説明

ゴム帯製造方法及び製造装置

【課題】 丸ゴム糸を接着してゴム帯とするゴム帯製造方法を提供する。
【解決手段】 酸液にラテックス配合物を押出して複数の丸ゴム糸2を連続形成した後、直ぐに前記複数の丸ゴム糸2を、一方向に並列させ、隣接する丸ゴム糸2の側面同士を当接させて接着する工程を含むゴム帯製造方法とした。
上記方法は、横向きの腕部6aを有する案内具6を配し、複数の丸ゴム糸2を、送り方向に引張した状態で腕部6aに接触して通すことにより、隣接する丸糸ゴム2の側面同士を当接させて接着するのがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸ゴム糸を接着して帯状に形成するゴム帯の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム糸を接着する方法としては、酸等で凝固したゴム糸を洗浄した後、接着調整槽を通し、線接着してリボン(帯)状とし、さらに、この表面を押圧して接着力を高めたもの(下記、特許文献1参照)や、酸等でゴム糸を形成した後、直ぐに複数の丸ゴム糸を立体的に連結し、丸ゴム糸の強度を高めたものがある(下記、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭50−67879号公報
【特許文献2】特開2002−38353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の発明は、ゴム糸として使用することを目的としており、帯状に形成してはあるものの、輸送しやすくするために束ねたものであり、強固には連結していないためほぐれやすく、ゴム帯として使用することには不適である。また、上記特許文献2に記載の発明は、立体的に連結するものであり、ゴム帯を形成することを意図したものではない。
本発明者は、丸ゴム糸を接着し、紙おむつなどに使用できるゴム帯の製造方法を研究したところ、本発明のゴム帯製造方法により丸ゴム糸を接着するのが好適であることを見出した。
そこで、本発明は、丸ゴム糸を、接着剤などを用いず強固に接着し、ゴム帯とするゴム帯製造方法及びその方法を用いたゴム帯製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のゴム帯製造方法は、酸液にラテックス配合物を押出して複数の丸ゴム糸を連続形成した後、直ぐに前記複数の丸ゴム糸を、一方向に並列させ、隣接する丸ゴム糸の側面同士を当接させて接着する工程を含むことを特徴とする。
この場合、横向きの腕部を有する案内具を配し、複数の丸ゴム糸を、送り方向に引張した状態で腕部に接触して通すことにより、隣接する丸糸ゴムの側面同士を当接させて接着するのが好ましく、腕部は、並列した丸ゴム糸が互いに圧接し合うようにした傾斜を有して形成するのがよい。
また、本発明のゴム帯製造方法は、酸液にラテックス配合物を押出して複数の丸ゴム糸を連続形成した後、直ぐに前記複数の丸ゴム糸を、一方向に並列させ、隣接する丸ゴム糸の側面同士を当接させて接着し、これを乾燥させる前にローラー間に通して帯面を押圧する工程を含むことも特徴とする。
【0006】
本発明のゴム帯製造装置は、酸液を貯えた凝固槽と、横向きの腕部を有する案内具と、洗浄槽とを備え、腕部を、酸液にラテックス配合物を押出して形成した複数の丸ゴム糸を送り方向に引張した状態で、一方向に並列させ、隣接する丸ゴム糸の側面同士を当接して接着させる形態となした構成を有することを特徴とする。
腕部は、並列した丸ゴム糸が互いに圧接し合うようにした傾斜を有して形成するのがよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のゴム帯製造方法は、ラテックス配合物を酸中で糸状に凝固させ、周面に粘着性があるうちに当接させて接着し、ゴム帯を形成する。これにより、丸糸ゴム同士が強固に接着し、ほぐれることがなくゴム帯として好適なものとなる。
横向きの腕部を有する案内具を設置し、腕部に接触させて各丸ゴム糸を通すことにより、各丸ゴム糸が、一方向に並列して、側面同士が当接し、均質なゴム帯とすることができる。
また、本方法により形成したゴム帯は、丸ゴム糸を帯状に接着し、形成してあるので、略同一断面形状の角ゴムと比較して捻れによる不均整が生じることなく、かつ軽量となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明のゴム帯製造方法により製造したゴム帯の一例を示した概略断面図、図2は本発明のゴム帯製造装置の一例を示した概略側面図、図3、4は図2に示すゴム帯製造装置の構成部品である案内具を示した図である。
図1に示すように、ゴム帯1は、適宜数の丸ゴム糸2を一方向に側面同士が当接するように並列させて接着したものである。
ゴム帯1を製造するための装置3としては、図2に示すように、酸液を貯えた凝固槽4と、洗浄液中に略横向きの腕部6aを有する案内具6を配した洗浄槽5とを備えたものを示してある。
【0009】
凝固槽4は、酢酸などの酸液を貯めた槽であり、ノズル7から押出されたラテックス配合物を凝固させ、適宜数の丸ゴム糸2を連続形成するものである。
丸ゴム糸2の材料としては、用途に適合させ、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)等適宜材料を使用でき、これらをラテックスに配合し、ラテックス配合物とすることができる。
【0010】
洗浄槽5は、水などの洗浄液を貯めた槽であり、洗浄液中に案内具6を丸ゴム糸2の送り方向に適宜間隔で配したものである。腕部6aは、送り方向に対して直交状となるように配してある。
案内具6は、横向きの腕部を有する形状としてあり、複数の丸ゴム糸を、送り方向に引張した状態で腕部に接触して通すことにより、隣接する丸糸ゴムの側面を当接させて接着するものである。
本実施形態では、案内具6は、図3、4に示すように、棒材を折曲形成したものとすることができ、垂直方向の支持部6bの先端部を横方向に折曲し、上方膨出の湾曲状に折曲して腕部6aを形成し、腕部6aは、複数の丸ゴム糸が送り方向に引張された状態で下側に接触して横一列状に並列し互いに圧接し合うように形成してある。なお、腕部6aは、下向き傾斜の直線状や下方膨出の湾曲状などに形成することもでき、また、腕部6aを別体として形成してもよい。
案内具6は、洗浄槽5に2箇所設けてあるが、これに限定するものではなく、少なくとも一の案内具6が設けてあればよい。
また、本実施形態では洗浄液中に案内具6を設けてあるが、これに限定するものではなく、ゴム糸2が送入してくる箇所や送出していく箇所など洗浄液外に設けてもよい。
【0011】
凝固槽4で形成した複数の丸ゴム糸2を、直ちに洗浄槽5に送り出し、図3、4に示すように、複数の丸ゴム糸2が腕部6a下側に並列するように配する。丸ゴム糸2には、送り方向に張力が働いているので、腕部6a下側と摺れる状態となり、丸ゴム糸2が腕部6aの頂点側に集束して隣接する丸ゴム糸2の側面同士が当接する。この際、丸ゴム糸2は、酸により凝固しているものの、表面は粘着性があるので、各丸ゴム糸2同士が接着してゴム帯1を形成できる。
この後、乾燥、加硫などを施し、製品とすることができる。
【0012】
図5に示すように、洗浄槽5を連続して設けてもよい。この場合、各洗浄槽51、52、53、54には、並列して案内具6が配してあり、下流工程の洗浄槽の案内具6ほど腕部6aの突き出し長さが長くなるように形成してある。これにより、ゴム帯同士を接着して幅広のゴム帯を形成できる。
例えば、凝固槽4で形成した丸ゴム糸2を、第一の洗浄槽51で接着して適宜幅のゴム帯11を形成する。さらに、第二の洗浄槽52でゴム帯11同士を接着してゴム帯12とし、第三の洗浄槽53でゴム帯12同士を接着してゴム帯13とし、第四の洗浄槽54でゴム帯13同士を接着して幅広のゴム帯14を形成する。
【0013】
凝固槽4で太い丸ゴム糸2、例えば直径0.1mm〜2cmを形成し、上記によりゴム帯を形成した後、ゴム帯を乾燥させる前に、所定間隔で上下に配したローラー間にゴム帯を挿入して押圧し、所定の厚みのゴム帯とすることもできる。
【0014】
この製造方法により製造されたゴム帯は、丸糸ゴムの周面に粘着性があるうちに当接させて接着するので、強固に接着でき、使用中にほぐれることがないものであり、紙おむつ、衣料品など幅広い用途で使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のゴム帯製造方法により製造したゴム帯の一例を示した概略断面図である。
【図2】本発明のゴム帯製造装置の一例を示した概略側面図である。
【図3】図2に示すゴム帯製造装置の構成部品である案内具を示した斜視図である。
【図4】図2に示すゴム帯製造装置の構成部品である案内具の腕部を示し概略側面図である。
【図5】本発明のゴム帯製造装置の他の一例を示した概略側面図である。
【符号の説明】
【0016】
1ゴム帯 2丸ゴム糸 3ゴム帯製造装置 4凝固槽 5洗浄槽 6案内具 6a腕部 6b支持部 7ノズル 11〜14ゴム帯 51〜54洗浄槽



【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸液にラテックス配合物を押出して複数の丸ゴム糸を連続形成した後、直ぐに前記複数の丸ゴム糸を、一方向に並列させ、隣接する丸ゴム糸の側面同士を当接させて接着する工程を含むゴム帯製造方法。
【請求項2】
横向きの腕部を有する案内具を配し、複数の丸ゴム糸を、送り方向に引張した状態で腕部に接触して通すことにより、隣接する丸糸ゴムの側面同士を当接させて接着する請求項1に記載のゴム帯製造方法。
【請求項3】
腕部を、並列した丸ゴム糸が互いに圧接し合うようにした傾斜を有して形成してなる請求項2に記載のゴム帯製造方法。
【請求項4】
酸液にラテックス配合物を押出して複数の丸ゴム糸を連続形成した後、直ぐに前記複数の丸ゴム糸を、一方向に並列させ、隣接する丸ゴム糸の側面同士を当接させて接着し、これを乾燥させる前にローラー間に通して帯面を押圧する工程を含むゴム帯製造方法。
【請求項5】
酸液を貯えた凝固槽と、横向きの腕部を有する案内具と、洗浄槽とを備え、腕部を、酸液にラテックス配合物を押出して形成した複数の丸ゴム糸を送り方向に引張した状態で、一方向に並列させ、隣接する丸ゴム糸の側面同士を当接して接着させる形態となした構成を有するゴム帯製造装置。
【請求項6】
腕部を、並列した丸ゴム糸が互いに圧接し合うようにした傾斜を有して形成してなる請求項5に記載のゴム帯製造装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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