説明

コンバイン

【課題】搬送途中の刈取穀稈株元部の引掛りや、藁草・泥土などの堆積を防止すること。中央搬送駆動ケース及び伝動ケースが、株元搬送機構による刈取穀稈の株元部の搬送障害にならないようにすること。
【解決手段】横伝動ケースの側端部から引起縦伝動ケースを前傾姿勢で立上げて、引起縦伝動ケースの上端部から水平に引起横伝動ケースを延設し、引起横伝動ケースから下方向に引起駆動ケースを延設して、各引起駆動ケースの下部を前処理機構に連動連結すると共に、穀稈搬送機構の穂先搬送機構に連動連結する一方、横伝動ケースの中間部から中央搬送駆動ケースを立上げて、同中央搬送駆動ケースを、伝動ケースを介して穀稈搬送機構の株元搬送機構に連動連結し、同伝動ケースの下側に空間を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の穀稈を刈取部で刈取り、刈取穀稈を脱穀部に搬送して脱穀するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの刈取部は、エンジンからの動力が伝達される刈取入力軸を内挿する刈取入力ケースが、機台前端に取付けられた軸受によって脱穀部の直前にて機体左右方向に支持され、前記刈取入力軸に連動連結される縦伝動軸を内挿する縦伝動ケースが、前記刈取入力ケースの中間部から前斜め下方に向けて一体延設され、前記縦伝動軸に連動連結される横伝動軸を内挿する横伝動ケースの中間部が、前記縦伝動ケースの先端に一体連結され、横伝動ケースを機体左右方向に支持し、後部が横連結フレームによって一体連結された刈取条数に応じた複数本一体の刈取フレームの後端部を前記横伝動ケースに一体連結し、刈取フレームを横伝動ケースから機体前方に向けて一体延設している。
【0003】
そして、前記刈取フレームに刈取条数に応じた分草引起装置、掻込装置、刈刃装置が取付けられ、圃場の未刈穀稈を分草後に引起しながら掻込み、その掻込時に未刈穀稈の株元を切断し、圃場の未刈穀稈を刈取るようになっている。
【0004】
また、刈取穀稈は株元部をチェンによって挟持搬送し、穂先部もタインによって係止搬送して脱穀部まで搬送するようになっており、この穀稈搬送装置のうち、5条及び6条刈りの刈取部用のチェンには、左右一対で一組の右掻込輪で掻込んだ右側2条分の刈取穀稈株元部を左斜後上方に挟持搬送する右株元合流搬送チェンと、左右一対で一組の左掻込輪で掻込んだ左側2条分の刈取穀稈株元部を右斜後上方に挟持搬送して右株元合流搬送チェンの搬送終端部に合流させる左株元合流搬送チェンと、一組の右掻込輪と一組の左掻込輪との間に配設される一つの中央掻込輪で掻込んだ中央1条分の刈取穀稈株元部(5条の場合)又は左右一対で一組の中央掻込輪で掻込んだ中央2条分の刈取穀稈株元部(6条の場合)を、左右株元合流搬送チェンの間に位置して右斜後上方に挟持搬送し、右株元合流搬送チェンの左刈取穀稈株元部との合流部の手前に合流させる中央株元合流搬送チェンと、合流された5条又は6条分の刈取穀稈株元部を右株元合流搬送チェンの搬送終端部から前記縦伝動ケース左側で受継いで脱穀部の左側に張架されるフィードチェンの搬送始端部に受継搬送する株元搬送チェン(縦搬送チェン)を設けていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平1−171408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の左右及び中央の刈取穀稈株元部のそれぞれを挟持搬送して合流させる左右及び中央の株元合流搬送チェンのうち、中央株元合流搬送チェンの搬送終端部を巻回支持する駆動輪にできる限り近いところから構造簡単に動力を伝達しようとして、縦伝動ケースの横伝動ケースとの接続部付近から中央搬送駆動ケースを立上げ、この中央搬送駆動ケースに内挿させて下端を縦伝動軸に連動連結させる中央搬送駆動軸上に駆動輪を取付ける又は横伝動ケースの中間部より前方に短い縦伝動ケースを介して中央搬送駆動ケースを立上げ、この中央搬送駆動ケースに内挿させて下端を横伝動軸に連動連結させる中央搬送駆動軸上に駆動輪を取付けると、中央株元合流搬送チェンは、左右株元合流搬送チェンの間に位置して、左右株元合流搬送チェンの搬送作用側に挟まれるため、刈取穀稈株元部の搬送通路に近く、しかも合流部に近い位置に前記中央搬送駆動ケースが立上がり、搬送途中の刈取穀稈株元部の引掛りや、藁草・泥土などの堆積が容易に起るという問題を招いている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明では、機体左右方向に水平に横架支持させた刈取入力ケースと、同刈取入力ケースの中間部から前斜下方に向けて一体延設する縦伝動ケースと、縦伝動ケースの先端に中間部を一体連結して縦伝動ケースの先端にて機体左右方向に水平に横架支持する横伝動ケースと、後部を横連結フレームによって一体連結した刈取フレームとを設け、同刈取フレームの後部を横伝動ケースに一体連結して刈取フレームを横伝動ケースから機体前方に向けて平行に一体延設してメインフレームとなし、このメインフレームに、未刈穀稈を起立させる前処理機構と、前処理した穀稈の株元部を掻寄せて掻込む掻込機構と、掻込時に穀稈の株元を切断して刈り取る刈取機構と、刈取穀稈を挟持搬送する穀稈搬送機構とを具備する刈取部を備えたコンバインであって、横伝動ケースの側端部から引起縦伝動ケースを前傾姿勢で立上げて、引起縦伝動ケースの上端部から水平に引起横伝動ケースを延設し、引起横伝動ケースから下方向に引起駆動ケースを延設して、各引起駆動ケースの下部を前処理機構に連動連結すると共に、穀稈搬送機構の穂先搬送機構に連動連結する一方、横伝動ケースの中間部から中央搬送駆動ケースを立上げて、同中央搬送駆動ケースを、伝動ケースを介して穀稈搬送機構の株元搬送機構に連動連結し、同伝動ケースの下側に空間を設けたことを特徴とするコンバインを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、横伝動ケースの側端部から引起縦伝動ケースを前傾姿勢で立上げて、引起縦伝動ケースの上端部から水平に引起横伝動ケースを延設し、引起横伝動ケースから下方向に引起駆動ケースを延設して、各引起駆動ケースの下部を前処理機構に連動連結すると共に、穀稈搬送機構の穂先搬送機構に連動連結する一方、横伝動ケースの中間部から中央搬送駆動ケースを立上げて、同中央搬送駆動ケースを、伝動ケースを介して穀稈搬送機構の株元搬送機構に連動連結し、同伝動ケースの下側に空間を設けているため、搬送途中の刈取穀稈株元部の引掛りや、藁草・泥土などの堆積を防止するのに効果的で、かつ中央搬送駆動ケース及び伝動ケースが、株元搬送機構による刈取穀稈の株元部の搬送障害にならないような、中央搬送駆動ケースの前後位置及び左右位置の位置取り、並びに伝動ケースによる伝動方向の設定を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。
【0009】
図1はコンバインの全体側面図、図2はコンバインの全体平面図であり、図中1は左右走行クローラ2を装設するトラックフレーム、3はトラックフレーム1上に架設する機台、4はフィードチェン5を左側に張架し扱胴6を内臓する脱穀部、7は前記脱穀部4の前方に備える6条刈りの刈取部、8は排藁チェン9の終端を臨ませる排藁処理部、10は脱穀部4からの穀粒を揚穀筒11を介して搬入する穀物タンク、12は穀物タンク10の穀粒を機外に排出する排出オーガ、13は操向ハンドルなど運転操作部14及び運転席15を備える運転キャビン、16は運転キャビン13下方に設けるエンジンであり、圃場を走行移動しながら穀稈を刈取部7で連続的に刈取り、脱穀部4で脱穀するように構成している。
【0010】
図3及び図4に示すように、機台3の前端から脱穀部4の前面側に左右刈取装着フレーム17を立上げ、各刈取装着フレーム17の上部に割パイプ継手18を設ける一方、エンジン16からの動力を伝達する刈取入力軸19を内挿する刈取入力ケース20を刈取部7に設け、刈取入力ケース20の両端部を割パイプ継手18を介して左右刈取装着フレーム17の上部に回転自在に、かつ着脱自在に保持し、前記刈取入力ケース20を脱穀部4の直前にて機体左右方向に水平に横架支持させ、また刈取入力ケース20の中間部から前斜下方に向けて一体延設する縦伝動ケース21と、縦伝動ケース21の先端に中間部を一体連結して縦伝動ケース21の先端にて機体左右方向に水平に横架支持する横伝動ケース22と、後部を横連結フレーム23によって一体連結した6条分7本一体の刈取フレーム24とを設け、刈取フレーム24の後部を横伝動ケース22に一体連結して刈取フレーム24を横伝動ケース22から機体前方に向けて平行に一体延設し、これら一体の刈取入力軸20、縦伝動ケース21、横伝動ケース22、刈取フレーム24を刈取部7のメインフレームとし、このメインフレームに後述する刈取部7の構成要素を組付けて刈取部7を構成するもので、機台3と縦伝動ケース21との間に油圧シリンダ25を張架し、油圧シリンダ25を伸縮させることで刈取部7を刈取入力ケース20を中心に昇降させるように構成している。
【0011】
6条刈りの刈取部7は、刈取る穀稈と未刈穀稈との分離及び刈取る穀稈の1条ごとの分離を行う6条分7つの分草板27と、分草後の未刈穀稈を起立させる引起タイン28を有する6条分6つの引起ケース29とからなる前処理機構と、右側2つの引起ケース29の間から導入される引起後の右側2条分の穀稈Rの株元部を1束に掻寄せて掻込む左右一対で一組の右掻込輪である右スターホイル30R及び左右一対で一組の右突起付ベルトである右掻込ベルト31Rと、左側2つの引起ケース29の間から導入される引起後の左側2条分の穀稈Lの株元部を1束に掻寄せて掻込む左右一対で一組の左掻込輪である左スターホイル30L及び左右一対で一組の左突起付ベルトである左掻込ベルト31Lと、中央2つの引起ケース29の間から導入される引起後の中央2条分の穀稈Cの株元部を1束に掻寄せて掻込む左右一対で一組の中央掻込輪である中央スターホイル30C及び左右一対で一組の中央突起付ベルトである中央掻込ベルト31Cからなる掻込機構と、掻込時に穀稈の株元を6条同時に切断するバリカン形の刈刃32からなる刈取機構と、一組の右スターホイル30R及び右掻込ベルト31Rによって掻込まれた右側2条分の刈取穀稈Rの株元部を左斜後上方に挟持搬送する右株元合流搬送チェン33Rと、一組の左スターホイル30L及び左掻込ベルト31Lによって掻込まれた左側2条分の刈取穀稈Lの株元部を右斜後上方に挟持搬送して前記右株元合流搬送チェン33Rの搬送終端部に合流させる左株元合流搬送チェン33Lと、一組の右スターホイル30R及び右掻込ベルト31Rと一組の左スターホイル30L及び左掻込ベルト31Lとの間に配設される一組の中央スターホイル30C及び中央掻込ベルト31Cによって掻込まれた中央2条分の刈取穀稈Cの株元部を、左右の株元合流搬送チェン33L,33Rの間に位置して右斜後上方に挟持搬送し、右株元合流搬送チェン33Rの左側2条分の刈取穀稈Lの株元部との合流部の手前に合流させる中央株元合流搬送チェン33Cと、左右及び中央の株元合流搬送チェン33R,33L,33Cによって合流された6条分の刈取穀稈L,R,Cの株元部を右株元合流搬送チェン33Rの搬送終端部から受継いで左斜後上方に挟持搬送して脱穀部4のフィードチェン5の搬送始端部に受継搬送する縦搬送チェンである株元搬送チェン34と、株元搬送チェン34の搬送終端部からフィードチェン5の搬送始端部に6条分の刈取穀稈L,R,Cの株元部を適正姿勢で搬送受継ぎする補助株元搬送チェン35,36からなる穀稈株元搬送機構並びに、右株元合流搬送チェン33Rによって株元部を挟持搬送している右側2条分の刈取穀稈Rの穂先部を係止搬送する右穂先搬送タイン37Rと、左株元合流搬送チェン33Lによって株元部を挟持搬送している左側2条分の刈取穀稈Lの穂先部を係止搬送する左穂先搬送タイン37Lと、中央株元合流搬送チェン33Cによって株元部を挟持搬送している中央2条分の刈取穀稈Cの穂先部を係止搬送する中央穂先搬送タイン37Cと、株元搬送チェン34、補助株元搬送チェン35,36によって株元部を挟持搬送している6条分の刈取穀稈L,R,Cの穂先部を係止搬送する後穂先搬送タイン38と、さらに右側2つの引起ケース29の間から導入される引起後の右側2条分の穀稈Rの穂先部を、右穂先搬送タイン37Rの搬送始端部のさらに上方で、右穂先搬送タイン37Rの反対側で係止搬送する右上部穂先搬送タイン39Rと、左側2つの引起ケース29の間から導入される引起後の左側2条分の穀稈Lの穂先を、左穂先搬送タイン37Lの搬送始端部のさらに上方で、左穂先搬送タイン37Lの反対側で係止搬送する左上部穂先搬送タイン39Lと、中央2つの引起ケース29の間から導入される引起後の中央2条分の穀稈Cの穂先を、中央穂先部搬送タイン37Cの搬送始端部のさらに上方で、中央穂先搬送タイン37Cの反対側で係止搬送する中央上部穂先搬送タイン39Cからなる穀稈穂先搬送機構からなる穀稈搬送機構とを備えている。
【0012】
また、図5にも示すように、左右及び中央の各組の左右のスターホイル30L,30R,30Cは、それぞれ平行な二軸である左右の回転軸40a,40bの下端に一体に取付け、同じ組の左右のスターホイル30L,30R,30C同士を噛合回転させ、左右及び中央の各組の左右の掻込ベルト31L,31R,31Cは、搬送終端部を左右の回転軸40a,40bの上端に一体に取付ける大径プーリ41に巻回支持させると共、搬送始端部を大径プーリ41の前方に軸支する小径プーリ42に巻回支持させて、同じ組の左右の掻込ベルト31L,31R,31Cを前方に向けて大きく開くハの字形に張設させ、左右の回転軸40a,40bのうち一方の回転軸40a又は40bに動力を伝達して駆動回転することで、その回転軸40a又は40bに取付けたスターホイル30L,30R,30C及び掻込ベルト31L,31R,31Cを駆動回転し、他方の回転軸40a又は40bに取付けたスターホイル30L,30R,30C及び掻込ベルト31L,31R,31Cを従動回転し、同じ組の左側のスターホイル30L,30R,30C及び掻込ベルト31L,31R,31Cと右側のスターホイル30L,30R,30C及び掻込ベルト31L,31R,31Cを逆方向に回転させ、穀稈L,R,Cの掻込みを行うように構成している。
【0013】
また、左右一対で一組の右スターホイル30R及び右掻込ベルト31Rのうち、右側のスターホイル30R及び右掻込ベルト31Rを取付ける右の回転軸40bの中間部に、右株元合流搬送チェン33Rの搬送始端部を巻回支持する従動スプロケット43Rを係合軸支し、左右一対で一組の右スターホイル30R及び右掻込ベルト31Rのうち、右側のスターホイル30R及び掻込ベルト31Rの間から縦伝動ケース21と横伝動ケース22との接続部の略上方位置まで右株元合流搬送チェン33Rを張設し、左右一対で一組の左スターホイル30L及び左掻込ベルト31Lのうち、左側のスターホイル30L及び左掻込ベルト31Lを取付ける左の回転軸40aの中間部に、左株元合流搬送チェン33Lの搬送始端部を巻回支持する従動スプロケット43Lを係合軸支し、左右一対で一組の左スターホイル30L及び左掻込ベルト31Lのうち、左側のスターホイル30L及び掻込ベルト31Lの間から縦伝動ケース21と横伝動ケース22との接続部の略上方位置の左株元合流搬送チェン33Lの搬送終端部の直前まで左株元合流搬送チェン33Lを張設し、左右一対で一組の中央スターホイル30C及び中央掻込ベルト31Cのうち、左側のスターホイル30C及び左掻込ベルト31Cを取付ける左の回転軸40aの中間部に、中央株元合流搬送チェン33Cの搬送始端部を巻回支持する従動スプロケット43Cを係合軸支し、左右一対で一組の中央スターホイル30C及び中央掻込ベルト31Cのうち、左側のスターホイル30C及び掻込ベルト31Cの間から縦伝動ケース21と横伝動ケース22との接続部の略上方位置で、右株元合流搬送チェン33Rの左側2条分の刈取穀稈Lの株元部との合流部の手前の左株元合流搬送チェン33Lの搬送終端部の直前まで中央株元合流搬送チェン33Cを張設し、左右及び中央の株元合流搬送チェン33L,33R,33Cの回転によって左右及び中央のスターホイル30L,30R,30C及び掻込ベルト31L,31R,31Cを回転させるように構成している。
【0014】
また、左右のスターホイル30L,30R及び掻込ベルト31L,31Rに対し、中央のスターホイル30C及び掻込ベルト31Cを一段高い位置に位置ずれさせて支持し、左右のスターホイル30L,30R及び掻込ベルト31L,31Rと中央のスターホイル30C及び掻込ベルト31Cの干渉を防止するように構成している。
【0015】
そして、図6にも示すように、刈取入力軸19にベベルギアを介して上端を連動連結させる縦伝動軸44を縦伝動ケース21に内挿すると共に、縦伝動軸44の下端にベベルギアを介して中間部を連動連結させる横伝動軸45を横伝動ケース22に内挿し、これら縦伝動軸44及び横伝動軸45から刈取部7の各構成要素のうち、駆動するものの動力を取出すもので、横伝動ケース22の左側端部から引起縦伝動ケース46を側面視で引起ケース29の上方位置に向けて前傾姿勢で立上げ、引起縦伝動ケース46の上端部から右方向に水平に引起横伝動ケース47を延設し、引起横伝動ケース47から下方向に各引起ケース29ごとの引起駆動ケース48を延設し、各引起駆動ケース48の下部を各引起駆動ケース48の上部背面側に臨ませ、各引起駆動ケース48の下端部から各引起ケース29の内側上部に引起タイン駆動軸49を突出させ、その突出端部に、引起タイン28を等間隔に取付けるタインチェンの上部を巻回支持させる引起タイン駆動スプロケット50を設け、引起縦伝動ケース46に内挿させて下端を横伝動軸45の左端にベベルギアを介して連動連結させる引起縦伝動軸51と、引起横伝動ケース47に内挿させて左端を引起縦伝動軸51の上端にベベルギアを介して連動連結させる引起横伝動軸52と、各引起駆動ケース48に内挿させて上端を引起横伝動軸52にそれぞれベベルギアを介して連動連結させ、かつ下部を引起タイン駆動軸49にベベルギアを介して連動連結させる引起駆動軸53とで、横伝動軸45から各引起ケース29の引起タイン駆動スプロケット50に動力を伝達するように構成すると共に、引起縦伝動ケース46の上部に引起変速機構54を内装する引起変速ケース55を介在させ、引起縦伝動軸51の途中に引起変速機構54を組込み、各引起ケース29の引起タイン28の駆動速度を高速・中速・低速に変速するように構成している。
【0016】
また、刈刃32は、可動刃を刈幅の中央部で二つに分割し、左右の可動刃32を相反する方向に往復運動させ、振動を相殺するようにしたもので、横伝動軸45の左端部より少し内側からベベルギヤを介して左側の刈刃駆動軸であるクランク軸56aを上向きに立上げると共に、横伝動軸45の右端部よりベベルギヤを介して右側の刈刃駆動軸であるクランク軸56bを上向きに立上げ、左右のクランク軸56a,56bを横伝動ケース22から上方に突出させ、横伝動軸45から左右の可動刃32の動力を取出すように構成している。
【0017】
また、穀稈搬送機構を構成する各搬送チェン及び各搬送タインのうち、補助株元搬送チェン35,36及び後穂先搬送タイン38の動力を縦伝動軸44の上部から取出すもので、縦伝動ケース21の上部から左向きに後搬送駆動ケース57を延設し、後搬送駆動ケース57に内挿させて右端を縦伝動軸44の上部にベベルギアを介して連動連結させる後搬送駆動軸58を設け、一方の補助搬送チェン36の駆動スプロケット59と後穂先搬送タイン38を等間隔に取付けるタインチェンの搬送終端部を巻回支持させる後穂先搬送タイン駆動スプロケット60とを設ける駆動スプロケット軸61の下端に後搬送駆動軸58の左端をベベルギアを介して連動連結させ、縦伝動軸44の上部から一方の補助搬送チェン36の駆動スプロケット59と後穂先搬送タイン駆動スプロケット60に動力を伝達するように構成すると共に、一方の補助搬送チェン36の従動スプロケット軸62上に他方の補助搬送チェン35の駆動スプロケット63を設け、この駆動スプロケット63に動力を伝達するように構成している。
【0018】
また、株元搬送チェン34及び右株元搬送チェン33R及び右穂先搬送タイン37Rの動力を縦伝動軸44の中間部から取出すもので、縦伝動ケース21の中間部から右株元搬送チェン33Rの回動平面に対して直角に右搬送駆動ケース64を立上げると共に、右搬送駆動ケース64の下部から左斜上方に向けて縦搬送駆動ケース65を延設し、右搬送駆動ケース64に内挿させて下端を縦伝動軸44の中間部にベベルギアを介して連動連結させる右搬送駆動軸67と、縦搬送駆動ケース65に内挿させて下端を右搬送駆動軸67の下部にベベルギアを介して連動連結させる縦搬送伝動軸68を設け、右株元搬送チェン33Rの搬送終端部を巻回支持させる右株元搬送チェン駆動スプロケット69と右穂先搬送タイン37Rを等間隔に取付けるタインチェンの搬送終端部を巻回支持させる右穂先搬送タイン駆動スプロケット70とを右搬送駆動軸67上に設け、下端をベベルギアを介して縦搬送伝動軸68に連動連結する縦搬送駆動軸71上に、株元搬送チェン34の搬送始端部を巻回支持する株元搬送チェン駆動スプロケット72を設け、縦伝動軸44の中間部から右株元搬送チェン駆動スプロケット69と右穂先搬送タイン駆動スプロケット70と株元搬送チェン駆動スプロケット72に動力を伝達するように構成している。
【0019】
また、左株元搬送チェン33L及び左穂先搬送タイン37Lの動力を横伝動軸45の左端部から引起縦伝動軸51を経て取出すもので、引起縦伝動ケース46の中間部から右方向に、かつ左株元搬送チェン33Lの回動平面と平行に左搬送駆動ケース73を延設し、左搬送駆動ケース73に内挿させて左端を引起縦伝動軸51の中間部にベベルギアを介して連動連結させる左搬送駆動軸74を設け、左株元搬送チェン33Lの非搬送側中間部を巻回支持させる左株元搬送チェン駆動スプロケット75と左穂先搬送タイン37Lを等間隔に取付けるタインチェンの非搬送側中間部を巻回支持させる左穂先搬送タイン駆動スプロケット76とを設ける駆動スプロケット軸77の中間部に左搬送駆動軸74の右端をベベルギアを介して連動連結させ、横伝動軸45の左端部から左株元搬送チェン駆動スプロケット75と左穂先搬送タイン駆動スプロケット76に動力を伝達するように構成している。
【0020】
また、中央株元搬送チェン33C及び中央穂先搬送タイン37Cの動力を後述する駆動構造によって横伝動軸45の中間部から取出して、中央株元搬送チェン33Cの搬送終端部を巻回支持させる中央株元搬送チェン駆動スプロケット78と中央穂先搬送タイン37Cを等間隔に取付けるタインチェンの搬送終端部を巻回支持させる中央穂先搬送タイン駆動スプロケット79に動力を伝達するように構成している。
【0021】
上記のように、右株元搬送チェン33R及び右穂先搬送タイン37Rと、左株元搬送チェン33L及び左穂先搬送タイン37Lと、中央株元搬送チェン33C及び中央穂先搬送タイン37Cとに、それぞれ動力を伝達してこれらを独立駆動すると共に、右株元搬送チェン33R及び右穂先搬送タイン37Rと左株元搬送チェン33L及び左穂先搬送タイン37Lに対して中央株元搬送チェン33C及び中央穂先搬送タイン37Cを独立駆動し、また右スターホイル30R及び右掻込ベルト31Rと、左スターホイル30L及び左掻込ベルト31Lと、中央スターホイル30C及び中央掻込ベルト31Cを独立駆動することで、左右及び中央のスターホイル30L,30R,30Cを相互に噛合わせるスターホイル連装による中央スターホイル30C及び中央掻込ベルト31C及び中央株元搬送チェン33C及び中央穂先搬送タイン37Cの駆動構造省略化により発生していた過大負荷による各スターホイルL,30R,30Cの破損などのトラブルを防止するように構成している。
【0022】
図7及び図8に示すように、中央株元搬送チェン33C及び中央穂先搬送タイン37Cの動力を横伝動軸45の中間部から取出すもので、横伝動ケース22の中間部(横伝動ケース22の縦伝動ケース21との接続部の直ぐ左側)から中央株元搬送チェン33Cの回動平面に対して直角に中央搬送駆動ケース80を立上げて、中央株元搬送チェン33Cの搬送始端部を巻回支持する従動スプロケット43Cと同軸40a上に設ける一方の(左側の)中央スターホイル30Cの後側近傍位置(直後)に中央搬送駆動ケース80を立上げると共に、中央搬送駆動ケース80の上端から中央株元搬送チェン33Cの搬送終端部に向けて右斜後方に中央株元搬送チェン33Cの回動平面と平行に伝動ケース81を延設し、中央搬送駆動ケース80に内挿させて下端を横伝動軸45の中間部にベベルギアを介して連動連結させ、かつ上端を伝動ケース81の前部内側に挿入させる前部中央搬送駆動軸82と、下端を伝動ケース81の後部内側に挿入させて伝動ケース81の後部から中央株元搬送チェン33Cの搬送終端部に向けて中央株元搬送チェン33Cの回動平面に対して直角に立上げる後部中央搬送駆動軸83とを設け、中央株元搬送チェン33Cの搬送終端部を巻回支持させる中央株元搬送チェン駆動スプロケット78と中央穂先搬送タイン37Cを等間隔に取付けるタインチェンの搬送終端部を巻回支持させる中央穂先搬送タイン駆動スプロケット79とを後部中央搬送駆動軸83上に設け、伝動ケース81の前部内側に挿入させる前部中央搬送駆動軸82の上端に設ける出力側スプロケット84と、伝動ケース81の後部内側に挿入させる後部中央搬送駆動軸82の下端に設ける入力側スプロケット85と、各スプロケット84,85を介して前部中央搬送駆動軸82の上端と後部中央搬送駆動軸83の下端との間に張設してこれら前部中央搬送駆動軸82と後部中央搬送駆動軸83を連動連結する伝動チェン86とを、伝動ケース81に内挿し、横伝動軸45から中央株元搬送チェン駆動スプロケット78と中央穂先搬送タイン駆動スプロケット79に動力を伝達する側面視でクランク形の伝動経路を形成し、横伝動軸45の中間部から中央株元搬送チェン駆動スプロケット78と中央穂先搬送タイン駆動スプロケット79に動力を伝達するように構成している。
【0023】
中央株元搬送チェン33Cは、前述のように、一組の右スターホイル30R及び右掻込ベルト31Rと一組の左スターホイル30L及び左掻込ベルト31Lとの間に配設される一組の中央スターホイル30C及び中央掻込ベルト31Cによって掻込まれた中央2条分の刈取穀稈Cの株元部を、左右の株元合流搬送チェン33L,33Rの間に位置して右斜後上方に挟持搬送し、右株元合流搬送チェン33Rの左側2条分の刈取穀稈Lの株元部との合流部の手前に合流させるもので、右株元合流搬送チェン33Rによって挟持搬送される右側2条分の刈取穀稈Rの株元部と中央株元合流搬送チェン33Cによって挟持搬送される中央2条分の刈取穀稈Cの株元部との合流部X1においては、右株元合流搬送チェン33Rによって挟持搬送される右側2条分の刈取穀稈Rの株元部に対し、中央株元搬送チェン33Cによって挟持搬送される中央2条分の刈取穀稈Cの株元部を中央株元搬送チェン33Cの搬送終端部から合流させるようになる。
【0024】
上記から明らかなように、左右及び中央の刈取穀稈L,R,C株元部のそれぞれを挟持搬送して合流させる左右及び中央の株元合流搬送チェン33L,33R,33Cを設け、前記左右及び中央の株元合流搬送チェン33L,33R,33Cの搬送始端部に左右及び中央の刈取穀稈L,R,C株元部を掻込む左右及び中央の掻込輪30L,30R、30Cを設けたコンバインにおいて、中央の前記掻込輪30Cの後側近傍に立上げる中央搬送駆動ケース80と、該中央搬送駆動ケース80から中央の前記株元合流搬送チェン33Cの搬送終端部に向けて動力を伝達する伝動ケース81を設け、該伝動ケース81から中央の前記株元合流搬送チェン33Cの搬送終端部を巻回支持する駆動輪78に動力を伝達するもので、刈取穀稈R,C株元部の搬送通路から離れ、しかも合流部X1からも離れた位置に前記中央搬送駆動ケース80を立上げ、刈取穀稈R,C株元部の搬送通路に近く、しかも合流部X1に近い位置に立上がった前記中央搬送駆動ケース80をなくすと共に、伝動ケース81の下側に空間Sを設け、搬送途中の刈取穀稈R,C株元部の引掛りや、藁草・泥土などの堆積を防止するように構成している。
【0025】
また、平面視において、前部中央搬送駆動軸82が後部中央搬送駆動軸83より左側に位置するように、横伝動ケース22から中央搬送駆動ケース80を立上げ、左株元搬送チェン33Lによる左側2条分の刈取穀稈Lの搬送方向(右斜後方向)と同方向(右斜後方向)で、前部中央搬送駆動軸82から後部中央搬送駆動軸83への伝動を行い、伝動ケース81を左株元搬送チェン33Lの搬送作用側と中央株元搬送チェン33Cの搬送作用側との間の中央株元搬送チェン33Cの非搬送作用側の下方に配置して納めると共に、伝動ケース81を左株元搬送チェン33Lの搬送作用側と平行又は後方に行くに連れて離反する方向に設け、中央搬送駆動ケース80及び伝動ケース81が、左株元搬送チェン33Lによる左側2条分の刈取穀稈Lの株元部の搬送障害並びに中央株元搬送チェン33Cによる中央2条分の刈取穀稈Cの株元部の搬送障害になるのを防止するように構成している。
【0026】
さらに、中央搬送駆動ケース80を縦伝動ケース21ではなく横伝動ケース22から立上げることで、搬送途中の刈取穀稈R,C株元部の引掛りや、藁草・泥土などの堆積を防止するのに効果的で、かつ中央搬送駆動ケース80及び伝動ケース81が、左株元搬送チェン33Lによる左側2条分の刈取穀稈Lの株元部の搬送障害並びに中央株元搬送チェン33Cによる中央2条分の刈取穀稈Cの株元部の搬送障害にならないような、中央搬送駆動ケース80の前後位置及び左右位置の位置取り、並びに伝動ケース81による伝動方向の設定を容易に行えるように構成している。
【0027】
前部中央搬送駆動軸82から後部中央搬送駆動軸83への伝動は、伝動チェン86の他、伝動ベルト又は伝動軸で行ってもよい。
【0028】
図9乃至図12に示すように、左株元搬送チェン33Lは、前述のように、一組の左スターホイル30L及び左掻込ベルト31Lによって掻込まれた左側2条分の刈取穀稈Lの株元部を右斜後上方に挟持搬送して右株元合流搬送チェン33Rの搬送終端部に合流させるもので、右株元合流搬送チェン33Rによって挟持搬送される右側2条分の刈取穀稈R及び中央2条分の刈取穀稈Cの株元部の合計4条分の刈取穀稈R,Cの株元部と左株元合流搬送チェン33Lによって挟持搬送される左2条分の刈取穀稈Lの株元部との合流部X2においては、右株元合流搬送チェン33Rによって挟持搬送される4条分の刈取穀稈R,Cの株元部に対し、左株元搬送チェン33Lによって挟持搬送される左2条分の刈取穀稈Lの株元部を左株元搬送チェン33Lの搬送終端部から合流させるようになる。
【0029】
前記左株元搬送チェン33Lの搬送終端部を巻回支持する穀稈受継輪である回転輪87,88は、これを回転自在に支持するブラケット89を、左株元搬送チェン33Lの搬送終端部と対向する前記右株元搬送チェン33Rに対する遠近方向に移動自在に搬送フレーム90に取付けたスライド軸91に固着することで、前記遠近方向に移動自在に搬送フレーム90に取付けるもので、搬送フレーム90は、この一端から中実の丸棒材からなるスライド軸91を挿入する断面円形のパイプ材からなり、搬送フレーム90の一端側にスライド軸91を前記遠近方向に移動自在に支持すると共に、搬送フレーム90の端部からスライド軸91の軸長より若干短い寸法内側に入った内面に、スライド軸91の挿入端部を当接させてスライド軸91の挿入量を規制する内向きの段差92を形成し、スライド軸91の一端が常に搬送フレーム90の一端から突出した状態で、搬送フレーム90の一端側にスライド軸91を前記遠近方向に移動自在に支持ししている。このように搬送フレーム90とスライド軸91はシリンダとピストンロッドと同様の関係を有し、搬送フレーム90がシリンダに、スライド軸91がピストンロッドに相当する。そして、搬送フレーム90にスライド軸91を最も挿入したときでも、搬送フレーム90の一端から突出するスライド軸91の一端に前記ブラケット89を固着し、回転輪87,88を前記遠近方向に移動自在に搬送フレーム90に取付けるように構成している。
【0030】
前記回転輪87,88は、通常これを図9及び図10に示す接近位置に位置保持し、前記合流部X2における左右の株元搬送チェン33L,30Rの間隔(刈取穀稈の搬送通路幅)Yを狭くして、少量の刈取穀稈であっても姿勢乱れや脱落など搬送不良が発生するのを防止するもので、前記回転輪87,88を接近位置に位置保持する位置保持機構93を設けている。
【0031】
前記位置保持機構93は、スライド軸91に設ける溝94に搬送フレーム90側に設けるピン95を前記遠近方向と直交する方向で差込むことによりスライド軸91の遠近方向の移動を規制して前記回転輪87,88を接近位置に位置保持するもので、前記溝94を断面半月形で前記スライド軸91の外面に輪状に設けると共に、前記回転輪87,88が接近位置にあるときに搬送フレーム90に挿入されているスライド軸91の挿入部分で、その挿入長さの略半分の長さ挿入端部から離れた位置に前記溝94を設ける一方、前記ピン95は短い丸棒からなり、前記溝94に差込む側の端面を前記溝94の曲率半径と同じ半径の球面に形成し、かつ前記溝94に差込む側と反対側の端面も球面に形成し、搬送フレーム90の外面から前記遠近方向と直交する方向で、かつ前記左株元搬送チェン33Lの回動平面に対して直角に立上げて固着した短い筒状のピンホルダ96に上下動自在に内装している。また前記ピンホルダ96は、前記回転輪87,88が接近位置にあるときの前記溝94の真上位置となる搬送フレーム90の外面位置に設けると共に、ピン95を内装する内孔を搬送フレーム90の内部に連通させている。これにより、前記回転輪87,88が接近位置にあるとき、ピンホルダ96に内装したピン95の真下に溝94が移動し、ピン95がこの自重でピンホルダ96の内部で下動し、ピン95の下端が前記遠近方向と直交する方向で溝94に自動的に差込まれるようになっている。
【0032】
前記ピン95とピンホルダ96の長さは、ピン95の下端が溝94に差込まれているときに、ピン95の頭頂部がピンホルダ96の上端と同じ高さになり、ピン95の下端が溝94から外れてスライド軸91の外面に乗上げたとき、ピン95の頭頂部が溝94の深さだけピンホルダ96の上端から突出するような長さ関係になるように形成している。
【0033】
前記位置保持機構93には、溝94に差込む側と反対側のピン95の端部である頭部を押さえる抜止め部材97と、この抜止め部材97を前記ピン95と平行な軸98を中心に回転操作するための操作レバー99を設けると共に、これら抜止め部材97と操作レバー99を一つの板材から構成するもので、前記軸98の外側に回転自在に嵌合するボス100の外面から一方向に抜止め部材97を延設し、その反対方向に操作レバー99を延設している。また軸98は、搬送フレーム90の外面から左株元搬送チェン33Lの搬送作用側と非搬送作用側との間に一体延設した開放部が下に向くコの字形のブラケット101における左株元搬送チェン33Lの回動平面と平行な上面に直角に立設固定し、前記ボス100を介して抜止め部材97と操作レバー99を、左株元搬送チェン33Lの搬送作用側と非搬送作用側との間で、左株元搬送チェン33Lの回動平面と平行に支持し、左株元搬送チェン33Lの上面より高い前記ピンホルダ96の上端面を含む平面と抜止め部材97と操作レバー99の下面が一致する高さで、軸98を中心に抜止め部材97と操作レバー99を回転させるようにしている。さらに操作レバー99は、刈取部7の左外側に向けてボス100の外面から延設している。またスライド軸91の移動方向で対向する前記ブラケット101の両側片のうち、前側の側片と搬送フレーム90が作る角部にL形のレバー支持フレーム102の折曲部より一方を固着し、他方を抜止め部材97がピンホルダ96の上面に回転移動するときの操作レバー99の中間部下面に延設し、操作レバー99に形成した孔103とレバー支持フレーム102の前記他方端部に形成した孔104にスナップピン105を挿通させることで、抜止め部材97がピンホルダ96の上面に回転移動する位置で操作レバー99を固定するようになっている。また板状の抜止め部材97の一側から斜め上方に連続して延設する傾斜状のストッパー106を設け、操作レバー99の回転操作によって抜止め部材97がピンホルダ96の上面に回転移動する前にストッパー106をピンホルダ96の上面を通過させることで、抜止め部材97をピンホルダ96の上面にスムーズに回転移動させると共に、抜止め部材97がピンホルダ96の上面に回転移動したとき、前記ブラケット101の後側の側片に固着したフレーム107に、ストッパー106の先端を当接させ、抜止め部材97がピンホルダ96の上面に回転移動したときに操作レバー99の回転操作を止めるようになっている。
【0034】
前記スライド軸91とは別に、搬送フレーム90と反対側の前記ブラケット101先端側でこの両側片に挿通支持させて、前記遠近方向に移動自在に搬送フレーム90に取付けるスライド軸108を設け、このスライド軸108の端部に前記スライド軸91と同様に前記ブラケット89を固着させ、スライド軸を平行な二本の軸91,108で構成し、前記ブラケット89の固着端と反対側で、前記ブラケット101の前側の側片から突出するスライド軸108の端部には、スライド軸91,108の接近方向の移動を規制する円盤状のストッパー109を着脱自在にボルト止めして設け、回転輪87,88が前記接近位置に移動し、ピン95の真下に溝94が移動したとき、ストッパー109を前記ブラケット101の前側の側片に当接させてスライド軸91,108の接近方向の移動を止めるようになっている。
【0035】
そして、図9及び図10に示すように、前記回転輪87,88が接近位置にあるときには、2本のスライド軸91,108が搬送フレーム90,ブラケット101から大きく突出し、ストッパー109が前記ブラケット101の前側の側片に当接していると共に、一方のスライド軸91に設けた溝94が搬送フレーム90に固着したピンホルダ96に内装したピン95の真下位置に移動し、ピン95がこの自重でピンホルダ96の内部で下動し、ピン95の下端が前記遠近方向と直交する方向で溝94に差込まれている。この状態で、操作レバー99を図10に示す位置に回転操作し、抜止め部材97をピンホルダ96の上面に回転移動させてピンホルダ96の開放上面を塞ぎ、ピン95の頭頂部97を抜止め部材97で押さえ、溝94と抜止め部材97の間にピン95を挟む状態として、溝94からのピン95の抜止めを図った後、操作レバー99をスナップピン105で固定し、前記位置保持機構93による前記回転輪87,88の接近位置での位置保持を行い、前記合流部X2における左右の株元搬送チェン33L,30Rの間隔(刈取穀稈の搬送通路幅)Yを狭くして、少量の刈取穀稈であっても姿勢乱れや脱落など搬送不良が発生するのを防止しながら、右株元合流搬送チェン33Rによって挟持搬送される4条分の刈取穀稈R,Cの株元部に対し、左株元搬送チェン33Lによって挟持搬送される左2条分の刈取穀稈Lの株元部を左株元搬送チェン33Lの搬送終端部から適正に合流させるものである。
【0036】
一方、前記合流部X2での刈取穀稈L,R,Cの詰まりが発生した場合には、機械を停止し、刈取部7の左外側から前記位置保持機構93による前記回転輪87,88の接近位置での位置保持の解除し、前記回転輪87,88を離隔位置に後退させることで、前記合流部X2における左右の株元搬送チェン33L,33Rの間隔Yを拡大し、合流部X2からの刈取穀稈L,R,Cの引抜き、即ち合流部X2での刈取穀稈L,R,Cの詰まり解除を行うもので、前記回転輪87,88の接近位置での位置保持の解除は、操作レバー99を固定しているスナップピン105を各孔103,104から引抜いた後、操作レバー99を図10に示す位置保持位置から図12の実線に示す解除位置に回転操作し、抜止め部材97をピンホルダ96の上面から外れた非作用位置に回転移動してピンホルダ96の上面を開放し、ピン95の上動による溝94からのピン95の引抜きを許す状態とすることにより、後は合流部X2における刈取穀稈L,R,Cの詰まり反力(合流部X2における左右株元合流搬送チェン33L,33Rの間に固く詰まっている刈取穀稈L,R,Cにより、合流部X2における左右株元合流搬送チェン33L,33Rにこれらの間隔Yを拡大する方向に働く力、即ち回転輪87,88にこれを後退させる方向に働く力)によって、各スライド軸91,108が後退移動し、その移動開始時点でピン95がこの下端と溝94の嵌合い形状によって自動的に押上げられて、スライド軸91外面にピン95を乗上げさせた状態で、各スライド軸91,108がさらに後退移動し、前記回転輪87,88が図11の実線及び図12の実線に示す離隔位置に後退するものである。
【0037】
また、合流部X2での刈取穀稈L,R,Cの詰まりを解除した後、再び前記回転輪87,88を元の接近位置に復帰させ、その位置に位置保持する、即ち回転輪87,88の再セットは、ブラケット89などを押して各スライド軸91,108を前進移動させると、その前進移動が、ストッパー109が前記ブラケット101の前側の側片に当接することで、止められ、そのとき、溝94がピン95の真下位置に移動しており、ピン95がこの自重でピンホルダ96の内部で下動し、ピン95の下端が前記遠近方向と直交する方向で自動的に溝94に差込まれる。その後、操作レバー99を図12の実線に示す位置から図10に示す位置方向に回転操作すると、その回転が、フレーム107にストッパー106の先端が当接することで、止められ、そのとき抜止め部材97がピンホルダ96の上面に回転移動しており、その位置で操作レバー99をスナップピン105で固定すれば、完了するものである。
【0038】
上記から明らかなように、左右の刈取穀稈L,R株元部のそれぞれを挟持搬送して合流させる左右一対の株元合流搬送チェン33L,33Rのうち、一方の株元合流搬送チェン33Lの搬送終端部を巻回支持する回転輪87,88を他方の株元合流搬送チェン33Rに対する遠近方向に移動自在に搬送フレーム90に支持するスライド軸91と、該スライド軸91に設ける溝94に前記搬送フレーム90側に設けるピン95を前記遠近方向と直交する方向で差込むことにより前記スライド軸91の遠近方向の移動を規制して前記回転輪87,88を接近位置に位置保持する位置保持機構93を設けたもので、溝94からピン95を引抜くことで前記回転輪87,88を接近位置から前進させることなくその接近位置での位置保持の解除を容易に行わせ、合流部X2での刈取穀稈L,Rの詰まり解除を作業性良く楽に行わせるように構成している。
【0039】
また、前記スライド軸を平行な2本の軸91,108で構成し、2本のスライド軸91,108のうち一方のスライド軸91に前記ピン95を差込む溝94を設けたもので、回転輪87,88を前記遠近方向に移動させるときにこじれが発生するのを押さえ、回転輪87,88の移動を円滑に行わせるように構成している。
【0040】
また、前記溝94に差込む側と反対側の前記ピン95の端部を押さえる抜止め部材97と該抜止め部材97を前記ピン95と平行な軸98を中心に回転操作するための操作レバー99とを一つの板材から構成したもので、操作レバー99の回転操作によって回転輪87,88の接近位置での位置保持及びその解除を行わせ、合流部X2での刈取穀稈L,Rの詰まり解除をノンツールで作業性良く楽に行わせるように構成している。
【0041】
また、前記溝94を断面半月形で前記スライド軸91の外面に輪状に設ける一方、前記溝94に差込む側の前記ピン95の端面を前記溝94の曲率半径と同じ曲率半径の球面に形成したもので、詰まり反力によってピン95の溝94からの引抜き及び回転輪87,88の離隔位置への後退を行わせるように構成している。
【0042】
図13及び図14に示すように、左右及び中央の株元搬送チェン33L,33R,33C、株元搬送チェン34、補助株元搬送チェン35,36など穀稈株元搬送機構を構成する搬送チェン110には、搬送チェン110との間で刈取穀稈L,R,Cの株元部を挟扼して搬送するための挟扼機構111か設けられており、この挟扼機構111は、刈取部7のメインフレームなどに固定した固定板112に、断面門形に形成したブラケット113を搬送チェン110の搬送作用側に対する遠近方向に位置調節自在に取付け、このブラケット113に、一対の挟扼レール支持アーム114を前記遠近方向に移動自在に挿通支持し、搬送チェン110とブラケット113の間に突出する一対の挟扼レール支持アーム114の端部に挟扼レール115を固着し、バネ116によって挟扼レール115を搬送チェン110の搬送作用側に向けて弾圧支持している。
【0043】
また、固定板112に対して挟扼機構111は、このブラケット113の上面に立設固定した一対のボルト117を、上方の固定板112に前記遠近方向に平行に開設した一対の長孔118に挿通させ、固定板112の上面側と下面側でボルト117に螺着する上下2個のナット119,120によりボルト117を固定板112に締付けることで、挟扼機構111の上下方向の位置調節と固定を兼用させ、挟扼機構111を搬送チェン110の中央に容易に位置調節できるようにし、挟扼機構111の位置ずれによる刈取穀稈L,R,Cの姿勢乱れや脱落などを防止し、穀稈搬送機能を向上させるように構成している。
【0044】
上記のように、挟扼機構111を固定板112に締結するボルト117を上下方向に位置調節する方向で設け、挟扼機構111の上下方向の位置調節と固定の両方を兼用させるもので、挟扼機構111を搬送チェン110の中央に位置させる機能の安定を図ることができる。また上下方向の位置調節と固定の両方を兼用するから構造簡単にでき、搬送通路側に挟扼機構111の固定用のボルトが突出しないから、搬送穀稈や藁屑の引掛かりや堆積も押さえることができ、挟扼機構111の上下方向の位置調節だけでなく前記遠近方向の位置調節も容易に行うことができ、上下方向の位置調節部と固定部の両方がブラケット113の中央にあるから、搬送穀稈や藁屑の引掛かりや堆積も押さえることができるものである。
【0045】
図15及び図16に示すように、前記各引起駆動ケース48は、これに内挿する引起駆動軸53の延長線上にある下端面に後述する上部穂先搬送駆動ケースの入力端部をいんろう接続するための孔121を形成すると共に、この孔121周りの各引起駆動ケース48の外面には前記上部穂先搬送駆動ケースの入力端部又は前記孔121を閉鎖するための蓋体122をセットボルト123で取外可能に一体連結するためのフランジ124を形成し、また前記引起駆動軸53には、これを引起タイン駆動軸49に連動連結させる一対のベベルギア125,126のうち、引起駆動軸53上に設ける一方のベベルギア125より突出させて前記孔121の近傍位置まで延出させる軸端部127を形成している。
【0046】
一方、各上部穂先搬送タイン39L,39R,39Cの各タインケース128には、これを出力端部に取付け、前記各引起駆動ケース48の孔121にいんろう接続する入力端部129aを形成する上部穂先搬送駆動ケース129を設けている。この上部穂先搬送駆動ケース129には、入力軸130と、出力軸131と、これら2軸130,131を連動連結させる一対のベベルギア132,133を内装し、入力軸130の入力端部に前記引起駆動軸53の軸端部127との軸継手134を固着し、この軸継手134の端部を上部穂先搬送駆動ケース129の出力端部から突出させ、また出力軸131を上部穂先搬送駆動ケース129の出力端部からタインケース128内側に突出させ、その突出端部に、引起タイン28を等間隔に取付ける回転板135を設け、さらに上部穂先搬送駆動ケース129の入力端部129a外面に各引起駆動ケース48側のフランジ124に対応するフランジ129bを形成している。
【0047】
そして、左上部穂先搬送タイン39Lの駆動ケース129の入力端部129aを左から2番目の引起ケース29の引起駆動ケース48の孔121にいんろう接続すると共に、入力軸130の軸継手134を引起駆動軸53の軸端部127にスプライン嵌合し、左から2番目の引起ケース29の引起駆動ケース48の下端部にフランジ124及びセットボルト123を介して駆動ケース129を一体連結し、これによって、左から2番目の引起ケース29の背面側上部に左上部穂先搬送タイン39Lを装着支持し、かつこのタイン39Lに動力を伝達して回転駆動させる。これと同様に、右上部穂先搬送タイン39Rの駆動ケース129は、右から二番目の引起ケース29の引起駆動ケース48の下端部に一体連結し、右から2番目の引起ケース29の背面側上部に右上部穂先搬送タイン39Rを装着支持し、かつこのタイン39Rに動力を伝達して回転駆動させ、中央上部穂先搬送タイン39Cの駆動ケース129は、右から三番目の引起ケース29の引起駆動ケース48の下端部に一体連結し、右から3番目の引起ケース29の背面側上部に中央上部穂先搬送タイン39Cを装着支持し、かつこのタイン39Cに動力を伝達して回転駆動させる一方、残りの引起ケース29の引起駆動ケース48の上部穂先搬送駆動ケース接続用の孔121は、これに前記蓋体122を装着してセットボルト123及びフランジ124を介して固定して閉鎖処理するように構成している。
【0048】
上記構成によって、引起駆動ケース48を、上部穂先搬送タイン39L,39R,39Cを取付けるものと取付けないものと二種類用意する必要がなくなり、引起駆動ケース48を一種類に統一でき、製造コストの低下を図ることができると共に、機種の異なりによって上部穂先搬送タイン39L,39R,39Cの取付位置やその数が異なっても適正に対応でき、また刈取る穀物の種類や品種の異なりによって上部穂先搬送タイン39L,39R,39Cの使用・不使用にも適正に対応できるようになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】コンバインの全体側面図。
【図2】コンバインの全体平面図。
【図3】刈取部の側面図。
【図4】刈取部平面図。
【図5】株元合流搬送チェンの平面図。
【図6】刈取部の駆動系統図。
【図7】中央搬送駆動部の側面図。
【図8】中央搬送駆動部の平面図。
【図9】位置保持機構部の側面図。
【図10】位置保持機構部の平面図。
【図11】解除状態の位置保持機構部の側面図。
【図12】解除状態の位置保持機構部の平面図。
【図13】挟扼機構部の断面説明図。
【図14】挟扼機構部の平面説明図。
【図15】上部穂先搬送タインを取外した引起駆動ケースの断面側面図。
【図16】上部穂先搬送タインを取付けた引起駆動ケースの断面側面図。
【図17】上部穂先搬送タインを取付けた引起駆動ケースの斜視図。
【図18】上部穂先搬送駆動ケースの正面図。
【図19】蓋体の平面図。
【符号の説明】
【0050】
22 横伝動ケース
30L,30R,30C 掻込輪(スターホイル)
33L,33R,33C 株元合流搬送チェン
78 駆動輪(中央株元搬送チェン駆動スプロケット)
80 中央搬送駆動ケース
81 伝動ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体左右方向に水平に横架支持させた刈取入力ケースと、同刈取入力ケースの中間部から前斜下方に向けて一体延設する縦伝動ケースと、縦伝動ケースの先端に中間部を一体連結して縦伝動ケースの先端にて機体左右方向に水平に横架支持する横伝動ケースと、後部を横連結フレームによって一体連結した刈取フレームとを設け、同刈取フレームの後部を横伝動ケースに一体連結して刈取フレームを横伝動ケースから機体前方に向けて平行に一体延設してメインフレームとなし、
このメインフレームに、未刈穀稈を起立させる前処理機構と、前処理した穀稈の株元部を掻寄せて掻込む掻込機構と、掻込時に穀稈の株元を切断して刈り取る刈取機構と、刈取穀稈を挟持搬送する穀稈搬送機構とを具備する刈取部を備えたコンバインであって、
横伝動ケースの側端部から引起縦伝動ケースを前傾姿勢で立上げて、引起縦伝動ケースの上端部から水平に引起横伝動ケースを延設し、引起横伝動ケースから下方向に引起駆動ケースを延設して、各引起駆動ケースの下部を前処理機構に連動連結すると共に、穀稈搬送機構の穂先搬送機構に連動連結する一方、
横伝動ケースの中間部から中央搬送駆動ケースを立上げて、同中央搬送駆動ケースを、伝動ケースを介して穀稈搬送機構の株元搬送機構に連動連結し、同伝動ケースの下側に空間を設けたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−99707(P2008−99707A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317260(P2007−317260)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【分割の表示】特願2004−325396(P2004−325396)の分割
【原出願日】平成14年7月30日(2002.7.30)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】