説明

コンテンツ管理装置およびそのプログラム

【課題】 記憶媒体から放送データを自動的に消去する場合にも、可能な限り多数のコンテンツを記憶媒体に残すこと。
【解決手段】 コンテンツ管理装置は、受信された放送データに含まれる複数のコンテンツを記憶媒体に記録させる記録手段と、記録されてからの経過時間に応じてコンテンツのコンテンツ品質を段階的に低下させる品質変換手段と、コンテンツ品質を低下させてから所定時間経過後に、コンテンツを削除する削除手段とを備える。記憶媒体に第1コンテンツが新たに記録されたとき、削除手段が、第1コンテンツと同一のコンテンツであって、記録されてから所定時間経過している第2コンテンツを削除する。コンテンツ管理装置は、第1コンテンツと第2コンテンツとを対応付けて管理する管理手段と、第2コンテンツが再生指示された場合、第2コンテンツの代わりに第1コンテンツを再生させる再生制御手段とをさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置によって受信された放送データに含まれるコンテンツを記憶媒体に記録する場合に、記憶媒体に記録されているコンテンツを管理するコンテンツ管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
HDDレコーダやPC等のコンテンツ記録再生装置は、ラジオ又はテレビで放送される音楽や映像等のコンテンツをHDD等の記憶媒体に記録し、記録した放送データファイルの中から選択されたコンテンツを再生することができる。しかし、ユーザは所望のコンテンツがいつ放送されるかはわからない。例えばラジオのFM放送では、所望の曲がある番組中に放送されることがあらかじめわかる場合もあるが、番組中にはCMやDJが入るので、所望の曲が番組中のいつ放送されるかまではわからない。
【0003】
この問題を解決するために、下記特許出願1において、キューシートを利用して所望の曲を抽出して再生するコンテンツ記録再生装置が提案されている。このコンテンツ記録再生装置は、放送された曲の放送開始時刻や曲名等を記述したキューシートをサーバから取得する。コンテンツ記録再生装置は、常にFM放送を受信し、受信された放送データを全てHDDに記録する。そして、キューシートを参照して、録音された全放送データから所望の曲を抽出して再生する。
【0004】
下記特許文献1のコンテンツ記録再生装置は、受信した放送データの全てを、所定時間毎の放送データファイルに分割し、HDDに記録する。ここで、常時放送データをHDDに記録しているので、HDDの空き容量がなくなると、放送データをHDDに記録できなくなる。そこで、コンテンツ記録再生装置は、古い放送データファイルを自動的に消去する。しかし、放送データファイルを自動的に消去すると、消去した放送データファイルに含まれている曲データについては、キューシートを参照して、放送データファイルから抽出して再生することができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−59035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、記憶媒体から放送データを自動的に消去する場合にも、可能な限り多数のコンテンツを記憶媒体に残すことができるコンテンツ管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ管理装置は、受信装置によって受信された放送データに含まれる複数のコンテンツを記憶媒体に記録させる記録手段と、前記記憶媒体に記録してからの経過時間に応じて前記記憶媒体に記録されているコンテンツのコンテンツ品質を段階的に低下させる品質変換手段と、前記品質変換手段がコンテンツのコンテンツ品質を低下させてから所定時間経過後に、前記品質変換手段によってコンテンツ品質が低下されたコンテンツを削除する削除手段とを備える。
【0008】
品質変換手段が、記憶媒体に記録してからの経過時間に応じて記憶媒体に記録されているコンテンツのコンテンツ品質を段階的に低下させ、削除手段が、品質変換手段がコンテンツの品質を低下させてから所定時間経過後に、品質変換手段によってコンテンツ品質が低下されたコンテンツを削除する。従って、古いコンテンツほどファイルサイズが小さくされ、最終的には記憶媒体から削除されるので、記憶媒体により多くのコンテンツを保存することができる。古いコンテンツほど、ユーザが既に視聴済みである可能性が高いので、ファイルサイズが小さくされ、最終的に削除されても、問題にはならない。
【0009】
好ましい実施形態においては、前記記憶媒体に第1コンテンツが新たに記録されたとき、前記削除手段が、前記第1コンテンツと同一のコンテンツであって、前記記憶媒体に記録されてから所定時間経過している第2コンテンツを削除し、前記削除手段が前記第2コンテンツを削除した際に、前記第1コンテンツと前記第2コンテンツとを対応付けて管理する管理手段と、前記第2コンテンツが再生指示された場合、前記管理手段の管理内容に基づいて、前記第2コンテンツの代わりに前記第1コンテンツを再生させる再生制御手段とをさらに備える。
【0010】
記憶媒体に記録してから所定時間経過している第2コンテンツと同じ第1コンテンツが新たに記憶媒体に記録された際に、第2コンテンツが自動的に削除されるので、記憶媒体の使用容量をより削減でき、記憶媒体により多くのコンテンツを保存することができる。また、削除された第2コンテンツが再生指示された場合には、代わりに第1コンテンツを再生させることにより、ユーザに第2コンテンツが自動削除されたことによる不快感を与えることを防止できる。
【0011】
好ましい実施形態においては、前記品質変換手段が、前記コンテンツの一部を抽出して他の部分を削除することによって、コンテンツ品質を低下させるものであり、前記第2コンテンツのコンテンツ品質が、前記コンテンツの一部を抽出して他の部分を削除することによって低下されている場合に、前記管理手段が、前記第1コンテンツにおいて、コンテンツ品質が低下されている前記第2コンテンツに対応する位置をさらに管理し、前記再生制御手段が、前記第2コンテンツが再生指示された場合、前記管理手段の管理内容に基づいて、前記第2コンテンツの代わりに、前記第1コンテンツのコンテンツ品質が低下された前記第2コンテンツに対応する位置を再生させる。
【0012】
自動削除された第2コンテンツが、コンテンツの一部を抽出して他の部分を削除することによって、コンテンツ品質を低下させたものであっても、代わりに第1コンテンツを再生させる際に、自動削除された第2コンテンツに相当する部分を再生させることができる。従って、ユーザに第2コンテンツが自動削除されたことによる不快感を与えることを防止できる。
【0013】
本発明の別の好ましい実施形態によるコンテンツ管理装置は、受信装置によって受信された放送データに含まれる複数のコンテンツを記憶媒体に記録させる記録手段と、前記記憶媒体に第1コンテンツが新たに記録されたとき、前記第1コンテンツと同一のコンテンツであって、前記記憶媒体に記録されてから所定時間経過している第2コンテンツを削除する削除手段と、前記削除手段が前記第2コンテンツを削除した際に、前記第1コンテンツと前記第2コンテンツとを対応付けて管理する管理手段と、前記第2コンテンツが再生指示された場合、前記管理手段の管理内容に基づいて、前記第2コンテンツの代わりに前記第1コンテンツを再生させる再生制御手段とを備える。
【0014】
記憶媒体に記録してから所定時間経過している第2コンテンツと同じ第1コンテンツが新たに記憶媒体に記録された際に、第2コンテンツが自動的に削除されるので、記憶媒体の使用容量をより削減でき、記憶媒体により多くのコンテンツを保存することができる。また、削除された第2コンテンツが再生指示された場合には、代わりに第1コンテンツを再生させることにより、ユーザに第2コンテンツが自動削除されたことによる不快感を与えることを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
記憶媒体から放送データを自動的に消去する場合にも、可能な限り多数のコンテンツを記憶媒体に残すことができるコンテンツ管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ記録再生装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】キューシートの一例を示す図である。
【図3】コンテンツ情報データベースを示す図である。
【図4】制御部2の処理を説明するフローチャートである。
【図5】制御部2の処理を説明するフローチャートである。
【図6】制御部2の処理を説明するフローチャートである。
【図7】制御部2の処理を説明するフローチャートである。
【図8】制御部2の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
[全体構成]
図1は、本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ記録再生システムを示すブロック図である。コンテンツ記録再生システムは、本発明のコンテンツ管理装置が適用されるコンテンツ記録再生装置1、サーバ(キューシートサーバ)100、および、サーバ(コンテンツ情報サーバ)200を備える。コンテンツ記録再生装置1はラジオやTV等の放送データ(以下、ラジオ放送データとする。)を受信し、所定時間毎の放送データを、放送データファイルとしてHDD3に記録する。サーバ100は、図示しない複数の放送局サーバについて、キューシート(番組進行表)を取得して保持している。コンテンツ記録再生装置1は、サーバ100からキューシートを取得し、キューシートに基づいて、記録した放送データファイルを曲データに分割し、曲ファイルをHDD3に記録する。サーバ200は、音声データに対応付けてコンテンツ情報(アーティスト名、曲名等のメタデータ)を管理しており、音声データの一部を受信すると、曲のコンテンツ情報を特定する。
【0018】
[コンテンツ記録再生装置1の構成]
コンテンツ記録再生装置1は、制御部2、HDD(Hard
Disk Drive)3、メモリ(ROM及び/又はRAM)4、再生部5、受信部6、通信部7、操作部8、および、表示部9を備える。制御部2は、メモリ4に格納されているコンテンツ管理プログラムに基づいてコンテンツ記録再生装置1のコンテンツ管理処理を実行するものであり、例えば、マイコンやCPU等である。
【0019】
受信部6は、図示しない放送局から放送される複数のコンテンツを含む放送データを受信する。コンテンツとは、音楽(曲)、映像および/または静止画等のデータの総称であり、本例では曲データである。放送はTV放送またはラジオ放送等であり、デジタル放送、アナログ放送、衛星放送またはインターネット放送等の任意の放送が採用され得る。本例では、複数の曲データを含むFM放送を例に説明する。
【0020】
HDD3は、受信部6によって受信された放送データを制御部2の指示により記録する。特に限定されないが、放送データは、キューシートに基づいて、曲毎の曲ファイルに分割され、HDD3に記録される。なお、所定時間(例えば6時間)毎の放送データファイルに分割されて、HDD3に記録されてもよい。この場合、曲を再生する際に、キューシートに基づいて、放送データファイルの中から曲に対応する部分が抽出されて、再生される。
【0021】
通信部7は、インターネット等の任意の電気通信回線を介してサーバ100に接続し、サーバ100からキューシートを取得する。図2は、放送局Xのキューシートの一例を示す図である。キューシートは、放送局名と、アーティスト名と、曲名と、放送開始時刻と、放送終了時刻とを含む。例えば、放送局Xについて、2009年1月1日の17時00分〜17時10分にアーティト名aaa、曲名AAAの曲が放送されたことを示している。HDD3に記録された放送データは、図2のキューシートに基づいて、曲毎の曲ファイルに分割されて、HDD3に記録される。
【0022】
HDD3には、図3に示すコンテンツ情報DB(データベース)が格納されている。コンテンツ情報DBは、キューシートに基づいて分割され、HDD3に記録されている曲ファイル(自動的に削除された曲ファイルを含む。)についての情報を記憶する。詳細には、曲ファイル毎に、通し番号であるIDに対応付けて、アーティスト名、曲名、放送開始時刻、放送終了時刻、記録日時、リンク、リンク開始位置、および、リンク終了位置が登録される。アーティスト名、曲名、放送開始時刻、および、放送終了時刻は、キューシートから取得された情報である。記録日時は、曲ファイルが曲単位で分割されてHDD3に記録された時刻である(曲ファイルに分割されない場合には、HDD3に放送データが記録された時刻でよい)。
【0023】
所定時間(例えば1週間)以上前にHDD3に記録された曲ファイルであって、同一(アーティスト名及び曲名が同一の)曲ファイルが新たにHDD3に記録された曲ファイルは、制御部2の指示によって自動削除される。このとき、自動削除する曲ファイルのコンテンツ情報は、コンテンツ情報DBから削除されない。自動削除された曲ファイルのリンクに、新たに記録された同一曲ファイルのIDが登録される。つまり、自動削除された曲ファイルと、新たに記録された曲ファイルとが対応付けて管理される。自動削除された曲ファイルがユーザ操作によって再生指示された際に、リンクにIDが登録されている同一曲ファイルを、自動削除された曲ファイルの代わりに再生させるためである。リンク開始位置は、リンクにIDが登録されている同一曲ファイルを自動削除された曲ファイルの代わりに再生する際に、同一曲ファイルを再生開始する位置(相対アドレス)であり、リンク終了位置は、同一曲ファイルを再生終了する位置(相対アドレス)である(詳細後述)。
【0024】
再生部5は、HDD3に記録されている曲ファイルの中からユーザ操作によって、選択された曲ファイルをHDD3から読み出して再生する。詳細には、図3のコンテンツ情報DBに管理されているアーティスト名及び曲名の一覧(コンテンツリスト)が表示部9に表示され、コンテンツリストの中からユーザ操作によって、再生すべき所望の曲ファイルが選択される。制御部2は、選択された曲ファイルについて、コンテンツ情報DBのリンクにIDが登録されているか否かを判断する。IDが登録されていなければ、選択された曲ファイルがHDD3に記録されているので、再生部5は、選択された曲ファイルを再生する。一方、IDが登録されていれば、選択された曲ファイルはHDD3から自動削除されているので、制御部2の指示によって再生部5は、リンクに登録されているIDの曲ファイル(同一曲ファイル)を代わりに再生する。このとき、再生部5は、リンクに登録されている曲ファイルの全データのうち、リンク開始位置からリンク終了位置までのデータを再生する。
【0025】
制御部2は、全曲ファイルについて、HDD3に記録してからの経過時間に応じて、HDD3に記録されている曲ファイルのコンテンツ品質を段階的に低下させる。また、制御手段2は、曲ファイルのコンテンツ品質を低下させてから所定時間経過後に、コンテンツ品質が低下された曲ファイルHDD3から削除する。コンテンツ品質とは、曲ファイルのファイルサイズに関する値であり、曲ファイルの長さ(総再生時間)、フォーマット、および、ビットレート等である。
【0026】
例えば、制御部2は、HDD3に記録されてから1週間経過した曲ファイルをステージ1のコンテンツ品質に低下させる。ステージ1のコンテンツ品質は、曲ファイル全体のうち、曲本体部分のみを抽出し、その他部分(主にトーク部分であり、CM、DJ、ニュース等)を削除することである。つまり、キューシートには曲の放送開始時刻および放送終了時刻が記述されているが、実際には、放送終了時刻は次の曲の放送開始時刻がそのまま記述されているだけであり、その結果、曲以外にもCM、DJ、ニュース等が含まれている。従って、その他部分を削除し、曲本体部分のみを抽出して曲ファイルとすることによって、ファイルサイズを小さくすることができる。曲本体部分とその他部分との判別手法については、例えば、特開平8−22295公報に記載された放送内容が音声であるか音楽であるかを判定する方法や、MusicID等の周知の音楽認識技術を採用することによって実行され得る。
【0027】
続いて、制御部2は、HDD3に記録されてから2週間経過した曲ファイルをステージ1のコンテンツ品質からステージ2のコンテンツ品質にさらに低下させる。ステージ2のコンテンツ品質は、ステージ1のコンテンツ品質の曲ファイルをさらに、フォーマット及びビットレートを、曲ファイルのファイルサイズが最小になるフォーマット及びビットレートに変換することである。これにより、ファイルサイズをさらに小さくすることができる。このようなフォーマット及びビットレートの情報はメモリ4に予め設定されている。
【0028】
制御部2は、HDD3に記録されてから3週間経過した曲ファイルをステージ2のコンテンツ品質からステージ3のコンテンツ品質にさらに低下させる。ステージ3のコンテンツ品質は、ステージ2のコンテンツ品質の曲ファイルをさらに、サビ部分(特に限定されないが、複数のサビ部分の内の1箇所)のみを抽出し、その他部分を削除することである。サビ部分とは、一般的に、曲全体の中で曲想の変化した部分、または、曲の途中の最も印象的な部分(メロディー)と定義されている。これにより、ファイルサイズをさらに小さくすることができる。サビ部分とその他部分との判別手法も周知技術を適用することができる。本例では、サーバ200に曲ファイルのデータの一部を送信することにより、サーバ200から、曲ファイルに対応する正式コンテンツ(CDに記録されているコンテンツをいう。)のサビ部分(サビ開始位置およびサビ終了位置)を取得することができる。制御部2は、正式コンテンツのサビ開始位置およびサビ終了位置に基づいて、ステージ2のコンテンツ品質の曲ファイルのサビ開始位置およびサビ終了位置を特定する(詳細後述)。
【0029】
制御部2は、HDD3に記録されてから4週間経過した曲ファイルをHDD3から削除させる。これにより、HDD3の使用容量をより削減することができる。
【0030】
以下、本発明の動作を説明する。図4は、制御部2による曲ファイルの削除処理を示すフローチャートである。制御部2は、HDD3に記録されてから1週間以上経過した(但し、2週間以上は経過していない)曲ファイルが存在するか否かを判断する(S1)。詳細には、コンテンツ情報DBの記録日時から現時点までの経過時間が1週間以上、2週間未満であり、かつ、リンクにIDが登録されていない曲ファイルが存在するかを判断する。リンクにIDが登録されている曲ファイルは既に自動削除されているので、除外される。存在しない場合(S1でNO)、S3に進む。
【0031】
存在する場合(S1でYES)、制御部2は、コンテンツ情報DBの記録日時から現時点までの経過時間が1週間以上、2週間未満であり、かつ、リンクにIDが登録されていない曲ファイルについて、曲本体部分のみを抽出し、その他部分を削除することにより、ステージ1のコンテンツ品質の曲ファイル(以下、ステージ1ファイルともいう。)を生成し、HDD3に記録する(S2)。すなわち、元の曲ファイルは削除される。従って、HDD3の使用容量を削減することができる。その後、S3に進む。
【0032】
制御部2は、HDD3に記録されてから2週間以上経過した(但し、3週間以上は経過していない)曲ファイル(ステージ1ファイル)が存在するか否かを判断する(S3)。詳細には、コンテンツ情報DBの記録日時から現時点までの経過時間が2週間以上、3週間未満であり、かつ、リンクにIDが登録されていないステージ1ファイルが存在するかを判断する。リンクにIDが登録されている曲ファイルは既に自動削除されているので、除外される。存在しない場合(S3でNO)、S5に進む。
【0033】
存在する場合(S3でYES)、制御部2は、コンテンツ情報DBの記録日時から現時点までの経過時間が2週間以上、3週間未満であり、かつ、リンクにIDが登録されていないステージ1ファイルについて、フォーマット及びビットレートをファイルサイズが最小になるフォーマット及びビットレートに変換することにより、ステージ2のコンテンツ品質の曲ファイル(以下、ステージ2ファイルともいう。)を生成し、HDD3に記録する(S4)。すなわち、ステージ1ファイルは削除される。従って、HDD3の使用容量をさらに削減することができる。その後、S5に進む。
【0034】
制御部2は、HDD3に記録されてから3週間以上経過した(但し、4週間以上は経過していない)曲ファイル(ステージ2ファイル)が存在するか否かを判断する(S5)。詳細には、コンテンツ情報DBの記録日時から現時点までの経過時間が3週間以上、4週間未満であり、かつ、リンクにIDが登録されていないステージ2ファイルが存在するかを判断する。リンクにIDが登録されている曲ファイルは既に自動削除されているので、除外される。存在しない場合(S5でNO)、S7に進む。
【0035】
存在する場合(S5でYES)、制御部2は、コンテンツ情報DBの記録日時から現時点までの経過時間が2週間以上、3週間未満であり、かつ、リンクにIDが登録されていないステージ2ファイルについて、サビ部分を抽出しその他部分を削除することにより、ステージ3のコンテンツ品質の曲ファイル(以下、ステージ3ファイルともいう。)を生成し、HDD3に記録する(S6)。すなわち、ステージ2ファイルは削除される。従って、HDD3の使用容量をさらに削減することができる。その後、S7に進む。
【0036】
S7では、制御部2は、HDD3に記録されてから4週間以上経過した曲ファイル(ステージ3ファイル)が存在するか否かを判断する(S7)。詳細には、コンテンツ情報DBの記録日時から現時点までの経過時間が4週間以上であり、かつ、リンクにIDが登録されていないステージ3ファイルが存在するかを判断する。リンクにIDが登録されている曲ファイルは既に自動削除されているので、除外される。存在しない場合(S7でNO)、処理を終了する。
【0037】
存在する場合(S7でYES)、制御部2は、コンテンツ情報DBの記録日時から現時点までの経過時間が4週間以上であり、かつ、リンクにIDが登録されていないステージ3ファイルをHDD3から削除する(S8)。従って、HDD3の使用容量をさらに削減することができる。そして、制御部2は、コンテンツ情報DBから削除したステージ3ファイルの情報を削除する。
【0038】
図5は、S6に適用されるサビ部分特定処理を示すフローチャートである。制御部2は、曲ファイル(ここでは、ステージ2ファイル)のデータの一部をインターネット経由でサーバ200に送信する(S11)。サーバ200は、データの一部を受信すると、データの一部の波形からデータベースを照合し、正式コンテンツを特定し、正式コンテンツの1又は複数のサビ部分(サビ開始位置およびサビ終了位置、共に相対アドレス。)を特定し、コンテンツ記録再生装置1に返信する。
【0039】
制御部2は、正式コンテンツのサビ開始位置およびサビ終了位置を受信し、メモリ4内の変数sabiOffset[N](但しNはサビ部分の先頭からの番号であり、N=1,2,・・)に保存する(S12)。なお、ステージ2ファイルにおけるサビ開始位置およびサビ終了位置は共に同じ処理によって特定されるが、以下では、サビ開始位置のみに着目して説明し、サビ終了位置の説明は援用する。
【0040】
制御部2は、ステージ2ファイルの先頭から所定サイズ(数秒分)のデータをサーバ200に送信する(S13)。サーバ200は、データを受信すると、ステージ2ファイルの先頭位置についての、正式コンテンツにおける位置(相対アドレス)を特定し、つまり、ステージ2ファイルが正式コンテンツのどの位置から始まるかを特定し、コンテンツ記録再生装置に返信する。制御部2は、ステージ2ファイルの先頭位置についての、正式コンテンツにおける位置(相対アドレス)を受信し、メモリ4内のplayOffsetに保存する(S14)。
【0041】
制御部2は、サビ開始位置の先頭からの番号を示す変数iを1に初期化する(S15)。制御部2は、サビ開始位置sabiradioPositionを、sabiOffset[i]からplayOffsetを減算することによって算出する(S16)。但し、sabiOffset[i]はi番目のサビ部分のサビ開始位置である。制御部2は、算出したサビ開始位置sabiradioPositionがステージ2ファイル内に収まっており、適正な値であるか否かを、playStart<sabiradioPosition<playendであるか否かを判断することによって、判断する(S17)。但し、playStartは正式コンテンツの開始位置を0とした際のステージ2ファイルの開始位置であり、playendは正式コンテンツの開始位置を0とした際のステージ2ファイルの終了位置である。
【0042】
算出したサビ開始位置sabiradioPositionがステージ2ファイル内に収まっている場合(S17でYES)、制御部2は、サビ開始位置sabiradioPositionを特定することができる(S18)。一方、算出したサビ開始位置sabiradioPositionがステージ2ファイル内に収まっていない場合(S17でNO)、制御部2は、変数iをインクリメントし(S19)、iがNよりも大であるか(つまり、全てのサビ部分についてサビ開始位置sabiradioPositionの算出を行ったか)否かを判断する(S20)。iがN以下である場合(S20でNO)、S16に戻って、新たな変数iについて、サビ開始位置sabiradioPositionの算出を実行する(S16〜S17)。一方、iがNよりも大である場合(S20でYES)、サビ開始位置sabiradioPositionを特定することができないので、処理を終了する。この場合、ステージ3ファイルを生成することができないので、ステージ2ファイルが削除されてもよく、又は、ステージ2ファイルのまま保存されてもよい。
【0043】
図6は、HDD3に曲ファイルを記録する際の制御部2の処理を示すフローチャートである。受信部6によって放送データが受信され、HDD3に放送データが一旦記録される。制御部2は、定期的に(例えば数分おきに)サーバ100にアクセスし、サーバ100からキューシートを取得する(S31)。制御部2は、キューシートに基づいて曲毎に放送データを分割し、曲ファイルを生成し、HDD3に再記録させる(S32)。また、制御部2は、HDD3に記録した曲ファイルについて、コンテンツ情報DBに各情報を登録する(S32)。詳細には、アーティスト名、曲名、放送開始時刻、および、放送終了時刻をキューシートから取得し、コンテンツ情報DBに登録し、曲ファイルをHDD3に記録した日時をコンテンツ情報DBに記録日時として記録する。なお、時刻はコンテンツ記録再生装置内の時計処理部によって計時されている時刻が採用されるとよい。
【0044】
制御部2は、HDD3に新たに記録した曲ファイルについて、コンテンツ情報DBを参照し、同一曲(つまり、アーティスト名及び曲名が同一)の曲ファイルであって、記録日時が所定時間以上前(本例では、1週間以上前)の曲ファイル(但し、リンクにIDが登録されている曲ファイルは既に自動削除されているので、除外する。)がHDD3に記録されているか否かを判断する(S33)。記録日時が1週間以上前の同一曲ファイルが存在しない場合(S33でNO)、処理を終了する。
【0045】
記録日時が1週間以上前の同一曲ファイルが存在する場合(S33でYES)、制御部2は、記録日時が1週間以上前の同一曲ファイルを自動削除する(S34)。従って、HDD3の使用容量を削減することができる。そして、制御部2は、S34およびその詳細処理を示す図7のS41に示すように、コンテンツ情報DBにおいて、自動削除した曲ファイルのリンクに、HDD3に新たに記録した曲ファイルのIDを登録する。
【0046】
図7に示すように、制御部2は、コンテンツ情報DBにおいて、自動削除した曲ファイルのリンク開始位置およびリンク終了位置に、当該曲ファイルの再生指示が入力された際に、新たにHDD3に記録した曲ファイルを代わりに再生する場合の再生開始位置及び再生終了位置を算出し、登録する(S42〜S47)。つまり、自動削除した曲ファイルのコンテンツ品質(ステージ1ファイル〜ステージ3ファイル)に応じて、新たに記録した曲ファイルにおける、自動削除した曲ファイルに対応する部分の開始位置及び終了位置が算出され、登録される。
【0047】
まず、制御部2は、自動削除した曲ファイルがステージ1ファイルであるか否かを判断する(S42)。自動削除した曲ファイルのコンテンツ品質は、コンテンツ情報DBを参照し、記録日時からの経過時間によって判断できる。また、コンテンツ品質がコンテンツ情報DBにおいて管理されていてもよい。ステージ1ファイルでなければ(S42でNO)、S44に進む。ステージ1ファイルであれば(S42でYES)、新たに記録した曲ファイルのステージ1ファイルの開始位置及び終了位置が特定され、自動削除した曲ファイルのリンク開始位置およびリンク終了位置に登録される(S43)。つまり、新たにHDD3に記録した曲ファイルの曲本体部分の開始位置及び終了位置が算出され、登録される。
【0048】
制御部2は、自動削除した曲ファイルがステージ2ファイルであるか否かを判断する(S44)。ステージ2ファイルであれば(S44でYES)、新たに記録した曲ファイルのステージ1ファイルの開始位置及び終了位置が特定され、自動削除した曲ファイルのリンク開始位置およびリンク終了位置に登録される(S45)。つまり、新たにHDD3に記録した曲ファイルの曲本体部分の開始位置及び終了位置が算出され、登録される。なお、ステージ2ファイルの開始位置及び終了位置ではなく、ステージ1ファイルの開始位置及び終了位置が登録されるのは、新たな記録した曲ファイルはファイルサイズが最小になるフォーマット及びビットレートに変換されていないからである。従って、自動消去した曲ファイルの代わりに新たに記録した曲ファイルを再生する際には、自動消去した曲ファイルがステージ2ファイルであっても、新たに記録した曲ファイルのフォーマット及びビットレートで再生される。
【0049】
S44でステージ3ファイルであれば(S44でNO)、新たに記録した曲ファイルのステージ3ファイル(但し、ファイルサイズが最小になるフォーマット及びビットレートに変換されていない)の開始位置及び終了位置が特定され、自動削除した曲ファイルのリンク開始位置およびリンク終了位置に登録される(S46)。つまり、新たにHDD3に記録した曲ファイルの曲本体部分が特定され、さらにそのサビ部分が特定され、サビ開始位置及びサビ終了位置がリンク開始位置及びリンク終了位置に登録される。サビ開始位置及びサビ終了位置の特定方法は図5の処理と同じである。
【0050】
図8は、ユーザ操作によって曲ファイルが選択され、再生指示が入力された場合の再生処理を示すフローチャートである。制御部2は、コンテンツ情報DBを参照し、選択された曲ファイルのリンクにIDが登録されているか否かを判断する(S51)。つまり、曲ファイルが自動削除されており、同一曲ファイルを代わりに再生する必要があるか否かが判断される。選択された曲ファイルのリンクにIDが登録されていない場合(S51でNO)、選択された曲ファイルはHDD3に記録されているので、制御部2は、選択された曲ファイルを再生部5に再生させる(S52)。
【0051】
選択された曲ファイルのリンクにIDが登録されている場合(S51でYES)、選択された曲ファイルはHDD3に記録されておらず、登録されているIDの曲ファイルを代わりに再生する必要があるので、制御部2は、リンクにIDが登録されている曲ファイルを再生部5に再生準備させる(S53)。そして、制御部2は、リンク開始位置に登録されている位置(相対アドレス)から当該IDの曲ファイルを再生部5に再生開始させる(S54)。制御部2は、リンク終了位置まで再生し終えたか否かを判断する(S55)。リンク終了位置まで再生し終えた場合(S55でYES)、制御部2は、再生部5に再生を終了させる。
【0052】
以上のように、本実施形態によると、HDD3への記録日時からの経過時間に応じて段階的にコンテンツ品質を低下させて、ファイルサイズを小さくすることにより、HDD3の記憶容量を削減することができると共に、多数の曲ファイルから再生する曲ファイルを選択できる。また、曲ファイルが新たにHDD3に記録された場合には、記録日時から所定時間経過している同一曲ファイルが自動削除されるが、自動削除された曲ファイルが再生指示された場合には、新たにHDD3に記録された曲ファイルが代わりに再生されるので、ユーザに曲ファイルが削除されたことを意識させることを防止できる。また、自動削除された曲ファイルのコンテンツ品質に応じて、新たに記録された曲ファイルの内の、自動削除された曲ファイルに対応する部分が抽出されて再生されるので、ユーザに曲ファイルが削除されたことを意識させることを防止できる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。放送データから曲ファイルを分割する方法は、キューシートに限定されず、FM文字多重放送に多重されて送信されるコンテンツ情報を用いてもよい。コンテンツ管理装置は、受信部で受信されたコンテンツがサーバのHDDに記録され、クライアントがサーバのHDDに記録されているコンテンツを再生する場合に、サーバやクライアントを制御するコントローラに適用されてもよい。コンテンツ管理装置を動作させるためのコンピュータプログラムまたはそのコンピュータプログラムを記録した記録媒体という形態で提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、HDDレコーダやPC等のコンテンツ再生装置に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0055】
1 コンテンツ記録再生装置
2 制御部
3 HDD
4 メモリ
5 再生部
6 受信部
7 通信部
8 操作部
9 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信装置によって受信された放送データに含まれる複数のコンテンツを記憶媒体に記録させる記録手段と、
前記記憶媒体に記録してからの経過時間に応じて前記記憶媒体に記録されているコンテンツのコンテンツ品質を段階的に低下させる品質変換手段と、
前記品質変換手段がコンテンツのコンテンツ品質を低下させてから所定時間経過後に、前記品質変換手段によってコンテンツ品質が低下されたコンテンツを削除する削除手段とを備える、コンテンツ管理装置。
【請求項2】
前記記憶媒体に第1コンテンツが新たに記録されたとき、前記削除手段が、前記第1コンテンツと同一のコンテンツであって、前記記憶媒体に記録されてから所定時間経過している第2コンテンツを削除し、
前記削除手段が前記第2コンテンツを削除した際に、前記第1コンテンツと前記第2コンテンツとを対応付けて管理する管理手段と、
前記第2コンテンツが再生指示された場合、前記管理手段の管理内容に基づいて、前記第2コンテンツの代わりに前記第1コンテンツを再生させる再生制御手段とをさらに備える、請求項1に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項3】
前記品質変換手段が、前記コンテンツの一部を抽出して他の部分を削除することによって、コンテンツ品質を低下させるものであり、
前記第2コンテンツのコンテンツ品質が、前記コンテンツの一部を抽出して他の部分を削除することによって低下されている場合に、前記管理手段が、前記第1コンテンツにおいて、コンテンツ品質が低下されている前記第2コンテンツに対応する位置をさらに管理し、
前記再生制御手段が、前記第2コンテンツが再生指示された場合、前記管理手段の管理内容に基づいて、前記第2コンテンツの代わりに、前記第1コンテンツのコンテンツ品質が低下された前記第2コンテンツに対応する位置を再生させる、請求項2に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項4】
受信装置によって受信された放送データに含まれる複数のコンテンツを記憶媒体に記録させる記録手段と、
前記記憶媒体に第1コンテンツが新たに記録されたとき、前記第1コンテンツと同一のコンテンツであって、前記記憶媒体に記録されてから所定時間経過している第2コンテンツを削除する削除手段と、
前記削除手段が前記第2コンテンツを削除した際に、前記第1コンテンツと前記第2コンテンツとを対応付けて管理する管理手段と、
前記第2コンテンツが再生指示された場合、前記管理手段の管理内容に基づいて、前記第2コンテンツの代わりに前記第1コンテンツを再生させる再生制御手段とを備える、コンテンツ管理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のコンテンツ管理装置の各手段をコンピュータに実行させる、コンテンツ管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−78035(P2011−78035A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230049(P2009−230049)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000000273)オンキヨーサウンド&ビジョン株式会社 (502)
【Fターム(参考)】