説明

ゴルフクラブヘッド

【課題】振動吸収効果に優れたゴルフクラブヘッドを提供する。
【解決手段】フェースプレート部11と、該フェースプレート部の裏側のキャビティ部14と、ソール部13とを有するアイアン型のゴルフクラブヘッド1であって、該フェースプレート部11の背面に粘弾性体20が付着されると共に、該粘弾性体20に重なるカバープレート30が設けられているゴルフクラブヘッド1において、該カバープレート30に開口35が設けられ、粘弾性体20の一部が該開口35から突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブヘッドに係り、特に外面の一部に粘弾性体が付着され、該粘弾性体を覆うようにカバープレートが設けられたゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブでボールをヒットしたときにゴルフクラブヘッドに生じる衝撃や振動を吸収するために、ゴルフクラブヘッドにゴム等の粘弾性材料を付着させることがある。
【0003】
特表平6−510689(特許2661796)には、フェースプレート部の背面に長径45mm、短径18mm、厚さ1mmの楕円形のブチルゴム等よりなる粘弾性体を接着すると共に、この粘弾性体の上に厚さ1mmのアルミニウム亜鉛マグネシウム合金製銘板を接着することが記載されている。
【0004】
特開2011−30837には、ボールをヒットするためのフェースプレート部と、ソール部と、シャフトを連結するためのホゼル部とを有するアイアン型のゴルフクラブヘッドであって、該フェースプレート部の背面に粘弾性体が付着されると共に、該粘弾性体に重なる銘板が設けられているゴルフクラブヘッドにおいて、該銘板は、該粘弾性体の周囲に張り出す張出部を有しており、該張出部が前記フェースプレート部の背面に付着されていることを特徴とするゴルフクラブヘッドが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平6−510689
【特許文献2】特開2011−30837
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、振動吸収効果に優れたゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のゴルフクラブヘッドは、ゴルフクラブヘッドの外面の一部に粘弾性体が付着されると共に、該粘弾性体に重なるカバープレートが設けられているゴルフクラブヘッドにおいて、該カバープレートの一部に開口が設けられ、前記粘弾性体の一部が該開口に露呈していることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の一態様では、該ゴルフクラブヘッドはアイアン型ゴルフクラブヘッドであり、前記粘弾性体及びカバープレートは該ゴルフクラブヘッドのフェースプレート部の背面に配置されている。
【0009】
本発明の別の一態様では、該ゴルフクラブヘッドはウッド型ゴルフクラブヘッドであり、前記粘弾性体及びカバープレートは該ゴルフクラブヘッドのソール部に設けられた凹陥部に配置されている。
【0010】
カバープレートは、厚さ0.2〜0.4mmの金属からなることが好ましい。
【0011】
前記粘弾性体のうち前記開口に露呈する部分は該開口から突出していてもよい。この場合、粘弾性体のうち前記開口に露呈する部分の厚みが部分的に変化していてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のゴルフクラブヘッドにあっては、外面の一部に粘弾性体が付着され、さらにこの粘弾性体を覆うようにカバープレートが設けられている。このカバープレートの一部に開口が設けられ、粘弾性体の一部が該開口に露呈している。このゴルフクラブヘッドによってボールをヒットした際に生じた振動の一部は、粘弾性体によって吸収される。この粘弾性体の一部は、カバープレートの開口に露呈しており、カバープレートによって全く又は殆ど拘束されることなく自在に振動して振動吸収するので、振動吸収効果が高い。
【0013】
この粘弾性体のうちカバープレートに露呈する部分の厚みを部分的に変化させることにより、広い振動数領域の振動が効率よく吸収されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態に係るアイアン型ゴルフクラブヘッドの後面側のソール側からの斜視図である。
【図2】図1のゴルフクラブヘッドの分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図3の分解図である。
【図5】図1のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図1のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】銘板及び粘弾性体の図2のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】フェースプレート部背面の断面図である。
【図9】図3のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】別の実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブヘッドのソール側からの斜視図である。
【図11】図10のゴルフクラブヘッドの分解図である。
【図12】図10のゴルフクラブヘッドの底面図である。
【図13】図10のゴルフクラブヘッドの縦断面図である。
【図14】粘弾性体及びカバープレートの斜視図である。
【図15】図14のXV−XV線断面図である。
【図16】図14のXVI−XVI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、第1図〜第8図を参照して第1の実施の形態に係るアイアン型ゴルフクラブヘッドについて説明する。
【0016】
このアイアン型ゴルフクラブヘッド1は、シャフト2の先端に取り付けられるものであり、ゴルフクラブヘッド本体10と、このゴルフクラブヘッド本体10のフェースプレート部11の背面に付着された粘弾性体20と、該粘弾性体20に被さり、該フェースプレート部11の背面に付着されたカバープレート30とを備えている。
【0017】
ゴルフクラブヘッド本体10は、フェースプレート部11と、ホゼル部12と、ソール部13とを有している。フェースプレート部11の後面側はキャビティ部14となっている。キャビティ部14は、トウ側からヒール側(プレーヤー側)にまで延在しており、ソール部13と、トウ側凸部15、トップ側凸部16及びヒール側凸部17とによって周囲が囲まれている。これらの凸部15〜17は、フェースプレート部11の周縁から後方に起立している。フェースプレート部11の背面は、凸部15〜17及びソール部13の近傍を除いて平坦面となっている。
【0018】
ソール部13の上面部は、トウ側の山部18とヒール側の山部19と、山部18,19間の谷部13aとからなっている。
【0019】
山部18,19の頂部のソール面からの高さは、谷部13aのソール面からの高さよりも5〜20mm特に6〜10mm高いものとなっている。
【0020】
山部18,19のフェースプレート部11側の面は、フェースプレート部11に向って下り勾配の斜面18a,19aとなっている。第9図の通り、フェースプレート部11の背面の最下縁すなわちキャビティ部14のボトム部14aはトウ側14t及びヒール側14hからセンター部(トウ・ヒール方向の中間部)14cに向って緩やかな下り勾配となっている。
【0021】
即ち、ボトム部14aとソール面との距離は、センター部14cにおいて最も小さく、該センター部14cからヒール側14h及びトウ側14tにかけて徐々に大きくなっている。
【0022】
この実施の形態では、ソール部13のトウ側及びヒール側の底面(ソール面)に凹穴40,41(第2図)が設けられており、各凹穴40,41の奥部にゴム又はエラストマーよりなる振動吸収材42,43が充填されている。凹穴40,41の入口部は、各凹穴40,41の奥部よりも開口面積が大きい拡大部となっており、この拡大部にタングステン、タングステン合金など比重が10以上、より好ましくは、12以上の高比重金属材よりなるウェイト材44,45が嵌着されている。このウェイト材44,45は、レーザー溶接、カシメなどによりゴルフクラブヘッド本体10に固定されている。
【0023】
振動吸収材42,43の材料としては、天然ゴムなどに臭化ブチルゴムやクロロブチルゴムを配合したゴム、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、シリコンゴム、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマーなどが例示されるが、中でもNBRが好適である。
【0024】
第2〜4図の通り、粘弾性体20は、略々菱形の盤状部21と、該盤状部21からトウ側に延在するトウ側延在部22と、盤状部21からヒール側に延在するヒール側延在部23とを有する。盤状部21の中央には第1凸部21aが存在し、該第1凸部21aを取り巻くように第1凹部21bが設けられ、該第1凹部21bを取り巻くように第2凸部21cが設けられ、該第2凸部21cを取り巻くように第2凹部21dが設けられ、該第2凹部21dを取り巻くように第3凸部21eが設けられ、該第3凸部21eを取り巻くように最外周の薄板部21fが設けられている。
【0025】
トウ側延在部22及びヒール側延在部23は盤状部21の上部に連なり、それぞれトウ側及びヒール側に延在している。トウ側延在部22は、カバープレート30のトウ側にまで達する長さを有している。ヒール側延在部23はカバープレート30のヒール側にまで達する長さを有している。
【0026】
粘弾性体20の材料は粘弾性を有するゴム又はエラストマーが好適である。このゴム又はエラストマーの好適な材料としては、上記振動吸収材42,43と同様の材料が例示され、中でもNBRが好適である。
【0027】
粘弾性体20の盤状部21の平均厚みは0.5〜2.5mm特に0.8〜1.5mm程度が好適である。盤状部21の上下長さは10〜30mm特に18〜28mm程度が好適であり、最大左右幅は15〜35mm特に20〜30mm程度が好適である。
【0028】
トウ側延在部22及びヒール側延在部23の幅(長手方向と直交方向の幅)は3〜8mm程度が好適であり、平均厚みは0.2〜2.0mm特に0.5〜1.5mmが好適である。
【0029】
カバープレート30は、フェースプレート部11の背面の全体に、すなわちトウ側からヒール側まで、またトップ側からソール側まで広がる大きさを有している。このカバープレート30のトウ・ヒール方向の中間部には、粘弾性体20が嵌合する形状及び大きさの凹所31が設けられている。
【0030】
この凹所31の中央には、第4図の通り、第1凸部21a、第1凹部21b及び第2凸部21cが入り込んだ開口35が設けられている。該開口35を取り巻いて、第3凸部21eが嵌合する凹条36が設けられている。
【0031】
凹所31の上部からトウ側及びヒール側に向って延在するようにトウ側凹条32とヒール側凹条33とが設けられている。これらの凹条32,33に粘弾性体20のトウ側延在部22及びヒール側延在部23が嵌合する。なお、凹条32,33はカバープレート30の周縁部にまで達しているが、第7,8図の通り、カバープレート30の周縁部には凹条32,33を閉鎖する壁部34が設けられている。
【0032】
トウ側凹条32はカバープレート30のトウ側の側縁部の上下方向の中間付近に位置し、ヒール側凹条33はカバープレート30のヒール側の側縁部の上下方向の中間付近に位置する。
【0033】
カバープレート30は、凹部31及び凹条32,33を除いて平坦である。この平坦部分には、図示は省略するが、種々の文字、図形、記号を表わすように凹凸模様が設けられている。
【0034】
凹所31及び凹条32,33に粘弾性体20が嵌合した状態において、粘弾性体20及びカバープレート30のフェースプレート部11側の面は面一状となる。
【0035】
このカバープレート30としては、厚さが0.2〜0.4mm特に約0.3mm程度の金属材よりなるものが好ましい。
【0036】
このカバープレート30は、メッキ技術を応用した成型方法である電鋳法、又はプレス成形により製造したものであることが好ましい。
【0037】
電鋳法によりカバープレート30を製造する場合の金属としては、銅、ニッケル、クロム、亜鉛、金、銀、ロジウム、ニッケルリン合金などが好適であるが、特に、ニッケルが好適である。この電鋳法によりカバープレート30を製造する場合においては、これらの金属よりなる基材の表面に対して、基材に用いた金属よりも硬い金属によるメッキ処理を行うことが好ましく、例えば、ニッケルよりなる基材の表面に対して、クロムによるメッキ処理を行うことが好ましい。このメッキ処理を行うことにより、カバープレート30が傷付きにくいものとなる。また、基材に対して部分的にメッキ処理を施すことにより、基材の色合いを変えてもよい。
【0038】
プレス成型によりカバープレート30を製造する場合の金属としては、延性があるアルミニウム、アルミニウム合金、チタニウム、チタニウム合金や、錆びにくいステンレス鋼が好適である。アルミニウム、アルミニウム合金、チタニウム、チタニウム合金に対しては、陽極酸化処理を施すことが好ましい。
【0039】
このカバープレート30の凹所31及び凹条32,33に対し粘弾性体20の盤状部21及び延在部22,23を嵌合させ、両面テープなどの粘着剤又は接着剤によってフェースプレート部11の背面に貼着する。
【0040】
このゴルフクラブヘッド1のホゼル部12にシャフトを差し込み、接着剤によって固定することにより、ゴルフクラブ(アイアン)とされる。このアイアンでボールをヒットしたときに生じた振動が粘弾性体20,42,43によって吸収される。このうち、粘弾性体20はフェースプレート部11の背面に位置するので、振動吸収量が多い。本発明では、この粘弾性体20を覆うカバープレート30に開口35が設けられ、粘弾性体20の一部(盤状部21の凸部21a,21c及び凹部21b)が開口35に露呈している。そのため、この凸部21a,21c、及び凹部21bはカバープレート30に拘束されることなく振動するので、振動吸収効果に優れる。また、凸部21a,21c、及び凹部21bの各部分において盤状部21の厚みが異なるので、広い振動数領域の振動が効率よく吸収される。
【0041】
即ち、この実施の形態で用いた粘弾性体20の盤状部21は、凸部21a,21c,21eの部分が肉厚部となっており、凹部21b,21d及び薄板部21fの部分が肉薄部となっているので、広い振動数領域の振動を効果的に吸収することができる。
【0042】
この実施の形態では、フェースプレート部11の背面のボトム部がトウ側からヒール側にかけての全域で深くソール側に食い込んでおり、カバープレート30の下縁がソール部13の近傍にまで存在し、カバープレート30の面積が大きい。従って、フェース面のトウ側やヒール側の下部でボールをヒットしたときの振動がカバープレート30を介して粘弾性体20に伝播し易く、振動吸収効果に優れる。
【0043】
この実施の形態では、粘弾性体20の延在部22,23の先端面はカバープレート30の壁部34によって覆われている。従って、粘弾性体20のすべての端面はこのカバープレート30によって密閉状に覆われており、大気に露呈していない。このため、粘弾性体20とフェースプレート部11の背面との付着面に対して水分が掛かったり、紫外線が直射することがなく、粘弾性体20の耐久性及び粘弾性体20のフェースプレート部11の背面への付着耐久性が良好である。なお、延在部22,23の先端面の面積は小さいので、壁部34が省略されても付着耐久性には殆ど影響がない。
【0044】
この実施の形態では、粘弾性体20の盤状部21の凸部21a,21c及び凹部21bは大気に露呈しているが、仮にこの部分に水がかかっても、この水は粘弾性体20とフェースプレート部11との付着面にまで回り込むことはない。
【0045】
この実施の形態では、カバープレート30に設けた凹所31に粘弾性体20の盤状部21の凸部21eがぴったりと嵌合しており、粘弾性体がフェースプレート部背面に対ししっかりと保持されたものとなっている。また、凹所31及び凹条32,33以外を平坦としているので、カバープレート30をフェースプレート部11に対ししっかりと付着保持させることができる。
【0046】
この実施の形態では、粘弾性体20にトウ側及びヒール側の延在部22,23を設けているので、フェースプレート部11のヒール側又はトウ側でボールをヒットした場合の振動が、ヒットした部分の直近に位置する延在部22,23で直ちに吸収されるので、振動吸収効果が高い。なお、フェース面のうち盤状部21及び延在部22,23と重ならない位置(例えばフェース面のトウ側の上部や下部、ヒール側の上部や下部)でボールをヒットしたときの振動は、フェースプレート部11だけでなくカバープレート30の平坦部(凹所31及び凹条32,33以外の部分)をも介して粘弾性体20に伝播して吸収される。
【0047】
この粘弾性体20及びカバープレート30の付着に用いた粘着剤又は接着剤がフェースプレート部11の背面に沿う方向(面内方向)の振動を吸収する作用も奏する。なお、カバープレート30は、凹部31及びトウ側凹条32及びヒール側凹条33を設けることにより、カバープレートが薄くても、プレートの剛性を高めることが出来る。特にトウ側凹条32及びヒール側凹条33を設けることにより、カバープレート30のトウからヒール側方向の剛性を高めることができる。
【0048】
以下、第10〜16図を参照して第2の実施の形態に係るウッド型ゴルフクラブヘッド50について説明する。なお、このゴルフクラブヘッド50はドライバーのヘッドであるが、2番ウッド以下のウッド型ゴルフクラブヘッドであってもよく、これと近似した形状のユーティリティ型ゴルフクラブヘッドについても本発明を適用できる。
【0049】
このゴルフクラブヘッド50は、チタン合金、ステンレス、CFRPなどの素材を用いて構成された中空ゴルフクラブヘッドであり、ボールをヒットするためのフェース面51と、シャフト52を取り付けるためのホゼル部53と、ソール面54、クラウン部55等を有する。ソール面54の後部に凹陥部56が設けられている。
【0050】
この実施の形態では、凹陥部56はトウ・ヒール方向の中間部に配置され、トウ・ヒール方向に延在している。この凹陥部56のヒール側及びトウ側にはそれぞれフェース面側に向って延在する凸条部57,58が設けられている。また、凹陥部56の後縁に沿って凸条部59が設けられている。
【0051】
この凹陥部56は、ソール面からの立ち上り面と、略平坦な底面とで構成されている。
【0052】
この凹陥部56の底面に対し粘弾性体60が付着され、この粘弾性体60を覆うようにカバープレート70が設けられている。粘弾性体60は、凹陥部56の底面よりもごくわずかに小さい大きさの平板状である。
【0053】
第14,15図の通り、カバープレート70は、この粘弾性体60に重なる主面部71と、該主面部71の周縁から立ち上がる枠壁部72と、該主面部71に設けられた細長い略長方形状の第1開口73と、該第1開口73に隣接する第2開口74及び第3開口75を有する。第1開口73はトウ・ヒール方向に延在する。第2開口74は第1開口73のトウ側に位置し、第3開口75は第1開口73のヒール側に位置する。第2開口74及び第3開口75は三角形状であるが、円形、楕円形、方形、多角形、星型などであってもよい。また、第4以降の開口が設けられてもよい。
【0054】
粘弾性体60は粘着材又は接着剤によって凹陥部56の底面に付着されている。カバープレート70は粘着材又は接着剤によって粘弾性体60に対し付着されている。
【0055】
このゴルフクラブヘッド50のホゼル部53にシャフト52を差し込み、接着剤によって固定することにより、ゴルフクラブ(ウッド)とされる。
【0056】
このヘッド50でボールをヒットしたときの振動が粘弾性体60で吸収される。なお、ソール面に凸条部57,58を設けているので、フェース部51からの振動が凹陥部56側へ伝播し易く、振動が粘弾性体60によって吸収され易い。
【0057】
この粘弾性体60を覆うカバープレート70に開口73〜75が設けられ、この開口73〜75に粘弾性体60の一部が露呈しているので、この開口73〜75部分で粘弾性体60がカバープレート70によって拘束されず、振動吸収効率がよい。
【0058】
この粘弾性体60及びカバープレート70の付着に用いた粘着剤又は接着剤がソール面方向の振動を吸収する作用も奏する。
【0059】
このゴルフクラブヘッド50にあっては、凹陥部56の底面に粘弾性体60が付着され、さらにこの粘弾性体60を覆うようにカバープレート70が設けられている。この粘弾性体60の端面はカバープレート70の枠壁部72によって覆われている。従って、粘弾性体60のすべての端面はこのカバープレート70によって密閉状に覆われており、大気に露呈していない。このため、粘弾性体20と凹陥部56の底面との付着面に対して水分が掛かったり、紫外線が直射することがなく、粘弾性体60の耐久性及び粘弾性体60の付着耐久性が良好である。
【0060】
この実施の形態では、粘弾性体60の一部は、開口73,74,75を介して大気に露呈しているが、仮にこの部分に水がかかっても、この水は粘弾性体60と凹陥部56の底面との付着面にまで回り込むことはない。
【0061】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の態様とされてもよい。例えば、粘弾性体及びカバープレートの形状や、開口の大きさ、形状は図示以外とされてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 アイアン型ゴルフクラブヘッド
10 ゴルフクラブヘッド本体
11 フェースプレート部
12 ホゼル部
13 ソール部
14 キャビティ部
15 トウ側凸部
16 トップ側凸部
17 ヒール側凸部
20 粘弾性体
21 盤状部
22,23 延在部
30 カバープレート
31 凹所
32,33 凹条
35 開口
40,41 凹穴
42,43 振動吸収材
44,45 ウェイト材
50 ウッド型ゴルフクラブヘッド
56 凹陥部
60 粘弾性体
70 カバープレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドの外面の一部に粘弾性体が付着されると共に、該粘弾性体に重なるカバープレートが設けられているゴルフクラブヘッドにおいて、
該カバープレートの一部に開口が設けられ、前記粘弾性体の一部が該開口に露呈していることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
請求項1において、該ゴルフクラブヘッドはアイアン型ゴルフクラブヘッドであり、前記粘弾性体及びカバープレートは該ゴルフクラブヘッドのフェースプレート部の背面に配置されていることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
請求項1において、該ゴルフクラブヘッドはウッド型ゴルフクラブヘッドであり、前記粘弾性体及びカバープレートは該ゴルフクラブヘッドのソール部に設けられた凹陥部に配置されていることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記カバープレートは、厚さ0.2〜0.4mmの金属からなることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記粘弾性体のうち前記開口に露呈する部分は該開口から突出していることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
請求項5において、前記粘弾性体のうち前記開口に露呈する部分の厚みが部分的に変化していることを特徴とするゴルフクラブヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−22057(P2013−22057A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156673(P2011−156673)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(592014104)ブリヂストンスポーツ株式会社 (652)
【Fターム(参考)】