説明

ゴルフスイング練習機

【課題】 スイング軌道が幅広いインパクトゾーンを備えているか否かを確認しながら行うスイング練習を繰り返すのに適したゴルフスイング練習機を提供すること。
【解決手段】
本発明は、直立方向に延びるターゲット20と、当該ターゲット20が直立した状態から水平方向に倒れた状態となるように、当該ターゲット20の基部を回動可能に保持する練習機本体10と、前記ターゲット20の基部と連結して設けられ、当該ターゲット20が水平方向に倒れた状態になると、ターゲット20の基部から離れた部分が起き上がった状態となる起立部22と、を備えたことを特徴とするゴルフスイング練習機1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフスイング練習機に関するものであって、より詳細には、スイング軌道が幅広いインパクトゾーンを備えているか否かを確認しながら行うスイング練習を繰り返すのに適したゴルフスイング練習機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフクラブのスイングを適正化するために、スイング軌道を確認するためのゴルフスイング練習機又はゴルフスイング練習用具が種々提案されている(特許文献1〜特許文献8)。
【0003】
特許文献1に記載のゴルフスイング練習機においては、スイングのフォロースルーの位置をチェックするために、ゴルフマットのフォロースルー側の端部から延長するように保持された伸縮アームと、伸縮アームの先端に首振り自在に軸着され伸縮アームに直角に立ち上がった位置にて保持され得る指標ポストを備えている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の指標ポストは、スイングによってクラブヘッドが触れても直立したままの状態であり、クラブヘッドの軌道を確認するのが難しいという問題がある。
特に、実際にゴルフボールを打ちながらクラブヘッドの軌道を確認しようとしても、ゴルフボールを打つ際に生じる大きな衝撃及び音と、クラブヘッドが指標ポストに触れた際に生じる小さな衝撃及び音とを瞬間的に区別することはできない。
よって、このゴルフスイング練習機を打ちっ放しのゴルフ練習場にて実際に打球しながら使用しても、本来のスイング軌道チェック機能を十分発揮することはできない。
【0005】
そこで、特許文献2に記載のゴルフスイング練習機(ゴルフスイング練習台のスイング判定器)においては、発音体の上面に起立弾性体を設けることで、クラブヘッドが起立弾性体に触れたか否かを判断できるようにしている。
しかしながら、かかる発音体が発する音は、クラブヘッドがゴルフボールに激しく当たる際に生じる衝撃音によってかき消され、ゴルフクラブのスイング軌道を確認することはやはり困難である。特に、金属製の大きな中空ヘッドを有するドライバー、フェアウエーウッドにおいては、打球音が大きく響くため、発音体にクラブヘッドが触れる音を聞き取るのは困難である。
また、ゴルフ練習場において、打球音以外の音を発するのは、他の人の迷惑となるおそれがあり、好ましくない。
【0006】
特許文献3に記載のゴルフスイング練習用具においては、回転アームの先端に設けた疑似ゴルフボールと、クラブヘッド軌道のインパクト後の所定位置に配設された自動復帰手段を備えた軌道確認物体とを備えている。
しかしながら、かかるゴルフスイング練習用具においては、装置全体が複雑で大がかりなものとなり、持ち運びが困難であるという問題や、誤って回転アームなどを打ってしまうとゴルフクラブや装置の破損に繋がるなどといった危険がある。
【0007】
さらに、特許文献4〜8には、スイングの軌道を確認するためのスイング練習機として、ゴム片、柱、触打体、ターゲット、ガイドピンといった細長い棒を立設したものが提案されているが、既に述べたとおり、これらはゴルフクラブが実際に細長い棒に触れたか否かを判定するのが難しいという問題がある。
【0008】
なお、特許文献8に記載のスイング矯正具は、ゴルフクラブシャフトの先端部に長さを調整できる紐を介してインパクト習得用ボールを取り付けているため、実際のゴルフのプレー中にゴルフクラブをスイングする感覚とは異なるため、実際のプレーを想定した練習に適したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第2563871号公報
【特許文献2】特開昭59−181178号公報
【特許文献3】実開平3−58469号公報
【特許文献4】実用新案登録第3029194号公報
【特許文献5】特開2003−320065号公報
【特許文献6】実用新案登録第3041838号公報
【特許文献7】特開昭61−52881号公報
【特許文献8】実公平6−32137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、従来のゴルフスイング練習機において、特に実際にゴルフボールを打つ際におけるスイング軌道の確認が困難であること、装置全体が複雑であったり、損傷の危険があることであり、本発明の目的は、実際にゴルフボールを打つ際においてもスイング軌道の確認を簡単かつ確実に行え、さらには、スイング軌道を確認しながら反復練習することも容易であり、構造が複雑化することなく、安全で耐久性にも優れたゴルフスイング練習機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、「直立方向に延びるターゲットと、当該ターゲットが直立した状態から水平方向に倒れた状態となるように、当該ターゲットの基部を回動可能に保持する練習機本体と、前記ターゲットの基部と連結して設けられ、当該ターゲットが水平方向に倒れた状態になると、ターゲットの基部から離れた部分が起き上がった状態となる起立部と、を備えたことを特徴とするゴルフスイング練習機。」を最も主要な特徴とするものである。
【0012】
前記練習機本体は、上部に前記ターゲットを備えており、下部が地面に刺すことができる針状部からなるものであってもよい。
また、前記ターゲット及び前記起立部は、互いにほぼ直交するように連結されているものであってもよい。
さらに、前記ターゲット及び前記起立部は、棒状又は板状であって、全体がL字状に形成されているものであってもよい。
【0013】
前記ターゲットは、前記起立部側へ若干傾いた状態で直立方向に延びているものであってもよい。また、前記ターゲット又は前記練習機本体は、耐衝撃性を備えた柔軟な素材からなるものであってもよい。
さらに、前記練習機本体は、複数個のターゲットを保持したり、異なる位置にターゲットを取り付けて保持できるように、複数個のターゲット保持部を備えているものであってもよい。
【0014】
前記練習機本体は、水平方向に倒れる方向が異なる前記ターゲットを複数個備えているものであってもよい。
また、前記練習機本体は、水平方向に倒れた前記ターゲットの跳ね返り防止手段を備えているものであってもよい。
【0015】
前記練習機本体は、ゴルフティ又はペグを挿通して練習機本体を地面に固定できるように、止め穴を備えているものであってもよい。
さらに、前記練習機本体は、長尺状の平板からなり、上面に目盛を備えているものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記のように構成した本発明のゴルフスイング練習機においては、ゴルフクラブのヘッドを用いて起立部を下げる又は押さえるという簡単な操作を行うことで、しゃがむことなくゴルフスイング練習機のターゲットを再び直立するようにセットすることができる。
【0017】
従って、実際にゴルフボールを打つ際においてもスイング軌道の確認を簡単かつ確実に行え、さらには、スイング軌道を確認しながら反復練習することも容易であり、構造が複雑化することなく、安全で耐久性にも優れたゴルフスイング練習機を提供できる。
【0018】
本発明のゴルフスイング練習機において、前記練習機本体が、上部に前記ターゲットを備えており、下部が地面に刺すことができる針状部から構成されている場合には、練習機全体を非常にコンパクトなものとすることができ、針状部を刺すことができる任意の場所でスイング軌道の確認を行いながら簡便にスイング練習を行うことができる。
また、前記ターゲット及び前記起立部が、互いにほぼ直交するように連結されていたり、前記ターゲット及び前記起立部が、棒状又は板状であって、全体がL字状に形成されている場合には、ターゲット及び起立部の構成をコンパクトで簡潔な構造とすることができる。
【0019】
本発明のゴルフスイング練習機において、前記ターゲットが、前記起立部側へ若干傾いた状態で直立方向に延びている場合には、ターゲットが直立した状態で安定させることができる。また、前記ターゲット又は前記練習機本体が、耐衝撃性を備えた柔軟な素材から構成されている場合には、練習機やゴルフクラブの損傷を防止でき、練習機の耐久性及び安全性を向上させることができる。
さらに、前記練習機本体が、複数個のターゲットを保持したり、異なる位置にターゲットを取り付けて保持できるように複数個のターゲット保持部を備えている場合には、異なるゴルフクラブに応じてスイング軌道を詳細に確認することができる。
【0020】
前記練習機本体が、水平方向に倒れる方向が異なる前記ターゲットを複数個備えている場合には、テイクバック、ダウンスイングといった異なるスイング方向におけるスイング軌道を確認することができる。
また、前記練習機本体が、水平方向に倒れた前記ターゲットの跳ね返り防止手段を備えている場合には、ターゲットにクラブヘッドが当たったことを正しく確認することができる。
【0021】
前記練習機本体が、止め穴を備えている場合には、その止め穴にゴルフティ又はペグを挿通して練習機本体を地面に簡単に固定できる。
さらに、前記練習機本体が、長尺状の平板からなり、上面に目盛を備えているものであれば、打球方向及びスイング方向の確認と、練習機の設置位置(ターゲットの設置位置)の確認を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を具体化したゴルフスイング練習機の使用状態を示す斜視図。
【図2】本発明を具体化したゴルフスイング練習機を示す斜視図。
【図3】本発明を具体化したゴルフスイング練習機のターゲット周辺部を拡大して示す斜視図。
【図4】本発明を具体化したゴルフスイング練習機の使用状態を示す正面図。
【図5】本発明を具体化したゴルフスイング練習機の使用状態を示す正面図。
【図6】本発明を具体化したゴルフスイング練習機の錘(固定手段)を示す斜視図。
【図7】本発明を具体化したゴルフスイング練習機の使用状態を示す正面図。
【図8】本発明を具体化したゴルフスイング練習機の錘(固定手段)を示す斜視図。
【図9】本発明を具体化したゴルフスイング練習機の使用状態を示す斜視図。
【図10】本発明を具体化したゴルフスイング練習機のターゲット周辺部を示す斜視図。
【図11】本発明を具体化したゴルフスイング練習機のターゲット周辺部などを示す斜視図。
【図12】ゴルフスイングのインパクトゾーンを示す正面図。
【図13】ゴルフクラブのスイング軌道を示す正面図。
【図14】本発明を具体化したゴルフスイング練習機の使用状態を示す正面図。
【図15】本発明を具体化したゴルフスイング練習機の他の実施形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、「直立方向に延びるターゲットと、当該ターゲットが直立した状態から水平方向に倒れた状態となるように、当該ターゲットの基部を回動可能に保持する練習機本体と、前記ターゲットの基部と連結して設けられ、当該ターゲットが水平方向に倒れた状態になると、ターゲットの基部から離れた部分が起き上がった状態となる起立部と、を備えたことを特徴とするゴルフスイング練習機。」であって、以下において説明する実施の形態などにより好適に具体化することができる。
【0024】
以下、本発明のゴルフスイング練習機を具体化した一実施形態について説明する。
図1〜図4に示すように、本発明の一実施形態のゴルフスイング練習機1は、長尺状の柔軟な平板からなり、耐衝撃性を備えたベルト状の練習機本体10と、当該練習機本体10の一端部側に設けられた直立方向に延びる棒状のターゲット20と、を備えている。
この練習機本体10は、前記ターゲット20が設けられた端部側が可動端部側11とされ、他方の端部側が後記する固定手段30〜36にて設置面にホールドされる固定端部側12とされる。
【0025】
また、前記練習機本体10は、上面中央に長手方向に沿ったライン13が記載されており、さらにそのライン13と直交するように5cm間隔で目盛14が記載されている。
従って、打球方向及びスイング軌道の確認と、練習機1の設置位置の確認などを行い易いようになっている。
【0026】
前記練習機本体10の素材としては、硬度A60〜A85程度のものが適しており、具体的には、以下のような素材から適宜選択可能である。
1)ゴム: 天然ゴム、ウレタンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、シリコンゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(BR)
2)熱可塑性エラストマー: ウレタン系エラストマー(TPU)、スチレン系エラストマー(TPS)、オレフィン系エラストマー(TPO)、塩ビ系エラストマー(TPVC)、ポリエステル系エラストマー(TPEE)、ポリアミド系エラストマー(PEBAX)
3)他の熱可塑性プラスチック: エチレンビニルアセテート(EVA)
【0027】
前記ターゲット20の素材としては、上記と同様の素材から適宜選択可能であるが、硬度A70〜D60程度のものが適している。なお、一実施形態としてターゲット20をTPUから製造したが、耐久性上の問題を生じることはなく、クラブヘッドHに損傷を生じたり、不快な衝撃音を発することもなかった。
【0028】
前記ターゲット20は、その基部の両側に突設された軸部21が練習機本体10の可動端部側11に設けられた保持部として機能する軸受部15の軸穴15aに挿入されることによって回動可能に保持されており、スイングされたクラブヘッドHが当たると、当該ターゲット20が直立した状態から水平方向に倒れた状態となることができる。
ここで、前記軸受部15は、練習機本体10の長手方向に沿って延びる一対の突起15b,15cから構成されており、かかる突起15b,15cの間に挟まれて案内されるように前記ターゲット20が回動することで、ターゲット20は練習機本体10の長手方向に沿って(可動端部側11から固定端部側12へ)倒れることができるようになっている。
【0029】
このターゲット20の回動については、軸受部15との間で特に摩擦力を受けることなくスムーズに行われるようにしてもよいが、クラブヘッドHによって勢いよく倒されたターゲット20が練習機本体10に当たって跳ね返り、再び直立することでクラブヘッドHのスイング軌道の確認を誤ることがないようにしてもよい。
【0030】
そのような構成とする具体的な手段としては、
1)ターゲット20が水平方向を向いた際に練習機本体10に設けた一対の突条16などによってターゲットが挟持されるようにしたり、
2)ターゲット20が水平方向を向くに従ってターゲット20と軸受部15との間の摩擦力が高まるように、軸受部15の間隔を設定したり、
3)練習機本体10上に特に衝撃吸収性に優れた材料からなる衝撃吸収部17を設けることで、ターゲット20が倒れた際の衝撃を吸収するようにすること(図3(C)(D)参照)などが考えられる。
【0031】
さらに、前記ターゲット20の基部には、棒状の起立部22がターゲット20及び軸部21と直交するように連結して設けられており、前記ターゲット20及び前記起立部22は、全体がL字状に形成されている。
この起立部22は、練習機本体10の長手方向に沿って外方を向いた状態で前記突起15a,15bの間に挟まれるように配置される。
従って、スイングされたゴルフクラブのクラブヘッドHがターゲット20に当たり、当該ターゲット20が水平方向に倒れた状態になると、ターゲット20の基部から離れた部分の起立部22が起き上がった状態となる。そこで、起立部22をクラブヘッドHにて押さえることで、再びターゲット20を簡単に直立させることができる(図4参照)。
【0032】
ターゲット20が直立している時の高さ(軸部21の中心から上端部までの長さ)については、5.5±1cm程度が適当であり、起立部22の長さ(軸部21の中心から先端部までの長さ)については、2.5〜5cm程度が適当である。好適な実施形態においては、ターゲット20の高さを5.5cm、起立部22の長さを4cmとしている。
なお、前記ターゲット20は、前記起立部22側へ若干傾いた状態で直立方向に延びており、ターゲット20が安定して直立状態を維持でき、起き上がったターゲット20が不用意に倒れてしまわないようになっている。このターゲット20の傾きとしては、2.5±1度程度が適しており、ターゲット20と起立部22との間の角度θを87.5±1度程度の鋭角とするのがよい(図4参照)。
【0033】
スイングの軌道を確認しながら行うゴルフスイングの練習に際しては、前記練習機本体10の他端部側(固定端部側12)を固定手段30にて設置面Gにホールドすることができる。これにより、ターゲット20又は練習機本体10にクラブヘッドHが当たっても、練習機本体10が固定されている位置がずれてしまうことが極めて少なくなり、繰り返しスイング練習を行うことが可能である。
【0034】
固定手段としては、打球用マット2の端部に差し込むことができる板状部30aと、当該板状部30aの一端縁に立設され上部が水平方向に折り曲げられた支持部30bと、当該支持部30bに設けられたガイド穴30cとからなる固定手段30を用いることができる。この固定手段30は、そのガイド穴30cに練習機本体10の固定端部側12を挿通することで、練習機本体10を適宜の位置にて固定することができる。
【0035】
そして、ガイド穴30cに挿通された練習機本体10が斜め上方に向かって持ち上げられるように湾曲するようになっている(図1、図5参照)。
即ち、前記練習機本体10は、前記ターゲット20が設けられた可動端部側11と、固定手段30にて設置面Gにホールドされる固定端部側12との接続部分が上方に向かって湾曲した状態となっている。
なお、前記ガイド穴30cは、練習機本体10のターゲット20が設けられた部分まで湾曲しないように練習機本体10が適度に湾曲した形状となるように、斜め方向に開口して設けるとよい。
【0036】
他の固定手段としては、前記練習機本体10の固定端部側12に設けられた複数個の止め穴18に挿通されるゴルフティ又はペグ31を用いて練習機本体10を設置面(地面)Gに固定してもよい。
また、固定手段としては、図6に示すように、1)口部に装着されたキャップ32aを外すことで内部に水又は砂などを入れることができる扁平な容器32からなる錘、又は、2)金属、比重の高い合成樹脂、ゴム、ゲル又はこれらの組合せからなる中実の錘であってもよい。
前記容器32は、前記練習機本体10を嵌め込むことができる溝32bを底面に備えており、さらに、前記練習機本体を挿通することができるガイド穴32cを前記溝32bの端部付近に備えている。
さらに、前記容器32の裏面には、滑り止め材32dが貼付してあり、練習機本体10が設置面Gからずれ動くことを効果的に防止できるようになっている。
【0037】
前記ガイド穴32cは、図7に示すように容器32の低面側から上方に向かうに従って斜め外方へ延設されており、ガイド穴32cに挿通された練習機本体10が(練習機本体10のターゲット20が設けられた部分まで湾曲しないように)斜め上方に向かって持ち上げられるように適度に湾曲するようになっている。
即ち、前記練習機本体10は、前記ターゲット20が設けられた可動端部側11と、固定手段30又は32にて設置面Gにホールドされる固定端部側12との接続部分が上方に向かって湾曲した状態となっている。
【0038】
従って、図5又は図7に示すように、特に練習機本体10に誤ってクラブヘッドHが強く当たった際に、可動端部側11がクラブヘッドHによる衝撃を吸収して跳ね上がり易く、元に戻り、ゴルフスイング練習機1又はクラブヘッドHの損傷を防ぐことができるとともに、練習機本体10の固定端部側12の固定位置が簡単にずれてしまうことを防ぐこともできる。
なお、固定手段として、図8及び図9に示すようにガイド穴32cを備えていない容器33〜36を用いたり、図8(B)〜(D)に示すように練習機本体10を押さえ易く、かつ飛球線方向をイメージし易くするために、一方の端部が細くなっていたり上面に飛球線方向を示す矢印又は模様を記載した容器34〜36を使用してもよい。
【0039】
前記ターゲット20及び起立部22としては、図2(B)に示すように、塗装Pを施したり、素材を変更することで、異なる色を備えたものから構成してもよい。前記ターゲット20及び起立部22を異なる色とすることで、ターゲット20が倒れた際に起立部22と異なる色のターゲット20の側面を上から視認できるため、ターゲット20が倒れたことを視覚的により簡単かつ速やかに認識することができるようになる。
【0040】
前記練習機本体10は、図10(A)に示すように、可動端部側11に前記ターゲット20を複数個備えていてもよい。
また、前記練習機本体10は、図10(B)に示すように、可動端部側11に前記ターゲット20を保持することができる保持部としての軸受部15を複数個設置しておき、任意の軸受部15にターゲット20を装着するようにしてもよい。
これは、ドライバー、フェアウエーウッド、アイアンといったゴルフクラブの違いに応じてスイング軌道やインパクトゾーンの位置、長さ及び高さが異なるため、ゴルフクラブに応じてスイング軌道を確認できるようにするためである。
さらには、軸受部15に対するターゲット20の装着方向を一部逆向きとして実施してもよい。これは、ターゲット20が倒れる方向を逆にすることで、テイクバック、ダウンスイングといった異なるスイング方向におけるスイング軌道を確認することができるようにするためである。
【0041】
また、これらの複数個のターゲット20の高さは、全て同じであってもよいが、固定端部側12ほど高くするなどの変更を加えてもよい。
さらに、これら複数個のターゲット20を立設配置する間隔は、等間隔であってもよく、異なる間隔であってもよい。
また、これら複数個のターゲット20を面ファスナー、凹凸部材の係合、フック、バネ、螺合、その他の手段によって取り外し可能とし、ターゲット20を立設配置する間隔やターゲット20の個数を適宜変更できるようにしてもよい。
【0042】
前記起立部22は、図11又は図14に示すように、先端側が練習機本体10の長手方向と直交する方向に曲げられていてもよく、板状に形成されていてもよい(図11の左下の図参照)。
また、前記練習機本体10は、固定手段にて設置面Gにホールドされる固定端部側12の硬度が、前記ターゲット20が設けられた可動端部側11の硬度より高められていてもよい。これにより、誤って練習機本体10をクラブヘッドHにて打撃した場合にも元の状態に戻り易いという効果を得られる。
【0043】
次に、上記構成されたゴルフスイング練習機1の使用方法について説明する。
このゴルフスイング練習機1を用いて幅広いインパクトゾーンを備えたゴルフクラブのスイングを身につけるための練習をするには、好ましくは、図1に示すようにゴルフスイング練習機を2個用意し、ゴルフボール3と同一線上に置いて向き合うように設置する。
即ち、1個のゴルフスイング練習機1をゴルフボール3の前方に配置して固定手段30を用いて設置面Gにホールドし、他のゴルフスイング練習機1をゴルフボール3の後方に逆向きに配置して固定手段30を用いて設置面Gにホールドする(ゴルフクラブがゴルフスイング練習機1に当たってもゴルフスイング練習機1が設置面Gからずれ動いてしまわないようにする)。
【0044】
ここで、幅広いインパクトゾーンを備えたゴルフクラブのスイングとは、ダウンスイング、インパクト及びフォロースルーにおいて、図12(B)に示すように、クラブヘッドHがゴルフボール3を正しく打つことができるような高さで打球方向を向いている軌道が、ゴルフボール3の前後において長い状態となっているスイングである。
図12(A)に示すように、テイクバックで低く長いスイングを意識すると、ゆっくりとしたリズムで肩を回した理想的なテイクバックをとることができ、その軌道イメージでダウンスイングし易くなり、結果的にインパクトゾーンが広がることになる。
このようなスイング軌道により、飛距離アップ、方向性の向上及び正確なインパクトを得ることができる。
なお、幅広いインパクトゾーンを備えていないスイングとは、図12(C)に示すようにインパクト前後におけるクラブヘッドHの上下移動が大きいスイングであって、技量が劣るゴルファーに良く見られるスイングである。
【0045】
ドライバーでティ高さが4.5cm程度、ターゲット20の高さが5.5cmの場合、ゴルフボール3と、ゴルフボール3前方のターゲット20との距離は、約10〜20cm程度が妥当であるが、スイングの練習に際しては、徐々にその位置を変化させてもよい(図13参照)。
これは、フォロースルーの際にクラブヘッドHのフェース側がターゲット20に当たり、ターゲット20が前方に倒れることで、ゴルフボール3前方における幅広いインパクトゾーンを備えたスイングの軌道を確認するためのものである。
【0046】
ドライバーでティ高さが4.5cm程度、ターゲット20の高さが5.5cmの場合、ゴルフボール3と、ゴルフボール3後方のターゲット20との距離は、約50cm程度が妥当であるが、スイングの練習に際しては、徐々にその位置を変化させてもよい。
これは、テイクバックの際にクラブヘッドHの裏側がターゲット20に当たり、ターゲット20が後方に倒れることで、低く長いスイングでテイクバックできるようになる。それにより、テイクバックの軌道イメージでダウンスイングすれば、長いインパクトゾーンが得られる。
ドライバーをスイングする場合におけるターゲット20、ゴルフボール3及びスイング軌道との典型的な位置関係は、図13に示されているが、この位置関係は、ゴルフクラブの種類により異なり、また、個人差により必ずしも一定ではなく、スイング練習の参考として使用することが望まれるものである。
【0047】
上記のようにスイング練習(これは、実際に打球する場合であっても素振りをする場合であってもよい。)を行って、ターゲット20が水平方向を向くように倒れた場合には、起立部22が起き上がるので、クラブヘッドHによって上方から又は側方から起立部22を元通りの状態に押し下げれば、ターゲット20を引き起こして再び直立させることができる(図4、図14(A)〜(E)参照)。
【0048】
従って、実際に打球する場合であっても、ターゲット20が倒れることによりスイング軌道を簡単かつ明確に確認できるとともに、スイングの度にしゃがみ込んでターゲット20を立てるという操作をする必要が無く、簡便に繰り返しスイング練習をすることができる。
【0049】
次に、本発明のゴルフスイング練習機1を製造する方法について説明する。
本発明のゴルフスイング練習機1を製造するには、練習機本体10と、ターゲット20を別個に成形し、練習機本体10の軸受部15の上部側を開くように練習機本体10を変形させ、ターゲット20の基部に設けた軸部21を軸受部15の軸穴15aに嵌め込む。また、容器32を別途ブロー成形にて製造し、口部にキャップ32aを装着する。
【0050】
上記の方法にて簡易にゴルフスイング練習機1を製造することが可能である。
従って、本発明のゴルフスイング練習機1においては、ターゲット20が倒れることでスイング軌道の確認を明確に行うことができ、さらに、倒れたターゲット20を引き起こす操作を容易に行うことができるため、幅広いインパクトゾーンを備えたスイングを繰り返し練習するのに適したゴルフスイング練習機を提供することができる。
【0051】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、図15に示すように、長尺状の練習機本体10に代えて、前記練習機本体10が、上部に前記ターゲット20を備えており、下部が地面に刺すことができる針状部19から構成されている場合には、スイング練習機1全体を非常にコンパクトなものとすることができ、針状部19を刺すことができる任意の場所でスイング軌道の確認を行いながら簡便にスイング練習を行うことができる。
あるいは、ターゲットの基部に軸穴を設け、保持部として軸受部15に代えて軸を用い、当該軸をターゲットの軸穴に挿通することによってターゲット20を練習機本体10上に回動可能に保持するようにして実施してもよい。
【0052】
また、本発明のゴルフスイング練習機1を紐などにて2個連接して具体化し、2個の練習機1間の間隔を一定に保つようにして実施してもよい。また、前記ターゲット20は、円柱状の他、角柱状、板状のものであってもよい。
【0053】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でゴルフスイング練習機の各部の材質、形状、寸法、強度、設置位置、厚さ、大きさ、数などを適宜変更して実施してもよく、例えば、練習機本体の形状は、長尺状以外の正方形、円形、楕円形、台形などであってもよい。
また、練習機本体は、「扁平又は平坦で柔軟な素材からなり、耐衝撃性を備えた練習機本体」であることが望ましく、それには、1)素材自体が柔軟であって練習機本体が衝撃を吸収し耐衝撃性を有するものである場合と、2)素材が扁平又は平坦であるために練習機本体が柔軟であって衝撃を吸収し耐衝撃性を有するものである場合とを含む。
さらに、練習機本体は、中実である場合、中空である場合、織布又は不織布からなる場合も含む。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、ターゲットによるスイング軌道の確認が容易であり、かつ、倒れたターゲットを繰り返し直立させるといった操作も容易であり、耐久性にも優れるため、ゴルフ練習場にて使用するゴルフスイング練習機として好適に利用可能であるばかりか、その他の場所においても手軽に利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 ゴルフスイング練習機
2 打球用マット
3 ゴルフボール
10 練習機本体
11 可動端部側
12 固定端部側
13 ライン
14 目盛
15 軸受部(保持部)
15a 軸穴
15b 突起
15c 突起
16 突条
17 衝撃吸収部
18 止め穴
20 ターゲット
21 軸部
22 起立部
30 錘
30a 板状部
30b 支持部
30c ガイド穴
31 ゴルフティ
32 容器
33〜36 容器
G 設置面
H ゴルフクラブヘッド
P 塗装
θ 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直立方向に延びるターゲットと、
当該ターゲットが直立した状態から水平方向に倒れた状態となるように、当該ターゲットの基部を回動可能に保持する練習機本体と、
前記ターゲットの基部と連結して設けられ、当該ターゲットが水平方向に倒れた状態になると、ターゲットの基部から離れた部分が起き上がった状態となる起立部と、
を備えたことを特徴とするゴルフスイング練習機。
【請求項2】
前記練習機本体は、上部に前記ターゲットを備えており、下部が地面に刺すことができる針状部からなることを特徴とする請求項1に記載のゴルフスイング練習機。
【請求項3】
前記ターゲット及び前記起立部は、互いにほぼ直交するように連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフスイング練習機。
【請求項4】
前記ターゲット及び前記起立部は、棒状又は板状であって、全体がL字状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載のゴルフスイング練習機。
【請求項5】
前記ターゲットは、前記起立部側へ若干傾いた状態で直立方向に延びていることを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載のゴルフスイング練習機。
【請求項6】
前記ターゲット又は前記練習機本体は、耐衝撃性を備えた柔軟な素材からなることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載のゴルフスイング練習機。
【請求項7】
前記練習機本体は、複数個のターゲットを保持したり、異なる位置にターゲットを取り付けて保持できるように、複数個のターゲット保持部を備えていることを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載のゴルフスイング練習機。
【請求項8】
前記練習機本体は、水平方向に倒れる方向が異なる前記ターゲットを複数個備えているものであることを特徴とする請求項7に記載のゴルフスイング練習機。
【請求項9】
前記練習機本体は、水平方向に倒れた前記ターゲットの跳ね返り防止手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載のゴルフスイング練習機。
【請求項10】
前記練習機本体は、ゴルフティ又はペグを挿通して練習機本体を地面に固定できるように、止め穴を備えていることを特徴とする請求項1、3ないし9の何れか一項に記載のゴルフスイング練習機。
【請求項11】
前記練習機本体は、長尺状の平板からなり、上面に目盛を備えていることを特徴とする請求項1、3ないし10の何れか一項に記載のゴルフスイング練習機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−43025(P2013−43025A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184283(P2011−184283)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(303011275)株式会社ジャパーナ (43)