説明

コンソールボックス

【課題】ロックレバー周辺の見栄えを向上させると共に、操作力による負荷を分散できるコンソールボックスを提供する。
【解決手段】蓋部30をアウタ部材31とインナ部材32から構成し、アウタ部材31のネジ孔31aにロックレバー40の固定部43を固定すると共に、インナ部材32にロックレバー40の固定部43を覆った状態でフック部41とレバー部42とが露出されるように形成した切欠部32aを設け、ロックレバー40のレバー部42の上方側に対面して配置され、インナ部材32の切欠部32aにおけるアウタ部材31とインナ部材32との隙間を覆うカバー部45を、ロックレバー40と一体に設け、ロックレバー40のカバー部45を、アウタ部材31の縁部31cとインナ部材32の切欠部32aの壁面32bで挟み込んだコンソールボックス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンソールボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に用いられるコンソールボックスとして、特許文献1、2に示すように、フック部とレバー部が一体構造のロックレバーを用いたものが従来から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平07−048424号公報
【特許文献2】実開昭63−082652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコンソールボックスの蓋部を図11、図12に図示し、これらを参照して、従来のコンソールボックスの問題点を説明する。
コンソールボックスは、主に、物品を収容するボックス部と、ボックス部の開口部を開閉する蓋部51から構成される。蓋部51の先端裏面側にはロックレバー52が取り付けられており、このロックレバー52は、フック部53とレバー部54が一体構造に形成されている。フック部53は、その先端が爪形状となっており、これにより蓋部51をボックス部側に係止し、ロックしている。そして、レバー部54を操作することにより、フック部53が移動し、ボックス部側から外れて、蓋部51を開閉可能としている。
【0005】
このような一体構造のロックレバー52は、従来、蓋部51の先端裏面側にネジ55を用いて固定していた。そのため、蓋部51の開時において、ネジ55自体が乗員から見えてしまい、見栄えが良くなかった。又、ネジ55のみでロックレバー52を蓋部51に固定しているため、レバー部54を操作すると、その操作力による負荷がネジ55周辺部分へ集中して、ネジ55周辺への負荷が大きくなり、ネジ55が緩んだり、外れたりするおそれがあった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、ロックレバー周辺の見栄えを向上させると共に、操作力による負荷を分散できるコンソールボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する第1の発明に係るコンソールボックスは、
物品を収容する開口部を有するボックス部と、
ヒンジを介して、前記ボックス部に取り付けられ、前記開口部を開閉可能な蓋部と、
前記蓋部を前記ボックス部にロックするフック部と、前記フック部のロック状態を解除するレバー部と、前記蓋部に固定される固定部とを有し、前記フック部、前記レバー部及び前記固定部が一体に形成されたロックレバーとを備え、
前記蓋部をアウタ部材とインナ部材から構成し、前記アウタ部材に前記ロックレバーの前記固定部を固定すると共に、前記インナ部材に前記ロックレバーの前記固定部を覆った状態で前記フック部と前記レバー部とが露出されるように形成した切欠部を設け、
前記ロックレバーの前記レバー部の上方側に対面して配置され、前記インナ部材の前記切欠部における前記アウタ部材と前記インナ部材との隙間を覆うカバー部を、前記ロックレバーと一体に設け、
前記ロックレバーの前記カバー部を、前記アウタ部材の縁部と前記インナ部材の前記切欠部の縁部で挟み込んだことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決する第2の発明に係るコンソールボックスは、
上記第1の発明に記載のコンソールボックスにおいて、
前記インナ部材の前記切欠部を壁面で囲って構成すると共に、
前記ロックレバーの前記カバー部に、前記切欠部の前記壁面を嵌め込む溝部を設けたことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する第3の発明に係るコンソールボックスは、
上記第1又は第2の発明に記載のコンソールボックスにおいて、
前記アウタ部材に、前記ロックレバーの前記カバー部に当接するリブを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、蓋部をアウタ部材とインナ部材で構成すると共に、ロックレバーが配置されるインナ部材の切欠部を覆うように、レバー部に対面するカバー部を一体構造で設け、当該カバー部をアウタ部材の縁部とインナ部材の切欠部の縁部で挟み込むので、蓋部の内部、例えば、ロックレバーを取り付けたネジなどが見えることはなく、ロックレバー周辺の見栄えを向上させることができる。更に、レバー部への操作力による負荷をカバー部の方に分散することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るコンソールボックスの閉状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示したコンソールボックスの開状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示したコンソールボックスで用いるロックレバーの斜め前方から見た斜視図である。
【図4】図3に示したロックレバーの斜め後方から見た斜視図である。
【図5】図1に示したコンソールボックスの蓋部のアウタ部材を示す斜視図である。
【図6】図5に示したアウタ部材にロックレバーとヒンジを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】図6に示したアウタ部材に更にインナ部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図8】図1に示したコンソールボックスのA−A線矢視断面図である。
【図9】図1に示したコンソールボックスのB−B線矢視断面図である。
【図10】図1に示したコンソールボックスのC−C線矢視断面図である。
【図11】従来のコンソールボックスの蓋部を示す斜視図である。
【図12】従来のコンソールボックスの蓋部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1〜図10を参照して、本発明に係るコンソールボックスの実施形態を説明する。
【0013】
(実施例1)
図1は、本実施例のコンソールボックスの閉状態を示す斜視図であり、図2は、その開状態を示す斜視図である。又、図3〜図4は、図1に示したコンソールボックスで用いるロックレバーの斜視図であり、図3は、斜め前方から見た斜視図、図4は、斜め後方から見た斜視図である。又、図5〜図7は、図1に示したコンソールボックスの蓋部の構成を示す図であり、図5は、蓋部のアウタ部材を示す斜視図、図6は、図5に示したアウタ部材にロックレバーとヒンジを取り付けた状態を示す斜視図、図7は、図6に示したアウタ部材に更にインナ部材を取り付けた状態を示す斜視図である。又、図8〜図10は、図1に示したコンソールボックスの断面図であり、図8は、そのA−A線矢視断面図、図9は、そのB−B線矢視断面図、図10は、そのC−C線矢視断面図である。なお、断面位置がわかるように、図8〜図10中にもA−A線、B−B線及びC−C線を図示した。
【0014】
本実施例のコンソールボックス10は、図1、図2に示すように、主に、物品を収容する開口部21を有するボックス部20と、ヒンジ33を介してボックス部20に取り付けられ、ボックス部20の開口部21を開閉可能な蓋部30から構成される。蓋部30には、一体構造のロックレバー40が設けられているが、本実施例では、ロックレバー40の形状及び取付構造を工夫することにより、ロックレバー40周辺の見栄えを向上させると共に、操作力による負荷を分散できるようにしている。
【0015】
まず、図3、図4に示すように、一体構造のロックレバー40について説明する。ロックレバー40は、弾性変形可能な樹脂材料から形成されており、フック部41、レバー部42、固定部43、カバー部45、溝部46が一体に形成されている。
【0016】
フック部41は、レバー部42の下面から突設されて、その先端が爪形状となっており、図8に示すボックス部20の被フック部22に係止されて、蓋部30をロック可能となっている。
【0017】
レバー部42と固定部43は、中立部47を挟んで、段差形状に形成されている。図5、図6に示すように、固定部43は、その貫通孔44にネジ34を挿通して、アウタ部材31のネジ孔31aに固定される。そして、例えば、図8に示すように、レバー部42を操作すると、中立部47が回動軸となって弾性変形され、レバー部42が回動し、その回動に伴い、フック部41が変位されてロックが解除される。このように、被フック部22に係止されて、ロックした蓋部30を、レバー部42の操作により、フック部41を被フック部22から外し、ロック状態を解除することができる構成となっている。
【0018】
以上の構成のみでは、ロックレバー40は、従来と同様の構造である。そこで、本実施例では、更に、中立部47を介して、レバー部42の上方(フック部41と反対側の方)に、レバー部42に対面して配置されるカバー部45を一体で設けると共に、カバー部45の両端に溝部46を設けている。カバー部45自体は平坦な形状であるが、レバー部42、中立部47及びカバー部45は、合わせて、コの字断面の形状となっており、レバー部42を操作したときに、中立部47を介して、操作力がカバー部45の方へ分散される。又、溝部46は、開口部が下方に向いたコの字断面の溝であり、この部分にインナ部材32の壁面32bが嵌め込まれる。
【0019】
本実施例において、蓋部30は、図5〜図7に示すように、アウタ部材31とインナ部材32から主に構成されている。従来と同様に、蓋部30の裏面側、即ち、インナ部材32の表面に、ロックレバー40を取り付けると、固定のためのネジが乗員に見えてしまい、見栄えが悪く、又、操作時におけるネジへの負荷も大きくなってしまう。
【0020】
そこで、本実施例では、ロックレバー40を固定するためのネジ孔31aをアウタ部材31の裏面に形成し、ネジ孔31aやネジ34などを覆い隠すように、インナ部材32を形成している。具体的には、図8に示すように、ネジ孔31aやネジ34のための貫通孔44が形成された固定部43を覆った状態で、ロックレバー40のフック部41及びレバー部42が外部に露出するように、インナ部材32に切欠部32aを設けている。そして、この切欠部32aを、図7や図10に示すように、壁面32bで囲んで形成しているため、その内側にあるネジ孔31aやネジ34が乗員に見えることはなく、見栄えを向上させることができる。
【0021】
但し、インナ部材32に切欠部32aを形成すると、アウタ部材31とロックレバー40との隙間、即ち、アウタ部材31とインナ部材32の切欠部32aとで形成される隙間から、アウタ部材31の内側が乗員に見える可能性がある。
【0022】
そのため、本実施例では、ロックレバー40のレバー部42の上方側に対面して配置され、インナ部材32の切欠部32aにおけるアウタ部材31とインナ部材32との隙間を覆うように構成したカバー部45を設けており、図8に示すように、カバー部45とアウタ部材31の縁部31cとを当接させている。これにより、切欠部32aの隙間からアウタ部材31の内側が乗員に見えないようにしており、見栄えを向上させることができる。
【0023】
又、図8〜図10に示すように、このカバー部45は、その上側において、アウタ部材31の縁部31cや後述するリブ31bと当接しており、又、カバー部45の両端の溝部46は、その下側において、インナ部材32の壁面32bと当接しており、カバー部45及び溝部46を、上方のアウタ部材31と下方のインナ部材32とで挟み込むようにしている。そのため、レバー部42を操作するときの負荷を、ネジ34やネジ孔31aだけに集中させずに、カバー部45及び溝部46を介して、アウタ部材31やインナ部材32に分散することができる。
【0024】
次に、蓋部30の構造について説明する。前述したように、蓋部30は、アウタ部材31とインナ部材32から主に構成される。図5に示すように、アウタ部材31の裏面側において、その先端側には、複数のネジ孔31aやリブ31bが形成されており、その後端側にも、複数のネジ孔31dが形成されている。そして、図6に示すように、ネジ34を用いて、ネジ孔31aにロックレバー40が取り付けられ、ネジ35を用いて、ネジ孔31dにヒンジ33が取り付けられる。
【0025】
ロックレバー40及びヒンジ33をアウタ部材31に取り付けた後、アウタ部材31の裏面側を覆うように、インナ部材32が取り付けられる。このとき、ロックレバー40の溝部46にインナ部材32の壁面32bが挿入されるため、溝部46は、インナ部材32の取り付け時の位置決めとしても機能する。
【0026】
又、インナ部材32において、ロックレバー40及びヒンジ33の位置に対応する箇所には、切欠部32a、切欠部32cが形成されており、これらの切欠部32a、切欠部32cから、ロックレバー40、ヒンジ33が外部に露出している。このようにして、蓋部30が構成されて、ロックレバー40及びヒンジ33が、その機能を果たすことになる。
【0027】
そして、上述したように、インナ部材32及びロックレバー40のカバー部45により、蓋部30の内部が覆い隠されることになるので、その内部が乗員に見えることはなく、見栄えが向上する。加えて、ロックレバー40のカバー部45及び溝部46がアウタ部材31とインナ部材32との間に挟み込まれているので、レバー部42を操作するときの操作力による負荷を、アウタ部材31やインナ部材32の方に分散することができる。
【0028】
なお、本実施例では、位置決め機能を持たせるために、ロックレバー40のカバー部45に溝部46を形成し、インナ部材32の切欠部32aに壁面32bを形成しているが、位置決め機能が必要ない場合には、単に、ロックレバー40のカバー部45に、インナ部材32の切欠部32aの縁部が下方から当接する構造であれば、他の形状としてもよい。例えば、カバー部45の平面とインナ部材32の切欠部32aの縁部の平面同士の一部が重なり合うようにして当接するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、車両用のコンソールボックスに好適であるが、蓋部をロックするボックス形状のものであれば、他のものにも適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
10 コンソールボックス
20 ボックス部
30 蓋部
31 アウタ部材
31b リブ
31c 縁部
32 インナ部材
32a 切欠部
32b 壁面(縁部)
40 ロックレバー
41 フック部
42 レバー部
43 固定部
45 カバー部
46 溝部
47 中立部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容する開口部を有するボックス部と、
ヒンジを介して、前記ボックス部に取り付けられ、前記開口部を開閉可能な蓋部と、
前記蓋部を前記ボックス部にロックするフック部と、前記フック部のロック状態を解除するレバー部と、前記蓋部に固定される固定部とを有し、前記フック部、前記レバー部及び前記固定部が一体に形成されたロックレバーとを備え、
前記蓋部をアウタ部材とインナ部材から構成し、前記アウタ部材に前記ロックレバーの前記固定部を固定すると共に、前記インナ部材に前記ロックレバーの前記固定部を覆った状態で前記フック部と前記レバー部とが露出されるように形成した切欠部を設け、
前記ロックレバーの前記レバー部の上方側に対面して配置され、前記インナ部材の前記切欠部における前記アウタ部材と前記インナ部材との隙間を覆うカバー部を、前記ロックレバーと一体に設け、
前記ロックレバーの前記カバー部を、前記アウタ部材の縁部と前記インナ部材の前記切欠部の縁部で挟み込んだことを特徴とするコンソールボックス。
【請求項2】
請求項1に記載のコンソールボックスにおいて、
前記インナ部材の前記切欠部を壁面で囲って構成すると共に、
前記ロックレバーの前記カバー部に、前記切欠部の前記壁面を嵌め込む溝部を設けたことを特徴とするコンソールボックス。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコンソールボックスにおいて、
前記アウタ部材に、前記ロックレバーの前記カバー部に当接するリブを設けたことを特徴とするコンソールボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−112322(P2013−112322A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263315(P2011−263315)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】