説明

コンロ装置

【課題】ガラス製の天板の下部に静電式のタッチセンサを取り付け、天板の上面に触れることによって火力調節などを行う従来のものでは、調理器具から吹きこぼれ等が生じて天板上に液状物が拡がり、その液状物が天板を覆っている状態で天板に触れても、タッチセンサが誤作動したり全くタッチしたことを検知できなくなる恐れがある。
【解決手段】操作ボタン部にタッチ片を貼着し、操作ボタンを天板上面より上方に突出させることにより、操作ボタンの上面に液状物が滴下した場合でも液状物が操作ボタンから天板側に流れ落ちて操作ボタンの上面に停留しないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の上面に操作ボタンを有するコンロ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンロ装置では、天板上面の手前側端部に操作ボタンが設けられている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものでは、デザイン性を重視するため、天板をガラス板で形成し、そのガラス製の天板の下面に静電式のタッチセンサを設置している。そして、天板の上面の所定位置に触れるとタッチセンサが、その触れたことを検知して加熱部のオンオフ状態の切り替えや火力調節を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−127365号公報(請求項6、段落0032)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のものでは、ガラス製の天板の下面にタッチセンサを設置しているので、天板の上面は全くフラットになっている。デザイン性の観点からは優れているが、加熱部に載置された鍋などの調理器具から吹きこぼれ等が生じ、液状物が天板上に流れ出ると、タッチセンサが設けられている範囲にその液状物が流れてくることが考えられる。上記従来のものでは、タッチセンサは静電式であるため、天板上に液状物が拡がってその液状物が天板上を覆っている状態で天板に触れても、乾燥状態で触れた状態での静電容量の変化と異なった変化をする恐れがあり、火力調節時に誤作動し、あるいは全く火力調節ができなくなることが考えられる。また、液状物が透明でなければ、天板を覆うことにより天板上に表した表示が見えなくなり、タッチすべき位置がわからなくなるという不具合も生じる。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、天板上に液状物が流れ出ても確実に操作ボタンを操作することができるコンロ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明によるコンロ装置は、上面にガラス製の水平な天板を有し、この天板の一部にタッチセンサ式の操作スイッチをタッチ操作するタッチ部が設けられたコンロ装置において、タッチ部を天板の他の平面部分より盛り上げ、タッチ部の上面を天板の上面より高くなるようにしたことを特徴とする。
【0008】
タッチ部を天板と一体に形成してもよいが、上記天板を平板で形成し、上記タッチ部となる位置にタッチ片を貼着してタッチ部を形成してもよい。
【0009】
なお、上記タッチ片は透明な部材からなり、タッチ部に貼着した状態でタッチ部に表示された文字や記号がタッチ片を透して識別し得るようにすれば、タッチ片がなかった従来のものにも適用しやすい。
【0010】
また、上記タッチ部の上面の中央が最も高く、中心から周囲に離れるに従って漸次低くなるようにすれば、液状物がタッチ片に滴下してもタッチ片上に停留せず、常に操作スイッチを露出させることができる。
【0011】
さらに、上記タッチ部の上面を凸レンズ状に形成すれば、タッチ部に表示された文字や記号を大きく見せることができる。
【0012】
ところで、上記タッチ部が複数箇所設けられており、かつ、タッチ部がタッチ片により形成されている場合、天板に貼着される複数のタッチ片はタッチ部の操作内容に応じて色分けすれば、判別が容易にできるようになる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明は、天板から上方に突出した操作ボタンを設けることにより、液状物が操作ボタンに滴下しても操作ボタン上に液状物が停留せず常に操作ボタンを露出させることができる。また、吹きこぼれ等により液状物が天板上に流れ出て操作ボタンが設けられている範囲まで液状物が拡がっても、操作ボタンが液状物に水没することなく露出し続けることができる。そのため、液状物が不透明であっても操作ボタンの位置を認識することができ、かつ操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】操作ボタンの拡大図
【図3】III−III断面図
【図4】タッチ片の詳細を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、1は本発明によるコンロ装置の一例である。本実施の形態では、コンロ装置1はIH式のものであり、カウンタトップCTに形成された図示しない矩形の窓穴に対して上方からはめ込まれている。カウンタトップCTの上部には天板2が露出しており、コンロ装置1の本体11はカウンタトップCTの下部に吊持されている。
【0016】
天板2はガラス板で形成されており、天板2には3ヵ所に加熱部21が設定されている。各加熱部21の下方には加熱用の磁界を発生させる加熱コイル(図示せず)が配設されており、加熱部21上に鍋などの調理器具を載置すると、調理器具の底板内部に誘導電流を発生させて底板自体を発熱させる。
【0017】
各加熱部21の各々に対応してオンオフ状態を切り替える操作ボタンや火力を増減させる操作ボタン群3が天板2の上面に設けられている。
【0018】
図2および図3を参照して、上記ボタン群3にはオンオフ状態を切り替える操作ボタン31と火力調節用の操作ボタン32とが設けられている。このうちの操作ボタン31を例に説明すると、天板2とは別体に形成された透明なタッチ片31aを、フラットな天板2の上面に貼着し、タッチ片31aの上面が天板2より上方に突出するようにした。このタッチ片31aの下部には天板2を介して基板12上のタッチセンサ端子31bが配設されており、タッチ片31aを指で触るとタッチセンサ端子31bがそのタッチを感知して、加熱部21に設けた加熱コンロへの通電が開始され、再度タッチ片31aに触ると通電が停止するように構成されている。
【0019】
上記構成を採用しているので、例えば操作ボタン31上に水滴Dが滴下しても、水滴Dは操作ボタン31の上面に停留することがなく、タッチ片31aの上面を伝って流れ落ちて天板2の上面へと移動する。また、調理器具から多量の液状物が吹きこぼれ、天板2の上面に拡がっても、操作ボタン31の大半の部分は喫水WLよりも上方に位置することになり、喫水WLに水没することがない。
【0020】
また、操作ボタン31を例に説明したが、操作ボタン32についても同様の構成を採用しているので、操作ボタン32についても同様の効果が得られる。
【0021】
図2に示すように、タッチ片31aを上方から見ると「ON」という表示を視認することができる。この表示は天板2の上面に印刷されたもので、その印刷された表示を覆うように透明なタッチ片31aを貼着すると、タッチ片31aを透過して表示を視認することができる。なお、タッチ片31aが凸レンズとして作用するので、天板2の上面に印刷する表示の大きさは比較的小さくても、タッチ片31aによって拡大されて視認することができる。
【0022】
このように、表示を天板2の上面に印刷するようにすれば、従来の既存の天板を用い、タッチ片31aを追加するだけで本発明のコンロ装置を得ることができるが、天板2の上面に表示を印刷する形態に限定されるものではない。
【0023】
例えば、図4に示すように、タッチ片31aの上面31aTや下面31aBに表示を印字してもよい。また、タッチ片31aを樹脂で整形する場合には、タッチ片31aの内部に印字物31aMを鋳込んでもよい。
【0024】
上記表示の位置がいずれであっても、タッチ片31a自体に着色して他のタッチ片と識別できるようにしてもよい。また、表示を蛍光物で形成して、天板2の下方から紫外線を当てて表示自体を発光させるようにしてもよい。
【0025】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0026】
1 コンロ装置
2 天板
31、32 操作ボタン
31a タッチ片


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にガラス製の水平な天板を有し、この天板の一部にタッチセンサ式の操作スイッチをタッチ操作するタッチ部が設けられたコンロ装置において、タッチ部を天板の他の平面部分より盛り上げ、タッチ部の上面を天板の上面より高くなるようにしたことを特徴とするコンロ装置。
【請求項2】
上記天板を平板で形成し、上記タッチ部となる位置にタッチ片を貼着してタッチ部を形成することを特徴とする請求項1に記載のコンロ装置。
【請求項3】
上記タッチ片は透明な部材からなり、タッチ部に貼着した状態でタッチ部に表示された文字や記号がタッチ片を透して識別し得るようにしたことを特徴とする請求項2に記載のコンロ装置。
【請求項4】
上記タッチ部の上面の中央が最も高く、中心から周囲に離れるに従って漸次低くなるようにしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のコンロ装置。
【請求項5】
上記タッチ部の上面を凸レンズ状に形成したことを特徴とする請求項4に記載のコンロ装置。
【請求項6】
上記タッチ部が複数箇所設けられており、かつ、タッチ部がタッチ片により形成されている場合、天板に貼着される複数のタッチ片はタッチ部の操作内容に応じて色分けされていることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載のコンロ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−104654(P2013−104654A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251285(P2011−251285)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)