び出口側マニフォールド25は、それぞれ入口側マニフォールドの流入方向及び出口側マニフォールドの流出方向から2本のフローチューブとの各結合端まで滑らかに湾曲させ、そして、該結合端においては、所定立ち上がり角度にしてフローチューブ1,2と同一方向にして結合される。これによって、フローチューブを応力分散、耐震性に優れた弓形平行管とし、特に外乱振動、設置条件、配管ストレス、及び熱影響の少ない構成にすることができる。
【0013】また、本発明のコリオリ質量流量計は、軸方向に略円筒形状の円筒部の開口部を両端面板により滑らかに閉じた密閉耐圧ケース31を備え、その円筒部の角部においてそれを貫通させて前記入口側及び出口側マニフォールド25が取り付けられる。これによって、漏洩する振動方向に対して剛性を高くして、振動の基部の質量を増加させることなく振動漏洩を少なくすることができる。
【0014】また、本発明のコリオリ質量流量計は、入口側及び出口側マニフォールドにそれぞれ一体に形成した円盤形状の鍔部を備えて該一対の鍔部に耐圧ケースの両端を固着し、かつ、該耐圧ケースの断面形状をフローチューブの湾曲方向に長軸を有する長円形状にすると共に、該長軸の長さを軸方向中央から両端にかけて滑らかに小さくして両端近くでは所定長さにわたって略円形状に構成している。
【0015】また、本発明のコリオリ質量流量計は、温度センサを耐圧ケースと、フローチューブのマニフォールド結合端近くに設けて、フローチューブ両側の固定端間の距離の温度影響及びフローチューブの剛性の温度影響を補償する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の並列2本の弓形フローチューブを用いる弓形管式のコリオリ質量流量計の第一の例を説明する。例示のコリオリ質量流量計は、使用に際して、水平方向に取り付けること或いは垂直方向に取り付けることのいずれも可能であり、さらに水平方向に取り付ける際にも、図示したようにフローチューブ中央の湾曲凸部を上にして取り付けること、或いは逆に下にして取り付けることのいずれも可能である。ただ、ガス計測の場合には、液体がフローチューブ中央の湾曲凸部に滞留しないように、湾曲凸部を、図示したように上にすることが望ましく、また、逆に液体計測の場合には、気泡が滞留しないように、湾曲凸部を下にして取り付けることが望ましい。
【0017】図1〜図3は、それぞれ各方向から見た図であり、図1は、入口配管及び出口配管を水平にして取り付けたと仮定して、その正面から見た部分的断面図(左側)と、マニフォールド部で切断した側面図(右側)である。図2は、それを下側から(図1の下側から)示す下面図(左側)と、中央で切断した側面図(右側)である。図3は、部分的に断面で示す上面図である。図4は、マニフォールド部を拡大して示す詳細図である。
【0018】例示したコリオリ質量流量計のフローチューブ1、2は、弓形に湾曲した同一形状の流管であり、各々の両端部は、入口側及び出口側マニフォールド25に溶接などにより結合されている。なお、測定流体は、図1の左側より流入し、右側に流出すると仮定している。測定流体は、フランジ18を介して接続されている外部流管より流入し、入口側マニフォールドで2本のフローチューブ1、2に等しく分岐される。そしてフローチューブ1、2の出口側では、出口側マニフォールド25で合流して、フランジ19を介して接続されている外部流管に流出する。
【0019】流入側と流出側は対称に構成されているので、図示した流出側について説明すると、マニフォールド25は、その流出口(フランジ19との接続部)から円弧を描いて滑らかに上方の所定角度方向に転向して(図1或いは図4参照)、フローチューブ1、2との接続口に至る。このように、マニフォールドのチューブ接続口をチューブ立ち上がり角度とすることで、フローチューブ自体は単純な一方向の湾曲をさせるのみで、接続されたフローチューブとマニフォールドは、全体として滑らかな弓形形状を構成する。また、マニフォールドは、1つの流出口から、2本のフローチューブ1、2に分岐するよう2つの流路を形成するが(図3参照)、流路の合計断面積は、連続的に減少させてチューブ断面積に連なるようにすることができる。これによって、圧力損失を大幅に減少させることができる。
【0020】このように、振動測定のために重要な機能を果たすフローチューブ1、2自体は、一方向の単純な湾曲をさせた構成を有するのみであって、流路を2本のフローチューブから外部配管方向に向ける複雑な流路変更は、マニフォールドで対応している。フローチューブ1、2は、マニフォールドと溶接などにより固着することができ、可撓部は必要なく、熱ストレスはフローチューブを弓形形状にしたことにより吸収し、また配管ストレスにも強い構造となる。
【0021】また、フローチューブ1、2の両端近傍には、駆動したとき振動の節部を形成させるための基板28が設けられ、かつこれは、フローチューブ1、2が並列に維持されるように相互固着している。この基板28は、これを備えるときには、基板28による固着点が振動の第1の支点になると共に、フローチューブ1、2と入口側及び出口側マニフォールド25の上端との結合端が第2の支点となって振動する。
【0022】駆動装置15は、弓形フローチューブの中央部において、駆動装置コイルが一方のフローチューブ1に、駆動装置マグネットが他方のフローチューブ2にそれぞれ取付具を介して取り付けられている。駆動装置コイルへの配線は、フレキシブルプリント板12を介して、かつ横板33に取り付けられた台座35を介して、配線取出部34を介して、このコリオリ質量流量計外部に接続される。配線取出部34は、耐圧ケース31に支持されると共に、それを貫通している。一対の振動検出センサ16、17は、駆動装置15の両側において、一方のフローチューブ1に検出センサマグネットが、他方のフローチューブ2に検出センサコイルがそれぞれ取付具を介して取り付けられている。
【0023】流量計全体を両側マニフォールド部で保持している耐圧ケース31は、図1に示されるように、或いは、それと直角方向に見た図2或いは図3に示されるように、軸方向には略円筒形状の円筒部と、該円筒部の開口部を滑らかに円弧状にして閉じた鏡板32とから密閉状態に構成される。その耐圧ケース31の円筒部の角部、即ち鏡板32の周辺部において、入口側及び出口側マニフォールド25が取り付けられる。このように、軸方向に円筒形状にすることにより、耐圧に優れた構成にすることが可能となる。また、前述したように、耐圧ケース31の中央部に横板33を設置したことにより、ケースが高さ方向に伸びて幅方向に縮み、そして逆に高さ方向に縮んで幅方向に伸びるようなフープモードで振動するのを軽減することができる。
【0024】図4は、このような耐圧ケース31の作用を説明するためにマニフォールド部を拡大して示す図である。弓形フローチューブが駆動されるとき、振動は、図中矢印で示すようにチューブ軸方向に漏洩する。それ故、この漏洩方向に対して剛性を高くする必要がある。そのため、振動するフローチューブを取り付ける基部は、円筒形状の耐圧ケースの中で最も剛性の高い角部に設けたものである。これによって、耐圧ケースの肉厚を格別増加させることなく、入口側及び出口側の基部同士をつなぐフレームとして、ケースそのものを利用する、いわゆるモノコック構造が可能となる。ケースがフレームを兼ねているモノコック構造は、振動要素が少なく、構造的に共振が生じにくい。
【0025】動作において、駆動装置15は、並列2本のフローチューブ1、2の中央部で、2本のフローチューブ1、2を互いに反対位相で共振駆動する。一対の振動検出センサ16、17は、駆動装置15の取付位置に対して左右両側の対称位置に設置されて、コリオリの力に比例した位相差を検知する。なお、図示した駆動装置15及び一対の振動検出センサ16、17は、いずれも、フローチューブ1とフローチューブ2の間のチューブ軸間に配置されている。言い換えると、図1に示すように、2本のフローチューブを重なる方向に見たときに、駆動装置15及び一対の振動検出センサ16、17のそれぞれを、両フローチューブの間で、しかも両フローチューブのそれぞれの中心軸を結ぶ線上を中心として配置したものである。これによって、両フローチューブの中心軸を結ぶ線上で駆動力を作用させ、かつこの駆動力に基づくコリオリ力を検出することができるから、振動慣性力による慣性モーメントが生じることはない。
【0026】図7は、本発明の並列2本の弓形フローチューブを用いる弓形管式のコリオリ質量流量計の第二の例を示している。図7は、計測流量が異なり、それ故、配管及びフローチューブのサイズが異なるのみの2種のコリオリ質量流量計(A)(B)を、それぞれ一部断面で示している。図7の上側に示したコリオリ質量流量計(A)が、下側の流量計(B)よりも計測流量は大きく設計されている。また、下側の流量計(B)については、図の右横に、軸方向の中央近くで切断した断面図を示している。上側の流量計(A)については、サイズが若干大きくなるものの略同一断面図となるので、その図示は省略する。
【0027】図示したコリオリ質量流量計のフローチューブ及び、該フローチューブが結合される入口側及び出口側マニフォールドの形状は、基本的には、図1〜図4を参照して説明した第一の例と同じである。即ち、振動測定のために重要な機能を果たすフローチューブ1、2自体は、一方向の単純な湾曲をさせた構成を有するのみであって、流路を2本のフローチューブから外部配管方向に向ける複雑な流路変更は、マニフォールドで対応している。フローチューブ1、2は、マニフォールドと溶接などにより固着することができ、可撓部は必要なく、熱ストレスはフローチューブを弓形形状にしたことにより吸収し、また配管ストレスにも強い構造となる。また、フローチューブ1、2の両端近傍には、駆動したとき振動の節部を形成させるための基板28が設けられる点でも、第一の例と同じである。
【0028】駆動装置15及び一対の振動検出センサ16、17の取付け及び配置についても、基本的には前述の第一の例と同じである。駆動装置コイル及び一対の振動検出センサ16,17への配線は、フレキシブルプリント板12を介して、かつ配線取出部34を介して、このコリオリ質量流量計外部に接続される。
【0029】温度センサが図示したように、2カ所に設けられている。フローチューブ両側の固定端間の距離の変動は、振動周波数に影響を与えるので、補正する必要がある。図示の装置は、この補正を、耐圧ケースの代表温度を計測することにより、耐圧ケースの伸びを推測することにより行うものである。さらに、フローチューブのマニフォールド結合端近くで温度測定するためのセンサが備えられる。これは、フローチューブの温度が変動することにより剛性が変動するのを補正するためのものである。
【0030】図7に示した流量計は、製造の容易さを考慮した構成となっている。図示した2つの流量計(A)(B)のフローチューブは、管径の異なるものを想定しているが、このように、フローチューブの管径が異なるにもかかわらず、同一サイズのマニフォールドを用いることが可能なように構成されている。
【0031】円盤形状鍔部が、左右両側のマニフォールドに一体に形成され、この円盤形状鍔部に耐圧ケースが、溶接などにより結合されて、流量計内部を外部から密封している。この耐圧ケースは、組立て容易なように上下2分割にされた耐圧ケース30と耐圧ケース31を溶接などにより固着することにより一体に構成される。結合されて一体になったとき、図7に示されるように、フローチューブの湾曲方向に長軸を有する断面長円形になる。その断面長円形状は、軸方向の中央部で、最も縦に長い長円であり、そこから左右両側に対称に滑らかに長円の縦の長さが短くなっている。そして、フランジの鍔部と結合される両端においては、管軸方向の所定長さに渡って断面が略円形となっている。
【0032】このように、軸方向には滑らかな、断面が長円或いは略円形に構成したことにより、耐圧に優れた構成にすることが可能となるだけでなく、耐圧ケース自体の製造及びそのコリオリ質量流量計への組み立てが容易となる。これについて、さらに説明する。
【0033】図7に示すように、流量計のサイズが大きくなるとき、軸方向の長さもまた、当然に長くなる。図7R>7の上下2つの流量計(A)(B)を、上下に結ぶ2本の点線はこれを示している。このようにサイズの異なる2つの流量計ではあるが、この2本の点線で示す範囲内では、耐圧ケース30及び耐圧ケース31の形状を同じにすることができる。言い換えると、同じプレス型を使って同じ形状の耐圧ケースをプレス加工した後、切り落とす両端の長さを変えるのみで、種々のサイズの流量計に用いることが可能となる。さらに、耐圧ケースの両端では、略一定半径の円形となるために、フランジの鍔部と耐圧ケースとの溶接が、フランジが邪魔になることなく容易に行うことが可能となる。
【0034】
【発明の効果】本発明は、フローチューブが一方向のみに湾曲させて形成した弓形形状なので、配管ストレス、熱応力等を良好に分散させることができる。フローチューブが変形した場合においても、弓形形状は連続的な曲がりを持つので特異点を持たず、チューブの変形による影響が少ない。また、弓形形状は曲率半径が大きいので、管断面の扁平率が小さく、圧力影響が非常に少ない。チューブ素材の変質、肉厚の減少が少ない。
【0035】また、本発明は、チューブ及びマニフォールドに急激な曲がりがないので、閉塞し難く洗浄性が良いと共に、圧力損失が少ない。マニフォールド部分で分岐、及び弓形フローチューブへの立ち上げを同時に行っているので、流路の短縮をはかることができ、かつ曲がりによる流れの剥離が旋回流による遠心力で防止できる。
【0036】また、本発明は、振動が流量計外部に漏洩しても、漏洩振動方向が管軸方向及び管軸に垂直方向に分散するので、配管影響が少ないという効果がある。
【0037】さらに、本発明は、耐圧ケースを軸方向に単純な円筒形状とすることで、必要最小限の等肉厚とし、これによって、熱容量が少なく熱応答性を良くすることができるという効果がある。
【0038】さらに、本発明は、マニフォールドに一体に形成した円盤形状の鍔部を備えてこの鍔部に耐圧ケースの両端を固着すると共に、該耐圧ケースの断面形状を、長軸の長さが滑らかに変化した長円形状としたことにより、製造容易な構成になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の並列2本の弓形フローチューブを用いる弓形管式のコリオリ質量流量計の第一の例を、その正面から見た部分的断面図と、マニフォールド部で切断した側面図である。
【図2】図1に示したコリオリ質量流量計を下側から示す下面図と、中央で切断した側面図である。
【図3】図1に示したコリオリ質量流量計を部分的に断面で示す上面図である。
【図4】耐圧ケースの作用を説明するために図1に例示したマニフォールド部を拡大して示す図である。
【図5】従来の並列2本湾曲管型のコリオリ質量流量計の概略構成図である。
【図6】従来の弓形構成のフローチューブを有するコリオリ質量流量計の動作を説明するための概念図である。
【図7】本発明の並列2本の弓形フローチューブを用いる弓形管式のコリオリ質量流量計の第二の例を示す図である。
【符号の説明】
1 フローチューブ
2 フローチューブ
12 フレキシブルプリント板
15 駆動装置
16 振動検出センサ
17 振動検出センサ
19 フランジ
25 マニフォールド
28 基板
30 耐圧ケース
31 耐圧ケース
32 鏡板
33 横板
34 配線取出部
35 台座

【特許請求の範囲】
【請求項1】並列2本のフローチューブと、測定流体流入口より2本のフローチューブに分岐する入口側マニフォールドと、前記2本のフローチューブに流れる測定流体を合流して測定流体流出口より流出させる出口側マニフォールドと、一方のフローチューブを他方のフローチューブに対して互いに反対位相で共振駆動させる駆動装置と、該駆動装置の取付位置に対して左右両側の対称位置に設置されてコリオリの力に比例した位相差を検出する一対の振動検出センサとを備えるコリオリ質量流量計において、前記2本のフローチューブはそれぞれ、弓形形状に一方向のみに湾曲して形成され、前記入口側及び出口側マニフォールドは、それぞれ入口側マニフォールドの流入方向及び出口側マニフォールドの流出方向から2本のフローチューブとの各結合端まで滑らかに湾曲させ、そして、該結合端においては、所定立ち上がり角度にしてフローチューブと同一方向にして結合した、ことを特徴とするコリオリ質量流量計。
【請求項2】軸方向に略円筒形状の円筒部の開口部を両端面板により滑らかに閉じた密閉耐圧ケースを備え、その円筒部の角部においてそれを貫通させて前記入口側及び出口側マニフォールドを取り付けた請求項1に記載のコリオリ質量流量計。
【請求項3】前記入口側及び出口側マニフォールドは、それぞれ一体に形成した円盤形状の鍔部を備えて該一対の鍔部に耐圧ケースの両端を固着し、かつ、該耐圧ケースの断面形状をフローチューブの湾曲方向に長軸を有する長円形状にすると共に、該長軸の長さを軸方向中央から両端にかけて滑らかに小さくして両端近くでは所定長さにわたって略円形状にした請求項1に記載のコリオリ質量流量計。
【請求項4】フローチューブ両側の固定端間の距離の温度影響を補償するための温度センサを耐圧ケースに、そして、フローチューブの剛性の温度影響を補償するための温度センサをフローチューブのマニフォールド結合端近くに設けた請求項3に記載のコリオリ質量流量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2001−174307(P2001−174307A)
【公開日】平成13年6月29日(2001.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−135335(P2000−135335)
【出願日】平成12年5月9日(2000.5.9)
【出願人】(000103574)株式会社オーバル (82)
【Fターム(参考)】