説明

コンバインの刈取部

【課題】切断装置から発生する振動および騒音を低減し、かつ穀稈を切断装置で確実に切断することができる、コンバインの刈取部を提供する。
【解決手段】コンバインの刈取部において、刈取フレーム110には、分草具を先端部に設ける複数の分草フレーム114を備えて、複数の分草フレーム114を切断装置23の下方で脱穀部30側から分草具側へ延出して、左右方向に所定間隔ごとに平行に並設し、切断装置23には、穀稈を株元側で切断する複数の円盤形状の切断刃231を備えて、複数の切断刃231を、各切断刃231が平面視で分草フレーム114間に位置するように、左右方向に略同一直線上に並設し、複数の切断刃231のうち、隣り合う切断刃231を相互間に分草フレーム114の左右幅だけ所定間隔をとって配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀稈を刈り取る、コンバインの刈取部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、引き起こされた穀稈を切断する切断装置を備える、コンバインの刈取部は公知となっている。このようなコンバインの刈取部において、切断装置は、穀稈を切断するための切断刃として、左右方向に延設した固定刃および可動刃を備え、固定刃と可動刃を上下に重ねた状態で、可動刃を固定刃に対して可動刃を往復摺動させることで、穀稈を切断するように構成されていた。
【0003】
しかし、このような切断装置では、固定刃および可動刃による穀稈の切断時に大きな振動および騒音が発生するという問題があった。そこで、この問題を解消するために、穀稈を切断するための切断刃として、円盤形状の切断刃を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この切断装置は、複数の円盤形状の切断刃(円板型の回転カッター)を左右方向に略同一直線上に並べて配置して、各々を回転駆動させることで、穀稈を切断するように構成されていた。
【特許文献1】特開平11−46552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のようなコンバインの刈取部は、切断装置で発生する振動および騒音の低減を図ることはできるが、引き起こされた一条の穀稈に対して、複数の円盤形状の切断刃を設けるため、一部の切断刃については穀稈を分草フレーム(分草杆)により案内して切断時に支持することができず、うまく切断することができない場合があった。
【0005】
そこで本発明は、切断装置から発生する振動および騒音を低減し、かつ穀稈を切断装置で確実に切断することができる、コンバインの刈取部を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、穀稈を分草する分草具と、前記分草具により分草された複数条の穀稈を引き起こす引起装置と、前記引起装置により引き起こされた複数条の穀稈を切断する切断装置と、前記切断装置により切断された穀稈を脱穀部側へ搬送する搬送装置と、前記分草具および各前記装置を支持する刈取フレームとを備える、コンバインの刈取部であって、前記刈取フレームは、前記分草具を先端部に設ける複数の分草フレームを備えて、複数の分草フレームを前記切断装置の下方で前記脱穀部側から前記分草具側へ延出して、左右方向に所定間隔ごとに平行に並設し、前記切断装置は、穀稈を株元側で切断する複数の円盤形状の切断刃を備えて、複数の前記切断刃を、各切断刃が平面視で前記分草フレーム間に位置するように、左右方向に略同一直線上に並設し、複数の前記切断刃のうち、隣り合う前記切断刃を相互間に前記分草フレームの左右幅だけ所定間隔をとって配置するものである。
【0008】
請求項2においては、前記刈取フレームは、複数の前記分草フレームのうち、最外側に位置する左右一方の外側分草フレームと、該外側分草フレームと隣り合う内側分草フレームとの間隔を、他の分草フレーム同士の間隔よりも大きく設定し、前記切断装置は、前記切断刃よりも小径に構成され、穀稈を株元側で切断する一つの円盤形状の補助切断刃を回転駆動可能に備えて、前記補助切断刃を前記外側分草フレームと前記内側分草フレームとの間で切断刃と一部重複させて並設するものである。
【0009】
請求項3においては、前記刈取フレームは、前記引起装置により引き起こされた穀稈を前記分草フレーム側から前記切断刃の中央付近側へ案内する上ガイド体を、該切断刃の前方から上方へ向けて延出するように、該分草フレームに設けるものである。
【0010】
請求項4においては、前記刈取フレームは、前記引起装置により引き起こされた穀稈を前記分草フレーム側から前記切断刃の中央付近側へ案内する下ガイド体を、該切断刃の前方から下方へ向けて延出するように、該分草フレームに設けるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、切断装置から発生する振動および騒音を低減することができる。しかも、引起後の穀稈を分草フレームにより切断刃まで案内して、切断刃により円滑に切断することができる。その上、切断刃を分草フレームにより下側から保護することができる。よって、分草フレームを引起後の穀稈を切断刃まで案内する案内体、かつ切断刃を保護する保護体として利用でき、切断装置の構成の簡易化を図ることができる。また、隣り合う切断刃を重複させて配置する必要がないため、切断刃の小型化を図ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、切断装置の切断幅を補助切断刃により調節可能とし、この調節部分においても引起後の穀稈を切断刃および補助切断刃にて確実に切断することができる。補助切断刃を外側分草フレームにより下側から保護することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、引起後の穀稈を上ガイド体で案内して支持しながら、切断刃により切断することが可能となり、穀稈切断性能の向上を図ることができる。また、切断刃の上に乗った雑草や塵などを上ガイド体で掻き落とすことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、引起後の穀稈を下ガイド体で案内して支持しながら、切断刃により切断することが可能となり、穀稈切断性能の向上を図ることができる。さらに、切断刃を下ガイド体で下側から保護することができる。また、上ガイド体に加えて、下ガイド体を備えることで、引起後の穀稈が折れ曲がったり、切断刃の下方へ入り込んだりするのを防ぐことが可能となり、この穀稈を円滑に案内して、効果的に切断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0017】
まず、本発明の一実施形態に係る刈取部20を有する四条刈りのコンバイン1の全体構成について説明する。なお、本発明に係る刈取部は、四条刈りのコンバインに限らず、多条刈りのコンバインに適用可能である。
【0018】
図1に示すように、コンバイン1には、機体フレーム2に対して、走行部10と、刈取部20と、脱穀部30と、選別部40と、穀粒貯溜部50と、排藁処理部60と、エンジン部70と、ミッション部80と、操縦部90とが備えられる。
【0019】
走行部10は、機体フレーム2の下部に設けられる。走行部10は、左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置11などを有し、クローラ式走行装置11により機体を前進または後進方向に走行させることができるように構成される。
【0020】
刈取部20は、機体フレーム2の前端部に機体に対して昇降可能に設けられる。刈取部20は、分草具21や、引起装置22や、切断装置23や、搬送装置24などを有し、分草具21により圃場の穀稈を分草し、引起装置22により分草後の穀稈を引き起こし、切断装置23により引起後の穀稈を切断し、搬送装置24により切断後の穀稈を脱穀部30側へ搬送することができるように構成される。
【0021】
脱穀部30は、機体フレーム2の左側前部に設けられ、刈取部20の後方に配置される。脱穀部30は、搬送装置31や、扱胴や、受網などを有し、搬送装置31により刈取部20から搬送されてくる穀稈を受け継いで排藁処理部60側へ搬送し、扱胴および受網により搬送中の穀稈を脱穀することができるように構成される。
【0022】
選別部40は、機体フレーム2の左側部に設けられ、脱穀部30の下方に配置される。選別部40は、揺動選別装置や、風選別装置や、穀粒搬送装置や、藁屑排出装置などを有し、揺動選別装置により脱穀部30から落下する脱穀物を穀粒と藁屑や塵埃などとに揺動選別し、風選別装置により揺動選別後のものを更に穀粒と藁屑や塵埃などとに風選別し、穀粒搬送装置により選別後の穀粒を穀粒貯溜部50側へ搬送する一方、藁屑排出装置により藁屑や塵埃などを外部へ排出することができるように構成される。
【0023】
穀粒貯溜部50は、機体フレーム2の右側後部に設けられ、脱穀部30および選別部40の右側方に配置される。穀粒貯溜部50は、穀粒タンク51や、穀粒排出装置52などを有し、穀粒タンク51により選別部40から搬送されてくる穀粒を貯溜し、穀粒排出装置52により貯溜中の穀粒を任意の方向に搬送してから外部へ排出することができるように構成される。
【0024】
排藁処理部60は、機体フレーム2の左側後部に設けられ、脱穀部30の後方に配置される。排藁処理部60は、排藁搬送装置や、排藁切断装置などを有し、排藁搬送装置により脱穀部30から搬送されてくる脱穀済みの穀稈を受け継いでこれを排藁として外部へ排出する、もしくは排藁切断装置へ搬送して、排藁切断装置により切断してから外部へ排出することができるように構成される。
【0025】
エンジン部70は、機体フレーム2の右側前部に設けられ、穀粒貯溜部50の前方に配置される。エンジン部70は、エンジンなどを有し、その動力を当該エンジンを駆動源とする各部の装置に適宜の伝動機構を介して供給して、エンジンにより各部の装置を駆動させることができるように構成される。
【0026】
ミッション部80は、機体フレーム2の右側前部に設けられ、エンジン部70の前方に配置される。ミッション部80は、トランスミッションなどを有し、エンジン部70のエンジンの動力が走行部10や刈取部20などの各装置へ供給される前に、トランスミッションにより当該動力を変速することができるように構成される。
【0027】
操縦部90は、機体フレーム2の右側前部に設けられ、エンジン部70およびミッション部80の上方に配置される。操縦部90は、ステアリングハンドル91および変速レバーを含む各種の操作具や、操縦席92や、キャビン93などを有し、操作具により各部の装置などを操作し、操縦席92に操縦者を着座させ、キャビン93により操作具や操縦席92を覆うことができるように構成される。
【0028】
このように、コンバイン1は、各部を機体フレーム2に適宜に設けて構成され、操縦部90での操作具の操作に応じて、エンジン部70からエンジンの動力を各部の装置に供給するなどして、走行部10にて機体を走行させながら、刈取部20で圃場の穀稈を刈り取り、脱穀部30で刈取部20からの穀稈を脱穀し、選別部40で脱穀部30からの脱穀物を選別して、穀粒貯溜部50で選別部40からの穀粒を貯溜すると同時に、排藁処理部60で脱穀部30からの排藁を外部へ排出することができるように構成される。
【0029】
次に、刈取部20の構成について説明する。
【0030】
図2に示すように、刈取部20は、前述の分草具21と、引起装置22と、切断装置23と、搬送装置24とに加えて、刈取フレーム110を有し、刈取フレーム110で機体フレーム2の左側前端部に支持され、機体フレーム2の前方に配置される。
【0031】
この刈取部20の支持部において、機体フレーム2側では、機体フレーム2の左側前端部に左右一対の支持台3が左右方向に所定間隔をとって平行に立設されている。左右の各支持台3上にはパイプ受部材4が設けられる。
【0032】
刈取部20側では、刈取フレーム110に刈取入力パイプ111が備えられる。そして、刈取入力パイプ111が、機体フレーム2の左側前端部の上方であって、左右の支持台3上のパイプ受部材4の間に左右方向に水平に横設され、その左右の端部でそれぞれ支持台3上のパイプ受部材4に回動自在に支持される。
【0033】
また、刈取フレーム110には、刈取入力パイプ111とともに、縦伝動パイプ112と、横伝動パイプ113と、複数の分草フレーム114と、駆動パイプ115と、左右の引起縦伝動パイプ116と、引起横伝動パイプ117と、複数の引起駆動パイプ118と、連結フレーム119とが備えられる。
【0034】
この刈取フレーム110において、縦伝動パイプ112は、刈取入力パイプ111の前方に配置され、刈取入力パイプ111の左右中途部から前斜下方へ向けて延設される。横伝動パイプ113は、縦伝動パイプ112の前方に配置され、縦伝動パイプ112の先端部から左右方向へ延設される。
【0035】
複数の分草フレーム114は、横伝動パイプ113の前方に配置され、左右方向に適宜の間隔をとって互いに平行に並設される。これらの分草フレーム114のうち、最外側に位置する左右の外側分草フレーム114Aは、横伝動パイプ113の左右の端部からそれぞれ前方へ向けて延設される。
【0036】
複数の分草フレーム114のうち、残りの左右の外側分草フレーム114Aよりも内側に位置する内側分草フレーム114Bは、駆動パイプ115の左右中途部から左右方向に所定間隔ごとに前方へ向けて延設される。
【0037】
ここで、これらの内側分草フレーム114Bは、左右の外側分草フレーム114Aの間において、内側分草フレーム114Bと右外側分草フレーム114Aとの左右幅が、内側分草フレーム114B同士の左右幅、および内側分草フレーム114Bと左外側分草フレーム114Aとの左右幅よりも大きくなるように配置される。
【0038】
駆動パイプ115は、横伝動パイプ113の前斜下方に配置され、左右の外側分草フレーム114Aの後部の間に左右方向に水平に横設される。つまり、駆動パイプ115は、横伝動パイプ113と前後方向に所定間隔をとって互いに平行に並設される。
【0039】
左右の引起縦伝動パイプ116は、横伝動パイプ113の上方に配置され、横伝動パイプ113の左右の端部から前斜上方へ向けて立設される。引起横伝動パイプ117は、横伝動パイプ113の前上方に配置され、左右の引起縦伝動パイプ116の上端部の間に左右方向に水平に横設される。
【0040】
複数の引起駆動パイプ118は、引起横伝動パイプ117の下方に配置され、引起横伝動パイプ117の左右中途部から左右方向に所定間隔ごとに下方へ向けて延設される。また、連結フレーム119は、引起横伝動パイプ117の後方に配置され、引起横伝動パイプ117の左右中途部から縦伝動パイプ112の後部まで後方へ向けて延設される。
【0041】
こうして、刈取フレーム110は、刈取入力パイプ111と、縦伝動パイプ112と、横伝動パイプ113と、複数の分草フレーム114と、駆動パイプ115と、左右の引起縦伝動パイプ116と、引起横伝動パイプ117と、複数の引起駆動パイプ118と、連結フレーム119とを一体的に連結して構成される。
【0042】
そして、このような刈取フレーム110に、分草具21や、引起装置22や、切断装置23や、搬送装置24などが適宜に支持される。刈取フレーム110に支持される際、分草具21と、引起装置22と、搬送装置24とは、この順で前から後に向けて配置され、切断装置23は、引起装置22の後方で搬送装置24の搬送始端部の下方に配置される。
【0043】
図3にも示すように、分草具21には、四条分五つの分草板211が備えられる。これらの分草板211はそれぞれ先細形状とされ、複数の分草フレーム114、即ち左右の外側分草フレーム114Aおよび三つの内側分草フレーム114Bの先端部に前方へ向けて突設される。
【0044】
引起装置22には、四条分四つの引起ケース221が備えられる。各引起ケース221はタイン付チェン222などを有し、これらを回転駆動可能とするように構成される。これらの引起ケース221は分草具21の後方で左右方向に適宜の間隔をとって並べて配置され、分草フレーム114と引起駆動パイプ118との間に前低後高の傾斜状に立設される。
【0045】
搬送装置24には、掻込機構241と、搬送機構245とが備えられる。掻込機構241は、搬送装置24の前部側に配置され、この搬送装置24の搬送始端部に設けられている。一方、搬送機構245は、搬送装置24の後部側に配置され、搬送装置24の搬送中途部および搬送終端部に設けられている。
【0046】
掻込機構241には、左右の掻込装置242L・242Rと、四つの掻込輪243とが備えられる。左右の掻込装置242L・242Rは、それぞれ左右一対で一組の突起付ベルトなどを有し、これらを回転駆動可能とするように構成される。左右の掻込装置242L・242Rは、それぞれ引起ケース221の後方に配置され、引起ケース221側から後方へ向けて、前低後高の傾斜状に延設される。
【0047】
左右の掻込装置242L・242Rは、またそれぞれ左右一対で一組の突起付ベルトを左または右側二つの引起ケース221の間に向けて前方へ大きく開くように配置される。つまり、左右の各掻込装置242L・242Rは、二つの引起ケース221の前部側の左右幅が広くなり、後部側の左右幅が狭くなるように配置される。
【0048】
四つの掻込輪243は、それぞれスターホイルとされ、回転駆動可能に構成される。各掻込輪243は、左右の掻込装置242L・242Rの各突起付ベルトの後部下方に配置され、前低後高の傾斜状に設けられる。
【0049】
搬送機構245には、左右の下部搬送装置246L・246Rと、上部搬送装置247と、縦搬送装置248と、補助搬送装置249とが備えられる。各搬送装置はチェンなどを有し、これらを回転駆動可能とするように構成される。左下部搬送装置246Lは、左掻込装置242Lの後方に配置され、左掻込装置242L側から右斜後方へ向けて、前低後高の傾斜状に延設される。右下部搬送装置246Rは、右掻込装置242Rの後方に配置され、右掻込装置242R側から左斜後方へ向けて前低後高の傾斜状に延設される。
【0050】
上部搬送装置247は、引起装置22の後方であって右下部搬送装置246Rの上方に配置され、右掻込装置242R側から左斜後方へ向けて、前低後高の傾斜状に延設される。縦搬送装置248は、左下部搬送装置246Lの後方であって、上部搬送装置247の下方に配置され、左下部搬送装置246L側から左斜後方へ向けて前低後高の傾斜状に延設される。補助搬送装置249は、縦搬送装置248の後方であって、上部搬送装置247の下方に配置され、縦搬送装置248側から後方へ向けて脱穀部30の搬送装置31まで延設される。
【0051】
切断装置23には、切断刃231と補助切断刃232とからなる複数の切断刃と、アクチュエータ233とが備えられる。切断刃231および補助切断刃232は、後述するように、掻込機構241の下方に配置され、前低後高の傾斜状に設けられる。そして、アクチュエータ233が、切断刃231および補助切断刃232の近傍に配置され、これらの切断刃231および補助切断刃232と連動連結される。
【0052】
さらに、これらの分草具21および各装置を支持する刈取フレーム110においては、刈取入力パイプ111の内部に刈取入力軸121が内挿されるとともに、その他の各パイプの内部に刈取伝動軸が内挿される。そして、引起装置22および搬送装置24が各刈取伝動軸や刈取入力軸を介してエンジン部70のエンジンと連動連結される。
【0053】
こうして、引起装置22および搬送装置24は、エンジン部70のエンジンを駆動源としてこれから供給される動力を得て、駆動することができるようになっている。また、切断装置23は、アクチュエータ233を駆動源としてこれの動力を用いて、単独で駆動する、言い換えればエンジンから独立して駆動することができるように構成される。
【0054】
このような構成により、刈取部20において、各装置が駆動される場合に、分草具21の分草板211により圃場の穀稈が一条ごとに分離するように分草された後、引起装置22で引起ケース221により分草後の穀稈が引き起こされる。つづいて、搬送装置24の掻込機構241で左右の掻込装置242L・242Rと掻込輪243とによりそれぞれ左または右側二つの引起ケース221の間から導入される引起後の左または右側二条分の穀稈の株元側が一束に掻寄せられ掻き込まれる。
【0055】
このとき、切断装置23で切断刃231および補助切断刃232により引越後の穀稈が株元側で切断される。切断された後、穀稈は搬送装置24の搬送機構245で右下部搬送装置246Rにより右二条分の穀稈が左斜後方へ搬送されると同時に、左下部搬送装置246Lにより左二条分の穀稈が右斜後方へ搬送されて、四条分の穀稈の株元側が右下部搬送装置246Rの搬送終端部付近で合流させられる。
【0056】
次に、上部搬送装置247により四条分の穀稈の穂先側が寄せ集められながら左斜後方へ搬送されるとともに、縦搬送装置248により右下部搬送装置246Rの搬送終端部付近にて合流させられた四条分の穀稈の株元側が脱穀部30の搬送装置31へ向けて後斜上方に搬送され、補助搬送装置249により穀稈の株元側が縦搬送装置248から脱穀部30の搬送装置31へ渡される。このようにして、刈取部20で穀稈の一連の刈取作業が行われる。
【0057】
また、刈取部20において、刈取フレーム110は、縦伝動パイプ112の前後中途部を機体フレーム2の前下部から前方へ向けて延設される昇降シリンダ5の先端部に連結させ、この昇降シリンダ5の伸縮駆動に応じて刈取入力パイプ111回りに上下方向に回動可能に構成される。なお、昇降シリンダ5は、操縦部90の操作具の手動操作などに応じて伸縮駆動可能とされる。
【0058】
刈取フレーム110は、昇降シリンダ5が伸縮駆動される場合、昇降シリンダ5の伸長駆動時には、刈取入力パイプ111回りに上方へ回動され、昇降シリンダ5の収縮駆動時には、刈取入力パイプ111回りに下方へ回動される。これにより、刈取部20全体が、刈取フレーム110の上方への回動時に、機体に対して上昇され、刈取フレーム110の下方への回動時に、機体に対して下降される。
【0059】
つづいて、本発明の要部となる切断装置23付近の構成について説明する。
【0060】
図4および図5に示すように、切断装置23には、前記引起装置22により引き起こされる穀稈の条数、即ち刈り取る穀稈の刈取条数と同数の複数の切断刃231と、一つの補助切断刃232と、アクチュエータ233とが備えられる。本実施形態においては、刈取条数が四条であるので、切断装置23には、第一切断刃231Aと、第二切断刃231Bと、第三切断刃231Cと、第四切断刃231Dとなる四つの切断刃231が備えられる。
【0061】
第一から第四切断刃231A〜231Dは、それぞれ所定幅の径をもって円盤形状に形成され、同一形状とされる。補助切断刃232は、切断刃231と同様に円盤形状に形成され、第一から第四切断刃231A〜231Dよりも小径とされる。そして、第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232は、その外周縁部に刃部を、中心部に固定部を有して構成される。
【0062】
なお、第一から第四切断刃231A〜231Dの径は、一条分の穀稈を切断することができる程度に設定される。一方、補助切断刃232の径は、第一から第四切断刃231A〜231Dの径よりも小さな範囲で切断装置23の切断幅に応じて適宜に設定される。実際には、補助切断刃232は、切断装置23の切断幅に応じて適切な径をもったものに変更されて用いられる。
【0063】
第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232は、横伝動パイプ113よりも前方であって、左右の外側分草フレーム114Aの間に、この順に左から右に向かって配置される。ここで、第一から第四切断刃231A〜231Dは、各々同一平面上で、左右方向に同一直線上に並べられる。補助切断刃232は、第一から第四切断刃231A〜231Dと略同一平面状上で、複数の切断刃231のうち、最外側に位置する左右一方(右方)の第四切断刃231Dの外側方に並べられる。
【0064】
複数の切断刃231のうち、左右他方(左方)の最外側に位置する第一切断刃231Aは、平面視で刃部の左端部が左外側分草フレーム114Aと若干重複するように、左外側分草フレーム114Aのすぐ内側に配置される。第二切断刃231Bは、平面視で刃部の左右の各端部が内側分草フレーム114Bと若干重複するように、隣り合う内側分草フレーム114Bの間に配置される。第三切断刃231Cは、平面視で刃部の左右の各端部が内側分草フレーム114Bと若干重複するように、隣り合う内側分草フレーム114Bの間に配置される。
【0065】
第四切断刃231Dは、平面視で刃部の左端部が内側分草フレーム114Bと若干重複するように、内側分草フレーム114Bのすぐ外側に配置される。補助切断刃232は、平面視で刃部の右端部が右外側分草フレーム114Aと若干重複するように、右外側分草フレーム114Aのすぐ内側に配置される。つまり、第四切断刃231Dと補助切断刃232とはともに隣り合う内側分草フレーム114Bと外側分草フレーム114Aとの間に配置される。
【0066】
これらの切断刃231のうち、隣り合う切断刃231は、互いに一部を重複させず、相互間にあらかじめ左右方向に所定幅をとって配置される。具体的には、第一切断刃231Aと第二切断刃231Bと、第二切断刃231Bと第三切断刃231Cと、第三切断刃231Cと第四切断刃231Dとが、それぞれ相互間に内側分草フレーム114Bの左右幅と略同程度の幅をとって配置される。
【0067】
一方、隣り合う補助切断刃232と第四切断刃231Dとは、互いに一部を重複させて配置される。こうして、第一から第四切断刃231A〜231Dと左外側分草フレーム114Aまたは内側分草フレーム114Bとが、それぞれ平面視で互いの間に隙間が生じないように配置されるとともに、補助切断刃232と右外側分草フレーム114Aおよび第四切断刃231Dとが、それぞれ平面視で互いの間に隙間が生じないように配置される。
【0068】
ここで、補助切断刃232は、前述のように、内側分草フレーム114Bと右外側分草フレーム114Aとの間の左右幅が、他の分草フレーム114間の左右幅よりも大きく設定されていることから、内側分草フレーム114Bと右外側分草フレーム114Aとの間に、隣り合う第四切断刃231Dとともに、これと一部重複するように配置される。
【0069】
その上、第一から第四切断刃231A〜231Dは、それぞれ搬送装置24の掻込機構241に備えられた各掻込輪243の略直下方に配置され、引起装置22側が低くなり、脱穀部30側が高くなる、即ち前低後高の傾斜状に設けられる。こうして、掻込輪243と第一から第四切断刃231A〜231Dとはともに前低後高の傾斜状に設けられ、互いに異なる傾斜度合いをもって、即ち平行とはならずに上下に並べられる。
【0070】
各第一から第四切断刃231A〜231Dの水平な地面に対する傾斜度合いは、各掻込輪243の水平な地面に対する傾斜度合いよりも緩やかに設定される。言い換えれば、各第一から第四切断刃231A〜231Dの水平な地面に対する傾斜度合いは、各掻込輪243が各第一から第四切断刃231A〜231Dよりも水平な地面に対してより大きく傾くように設定される。
【0071】
各第一から第四切断刃231A〜231Dの傾斜度合いは、更にその後方に配置された刈取フレーム110の横伝動パイプ113が側面視における第一から第四切断刃231A〜231Dの脱穀部30側への延長線よりも下方に位置するように設定される。なお、複数の掻込輪243の傾斜度合いは同一に設定される。
【0072】
また、補助切断刃232は、複数の掻込輪243のうち、最外側に位置する右掻込輪243の右下方に配置され、第一から第四切断刃231A〜231Dと同様に前低後高の傾斜状に設けられる。補助切断刃232の傾斜度合いは、第一から第四切断刃231A〜231Dの傾斜度合いと同程度に設定される。
【0073】
補助切断刃232は、更に第四切断刃231Dの前部の右外側方で、刃部の前端側が第一から第四切断刃231A〜231Dの刃部の前端側と左右方向に揃うように前寄りに配置される。これにより、補助切断刃232の後方であって、第四切断刃231Dの後部の右外側方に、即ち切断装置23の右端部に、アクチュエータ233を設置可能とする大きさをもったアクチュエータ設置用空間235が形成される。
【0074】
また、第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232の側方では、各分草フレーム114の後部が、第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232と同程度の傾斜度合いで前低後高の傾斜状に屈曲される。これらの分草フレーム114の後部と、第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232とは、側面視で互いに平行に下上に並べられる。
【0075】
そして、複数の分草フレーム114のうち、左右の外側分草フレーム114Aの後部に、左右のカバー体130が前斜上方へ向けて延設される。左右の各カバー体130は、前後および上下幅を最外側に位置する第一切断刃231Aや補助切断刃232の前後および上下幅よりも大きく設定されて、第一切断刃231Aや補助切断刃232を左右の外側方から覆うことができるようになっている。
【0076】
図6および図7に示すように、アクチュエータ233は、前述のアクチュエータ設置用空間235に設けられる。アクチュエータ233は、油圧モータで構成され、動力を第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232に伝動機構を介して供給し、これらを回転駆動させることができるようになっている。なお、アクチュエータ233は、電動モータなどで構成してもよく、油圧モータに限定するものではない。
【0077】
アクチュエータ233は、機体の任意位置に備えられる制御装置により駆動制御されるようになっている。この制御装置は、アクチュエータ233と接続されるとともに、操縦部90の操作具と、刈取部20の引起装置22や搬送装置24の駆動状態を検知する検知センサ、たとえば、エンジン部70のエンジンから刈取部20の引起装置22や搬送装置24への動力供給を切り替える刈取クラッチの入切状態を検知する刈取クラッチ検知センサなどと接続される。
【0078】
そして、アクチュエータ233の駆動状態が、操縦部90の操作具の手動操作に応じて、制御装置により正転方向への駆動と、逆転方向への駆動と、停止とのいずれかの状態に制御されるように構成される。また/あるいは、検知センサにて検知された刈取部20の引起装置22や搬送装置24の駆動状態に応じて、引起装置22や搬送装置24と連動して駆動または停止の一方の状態に自動で制御されるように構成される。
【0079】
なお、アクチュエータは、制御装置にて電気的に駆動制御するだけでなく、機械的に駆動制御するように構成することもできる。たとえば、アクチュエータが油圧モータである場合、油圧モータと当該油圧モータに作動油を送る油圧ポンプとを接続する配管の途中に切換バルブを配設し、この切換バルブに操縦部の操作具や刈取クラッチを連動連結することで、前記同様にアクチュエータの駆動状態を制御することが可能となる。
【0080】
このアクチュエータ233は、アクチュエータ設置用空間235において、横伝動パイプ113と駆動パイプ115との間に介設される。駆動パイプ115は、前述のように配置されるとともに、第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232の下方、特にこれらの固定部の下方付近を通るように配置され、左右の各端部で外側分草フレーム114Aの前低後高の傾斜状とされた後部に連結される。
【0081】
駆動パイプ115には、左右方向に延伸されるパイプ本体115aに対して、第一延出部115bと、複数の第二延出部115cとが備えられる。第一延出部115bは、補助切断刃232の下方付近で、パイプ本体115aの右側部から前後へ向けて前低後高状に延設される。第一延出部115bは、前端部が補助切断刃232の固定部の下方を通って刃部よりも突出しない程度に前方へ向けて延出される一方、後端部が刃部よりも突出するように後方へ向けて延出され、この後端部でアクチュエータ233と連結される。
【0082】
複数の第二延出部115cは、それぞれ第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232の固定部の下方に配置される。これらの第二延出部115cのうち、四つの第二延出部115cはそれぞれパイプ本体115aの左右中途部から、一つの第二延出部115cは第一延出部115bから前斜上方へ向けて、第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232のすぐ手前まで延設される。
【0083】
そして、このようにパイプ本体115aと、第一延出部115bと、複数の第二延出部115cとから構成される駆動パイプ115の内部に、切断装置23の伝動機構が設けられる。この伝動機構には、縦駆動軸236や、横駆動軸237や、複数の回転駆動軸238や、複数のベベルギヤなどが備えられる。
【0084】
縦駆動軸236は、第一延出部115bの内部に配置され、補助切断刃232の固定部の下方を通るように、アクチュエータ233から前下方へ向けて延設される。縦駆動軸236は、前後方向の適宜の箇所で第一延出部115bに軸受を介して回転自在に支持されるとともに、アクチュエータ233の出力軸と連動連結される。なお、縦駆動軸236は、アクチュエータ233の出力軸を兼ねるものとすることも可能である。
【0085】
横駆動軸237は、パイプ本体115aの内部に配置され、第一から第四切断刃231A〜231Dの固定部の下方を通るように、縦駆動軸236の中途部から左方向へ延設される。横駆動軸237は、左右方向の適宜の箇所でパイプ本体115aに軸受を介して回転自在に支持されるとともに、縦駆動軸236とベベルギヤを介して連動連結される。
【0086】
複数の回転駆動軸238は、それぞれ第二延出部115cの内部に配置され、横駆動軸237または縦駆動軸236の中途部から上方へ向けて、第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232の固定部まで延設される。複数の各回転駆動軸238は、上下方向の適宜の箇所で第二延出部115cに軸受を介して回転自在に支持されるとともに、第一から第四切断刃231A〜231D側の回転駆動軸238は、横駆動軸237とベベルギヤを介して連動連結され、補助切断刃232側の回転駆動軸238は、縦駆動軸236とベベルギヤを介して連動連結される。
【0087】
そして、第一から第四切断刃231A〜231Dが、側面視で回転駆動軸238の軸心方向に対し直交するように、固定部で第一から第四切断刃231A〜231Dの裏側に位置する回転駆動軸238の先端部に固設される。同様に、補助切断刃232が、側面視で回転駆動軸238の軸心方向に対し直交するように、固定部で補助切断刃232の裏側に位置する回転駆動軸238の先端部に固設される。
【0088】
こうして、アクチュエータ233は、第一から第四切断刃231A〜231Dと、縦駆動軸236や横駆動軸237や複数の回転駆動軸238などにより連動連結される。アクチュエータ233は、更に補助切断刃232と、縦駆動軸236や回転駆動軸238などにより連動連結される。
【0089】
これにより、アクチュエータ233が制御装置の駆動制御に基づいて駆動された場合に、動力がアクチュエータ233から第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232に伝動機構を介して伝達されて、第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232が回転駆動軸238を回転中心として回転駆動されるようになっている。
【0090】
回転駆動時における第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232の回転速度は、アクチュエータ233が制御装置により適宜に駆動制御されることによって、任意に調節可能とされ、第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232により穀稈が切断される際には、一定の回転速度となるように設定されるとともに、互いに同一の回転速度となるように設定される。なお、第一から第四切断刃231A〜231Dの回転速度を補助切断刃232の回転速度よりも速くなるように設定してもよい。
【0091】
また、第一から第四切断刃231A〜231Dの回転方向は、伝動機構によって、隣り合う切断刃231の回転方向が互いに異なる回転方向となるように設定される。具体的には、第一から第四切断刃231A〜231Dの回転方向は、第一切断刃231Aと第二切断刃231B、第二切断刃231Bと第三切断刃231C、第三切断刃231Cと第四切断刃231Dとの回転方向がそれぞれ互いに異なる回転方向となるように設定される。
【0092】
補助切断刃232の回転方向は、隣り合う切断刃231の回転方向と同一の回転方向となるように設定される。具体的には、補助切断刃232の回転方向は、第四切断刃231Dの回転方向と同一の回転方向となるように伝動機構で設定される。
【0093】
本実施形態においては、第一切断刃231Aと第三切断刃231Cとの回転方向は、図4における時計回り方向に設定され、第二切断刃231Bと第四切断刃231Dの回転方向は、図4における反時計回り方向に設定される。補助切断刃232の回転方向は、第四切断刃231Dと同様に、図4における反時計回り方向に設定される。
【0094】
こうして、第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232が回転駆動される場合、第一切断刃231Aと第二切断刃231Bとは、それぞれ上方の掻込輪243と同一の回転方向、即ち掻込輪243および左掻込装置242Lの掻込方向に回転駆動されるようになっている。
【0095】
第三切断刃231Cと第四切断刃231Dとは、それぞれ上方の掻込輪243と同一の回転方向、即ち掻込輪243および右掻込装置242Rの掻込方向に回転駆動されるようになっている。補助切断刃232は、第四切断刃231Dとその上方の掻込輪243と同一の回転方向、即ち掻込輪243および右掻込装置242Rの掻込方向に回転駆動されるようになっている。
【0096】
なお、第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232の各々の回転方向は、前記とは逆の回転方向に切り替えることも可能となっている。この回転方向の切替は、操縦部90の操作具が操作されることなどで、制御装置によりアクチュエータ233が駆動制御され、以前とは逆の回転方向となる正転方向または逆転方向に駆動されることで行われる。
【0097】
このような構成により、切断装置23付近においては、引起装置22と、搬送装置24とが駆動される場合に、切断装置23も同時に駆動される。つまり、アクチュエータ233から第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232に動力が伝達され、第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232が前述のように設定された回転速度および回転方向で回転駆動される。
【0098】
そして、分草後に引き起こされた左または右側二条分の穀稈が、搬送機構の左右の掻込装置242L・242Rや掻込輪243により後方へ掻き込まれながら、それぞれ一条分ごとに左右の外側分草フレーム114Aと内側分草フレーム114Bとの間、または内側分草フレーム114B同士の間を通って、各分草フレーム114により第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232側に向かって案内される。
【0099】
加えて、一条分ごとの穀稈のうち、左外側分草フレーム114Aと内側分草フレーム114Bとの間と、内側分草フレーム114Bと右外側分草フレーム114Aとの間とを通るものは、更に左右の外側分草フレーム114A上のカバー体130によっても左右の各掻込装置242L・242Rの掻込方向側、即ち内側に向かって案内される。
【0100】
一条分ごとの穀稈が、各分草フレーム114により案内されて、第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232に至ると、各穀稈が株元側で左外側分草フレーム114Aと内側分草フレーム114Bとの間では、第一切断刃231Aにより切断され、内側分草フレーム114B同士の間では、それぞれ第二切断刃231Bまたは第三切断刃231Cにより切断される。また、内側分草フレーム114Bと右外側分草フレーム114Aとの間では、第四切断刃231Dおよび補助切断刃232とにより切断される。
【0101】
この際、穀稈は第一から第四切断刃231A〜231Dおよび補助切断刃232により掻込輪243および左右の各掻込装置242L・242Rの掻込方向に送られつつ切断されるとともに、左右の各掻込装置242L・242Rや掻込輪243により更に左または右側二条分ごとに一束に掻寄せられ掻き込まれる。そして、前述のように、搬送機構245の左右の下部搬送装置246L・246Rにより後方へ搬送される。このようにして、切断装置23付近での作業が行われるようになっている。
【0102】
このような切断装置23においては、図8、図9に示すように、分草フレーム114に上ガイド体131と下ガイド体132とを設けることもできる。但し、分草フレーム114に上ガイド体131と下ガイド体132との双方を設けなくても、いずれか一方だけを単独で設けることもできる。
【0103】
上ガイド体131および下ガイド体132は、上下一対で一組とされ、一つの切断刃231に対して備えられる。上ガイド体131は、中途部で鈍角に屈曲した棒状体からなり、一方の屈曲部に固定部131aを、他方の屈曲部に案内部131bを有して構成される。下ガイド体132は、中途部で鈍角に屈曲した棒状体からなり、一方の屈曲部に固定部132aを、他方の屈曲部に案内部132bを有して構成される。但し、上ガイド体131および下ガイド体132は棒状体に限定するものではなく、板材とすることも可能である。
【0104】
上ガイド体131において、固定部131aは、分草フレーム114に沿って前後方向へ延出され、対応する切断刃231の前方付近で分草フレーム114の後部に固定される。案内部131bは、固定部131aから斜め後方へ向かって延出され、後端側が切断刃231の上方であって、切断刃231の中央付近に位置するように配置される。
【0105】
下ガイド体132において、固定部132aは、分草フレーム114に沿って前後方向へ延出され、対応する切断刃231の前方付近で分草フレーム114の後部に固定される。案内部132bは、固定部132aから斜め後方へ向かって延出され、後端側が切断刃231の下方であって、切断刃231の中央付近に位置するように配置される。
【0106】
そして、更に上ガイド体131および下ガイド体132の各案内部131b・132bは、掻込機構241の構成に応じて掻込輪243および左右の各掻込装置242L・242Rの掻込方向に延出される。
【0107】
具体的には、たとえば、第一切断刃231Aに対して備えられるものにおいては、各案内部131b・132bは外側分草フレーム114Aに固定された固定部131a・132aから右斜め後方へ向けて延出される。第二切断刃231Bに対して備えられるものにおいては、各案内部131b・132bは内側分草フレーム114Bの後部に固定された固定部131a・132aから左斜め後方へ向けて延出される。
【0108】
このように分草フレーム114に上ガイド体131および下ガイド体132を設けることにより、前述のように、分草フレーム114で切断刃231側に向かって案内される際に、穀稈を上ガイド体131および下ガイド体132にて更に分草フレーム114側から切断刃231の中央付近側へ案内し、当該穀稈の上下の二箇所で支持しつつ切断刃231により切断することが可能となる。
【0109】
また、このような切断装置23においては、切断刃231は、次のような一例の固定手段により回転駆動軸238に対して下方から着脱可能に固定される。なお、補助切断刃232は、切断刃231と同様に固定される。
【0110】
固定手段は、刈取フレーム110が上方へ回動された状態、つまり刈取部20が機体に対して上昇された状態で、切断刃231の着脱を行うことを可能とするものであり、たとえば、図10に示すように、複数のボルト251や、ナット252や、固定盤253などを備えて構成される。
【0111】
複数のボルト251は、切断刃231の中心部に備えられる固定部において、切断刃231の上面側に配置され、切断刃231の回転中心に対し周方向に所定間隔ごとに固設される。各ボルト251は、溶接ボルトなどとされ、頭部をできるだけ上方へ突出させないように、切断刃231に溶接などで固定される一方、ねじ部を切断刃231に貫通させて、切断刃231から下方へ突出される。
【0112】
固定盤253は、切断刃231の固定部と同程度の径をもって円盤形状に形成される。この固定盤253は、側面視で回転駆動軸238の軸心方向に対し直交するように配置され、中心部で回転駆動軸238の先端部に固定される。固定盤253には、ボルト251と同数のボルト挿通孔が、固定盤253の回転中心に対し周方向に所定間隔ごとに設けられる。
【0113】
そして、切断刃231の固定に際しては、まず複数のボルト251を付設した各切断刃231が、各ボルト251を固定盤253の対応するボルト挿通孔に挿通させて、固定盤253の上に載置される。その後、固定盤253側から突出される各ボルト251のねじ部がナット252のねじ孔と螺合される。これにより、切断刃231がボルト251およびナット252にて固定盤253に複数の箇所で締結され、この固定盤253を介して回転駆動軸238に固定される。
【0114】
一方、切断刃231の取外に際しては、切断刃231がボルト251およびナット252にて固定盤253を介して回転駆動軸238に固定された状態で、各ナット252が緩められて、対応するボルト251から外される。これにより、切断刃231と固定盤253との締結が解除され、切断刃231が回転駆動軸238から取外可能とされる。こうして、切断刃231が、固定手段により回転駆動軸238に対して下方から着脱可能に固定される。
【0115】
また、切断装置23において、切断刃231を、次のような別例の固定手段により回転駆動軸238に対して上方から着脱可能に固定するように構成することもできる。なお、補助切断刃232は、切断刃231と同様に固定される。
【0116】
この固定手段は、刈取フレーム110が下方へ回動された状態、つまり刈取部20が機体に対して下降された状態で、切断刃231の着脱を刈取部20の上方から行うことを可能とするものであり、たとえば、図11に示すように、複数のボルト261や、ナット262や、固定盤263などを備えて構成される。
【0117】
固定盤263は、切断刃231の固定部と同程度の径をもって円盤形状に形成される。この固定盤263は、側面視で回転駆動軸238の軸心方向に対し直交するように配置され、中心部で回転駆動軸238の先端部に固定される。
【0118】
複数のボルト261は、固定盤263の回転駆動軸238との固定部の周囲において、固定盤263の下面側に配置され、固定盤263の回転中心に対し周方向に所定間隔ごとに固設される。各ボルト261は、頭部を固定盤263と溶接などで固定させる一方、ねじ部を固定盤263に貫通させて、切断刃231側から上方へ突出される。
【0119】
ここで、切断刃231の中心部に備えられる固定部には、これらのボルト261と同数のボルト挿通孔が、切断刃231の回転中心に対し周方向に所定間隔ごとに設けられる。
【0120】
そして、切断刃231の固定に際しては、複数のボルト挿通孔を有する切断刃231が、各ボルト挿通孔を固定盤263の対応するボルト261に挿通させて、固定盤263の上に載置される。その後、切断刃231側から突出される各ボルト261のねじ部がナット262のねじ孔と螺合される。これにより、切断刃231がボルト261およびナット262にて固定盤263に複数の箇所で締結され、この固定盤263を介して回転駆動軸238に固定される。
【0121】
一方、切断刃231の取外に際しては、切断刃231がボルト261およびナット262にて固定盤263を介して回転駆動軸238に固定された状態で、各ナット262が緩められて外される。これにより、切断刃231と固定盤263との締結が解除され、切断刃231が回転駆動軸238から取外可能とされる。こうして、切断刃231が、固定手段により回転駆動軸238に対して上方から着脱可能に固定される。
【0122】
さらに、前記固定手段は、他の例では、図12(a)・(b)に示すように、ボルト271や、支持盤273などを備えて構成される。
【0123】
支持盤273は、切断刃231の固定部と同程度の径をもって円盤形状に形成される。この支持盤273の中心部にはボルト挿通孔が設けられる。また、切断刃231の支持盤273のボルト挿通孔と一致する位置に当該ボルト挿通孔と連通可能なボルト挿通孔が設けられるとともに、回転駆動軸238の中心部に前記ボルト挿通孔と連通可能なねじ孔が先端面から軸心方向に下方へ向けて延出するように設けられる。
【0124】
そして、切断刃231の固定に際しては、まず切断刃231が支持盤273の上に互いのボルト挿通孔を一致させるように載置される。その後、ボルト271が切断刃231の上面側から切断刃231および支持盤273のボルト挿通孔に挿入されて、回転駆動軸238のねじ孔に螺入される。これにより、切断刃231が支持盤273に支持されながら、ボルト251にて回転駆動軸238に締結されて固定される。
【0125】
一方、切断刃231の取外に際しては、切断刃231がボルト271にて回転駆動軸238に固定された状態で、ボルト271が緩められて、回転駆動軸238のねじ孔から外される。これにより、切断刃231と回転駆動軸238との締結が解除され、切断刃231が回転駆動軸238から取外可能とされる。こうして、切断刃231が、固定手段により回転駆動軸238に対し上方から着脱可能に固定される。
【0126】
また、切断刃231を前述のように回転駆動軸238に固定する場合、切断後の穀稈が切断刃231の上面側で上方へ突出する固定手段のボルト271に、雑草などが切断刃231の下面側で外部に露出する回転駆動軸238に引っかかり巻き付くという問題が生じる可能性がある。そこで、この問題の対策として、切断刃231の固定部に次のような構成を施すこともできる。
【0127】
たとえば、図12(a)に示すように、切断刃231の上面側ではその固定部に上カラー276が設けられる。上カラー276は、上端側が小径となり下端側が大径となる外径と、ボルト271の頭部を挿入可能な内径をもった側面断面視台形状の円筒体からなり、ゴムなどで構成される。上カラー276の下端側の開口部にはこれを閉塞する円盤部276aが備えられ、この円盤部276aの中心部にボルト挿通孔が設けられる。
【0128】
そして、切断刃231の固定に際して、上カラー276が切断刃231の上に互いのボルト通孔を一致させるように載置されて、ボルト271が切断刃231の上面側から上カラー276のボルト挿通孔に挿入され、ついで前述のように切断刃231および支持盤273のボルト挿通孔に挿入されて、回転駆動軸238のねじ孔238aに螺入される。これにより、上カラー276が切断刃231とともに回転駆動軸238に固定される。
【0129】
あるいは、図12(b)に示すように、切断刃231の上面側ではその固定部にキャップ277が設けられる。キャップ277は、上面が球状面となり下面が平面となる凸状体からなり、ゴムなどで構成される。キャップ277の下面の中心部には下方へ開口する嵌合溝277aが形成され、この嵌合溝にボルト271の頭部が嵌合可能とされる。
【0130】
そして、切断刃231の固定に際して、前述のように切断刃231がボルト271にて回転駆動軸238に固定された後、キャップ277の嵌合溝277aがボルト271の頭部に切断刃231の上方から嵌合され、キャップ277が切断刃231に下面で密接された状態に固定される。
【0131】
このように構成することにより、切断刃231の上面側において、上カラー276やキャップ277でボルト271を覆い隠し、切断後の穀稈がボルト271に引っかかり巻き付くのを防止することが可能となる。加えて、切断刃231の上面に雑草などが堆積しても、これらがボルト271に巻き付くのを防止することも可能となる。なお、ボルト271を六角穴付きボルトとすることで、ボルト271の頭部をできるだけ小さくして、上カラー276などの小型化を図ることが可能である。
【0132】
また、図12(c)に示すように、切断刃231の下面側ではその固定部に下カラー278が設けられる。下カラー278は、回転駆動軸238の径よりも大きな内径と、円筒形状の第二延出部115cの内径よりも小さい外径をもった円筒体からなり、ゴムや樹脂などで構成される。下カラー278の下端側には第二延出部115cの内径と略同一の外径をもった嵌入部278aが備えられ、上端側には第二延出部115cの外径よりも大きい外径をもった鍔状の当接部278bが備えられる。
【0133】
そして、切断刃231の固定に際して、切断刃231が回転駆動軸238に固定される前に、下カラー278が回転駆動軸238に外嵌され、この状態で嵌入部278aが第二延出部115cの先端側開口部に嵌入され固定される一方、当接部278bが回転駆動軸238に固定された切断刃231に当接される。なお、この例では固定手段に前述の支持盤273は含まれない。
【0134】
このように構成することにより、切断刃231の下面側において、下カラー278で回転駆動軸238を覆い隠し、特に当接部278bにて下カラー278と切断刃231との間隙をなくして、雑草などが回転駆動軸238に引っかかり巻き付くのを防止することが可能となる。加えて、下カラー278がゴムや樹脂で構成されることから、当接部278bで当接する切断刃231の異常摩耗を防ぎ、また不要な動力消費を防止することが可能となる。
【0135】
以上のように、本発明の一実施形態に係るコンバイン1の刈取部20は、穀稈を分草する分草具21と、分草具21により分草された複数条の穀稈を引き起こす引起装置22と、引起装置22により引き起こされた複数条の穀稈を切断する切断装置23と、切断装置23により切断された穀稈を脱穀部30側へ搬送する搬送装置24と、分草具21および各前記装置を支持する刈取フレーム110とを備えるものであって、刈取フレーム110は、分草具21を先端部に設ける複数の分草フレーム114を備えて、複数の分草フレーム114を切断装置23の下方で脱穀部30側から分草具21側へ延出して、左右方向に所定間隔ごとに平行に並設し、切断装置23は、穀稈を株元側で切断する複数の円盤形状の切断刃231を備えて、複数の切断刃231を、各切断刃231が平面視で分草フレーム114間に位置するように、左右方向に略同一直線上に並設し、複数の切断刃231のうち、隣り合う切断刃231を相互間に分草フレーム114の左右幅だけ所定間隔をとって配置するように構成される。
【0136】
これにより、切断装置23から発生する振動および騒音を低減することができる。しかも、引起後の穀稈を分草フレーム114により切断刃231まで案内して、切断刃231により円滑に切断することができる。その上、切断刃231を分草フレーム114により下側から保護することができる。よって、分草フレーム114を引起後の穀稈を切断刃231まで案内する案内体、かつ切断刃231を保護する保護体として利用でき、切断装置23の構成の簡易化を図ることができる。また、隣り合う切断刃231を重複させて配置する必要がないため、切断刃231の小型化を図ることができる。
【0137】
また、コンバイン1の刈取部20は、刈取フレーム110は、複数の分草フレーム114のうち、最外側に位置する左右一方の外側分草フレーム114Aと、この外側分草フレーム114Aと隣り合う内側分草フレーム114Bとの間隔を、他の分草フレーム114同士の間隔よりも大きく設定し、切断装置23は、切断刃231よりも小径に構成され、穀稈を株元側で切断する一つの円盤形状の補助切断刃232を回転駆動可能に備えて、補助切断刃232を外側分草フレーム114Aと内側分草フレーム114Bとの間で切断刃231と一部重複させて並設するように構成される。
【0138】
これにより、切断装置23の切断幅を補助切断刃232により調節可能とし、この調節部分においても引起後の穀稈を切断刃231および補助切断刃232にて確実に切断することができる。補助切断刃232を外側分草フレーム114Aにより下側から保護することができる。
【0139】
また、コンバイン1の刈取部20は、刈取フレーム110は、引起装置22により引き起こされた穀稈を分草フレーム114側から切断刃231の中央付近側へ案内する上ガイド体131を、この切断刃231の前方から上方へ向けて延出するように、分草フレーム114に設けるように構成される。
【0140】
これにより、引起後の穀稈を上ガイド体131で案内して支持しながら、切断刃231により切断することが可能となり、穀稈切断性能の向上を図ることができる。また、切断刃231の上に乗った雑草や塵などを上ガイド体131で掻き落とすことができる。
【0141】
また、コンバイン1の刈取部20は、刈取フレーム110は、引起装置22により引き起こされた穀稈を分草フレーム114側から切断刃231の中央付近側へ案内する下ガイド体132を、この切断刃231の前方から下方へ向けて延出するように、分草フレーム114に設けるように構成される。
【0142】
これにより、引起後の穀稈を下ガイド体132で案内して支持しながら、切断刃231により切断することが可能となり、穀稈切断性能の向上を図ることができる。さらに、切断刃231を下ガイド体132で下側から保護することができる。また、上ガイド体131に加えて、下ガイド体132を備えることで、引起後の穀稈が折れ曲がったり、切断刃231の下方へ入り込んだりするのを防ぐことが可能となり、この穀稈を円滑に案内して、効果的に切断することができる。
【0143】
また、コンバイン1の刈取部20は、切断装置23は、穀稈を株元側で切断する複数の円盤形状の切断刃231と、切断刃231よりも小径に構成され、穀稈を株元側で切断する一つの円盤形状の補助切断刃232とを回転駆動可能に備えて、複数の切断刃231を左右方向に略同一直線上に並べて配置し、補助切断刃232を複数の切断刃231のうち、最外側に位置する左右一方の切断刃231の外側方に配置するように構成される。
【0144】
これにより、切断装置23から発生する振動および騒音を低減することができる。しかも、刈取部20の種類によって切断装置23の切断幅が異なる場合であっても、補助切断刃232だけを適切な径をもったものに変更することで、切断装置23の切断幅の調節を行って、切断刃231はそのまま用いることが可能となる。したがって、切断刃231は刈取部20において切断装置23の切断幅にかかわらず共用化することができ、切断装置23の構成の簡易化を図ることができる。
【0145】
また、コンバイン1の刈取部20は、切断装置23は、切断刃231の数を引起装置22により引き起こされる穀稈の条数と同一として、一条の穀稈に対して一つの切断刃231を設けるように構成される。
【0146】
これにより、切断刃231を簡単に設置することができ、切断装置23の切断幅に応じた必要な補助切断刃232の選択も容易に行うことができる。
【0147】
また、コンバイン1の刈取部20は、切断装置23は、引起装置22により引き起こされる穀稈の最外側に位置する左右一方の一条に対しては一つの切断刃231に加えて、補助切断刃232を設けるように構成される。
【0148】
これにより、補助切断刃232による切断装置23の切断幅の調節を容易に行うことができる。
【0149】
また、コンバイン1の刈取部20は、切断装置23は、穀稈を株元側で切断する複数の円盤形状の切断刃231と、切断刃231よりも小径に構成され、穀稈を株元側で切断する一つの円盤形状の補助切断刃232と、複数の切断刃231および補助切断刃232を回転駆動させるアクチュエータ233とを備えて、複数の切断刃231および補助切断刃232を左右方向に略同一直線上に並べて配置するように構成される。
【0150】
これにより、切断装置23から発生する振動および騒音を低減することができる。しかも、複数の切断刃231を、コンバイン1のエンジンの運転状態にかかわらず、穀稈の切断に必要な回転速度で回転駆動させることが可能となり、穀稈を確実に切断することができる。したがって、穀稈切断性能の安定化を図ることができる。
【0151】
また、コンバイン1の刈取部20は、切断装置23は、アクチュエータ233を補助切断刃232の後方に配置するように構成される。
【0152】
これにより、補助切断刃232の後方に生じる空間を有効に活用して、アクチュエータ233を切断装置23にコンパクトに配置することができる。駆動源となるアクチュエータ233を切断刃231および補助切断刃232に近設させて、これらを互いに連動連結する伝動機構を簡易に構成することができる。
【0153】
また、コンバイン1の刈取部20は、切断装置23は、アクチュエータ233により複数の切断刃231および補助切断刃232をそれぞれ一定の回転速度で回転駆動可能とするように構成される。
【0154】
これにより、複数の切断刃231および補助切断刃232にて引起後の穀稈を確実に切断することができる。
【0155】
また、コンバイン1の刈取部20は、搬送装置24は、引起装置22により引き起こされる穀稈を脱穀部30側に掻き込む複数の掻込輪243を回転駆動可能に備えて、複数の掻込輪243を左右方向に略同一直線上に並べて配置し、切断装置23は、複数の切断刃231をそれぞれ各掻込輪243の下方に配置し、その掻込輪243と同一の回転方向に回転駆動可能とするように構成される。
【0156】
これにより、引起後の穀稈を切断刃231にて掻込輪243の掻込方向、即ち搬送装置24の搬送方向に合わせて円滑に切断して搬送することができる。
【0157】
さらに、コンバイン1の刈取部20は、切断装置23は、複数の切断刃231のうち、隣り合う切断刃231を互いに異なる回転方向に回転駆動可能とするように構成される。
【0158】
これにより、本実施形態のように、隣り合う切断刃231の回転方向を掻込輪243の掻込方向に合わせて設定した場合には、引起後の穀稈を切断刃231で掻込輪243の掻込方向、即ち搬送装置24の搬送方向に合わせて円滑に切断して搬送することができる。また、穀稈の切断時に、穀稈の株元側の乱れを軽減することができる。
【0159】
また、コンバイン1の刈取部20は、切断装置23は、補助切断刃232を複数の切断刃231のうち、最外側に位置する左右一方の切断刃231の外側方に配置し、補助切断刃232と、この補助切断刃232と隣り合う切断刃231とを同一の回転方向に回転駆動可能とするように構成される。
【0160】
これにより、引起後の穀稈を補助切断刃232でも掻込輪243の掻込方向、即ち搬送装置24の搬送方向に合わせて円滑に切断して搬送することが可能となる。
【0161】
また、コンバイン1の刈取部20は、切断装置23は、アクチュエータ233を正転方向または逆転方向に切り替えて駆動可能とするように構成される。
【0162】
これにより、アクチュエータ233を一方向に駆動させている場合に、切断刃231の切れ具合が悪くなり、穀稈切断性能が低下しても、アクチュエータ233を逆方向に駆動させて、穀稈切断性能を復活させることができる。
【0163】
また、コンバイン1の刈取部20は、切断装置23は、穀稈を株元側で切断する複数の円盤形状の切断刃231を回転駆動可能に備えて、複数の切断刃231を左右方向に略同一直線上に並べて配置し、複数の切断刃231に駆動源であるアクチュエータ233からの動力を伝達する伝動機構をこれらの切断刃231の下方に配置して、前記伝動機構に含まれる横駆動軸237を左右方向へ延設するとともに、前記伝動機構に含まれる複数の回転駆動軸238を横駆動軸237から上方へ延設し、各回転駆動軸238の先端部に切断刃231を設けるように構成される。
【0164】
これにより、切断装置23から発生する振動および騒音を低減することができる。しかも、切断刃231とアクチュエータ233とを連動連結する伝動機構を簡単な構造として、切断装置の簡素化を図ることができる。さらに、切断後の穀稈が、伝動機構の一部に巻き付くのを防止することができる。
【0165】
また、コンバイン1の刈取部20は、切断装置23は、縦駆動軸236を覆って支持する駆動パイプ115を複数の切断刃231の下方にわたって左右方向に横設し、駆動パイプ115の左右の各端部を刈取フレーム110、即ち外側分草フレーム114Aに連結して、駆動パイプ115と外側分草フレーム114Aとを一体的とするように構成される。
【0166】
これにより、刈取フレーム110に対する複数の切断刃231、ひいては切断装置23の支持構造を簡単にして、切断装置23および切断装置23を支持する刈取フレーム110の構成の簡素化を図ることができる。また、駆動パイプ115により刈取フレーム110全体の強度を向上させることができる。
【0167】
また、コンバイン1の刈取部20は、刈取フレーム110は、機体に対し上下方向に回動可能に設けられ、切断装置23は、複数の切断刃231を固定手段により回転駆動軸238に下方から着脱可能に固定するように構成される。
【0168】
これにより、刈取フレーム110の上方への回動時に、刈取フレーム110から別部材を取り外すこともなく、切断装置23の下方から切断刃231を容易に着脱することが可能となる。そのため、メンテナンスなどを簡単に行うことができる。
【0169】
また、コンバイン1の刈取部20は、搬送装置24は、引起装置22により引き起こされる穀稈を掻き込み脱穀部30側に搬送する複数の掻込輪243を回転駆動可能に備えて、複数の掻込輪243を左右方向に略同一直線上に並べて、引起装置22側が低くなり、脱穀部30側が高くなるように、即ち前低後高に傾斜状に配置し、切断装置23は、穀稈を株元側で切断する複数の円盤形状の切断刃231を回転駆動可能に備えて、複数の切断刃231を左右方向に略同一直線上に並べて、各々の切断刃231が各掻込輪243の下方に位置するように、かつ引起装置22側が低くなり、脱穀部30側が高くなるように、即ち前低後高に傾斜状に配置し、複数の切断刃231の地面に対する傾斜度合いを、掻込輪243の地面に対する傾斜度合いよりも緩やかに設定するように構成される。
【0170】
これにより、切断装置23から発生する振動および騒音を低減することができる。しかも、切断後の穀稈を掻込輪243により切断刃231から離れるように脱穀部30側に搬送することが可能となり、切断後の穀稈が切断刃231に接触するのを防ぐことができる。したがって、穀稈の接触により株元が切り刻まれたり、株元が乱れたりするというような搬送に関する問題の発生を未然に阻止して、穀稈搬送性能を向上させることができる。
【0171】
また、コンバイン1の刈取部20は、刈取フレーム110は、切断装置23の後方に左右方向へ延出される横伝動パイプ113を備え、横伝動パイプ113を複数の切断刃231よりも脱穀部30側であって、複数の切断刃231の脱穀部30側への側面視における延長線よりも下側に配置するように構成される。
【0172】
これにより、切断後の穀稈が横伝動パイプ113に絡みつくのを防止して、掻込輪243により脱穀部30側に円滑に搬送することが可能となる。
【0173】
また、コンバイン1の刈取部20は、刈取フレーム110は、複数の切断刃231を左右の外側方から覆うカバー体130を、これらの切断刃231のうち、最外側に位置する左右の各切断刃231の外側方に位置する部分に設けるように構成される。
【0174】
これにより、未刈穀稈が外側方から切断装置23や刈取フレーム110の一部に絡みつき、切断後の穀稈の搬送を阻害するのを防止することができる。その上、切断刃231をカバー体130にて外側から確実に保護することができる。また、切断刃231ではじかれた石などが切断装置23の外側へ飛び出すのを阻止して、これが周囲の人や物を傷つけるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明の一実施形態に係る刈取部を有するコンバインの全体構成を示す左側面図。
【図2】刈取部の構成を示す左側面図。
【図3】刈取部の構成を示す平面図。
【図4】切断装置の構成を示す平面図。
【図5】切断装置の構成を示す左側面図。
【図6】切断装置の駆動系の構成を示す平面図。
【図7】切断装置の駆動系の構成を示す部分断面図。
【図8】上ガイド体および下ガイド体を備えた場合における切断装置付近の構成を示す平面図。
【図9】上ガイド体および下ガイド体を備えた場合における切断装置付近の構成を示す一部断面側面図。
【図10】一例の固定手段を用いた場合における切断刃の固定構造の構成を示す断面図。
【図11】別例の固定手段を用いた場合における切断刃の固定構造の構成を示す断面図。
【図12】別例の固定手段を用いた場合における切断刃の固定構造の構成を示す断面図。(a)上カラーを設けた状態を示す図。(b)キャップを設けた状態を示す図。(c)下カラーを設けた状態を示す図。
【符号の説明】
【0176】
1 コンバイン
20 刈取部
21 分草具
22 引起装置
23 切断装置
24 搬送装置
30 脱穀部
110 刈取フレーム
113 横伝動パイプ
114 分草フレーム
114A 外側分草フレーム
114B 内側分草フレーム
115 駆動パイプ
130 カバー体
131 上ガイド体
132 下ガイド体
231 切断刃
231A 第一切断刃
231B 第二切断刃
231C 第三切断刃
231D 第四切断刃
232 補助切断刃
233 アクチュエータ
236 縦駆動軸
237 横駆動軸
238 回転駆動軸
243 掻込輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を分草する分草具と、
前記分草具により分草された複数条の穀稈を引き起こす引起装置と、
前記引起装置により引き起こされた複数条の穀稈を切断する切断装置と、
前記切断装置により切断された穀稈を脱穀部側へ搬送する搬送装置と、
前記分草具および各前記装置を支持する刈取フレームとを備える、コンバインの刈取部であって、
前記刈取フレームは、
前記分草具を先端部に設ける複数の分草フレームを備えて、
複数の分草フレームを前記切断装置の下方で前記脱穀部側から前記分草具側へ延出して、左右方向に所定間隔ごとに平行に並設し、
前記切断装置は、
穀稈を株元側で切断する複数の円盤形状の切断刃を備えて、
複数の前記切断刃を、各切断刃が平面視で前記分草フレーム間に位置するように、左右方向に略同一直線上に並設し、
複数の前記切断刃のうち、隣り合う前記切断刃を相互間に前記分草フレームの左右幅だけ所定間隔をとって配置する、コンバインの刈取部。
【請求項2】
前記刈取フレームは、
複数の前記分草フレームのうち、最外側に位置する左右一方の外側分草フレームと、該外側分草フレームと隣り合う内側分草フレームとの間隔を、他の分草フレーム同士の間隔よりも大きく設定し、
前記切断装置は、
前記切断刃よりも小径に構成され、穀稈を株元側で切断する一つの円盤形状の補助切断刃を回転駆動可能に備えて、
前記補助切断刃を前記外側分草フレームと前記内側分草フレームとの間で切断刃と一部重複させて並設する、請求項1に記載のコンバインの刈取部。
【請求項3】
前記刈取フレームは、前記引起装置により引き起こされた穀稈を前記分草フレーム側から前記切断刃の中央付近側へ案内する上ガイド体を、該切断刃の前方から上方へ向けて延出するように、該分草フレームに設ける、請求項1または請求項2に記載のコンバインの刈取部。
【請求項4】
前記刈取フレームは、前記引起装置により引き起こされた穀稈を前記分草フレーム側から前記切断刃の中央付近側へ案内する下ガイド体を、該切断刃の前方から下方へ向けて延出するように、該分草フレームに設ける、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコンバインの刈取部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−35461(P2010−35461A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200258(P2008−200258)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】