説明

ゴルフシューズ用ソールおよびゴルフシューズ

【課題】優れたグリップ力が得られるとともに、ゴルフスイングフォームの向上に寄与することができるゴルフシューズ用ソールおよびそれを用いたゴルフシューズを提供する。
【解決手段】ソール本体12の底面の前足・中足部14および後足部22の内側部分に断面略円弧状または断面略楕円弧状の前側凹部16および後側凹部24をそれぞれ形成する。また、前側凹部および後側凹部の周縁部にこの周縁部から連続した状態で前側凸部18および後側凸部26をそれぞれ連続的または間欠的に形成する。さらに、ソール本体の底面の前側凸部および後側凸部の内方に前側滑り止め突起20および後側滑り止め突起28をそれぞれ配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフシューズ用ソールおよびそれを用いたゴルフシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフシューズに必要とされる機能として地面のグリップ力が挙げられ、歩行やスイングの特性に応じて上記グリップ力を高めるための様々な工夫がなされている。例えば、特許文献1、2には、ソールの踏み付け部に窪みを設けてグリップ力を向上させたソールが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−182505号公報
【特許文献2】特開平9−238705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、2のゴルフシューズ用ソールは、良好なグリップ力は得られるものの、ゴルフスイングフォームの向上に寄与するものではなかった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、優れたグリップ力が得られるとともに、ゴルフスイングフォームの向上に寄与することができるゴルフシューズ用ソールおよびそれを用いたゴルフシューズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するために、ゴルフスイングフォームにおいて体重が外側に流れるいわゆるスウェーと呼ばれる動きがミスショットにつながることに着目し、このスウェーと呼ばれる動きを抑制することができるゴルフシューズ用ソールの研究を行った。
【0007】
本発明は、上記研究の結果なされたもので、ソール本体の底面の前足・中足部および後足部の内側部分に断面略円弧状または断面略楕円弧状の前側凹部および後側凹部がそれぞれ形成され、かつ、前記前側凹部および後側凹部の周縁部に該周縁部から連続した状態で前側凸部および後側凸部がそれぞれ連続的または間欠的に形成されているとともに、ソール本体の底面の前記前側凸部および後側凸部の内方に前側滑り止め突起および後側滑り止め突起がそれぞれ配置されていることを特徴とするゴルフシューズ用ソールを提供する。
【0008】
本発明のゴルフシューズ用ソールは、ゴルフスイング時、特にインパクト時に前側凹部および後側凹部に体重が加わると、前側凹部および後側凹部のドーム形状がしなるように変形することで両足が略内側荷重になり、その結果スウェーを防ぐことができる。また、上記変形に伴って、前側凸部および後側凸部にこれらが地面に刺さるように力が加わるため、局部的なグリップ力が向上する。
【0009】
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。本発明において用いるソール本体としては、単層構造のものでもよく、アウトソールとミッドソールとからなる2層構造のソール等の複層構造のものでもよい。単層構造のソールの材質としては、例えば、発泡ゴム、非発泡ゴム、サーモプラスチックウレタン、ナイロン等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。上記2層構造のソールにおけるアウトソールの材質としては、例えば、発泡ゴム、非発泡ゴム、サーモプラスチックウレタン、ナイロン等を使用することができ、ミッドソールの材質としては、例えば、発泡ゴム、発泡プラスチックといった弾性発泡体等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
本発明では、上述したソール本体の底面箇所のうち、前足・中足部の内側部分に単数または複数の前側凹部を形成し、後足部の内側部分に単数または複数の後側凹部を形成する。前側凸部および後側凹部の最も深い部分の底面は、ソール本体のベース面よりも上方に位置させることが適当であり、これにより前述した前側凹部および後側凹部のドーム形状の変形が良好に行われる。ソール本体のベース面とは、ソール本体の底面の各種突起が設けられていない面である。上記前側凸部および後側凹部の最も深い部分の底面と、ソール本体のベース面との間の距離(後記のmの値)は2〜8mmとすることが、上記変形が良好に行われる点で好ましい。また、前側凹部および後側凹部はいずれも底面視楕円状とすることが、スウェー防止およびグリップ力向上の点で適当である。
【0011】
本発明では、前側凹部の周縁部にこの周縁部から連続した状態で前側凸部を形成し、後側凹部の周縁部にこの周縁部から連続した状態で後側凸部を形成する。前側凸部および後側凸部の幅(後記のnの値)は2〜6mmとすることが、スウェー防止およびグリップ力向上の点で好ましい。
【0012】
本発明では、ソール本体の底面の前側凸部の内方に単数または複数の前側滑り止め突起を配置し、後側凸部の内方に単数または複数の後側滑り止め突起を配置する。前側滑り止め突起および後側滑り止め突起は、前述した金属製スパイク、プラスチック製ソフトスパイク、ラバーポイント等の任意のものとすることができる。また、前側滑り止め突起および後側滑り止め突起の底面は、前側凸部および後側凸部の底面よりも上方に位置させることが適当であり、これにより前側凹部および後側凹部のドーム形状が変形した段階で前側滑り止め突起および後側滑り止め突起の底面が接地するようになり、スウェー防止およびグリップ力向上がより効果的に行われる。前側滑り止め突起および後側滑り止め突起の底面と、前側凸部および後側凸部の底面との間の距離(後記のkの値)は1〜3mmとすることが、上記効果を得る点で好ましい。
【0013】
本発明では、ソール本体の底面の前足・中足部および後足部の外側部分に、前側凸部および後側凸部よりも硬度が高く、前側凸部および後側凸部よりも変形しにくい高硬度滑り止め突起を配置することができる。このようにすると、スウェー防止およびグリップ力向上がより効果的に行われる。
【0014】
なお、ソール本体の底面の上述した各種突起、すなわち前側凸部、後側凸部、前側滑り止め突起、後側滑り止め突起および高硬度滑り止め突起を配置していない部分には、金属製スパイク、プラスチック製ソフトスパイク、ラバーポイント等の滑り止め突起を適宜設けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のゴルフシューズ用ソールおよびゴルフシューズは、優れたグリップ力が得られるとともに、スウェーを抑制してゴルフスイングフォームの向上に寄与するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。図1は本発明の一実施形態に係るゴルフシューズ用ソールを示す概略底面図、図2は図1A−A線に沿った模式的断面図、図3は図1B−B線に沿った模式的断面図である。なお、図1は右足用ソールのみを示しているが、右足用ソールと左足用ソールとは左右対称である。
【0017】
本例のゴルフシューズ用ソール10のソール本体12は、アウトソールとミッドソールとからなる2層構造(図示せず)のもので、土踏まず部には硬質プラスチックからなるプレート14が固定されている。
【0018】
ソール本体12の底面の前足・中足部14の内側部分(親指側部分)には、底面視略楕円状で断面略楕円弧状(ドーム形状)の前側凹部16が形成されている。また、前側凹部16の周縁部には、この周縁部から連続した状態で幅nが5mm程度の前側凸部18がソール本体12と一体に間欠的に形成されている。さらに、ソール本体12の底面の前側凸部18の内方には、2個の前側滑り止め突起20が配置されている。
【0019】
ソール本体12の底面の後足部22の内側部分(親指側部分)には、底面視略楕円状で断面略楕円弧状(ドーム形状)の後側凹部24が形成されている。また、後側凹部24の周縁部には、この周縁部から連続した状態で幅nが5mm程度の後側凸部26がソール本体12と一体に間欠的に形成されている。さらに、ソール本体12の底面の後側凸部26の内方には、1個の後側滑り止め突起28が配置されている。
【0020】
前側凹部16および後側凹部24の最も深い部分の底面30は、ソール本体12のベース面32よりも上方に位置している。上記底面30とベース面32との間の距離mは5mm程度としてある。
【0021】
上記前側滑り止め突起20および後側滑り止め突起28は、いずれもソール本体12に固着されたラバーポイントである。前側滑り止め突起20の底面34は、前側凸部18の底面36よりも上方に位置し、後側滑り止め突起28の底面34は、後側凸部26の底面36よりも上方に位置している。両滑り止め突起20、28の底面34と、両凸部18、26の底面36との間の距離kは1mm程度としてある。なお、前側滑り止め突起20および後側滑り止め突起28の底面には突起が形成されているが、図示は省略する。
【0022】
ソール本体12の底面の前足・中足部14および後足部22の外側部分(小指側部分)には、前側凸部18および後側凸部26よりも硬度が高い複数の高硬度滑り止め突起38が配置されている。高硬度滑り止め突起38は、いずれもソール本体12に固着されたラバーポイントである。なお、高硬度滑り止め突起38の底面には突起が形成されているが、図示は省略する。
【0023】
なお、本実施形態では、全ての前側凸部18、後側凸部26および高硬度滑り止め突起38の底面の位置はほぼ等しくしてあり、全ての前側滑り止め突起20および後側滑り止め突起28の底面の位置はほぼ等しくしてある。
【0024】
また、両ソール本体12の底面の前足・中足部14および後足部22の上述した各種突起(前側凸部、後側凸部、前側滑り止め突起、後側滑り止め突起および高硬度滑り止め突起)が設けられていない部分には、多数の種々形状のラバーポイントがソール本体12と一体に設けられているが、図示は省略する。
【0025】
本実施形態のゴルフシューズ用ソールは、ゴルフスイング時、特にインパクト時に前側凹部16および後側凹部24に体重が加わると、前側凹部16および後側凹部24のドーム形状がしなるように変形することで両足が略内側荷重になり、その結果スウェーを防ぐことができる。また、上記変形に伴って、前側凸部18および後側凸部26にこれらが地面に刺さるように力が加わるため、局部的なグリップ力が向上する。
【0026】
本発明のゴルフシューズ用ソールは、上記例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、本例では前側凹部および後側凹部をそれぞれ1個ずつ設けたが、いずれか一方または両方を複数個設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るゴルフシューズ用ソールを示す概略底面図である。
【図2】図1A−A線に沿った模式的断面図である。
【図3】図1B−B線に沿った模式的断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 ゴルフシューズ用ソール
12 ソール本体
14 前足・中足部
16 前側凹部
18 前側凸部
20 前側滑り止め突起
22 後足部
24 後側凹部
26 後側凸部
28 後側滑り止め突起
38 高硬度滑り止め突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソール本体の底面の前足・中足部および後足部の内側部分に断面略円弧状または断面略楕円弧状の前側凹部および後側凹部がそれぞれ形成され、かつ、前記前側凹部および後側凹部の周縁部に該周縁部から連続した状態で前側凸部および後側凸部がそれぞれ連続的または間欠的に形成されているとともに、ソール本体の底面の前記前側凸部および後側凸部の内方に前側滑り止め突起および後側滑り止め突起がそれぞれ配置されていることを特徴とするゴルフシューズ用ソール。
【請求項2】
前記前側凹部および後側凹部はいずれも底面視楕円状であることを特徴とする請求項1に記載のゴルフシューズ用ソール。
【請求項3】
前記前側凹部および後側凹部の最も深い部分の底面は、ソール本体のベース面よりも上方に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載のゴルフシューズ用ソール。
【請求項4】
前記前側滑り止め突起および後側滑り止め突起の底面は、前記前側凸部および後側凸部の底面よりも上方に位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴルフシューズ用ソール。
【請求項5】
ソール本体の底面の前足・中足部および後足部の外側部分に、前記前側凸部および後側凸部よりも硬度の高い高硬度滑り止め突起を配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴルフシューズ用ソール。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴルフシューズ用ソールを装着したことを特徴とするゴルフシューズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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