説明

コンポーネント支持体を備えた計量システム

特に、ユーザが皿洗い機内部に配設するための計量システム(1,2)であって、流動可能な洗浄剤又は清浄剤用の少なくとも1つのカートリッジ(1)であって、洗浄剤又は清浄剤用の異なる調剤の夫々を空間的に隔絶して収納するための複数のチャンバ(3a,3b,3c)を具備する少なくとも1つのカートリッジ(1)と、カートリッジ(1)に結合可能な計量装置(2)であって、少なくとも1つのエネルギー源(15)、制御ユニット(16)、センサーユニット(17)、少なくとも1つのアクチュエータ(18)であって制御ユニット(16)からの制御信号がアクチュエータ(18)による移動を引き起こすような態様でエネルギー源(15)及び制御ユニット(16)に接続された少なくとも1つのアクチュエータ(18)、閉鎖エレメント(19)であってアクチュエータ(18)の運動がその閉鎖エレメント(19)を閉鎖位置又は解放位置に移動せしめるような形でアクチュエータ(18)と結合された閉鎖エレメント(19)、カートリッジ(1)と計量装置(2)とが組み上がった状態にあるときに、カートリッジチャンバ(3a,3b,3c)のうちの少なくとも1つと、連通可能な態様で接続される少なくとも1つの計量チャンバ(20)、を具備する計量装置(2)と、を含み、計量チャンバ(20)は、カートリッジチャンバ(3a,3b,3c)からの洗浄剤又は清浄剤を取り込むための流入口(21)と、計量チャンバ(20)からの洗浄剤又は清浄剤を周辺環境に流出させるための流出口(22)と、を含み、計量チャンバ(20)の少なくとも流出口(22)は、閉鎖エレメント(19)による閉鎖又は開放が可能であり、計量装置(2)が、少なくとも計量チャンバ(20)、アクチュエータ(18)、及び閉鎖エレメント(19)、並びに、エネルギー源(15)及び/又は制御ユニット(16)及び/又はセンサーユニット(17)が配置されたコンポーネント支持体(23)を含む、計量システム(1,2)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の調剤を放出するためのアセンブリを収納するためのコンポーネントキャリアを有するディスペンサシステムであって、水搬機器、特に、例えば、皿洗い機、洗濯機、乾燥機付き洗濯機、又は自動表面清浄システムといった家庭用水搬機器、に用いられる、ディスペンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の形態で、消費者に、皿洗い洗浄剤が提供されている。家庭用皿洗い機が普及するにつれて、従来の液体の手洗い用皿洗い洗浄剤に加えて、特に、自動皿洗い洗浄剤が、増々、重要になってきている。これらの自動皿洗い洗浄剤は、典型的には、例えば、粉末又はタブレットとして、固体の形態で消費者に販売されているが、液体の形態のものも増えてきている。かなり長い間、関心が、洗浄剤(washing agents)及び清浄剤(cleaning agents)を簡便に放出(分注、ディスペンシング、dispensing)すること、並びに、所定の洗浄方法又は清浄方法を実施するのに要する操作を簡略化すること、に向けられてきている。
【0003】
更に、自動清浄用清浄剤の生産業者の主たる目的の1つは、これら清浄剤の清浄性能を向上させる(改良する)ことであり、最近では、低温清浄サイクル又は水消費量を低減した清浄サイクルでの清浄性能に、増々、注意が払われてきている。この目的を達成するために、例えば、より活性度が高い、表面活性剤、高分子、酵素、又は漂白剤のような新たな成分が、清浄剤に添加されるようになってきている。しかし、新たな成分は限定された程度でしか利用できない上に、環境上及び経済上の理由で、清浄サイクル1回分の量をほしいままに増やすことができないため、上記問題を解決するためのこの技法には、本来的に限界が存在する。
【0004】
これに関連して、洗浄剤及び清浄剤を多連式に放出(分注)するための装置が、最近、特に、製品開発者の注目を集めている。これらの装置では、一方では、皿洗い機又は洗濯機に一体化されている放出(分注)チャンバと、他方では、皿洗い機又は洗濯機から独立した装置とを、区別して考えることができる。これらの装置は、一定の清浄方法を実行するのに必要とされる量の清浄剤の数回分を収容しており、複数の逐次的清浄プロセスの間に、洗浄剤又は清浄剤の一部を自動的又は半自動的に清浄機械内部に放出(分注)する。消費者にとって、各清浄サイクル又は各洗浄サイクルの間、手動で放出することは、もはや、不要である。このような装置の例は、欧州特許出願第1759624A2号(レキット・ベンキザー氏)や、ドイツ国特許出願第535005062479A1号(べー・エス・ハー・ボッシュ・ウント・ジーメンス・ハオスゲラーテ・ゲーエムベーハー)に記載されている。
【0005】
その意図は、簡単且つ安価にそのようなディスペンサ(放出器、分注器)を製造できるように、可能な限り簡単な、好ましくは、自動の、ディスペンサ生産を可能にすることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願第1759624A2号
【特許文献2】ドイツ国特許出願第535005062479A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、可能な限り簡単な方法で、可能な限り自動化した少ない製造ステップで、生産(製造)されることができるディスペンサシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、請求項1の特徴を有するディスペンサシステムによって達成される。
【0009】
本発明に係るシステムの利点は、1つは、必要なコンポーネント及びアセンブリをコンポーネントキャリアに実装(population)することが簡単であり、また、当該実装を、自動ハンドリングシステム及び/又は生産(製造)システムの補助(支援)をもって実施させることが可能であるという点にある。更に、コンポーネントキャリアを事前に完全な形に組み立てておき、それをディスペンサ(分注器、分注装置)に挿入することも可能である。
【0010】
本発明に係るディスペンサシステムは、調剤が充填されたカートリッジと、該カートリッジに結合可能なディスペンサと、からなる基本的なコンポーネントで構成される。このカートリッジは、更に、例えば、コンポーネントキャリア、アクチュエータ、閉鎖エレメント、センサー、エネルギー源、及び/又は、制御ユニットといった、更なるアセンブリで構成される。
【0011】
本発明に係るディスペンサシステムが移動可能であることは、好ましいことである。本出願の目的では、移動可能とは、ディスペンサシステムを、例えば、皿洗い機、洗濯機、乾燥機付き洗濯機(washer/dryer)、又はこれらに類する装置、といった水搬装置(water-conveying device)に着脱不可能に接続するのではなく、そのシステムを、例えば、ユーザが、皿洗い機から取り外したり、皿洗い機の中に配置することができる、即ち、独立して取り扱うことができる、ことを意味している。
【0012】
本発明の代替的(択1的)な展開によれば、ディスペンサが、例えば、皿洗い機、洗濯機、乾燥機付き洗濯機、又はこれらに類する装置、といった水搬装置に、ユーザによって、着脱不可能に接続され、そしてカートリッジだけが移動可能であるようにすることも、考えられる。
【0013】
例えば、皿洗い機の個々の洗浄サイクルで起こり得るような高温での動作を保証するために、ディスペンサシステムは、最高120℃の温度まで寸法構成的に安定した材料から形成されることができる。
【0014】
意図する目的に応じて、分注されるべき調剤は、2〜12のpH値を有する場合があるため、調剤と接するディスペンサシステムのあらゆるコンポーネントは、酸性及び/又はアルカリ性に対する適切な抵抗力を呈する必要がある。加えて、材料を適切に選択することで、例えば、非イオン性表面活性剤、酵素、及び/又は発香剤との関係において、これらのコンポーネントが、可能な限り化学的に不活性になることが保証されるべきである。
(カートリッジ)
【0015】
本出願の目的では、カートリッジは、少なくとも1つの流動可能な、灌注可能な、又は散布可能な調剤を一緒に封入又は保持するのに適している包装手段(パッケージング手段)であって、少なくとも1つの調剤を放出(解放)するためにディスペンサに結合することが可能な包装手段と理解される。
【0016】
考えられる最も単純な実施形態において、そのカートリッジは、調剤を収容するための、単一の、好ましくは寸法構成的に安定している、チャンバを備える。特に、1つのカートリッジは、また、異なる組成物を充填できる複数のチャンバを備えることが可能である。
【0017】
ディスペンサが運転位置にあるときに、カートリッジから調剤を重力で作動させて放出(解放)できるように構成された、少なくとも1つの放出オリフィスをカートリッジが備えていることは、有利である。このようにすれば、カートリッジから調剤を放出するのに、もはや、搬送手段は不要となり、これにより、ディスペンサの構造を簡単な状態に維持することができると共に、生産コストを低く維持することができる。更に、例えば、圧送装置(ポンプ)等の搬送手段を用いて放出(分注)することができ、これにより、ディスペンサの電池又は蓄電池の寿命を延ばすことができる。
【0018】
本発明の好適な展開において、少なくとも1つの第2の流動可能な又は散布可能な調剤を収納するために、少なくとも1つの第2のチャンバが備えられる。この第2のチャンバは、ディスペンサが運転位置にあるときに、第2のチャンバからプロダクト(製品、生成物)を重力で作動させて生成物を放出(解放)できるように構成された、少なくとも1つの放出オリフィスを備える。第2のチャンバのその構成は、例えば、漂白剤及び酵素といった、従来的に一緒に収容すると不安定になる調剤をカートリッジの相互に独立したチャンバに収容するときに、特に、有利である。
【0019】
2つより多くのチャンバ、特に、3〜4個のチャンバ、をカートリッジの中又は上に設けることも、考えられる。特に、チャンバの1つは、例えば、発香剤(scent)等の揮発性調剤を周辺環境に放出(解放)するように、設計(構成)されることができる。
【0020】
本発明の更なる展開において、カートリッジは、単一部品構成(シングルパート構成)である。このようにすれば、単一の製造(生産)ステップで、特に、適切なブロー成形法で、安価にカートリッジを製造することができる。この場合、カートリッジのチャンバは、ブロー成形時、又はブロー成型後、に形成される、例えば、ウェブ(仕切り板)又は材料ブリッジによって、相互に離隔されることができる。
【0021】
また、カートリッジは、射出成形によって製造され、次いで組み立てられる、複数のコンポーネントで作られた多部構成(マルチパート構成)とすることも可能である。
【0022】
特に、カートリッジは、非対称の構成とすることも可能である。カートリッジがディスペンサと予め規定された位置でのみ結合可能となるように、カートリッジの非対称性を形成することは、特に、好ましい。これにより、さもなくば起こし得るであろうユーザの誤操作が、防止される。
【0023】
カートリッジは、あらゆる所望の3次元形状とすることができる。例えば、その形状は、立方体、球形や、プレート状(板状)であることができる。
【0024】
皿洗い機にディスペンサを用いる場合、皿洗い機で清浄されるべき皿に合わせて、装置を形成することは、特に、有利である。それは、1つの皿(プレート)の寸法構成を概略的に仮定して、例えば、皿形状とすることができる。このようにすれば、例えば、皿洗い器の下方バスケットにおける空間を有効活用して、ディスペンサを配置することができる。更に、皿形状のおかげで、ユーザには、ディスペンサユニット(分注ユニット)の正しい位置が、1目瞭然である。
【0025】
結合された状態において、ディスペンサ及びカートリッジは、高さ:幅:深さの比が、好ましくは、5:5:1〜50:50:1、であり、特に、好ましくは、約10:10:1、である。ディスペンサ及びカートリッジの「細身」の構成により、特に、皿用に設けられたレセプタクル内に、皿洗い機の下方バスケット内の装置を配置することが可能になる。これは、ディスペンサから放出された調剤が、洗浄液内に直接的に流れ込み、他の被洗浄物品には付着し得ない、という利点を有する。
【0026】
従来の市販家庭用皿洗い機は、通常、例えば、平鍋(pans)又は大皿といった、洗浄されるべき大きな物品(アイテム)が皿洗い機の下方バスケット内に配置されるように、設計(構成)されている。ユーザが、ディスペンサと、該ディスペンサに結合されたカートリッジと、で構成されたディスペンサシステムを、あまり理想的ではない上方バスケットに配置するのを防止するために、本発明の有利な展開において、ディスペンサシステムは、この目的のために、該システムが、下方バスケットに設けられたレセプタクル内のみに位置決めされることができるように、寸法構成されることができる。この目的のために、ディスペンサシステムの幅及び高さは、特に、150mm〜300mmの間、特に、好ましくは、175mm〜250mmの間、で選択されることができる。
【0027】
しかしながら、ディスペンサユニットを、実質的に円形又は矩形のベース領域を有する、カップ形状又はポット形状に構成することも、考えられる。
【0028】
カートリッジの放出オリフィスは、好ましくは、直線状に配置され、これにより、ディスペンサの構成を細身の皿形状にすることが可能になる。
【0029】
カートリッジは、特に、流動可能なすすぎ剤、洗浄剤、若しくは清浄剤を収容するように構成されることができる。そのようなカートリッジは、特に、好ましくは、洗浄剤又は清浄剤の異なる調剤を、いずれの場合においても、空間的に隔絶して収容するための複数のチャンバを備る。非網羅的な例として、チャンバを異なる調剤で充填するための、幾つかの可能な組み合わせを、下に一覧表示する。
【0030】
【表1】

【0031】
全調剤が流動可能であることは、特に、好ましいことである。何故なら、これにより、皿洗い器の洗浄液内において調剤の迅速な溶解が保証され、この結果、それらの調剤が高速〜即座の清浄作用又はすすぎ作用を、特に、また、洗濯コンパートメントの壁、及び/又はカートリッジの導光体の壁、及び/又はディスペンサの壁、に対して、奏するからである。
【0032】
カートリッジの各チャンバの容量は、同一であっても、異なっていてもよい。2つのチャンバを有する構成において、チャンバの容積の比は、好ましくは、5:1であり、3つのチャンバを有する構成において、好ましくは、4:1:1である。特に、これらの構成は、皿洗い機での使用に適している。
【0033】
カートリッジが3つのチャンバを有することは、前に述べたように、好ましいことである。このようなカートリッジが皿洗い機も用いられるとき、1つのチャンバがアルカリ性清浄用調剤を収容し、もう1つのチャンバが酵素調剤を収容し、第3のチャンバがすすぎ補助剤を収容し、各チャンバの容積比が約4:1:1であることは、特に、好ましい。
【0034】
アルカリ性清浄用調剤を収容する上記チャンバは、存在するチャンバの中で最大の容量を有することが好ましい。酵素調剤又はすすぎ補助剤を収容する各チャンバは、略同一の容量を有することが好ましい。
【0035】
チャンバが2つの構成のカートリッジ及び/又は3つの構成のカートリッジにおいて、特に、発香剤、殺菌用調剤、及び/又は前処理用調剤を、カートリッジ又はディスペンサに着脱可能に配置された更なるチャンバに収容することが可能である。
【0036】
上記カートリッジは、運転位置にあるときに、重力方向で下を向くカートリッジ底部を備える。このカートリッジには、その底部に重力方向に配置された少なくとも1つの放出オリフィスが、好ましくは、各チャンバに、設けられる。底部に配置されたその放出オリフィスは、特に、少なくとも1つ、好ましくは全て、の放出オリフィスが、ディスペンサの注入オリフィスと連通する状態で接続されるころができるように、構成される。これにより、調剤は、好ましくは重力の作用を受けて、カートリッジから、放出オリフィスを経由し、ディスペンサ内に流入できる。
【0037】
1つ又はそれ以上のチャンバが、重力方向における底部に配置されない放出オリフィスを備えることも、考えられ。これは、特に、例えば、カートリッジの周辺環境に発香剤(香気、香り、芳香、scent)を放出するときに、特に、有利である。
【0038】
このカートリッジは、相互に接合(結合、接着、固着、bonded)された少なくとも2つのエレメントから形成されることが好ましい。ここで、カートリッジ底部にあるこれらのエレメントの接続端部(接続エッジ)は、該接続端部が放出オリフィスと交叉しないように、該放出オリフィスから、所定距離、延在する。これは、ディスペンサと結合する際に、このようにすることで、放出オリフィス領域での漏れの問題が回避されるため、特に、有利である。この漏れの問題は、特に、皿洗い器の中で従来的に生じている、温度における主たる周期的変動に曝されたときに起こる。
【0039】
上記接合される接続部は、例えば、接着接合、溶接、ろう付け、プレス加工、又は加硫処理によって、作られることができる。
【0040】
本発明の好適な1実施形態によれば、いずれの場合も、放出オリフィスには、閉鎖部が設けられる。この閉鎖部は、ディスペンサとの結合状態において、各チャンバから調剤が流出するのを可能にすると共に、カートリッジの非結合状態において、調剤の流出を実質的に防止する。このような閉鎖部は、特に、シリコーンスリットバルブの形態をとる。
【0041】
初めてディスペンサと結合されるまでは、カートリッジの通気オリフィスが閉鎖エレメントで閉鎖されるようにすることは、更に、好ましいことである。この閉鎖エレメントは、特に、初めてディスペンサと結合されるときに、結合プロセスによって、開かれる、例えば穿孔される、ストッパ又はキャップとすることができる。
【0042】
カートリッジが初めてディスペンサと結合されるまでは、カートリッジの全ての放出オリフィスがシリコーンスリットバルブで閉鎖されると共に、全ての通気オリフィスがキャップで閉鎖されることは、特に、非常に好ましい。
【0043】
本発明の更なる展開において、エネルギー源、特に、電池又は蓄電池、はカートリッジの上又は中に、好ましくは、カートリッジ底部の上又は中に、に配置される。エネルギー源をディスペンサと電気的に結合する手段は、更に、カートリッジ上に設けられてもよい。
【0044】
本発明の更なる好適な展開において、少なくとも1つの洗浄剤及び/又は清浄剤の調剤を放出するべく、家庭用機器の内部に位置決め可能なディスペンサと結合するカートリッジは、少なくとも1つの流動可能な又は灌注可能な洗浄剤及び/又は清浄剤の調剤を収容するための少なくとも1つのチャンバを備える。ここで、ディスペンサとの結合状態において、カートリッジは、洗浄水がチャンバ(1つ又は複数)内に流入することから保護される。カートリッジは、少なくとも1つのチャンバから調剤を特に、重力で作動させて放出するための少なくとも1つの放出開口部を重力方向における底部に備えると共に、少なくとも1つのチャンバの通気を行うために少なくとも1つの通気オリフィスを重力方向における底部に備える。当該通気オリフィスは、放出開口部から分離すると共に、少なくとも1つのカートリッジチャンバと連通状態で接続される。
【0045】
カートリッジは、少なくとも2つのチャンバを備えることが好ましく、少なくとも3つのチャンバを備えることが、特に、非常に好ましい。いずれの場合も、各チャンバに、通気オリフィス及び放出開口部が備えられることは、ここでは、有利である。
【0046】
底部の通気オリフィスが、連通状態で、通気チャネルに接続され、ディスペンサと結合されたカートリッジの放出位置にある通気オリフィスから離れた上記チャネルの端部が、カートリッジの最大充填レベルの上で開いていることは、更に、好ましいことである。
【0047】
これに関連して、この通気チャネルの全部又は一部が、カートリッジの壁及び/又は仕切り板(ウェブ)の中又は上に形成されることは、有利である。特に、通気チャネルは、カートリッジの壁及び/又は仕切り板の中又は上に一体的に形成されることができる。
【0048】
この目的のために、上記通気チャネルは、カートリッジを形成する少なくとも2つのエレメントを互いに連結することによって、有利に形成され得る。例えば、通気チャネルは、シェル形状のエレメント内に形成された、カートリッジの仕切り板を、その仕切り板と接し且つカートリッジエレメント上に配置された2つの仕切り板と連結することによって、形成されることができる。
【0049】
ここで、シェル形状のエレメント内に形成されたカートリッジの仕切り板を、その仕切り板と接し且つカートリッジエレメント上に配置される2つの仕切り板と接合して連結することによって、特に、溶接することによって、通気チャネルが形成されるようにすることは、有利である。
【0050】
或いは、通気チャネルは、例えば、浸漬管(dip tube)の形態をとることも可能である。
【0051】
例えば、ディスペンサが皿用レセプタクルに配置されているときに、カートリッジの通気部が傾斜位置にあることを保証するために、カートリッジの閉鎖充填状態におけるカートリッジの充填レベル(F)が、45度までの傾斜位置にある通気チャネル孔(ventilation channel mouth)に達しないようにすることが有利である。
【0052】
これに関連して、カートリッジ上端部のチャンバ壁の上又は中の略中央に、上記通気チャネル孔を配置することは、更に、有利である。
【0053】
また、例えば、カートリッジが水平位置になった後にも機能を確保するために、流動可能な調剤の粘度及び通気チャネルを、その調剤が通気チャネル孔に達したときに毛細管力によって通気チャネル内に引き込まれないように、構成することが、有利である。
【0054】
カートリッジをディスペンサと結合することは、ディスペンサ上にピンが配置されるようなに、有利に構成されるべきである。このピンは、連通状態で、ディスペンサの注入オリフィスと接続される。そして、このピンは、カートリッジの通気オリフィス又はカートリッジチャンバとディスペンサとの結合時に、ピンが通気チャネル内で所定容積Δv変位させるように、結合可能なカートリッジ又はカートリッジチャンバと相互に作用する。これにより、通気チャネルの中の流動可能な調剤を、通気チャネルに接続され且つ調剤を収容するチャンバ内に、搬送するに適切な圧力Δpが、通気チャネルの中に発生する。
【0055】
対応するチャンバの閉鎖されている放出オリフィスが開く前に、例えばディスペンサの注入オリフィスとの連通接続によって、チャンバの通気オリフィスが、ディスペンサ上のピンと連通状態で接続されるようにすることが、好ましい。
【0056】
本発明の更なる有利な実施形態によれば、通気オリフィスと通気チャネルとの間に、通気チャンバが配置される。
【0057】
カートリッジの幅(B)に対する深さ(T)の比は、約1:20であることが好ましい。カートリッジの幅(B)に対する高さ(H)の比は、約1:1.2であることが好ましい。
(ディスペンサ)
【0058】
動作(操作)に必要な制御ユニットと、少なくとも1つのアクチュエータとは、ディスペンサに一体化される。センサーユニット及び/又はエネルギー源は、同様に、ディスペンサの上又は中に配置されることが、好ましい。
【0059】
ディスペンサは、好ましくは、水飛沫(水ハネ)から保護された筐体で構成される。これによって、例えば、皿洗い機の使用時に起こり得るような、ディスペンサ内部への水飛沫の侵入が防止される。このディスペンサ内には、少なくとも、制御ユニット、センサーユニット、及び/又はアクチュエータが配置される。
【0060】
ディスペンサが実質的に水密であるような態様で、即ち、液中に完全に浸された(浸漬された)時でもディスペンサが機能するような態様で、特に、エネルギー源、制御ユニット、及びセンサーユニットを密閉(封入)することが、特に、有利である。使用可能な密閉(封入)材料の例として、メタクリル酸エステル、ウレタンメタシアノアクリレート又はポリウレタンを含む2成分材料、シリコーン、エポキシ樹脂といった多成分エポキシド、及びアクリル酸塩密封化合物がある。
【0061】
上記密閉(封入)の代替例又は付帯例は、適切に設計された防湿性筐体(ハウジング)内に、コンポーネントを封入することである。このような展開は、後に、更に詳細に説明する。
【0062】
コンポーネント又はアセンブリを、ディスペンサ内のコンポーネントキャリアの上及び/又は中に配置することは、更に、有利である。これも、また、更に、他の箇所で説明する。
【0063】
ディスペンサを形成する材料が、生物膜の成長を防止し、又は少なくとも低減することは、更に、有利である。これは、例えば、従来技術から知られているバイオサイド等の適切な材料の表面組織、又は添加剤、を用いることによって達成されることができる。細菌が成長する危険性があるディスペンサの領域、特に、洗濯水が蓄積し得る領域、に、生物膜の成長を阻止し又は少なくとも低減する仕上げを施すことが、また、考えられる。この目的のために、例えば、適切な作用を有するフィルム/ホイルを用いることができる。
【0064】
ディスペンサが少なくとも1つの第1のインターフェースを備えることは、特に、好ましい。このインターフェースは、電気エネルギー及び/又は電気信号が、家庭用機器からディスペンサに、及び/又は、ディスペンサから家庭用機器に、送信されるように、家庭用機器、特に、家庭用水搬機器、好ましくは皿洗い機又は洗濯機、の中又は上に設けられる対応するインターフェースと相互に作用する。
【0065】
本発明の1つの展開において、インターフェースは、プラグイン式コネクタの形態をとる。更なる展開において、インターフェースは、電気エネルギー、及び/又は電気信号、及び/又は光信号が無線で送信されるように、構成されることができる。
【0066】
電気エネルギーを送信するために設けられたインターフェースが電磁波の誘導性送信器及び受信器であることは、ここで、特に、好ましい。従って、例えば、皿洗い機等の水搬機器のインターフェースは、特に、鉄製のコアを有するAC動作送信器コイルとして、構成されることができ、また、ディスペンサのインターフェースは、鉄製のコアを有する受信器コイルとして、構成されることができる。
【0067】
代替実施形態において、家庭用機器側に、電気動作光源を備え、ディスペンサ側に、光センサー、例えばフォトダイオード又は太陽電池を備えた、インターフェースの手段により、電気エネルギーの送信が提供されるようにすることも可能である。光源によって放出された光は、光センサーで電気に変換され、それは、更に、例えば、ディスペンサ側の蓄電池によって蓄電される。
【0068】
本発明の有利な更なる展開において、電磁信号及び/又は光信号の伝達(即ち、送信及び受信)を行うために、ディスペンサと、例えば皿洗い機等の水搬機器と、に、インターフェースが設けられる。当該信号は、特に、ディスペンサ及び/又は皿洗い機等の水搬設備の、動作状態、測定情報、及び/又は制御情報を表す。
【0069】
信号を送信するインターフェースだけ、若しくは電気エネルギーを送信するインターフェースだけ、を提供すること、又は、いずれの場合でも、信号を送信するインターフェース及び電気エネルギーを送信するインターフェースを提供すること、若しくは電気エネルギー及び信号の両方を送信するのに適したインターフェースを提供すること、は当然可能である。
【0070】
そのようなインターフェースは、特に、電気エネルギー及び/又は電磁信号及び/又は光信号が無線で送信されるように、構成されてもよい。
【0071】
光信号を放出し及び/又は受信するようにインターフェースを構成することは、特に、好ましい。可視領域で光を放出し又は受信するようにインターフェースを構成することは、特に、非常に好ましい。従来的に、洗浄コンパートメント内部は、皿洗い機の稼働時、暗いため、信号が、可視領域で、例えば、信号パルス又は閃光の形態で、ディスペンサによって照射され及び/又は検出されることができるようになっている。可視スペクトルにおける600〜800nmの波長を用いることが、特に、有利であることが分かっている。
【0072】
択一的に、又は、更に、赤外線信号を放射し又は受信するようにインターフェースを構成することは、有利なことである。近赤外領域(780nm〜3000nm)で赤外線信号を放射し又は受信するようにインターフェースを構成することは、特に、有利である。
【0073】
特に、インターフェースは、少なくとも1つのLEDを備える。インターフェースが少なくとも2つのLEDを備えることは、特に、好ましいことである。本発明の更なる展開によれば、異なる波長で光を放出する、少なくとも2つのLEDを設けることも可能である。このようにすれば、例えば、情報を夫々送信又は受信できる異なる信号帯域を規定することが可能になる。
【0074】
加えて、本発明の更なる展開において、少なくとも1つのLEDが、波長の調整が可能であるRGB・LEDであることが有利である。従って、例えば、異なる波長で信号を照射する異なる信号帯域は、1つのLEDを用いて規定されることができる。このように、例えば、洗浄段階時に比べ、洗浄コンパートメントで高い大気湿度(霧)が支配的となる乾燥処理時に、例えば、異なる波長で光を放出することも、考えられる。
【0075】
特に、皿洗い機の扉が閉じているときに皿洗い器の内部で信号を放出するために、また、特に、皿洗い機の扉が開いているときに動作状態を光学的に表示するために、LEDを設けるような形で、ディスペンサのインターフェースを構成することができる。
【0076】
パルス継続時間が1ms〜10s、好ましくは、5ms〜100ms、である信号パルスとして光信号を構成することは、特に、好ましいことである。
【0077】
加えて、皿洗い機が閉じた状態で光信号を放射するような形でディスペンサのインターフェースを構成することは、有利なことである。この光信号は、洗浄コンパートメントを画成する壁で測定したときの平均照度が0.01〜100ルクス、好ましくは、0.1〜50ルクス、となる平均照度Eをもたらす。この照度は、他の洗浄コンパートメント壁に対する多重反射、又は該壁からの多重反射、をもたらすのに十分であり、従って、特に、皿洗い機が詰まっているときに(充填されているときに)、洗浄コンパートメント内で生じ得る信号の影を低減し又は防止するのに十分である。
【0078】
インターフェースによって放射及び/又は受信される信号は、特に、情報、特に、制御信号、又はディスペンサ及び/又は皿洗い器の動作状態を表す信号、を含む。
【0079】
本発明の有利な更なる展開において、カートリッジから家庭用機器の内部に少なくとも1つの洗浄剤及び/又は清浄剤の調剤を放出(解放)するためのディスペンサは、光源を備える。この光源の手段によって、カートリッジの導光体内に光信号をインカップル(進入)させることができる。上記光源は、特に、LEDであることができる。これは、例えば、ディスペンサからカートリッジに、例えば、ディスペンサの動作状態を表す光信号をインカップルさせることを可能にし、これにより、上記信号は、カートリッジ上で、ユーザにより、視覚的に認識されることができる。これは、特に、有利である。というのは、ディスペンサが、皿洗い器の中にある陶磁器の引き出し(crockery drawer)の皿レセプタクルにおいて運転位置にある場合に、洗浄されるべき他の物品の間に視覚的に隠れている場合があるためである。ディスペンサからの光をカートリッジ内にインカップルさせることによって、対応する光信号は、また、例えば、カートリッジの上端の領域に導入されることができる。これにより、たとえ、ディスペンサが洗浄されるべき他の物品の間にある皿レセプタクルに位置決めされていても、光信号は、ユーザにって、視覚的に認識されることができる。なぜなら、陶磁器の引き出しが適切に詰められていれば(充填/装填されていれば)、洗浄されるべき物品の上端の領域及びカートリッジの上端の領域は、従来的に、覆われない状態に留まるからである。
【0080】
更に、カートリッジの導光体にインカップル(進入)して当該導光体を通過する光信号が、ディスペンサ上に位置するセンサーによって、検出されることができるようにすることは、可能である。これは、続く段落で、より詳細に説明される。
【0081】
更なる有利な展開において、少なくとも1つの洗浄剤及び/又は清浄剤の調剤を家庭用機器の内部に放出するためのディスペンサは、少なくとも1つの光送信ユニットを備える。この光送信ユニットは、送信ユニットからの信号が、ディスペンサと結合可能なカートリッジにインカップルされることができるように、そして、送信ユニットからの信号が、ディスペンサの周辺環境に照射されることができるようなに、構成される。このようにして、光送信ユニットの手段によって、ディスペンサと、例えば皿洗い機等の家庭用機器との間での信号の送信を達成することが可能になるのみならず、カートリッジ内への信号の入力も可能になる。
【0082】
特に、光送信ユニットは、好ましくは、可視及び/又はIR領域における光を照射するLEDであることができる。例えば、半導体レーザ等の他の適切な光送信ユニットを用いることも、考えられる。600〜800nmの波長領域の光を放出する光送信ユニットを用いることは、特に、好ましいことである。
【0083】
本発明の有利な更なる展開において、ディスペンサは、少なくとも1つの光受信ユニットを備えることができる。これは、例えば、ディスペンサが、家庭用機器に配置された光送信ユニットからの信号を受信することを可能にする。これは、例えば、光電池、光電子増倍管、半導体検出器、フォトダイオード、フォトレジスタ、太陽電池、フォトトランジスタ、CCD及び/又はCMOSイメージセンサー等の、あらゆる適切な光受信ユニットによって、達成されることができる。光受信ユニットが、600〜800nmの波長領域の光を受信するのに適していることは、特に、好ましいことである。
【0084】
特に、ディスペンサに結合されたカートリッジにインカップル可能(進入可能)な、送信ユニットからの信号が、そのカートリッジからアウトカップル可能(進出可能)であり、且つ、ディスペンサの光受信ユニットによる検知(検出)が可能となるように、ディスペンサ上の光受信ユニットを構成することも可能である。
【0085】
送信ユニットによってディスペンサの周辺環境に照射される信号は、好ましくは、動作状態又は制御コマンドに関する情報を表すことができる。
(分注チャンバ)
【0086】
少なくとも1つの流動可能な洗浄剤及び/又は清浄剤の調剤を、家庭用機器の内部に放出(解放)するためのディスペンサは、特に、分注チャンバを備えることができる。この分注チャンバは、ディスペンサに結合可能なカートリッジをもって、ディスペンサ内に位置する分注チャンバインレットと連通状態で接続される。これにより、ディスペンサが運転位置にあるときに、調剤は、カートリッジから分注チャンバに、重力による作用で、流入する。分注チャンバアウトレットは、分注チャンバから重力方向の下流側に配置される。この放出チャンバアウトレットは、バルブによって閉鎖することができる。分注チャンバの中には、フロートが配置される。その濃度は、調剤の濃度よりも低い。このフロートは、調剤が、該フロートの周りに、及び/又は該フロートを貫通して、流れることができるように、構成される。上記フロート及び分注チャンバインレットは、フロートによって分注チャンバインレットを閉鎖できるように、構成される。
【0087】
調剤の濃度とフロートの濃度との構成、及びその結果乗じる浮力、に応じて、フロートは、密閉又は密閉しない方法で、分注チャンバイインレットを閉じることができる。密閉しない閉鎖の場合、フロートは、実際に、分注チャンバインレットに当接して静止するが、カートリッジからの調剤の流入に対して、分注チャンバインレットを密閉しない。従って、カートリッジと分注チャンバとの間での調剤の交換は、可能である。本発明のこの展開において、フロートは、バルブを開くときに、分注チャンバインレットと分注チャンバアウトレットとの間のズレ(slippage)を最小限に抑え、これにより、放出精度を決定するのに寄与する、意図的スロットル(deliberate throttle)として、機能する。
【0088】
或いは、一方では、エネルギーに関して、自律的なディスペンサのエネルギー消費が可能な限り低くなるようにすることを保証するように、他方では、分注チャンバの容量に略対応する規定量の調剤が放出(解放)されるように、フロート及び分注チャンバは、自己閉鎖バルブ(self-closing valve)として、構成されることができる。
【0089】
洗浄剤及び/又は清浄剤の調剤中で、1.5mm/s〜25mm/s、好ましくは2mm/s〜20mm/s、特に、好ましくは2.5mm/s〜17.5mm/s、の上昇速度をフロートが呈するように、洗浄剤及び/又は清浄剤の調剤の濃度及びフロートの濃度を選択することは、特に、有利である。これは、上昇するフロートによって分注チャンバインレットが十分に速く閉鎖することを保証し、従って、分注調剤の2つの例(instances)の間隔が十分に短くなるようにすることを保証する。
【0090】
また、フロートの上昇速度は、ディスペンサのバルブ作動制御ユニットに格納可能であることが有利である。また、このようにして、放出チャンバの容積よりも大きい容積の調剤が放出されるように、バルブを制御することが可能である。この場合、バルブは、フロートが、分注チャンバに対する上方閉鎖位置に到達して、分注チャンバインレットを閉鎖する前に、再度、開かれる。
【0091】
分注チャンバからディスペンサの周辺環境への正確な分注を確保するために、フロートと、分注チャンバとは、次のように構成されることが有利であることが分かっている。すなわち、分注チャンバアウトレットに割り当てられたバルブの解放位置において、洗浄剤及び/又は清浄剤の調剤中におけるフロートの上昇速度は、分注チャンバから流れ出る、フロートを取り囲む調剤の流速よりも小さくなるようにされる。
【0092】
フロートは、実質的に球形に作製することが好ましい。或いは、フロートは、実質的に円筒形であっても構わない。
【0093】
分注チャンバが実質的に円筒形であることは、好ましいことである。分注チャンバの直径が、円筒形又は球形のフロートの直径よりも若干大きいこと、従って、分注チャンバとフロートとの間で、調剤に関して、ズレ(slippage)が生じることは、更に、有利である。
【0094】
好適な展開によれば、フロートは、発泡高分子材料、特に、発泡PP、で形成される。
【0095】
更なる好適な実施形態において、分注チャンバは、L形状に作られる。
【0096】
更に、分注チャンバの中において、分注チャンバインレットと分注チャンバアウトレットとの間に、隔壁(ダイヤフラム)を配置することができる。隔壁の開口部は、それが、密閉又は密閉しない方法で、フロートにより閉じられることができるように、構成される。フロートは、隔壁と分注チャンバインレットとの間に配置されることが好ましい。
(コンポーネントキャリア)
【0097】
ディスペンサは、少なくともアクチュエータ及び閉鎖エレメント、並びにエネルギー源及び/又は制御ユニット及び/又はセンサーユニット及び/又は放出チャンバに配置されたコンポーネントキャリアを備える。
【0098】
そのコンポーネントキャリアは、上記コンポーネント用のレセプタクルを備え、及び/又は、コンポーネントは、そのコンポーネントキャリアと共に単一部品(シングルパート)で形成される。
【0099】
コンポーネントキャリアにおけるコンポーネント用レセプタクルは、対応するコンポーネントと対応するレセプタクルとの間における、摩擦的、噛み合い的、及び/又は接着的(bonded)接続のために設けられることができる。
【0100】
更に、コンポーネントキャリアからコンポーネントを簡単に外す目的で、分注チャンバ、アクチュエータ、閉鎖エレメント、エネルギー源、制御ユニット、及び/又はセンサーユニットが、いずれの場合も、コンポーネントキャリア上に着脱可能に配置されることが、考えられる。
【0101】
エネルギー源、制御ユニット、及びセンサーユニットが、組み合わされたアセンブリとして、コンポーネントキャリアの上又は中に配置されることが、また、有利である。本発明の有利な更なる展開において、エネルギー源、制御ユニット、及びセンサーユニットは、1つのアセンブリとして組み合わされる。これは、例えば、エネルギー源、制御ユニット、及びセンサーユニットを共通の電気プリント基板上に配置することによって、達成されることができる。
【0102】
本発明の更なる好ましい展開によれば、コンポーネントキャリアは、トラフ状のデザイン(構成)であり、そして、射出成型部品として生産される。分注チャンバが、コンポーネントキャリアと共に単一部品構成(シングルパート構成)であることは、特に、好ましい。
【0103】
コンポーネントキャリアは、必要なコンポーネントを、ディスペンサに、最大限に簡単明瞭に自動的に実装(population)することを確かなものとする。このようにして、好ましくは、自動的に、コンポーネントキャリアを事前に完全な形に組み上げておき、そして、これを組み立てて、ディスペンサを形成することができる。
【0104】
本発明の1実施形態によれば、一旦、実装されると、そのトラフ状コンポーネントキャリアは、例えば蓋状の閉鎖エレメントで、水密的に閉鎖されることができる。この閉鎖エレメントは、例えば、コンポーネントキャリアと水密的に接合されるフィルム/ホイルであって、トラフ状コンポーネントキャリアと共に1つ又は複数の水密チャンバを形成するフィルム/ホイル、の形態をとることができる。
【0105】
閉鎖エレメントは、また、コンポーネントキャリアを中に案内(導入)できる、ブラケットであることができる。ここで、その組み上がった状態において、そのブラケット及びコンポーネントキャリアは、ディスペンサを形成する。その組み上がった状態において、コンポーネントキャリア及びブラケットは、コンポーネントキャリアとブラケットとの間に水密接続が形成されるように、相互に作用する。これにより、洗濯水は、ディスペンサの内部、又はコンポーネントキャリアの内部、に浸入し得ない。
【0106】
ディスペンサが運転位置にあるときに、コンポーネントキャリア上のアクチュエータ用レセプタクルが、で重力方向における分注チャンバの上に配置され、これによって、ディスペンサのコンパクトな構造が達成されるようにすることは、更に、好ましいことである。そのコンパクトなデザイン(構成)は、ディスペンサが運転位置にあるとき、アクチュエータのレセプタクルの上にあるコンポーネントキャリア上に分注チャンバインレットを配置することで、更に、最適化されることができる。また、コンポーネントキャリア上のコンポーネントが、実質的に相互に1列になるように、特に、コンポーネントキャリアの長手方向軸に沿って、配置されることは、好ましいことである。
【0107】
本発明の更なる展開において、アクチュエータ用レセプタクルは、分注チャンバアウトレットと一直線になる開口部を備える。これにより、この開口部及び分注チャンバアウトレットを介して、アクチュエータにおり、閉鎖エレメントを交互に(前後に)動かすことができる。
【0108】
コンポーネントキャリアが透明材料で形成されることは、特に、好ましいことである.
【0109】
コンポーネントキャリアが少なくとも1つの導光体(ライトガイド、light guide)を備えることは、有利である。この導光体と通して、ディスペンサの周辺環境からの光は、ディスペンサ又はコンポーネントキャリアの内部に対して、光送信ユニット及び/又は受信ユニットに案内されることができる。その導光体は、特に、透明なコンポーネントキャリアと共に単一部品(シングルパート)で形成される。
【0110】
従って、少なくとも1つの開口部がディスペンサの中に設けられることは、更に、好ましい。これを通して、ディスペンサの周辺環境からの光は、導光体に対して、インカップル(進入)及び/又はアウトカップル(進出)されることができる。
(アクチュエータ)
【0111】
本出願の目的のため、アクチュエータは、入力変数を異なる種類の出力変数に変換する装置である。この装置を用いて、物体が動かされ、又は物体の動きがもたらされる。そのアクチュエータは、少なくとも1つのカートリッジチャンバからの調剤の放出(解放)が間接的又は直接的に行われるように、少なくとも1つの閉鎖エレメントと結合される。
【0112】
アクチュエータは、重力駆動、イオン駆動、電気駆動、モーター駆動、油圧駆動、空気圧駆動、歯車駆動、ウォーム歯車駆動、ボールねじ駆動、リニア駆動、ローラーねじ駆動、歯付きウォーム駆動、圧電駆動、チェイン駆動、及び/又は反動駆動から成る群(グループ)から選択される駆動手段によって、駆動されることができる。
【0113】
特に、アクチュエータは、電気モーターで構成されることができる。このモーターは、歯車列に結合され、この歯車列は、モーターの回転運動を、歯車列に結合された可動台部(キャリッジ)の直線運動に変換する。これは、細身で皿形状構成のディスペンサユニット(分注ユニット)において、特に、有利である。
【0114】
アクチュエータ上に、少なくとも1つの磁気エレメントを配置することができる。この磁気エレメントは、ディスペンサ上の同一極性の磁気エレメントと共に、同一極性の磁気エレメントによって磁力の反発がもたらされ、非接触放出(解放)機構が実現されるように、これらの2つの磁気エレメントが相互に位置決めされるや否や、容器(コンテナ)からの製品(生成物、product)の放出が実行される。
【0115】
本発明の特に好ましい実施形態において、アクチュエータは、双安定ソレノイドである。このソレノイドは、双安定ソレノイドに係合するプランジャーの芯(プランジャーコア)の形態をとる閉鎖エレメントと共に、パルス制御式双安定バルブを形成する。
【0116】
双安定ソレノイドは、運動方向が直線的な電気機械的磁石であり、そのプランジャーの芯は、各端部位置で、活性化されずに静止する。
【0117】
双安定ソレノイド又は双安定バルブは、従来技術から公知である。バルブ位置(開放/閉鎖)間で変化するために、双安定バルブは、パルスを必要とする。次いで、このバルブは、逆パルスがバルブに送信されるまで、この位置に留まる。従って、このようなバルブは、パルス制御式バルブとして知られている。このようなパルス制御式バルブの1つの重要な利点は、各バルブ端部位置、即ち閉鎖位置及び解放位置、に留まるのにエネルギーを消費せず、単に、バルブ位置を変更するためのエネルギーパルスを必要とするに過ぎずない点にある。従って、各バルブ端部位置は、安定している、と考えられるべきである。双安定バルブは、どのスイッチング位置であれ、直近に受信した制御信号に対するスイッチング位置に留まる。
【0118】
閉鎖エレメント(プランジャーの芯)は、電気パルス毎に、一方の端部位置に駆動される。電力が切れると、その閉鎖エレメントは、その位置に留まる。その閉鎖エレメント(プランジャーの芯)は、電気パルス毎に、他方の端部位置に駆動される。電力が切れると、閉鎖エレメントは、その位置に留まる。
【0119】
ソレノイドの双安定特性は、種々の手法で達成されることができる。その1つとして、コイルを分割することが知られている。そのコイルは、ほぼ真中で分割される。そうすると、間隙が生じる。この間隙内に永久磁石が挿入される。プランジャーの芯自体は、各端部位置において、磁石フレームに対して表面が平坦になるように、旋盤によって前部及び後部から材料が除去されている。永久磁石の磁界は、この表面を通り抜ける。プランジャーの芯は、ここに貼り付く。或いは、2つの独立したコイルを使用することも可能である。その原理は、分割コイルを有する双安定ソレノイドと同様である。相違点は、実際に、2つの異なる電気コイルが存在することである。これらは、プランジャーの芯を動かす方向に応じて、別々に駆動される。
【0120】
従って、閉鎖エレメントが、該エレメントがアクチュエータによって閉鎖位置と通過位置(解放位置)に変位せしめられることができるように、アクチュエータと結合されることは、特に、好ましい。ここで、その閉鎖エレメントは、開閉バルブエレメントとして構成される。そして、そのアクチュエータは、適切なパルスで駆動されて、2つの端部位置のいずれか1つを所望位置として適用し、更なる駆動を用いずにそれが到達した端部位置を安定的に維持するように、構成される。そして、その組み合わせが、このように、パルス制御式双安定開閉バルブを形成する。
【0121】
特に、この目的のために、アクチュエータは、電機子(接極子、armature)を収納する空間と、上記第1の空間を包囲する外側収納空間と、を有する双安定ソレノイドとして構成されることができる。双安定ソレノイドの当該電機子は、それが、閉鎖エレメントを形成するように、又は閉鎖エレメントと結合されるように、構成することができる。
【0122】
ディスペンサの中で湿った空間と乾燥した空間とを隔絶するために、電機子を収納するアクチュエータ空間は、アクチュエータの外側収納空間から、液密に、そして、好ましくは、更に、気密に、隔絶されることができる。
【0123】
電機子の少なくとも外面が、分注されるべき洗浄剤又は清浄剤による攻撃(アタック)に影響されない材料、特に、プラスチック材料、で形成されることは、更に、有利である。
【0124】
電機子が、磁化可能な材料、特に、強磁性体材料、の芯と、外側収納空間内に配置される永久磁石と、を備え、コイルが、上記永久磁石の2つの軸方向端部の夫々に配置されるようにすることは、好ましい。
【0125】
電機子の軸方向端部の各永久磁石が、軸方向に逆極性をもって配置されていること、及び、強磁性体材料、特に、鉄、のヨークリングが、該ヨークリングの間にコイル巻線が配置された状態で、軸方向両端部の外側収納空間内に配置されていることは、更に、好ましいことである。
【0126】
ヨークリング間の軸方向距離が、永久磁石間の軸方向距離よりも大きいことは、ここでは、有利なことである。
【0127】
更に、電機子の軸方向端部に、ヨークリングを配置することができる。この場合、外側収納空間内に、永久磁石が、軸方向に極性を対向させた状態で配置されると共に、上記永久磁石の間に、コイル巻線が配置される。これらの永久磁石間の軸方向距離は、ヨークリング間の軸方向距離よりも大きいことが、ここでは、好ましい。
【0128】
特に、アクチュエータ/閉鎖エレメントの組み合わせは、各場合において洗浄剤又は清浄剤の異なる調剤を空間的に隔絶して収納するための複数のチャンバを有する、流動可能な洗浄剤又は清浄剤のためのカートリッジと、該カートリッジに結合可能なディスペンサと、を有するディスペンサシステムのディスペンサに設けられる。ここで、該ディスペンサは、エネルギー源と、制御ユニットと、センサーユニットと、上記制御ユニットからの制御信号が上記アクチュエータを作動させるように上記エネルギー源及び上記制御ユニットと接続されるアクチュエータと、上記アクチュエータによって閉鎖位置及び通過位置(解放位置)に変位できるように上記アクチュエータに結合された閉鎖エレメントと、少なくとも1つの分注チャンバと、を備える。ここで、カートリッジと一緒に組み立てられたディスペンサの場合、上記分注チャンバは、カートリッジのカートリッジチャンバのうちの少なくとも1つと、連通状態で接続される。その分注チャンバは、カートリッジチャンバから洗浄剤又は清浄剤を流入させるためのインレットと、分注チャンバから周辺環境に洗浄剤又は清浄剤を流出させるためのアウトレットと、を備える。そして、分注チャンバの、少なくとも、上記アウトレットは、上記閉鎖エレメントにより、開閉可能である。
【0129】
特に、上記アクチュエータは、ディスペンサの運転(稼働)位置において、アクチュエータ用レセプタクルが、重力方向において分注チャンバ上のコンポーネントキャリア上に配置されるように、コンポーネントキャリア内に配置される。ディスペンサの当該運転位置において、コンポーネントキャリア上の分注チャンバのインレットが、アクチュエータのレセプタクル上に配置されることは、ここでは、特に、非常に好ましい。
【0130】
また、ディスペンサが、下記コンポーネントキャリアを備えることも、また、考えられる。すなわち、そのコンポーネントキャリアにおいて、ディスペンサが運転位置にあるときに、アクチュエータ用レセプタクルは、分注チャンバの横方向に隣接するコンポーネントキャリア上に配置される。
【0131】
そのアクチュエータ用レセプタクルは、分注チャンバのアウトレットと一直線になる開口部を備える。この場合、閉鎖エレメントは、アクチュエータにより、アウトレットオリフィス(開口部)を通して、交互に(前後に)、移動せしめられることができる。
(閉鎖エレメント)
【0132】
本出願の目的のために、閉鎖エレメントは、アクチュエータが作用を及ぼすコンポーネントであって、該作用の結果として、アウトレットオリフィスの開閉をもたらすコンポーネントである。
【0133】
その閉鎖エレメントは、例えば、アクチュエータによって、プロダクト放出(解放)位置、又は閉鎖位置、に調整されることができるバルブを備える。
【0134】
その閉鎖エレメントとアクチュエータとは、ソレノイドバルブの形態を有することは、特に、好ましいことである。この場合、そのディスペンサは、そのバルブと、ソレノイドバルブの電磁駆動又は圧電駆動によるアクチュエータと、により、具現化される。特に、複数の容器、従って、分注されるべき複数の調剤、が用いられる場合に、ソレノイドバルブを用いることによって、分注の量及びタイミングを非常に正確に制御することが可能になる。
【0135】
従って、ソレノイドバルブが、プロダクト放出(解放)オリフィス(開口部)からの調剤の放出(解放)を間接的又は直接的に決定するように、ソレノイドバルブを用いて、チャンバの各放出オリフィス(アウトレットオリフィス)からの調剤の放出を制御することは、有利である。
(センサー)
【0136】
本出願の目的のために、センサーは、特定の物理的特性若しくは化学的特性及び/又はその周辺環境の物質の性質を定性的又は定量的に、被測定変数として、検知(検出)することができる、被測定変数ピックアップ又は検知(検出)エレメントである。
【0137】
ディスペンサユニットは、温度を検出するのに適した、少なくとも1つのセンサーを備えることが好ましい。その温度センサーは、特に、水温を検知(検出)するように設計(構成)される。
【0138】
加えて、ディスペンサユニット(分注ユニット)が、導電率を検知(検出)するためのセンサーを備えることが、好ましい。これによって、特に、皿洗い機内における、特に、水又は水の噴霧の存在が、検知(検出)される。
【0139】
本発明の更なる展開において、ディスペンサユニットは、ディスペンサユニットの周辺環境からの物理的、化学的及び/又は機械的パラメータを決定することができるセンサーを備える。このセンサーユニットは、制御信号として、制御ユニットに送られる、機械的、電気的、物理的、及び/又は化学的変数を、定性的及び/又は定量的に検知(検出)するための、1つ又は複数の能動センサー及び/又は受動センサーを備えることができる。
【0140】
特に、センサーユニットの各センサーは、タイマー、温度センサー、赤外線センサー、明るさセンサー、温度センサー、動きセンサー、歪みセンサー、回転速度センサー、近接センサー、流量センサー、カラーセンサー、ガスセンサー、振動センサー、圧力センサー、導電率センサー、濁度センサー、瞬間音圧センサー、「ラボ・オン・チップ」センサー、力センサー、加速度センサー、傾きセンサー、pHセンサー、湿度センサー、磁界センサー、RFIDセンサー、磁界センサー、ホールセンサー、バイオチップ、匂いセンサー、硫化水素センサー、及び/又はMEMSセンサーから成る群(グループ)から選択されることができる。
【0141】
特に、粘度が極度の温度依存性変動を受ける調剤の場合、分注装置内に流量センサーを設けて、分注される調剤の容積又は質量をモニターすることが、有利である。適切な流量センサーは、ダイヤフラム流量センサー、磁気誘導流量計、コリオリの方法を用いた質量流量計、渦流量計、超音波流量計、ロータメーター流量計、環状ピストン流量計、熱質量流量計、又は差圧流量計から成る群(グループ)から選択されることができる。
【0142】
異なるパラメータを測定するために、少なくとも2つのセンサーユニットが備えられることは、特に、好ましいことである。ここで、1つのセンサーユニットは、非常に好ましくは、導電率センサーであり、もう一つのセンサーユニットは、非常に好ましくは、温度センサーである。加えて、少なくとも1つのセンサーユニットが、明るさセンサーであることも、好ましい。
【0143】
センサーは、特に、洗浄プログラムの開始、進捗、及び終了を検知(検出)するように調整される。下の表に一覧表示したセンサーの組み合わせは、限定的な例として、この目的のために使用されることができる。
【0144】
【表2】

【0145】
上記導電率センサーを用いれば、例えば、その導電率センサーが水で濡れているかどうかを検知(検出)することができ、これにより、それによって、例えば皿洗い機の内部に水が存在するかどうかを確認することができる。
【0146】
ルールとしての洗浄プログラムは、特に、洗浄水の加熱及び洗浄されるべき物品(アイテム)の乾燥によって決定される、特徴的な温度プロフィールを呈する。このプロフィールは、温度センサーを使って検知(検出)することができる。
【0147】
明るさセンサーは、例えば、皿洗い機の扉が開いているときに、皿洗い器の内部に入射する光を検出するのに用いることができる。この検出結果から、例えば、洗浄プログラムが終了しているものと結論付けることができる。
【0148】
また、皿洗い器内において洗浄されるべき物品(アイテム)の汚れ度合いを判定(決定)するために、濁度センサーを設けることができる。これにより、例えば、識別された汚れ具合に適した、ディスペンサの分注プログラムの選択が可能になる。
【0149】
例えば、水が噴入又は噴出されるとき、特定の音や振動の発出を検知する、少なくとも1つの音響センサーの助けをもって、洗浄プログラムの進捗を検出するようにすることも可能である。
【0150】
当業者であれば、多数のセンサーのあらゆる所望の適切な組み合わせを用いて、洗浄プログラムのモニタリングを達成することが可能であることは、言うまでもない。
【0151】
本発明の更なる展開によれば、少なくとも1つの調剤の温度依存粘度(粘性)曲線が制御ユニットに保存されるようにすることが考えられる。これにより、温度、従って、調剤の粘度(粘性)、により、分注は、制御ユニットによって制御されることになる。
【0152】
本発明の更なる展開において、調剤の粘度(粘性)を直接的に判定(決定)するための装置が提供される。
【0153】
上記一覧表示した、調剤の分注量又は粘度(粘性)を決定するための代替例は、調剤を実質的に一定に放出するようにディスペンサを制御するような方法で、制御ユニットによって処理される制御信号を発生する働きをする。
【0154】
センサーと制御ユニットとの間のデータラインは、導電ケーブルの形態をとることができ、或いは、無線の形態をとることもできる。原理的に、少なくとも1つのセンサーが、皿洗い機の内部におけるディスペンサの外側に配置されたり、該外側に配置可能であることが考えられ、また、データライン、特に、無線データライン、が、センサーからディスペンサに測定データを送信する目的で備えられることが考えられる。
【0155】
無線データ線は、特に、電磁波又は光を送信することによって、達成される。無線データラインが、例えば、ブルートゥース、IrDA、IEEE802、GSM、UMTSといった規格に準じて構成されることは、好ましいことである。
【0156】
ディスペンサの効率的生産(製造)及び組み立てを許容するために、しかしながら、制御ユニットの上又は中に、少なくとも1つのセンサーユニットを配置することも可能である。例えば、ディスペンサの中に、又は制御ユニットを搭載する基板上に直接、温度センサーを設けることが可能である。これにより、その温度センサーは、周辺環境とは直接的な接触を持たない。
【0157】
本発明の特に好ましい展開において、センサーユニットは、ディスペンサの底部に配置される。このディスペンサの底部は、運転位置において、重力方向下側に向く。センサーユニットが、温度センサー及び/又は導電率センサーを備えることは、ここでは、特に、好ましいことである。このように構成することで、水は、皿洗い器の噴霧アームを通して確実にディスペンサの下面に達し、従って、センサーと接することが、確実なものとされる。底部にセンサーを配置することで、噴霧アームとセンサーとの間の距離が可能な限り短くなる。従って、噴霧アームでの放出と、センサーとの接触との間に、水は、少ししか冷却されず、これにより、可能な限り正確な温度測定が可能になる。
【0158】
ディスペンサのエネルギー消費を拡大し、或いは、そのエネルギー源の寿命を延ばすため、ディスペンサのエネルギー消費部、特に制御ユニット、は、オンオフスイッチを含むエネルギー源に接続されることができる。当該エネルギー源は、オンオフスイッチがオン状態に達したときのみに、負荷を受ける。センサーユニットは、このオンオフスイッチをなし、或いは、そこに接続されて後者を切り替える。
【0159】
ディスペンサの底部上の下にあるセンサーユニットが、周辺環境と接する2つの接触部(コンタクト)、特に、底部から下方に突出する接触ピン(コンタクトピン)の形態をとる接触部、を備えること、ここで、一方の接触部が陽極の接触部としてエネルギー源に接続され、他方の接触部が陰極の接触部として接続されること、接触部間に導電性の接続がない場合に、オフ状態のオンオフスイッチがオフ状態を維持すること、及び接触部間に導電性の接続が生じたときに、オフ状態のオンオフスイッチがオン状態に切り替わること、は、特に、好ましいことである。
【0160】
オンオフスイッチにシールイン回路が設けられること、或いは、該オンオフスイッチが該シールイン回路に組み合わされることは、更に、好ましいことである。これにより、オンオフスイッチがひとたびオン状態に達すれば、この回路は、制御ユニットがオフ信号を出力するまで、エネルギー消費部のエネルギー供給のシーリングインを確保し、又はそれをもたらす。
【0161】
オンオフスイッチは、特に、トランジスタ回路の形態をとることができる。この場合、オンオフスイッチのトランジスタが、PNPトランジスタの形態をとり、エミッタが任意に駆動回路を介して電源電圧に接続され、コレクタが任意に駆動回路を介して接地及び陰極接触部に接続され、ベースが、一方では、任意に駆動回路を介して電源電圧に接続され、他方では、任意に駆動回路を介して陽極接触部に接続されることは、好ましいことである。
【0162】
駆動回路は、特に、抵抗電圧分割器の形態をとる、少なくとも1つの駆動抵抗器を備えることが好ましい。
【0163】
オンオフセンサーユニットに加えて、導電率センサーの形態のセンサーユニットが備えられ、導電率センサーの形態のそのセンサーユニットが周辺環境と接触する2つの接触部をディスペンサ底部の下に備えていること、及び、オンオフセンサーユニットの陽極接触部が、導電率センサーを形成するセンサーユニットの陽極接触部であること、非常に有利である。これにより、トランジスタという単一コンポーネントとしてのオンオフスイッチ及び導電率センサーを具現化することが可能になる。
【0164】
また、温度センサーを形成するセンサーユニットが、導電率センサーを形成するセンサーユニットの接触部、特に、陰極接触部、に一体化されることが可能である。
【0165】
導電率センサーをなすセンサーユニットの、温度センサーを収納する、その接触部は、好ましくは、ここで、温度センサーをなすセンサーユニットの温度センサーが中に配置される中空接触ピン(コンタクトピン)の形態をとることができる。
【0166】
コンパクトな構造的サイズを達成するために、加えて、エネルギー源、制御ユニット、及びセンサーユニットが、コンポーネントキャリアの上又は中で組み合わされてアセンブリ化されることは、有利である。
【0167】
底部に配置された導電率センサーの接触部が、導電性シリコーンで包囲されることは、特に、好ましいことである。導電率センサーは、ここで、特に、ディスペンサの周辺環境と接触する、相互に離間している2つの接触部間の抵抗を測定する形態をとることができる。この場合、そのシリコーンが、ディスペンサの底部と面一に設定されることは、特に、非常に好ましいことである。そのシリコーンが、略円形の基台領域(ベース領域)を有することは、有利である。そのシリコーンは、良好な水湿潤性を示し、従って、皿洗い器内での水の検知(検出)に関し、良好な測定結果を与える。
【0168】
直流電源を用いるときに、センサーの精度を損なわせる導電率センサーの接触部での分極化を回避する目的で、接触部で余分な電荷が生じ得ないように、各測定時に極が異なるように、即ち、正極と負極を入れ替えて、導電率センサーで2回続けて抵抗を測定することは、有利である。
(制御ユニット)
【0169】
本出願の目的のため、制御ユニットは、材料、エネルギー、及び/又は情報の搬送に影響を与えるのに適した装置である。この目的のために、その制御ユニットは、情報、特に、センサーユニットの測定信号、の補助により、アクチュエータに作用し、目的物を制御する目的で、この情報を処理する。
【0170】
制御ユニットは、特に、プログラム可能なマイクロプロセッサを備えることができる。本発明の特に好ましい実施形態において、複数の分注プログラムが、そのマイクロプロセッサに格納される。特に、好ましい構成において、その分注プログラムは、ディスペンサに結合された容器に応じて、選択され、そして実行される。
【0171】
好適な実施形態において、その制御ユニットは、家庭用機器に存在し得る制御装置には接続されない。従って、情報、特に、電気信号、光信号、又は電磁信号は、制御ユニットと、家庭用機器の制御装置との間で、直接的に、全く交換されない。
【0172】
本発明の代替的な展開において、制御ユニットは、家庭用機器の既存制御装置に結合される。その結合は、無線であることが好ましい。例えば、送信器を、皿洗い機の上又は中に、好ましくは、皿洗い機の扉内にセットされる分注チャンバの上又は中に、に位置決め(配置)することができる。この送信器は、家庭用機器の制御装置が、例えば、分注チャンバから清浄剤又はすすぎ補助剤の分注を行う場合に、ディスペンサユニットへの信号送信を無線で行う。
【0173】
種々の調剤を放出(解放)するための、又は様々な使用状況でプロダクトを放出(解放)するための、複数のプログラムは、制御ユニットの中に格納されることができる。
【0174】
本発明の好適な展開において、適切なプログラムは、容器(コンテナ)上に形成された対応するRFIDラベル又は幾何学的情報媒体によって、呼び出される。従って、例えば、同一の制御ユニットを、例えば、皿洗い機内で清浄剤を放出するための用途や、部屋によい香りを与える芳香を発散するための用途や、便器に清浄物質を適用するための用途等、複数の用途、に用いることができる。
【0175】
特に、ゲル化する傾向を有する調剤を分注するために、一方では、分注が良好な清浄結果を保証するべく十分に短い時間で行われるように、他方では、調剤の噴出物がゲル化する程には素早く分注されないように、制御ユニットを構成することができる。これは、例えば、所定間隔で放出することによって、実施されることができる。その個々の分注間隔は、対応して分注される量が、清浄サイクル中に、完全に溶解するように、調整される。
【0176】
その調剤を放出するための分注間隔は、30〜90秒、特に、好ましくは45〜75秒、であることが、特に、好ましい。
【0177】
ディスペンサからの各調剤の放出は、逐次的に(順次)行われても、同時に行われても、よい。
【0178】
洗浄プログラムにおいて、複数の調剤を逐次的に分注することは、特に、好ましい。下記の分注の順序(シーケンス)は、特に、好ましい。
【0179】
【表3】

【0180】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、皿洗い機とディスペンサとは、皿洗い機のすすぎプログラムにおいて、洗浄コンパートメントの壁領域1m当たり、1mg〜1gの表面活性剤が放出されるように、相互に作用する。このようにして、洗浄コンパートメントの壁が、多数の洗浄サイクルの後でも、一定の光沢度を維持すること、そして、ディスペンサシステムが、その光送信能力を維持すること、が確保される。
【0181】
加えて、皿洗い機の予備洗浄プログラム及び/又は主洗浄プログラムにおいて、少なくとも1つの酵素含有調剤及び/又はアルカリ性調剤が放出されるように、皿洗い機とディスペンサとが、相互に作用することが、有利である。この酵素含有調剤は、好ましくは、アルカリ性調剤の前に、放出される。
【0182】
本発明の更なる有利な展開において、皿洗い機とディスペンサは、皿洗い機の予備洗浄プログラム及び/又は主洗浄プログラムにおいて、洗浄コンパートメントの壁領域1m当たり、0.1mg〜250mgの酵素タンパク質が放出されるように、相互に作用する。これによって、洗浄コンパートメント壁の光沢度は、複数の洗浄サイクルの後でも、更に、改善されるか、若しくは、維持される。
【0183】
本発明の有利な更なる展開において、制御ユニットが格納する、例えば、制御ユニットの制御プログラム及び/又は分注プログラム又は動作パラメータ若しくは動作プロトコルといったデータは、制御ユニットから読み出されるか、若しくは、制御ユニットにロードされる(書き込まれる)ことができる。これは、例えば、制御ユニットに適切に接続された光インターフェースの手段によって実行されることができる。次いで、送信されるべきそのデータは、特に、可視光領域、好ましくは600〜800nmの波長領域、の光信号として、コード化されて放出され、又は受信される。しかしながら、制御ユニットから及び/又は該ユニットに、データを送信するのに、ディスペンサに存在するセンサーを用いることも可能である。例えば、制御ユニットに接続され、導電率センサーの接触部での抵抗測定の手段によって導電率を決定する、導電率センサーの接触部(コンタクト)は、データ送信に用いられる。
(エネルギー源)
【0184】
本出願の目的のために、エネルギー源は、ディスペンサシステム又はディスペンサ、の動作に適したエネルギーを提供することが可能な分注装置のコンポーネントを意味するものと理解される。そのエネルギー源は、ディスペンサシステムが自律的であるように構成されることが好ましい。
【0185】
エネルギー源は、電気エネルギーを提供することが好ましい。このエネルギー源は、例えば、電池、蓄電池、電灯線によるエネルギー供給源、太陽電池、又はこれらに類するものを備えることができる。
【0186】
エネルギー源は、例えば交換可能な電池の形態で、交換可能、とすることが、特に、有利である。
【0187】
電池は、例えば、アルカリマンガン乾電池、マンガン乾電池、オキシ水酸化ニッケル電池、リチウム電池、リチウムイオン電池、空気亜鉛電池、亜鉛塩素電池、酸化水銀電池、及び/又は酸化銀電池から成る群から選択されることができる。
【0188】
適切な蓄電池の例は、鉛蓄電池(二酸化鉛/鉛)、ニッケルカドミウム二次電池、NiMH二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、アルカリマンガン二次電池、銀亜鉛二次電池、ニッケル水素二次電池、亜鉛臭素二次電池、ナトリウム/塩化ニッケル二次電池、及び/又はニッケルイオン二次電池である。
【0189】
蓄電池は、特に、誘導(induction)によって再充電が可能であるように、設計(構成)されることができる。
【0190】
しかしながら、また、1つ又は複数のらせんばね、ねじりばね若しくはトーションバー、曲げばね、空気/気体ばね、及び/又はエラストマースプリングで構成される、機械的エネルギー源を備えることが、考えられる。
【0191】
エネルギー源は、該エネルギー源が使い尽くされるまでに約300回の分注サイクルにわたってディスペンサが稼動できるように、構成される。このエネルギー源は、使い尽くされるまでに、好ましくは、1〜300回、特に、非常に好ましくは、10〜300回、更に、好ましくは、100〜300回、の分注放出サイクルにわたって、稼動する。
【0192】
加えて、蓄電池を充電する電圧を発生するエネルギー変換手段をディスペンサユニット上に設けてもよい。これらの手段は、例えば、皿洗い機内で、洗浄サイクル中に水の流れによって駆動され、このようにして発電された電圧を蓄電池に出力する、ダイナモの形態をとることができる。
(導光体、ディスペンサ)
【0193】
光送信ユニット及び/又は受信ユニットは、水飛沫及び洗浄水による影響から、その送信ユニット及び/又は受信ユニットの電気コンポーネント及び/又は光コンポーネントを保護する目的で、ディスペンサの内部、特に、コンポーネントキャリアの中又は上、に配置されることが好ましい。
【0194】
ディスペンサの周辺環境から、光を、光送信ユニット及び/又は受信ユニットに送るため、導光体(ライトガイド)が、光送信ユニット及び/又は受信ユニットと、ディスペンサの周辺環境と、の間に配置される。この導光体は、少なくとも75%の光透過率(光透過度)を呈する。この導光体は、少なくとも75%の透過率を有する透明プラスチック材で構成されることが好ましい。導光体の透過率は、ディスペンサの周辺環境から導光体に光が進入(インカップル)する該導光体の表面と、導光体から光学的送信ユニット及び/又は光学的受信ユニットに光が進出(アウトカップル)する表面と、の間の透過率として定義される。透過率は、DIN5036に準じて決定されることができる。
【0195】
導光体は、光送信ユニット及び/又は光受信ユニットからの光、及び/又はディスペンサの周辺環境からの光、が、夫々、進入及び進出する、少なくとも1つの進入点(インカップリングポイント)及び/又は進出点(アウトカップリングポイント)を有する。
【0196】
導光体が、コンポーネントキャリアと単一部品構成(シングルパート構成)であることは、特に、好ましい。そのコンポーネントキャリアが、従って、透明材料から形成されることは、有利である。
【0197】
導光体の進入点及び/又は進出点を収納するために、そして、導光体と周辺環境との間に光学的接続を構成するために、ディスペンサに開口部(オリフィス)が備えられる。上記進入点及び/又は進出点は、ディスペンサの底部又は上端部における外周面に配置されることができる。光信号の良好な送信特性及び/又は受信特性を提供するために、導光体の上記進入点及び/又は進出点が、レンズ状及び/又はプリズム状の構成であることは、有利であることができる。
【0198】
上記導光体は、同一材料又は異なる材料の、多層構造及び/又は多部構造とすることも可能である。多層形態及び/又は多部形態の導光体間に、空隙(エアーギャップ)を設けることも可能である。多層構造及び/又は多部構造の場合、導光体の透過率は、ディスペンサの周辺環境から導光体に光が進入する導光体の表面と、導光体から光送信ユニット及び/又は光受信ユニットに光が進出する表面と、の間の透過率として、理解される。
【0199】
加えて、周辺環境に対して、導光体の少なくとも2つの進入点又は進出点を設けることは、好ましいことである。ディスペンサ上の進入点又は各進出点が、実質的に、相互に対向していることは、特に、有利である。
【0200】
本発明は、以下に、図面を参照してより詳細に説明されるが、これらの図面は、単に、例示的に実施形態を示しているに過ぎない。特に好ましい展開及び特に好ましい特徴の組み合わせは、また、更に、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】2チャンバ型カートリッジを有する自律的ディスペンサを分離状態及び組み立て状態で示す図である。
【図2】皿洗い機の引き出し内に配置された2チャンバ型カートリッジを有する自律的ディスペンサを示す図である。
【図3】機械に一体化できる自律的ディスペンサ用の2チャンバ型カートリッジを分離状態及び組み立て状態で示す図である。
【図4】機械に一体化された自律的ディスペンサ用の2チャンバ型カートリッジを組み立て状態で示す図である。
【図5】3つのチャンバを有するカートリッジの正面図である。
【図6】3つのチャンバを有するカートリッジの平面図である。
【図7】トラフ形状のカートリッジエレメント及び皿状(プレート状)カートリッジエレメントを有する2部品(ツーパート)カートリッジの分解図である。
【図8】セル容器及びカートリッジ底部を有する2部品カートリッジの分解図である。
【図9】ディスペンサ及びカートリッジの分解図である。
【図10】コンポーネントキャリアの正面図である。
【図11】コンポーネントキャリアの分解図である。
【図12】コンポーネントキャリアの分解図である。
【図13】コンポーネントキャリアの平面図である。
【図14】放出オリフィス上のコンポーネントキャリアの斜視図である。
【図15】コンポーネントキャリアの正面斜視図である。
【図16】コンポーネントキャリアの底面図である。
【図17】カートリッジと共に組み立てたディスペンサの斜視図である。
【図18】ヒンジを有するブラケットの斜視図である。
【図19】双安定ソレノイドとして構成されたアクチュエータを示す図である。
【図20】フロートを有する分注チャンバを示す図である。
【図21】フロートを有する放出チャンバを示す図である。
【図22】フロートを有する放出チャンバを示す図である。
【図23】フロートを有する放出チャンバを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0202】
図1は、2チャンバ型カートリッジ1を有する自律的ディスペンサ2を、分離した状態、及び組み立てられた状態、で示している。
【0203】
ディスペンサ2は、カートリッジ1のチャンバ3a,3bの対応する放出オリフィス5a,5bを繰り返し着脱可能に収納するための、2つの分注チャンバインレット21a,21bを備えている。ディスペンサ2の動作状態を示し、或いはそこに作用を及ぼす、インジケータ及び動作エレメント37が、前面に設設けられている。
【0204】
上記分注チャンバインレット21a,21bは、更に、カートリッジ1がディスペンサ2上に配置されたときにチャンバ3a,3bの放出オリフィス5a,5bの開放をもたらす手段を備えている。これにより、チャンバ3a,3b内部は、分注チャンバインレット21a,21bに連通状態で接続される。
【0205】
カートリッジ1は、1つ、又はそれ以上のチャンバ3a,3bで構成されていてもよい。カートリッジ1は、複数のチャンバ3a,3bからなる単一部(単一部品)構成(シングルパート構成)であっても、多部(多部品)構成(マルチパート構成)であってもよい。この場合、個々のチャンバ3a,3bは、特に、接合(接着、固着、付着、bonded)接続方法、連結(interlocking)接続方法、又は摩擦接続方法で、カートリッジ1を形成するべく、組み立てられる。
【0206】
特に、固定は、スナップイン接続、圧着接続、融解接続、接着接続、溶接接続、鑞付け接続、螺着接続、留めピンによる接続、挟着接続、又はリバウンド接続から成る群(グループ)に属する1つ又は複数の接続タイプによって、実施されることができる。特に、熱収縮スリーブによっても、固定が可能である。このスリーブは、加熱された状態で、カートリッジの少なくとも一部分上に引っ張られ、冷えた状態で、カートリッジを確実に包み込む。
【0207】
カートリッジ1の底部は、カートリッジ1に残留物を空にする有利な特性(特徴)を与える目的で、じょうごのような態様で放出オリフィス5a,5bの方向に傾斜させてもよい。更に、材料選択及び/又は表面仕上げを適切に行うことによって、プロダクトが少ししかカートリッジ1の内壁に付着しないように、該カートリッジ1の内壁を構成することができる。残留物を空にするカートリッジ1の特性は、また、この方法(処置)によって、更に、最適化されることができる。
【0208】
カートリッジ1のチャンバ3a,3bの容量は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。チャンバの容積の比は、2つのチャンバ3a,3bを有する構成では、5:1であることが好ましく、3つのチャンバを有する構成では、4:1:1であることが好ましい。特に、これらの構成は、皿洗い機での使用に適している。
【0209】
1つの可能な接続方法は、また、チャンバ3a,3bをディスペンサ2の対応する分注チャンバインレット21a,21bの1つに嵌め込み、これによって、それらを相互に固着することでも、実現される。
【0210】
チャンバ3a,3b間の接続は、チャンバを分離交換できるように、特に、着脱可能とすることができる。
【0211】
チャンバ3a,3bは、夫々、調剤40a,40bを収容する。当該調剤40a,40bは、同一組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
【0212】
チャンバ3a,3bが透明材料で形成され、これにより、ユーザが外部から調剤40a,40bの充填レベルを視認できるようにすることは、有利である。しかしながら、これらのチャンバのうちの少なくとも1つを不透明材料で形成することは、また、特に、このチャンバ内の調剤が感光性の成分を含んでいる場合に、有利である。
【0213】
放出オリフィス5a,5bは、対応する分注チャンバインレット21a,21bとの、噛み合い接続及び/又は摩擦接続を、特に、水密に、なすように設計(構成)される。
【0214】
放出オリフィス5a,5bの各々が、分注チャンバインレット21a,21bの1つだけに適合(フィット)し、これにより、チャンバを不用意に誤った分注チャンバインレットに嵌め込んでしまわないように構成することは、特に、有利である。
【0215】
カートリッジ1は、従来的に、5000ml未満、特に、1000ml未満、好ましくは500ml未満、特に、好ましくは250ml未満、特に、非常に好ましくは50ml未満、の容量を有する。
【0216】
組み上がった状態において、カートリッジ1及びディスペンサユニット2は、特に、それらが使用される装置のジオメトリーに適合せしめられ、これにより、使用可能な容積における損失を可能な限り小さくすることが確実なものとされる。ディスペンサユニット2及びカートリッジ1を皿洗い機の中で用いるために、当該ディスペンサユニット2及びカートリッジ1を、皿洗い機の中で清浄されるべき皿類に模して形成することは、特に、有利である。ディスペンサユニット2及びカートリッジ1は、例えば、1つの皿(プレート)の寸法構成を概略的に仮定して、皿形に形成されることができる。このようにすれば、ディスペンサユニットは、下方バスケット内で、空間を有効活用した状態で、配置(位置決め)されることができる。
【0217】
充填レベルを、直接、視覚的にチェックできるようにするために、カートリッジ1の少なくとも一部を透明材料で形成することは、有利である。
【0218】
カートリッジ内に存在するプロダクトの感熱性コンポーネントを、熱に対する露出から保護するために、カートリッジ1を熱伝導率が低い材料で製造(制作)することは、有利である。
【0219】
カートリッジ1の放出オリフィス5a,5bは、直線状に又は1列に配置されることが好ましい。これにより、ディスペンサの構成を、細身で皿形状にすることが可能になる。
【0220】
図2は、陶磁器の引き出し11内にある2チャンバ型カートリッジ1を有する自律的ディスペンサを、皿洗い機38の扉39が開いている状態で、示している。
【0221】
図3に、本発明の更なる展開を示す。ここでは、ディスペンサ2は、カートリッジ1に結合されることができる。これは、図中、左手の第1の矢印で示されている。次いで、カートリッジ1及びディスペンサ2は、インターフェース47,48を介して、1つのアセンブリとして、皿洗い器に結合される。これは、右手の矢印で示されている。ディスペンサ2はインターフェース47を備えており、このインターフェースを介して、ディスペンサ2に対して及び/又はディスペンサ2から、データ及び/又はエネルギーが送信される。皿洗い器38の扉39には、ディスペンサ2を収納するための窪み(凹部)43が設けられている。この窪み43には、ディスペンサ2に対して及び/又はディスペンサ2から、データ及び/又はエネルギーを送信する、第2のインターフェース48が設けられている。
【0222】
データ及び/又はエネルギーは、ディスペンサ2上の第1のインターフェース47と、皿洗い器38上の第2のインターフェース48との間で、無線で交換されることが好ましい。エネルギーが、皿洗い器38のインターフェース48から、インターフェース47を介して、ディスペンサ2に、無線で送信されるようにすることは、特に、好ましい。これは、例えば、誘導式及び/又は容量式で、行うことができる。
【0223】
更に、また、データ送信用インターフェースが、無線構成であることは、一層、有利である。これは、例えば、無線伝送(送信)又はIR伝送(送信)の手段による、無線データ送信のための従来技術で知られている方法を用いて、達成されることができる。
【0224】
或いは、インターフェース47,48は、一体型のプラグイン接続の形態をとることも可能である。このプラグイン接続は、該接続が、水又は湿気の浸入から保護されるように、構成されることが、有利である。
【0225】
図5は、3つのチャンバ3a,3b,3cを有するカートリッジ1の更に可能な実施形態を示している。第1のチャンバ3aと第2のチャンバ3bとは、略同一の容量を有する。第3のチャンバ3cは、チャンバ3a又は3bの、例えば、5倍の容量を有する。カートリッジの底部4は、第3のチャンバ3cの領域に、勾配状(傾斜路形状)の段部を備える。カートリッジ1をこのように非対称に構成することで、カートリッジ1が意図された所定の位置でディスペンサ2に結合されるようにすることが保証され、ディスペンサ2又はブラケット54の対応する構成により誤った位置での挿入が防止される。
【0226】
図6に示すカートリッジの平面図は、仕切り板(仕切りウェブ)9a及び9bを示している。これらの仕切り板は、カートリッジ1の各チャンバを相互に隔絶(分離)する。図5及び図6から把握されるカートリッジは、種々の手法で、形成されることができる。
【0227】
図7から推測できる第1の変形形態において、カートリッジ1は、第1のトラフ状カートリッジエレメント7と、第2の蓋状又は皿状のカートリッジエレメント6とで形成される。仕切り板9a及び9bは、このトラフ状カートリッジエレメント7内に設けられており、これらの仕切り板は、カートリッジ1の3つのチャンバを形成している。このトラフ形状のカートリッジエレメント7の底部4に、いずれの場合も、カートリッジ1のチャンバの下に、放出オリフィス5a,5b,5cが配置されている。
【0228】
加えて、図7から明らかなように、第3のチャンバ3cの領域にあるカートリッジの底部4は、勾配状(傾斜路形状)の段部を備えている。この段部は、第3の放出オリフィス5cの方向に、チャンバの底部上で傾斜(スロープ)をなしている。このようにすることで、このチャンバ3c内にある調剤が、常に、放出オリフィス5cの方向に搬送されることが保証され、従って、残留物を空にする良好な特性が達成される。
【0229】
カートリッジ1が組み立てられるとき、トラフ形状のカートリッジエレメント7と、蓋状カートリッジエレメント6とは、共通の連結エッジ8に沿って相互に接合される。これは、例えば、溶接接合又は接着接合によって達成されることができる。カートリッジ1が組み立てられるとき、仕切り板9a,9bもカートリッジエレメント6に接合されることは、言うまでもない。
【0230】
連結エッジ8は、ここで、放出オリフィス5a〜cを通して延伸していない。これにより、特に、ディスペンサに結合された状態において、オリフィス5a〜cの領域における漏洩(リーク)の問題が回避される。
【0231】
図8に、カートリッジを具体化するための更なる変形形態を示す。第1のカートリッジエレメント6は、ここでは、セル(cellular)構造(細胞構造)であり、開いた底部を有している。独立して形成された底部4は、第2のカートリッジエレメント7として、セルカートリッジエレメント6の上記底部のオリフィス(開口部)内に、挿入されることができ、そして、共通の連結エッジ8に沿って。そこに接合されることができる。この変形形態の利点は、プラスチックのブロー成形法で、安価にセルエレメント6を製作することができることである。
【0232】
図9は、カートリッジ1とディスペンサ2とで構成されるディスペンサシステムの主要コンポーネントの分解図である。
【0233】
図9から推測できるように、カートリッジ1は、既に図7から把握されている、2つのカートリッジエレメント6,7で構成されている。ディスペンサ2は、コンポーネントキャリア23と、該コンポーネントキャリア23を挿入できるブラケット54と、で実質的に構成されている。
【0234】
図10は、ディスペンサ2のコンポーネントキャリア23を側面図で示している。これについて、以下、より詳細に説明する。
【0235】
分注チャンバ20、アクチュエータ18、及び閉鎖エレメント19は、コンポーネントキャリア23に配置されており、また、エネルギー源15、制御ユニット16、及びセンサーユニット17も、同様に、配置されている。分注チャンバ20、予備分注チャンバ26、分注チャンバインレット21、及びレセプタクル29は、コンポーネントキャリア23と単一部品(シングルパート)で形成されている。
【0236】
図10からも推測できるように、エネルギー源15、制御ユニット16、及びセンサーユニット17は、対応する基板上に載置されることによって、1つのアセンブリに組み合わされる。
【0237】
図23に示すように、予備分注チャンバ26及びアクチュエータ18は、実質的に、相互に隣接して、コンポーネントキャリア23に配置されている。予備分注チャンバ26は、基本形状がL形状であり、下方領域に肩部を有する。そして、その中に、アクチュエータ18用のレセプタクル29が設けられている。アウトレットチャンバ27は、予備分注チャンバ26とアクチュエータ18との下に配置されている。予備分注チャンバ26とアウトレットチャンバ27とが、共に、分注チャンバ20を形成している。
【0238】
予備分注チャンバ26とアウトレットチャンバ27とは、開口部34によって、相互に接続されている。
【0239】
レセプタクル29と、開口部34と、分注チャンバアウトレット22とは、コンポーネントキャリア23の長手軸に対して直角な方向に1列に並んでおり、従って、棒状の閉鎖エレメント19は、オリフィス(開口部)22,29,34を通して、案内されることができる。
【0240】
特に、図11から明らかなように、予備分注チャンバ26の後方壁と、アウトレットチャンバ27とは、コンポーネントキャリア23と共に、一体的に形成される。その前方壁は、例えば、被覆エレメント又はフィルム/ホイル(図示せず)によって、例えば、放出チャンバ20に接合されることができる。
【0241】
図11の詳細図を参照して、分注チャンバ20の構成について、より詳細に説明する。この図は、底部62を有するアウトレットチャンバ27を示している。該底部62は、じょうごのように、アウトレットチャンバ27の中央に配置されている分注チャンバアウトレット22の方向に傾斜している。この分注チャンバアウトレット22は、チャネル63の中に位置しており、このチャネル63は、アウトレットチャンバ27の中で、コンポーネントキャリア23の長手軸に直角に延在している。その中に配置されている、じょうご状の底部62と、チャネル63と、放出オリフィス22とは、ディスペンサが水平以外の位置にある場合に、分注チャンバ20からの調剤の分注を保証すると共に、該調剤の残留物を、事実上、空にすることを保証する。更に、対応するじょうご形状の底部により、特に、調剤の粘度が比較的高い場合に、調剤は、分注チャンバから、より速やかに流出し、従って、調剤が放出される放出期間(時間)は、短く維持されることができる。
【0242】
図11では、真ん中の分注チャンバ20だけに、上述したタイプのじょうご形状の底部が備えられている。この表示に対して、更なる、又は全ての、分注チャンバが、そのように形成されてもよいことは、言うまでもない。これは、また、予備分注チャンバ26及びアウトレットチャンバ27が設けられている場合には、これらのチャンバにも当てはまる。
【0243】
コンポーネントキャリア23上のアクチュエータ18、閉鎖エレメント19、及び密閉材(密閉部材、シール)36の配置について、図12の分解図を参照して、より詳細に説明する。該図は、3つの分注チャンバ20が相互に隣接して配置されている状態の、コンポーネントキャリア23を示している。最も右手の分注チャンバにおいて、アクチュエータ18c、閉鎖エレメント19c、及び密閉材36cが、組み上がった状態で、コンポーネントキャリア23上に示されている。中央の分注チャンバの場合、密閉材36bと閉鎖エレメント19bとが、組み上がった状態で、分注チャンバの中に示されているが、アクチュエータ18bは、閉鎖エレメント19bから外されている状態で示されている。左手の分注チャンバ20aの上方には、密閉材36a、閉鎖エレメント19a、そして、更には、アクチュエータ18aが、分解図で示されている。
【0244】
分注チャンバ20、予備分注チャンバ26、分注チャンバインレット21、及びアクチュエータ18用レセプタクル29は、コンポーネントキャリア23と一体化された構成になっている。予備分注チャンバ26は、分注チャンバ20上で、L形状(形)に配置されており、アクチュエータ18用レセプタクルは、コンポーネントキャリア23の底部に平行に延在する予備分注チャンバの脚部に配置されている。分注チャンバ20と予備分注チャンバ26とは、開口部(オリフィス)34によって、相互に接続されている。レセプタクル29、開口部34、及び分注チャンバアウトレット22は、コンポーネントキャリア23の長手軸に直角に延在する1軸上に並んでいる。
【0245】
密閉材(密閉部材、シール)36は、実質的に、中空の円筒形構造を有し、上端部は、皿状(プレート状)の縁端部材(エンドピース)で閉鎖されている。その皿状の縁端部材が、分注チャンバアウトレット22に対して内側を押圧(付勢)すると共に、その皿状の縁端部材から離れた密閉材36の側部が開口部34に当たる(当接)ように、弾性密閉材36は、分注チャンバ20の中に配置されることができる。円筒形閉鎖エレメント19の第1の端部は、該端部が中空円筒形密閉材36に係合するように、そして、噛み合わせ、摩擦、及び/又は接合(bonding)によって、該端部がそこに固定されることができるように、構成されることができる。閉鎖エレメント19は、それが、開口部34と、レセプタクル29の開口部とを通過することができるように、しかし、それが、閉鎖エレメント19がコンポーネントキャリア23から下方に滑り落ちる(スリップする)ことができないように分注チャンバアウトレット22に当接するように、寸法構成されている。
【0246】
上記閉鎖エレメント19は、レセプタクル29からの一方の端部をもって突出している。この端部は、双安定電磁石として構成されたアクチュエータ18内に挿入され、接極子(電機子、armature)として、機能する。
【0247】
図13は、図12から把握されるコンポーネントキャリア23を、平面図で示している。分注チャンバインレット21a〜cと、アクチュエータ18a〜c用レセプタクル29a〜cとが、コンポーネントキャリア23の長手軸に一致(対応)する一線上に(一列上に)配置されていることは、明らかである。
【0248】
図14は、コンポーネントキャリア23の底部を斜視図で示している。分注チャンバアウトレット22a〜cと、センサーユニット用レセプタクル28とが、中空円筒形構造であり、これにより、実際の放出オリフィスと、分注チャンバアウトレット22a〜cを閉鎖する密閉材36a〜cとが、機械的損傷から保護されていることは、明らかである。
【0249】
図15を参照して、ディスペンサユニット2の通気システムについて、より詳細に説明する。調剤が、分注チャンバアウトレット22を介して、分注チャンバから周辺環境に出力されると、カートリッジ1のチャンバ内の落下液体レベルによって圧力が低下する。この結果、圧力を等しくするために、分注チャンバインレット22と放出チャンバ(アウトレットチャンバ)27に外気が吸入される。その開口部(オリフィス)34を通して、吸入された外気は、圧力勾配に従い、カートリッジ1の方向に上昇する。L形状構造の予備分注チャンバ26において、チャンバ壁31が、垂直脚部内で延在し、このチャンバ壁が、垂直脚部の領域内で、第1のチャネル32及び第2のチャネル33を形成する。チャンバ壁31は、その上昇するエア(空気)を右手のチャネル33に案内する。これにより、このチャネル33は、主に、排気チャネルとして機能し、他方のチャネル32は、主に、調剤がカートリッジ1から連続して流出することを保証する。
【0250】
分注チャンバインレット21は、接続ポート30の上に配置されており、これは、連通可能な状態で、予備分注チャンバ26に接続されている。チャンバ壁31が、また、接続ポート30内に延在し、該ポートを2つの分離したチャネルに分割していることは、明らかである。
【0251】
図16は、コンポーネントキャリア23の底部を平面図で示している。分注チャンバアウトレット22a〜cと、センサーユニット17用レセプタクル28とは、コンポーネントキャリア23の長手軸に実質的に一致(対応)する、1直線上(1列)上に配置されている。
【0252】
図17は、カートリッジ1と共に組み立てられたディスペンサ2を斜視図で示している。その組み立て状態において、ディスペンサシステムは、高さh、幅b、及び深さtを有する。幅b及び高さhは、210mmを超えるべきではない。深さtは、20mm未満となるべきである。幅/高さ/深さの比は、約10:10:1となるべきである。高さh及び幅bは、中型のディナープレートの寸法構成に対応していることが好ましい。このようにして、ディスペンサシステムは、ユーザにとって直感的に、単純に、皿洗い器の洗浄バスケットの対応する皿ホルダー内に配置(位置決め)されることができる。
【0253】
図18は、ブラケット54の斜視図である。フック56が、いずれの場合も、ヒンジ55の内部に形成されることは、明らかである。このフックは、カートリッジ1内の対応するレセプタクルの中に係合し、これによって、ディスペンサ2に対してカートリッジを固定する。フック56は、実質的に、相互に対向して位置決めされる。ブラケット54内部に、フック56が合計で1個だけ配置されるようにすることも、考えられる。
【0254】
図19は、双安定ソレノイドとして構成されたアクチュエータ18の断面の概略図である。それは、第1のコイル58及び第2のコイル59を示しており、コイル58,59の間に永久磁石57が配置されている。閉鎖エレメント19は、プランジャーの芯(プランジャーコアー)として、環状コイル58,59内、及び環状永久磁石57内、に収納されている。永久磁石57の磁界と、磁化可能な閉鎖エレメント19と、の間の磁気リターンによって、保持力が発生する。これによって、閉鎖エレメント19は、いずれの場合も、保持点60,61によって規定(決定)される位置に固定されることができる。
【0255】
閉鎖エレメント19は、コイル58,59をパルスで活性化することによって、即ち、いずれの場合も、コイル58,59の一方に適切な極性で電気的に発生させた磁界を永久磁石57の磁界に重畳することによって、保持点60及び61に移動させることができる。例えば、コイル58が活性化されると、永久磁石57と閉鎖エレメント19との間の磁気リターンに中断(妨害、interruption)が生じる。これにより、閉鎖エレメント19は、続いて、コイル58の磁界に入り、保持点60から保持点61に移動せしめられる。これは、図19の下側の部分から明らかである。もし、対応するパルスによるコイル59の活性化が生じると、閉鎖エレメント19は、保持点61から、開始位置である保持点60に戻る。
【0256】
既に述べたように、上記タイプのディスペンサシステムは、原理的に、あらゆるタイプの水搬装置に用いるのに、又は該装置に連結して用いるのに、適している。前記例示的な実施形態で説明したように、本発明に係るディスペンサシステムは、特に、皿洗い機及び/又は洗濯機等の家庭用水搬機器に用いるのに適しているが、それらの用途に限定されるものではない。
【0257】
一般的に、本発明に係るディスペンサシステムは、放出(分注)プログラムを起動又は制御する外部の物理的パラメータ又は化学的パラメータに従って、少なくとも1つの、好ましくは複数の、調剤を液体媒体内に分注することが必要とされている、あらゆる所で用いることが可能である。本発明に係るディスペンサシステムの更なる用途例(適用例)は、以下に、より詳細に記載される。
【0258】
図20〜23を参照して、分注チャンバ20の動作モードについて以下、より詳細に説明する。図20は、カートリッジ40に結合されたディスペンサ2を示している。その調剤40は、カートリッジ1から、分注チャンバインレット21を通って、分注チャンバ20内に流入することができる。分注チャンバ20は、断面がL形状であり、双安定ソレノイドバルブの形態を成すアクチュエータ18は、L形状の分注チャンバ20の短尺脚部上に配置されている。閉鎖エレメント19は、ディスペンサ2が閉鎖姿勢にあるとき、分注チャンバアウトレット22を閉鎖する。L形状の分注チャンバ20は、隔壁(ダイヤフラム)93によって、2つの部分に細分されている。ここで、図20〜23から容易に理解されるように、その下方部分は、実質的に、水平であり、その上方部分は、実質的に、垂直である。分注チャンバ20のその上方垂直部分の中に、即ち、重力方向における隔壁93の上に、フロート92が配置されている。このフロートの濃度は、分注チャンバ20を満たしている調剤40の濃度よりも低く、これにより、フロート92は、図20の矢印で示されている、重力とは反対方向の浮力を呈する。
【0259】
上記フロート92は、閉鎖部材の形態はとらず、むしろ、意図的スロットル(deliberate throttle)として機能する。つまり、このスロットルは、閉鎖エレメント19が開くときに、分注チャンバインレット21と分注チャンバアウトレット口22との間のスリッピッジ(スリッページ、ずれ、もれ、損失、slippage)を最小化し、これによって、分注の精度を決定する。フロートは、それが、その端部位置において、分注チャンバインレット21と隔壁98の上に密閉状態で位置したり、或いは、該分注チャンバインレット21と隔壁98に対して密閉状態で当接したりせず、むしろ、その端部位置において、フロート92の周りに流れを許容し及び/又はフロート92を通して流れを許容するように、構成される。
【0260】
フロート92と、分注チャンバ20とは、調剤40が、分注チャンバ20内において、フロート92の周り及び/又はフロート92を通して、流れることができるように、構成される。
【0261】
次いで、もし、閉鎖エレメント19が、アクチュエータ18によって、解放位置(図21)にもたらされ、これにより、分注チャンバアウトレット22が開かれて、調剤40が、矢印で示されているように、周辺環境に放出されると、上記フロート92は、調剤40が分注チャンバ20から流出するのに伴って、隔壁93に向かって調剤の流動方向に移動する。このフロート92の移動は、図22に示されているように、フロート92が、最終的に、隔壁93の上で静止するまで、行われる。
【0262】
もし、上記閉鎖エレメント19が、図23に示されるように、アクチュエータ18によって、その閉鎖位置に移動せしめられて、分注チャンバアウトレット22に向かう調剤の流れが停止すると、フロート92は、分注チャンバ20の中で、調剤40の浮力に起因して、重力方向とは反対の、分注チャンバインレット21の方向に移動する。このフロート92の移動は、図20に示される開始位置に、再度、到達するまで、行われる。
【符号の説明】
【0263】
1 カートリッジ
2 ディスペンサ
3 チャンバ
4 カートリッジ底部
5 放出オリフィス
6 ハーフシェル形状エレメント
7 ハーフシェル形状エレメント
8 連結エッジ
9 仕切り板
10 カートリッジ上端部
11 カートリッジ側面
12 カートリッジ側面
13 カートリッジ前方壁
14 カートリッジ後方壁
15 エネルギー源
16 制御ユニット
17 センサーユニット
18 アクチュエータ
19 閉鎖エレメント
20 放出チャンバ
21 放出チャンバ流入口
22 放出チャンバ流出口
23 コンポーネントキャリア
24 ゴムブッシング
25 等化ディスク
26 予備放出チャンバ
27 流出チャンバ
28 レセプタクル
29 レセプタクル
30 接続ポート
31 チャンバ壁
32 チャネル
33 チャネル
34 開口部
35 密閉材
36 密閉材
37 インジケータ及び動作エレメント
38 皿洗い機
39 皿洗い機の扉
40 調剤
41 陶磁器の引き出し
42 アダプター
43 窪み
44 係止エレメント
45 チャンバ
46 開口部
47 インターフェース
48 インターフェース
49 開口部
50 アダプター
51 補給カートリッジ
52 チャンバ
53 分注チャンバ
54 ブラケット
55 ヒンジ
56 フック
57 永久磁石
58 コイル
59 コイル
60 保持点
61 保持点
62 底部
63 チャネル
64 ポケット
65 開口部
66 材料ブリッジ
67 高圧クリーナー
68 クリーニングロボット
69 フィッティング
70 輸送手段
71 水槽
72 ポンプ
73 ノズル
74 スチームアイロン
75 植物給水システム
76 センサー
77 アダプター
78 水流入口
79 水流出口
80 密閉材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に、ユーザが皿洗い機の内部に配置するディスペンサシステム(1,2)であって、
流動可能な洗浄剤又は清浄剤用の少なくとも1つのカートリッジ(1)であって、いずれの場合においても、洗浄剤又は清浄剤の異なる調剤を空間的に分離して収容するための複数のチャンバ(3a,3b,3c)を有する少なくとも1つのカートリッジ(1)と、
該カートリッジ(1)に結合可能なディスペンサ(2)とを備え、
該ディスペンサ(2)は、
少なくとも1つのエネルギー源(15)と、
制御ユニット(16)と、
センサーユニット(17)と、
少なくとも1つのアクチュエータ(18)であって、制御ユニット(16)からの制御信号がアクチュエータ(18)の移動をもたらすように、エネルギー源(15)と制御ユニット(16)とに接続された少なくとも1つのアクチュエータ(18)と、
閉鎖エレメント(19)であって、上記アクチュエータ(18)の移動が、閉鎖エレメント(19)を閉鎖位置又は解放位置に変位させるようなに、アクチュエータ(18)に結合された閉鎖エレメント(19)と、
カートリッジ(1)とディスペンサ(2)とが組み立てられたときに、カートリッジの上記チャンバ(3a,3b,3c)の少なくとも1つと連通状態で接続される少なくとも1つの分注チャンバ(20)であって、カートリッジの上記チャンバ(3a,3b,3c)からの洗浄剤又は清浄剤を流入させるためのインレット(21)と、分注チャンバ(20)からの洗浄剤又は清浄剤を周辺環境に流出させるためのアウトレット(22)と、を備え、分注チャンバ(20)の少なくとも上記アウトレット(22)は、上記閉鎖エレメント(19)による開閉が可能である、分注チャンバ(20)と、を備え、
上記ディスペンサ(2)は、いずれの場合においも、少なくとも分注チャンバ(20)と、アクチュエータ(18)と、閉鎖エレメント(19)とが、エネルギー源(15)及び/又は制御ユニット(16)及び/又はセンサーユニット(17)と同様に、着脱可能若しくは着脱不可能に配置された、コンポーネントキャリア(23)を備えていることを特徴とする、ディスペンサシステム。
【請求項2】
上記分注チャンバ(20)は、上記コンポーネントキャリア(23)と単一部品構成になっている、請求項1記載のディスペンサシステム。
【請求項3】
上記分注チャンバ(20)は、L形状であり、
運転位置にあるときに、実質的に水平に延在する上記L形状の分注チャンバ(20)の脚部の上に、アクチュエータ(18)用レセプタクル(29)が設けられている、請求項1又は2記載のディスペンサシステム。
【請求項4】
上記エネルギー源(15)と、上記制御ユニット(16)と、上記センサーユニット(17)とは、上記コンポーネントキャリア(23)の上又は中に配置されたアセンブリに組み合わされている、請求項1〜3のいずれかに記載のディスペンサシステム。
【請求項5】
上記コンポーネントキャリア(23)は、トラフ状構成であり、射出成型部品として製造される、請求項1〜4記載のディスペンサシステム。
【請求項6】
上記トラフ状のコンポーネントキャリア(23)は、閉鎖エレメントで、水密に閉鎖される、請求項1〜5のいずれかに記載のディスペンサシステム。
【請求項7】
上記閉鎖エレメントは、上記コンポーネントキャリア(23)と水密に接合されたフィルムである、請求項5記載のディスペンサシステム。
【請求項8】
上記閉鎖エレメントは、上記コンポーネントキャリア(23)を中に案内することができるブラケット(54)であり、
上記コンポーネントキャリア(23)と上記ブラケット(54)とは、組み立てられた状態において、上記コンポーネントキャリア(23)と上記ブラケット(54)との間に水密な接続が形成されるように、相互に作用する、請求項5記載のディスペンサシステム。
【請求項9】
上記ディスペンサ(2)の運転位置において、上記アクチュエータ(18)用の上記レセプタクルは、重力の方向において、上記コンポーネントキャリア(23)上であって、上記アウトレット(22)上に配置されている、請求項1〜8のいずれかに記載のディスペンサシステム。
【請求項10】
上記ディスペンサ(2)の運転位置において、上記インレット(21)は、上記コンポーネントキャリア(23)上であって、上記アクチュエータ(18)のレセプタクル上に配置される、請求項8記載のディスペンサシステム。
【請求項11】
上記アクチュエータ(18)用のレセプタクルは、開口部を備え、
該開口部は、閉鎖エレメント(19)が、上記アクチュエータ(18)により、上記開口部と上記アウトレット(22)とを通して、前後に移動せしめられることができるように、上記アウトレット(22)と一列をなす、請求項1〜10のいずれかに記載のディスペンサシステム。
【請求項12】
上記インレット(21a〜c)と、上記分注チャンバの上記アウトレットのオリフィス(22a〜c)と、上記アクチュエータ(18a〜c)用のレセプタクル(29a〜c)とは、上記コンポーネントキャリア(23)の長手軸に対応する一列上に配置されている、請求項1〜11のいずれかに記載のディスペンサシステム。
【請求項13】
上記コンポーネントキャリア(23)は、少なくとも部分的に、透明材料で形成されている、請求項1〜12のいずれかに記載のディスペンサシステム。
【請求項14】
上記コンポーネントキャリア(23)は、少なくとも1つの導光体を備え、
該導光体を通して、上記ディスペンサ(2)の周辺環境からの光は、ディスペンサ(2)の内部若しくはコンポーネントキャリア(23)に対して、光送信ユニット及び/又は光受信ユニットに案内されることができ、
上記導光体は、特に、コンポーネントキャリア(23)と単一部品に形成されている、請求項14記載のディスペンサシステム。
【請求項15】
上記ディスペンサ(2)に、少なくとも1つの開口部が備えられ、
該開口部を通して、ディスペンサ(2)の周辺環境からの光が、上記導光体に対して、進入及び/又は進出せしめられることができるようになっている、請求項13又は14記載のディスペンサシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2011−527922(P2011−527922A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517902(P2011−517902)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058972
【国際公開番号】WO2010/007054
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】