説明

コンバイン

【課題】刈取装置の搬送装置から脱穀装置の供給搬送装置への穀稈の引継ぎを円滑化する。
【解決手段】供給搬送装置(17)の内側に、走行装置(2)の走行速度に同調して駆動され、前記搬送装置(H)の搬送終端部から穀稈を受継ぐ引継搬送装置(25)を設け、引継搬送装置(25)の後部に備える横軸(28a)を支点として引継搬送装置(25)の前部を上下に回動させる姿勢変更機構(41)を設け、搬送装置(H)における穀稈の詰りを検出する詰り検出センサ(43)が穀稈の詰りを検出した場合に、姿勢変更機構(41)を作動させて搬送装置(H)の搬送終端部と引継搬送装置(25)の搬送始端部とが上下に離間するように引継搬送装置(25)を回動させる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
刈取装置に搬送装置を備え、この搬送装置から穀稈を受継いで脱穀装置に供給する穀稈供給搬送装置を設け、この穀稈供給搬送装置の搬送始端側の部位の内側に、引継搬送装置を設けたコンバインが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−201429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の技術は、穀稈供給搬送装置の内側に搬送上手側の搬送装置から穀稈を受継ぐ引継搬送装置を設けたものであるが、搬送装置において穀稈の詰りが生じた場合、搬送装置と引継搬送装置の間にこの詰った穀稈が挟まり、搬送が継続できなくなる問題がある。また、搬送装置と引継搬送装置の間隔が変化しないため、脱穀装置に供給する扱ぎ深さを変更した場合に、引継搬送装置が穀稈を円滑に引継ぎできずに脱落する虞がある。
【0005】
本願は、上記の問題を解消し、穀稈を搬送装置から引継搬送装置に円滑に引継ぐことができるコンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、走行装置(2)の上方に脱穀装置(3)を設け、該脱穀装置(3)の前方に刈取装置(4)を設け、該刈取装置(4)には前記走行装置(2)の走行速度に同調して駆動する搬送装置(H)を備え、前記脱穀装置(3)の左右一側には、一定速度で駆動され、前記搬送装置(H)で搬送された穀稈を受継いで脱穀装置(3)に供給する穀稈供給搬送装置(17)を備えるコンバインにおいて、前記穀稈供給搬送装置(17)の内側に、前記走行装置(2)の走行速度に同調して駆動され、前記搬送装置(H)の搬送終端部から穀稈を受継ぐ引継搬送装置(25)を設け、該引継搬送装置(25)の後部に備える横軸(28a)を支点として引継搬送装置(25)の前部を上下に回動させる姿勢変更機構(41)を設け、前記搬送装置(H)における穀稈の詰りを検出する詰り検出センサ(43)が穀稈の詰りを検出した場合に、姿勢変更機構(41)を作動させて前記搬送装置(H)の搬送終端部と引継搬送装置(25)の搬送始端部とが上下に離間するように引継搬送装置(25)を回動させる構成としたことを特徴とするコンバインである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記搬送装置(H)に、脱穀装置(3)に供給される穀稈の扱深さを変更する扱深さ調節搬送装置(15)を備え、該扱深さ調節搬送装置(15)により扱深さが浅扱ぎ側に変更された場合に、姿勢変更機構(41)を作動させて前記搬送装置(H)の搬送終端部と前記引継搬送装置(25)の搬送始端部とを離間させる構成とした請求項1記載のコンバインである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記扱深さ調節搬送装置(15)が予め設定された深扱ぎ側設定値よりも深扱ぎ側に変更された場合に、姿勢変更機構(41)を作動させて前記搬送装置(H)の搬送終端部と前記引継搬送装置(25)の搬送始端部とを接近させ、扱深さ調節搬送装置(15)が予め設定された浅扱ぎ側設定値よりも浅扱ぎ側に変更された場合に、姿勢変更機構(41)を作動させて前記搬送装置(H)の搬送終端部と前記引継搬送装置(25)の搬送始端部とを離間させる請求項2記載のコンバインである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記脱穀装置(3)の前側であって前記引継搬送装置(25)の内側の部位に、引継搬送装置(25)で搬送される穀稈の穂先を下側から支持する穀稈支持台(58)を備え、該穀稈支持台(58)と引継搬送装置(25)の間にカバー体(50)を設けた請求項1または請求項2または請求項3記載のコンバインである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記カバー体(50)の前部に前記引継搬送装置(25)の下側に向けて側方に延出した延出部(50f)を備え、延出部(50f)に外側部ほど後方に位置するように傾斜させた斜面部(50e)を形成した請求項4記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、搬送装置(H)において穀稈の詰りが発生した場合に、姿勢変更機構(41)によって前記搬送装置(H)の搬送終端部と引継搬送装置(25)の搬送始端部とを上下に離間させるように引継搬送装置(25)を回動させることで、搬送装置(H)の搬送終端部と引継搬送装置(25)の搬送始端部の間の引継ぎ用通路を拡大することで、搬送装置(H)と引継搬送装置(25)の引継ぎ部における詰りを解消して穀稈を円滑に搬送することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、搬送装置(H)により搬送している穀稈の稈長が長く、扱深さ調節搬送装置(15)により扱深さが浅扱ぎ側に変更された場合に姿勢変更機構(41)によって前記搬送装置(H)の搬送終端部と前記引継搬送装置(25)の搬送始端部とを離間させるので、機体外側方に向けて突出する穀稈の株元側の部位を引継搬送装置(25)によって掬い上げて、穀稈の引継ぎを円滑化することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2記載の発明による効果に加えて、深扱ぎ側設定値よりも深扱ぎ側に変更された場合に、姿勢変更機構(41)によって前記搬送装置(H)の搬送終端部と前記引継搬送装置(25)の搬送始端部とを接近させ、浅扱ぎ側設定値よりも浅扱ぎ側に変更された場合に、姿勢変更機構(41)によって前記搬送装置(H)の搬送終端部と前記引継搬送装置(25)の搬送始端部とを離間させるため、通常の稈長を有する穀稈の搬送においては姿勢変更機構(41)を作動させず、極長稈や極短稈において、穀稈の引継ぎ用通路を調節するため、穀稈を良好に引継げるものでありながら、姿勢変更機構(41)の耐久性を向上させることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1または請求項2または請求項3記載の発明による効果に加えて、搬送装置(H)の搬送終端部と引継搬送装置(25)の搬送始端部の間の引継ぎ部において穀稈の停滞が発生しても引継搬送装置(25)と穀稈支持台(58)の間に藁屑や稈切れが進入しにくく、引継搬送装置(25)と穀稈支持台(58)の間に堆積した藁屑による穀稈の搬送抵抗を低減し、搬送装置(H)と引継搬送装置(25)の引継ぎ部における穀稈の引継ぎを円滑化することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4記載の発明による効果に加えて、引継搬送装置(25)の搬送始端部において、穀稈の株元部が引継搬送装置(25)の下側に入り込むことを防止し、この搬送始端部における穀稈の停滞を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】刈取装置の要部平面図である。
【図3】刈取装置の要部側面図である。
【図4】要部の拡大平面図である。
【図5】要部の拡大側面図である。
【図6】要部の拡大側面図である。
【図7】要部の拡大側面図である。
【図8】要部の拡大側面図である。
【図9】要部の斜視図である。
【図10】カバー体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。コンバインは、機体フレーム1と、機体フレーム1下側の走行装置2、機体フレーム1上側の脱穀装置3、機体フレーム前方の刈取装置4、機体フレーム上側であって脱穀装置3の側方に配置されたグレンタンク5、及びグレンタンク5の前側に配置された操縦部6を備えている。
【0018】
刈取装置4は、複数の分草体7と、各分草体7の後方には複数の引起装置8を備える。引起装置8の後方には掻込装置9及び刈刃11を配置しており、分草体7で条毎に分離されて引起装置8で引起こされた穀稈は、掻込装置9に取込まれながら刈刃11で株元を切断される。切断された後の穀稈を前記脱穀装置3に向けて搬送するのが搬送装置Hである。本実施例の4条刈りの刈取装置4においては、搬送装置Hは、左側2条分の穀稈を搬送する前側株元搬送装置10及び穂先搬送装置12、右側2条分の穀稈を搬送し、中間部で左側2条分の穀稈が合流して搬送下手部位では4条分の穀稈を搬送する後側搬送装置13及び後側穂先搬送装置14と、後側搬送装置13の搬送終端部において穀稈の株元を引継ぐ扱深さ調節搬送装置15と株元搬送装置16を有する。
【0019】
扱深さ調節搬送装置15は、搬送始端側の部位を支点として搬送終端側の部位が上下に回動するようになっており、この回動によって搬送下手側の株元搬送装置16に引継ぐ穀稈の稈身位置を変更する。(即ち、脱穀装置3における扱深さを変更する)
脱穀装置3の外側部には穀稈供給搬送装置17と、その内側に平行して引継搬送装置25を配置している。前記搬送装置Hと引継搬送装置25は機体の走行速度に応じて増減速された回転が入力され、穀稈供給搬送装置17は脱穀装置3における脱穀性能を高めるために一定速度の回転が入力される。
【0020】
この搬送装置Hの株元搬送装置16から脱穀装置3の穀稈供給搬送装置17に至る搬送引継構造について更に詳述すると、扱深さ調節搬送装置15で扱深さが調節された穀稈は、株元搬送装置16で搬送姿勢が縦から徐々に横姿勢に変換されながら搬送される。つまり、株元搬送装置16で狭持されている穀稈の株元部の高さが、後側穂先搬送装置14に係合している穀稈の穂先部の高さに近づくように搬送されることで搬送姿勢が変更される。そして、このように搬送姿勢が変更された穀稈の株元部は引継搬送装置25に引き継がれ、走行速度に同調して駆動される引継搬送装置25から一定速度で駆動される穀稈供給搬送装置17に受け継がれる。即ち、引継搬送装置25が存在しない場合、搬送装置Hから穀稈供給搬送装置17に引き継ぐ際に、穀稈の搬送姿勢の変化と搬送速度の変化が生じるために、円滑に引継を行うことが困難であるが、引継搬送装置25を介在させることで、搬送姿勢を完全に変更した状態で一定速駆動の脱穀装置3に引継を行うことができる。
【0021】
穀稈供給搬送装置17は、供給搬送チェン19と、この供給搬送チェン19の上方に位置する狭扼杆18により穀稈を狭持しながら搬送する。そして、供給搬送チェン19は前後方向のチェン案内レール20の前後に設けた前側輪体(前側従動輪)21及び後側輪体(後側駆動輪、図示せず)に掛け回す。前記チェン案内レール20はレール支持フレーム23に取り付ける。供給搬送チェン19は、脱穀装置3に対して側方に向けて移動して狭扼杆18から離反するようにオープン可能とすることが望ましく、例えば、レール支持フレーム23の前側部位を脱穀装置3の機枠に対して縦軸回動自在に支持させ、この縦軸を中心に供給搬送チェン19の後部を側方に回動させる機構を有すると好適である。
【0022】
引継搬送装置25には引継搬送チェン30とその上方に位置する案内ガイド29を備え、前記穀稈供給搬送装置17の内側に穀稈供給搬送装置17と略平行に配設する。前後方向では、穀稈供給搬送装置17の前端部近傍のみに設け、脱穀装置3の扱室よりも前側に位置させる。そして、引継チェン30の搬送終端部は供給搬送チェン19の前端部よりも後方に位置させる。供給搬送チェン19の外側には縦板状のガイド部材32を備え、チェン案内レール20に着脱自在に取り付ける。このガイド部材32は、その上縁の一部が供給搬送チェン19の移動軌跡よりも上方となるように設置しており、移動する供給搬送チェン19の一部において、チェンの一部を隠して穀稈に搬送作用を与えないようにしている。
【0023】
すなわち、前述のとおり、引継搬送装置25の引継チェン30と穀稈供給搬送装置17の供給搬送チェン19の間には、機体の走行速度によっては搬送速度差が存在するため、平行に配置された引継チェン30と供給搬送チェン19が、同時に穀稈に搬送作用を与えると、搬送が円滑に行えない虞がある。ガイド部材32はこの問題を解消するために設けられている。供給搬送チェン19は、前側輪体21近傍の円弧移動軌跡Eから、チェン案内レール20に案内される前側直線移動軌跡F、前側直線移動軌跡Fよりも緩傾斜の後側直線移動軌跡Gの順で、移動軌跡の形態が変化する。このうち、前側直線移動軌跡F部分においてチェンをガイド部材32の上縁で隠すことで穀稈への搬送作用を弱めるか、又は与えないようにし、搬送速度が異なる2つのチェンが同時に穀稈に作用することによる搬送姿勢の乱れ(主に穀稈の株元に対して穂先が遅れる状態)となることや、穀稈の折れ曲がりを防止する。
【0024】
実施例では、ガイド部材32の前側下部に前方に至るに従い高くなる下側傾斜部35を形成し、これに続いて円弧部36、円弧部36に続き後上がりの上側傾斜部37を形成し、上側傾斜部37に続いて、これよりも緩傾斜の前側直線部38とこの前側直線部38に続き、前側直線部38よりも緩傾斜の後側直線部39を形成している。少なくとも前側直線部38の上縁が供給搬送チェン19の移動軌跡よりも上側に位置させる。そして、ガイド部材32の円弧部36は前側輪体に沿って円弧移動するチェンの円弧軌跡よりも中心側に位置させる。
【0025】
そのため、供給搬送チェン19の円弧移動軌跡E部分では、引継チェン30が株元搬送装置16から引き継いだ穀稈の株元を掬い上げつつ、ガイド部材32の上縁に乗せるため、搬送姿勢が安定する。そして、搬送下手側に移動するにつれて、供給搬送チェン19のがガイド部材32から徐々に露出するとともに、引継チェン30よりも上方となり、引継チェン30の穀稈への搬送作用が弱まり、供給搬送チェン19の搬送作用によって扱室へ穀稈が供給される。
【0026】
なお、引継チェン30は円弧移動軌跡K、前側直線移動軌跡L、前側直線移動軌跡Lよりも緩傾斜の後側直線移動軌跡M、後方直線移動軌跡Nと変化しつつ移動する。
引継搬送チェン30の前端部は、株元搬送装置16の後端部よりもやや前方に位置させている。
(引継搬送装置の姿勢変更機構)
図6及び図7に示すとおり、引継搬送装置25は、後部の駆動軸(横軸)28aを支点として前部を上下に回動させる姿勢変更機構41を備える。この姿勢変更機構41は、株元搬送装置16の穀稈通過経路に配置した穀稈感知体42が、穀稈の詰まりによって、搬送穀稈量が増大したときに詰り検出センサ43と接触し、それによって、引継チェン30の前端部を下方へ回動させるものである。また姿勢変更機構41は、扱深さ調節搬送装置15に連動させており、扱深さが浅扱ぎ側へ変更される(扱深さ調節搬送装置15の後端部が上昇する)と、引継チェン30の前部を下方へ回動させる。扱深さが深扱ぎ側へ変更される(扱深さ調節搬送装置15の後端部が下降する)と、引継チェン30の前部を上方へ回動させる。従って、穀稈の稈身が長く、浅扱ぎに変更される場合、垂れ下がりやすい穀稈の株元を引継チェン30によって確実に掬い上げる。
【0027】
なお、姿勢変更機構41による引継搬送装置25の姿勢変更は、扱深さ調節搬送装置15が所定以上浅扱ぎ側、または深扱ぎ側となった場合に姿勢変更機構41を作動させるように制御すると、作業中に頻繁に引継搬送装置25の姿勢が変更されて、穀稈の引継が不安定になることを防止し、稈長が極端に長い場合や短い穀稈の引継を良好化することができる。
【0028】
姿勢変更機構41は独立したアクチュエータを設けず、扱深さ調節用アクチュエータ44とワイヤ等によって連動させる構成としてもよい。
(伝動部カバー体)
図8から図10を参照して、引継搬送装置25の伝動構造と、伝動構成物の周囲に配置されたカバー体50について説明する。
【0029】
刈取装置4には、エンジン(図示省略)からの駆動力が、エンジンと走行装置2の伝動経路に設けた静油圧式無段変速装置(図示省略)の出力軸からの駆動力が入力される。刈取装置4は、機体フレーム1側に設けられた刈取懸架台52に対して回転自在に支持される刈取基部フレーム54の左右中間部から前側下方に延出された刈取後部フレーム55を上下に回動させることで上下に昇降する構成としているが、この刈取基部フレーム54及び刈取後部フレーム55には伝動軸を内装しており、これらの伝動軸を経由して、前記刈刃11や搬送装置Hが走行装置2の走行速度に同調して駆動される。刈取基部フレーム54の機体内側の端部に設けられ、前記静油圧式無段変速装置からの駆動力が入力される刈取入力プーリとは反対側の刈取基部フレーム54の端部には、引継搬送装置25に駆動力を伝達するためのシンクロ入力プーリ53が設けられている。このシンクロ入力プーリ53と前記駆動軸28aに設けたシンクロ駆動プーリ(図示省略)にベルトを掛けまわし、駆動軸40が走行速度に同調して駆動される。なお、28は引継チェン30が係合する駆動スプロケットである。
【0030】
そして、引継チェン30の内側であって、引継チェン30と脱穀装置3入口部の穀稈支持台58との間には、藁屑や穀稈が伝動部に侵入することを防止するために、カバー体50が設けられている。カバー体50は前記刈取基部フレーム54の引継チェン30側端部の上側から、その後方の引継チェン30を駆動する駆動スプロケット28の上側までを覆い、藁屑の進入を防ぐ。そして、このカバー体50の前部には、引継チェン30の下部に向けて側方に延出された延出部50fを形成し、引継チェン30の下部プレート56の下側に臨ませている。カバー体50において、50aは、穀稈支持台58と引継チェン30の間から藁屑や稈切れが進入することを防止する上面部、50bは引継チェン30により持ち回り下部プレート56上を前方に移動してきた藁屑を受けて前方に落下させる延出部50fの延出上面部、50cは搬送装置H側からの藁屑の進入を防止するための前面部、50dは引継チェン30側から塵埃が進入することを防止する側面部、50eは引継チェン30の始端部でカバー体50に穀稈が引っ掛かることを防止するための斜面部であり、斜面部は、外側部ほど後方に位置するように傾斜させることで、穀稈の引掛かりを抑制し、搬送を円滑化する。なお、延出部50fの下方には、メンテナンスのために刈取装置4を側方へ回動させるためのオープン支点部材57を配置しており、カバー体50は、このオープン支点部材57と穀稈の干渉も防止する。
【0031】
そして、カバー体50の側面部50dと下部プレートとの隙間には、塵埃の進入を更に効果的に抑制するために可撓性のインシュレータ51a,51bを備える。
【符号の説明】
【0032】
2 走行装置
3 脱穀装置
4 刈取装置
15 扱深さ調節搬送装置
17 穀稈供給搬送装置
25 引継搬送装置
28a 横軸(駆動軸)
41 姿勢変更機構
50 カバー体
50e 斜面部
50f 延出部
58 穀稈支持台
H 搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の上方に脱穀装置(3)を設け、該脱穀装置(3)の前方に刈取装置(4)を設け、該刈取装置(4)には前記走行装置(2)の走行速度に同調して駆動する搬送装置(H)を備え、前記脱穀装置(3)の左右一側には、一定速度で駆動され、前記搬送装置(H)で搬送された穀稈を受継いで脱穀装置(3)に供給する穀稈供給搬送装置(17)を備えるコンバインにおいて、
前記穀稈供給搬送装置(17)の内側に、前記走行装置(2)の走行速度に同調して駆動され、前記搬送装置(H)の搬送終端部から穀稈を受継ぐ引継搬送装置(25)を設け、該引継搬送装置(25)の後部に備える横軸(28a)を支点として引継搬送装置(25)の前部を上下に回動させる姿勢変更機構(41)を設け、
前記搬送装置(H)における穀稈の詰りを検出する詰り検出センサ(43)が穀稈の詰りを検出した場合に、姿勢変更機構(41)を作動させて前記搬送装置(H)の搬送終端部と引継搬送装置(25)の搬送始端部とが上下に離間するように引継搬送装置(25)を回動させる構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記搬送装置(H)に、脱穀装置(3)に供給される穀稈の扱深さを変更する扱深さ調節搬送装置(15)を備え、該扱深さ調節搬送装置(15)により扱深さが浅扱ぎ側に変更された場合に、姿勢変更機構(41)を作動させて前記搬送装置(H)の搬送終端部と前記引継搬送装置(25)の搬送始端部とを離間させる構成とした請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記扱深さ調節搬送装置(15)が予め設定された深扱ぎ側設定値よりも深扱ぎ側に変更された場合に、姿勢変更機構(41)を作動させて前記搬送装置(H)の搬送終端部と前記引継搬送装置(25)の搬送始端部とを接近させ、
扱深さ調節搬送装置(15)が予め設定された浅扱ぎ側設定値よりも浅扱ぎ側に変更された場合に、姿勢変更機構(41)を作動させて前記搬送装置(H)の搬送終端部と前記引継搬送装置(25)の搬送始端部とを離間させる請求項2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記脱穀装置(3)の前側であって前記引継搬送装置(25)の内側の部位に、引継搬送装置(25)で搬送される穀稈の穂先を下側から支持する穀稈支持台(58)を備え、該穀稈支持台(58)と引継搬送装置(25)の間にカバー体(50)を設けた請求項1または請求項2または請求項3記載のコンバイン。
【請求項5】
前記カバー体(50)の前部に前記引継搬送装置(25)の下側に向けて側方に延出した延出部(50f)を備え、延出部(50f)に外側部ほど後方に位置するように傾斜させた斜面部(50e)を形成した請求項4記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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