コンバイン
【課題】グレンタンクと排出オーガを備えたコンバインを、門扉等の障害物の下方を容易に通過できるものとする。
【解決手段】穀粒を貯留するグレンタンク(30)と、該グレンタンク(30)に貯留された穀粒を外部へ排出する排出オーガ(17)と、グレンタンク(30)の前側に位置する操縦席(20)を備えたコンバインにおいて、グレンタンク(30)と、機体上の格納位置に格納した排出オーガ(17)の先端部と、操縦席(20)の下側に備えたエンジン(8)に吸入する空気を浄化するプレフィルタ(11)とを、夫々の上端部が略同じ高さになるように配置する。
【解決手段】穀粒を貯留するグレンタンク(30)と、該グレンタンク(30)に貯留された穀粒を外部へ排出する排出オーガ(17)と、グレンタンク(30)の前側に位置する操縦席(20)を備えたコンバインにおいて、グレンタンク(30)と、機体上の格納位置に格納した排出オーガ(17)の先端部と、操縦席(20)の下側に備えたエンジン(8)に吸入する空気を浄化するプレフィルタ(11)とを、夫々の上端部が略同じ高さになるように配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレンタンクを搭載し、このグレンタンクに溜めた穀粒を搬出する排出オーガを備えるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、機体の高さも高くなっているために、門扉の如く上方に障害物が有って左右幅の狭い場所を移動する場合に機体の上部が障害物に接触する虞がある。
また、特開2002−95331号公報に記載の如く、コンバインの操縦席は機体の前部に設けられ、グレンタンクや排出オーガの取付基部が操縦席の後側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−95331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、コンバインの操縦席よりも後側の部位と上方の障害物との間隔を確認する頻度を低減することによる操縦の容易性と、グレンタンクの貯留容積の拡大を両立させたコンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、穀粒を貯留するグレンタンク(30)と、該グレンタンク(30)に貯留された穀粒を外部へ排出する排出オーガ(17)と、グレンタンク(30)の前側に位置する操縦席(20)を備えたコンバインにおいて、前記グレンタンク(30)と、機体上の格納位置に格納した排出オーガ(17)の先端部と、操縦席(20)の下側に備えたエンジン(8)に吸入する空気を浄化するプレフィルタ(11)とを、夫々の上端部が略同じ高さになるように配置したことを特徴とするコンバインとした。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記グレンタンク(30)の側方に脱穀装置(9)を備え、前記プレフィルタ(11)を、脱穀装置(9)からグレンタンク(30)に穀粒を移送する揚穀筒(15)の上部に支持した請求項1に記載のコンバインとした。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記グレンタンク(30)を、該グレンタンク(30)の後側に配置した縦軸まわりに回動自在な構成とした請求項2記載のコンバインとした。
請求項4に記載の発明は、前記操縦席(20)とグレンタンク(30)の間に、該グレンタンク(30)の回動位置の固定を解除する操作具(29)を配置し、操縦席(20)とグレンタンク(30)の間の機体外側の部位にサイドカバー(33)を配置し、該サイドカバー(33)に形成した操作口(33a)から前記操作具(29)を操作する構成とした請求項3に記載のコンバインとした。
【0008】
請求項5記載の発明は、前記サイドカバー(33)をグレンタンク(30)側に備えた縦軸で回動自在に支持し、サイドカバー(33)の前端部を前記操縦席(20)側の原動枠(14)に側面視で重合させるとともに、該サイドカバー(33)を原動枠(14)側に向けて回動するように付勢した請求項4に記載のコンバインとした。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、グレンタンク(30)と、格納位置の排出オーガ(17)の先端部と、操縦席(20)の下側に備えるエンジン(8)に吸入する空気を浄化するプレフィルタ(11)とを夫々の上端部が略同じ高さに配置したことで、機体を走行させるにあたり、操縦席(20)に着座した操縦者は、排出オーガ(17)の先端部を視認しながら操作を行えばよく、グレンタンク(30)やプレフィルタ(11)を確認する頻度が低下するため、容易に走行操作を行うことができる。また、グレンタンク(30)の上端部を高位置に設定しているので貯留容積を拡大することができ、プレフィルタ(11)は塵埃の少ない高位置から空気を吸入し、エンジン(8)に供給することができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明による効果に加えて、プレフィルタ(11)の支持剛性を高め、プレフィルタ(11)の振動を低減することで、このプレフィルタ(11)の耐久性を高めることができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項2記載の発明による効果に加えて、グレンタンク(30)を外側方へ回動させて、プレフィルタ(11)のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、上記請求項3記載の発明による効果に加えて、操縦席(20)とグレンタンク(30)の間にサイドカバー(33)を配置することでこの隙間に塵埃が入り込むことを防止することができるものでありながら、このサイドカバー(33)に形成した操作口(33a)から操作具29をロック解除してグレンタンク30を側方へ回動させることができる。
【0013】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明の効果に加えて、原動枠(45)を後部の縦軸を中心にして側方へ回動する場合に、サイドカバー(33)を開放することなくそのまま原動枠(45)に沿って回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】排出オーガを使用中のコンバイン全体平面図である。
【図4】排出オーガの側面図である。
【図5】縦オーガ横オーガの連結部の拡大側面図である。
【図6】揚穀筒の上部拡大側面図である。
【図7】グレンタンクの拡大側面図である。
【図8】グレンタンクの拡大正面図である。
【図9】操縦席とグレンタンクの一部の拡大平面図である。
【図10】グレンタンクの斜視図である。
【図11】別実施例グレンタンクの斜視図である。
【図12】別実施例グレンタンクの拡大正面図である。
【図13】唐箕変速レバーの連結を示す側面図である。
【図14】唐箕変速レバーの連結を示す平面図である。
【図15】唐箕変速プーリを示す拡大平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
なお、本明細書では左側及び右側とはコンバインが前進する方向に向かっての方向を言い、前側と後側はそれぞれコンバインの前進側と後進側を言うものとする。
【0016】
図1に示すコンバイン1の全体図において、走行フレーム2の下部には、ゴムなどの可撓性材料を素材として無端帯状に成型した左右一対のクローラ4を持ち、乾田はもちろんのこと、湿田においてもクローラ4が若干沈下するだけで自由に走行できる構成の走行装置3を備え、走行フレーム2の前部には刈取装置6を搭載し、走行フレーム2の上部にはエンジン8ならびに脱穀装置9、操縦席20およびグレンタンク30を走行フレーム2に搭載する。
【0017】
刈取装置6は、図示しない刈取昇降シリンダの伸縮作用により刈取装置6全体を昇降して、圃場に植生する穀稈を所定の高さで刈取りができる構成としている。刈取装置6の前端下部に分草具7を、その背後に傾斜状にした図示しない穀稈引起し装置を、その後方底部には刈刃5を配置している。刈刃5と脱穀装置のフィードチェンの始端部との間に、前部搬送装置と供給搬送装置などを、順次穀稈の受継搬送と扱深さ調節とができるように配置している。
【0018】
操縦席20の後部で左側には脱穀装置9、右側にはグレンタンク30を搭載している。
脱穀装置9の後部には脱穀済みの穀稈を短く切断して圃場へ放出する拝稈カッター10を装着している。
【0019】
グレンタンク30は、脱穀装置9との間に設ける揚穀筒15から送られる収穫穀粒を溜めて、後部に立設する縦オーガ18とこの縦オーガ18の上端に連結する横オーガ19で溜めた穀粒を送り揚げて横搬送し、図3の如く、横オーガ19を側方へ回動させて横オーガ19の先端に設ける穀粒取出口19cからトラックの穀粒タンクや籾袋へ排出する。
【0020】
図4の如く、横オーガ19は、縦オーガ18に対してオーガ回動軸26で連結しオーガシリンダ13で起伏可能に連結し、元横オーガ19aに対して先横オーガ19bを伸縮可能で、この先横オーガ19bの先端に穀粒取出口19cを設けている。本発明で、排出オーガ17とは、縦オーガ18と横オーガ19のことをいう。
【0021】
元横オーガ19aは、オーガ回動軸26に連結ブラケット27で連結しているが、連結ブラケット27に「へ」字状の連結溝27aを形成し、オーガ回動軸26との連結位置を変更することで、横オーガ19をより下方へ傾けることが可能で、穀粒取出口19cの位置を低くすることで直接籾袋に穀粒を取り出せるようになる。
【0022】
穀粒の取り出し時には、横オーガ19を起立させながら適宜の方向へ向けて旋回して穀粒取出口19cをトラックの穀粒タンク上に位置させて作業を行い、刈り取り作業中や移動走行中には横オーガ19を斜め左前方へ向けて脱穀装置9上に格納支持する。従って、操縦席20のオペレータは、機体前方を向かって前進走行しながら穀粒取出口19cやその周りを見ることが可能である。
【0023】
揚穀筒15の上端はグレンタンク30の上面および格納位置にある横オーガ19の先端部と略同一高さで、図6に示す如く、揚穀筒15の上端面にブラケット28でプレフィルタ11を取り付けている。揚穀筒15は脱穀装置9の選別室から穀粒を送り揚げ、上端部の跳出部18aから穀粒をグレンタンク30内へ跳ね出す。
【0024】
プレフィルタ11は、エンジン8への吸気エアーを外気から取り込むもので、フィルタ12を通してエンジン8に新鮮なエアーを取り込むものである。
グレンタンク30は、機体の後方側を脱穀装置9機枠に枢着し前側を脱穀装置9機枠の係止ピン32にフック31を引っ掛けることで固定して、フック31を外してグレンタンク30を側方へ回動して機体の内部をメンテナンス出来るようにしている。フック31にはグレンタンク30の前壁に沿って設けた長い解除ハンドル(操作具)29を設けて、操縦席20下部の原動枠14とグレンタンク30の間を塞ぐサイドカバー33に設ける操作口33aから手を差し込んで解除ハンドル29の解除操作を行えるようにしている。サイドカバー33はグレンタンク30側に取り付けているのでグレンタンク30の側方回動に伴ってグレンタンク30に付いたままで外れる。なお、グレンタンク30の底部に設ける横送り螺旋への動力伝動は、原動側プーリとグレンタンク側プーリにベルトを巻き掛けて、テンションプーリで動力の伝動を行っているので、このベルトを外せばグレンタンク30を側方へ回動することが出来る。
【0025】
図9に示す如く、走行フレーム2に搭載したエンジン8を囲んだ原動枠14にサイドカバー33の前側を重ねて閉じ付勢して保持し、原動枠14後側の原動枠支持軸16を中心にした原動枠14の側方開放操作に伴ってサイドカバー33も側方へ開かれるようにしている。
【0026】
グレンタンク30の脱穀装置9側の側壁30aは,図10の如く、平面にしているが、図11の如く、通常の側壁30aに代えて揚穀筒15を避けて内側に膨らませた膨張側壁30bにすることでグレンタンク30の穀粒収容量を多くすることが出来る。
【0027】
また、図12に示す如く、グレンタンク30の内側傾斜底壁30cにクランク軸35aとクランクアーム35bからなる加振装置35を取り付けると、穀粒が湿っている場合にこの加振装置35を駆動すると穀粒が内側傾斜底壁30c上に滞留することなく、底部横送り螺旋に滑り落ちて排出オーガ17で残りなくタンク外へ取り出せるようになる。
【0028】
操縦席20の後側に脱穀装置9の選別室に設ける唐箕38の回転速度を変更する唐箕変速レバー40を設けて、オペレータが操縦席20に座ったままで操作出来るようにしている。唐箕軸39にエンジン8側からの回転伝動するベルトを受ける変速プーリ43を設け、固定プーリ片43bに対して軸方向にスライドする可動プーリ片43aを、唐箕変速レバー40に連結するレバーロッド41と中継軸42と変速アーム44でスライドして変速する。
【0029】
コンバイン1の刈取装置6の作動は次のように行われる。まず、エンジン8を始動して主変速レバー10をコンバイン1が前進するように操作し、刈取レバー(図示省略)で刈取クラッチを入り操作し、また脱穀レバー(図示省略)で脱穀クラッチを入り操作して機体の回転各部を駆動しながら、走行フレーム2を前進走行させると、刈取作業や脱穀作業が開始される。
【0030】
圃場に植立する穀稈は刈取装置6の前端下部にある分草具7によって分草作用を受け、次いで穀稈引起し装置の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃5に達して刈取られ、前部搬送装置に掻込まれて後方に搬送され、供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される。
【0031】
さらに、穀稈は供給搬送装置からフィードチェンと挟把杆の始端部に受け継がれ、脱穀装置9に供給される。脱穀装置には、上側に扱胴を軸架した扱室を配置し、扱室の下側に選別室を一体的に設け、供給されて搬送方向に移送される刈取穀稈の穂先を脱穀して選別する。
【0032】
脱穀装置に供給された穀稈の穂先側は、扱室に送られて脱穀され、比重の重い穀粒は揚穀筒15を経てグレンタンク30へ搬送され、グレンタンク30に一時貯留される。
脱穀装置の扱室の終端に到達して脱穀された残りの穀稈は図示しない排藁チェーンと排藁穂先チェーンに挟持されて搬送され、脱穀装置の後部の藁用カッター(図示せず)に投入された後、切断され、圃場に放出される。
【符号の説明】
【0033】
8 エンジン
9 脱穀装置
11 プレフィルタ
14 原動枠
15 揚穀筒
17 排出オーガ
19c 穀粒取出口
20 操縦席
29 解除ハンドル(操作具)
30 グレンタンク
33 サイドカバー
33a 操作口
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレンタンクを搭載し、このグレンタンクに溜めた穀粒を搬出する排出オーガを備えるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、機体の高さも高くなっているために、門扉の如く上方に障害物が有って左右幅の狭い場所を移動する場合に機体の上部が障害物に接触する虞がある。
また、特開2002−95331号公報に記載の如く、コンバインの操縦席は機体の前部に設けられ、グレンタンクや排出オーガの取付基部が操縦席の後側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−95331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、コンバインの操縦席よりも後側の部位と上方の障害物との間隔を確認する頻度を低減することによる操縦の容易性と、グレンタンクの貯留容積の拡大を両立させたコンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、穀粒を貯留するグレンタンク(30)と、該グレンタンク(30)に貯留された穀粒を外部へ排出する排出オーガ(17)と、グレンタンク(30)の前側に位置する操縦席(20)を備えたコンバインにおいて、前記グレンタンク(30)と、機体上の格納位置に格納した排出オーガ(17)の先端部と、操縦席(20)の下側に備えたエンジン(8)に吸入する空気を浄化するプレフィルタ(11)とを、夫々の上端部が略同じ高さになるように配置したことを特徴とするコンバインとした。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記グレンタンク(30)の側方に脱穀装置(9)を備え、前記プレフィルタ(11)を、脱穀装置(9)からグレンタンク(30)に穀粒を移送する揚穀筒(15)の上部に支持した請求項1に記載のコンバインとした。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記グレンタンク(30)を、該グレンタンク(30)の後側に配置した縦軸まわりに回動自在な構成とした請求項2記載のコンバインとした。
請求項4に記載の発明は、前記操縦席(20)とグレンタンク(30)の間に、該グレンタンク(30)の回動位置の固定を解除する操作具(29)を配置し、操縦席(20)とグレンタンク(30)の間の機体外側の部位にサイドカバー(33)を配置し、該サイドカバー(33)に形成した操作口(33a)から前記操作具(29)を操作する構成とした請求項3に記載のコンバインとした。
【0008】
請求項5記載の発明は、前記サイドカバー(33)をグレンタンク(30)側に備えた縦軸で回動自在に支持し、サイドカバー(33)の前端部を前記操縦席(20)側の原動枠(14)に側面視で重合させるとともに、該サイドカバー(33)を原動枠(14)側に向けて回動するように付勢した請求項4に記載のコンバインとした。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、グレンタンク(30)と、格納位置の排出オーガ(17)の先端部と、操縦席(20)の下側に備えるエンジン(8)に吸入する空気を浄化するプレフィルタ(11)とを夫々の上端部が略同じ高さに配置したことで、機体を走行させるにあたり、操縦席(20)に着座した操縦者は、排出オーガ(17)の先端部を視認しながら操作を行えばよく、グレンタンク(30)やプレフィルタ(11)を確認する頻度が低下するため、容易に走行操作を行うことができる。また、グレンタンク(30)の上端部を高位置に設定しているので貯留容積を拡大することができ、プレフィルタ(11)は塵埃の少ない高位置から空気を吸入し、エンジン(8)に供給することができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明による効果に加えて、プレフィルタ(11)の支持剛性を高め、プレフィルタ(11)の振動を低減することで、このプレフィルタ(11)の耐久性を高めることができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項2記載の発明による効果に加えて、グレンタンク(30)を外側方へ回動させて、プレフィルタ(11)のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、上記請求項3記載の発明による効果に加えて、操縦席(20)とグレンタンク(30)の間にサイドカバー(33)を配置することでこの隙間に塵埃が入り込むことを防止することができるものでありながら、このサイドカバー(33)に形成した操作口(33a)から操作具29をロック解除してグレンタンク30を側方へ回動させることができる。
【0013】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明の効果に加えて、原動枠(45)を後部の縦軸を中心にして側方へ回動する場合に、サイドカバー(33)を開放することなくそのまま原動枠(45)に沿って回動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】排出オーガを使用中のコンバイン全体平面図である。
【図4】排出オーガの側面図である。
【図5】縦オーガ横オーガの連結部の拡大側面図である。
【図6】揚穀筒の上部拡大側面図である。
【図7】グレンタンクの拡大側面図である。
【図8】グレンタンクの拡大正面図である。
【図9】操縦席とグレンタンクの一部の拡大平面図である。
【図10】グレンタンクの斜視図である。
【図11】別実施例グレンタンクの斜視図である。
【図12】別実施例グレンタンクの拡大正面図である。
【図13】唐箕変速レバーの連結を示す側面図である。
【図14】唐箕変速レバーの連結を示す平面図である。
【図15】唐箕変速プーリを示す拡大平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
なお、本明細書では左側及び右側とはコンバインが前進する方向に向かっての方向を言い、前側と後側はそれぞれコンバインの前進側と後進側を言うものとする。
【0016】
図1に示すコンバイン1の全体図において、走行フレーム2の下部には、ゴムなどの可撓性材料を素材として無端帯状に成型した左右一対のクローラ4を持ち、乾田はもちろんのこと、湿田においてもクローラ4が若干沈下するだけで自由に走行できる構成の走行装置3を備え、走行フレーム2の前部には刈取装置6を搭載し、走行フレーム2の上部にはエンジン8ならびに脱穀装置9、操縦席20およびグレンタンク30を走行フレーム2に搭載する。
【0017】
刈取装置6は、図示しない刈取昇降シリンダの伸縮作用により刈取装置6全体を昇降して、圃場に植生する穀稈を所定の高さで刈取りができる構成としている。刈取装置6の前端下部に分草具7を、その背後に傾斜状にした図示しない穀稈引起し装置を、その後方底部には刈刃5を配置している。刈刃5と脱穀装置のフィードチェンの始端部との間に、前部搬送装置と供給搬送装置などを、順次穀稈の受継搬送と扱深さ調節とができるように配置している。
【0018】
操縦席20の後部で左側には脱穀装置9、右側にはグレンタンク30を搭載している。
脱穀装置9の後部には脱穀済みの穀稈を短く切断して圃場へ放出する拝稈カッター10を装着している。
【0019】
グレンタンク30は、脱穀装置9との間に設ける揚穀筒15から送られる収穫穀粒を溜めて、後部に立設する縦オーガ18とこの縦オーガ18の上端に連結する横オーガ19で溜めた穀粒を送り揚げて横搬送し、図3の如く、横オーガ19を側方へ回動させて横オーガ19の先端に設ける穀粒取出口19cからトラックの穀粒タンクや籾袋へ排出する。
【0020】
図4の如く、横オーガ19は、縦オーガ18に対してオーガ回動軸26で連結しオーガシリンダ13で起伏可能に連結し、元横オーガ19aに対して先横オーガ19bを伸縮可能で、この先横オーガ19bの先端に穀粒取出口19cを設けている。本発明で、排出オーガ17とは、縦オーガ18と横オーガ19のことをいう。
【0021】
元横オーガ19aは、オーガ回動軸26に連結ブラケット27で連結しているが、連結ブラケット27に「へ」字状の連結溝27aを形成し、オーガ回動軸26との連結位置を変更することで、横オーガ19をより下方へ傾けることが可能で、穀粒取出口19cの位置を低くすることで直接籾袋に穀粒を取り出せるようになる。
【0022】
穀粒の取り出し時には、横オーガ19を起立させながら適宜の方向へ向けて旋回して穀粒取出口19cをトラックの穀粒タンク上に位置させて作業を行い、刈り取り作業中や移動走行中には横オーガ19を斜め左前方へ向けて脱穀装置9上に格納支持する。従って、操縦席20のオペレータは、機体前方を向かって前進走行しながら穀粒取出口19cやその周りを見ることが可能である。
【0023】
揚穀筒15の上端はグレンタンク30の上面および格納位置にある横オーガ19の先端部と略同一高さで、図6に示す如く、揚穀筒15の上端面にブラケット28でプレフィルタ11を取り付けている。揚穀筒15は脱穀装置9の選別室から穀粒を送り揚げ、上端部の跳出部18aから穀粒をグレンタンク30内へ跳ね出す。
【0024】
プレフィルタ11は、エンジン8への吸気エアーを外気から取り込むもので、フィルタ12を通してエンジン8に新鮮なエアーを取り込むものである。
グレンタンク30は、機体の後方側を脱穀装置9機枠に枢着し前側を脱穀装置9機枠の係止ピン32にフック31を引っ掛けることで固定して、フック31を外してグレンタンク30を側方へ回動して機体の内部をメンテナンス出来るようにしている。フック31にはグレンタンク30の前壁に沿って設けた長い解除ハンドル(操作具)29を設けて、操縦席20下部の原動枠14とグレンタンク30の間を塞ぐサイドカバー33に設ける操作口33aから手を差し込んで解除ハンドル29の解除操作を行えるようにしている。サイドカバー33はグレンタンク30側に取り付けているのでグレンタンク30の側方回動に伴ってグレンタンク30に付いたままで外れる。なお、グレンタンク30の底部に設ける横送り螺旋への動力伝動は、原動側プーリとグレンタンク側プーリにベルトを巻き掛けて、テンションプーリで動力の伝動を行っているので、このベルトを外せばグレンタンク30を側方へ回動することが出来る。
【0025】
図9に示す如く、走行フレーム2に搭載したエンジン8を囲んだ原動枠14にサイドカバー33の前側を重ねて閉じ付勢して保持し、原動枠14後側の原動枠支持軸16を中心にした原動枠14の側方開放操作に伴ってサイドカバー33も側方へ開かれるようにしている。
【0026】
グレンタンク30の脱穀装置9側の側壁30aは,図10の如く、平面にしているが、図11の如く、通常の側壁30aに代えて揚穀筒15を避けて内側に膨らませた膨張側壁30bにすることでグレンタンク30の穀粒収容量を多くすることが出来る。
【0027】
また、図12に示す如く、グレンタンク30の内側傾斜底壁30cにクランク軸35aとクランクアーム35bからなる加振装置35を取り付けると、穀粒が湿っている場合にこの加振装置35を駆動すると穀粒が内側傾斜底壁30c上に滞留することなく、底部横送り螺旋に滑り落ちて排出オーガ17で残りなくタンク外へ取り出せるようになる。
【0028】
操縦席20の後側に脱穀装置9の選別室に設ける唐箕38の回転速度を変更する唐箕変速レバー40を設けて、オペレータが操縦席20に座ったままで操作出来るようにしている。唐箕軸39にエンジン8側からの回転伝動するベルトを受ける変速プーリ43を設け、固定プーリ片43bに対して軸方向にスライドする可動プーリ片43aを、唐箕変速レバー40に連結するレバーロッド41と中継軸42と変速アーム44でスライドして変速する。
【0029】
コンバイン1の刈取装置6の作動は次のように行われる。まず、エンジン8を始動して主変速レバー10をコンバイン1が前進するように操作し、刈取レバー(図示省略)で刈取クラッチを入り操作し、また脱穀レバー(図示省略)で脱穀クラッチを入り操作して機体の回転各部を駆動しながら、走行フレーム2を前進走行させると、刈取作業や脱穀作業が開始される。
【0030】
圃場に植立する穀稈は刈取装置6の前端下部にある分草具7によって分草作用を受け、次いで穀稈引起し装置の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃5に達して刈取られ、前部搬送装置に掻込まれて後方に搬送され、供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される。
【0031】
さらに、穀稈は供給搬送装置からフィードチェンと挟把杆の始端部に受け継がれ、脱穀装置9に供給される。脱穀装置には、上側に扱胴を軸架した扱室を配置し、扱室の下側に選別室を一体的に設け、供給されて搬送方向に移送される刈取穀稈の穂先を脱穀して選別する。
【0032】
脱穀装置に供給された穀稈の穂先側は、扱室に送られて脱穀され、比重の重い穀粒は揚穀筒15を経てグレンタンク30へ搬送され、グレンタンク30に一時貯留される。
脱穀装置の扱室の終端に到達して脱穀された残りの穀稈は図示しない排藁チェーンと排藁穂先チェーンに挟持されて搬送され、脱穀装置の後部の藁用カッター(図示せず)に投入された後、切断され、圃場に放出される。
【符号の説明】
【0033】
8 エンジン
9 脱穀装置
11 プレフィルタ
14 原動枠
15 揚穀筒
17 排出オーガ
19c 穀粒取出口
20 操縦席
29 解除ハンドル(操作具)
30 グレンタンク
33 サイドカバー
33a 操作口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒を貯留するグレンタンク(30)と、該グレンタンク(30)に貯留された穀粒を外部へ排出する排出オーガ(17)と、グレンタンク(30)の前側に位置する操縦席(20)を備えたコンバインにおいて、前記グレンタンク(30)と、機体上の格納位置に格納した排出オーガ(17)の先端部と、操縦席(20)の下側に備えたエンジン(8)に吸入する空気を浄化するプレフィルタ(11)とを、夫々の上端部が略同じ高さになるように配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記グレンタンク(30)の側方に脱穀装置(9)を備え、前記プレフィルタ(11)を、脱穀装置(9)からグレンタンク(30)に穀粒を移送する揚穀筒(15)の上部に支持した請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記グレンタンク(30)を、該グレンタンク(30)の後側に配置した縦軸まわりに回動自在な構成とした請求項2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記操縦席(20)とグレンタンク(30)の間に、該グレンタンク(30)の回動位置の固定を解除する操作具(29)を配置し、操縦席(20)とグレンタンク(30)の間の機体外側の部位にサイドカバー(33)を配置し、該サイドカバー(33)に形成した操作口(33a)から前記操作具(29)を操作する構成とした請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記サイドカバー(33)をグレンタンク(30)側に備えた縦軸で回動自在に支持し、サイドカバー(33)の前端部を前記操縦席(20)側の原動枠(14)に側面視で重合させるとともに、該サイドカバー(33)を原動枠(14)側に向けて回動するように付勢した請求項4に記載のコンバイン。
【請求項1】
穀粒を貯留するグレンタンク(30)と、該グレンタンク(30)に貯留された穀粒を外部へ排出する排出オーガ(17)と、グレンタンク(30)の前側に位置する操縦席(20)を備えたコンバインにおいて、前記グレンタンク(30)と、機体上の格納位置に格納した排出オーガ(17)の先端部と、操縦席(20)の下側に備えたエンジン(8)に吸入する空気を浄化するプレフィルタ(11)とを、夫々の上端部が略同じ高さになるように配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記グレンタンク(30)の側方に脱穀装置(9)を備え、前記プレフィルタ(11)を、脱穀装置(9)からグレンタンク(30)に穀粒を移送する揚穀筒(15)の上部に支持した請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記グレンタンク(30)を、該グレンタンク(30)の後側に配置した縦軸まわりに回動自在な構成とした請求項2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記操縦席(20)とグレンタンク(30)の間に、該グレンタンク(30)の回動位置の固定を解除する操作具(29)を配置し、操縦席(20)とグレンタンク(30)の間の機体外側の部位にサイドカバー(33)を配置し、該サイドカバー(33)に形成した操作口(33a)から前記操作具(29)を操作する構成とした請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記サイドカバー(33)をグレンタンク(30)側に備えた縦軸で回動自在に支持し、サイドカバー(33)の前端部を前記操縦席(20)側の原動枠(14)に側面視で重合させるとともに、該サイドカバー(33)を原動枠(14)側に向けて回動するように付勢した請求項4に記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−74800(P2013−74800A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214975(P2011−214975)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]