説明

ゴルフボール

【課題】旋回プロファイルが1500rpmから2600rpmの範囲である中度から低度のボールスピン率を生成するゴルファーに向けて、優れた飛距離性能を有するディンプル設計を提供する。
【解決手段】緯度0°の赤道および2つの極と、緯度0°から25°によって画定される赤道領域と、25°より大きい緯度から65°未満までの緯度によって画定される肩領域と、65°から90°の緯度によって画定される極領域と、Vs/Veの比が0.97未満であり、Vp/Vsの比が0.97未満であるように、赤道領域のディンプルの平均体積Veと、肩領域のディンプルの平均体積Vsと、極領域のディンプルの平均体積Vpと、を有する表面上にディンプル型と、を有するゴルフボールである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2008年2月19日出願の米国暫定出願第61/066,438号、および2008年6月9日出願の米国暫定出願第61/131,562号の利益を主張するものであり、これらの両方は、参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は、低いボールスピン速度で揚力を維持しながら、改良された飛行対称性および抵抗力をもたらす、該表面上にディンプルの特定の配置を有するゴルフボールである。
【背景技術】
【0002】
合成ポリマー化学のスポーツ用品分野への応用は、多くのスポーツにおいて運動選手のパフォーマンスに革命をもたらした。特にゴルフボール性能の向上および製造の容易さに関して、これが特にあてはまるスポーツの1つはゴルフである。例えば、最も初期のゴルフボールは湿った羽毛を充填した革カバーで構成されていた。これらの「羽毛のように柔らかい」ゴルフボールは、天然ゴム様物質「グッタペルカ」から製造されるワンピースゴルフボールにその後取って代わられた。1900年代の初期には、グッタペルカカバーを有し、回りにゴム糸がきつく巻かれた固形ゴムコアから成る、ゴム巻ボールが導入された。
【0003】
続いて、新しいカバー材料が発見され、E.I.DuPont de Nemours&Co.により製造されたイオノマー樹脂、SURLYN(登録商標)がゴルフ業界に導入される1960年代まで、ゴルフボールカバーの主要材料として、バラタが使用された。SURLYN(登録商標)は、バラタよりも低価格で、バラタよりも切断抵抗が良好である。現在のところ、SURLYN(登録商標)は、ほとんどはツーピースゴルフボールで、一部スリーピースゴルフボール用のカバー原料の主要な供給源として使用されている。しかしながら、SURLYN(登録商標)でカバーされたゴルフボールに伴う問題は、ゴルファーがバラタで慣れた「カチッという音」および「感触」に欠けることである。「カチッという音」は、ゴルフクラブでボールを打つとき生じる音であり、「感触」は、ボールを打つとき、ゴルファーに伝わる全般的な感覚である。しかしながら、SURLYN(登録商標)でカバーされたゴルフボールとは違って、ポリウレタンまたはポリ尿素でカバーされたゴルフボールはバラタの「カチッという音」および「感触」を持つようにつくることができる。したがって、今日の高級ゴルフボールは、ポリウレタンまたはポリ尿素のカバーを一般に示し、ジイソシアネートとポリオール(ポリウレタンの場合)またはポリアミン(ポリ尿素の場合)との反応によって一般に製造される。熱可塑性ポリウレタンまたはポリ尿素はこの初期混合物のみからなっていても、あるいは熱可塑性材料の硬度等の性質を変えるために連鎖延長剤とさらに組み合わせてもよい。熱硬化性ポリウレタンまたはポリ尿素は、ジイソシアネートとそれぞれポリオールまたはポリアミン、そして熱硬化性物質となるように材料を架橋または硬化する追加架橋剤との反応によって一般に形成される。
【0004】
ゴルフボール材料に加えて、ゴルフボールの構造は、長年にわたり進化している。ごく最近のゴルフボールは、ワンピース、ツーピース、スリーピースと分類することができる。ワンピースボールは、ディンプルパターンが成形される均一な量の材料から成形される。ワンピースボールは、安価で耐久性に優れているが、比較的高スピンで低速であるため、遠距離を供給しない。ツーピースボールは、固形ゴムのコア周辺のカバーを成形することにより製造される。これらは、今日米国で最も人気のあるボールの型である。ボール性能、特にボールの飛距離、ボールを打つ際にクラブを通してゴルファーに伝わる感触をさらに調整する試みにおいて、基本的なツーピースボールの構成は、コアと外部カバー層との間で追加の層の導入によりさらに調整されている。1つの追加層が、コアと外部カバー層との間に導入される場合、いわゆる「スリーピースボール」を生じ、同様に、2つの追加層が、コアと外部カバー層との間で導入される場合、いわゆる「フォーピースボール」を生じる。
【0005】
ゴルフボールの材料および構成の開発とともに、ゴルフボールの空力的特性はまた、さらなる開発の対象となっている。1800年代の始めには、ゴルファーは、損傷したまたはでこぼこの表面を持つガタパーチャゴルフボールは平滑な新しいものより良く飛ぶということを認識していた。次いで、Spalding Agrippa等のブランブル(窪みよりも隆起)を持つゴルフボール、またはSpalding Silvertown等の溝を持つゴルフボールは1800年後半から1908年にかけて流行した。1908年に、英国人、William Taylorが窪み(ディンプル)を持つゴルフボールについて特許を受け、これはブランブルまたは溝を持つゴルフボールより、より良く飛んだ。それから60年間、ほとんどのボールは、表面上に8面体、またはいわゆる、Attiパターンに分割された同じ大きさのディンプルを336個有するものと全く同じであった。その発明者Ralph AttiにちなんだATTIパターンは、8つの同心状の直線列に分割された8面体に基づいていた。60年の期間でのゴルフボールの表面に関する唯一の他の優位な革新はAlbert Penfoldによりなされ、Dunlopのためにメッシュパターンのゴルフボールを発明した。このパターンは1912年に発明され、1930年代まで受入れられてきた。1970年代には、追加のディンプルパターンが導入され、ボール上でディンプルの表面被覆率を最大化する試みがなされた。例えば、William Gobushによる米国特許第4,949,976号は、最大422個のディンプルを有する78%のディンプル被覆率を持つゴルフボールを開示している。1990年代にはまた、ディンプル表面エリアの被覆率が最大80%までに増加することが認められている。
【0006】
表面の被覆を最大化するのに加えて、ディンプルパターン設計の最近の革新は、ゴルフボール表面上の異なるディンプル数が様々な直径および/または深さでともに増加することが認められている。これらには、4つまたは5つから11までの異なるディンプルの大きさを有するディンプルパターンを含んでいる。さらに、ディンプルパターンは、米国特許第5,201,522号の5角形の8面体、12面体、および20面体パターンあるいは米国特許第4,880,241号等において調整されたバージョン等の他の断面形状に基づき、それらには、調整された20面体パターンを有するゴルフボールディンプルパターンを開示する。
【0007】
さらに最近では、表面被覆率を最大化するだけでなく、ゴルフボールの選択された揚力および抗力特性を与える試みが行われている多くの特許がある。例えば、深さがあるディンプルの単列をシームに隣接して設置する場合、抗力の不利益をしばしば被り、米国特許第6,066,055号には、シーム付近で深さがあるディンプルの単列と比較する場合、(緯度)領域において異なるディンプルの体積の配置が、飛行において、いかにより良好な対称性、または異方性を生じることに役立つかを記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
当然ながら、選択されたディンプルパターンにより与えられた空力的特性は、プロゴルファー用のある軌道をもたらし得、彼らは、一般により低速な旋回速度を有するあまり熟練していないアマチュアのゴルファーよりもはるかに高速な旋回速度を有する。さらに、高速な旋回速度を有するプロゴルファーはまた、ボールにより速いスピンを一般に得る。しかしながら、今まで、規定のディンプル配置が所望の軌道を生成するためにいかに調整され、ゴルファーの旋回プロファイルの結果として、ボールに与えられる異なる旋回率も考慮に入れる情報がほとんどない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、旋回プロファイルが約1500rpmから2600rpmの範囲である本書で定義される中度から低ボールスピン率を生成するゴルファー用の飛距離において優れた性能を有するディンプル設計を提供する。これは、賢明に揚力を増加する一方、全ボール上で抗力を低減させることにより達成されている。3つの別々の設計機能は、これらの結果を達成するために組み合わせて用いられる。第1は、ボール上でシーム効果を補うディンプルの体積の配置方法であり、第2は、適切な限度に対してディンプルの総体積(TDV)を低減させる方法であり、第3は、低い抗力特性を有する特定のディンプルの体積比(VR)を選択する方法である。
【0010】
(発明の説明)
本発明は、緯度0°の赤道および2つの極と、緯度0°から25°によって画定される赤道領域と、25°より大きい緯度から65°未満までの緯度によって画定される肩領域と、65°から90°の緯度によって画定される極領域と、Vs/Veの比が0.97未満であり、Vp/Vsの比が0.97未満であるように、赤道領域のディンプルの平均体積Veと、肩領域のディンプルの平均体積Vsと、極領域のディンプルの平均体積Vpと、を有する表面上にディンプル型と、を有するゴルフボールである。
【0011】
簡潔に記載された本発明を有し、上記およびさらなる対象、その特徴および利点は、添付の図とともに実施される場合、本発明の以下の詳細となる説明から関連技術における当業者により理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、該ボールは、赤道またはシーム3、2つの極6および7、ならびにディンプル8を有する本発明のゴルフボール1を示す図である。該赤道3は、緯度0°を示し、該極は、緯度90°を示す。該赤道3からの領域である、25°までの緯度は、領域Eで表され、25°より大きい緯度から65°未満までの緯度の領域は、領域Sであり、緯度65°から90°までの緯度の領域は、領域Pである。
【図2】図2は、ディンプルの断面図を示し、該ディンプルの体積は、ディンプル端2を横断する平面1とディンプルの環状端に対するディンプル3の表面との間の領域により占められた体積として定義される。
【図3】図3は、環状端を有するディンプル8の形状を示す図である。
【図4】図4は、非環状端を有するディンプル8の形状の実施例を示す図である。
【図5】図5は、固形中心またはコア12、外部カバー層14を含むツーピースゴルフボール10を示す図である。ゴルフボールはまた、一般に外部カバーに形成された複数のディンプル16を含む(ディンプル16は、正確な縮尺ではなく、図5は、本開示のディンプルパターンを示さない)。
【図6】図6は、コア22、中間層24、および外部カバー層26を含むスリーピースゴルフボール20を示す図である。ゴルフボール20はまた、一般に外部カバー26に形成された複数のディンプル28を含む(ディンプル28は、正確な縮尺ではなく、図6は、本開示のディンプルパターンを示さない)。
【0013】
図5および6は、ツーピースおよびスリーピースゴルフボールの構造のみを図示するが、本発明のゴルフボールは、0から少なくとも5つの中間層、好ましくは0から3つの中間層、さらに好ましくは1つから3つの中間層、最も好ましくは1つから2つの中間層を含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(詳細な説明)
以下の定義は、読み取りを援助するために提供され、ゴルフボール組成物および製造分野の当業者によって理解されるよりも狭い用語定義を提供することを意図しない。
本明細書に記載のいかなる数値には、より低い値からより高い値までのすべての値が含まれる。本明細書に列挙される最低値と最高値との間の数値の可能なすべての組み合わせは、明示的に本願に含まれる。
【0015】
「バイモーダルポリマー」という用語は、2つの主なフラクションを含むポリマーを指し、より具体的には、ポリマーの分子量分布曲線の形、すなわちその分子量の関数としてのポリマー重量フラクションのグラフの様相を指す。これらのフラクションからの分子量分布曲線を、最終的な全ポリマー生成物の分子量分布曲線となるように重ねると、その曲線は、2つの最大値を示すか、あるいは個々のフラクションの曲線と比較すると、少なくともはっきりと広がっている。このようなポリマー生成物をバイモーダルと称する。2つのフラクションの化学組成は異なってもよい。
【0016】
本明細書で用いる「コア」という用語は、ゴルフボールの弾性中心を指し、単一構造を有しうる。代替的に、コア自体は、層状構造、例えば、球状の「中心」と付加的な「コア層」を有してもよく、このような層は通常、コア中心と同一の材料または異なる材料で製作されている。
【0017】
「カバー」という用語は、コアを包囲するゴルフボールの任意の層を含むことを意味する。したがって、ゴルフボールカバーは、最も外側の層と任意の中間層の両方を含んでもよく、ゴルフボールの中心と外部カバー層との間に配置される。「カバー」という用語は、「カバー層」という用語と取り替えて使用されてもよい。
【0018】
「繊維」は一般的な用語であり、A.S.M.International(Metals Park,Ohio,USA)発行の、Engineered Materials Handbook,Vol.2,“Engineering Plastics”による定義は、直径の少なくとも100倍、一般に0.10〜0.13mm(0.004〜0.005インチ)である有限長を有するフィラメント物質を指すとしている。ゴルフボール構成部分に使用される繊維はKimらの米国特許第6,012,991号にさらに詳しく記載され、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0019】
本明細書で用いる「誘導抗力」という用語は、そのスピンにより生成される揚力から生じるボール上の抗力を意味し、二乗した揚力係数を1.5倍することによりここでは近似する。
【0020】
2つの中間層を有するボールの場合、「内部中間層」という用語は、「内部外套」または「内部外套層」という用語と本明細書で取り替えて使用されてもよく、コアに最も近接して位置するボールの中間層を意味する。
【0021】
「中間層」という用語は、「外套層」、「内部カバー層」または「内部カバー」と取り替えて使用されてもよく、コアと外部カバー層との間に配置されたゴルフボール中のいかなる層をも意味する。
【0022】
「(メタ)アクリレート」という用語は、メタアクリル酸および/またはアクリル酸のエステルを意味する。
「(メタ)アクリル酸共重合体」という用語は、メタアクリル酸および/またはアクリル酸の共重合体を意味する。
【0023】
「ナノ充填材」は、ミクロン範囲およびそれ以上の凝集粒子サイズを有する凝集構造を有する物質として定義される。しかしながら、これらの凝集物はおおよその厚さが約1ナノメーター(nm)、差し渡し(across)が約100〜約1000nmの個々の小板が積み重なったプレート構造を有する。
【0024】
「ナノ複合材」は、マトリックス内にナノ充填材を有するポリマーマトリックスとして定義される。ナノ複合材物質およびナノ複合材物質を含み製造されたゴルフボールは、Kimらの米国特許第6,794,447号および米国特許公開第2005/0059756 A1号、ならびにEllsworthの米国特許第5,962,553号、Maxfieldらの米国特許第5,385,776号、およびOkadaらの米国特許第4,894,411号に開示され、それぞれの開示は、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。最近販売されているナノ複合材物質の例としては、Unitika Limited(Osaka,Japan)製造のM1030D、およびUBE America(New York,New York)製造の1015C2等が挙げられる。
【0025】
「外部カバー層」という用語は、例えば、ディンプルパターン、ペイントおよび書かれたもの、記号等のあるゴルフボールの最も外部のカバー層を意味する。コアに加えて、ゴルフボールが2つ以上のカバー層を含む場合、最も外部の層のみを外部カバー層と呼ぶ。残りの層は中間層と呼ばれてもよい。「外部カバー層」という用語は、「外部カバー」という用語と取り替えて使用されてもよい。
【0026】
2つの中間層を有するボールの場合、「外部中間層」という用語は、「外部外套」または「外部外套層」という用語と本明細書では取り替えて使用されてもよく、外部カバー層に最も近くに置かれたボールの中間層を意味する。
【0027】
本明細書で用いる「有害抗力」という用語は、ボール上の全抗力から誘導抗力を差し引いたものを意味する。
本明細書で用いる「ポリ尿素」という用語は、ジイソシアネートとポリアミンを反応させることによって、調製される材料を指す。
【0028】
本明細書で用いる「ポリウレタン」という用語は、ジイソシアネートをポリオールと反応させることによって、調製される材料を指す。
「熱可塑性」は、加熱すると軟化または溶融することができ、冷却すると再度硬化することができる物質として一般に定義される。熱可塑性ポリマー鎖は多くの場合、架橋されていない、または鎖延長剤を用いて軽く架橋されているが、本明細書で用いる「熱可塑性」という用語は、最初の押出処理または射出成形処理等の間、最初は熱可塑性として作用するが、最終構造を形成する圧縮成形ステップ等の間、架橋されていてもよい材料を指しうる。
【0029】
「熱硬化性物質」とは、架橋または硬化剤との相互作用を介して架橋または硬化する材料として一般に定義される。架橋は、化学反応(硬化剤との反応による)、または照射により、熱(一般に200℃より上)等の形のエネルギーによって生じさせることができる。得られた組成物は、硬化すると硬質となり、加熱で軟化しない。長鎖ポリマー分子は互いに架橋し、硬質構造になるため、熱硬化性物質はこの性質を有する。熱硬化性材料は硬化後、溶融および再成形することができず、したがって、熱硬化性物質は、溶融および再成形することができる熱可塑性物質のようにリサイクルされない。
【0030】
「ユニモーダルポリマー」という用語は、1つの主なフラクションを含むポリマーを指し、さらに具体的にはポリマーの分子量分布曲線の形、すなわち、全ポリマー生成物の分子量分布曲線がただ1つの最大値を示すことを指す。
【0031】
本発明は、いかなる所望の大きさのゴルフボールを形成するためにも使用することができる。USGAによる“The Rules of Golf”は、競技ゴルフボールの大きさは、直径が少なくとも1.680インチでなければならないとしているが、レジャーゴルフプレーにはいかなる大きさのゴルフボールも使用することができる。ゴルフボールの好ましい直径は、約1.670インチから約1.800インチである。直径が約1.760インチより大きなものから2.75インチの特大ゴルフボールも本発明の範囲内である。
【0032】
図1に示されるように、ゴルフボールは、一般に1で指定される。ゴルフボールは、ワンピース、ツーピース、スリーピース等のゴルフボールであってもよい。さらに、該スリーピースゴルフボールは、巻き層または固形境界層を有してもよい。ゴルフボール2のカバーは、任意の適した材料であってもよい。好ましいカバーは、熱硬化性ポリウレタン材料から成る。しかしながら、当業者には、他のカバー材料が本発明の範囲および精神から逸脱することなく使用され得ることを理解されよう。ゴルフボール1は、下塗りおよび/または上塗りの仕上げを有し得る。
【0033】
該ゴルフボール1は、ゴルフボール1を第1の半球4および第2の半球5に分割する赤道または分割線3を有する。第1の極6は、第1の半球4において赤道3から長手方向の弧に沿って90度に位置する。第2の極7は、第2の半球5において赤道3から長手方向の弧に沿って90度に位置する。
【0034】
変動する深さ、直径、体積、および形状を有し得るディンプル8は、その後、本明細書にさらに詳細が記載されるようにボール表面に位置する。
赤道帯Eは、その後、半球4、ならびに第2の半球5の0から25°までの緯度の間に生じるボール表面上の赤道エリアとして定義される。同様に、肩ゾーンSは、それぞれの半球の25°より大きい緯度から65°未満までの緯度の間に生じるボール表面上の肩エリアとして定義され、最後にゾーンPは、それぞれの半球の65°から90°までの緯度により定義されるボール上の極エリアとして定義される。
【0035】
領域のディンプルの平均体積は、中心が該領域に存在するすべてのディンプルから成るディンプルの総弦長の体積の合計を中心がまた該領域に存在するディンプル数で割ることにより算出される。それぞれの領域P、S、およびEのディンプルの総弦長の体積は、Tp、Ts、およびTeで表され、同一領域のディンプル数は、それぞれNp、Ns、およびNeで表される。領域P、S、およびEのディンプルの平均体積は、Vp、Vs、およびVeで得られ、Vp=Tp/Np、Vs=Ts/Ns、およびVe=Te/Neで得られる。本発明のゴルフボールでは、Vs/Veの比は、0.97未満、好ましくは0.94未満、さらに好ましくは0.90未満である。本発明のゴルフボールでは、Vp/Vsの比は、0.97未満、好ましくは0.94未満、さらに好ましくは0.90未満である。
【0036】
ディンプルの総弦長の体積は、ここではTDVで表され、全ボールのすべての弦長の体積、Tp、Ts、およびTeの合計である。本発明は、赤道周辺の深いディンプルの単列を使用しないが、ディンプルの体積は赤道から極までで異なる。正味の影響は、深さがあるディンプルが単列の場合に対して、良好な飛行対称性および抵抗力を有するボールであるということである。一般に、極付近のディンプルは、深さの加減を伴わない同一の設計よりも約10%浅くなり、赤道付近のディンプルは、約5%深くなっている。極と赤道の間のディンプルは、ディンプルの体積の変化が極から赤道まで円滑になるように調節される。ボールの全体のピーク高さを同一に保持するために、TDVに対する全体の変化は、最小である。ボール上の全体的抗力は、できる限り浅いディンプルを保持することによってさらに低減される。浅いディンプルはより低い抗力を有するという事実は、全ボールのTDVを低減させることにより本発明に適用された。この副作用は、揚力の増加であるため、飛行特性に著しく不利益をもたらさないよう十分なTDVのみを低減させる。
TDVは、370から385、好ましくは372から383、さらに好ましくは375から380mmの範囲であるべきである。TDVが370mm未満である場合、ボールは、飛行が早期に失速し揚力を喪失する、またはTDVが低すぎる場合、飛行が上昇する可能性がある。TDVが385mmを上回る場合、ボールは、2600rpm未満の低スピン率に対して優れた飛距離の性能を持たず、一般により高い揚力を有する。
ディンプルの弦体積をディンプルと同一の直径および深さを有する円柱の体積で割ることにより定義されるディンプルの体積比は、0.55の値に設定される。本体積比は、優れた揚力および抗力の性能を有することが認められた。ある実施形態によると、該ディンプルの体積比は、0.50から0.58であり得る。
これらの特徴の組み合わせは、低および中スピン率で同時に良好な飛距離の性能を産出する。
【0037】
ある実施形態によると、本明細書に開示されたゴルフボールはまた、U.S.G.A.によって説明された対称性の基準を満たす(セクション7.3を参照)。対称性の基準は、2つの配向(極方向のPP−極および水平方向のPH−極)において、飛距離とそれぞれのボールの飛行時間との間の差異を算出し、これらの差異の平均をコンピュータで計算することにより決定される。対称性の基準は、飛距離の差異の平均が4.0ヤードを超えず、飛行時間の差異の平均が0.40秒未満である場合、満たされる。
【0038】
本発明の過程にしたがいゴルフボールの製造に有用であると一般に考えられるポリマー材料はまた、本発明のゴルフボールの成分に含まれ得、これらには、限定されないが、合成および天然ゴム、熱硬化性ポリマー、例えば他の熱硬化性ポリウレタンまたは熱硬化性ポリ尿素、ならびに熱可塑性ポリマー含有熱可塑性エラストマー、例えばメタロセン触媒ポリマー、ユニモーダルエチレン/カルボン酸コポリマー、ユニモーダルエチレン/カルボン酸/カルボキシレートターポリマー、バイモーダルエチレン/カルボン酸コポリマー、バイモーダルエチレン/カルボン酸/カルボキシレートターポリマー、ユニモーダルイオノマー、バイモーダルイオノマー、変性ユニモーダルイオノマー、変性バイモーダルイオノマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリ尿素、ポリアミド、コポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ハロゲン化(例えば、クロロ化)ポリオレフィン、ハロゲン化ポリアルキレン化合物、例えばハロゲン化ポリエチレン(例えば、クロロ化ポリエチレン(CPE))、ポリアルケナマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ジアリルフタレートポリマー、ポリイミド、ポリビニルクロリド、ポリアミド−イオノマー、ポリウレタン−イオノマー、ポリビニルアルコール、ポリアリーレート、ポリアクリレート、ポリフェニレンエーテル、耐衝撃性改良ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−スチレン−アクリロニトリル、スチレン−無水マレイン酸(S/MA)ポリマー、スチレンコポリマー、官能化スチレンコポリマー、官能化スチレンターポリマー、スチレンターポリマー、セルロースポリマー、液晶ポリマー(LCP)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン−ビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレンビニルアセテート、ポリ尿素、およびポリシロキサン、ならびにそれらのあらゆる組み合わせが含まれる。
【0039】
ゴルフボールコア、任意に中間層および外部カバーの製造に有用である特定のポリマー材料のさらに具体的な例は、これも限定されないが、下記に提供される。
本発明のゴルフボールのために最も好ましいポリマー材料は、ジイソシアネートとポリアミンあるいはポリオールのいずれかを混合することにより調製される、ポリ尿素またはポリウレタン、および1つ以上の連鎖延長剤(熱可塑性ポリ尿素またはポリウレタンの場合)または硬化剤(熱可塑性ポリ尿素またはポリウレタンの場合)である。最終の組成物は、有利にゴルフボールの中間層として、さらになお有利に外部カバー層として用いられ得る。
【0040】
当業者により入手可能な任意のイソシアネートが、本明細書の使用に適切である。本発明で使用するイソシアネートは、限定されないが、脂肪族、脂環式、芳香族脂肪族、芳香族、そのいずれの誘導体、および1分子あたり2つ以上のイソシアネート(NCO)基を有するこれらの化合物の組み合わせを含む。本明細書で用いる芳香族脂肪族化合物は、芳香族環を含むものとして理解され、該イソシアネート基は、該環に直接結合されない。芳香族脂肪族化合物の一例は、テトラメチレンジイソシアネート(TMXDI)である。該イソシアネートは、有機ポリイソシアネート末端プレポリマー、低遊離イソシアネートプレポリマー、およびそれらの混合物であり得る。イソシアネート含有反応性成分はまた、いずれのイソシアネート官能モノマー、ダイマー、トリマー、またはそのポリマー付加物、プレポリマー、準プレポリマー(quasi−prepolymer)、またはそれらの混合物も含み得る。イソシアネート官能化合物は、2つ以上のいかなるイソシアネート官能性を含むモノイソシアネートまたはポリイソシアネートを含み得る。
【0041】
適したイソシアネート含有成分は、包括的構造:O−C−N−R−N−C−Oを有するジイソシアネートを含み、式中、Rは、好ましくは約1から約50個の炭素原子を含む環状、芳香族、または線状もしくは分岐炭化水素部分である。イソシアネートはまた、1つ以上の環状基または1つ以上のフェニル基を含んでもよい。多数の環状または芳香族基が存在する場合、約1から約10の炭素原子を含む線状および/または分岐炭化水素が環状または芳香族基の間のスペーサーとして存在し得る。ある場合には、環状または芳香族基は2−、3−および/または4−位置で、あるいはオルト−、メタ−および/またはパラ−位置でそれぞれ置換されてもよい。置換基には、限定されないが、ハロゲン、第1、第2もしくは第3炭化水素基、またはそれらの混ぜ合わせが含まれてもよい。
【0042】
本発明で使用され得るイソシアネートの例としては、2,2´−、2,4´−および4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI);3,3−´−ジメチル−4,4´−ビフェニルレンジイソシアネート(TODI);トルエンジイソシアネート(TDI);高分子量MDI;カルボジイミド−変性液体4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート;パラ−フェニレンジイソシアネート(PPDI);メタ−フェニレンジイソシアネート(MPDI);トリフェニルメタン−4,4´−およびトリフェニルメタン−4,4´´−トリイソシアネート;ナフチレン−1,5−ジイソシアネート;2,4´−、4,4´−および2,2−ビフェニルジイソシアネート;ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)(高分子量PMDIとしても知られている);MDIおよびPMDIの混合物;PMDIおよびTDIの混合物;エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;トリメチレンジイソシアネート;ブチレンジイソシアネート;ビトリレンジイソシアネート;トリジンジイソシアネート;テトラメチレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,3−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;ペンタメチレンジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン−1,12−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,2−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;ジエチリデンジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(HTDI);2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4´−ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4´−ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアナトメチルシクロヘキサンイソシアネート;1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン;イソシアナトエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサンジイソシアネート;4,4´−ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン;2,4´−ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート(IPDI);ジメチルジイソシアネート、ドデカン−1,12−ジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1−クロロベンゼン−2,4−ジイソシアネート、フルフリリデンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロブタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4´−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナト−メチル)シクロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,2,4,4−テトラメチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,4,4−テトラトリメチルヘキサン、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、3−イソシアナト−メチル−3,5,5−トリメチルシクロ−ヘキシルイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m−フェニレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、p,p´−ビフェニルジイソシアネート、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジメトキシ−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジフェニル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジクロロ−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−クロロフェニレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、p,p´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,2−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネート、4,4´−トルイジンジイソシアネート、ジアニジンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、アゾベンゼン−4,4´−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4´−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4´,4´´−トリイソシアネート、イソシアナトエチルメタクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル−イソシアネート、ジクロロヘキサメチレンジイソシアネート、ω,ω´−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、上記ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性化合物、およびカルボジイミド変性化合物、ならびにビウレット変性化合物を含む置換および異性体混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのイソシアネートは単独でも組み合わせても使用され得る。これらの組み合わせイソシアネートは、トリイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネートおよびトリフェニルメタントリイソシアネートのビウレット(biuret)、およびポリイソシアネート、例えば高分子量ジフェニルメタンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート;2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネート(TMDI)のトリイソシアネート;4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI);2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;1,2−、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート;芳香族脂肪族イソシアネート、例えば1,2−、1,3−および1,4−キシレンジイソシアネート;メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI);パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI);任意のポリイソシアネートの三量体化イソシアヌレート、例えばトルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートのトリマー、テトラメチルキシレンジイソシアネートのトリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、およびそれらの混合物、任意のポリイソシアネートの二量体化ウレトジオン(uretdione)、例えばトルエンジイソシアネートのウレトジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、およびそれらの混合物;上記イソシアネートおよびポリイソシアネートから誘導される変性ポリイソシアネート;ならびにそれらの混合物等が挙げられる。
【0043】
ポリウレタン技術の当業者により入手可能ないずれのポリオールも、本発明の使用に適切である。本発明の還元した黄変性の組成物の使用に適切であるポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール等のポリジエンポリオール等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
ポリエステルポリオールは、二塩基酸を活用する凝縮またはステップ成長重合により調製される。ポリエステルポリオールの主な二塩基酸は、アジピン酸ならびに異性体フタル酸である。アジピン酸は柔軟性を加えることを必要とする材料に使用され、無水フタル酸は剛性を必要とする材料に使用される。ポリエステルポリオールのいくつかの例としては、ポリ(エチレンアジペート)(PEA)、ポリ(ジエチレンアジペート)(PDA)、ポリ(プロピレンアジペート)(PPA)、ポリ(テトラメチレンアジペート)(PBA)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)(PHA)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)(PNA)、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸で構成されるポリオール、PEAとPDAのランダム共重合体、PEAとPPAのランダム共重合体、PEAとPBAのランダム共重合体、PHAとPNAのランダム共重合体、ε−カプロラクトンの開環重合により得たカプロラクトンポリオール、および単独でまたはその組み合わせのいずれかで使用されてもよい、エチレングリコールを有するβ−メチル−δ−バレロラクトンの開環により得たポリオールが挙げられる。さらに、ポリエステルポリオールは、以下の酸の少なくとも1つ、および以下のグリコールの少なくとも1つの共重合体から構成することができる。酸には、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸(混合物)、ρ−ヒドロキシベンゾエート、無水トリメリット酸、ε−カプロラクトン、および、β−メチル−δ−バレロラクトンが挙げられる。グリコールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、および3−メチル−1,5−ペンタンジオールが挙げられる。
【0045】
ポリエーテルポリオールは、活性水素化物である多価アルコールの開始剤(例えば、ジエチレングリコール)により、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシドおよび酸化プロピレン)の開環追加重合により調製される。具体的には、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、または酸化プロピレン−エチレンオキシド共重合体を得ることができる。ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)は、1,4−ブタンジオールの脱水、またはフランの水素化により、生成されるテトラヒドロフランの開環重合によって調製される。テトラヒドロフランはアルキレンオキシドとともに共重合体を形成できる。具体的には、テトラヒドロフラン−酸化プロピレン共重合体、またはテトラヒドロフラン−エチレンオキシド共重合体を形成できる。ポリエーテルポリオールは、単独で、または組み合わせのいずれかで使用されてもよい。
【0046】
ポリカーボネートポリオールは、ホスゲン、クロロギ酸エステル、炭酸ジアルキル、または炭酸ジアリルによる、既知のポリオール(多価アルコール)の凝縮により得られる。特に好ましいポリカーボネートポリオールは、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、または1,5−ペンタンジオールを使用したポリオール成分を含む。ポリカーボネートポリオールは、単独で、 または他のポリオールとの組み合わせのいずれかで使用されてもよい。
【0047】
ポリジエンポリオールは、平均が少なくとも1.7の官能基を有するヒドロキシル基を含有する液体ジエンポリマーを含み、ジエンポリマーまたは4から12個の炭素原子を有するジエン共重合体、あるいは2から2.2個の炭素原子を有する重合性α−オレフィンモノマーへの追加を有するそのようなジエンの共重合体を含む。具体的な例としては、ブタジエンホモポリマー、イソプレンホモポリマー、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体、および、ブタジエン−n−オクタデシルアクリレート共重合体が挙げられる。これらの液体ジエンポリマーは、例えば、液体反応物中の過酸化水素の存在下で、共役ジエンモノマーを加熱することによって得られる。
【0048】
ポリブタジエンポリオールは、平均が少なくとも1.7の官能基を有するヒドロキシル基を含有する液体ジエンポリマーを含み、ジエンポリマーまたは4から12個の炭素原子を有するジエン共重合体、あるいは2から2.2個の炭素原子を有する重合性α−オレフィンモノマーへの追加を有するそのようなジエンの共重合体を含む。具体的な例としては、ブタジエンホモポリマー、イソプレンホモポリマー、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体、および、ブタジエン−n−オクタデシルアクリレート共重合体が挙げられる。これらの液体ジエンポリマーは、例えば、液体反応物中の過酸化水素の存在下で、共役ジエンモノマーを加熱することによって得られる。
ポリウレタン技術の当業者により入手可能ないずれのポリアミンも、本発明の使用に適切である。本発明の還元した黄変性の組成物の使用に適切であるポリアミンは、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
アミン末端化合物は、アミン末端炭化水素、アミン末端ポリエーテル、アミン末端ポリエステル、アミン末端ポリカプロラクトン、アミン末端ポリカーボネート、アミン末端ポリアミド、およびそれらの混合物から成る群から選択される。アミン末端化合物は、ポリテトラメチレンエーテルジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリ(エチレンオキシドキャップオキシプロピレン)エーテルジアミン、トリエチレングリコールジアミン、酸化プロピレン基トリアミン、トリメチロールプロパン基トリアミン、グリセリン基トリアミン、およびそれらの混合物から成る群から選択されるポリエーテルアミンであってもよい。
【0050】
上述に記載のジイソシアネートおよびポリオールまたはポリアミン成分は、連鎖延長剤または硬化剤との反応前に組み合わせて、プレポリマーを形成してもよい。そのようなプレポリマーの組み合わせのいずれも、本発明での使用に適切である。商業的に入手し得るプレポリマーとしては、LFH580、LFH120、LFH710、LFH1570、LF930A、LF950A、LF601D、LF751D、LFG963A、LFG640Dが挙げられる。
【0051】
1つの好ましいプレポリマーは、ポリプロピレングリコールとトルエンジイソシアネートプロポリマーの組み合わせである。そのようなポリプロピレングリコール末端トルエンジイソシアネートプレポリマーは、Uniroyal Chemical Company of Middlebury,Conn.のADIPRENE(登録商標) LFG963AとLFG640Dの登録商標で入手可能である。最も好ましいプレポリマーは、Uniroyal Chemical Company of Middlebury,Conn.のADIPRENE(登録商標) LF930A、LF950A、LF601D、およびLF751Dの登録商標で入手可能なものを含む、ポリテトラメチレンエーテルグリコール末端トルエンジイソシアネートプレポリマーである。
【0052】
一実施形態において、ウレタンまたは尿素プレポリマーの遊離NCO基の数は、約14パーセント未満であり得る。好ましくは、ウレタンまたは尿素プレポリマーは、同等重量ベースで、約3パーセントから約11パーセント、さらに好ましくは約4から約9.5パーセント、さらにより好ましくは約3パーセントから約9パーセントの遊離NCOを有する。
【0053】
より複雑な注入成形法に対する射出成形の上述の利点から、いくつかの状況下で、一般的な射出成形法の温度より高い特定の温度範囲でのみ熱硬化性物質として硬化することができる配合物を有することは有利である。これによって、ゴルフボールカバー層等の部分を初めに射出成形し、その後、より高い温度および圧力で処理してさらなる架橋および硬化を誘導して、熱硬化性を最終部分にもたらすことが可能である。したがって、そのような初めに射出成形可能な組成物は後硬化性ウレタンまたは尿素組成物と呼ばれる。
【0054】
後硬化性ポリ尿素またはポリウレタン組成物が必要とされる場合、後にブロックを解除し、押出後さらなる架橋を誘導する変性またはブロックジイソシアネートをジイソシアネート出発材料に加えてもよい。そのようなシステムは、Kimらにより米国特許第6,939,924号に開示され、参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。代替的に、過酸化物または過酸化混合物をさらに含む熱可塑性ウレタンまたは尿素組成物は、その後、後硬化下で、熱硬化性物質となり得る。そのようなシステムは、Kimらにより米国特許第6,924,337号に開示され、参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。最後に、該熱可塑性ウレタンまたは尿素組成物は、押出後さらなる架橋を誘導するニトロソ化合物およびジイソシアネートまたはポリイソシアネートの反応生成物をさらに含んでいてもよく、ジイソシアネートを出発材料に加えてもよい。そのようなシステムは、Kimらにより米国特許第7,037,985 B2号に開示され、参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0055】
そのようなゴルフボールのカバーを製造するために使用されるポリ尿素またはポリウレタンは、芳香族成分、例えば、芳香族ジイソシアネート、ポリオール、またはポリアミン等を一般に含むため、光、特に紫外線(UV)光にさらすと、変色の影響を受けやすい。変色を抑制するために、光および紫外線安定剤、例えば、TINUVIN(登録商標)770、765、および328を、これらの芳香族ポリマー材料に加える。
【0056】
さらに、非芳香族成分は、この変色を最小化するために使用され得、それらの一例は、2007年5月31日出願の同時係属米国特許出願第11/809,432号に記載され、参照することによりそれらの全体の内容が本明細書に組み込まれる。
【0057】
ゴルフボールの外部カバーおよび/または1つ以上の中間層はまた、1つ以上のイオノマー樹脂を含み得る。そのような樹脂の1群は、1960年代の半ばにE.I.DuPont de Nemours and Co.によって開発され、SURLYN(登録商標)の登録商標で販売された。そのようなイオノマーの製造は周知であり、例えば、米国特許第3,264,272号を参照のこと。一般に、最も市販されるイオノマーはユニモーダルであり、モノオレフィン、例えばアルケンと3から12個の炭素原子を有する不飽和のモノ−またはジカルボン酸とのポリマーから成る。モノ−またはジカルボン酸エステルの形の追加モノマーもいわゆる「軟化コモノマー」として配合物に組み込まれ得る。
【0058】
組み込まれるカルボン酸基はその後塩基性金属イオン塩で中和されてイオノマーを形成する。中和に用いられる塩基性金属イオン塩の金属陽イオンには、Li、Na、K、Zn2+、Ca2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Pb2+、およびMg2+が含まれ、Li、Na、Ca2+、Zn2+、およびMg2+が好ましい。塩基性金属イオン塩の例には、ギ酸、酢酸、硝酸および炭酸、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物およびアルコキシドのものが含まれる。
【0059】
当時、一般的な原則として、これらのカバー材料の硬度は酸含有量の増加とともに上がることもよく知られていたが、最初の商業的に入手し得るイオノマー樹脂は16重量%までのアクリルまたはメタクリル酸を含んでいた。したがって、1989年1月発行のResearch Disclosure 29703で、DuPontは酸含有率が15重量パーセントを超えるエチレン/アクリル酸またはエチレン/メタクリル酸に基づくイオノマーを発表した。同発表で、DuPontは、そのようないわゆる「高酸イオノマー」は剛性および硬度が著しく改善され、したがって、単独でまたは他のイオノマーとのブレンドで用いると、ゴルフボールの構造に用いるのに有利になることも教示した。
【0060】
より最近では、高酸イオノマーは、ポリマー中に16重量%から約35重量%のアクリル酸またはメタクリル酸単位を有するイオノマー樹脂であり得る。一般に、そのような高酸イオノマーは約50,000psiから約125,000psiの曲げ弾性率を有する。
【0061】
ポリマー中に約10重量%から約50重量%が存在する軟化コモノマーをさらに含むイオノマー樹脂は、約2,000psiから約10,000psiの曲げ弾性率を有し、時には「ソフト」または「非常に低い弾性率の」イオノマーと呼ばれる。一般的な軟化コモノマーには、n−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、およびメチルメタクリレートが含まれる。
【0062】
今日、エチレンおよび(メタ)アクリル酸のコポリマーまたはエチレンおよび(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリレートのターポリマーに基づく広範囲の種類の商業的に入手し得るイオノマー樹脂があり、それらのいずれもゴルフボール成分として使用される。これらのイオノマー樹脂の性質は、酸含有量、軟化コモノマー含有量、中和度、および中和に使用される金属イオンの種類により広範囲に変えることができる。商業的に入手し得るあらゆる種類は、一般的には、一般式E/X/Yのポリマーのイオノマーを含み、式中、Eはエチレンであり、Xは、CからCα,βエチレン系不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸であり、E/X/Yコポリマーの約2から約30重量%の量で存在し、Yは、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート、例えばメチルアクリレートまたはメチルメタクリレートから成る群から選択される軟化コモノマーであり、該アルキル基は1〜8個の炭素原子を有し、YはE/X/Yコポリマーの0から約50重量%の範囲で存在し、該イオノマーポリマー中に存在する酸基はリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛またはアルミニウム、およびそれらの混合物から成る群から選択される金属で部分的に中和されている。
【0063】
イオノマーは米国特許第6,562,906号に記載されるようにいわゆるバイモーダルイオノマーでもよい(参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。これらのイオノマーは、異なる分子量のポリマーを含むブレンドから調製される場合、バイモーダルである。具体的には、それらは、
a)約80,000から約500,000の分子量を有し、1つ以上のエチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重合体および/または1つ以上のエチレン、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ターポリマーを含む、高分子量成分であって、リチウム、ナトリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、およびいかなるこれらの混合物から成る群から選択される金属イオンで部分的に中和されている、該高分子量成分と、
b)約2,000から約30,000の分子量を有し、1つ以上のエチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重合体および/または1つ以上のエチレン、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ターポリマーを含む、低分子量成分であって、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛またはアルミニウム、およびいかなるこれらの混合物から成る群から選択される金属イオンで部分的に中和されている、該低分子量成分と、を含む、バイモーダルポリマー混合組成物を含む。
【0064】
また、ユニモーダルおよびバイモーダルイオノマーに加えて、いわゆる「変性イオノマー」が含まれ、それらの例は米国特許第6,100,321号、米国特許第6,329,458号および米国特許第6,616,552号、ならびに米国特許公開第US2003/0158312 A1号に記載され、参照することによりすべての内容が本明細書に組み込まれる。
【0065】
変形ユニモーダルイオノマーは、
a)エチレンと、5から25重量パーセントの(メタ)アクリル酸と、0から40重量パーセントの(メタ)アクリレートモノマーと、を含むイオノマーポリマーであって、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、またはアルミニウム、およびそれらのあらゆる混合物から成る群から選択される金属イオンと中和されている、該イオノマーポリマーと、
b)約5から約40重量パーセント(該変性イオノマーポリマーの全重量に基づいて)の1つ以上の脂肪酸または該脂肪酸の金属塩であって、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、またはアルミニウム、およびそれらのあらゆる混合物から成る群から選択される金属と、を混合することにより調製することができ、該脂肪酸は、好ましくはステアリン酸である。
【0066】
前述のようなバイモーダルエチレン/カルボン酸ポリマー(米国特許第6,562,906号に記載され、参照によってその全体の内容は本明細書に組み込まれる)から由来したイオノマーである、変性バイモーダルイオノマーは、
a)約80,000から約500,000の分子量を有し、1つ以上のエチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重合体および/または1つ以上のエチレン、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ターポリマーを含む、高分子量成分であって、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、またはアルミニウム、およびそれらのあらゆる組み合わせから成る群から選択される金属イオンと部分的に中和されている、該高分子量成分と、
b)約2,000から約30,000の分子量を有し、1つ以上のエチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重合体および/または1つ以上のエチレン、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ターポリマーを含む、低分子量成分であって、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、またはアルミニウム、およびそれらのあらゆる組み合わせから成る群から選択される金属イオンと部分的に中和されている、該低分子量成分と、
c)約5から約40重量パーセント(該変性イオノマーポリマーの全重量に基づいて)の1つ以上の脂肪酸または該脂肪酸の金属塩と、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、またはアルミニウム、およびそれらのあらゆる混合物から成る群から選択される金属と、を混合することにより調製され、該脂肪酸は、好ましくはステアリン酸である。
【0067】
種々の変性イオノマーに利用される脂肪酸塩、またはろう様(waxy)酸塩は、約4から75個の炭素原子(通常は偶数)を含むアルキル基の鎖から構成され、−COOH末端基を特徴とする。上記の酢酸の脂肪酸、およびろう様酸のすべてに関する一般式は、CH(CHCOOHであり、炭素原子数にはカルボキシル基(すなわち、x=2〜73)を含む。脂肪酸塩またはろう様酸塩変性剤を生成するために利用される脂肪酸またはろう様酸は、飽和または不飽和であってもよく、それらは、固体、半固体または液体の形態で存在することができる。
【0068】
適切な飽和脂肪酸、すなわち、アルキル鎖の炭素原子が単結合により結合する脂肪酸の例としては、ステアリン酸(C18、すなわちCH(CH16COOH)、パルミチン酸(C16、すなわちCH(CH14COOH)、ペラルゴン酸(C、すなわちCH(CHCOOH)およびラウリン酸(C12、すなわちCH(CH10OCOOH)が挙げられるが,これらに限定されない。適切な不飽和脂肪酸、すなわちアルキル鎖中の炭素原子間に1つ以上の二重結合がある脂肪酸の例としては、オレイン酸(C13、すなわちCH(CHCH:CH(CHCOOH)が挙げられるがこれに限定されない。
【0069】
種々の変性イオノマーに使用される脂肪酸塩またはろう様酸塩の金属塩を生成するために使用される金属イオンの源は概して、様々な程度で、脂肪酸のカルボン酸基に対して、中和可能な金属イオンを与える、種々の金属塩である。これらには、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、および亜鉛、バリウム、カルシウム、ならびにマグネシウムの水酸化塩が挙げられる。
【0070】
脂肪酸塩変性剤は、多くの異なる金属イオンと中和した脂肪酸の種々の組み合わせを含むので、いくつかの異なる種類の脂肪酸塩を本発明に利用してもよく、それには、ステアリン酸金属塩、ラウリル酸、オレイン酸塩、およびパルミチン酸塩が挙げられ、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カリウムおよびステアリン酸マグネシウムが好ましく、ステアリン酸カルシウムならびにステアリン酸ナトリウムが最も好ましい。
【0071】
該脂肪酸またはろう様酸の、脂肪酸あるいはろう様酸または金属塩は、約5から約40、好ましくは約7から約35、さらに好ましくは約8から約20重量パーセント(該変性イオノマーポリマーの総重量に基づいて)の量で、変性イオノマーポリマー中に存在する。
【0072】
脂肪酸またはろう様酸の1つ以上の金属塩の追加の結果として、最終の変性イオノマーポリマー組成物中、約40から100、好ましくは約50から100、さらに好ましくは約70から100パーセントの酸性基は、金属イオンにより中和される。そのような変性イオノマーポリマーの例は、E.I.DuPont de Nemours and Co.Inc.から入手可能なDuPont(登録商標)HPF−1000である。
好ましいイオノマー組成物は、本明細書に記載されるように、1つ以上のユニモーダルイオノマー、バイモーダルイオノマー、または変性ユニモーダルあるいはバイモーダルイオノマーポリマーをブレンドすることにより調製され、一般式E/X/Yのポリマーの亜鉛で中和されたイオノマーとさらに混合され、式中、Eはエチレン、Xはアクリレートまたはメタアクリレート等の軟化コモノマーであり、総量が0から約50、好ましくは0から約25、最も好ましくは0において存在し、Yはアクリル酸またはメタアクリル酸であり、約5重量%から約25、好ましくは約10から約25、最も好ましくは全組成量の約10から約20重量%存在する。
【0073】
ゴルフボールの外部カバーおよび/または1つ以上の中間層はまた、1つ以上のポリアミド系樹脂を含み得る。開示されたゴルフボールに使用のための、実例となるポリアミドは、以下により得られたものを含む。(1)(a)シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸と(b)エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,4−シクロヘキシルジアミン、またはm−キシリレンジアミン等のジアミンとの重縮合;(2)ε−カプロラクタムまたはω−ラウロラクタム等の環状ラクタムの開環重合、(3)6−アミノカプロン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸または12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重縮合;(4)ジカルボン酸とジアミンを有する環状ラクタムの共重合、または(1)−(4)のいずれの組み合わせ。ある例において、ジカルボン酸は芳香族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸であり得る。ある例において、ジアミンは、芳香族ジアミンまたは脂環式ジアミンであり得る。適切なポリアミドの具体的な例としては、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4,6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,9、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミドMXD6、PA12,CX、PA12,IT、PPA;PA6,IT、およびPA6/PPEが挙げられる。
【0074】
該ポリアミドはいかなるホモポリアミドまたはコポリアミドであってもよい。適切なポリアミド群の一例は、熱可塑性ポリアミドエラストマーである。熱可塑性ポリアミドエラストマーは一般的に、ポリアミドおよびポリエステルまたはポリエーテルの共重合体である。例えば、熱可塑性ポリアミドエラストマーは、ハードセグメントとして、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12等)、ならびにソフトセグメンとしてポリエーテルまたはポリエステルを含むことができる。具体的な一例において、熱可塑性ポリアミドは、ポリアミド(PA12)に基づいたアモルファスコポリアミドである。
【0075】
コポリエステル熱可塑性エラストマーの例としては、ポリエーテルエステルブロックコポリマー、ポリアクトンエステルブロックコポリマー、ならびに脂肪族および芳香族ジカルボン酸共重合ポリエステルが含まれる。ポリエーテルエステルブロックコポリマーは、ジカルボン酸および低分子量ジオールから重合したポリエステルハードセグメントと2〜10個の原子を有するアルキレングリコールから重合したポリエーテルソフトセグメントを含むコポリマーである。ポリラクトンエステルブロックコポリマーは、ポリエーテルエステルブロックコポリマーについて上で論じたソフトセグメントとしてのポリエーテルの代わりにポリラクトン鎖を有するコポリマーである。脂肪族および芳香族ジカルボン酸共重合ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸およびイソフタル酸、ならびに2〜10個の炭素原子を有する脂肪族酸から選択される酸成分と、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族および脂環式ジオールから選択される少なくとも1種のジオール成分とのコポリマーである。芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルのブレンドもこれらに使用され得る。それらの例には、HYTRELの登録商標でE.I.DuPont de Nemours&Companyから、およびSKYPELの登録商標でS.K.Chemicals(Seoul, South Korea)から販売されている生成物が含まれる。該ポリエーテルブロックは、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはテトラメチレングリコールなどに由来する異なる単位を含む。
【0076】
ポリエーテルエステルエラストマーの1つの種類は、Pebax系であり、Elf−Atochem Companyから入手可能である。好ましくは、Pebax 2533、3533、4033、1205、7033および7233の中から選択することができる。使用するのに適したポリアミドのいくつかの例は、Atofina Chemicals(Philadelphia,Pennsylvania)販売の登録商標PEBAX、CRISTAMIDおよびRILSAN、EMS Chemie(Sumter,South Carolina)販売の登録商標GRIVORYおよびGRILAMID、Degussa販売の登録商標TROGAMIDおよびVESTAMID、ならびにデラウェア州ウイルミントンのE.I.DuPont de Nemours&Co.(Wilmington,Delaware)販売の登録商標ZYTELであり、商業的に入手し得る。
【0077】
本発明において、付加的なポリマー成分として適切な他の熱可塑性エラストマーの例としては、カルボン酸、無水マレイン酸、グリシジル、ノルボネン、およびヒドロキシル官能価等の官能基を有するものが含まれる。これらの例には、芳香族ビニル化合物を含む少なくとも1つのポリマーブロックAと、共役ジエン化合物を含む少なくとも1つのポリマーブロックBとを有する、ならびに末端ブロック共重合体のヒドロキシル基を有するブロックポリマー、またはその水素化された生成物が含まれる。このポリマーの例は、Kuraray Company(Kurashiki,Japan)の登録商標SEPTON HG−252で販売されている。
【0078】
さらに別の実施形態において、イオノマーとブロック共重合体の混合物が、Aに含まれ得、好ましくはブロック共重合体は、SEPTON HG−252である。そのような混合物は同一出願人による米国特許第6,861,474号および米国特許公開第2003/0224871号により詳細に記載され、これらの両方は、参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0079】
さらなる実施形態において、本発明のゴルフボールのコア、外套層および/またはカバー層(および特に外部カバー層)は、成分A、B、ならびにCとして特定される少なくとも3つの材料をともに混合し、これらの成分を溶融加工し、その場で、疑似的に架橋したポリマーの網目を組み込んだ、本来のポリマーブレンド組成物を形成することによって調製される組成物を含み得る。これらのブレンドの第1成分(ブレンド成分A)には、ジおよびトリブロック共重合体を含み、芳香族ビニル化合物を有する第1のポリマーブロック、およびオレフィンおよび/または共役ジエン化合物を有する第2のポリマーブロックを組み込んだブロック共重合体が含まれる。好ましくは、芳香族ビニル化合物は、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−またはp−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、およびビニルアントラセンを含む。特に、スチレンおよびα−メチルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル化合物は、単独でそれぞれ使用され得る、または2種類以上の組み合わせで使用され得る。該芳香族ビニル化合物は、好ましくは量が5から75重量%、さらに好ましくは10から65重量%でブロック共重合体に得られる。
【0080】
ブロック共重合体において第2のポリマーブロックを構成する共役ジエン化合物は、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよび1,3−ヘキサジエンを含む。特に、イソプレンおよび1,3−ブタジエンが好ましい。これらの共役ジエン化合物は、単独でそれぞれ使用され得る、または2種類以上の組み合わせで使用され得る。好ましいブロック共重合体は、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)およびスチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)等のスチレンブロック共重合体を含む。商業的に入手し得る例は、Kuraray Company(Kurashiki,Japan)販売のSEPTON、Kumho Petrochemical Co.,Ltd販売のTOPRENE、およびKraton Polymers販売のKRATONを含む。
【0081】
第2のブレンド成分である成分Bは、酸性官能基のうちの少なくとも1種を組み込む酸性ポリマーである。使用に適切なそのようなポリマーの例としては、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体およびエチレン/(メタ)アクリル酸/アルキル(メタ)アクリレートターポリマー、ならびにエチレンおよび/またはプロピレン無水マレイン酸共重合体およびターポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。商業的に入手し得るそのようなポリマーの例としては、Exxon Mobil販売のエチレン−アクリル酸共重合体のEscor(登録商標)5000、5001、5020、5050、5070、5100、5110および5200シリーズ、The Dow Chemical Company(Midland,Michigan)販売のエチレン−アクリル酸共重合体のPRIMACOR(登録商標)1321、1410、1410−XT、1420、1430、2912、3150、3330、3340、3440、3460、4311、4608および5980シリーズ、DuPont販売のNucrel599、699、0903、0910、925、960、2806、および2906等のエチレン−メタクリル酸共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
また、米国特許第6,562,906号に記載されるように、いわゆるバイモーダルエチレン/カルボン酸ポリマーが含まれ、参照することによりその内容が本明細書に組み込まれる。これらのポリマーは、エチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8高カルボン酸共重合体、特に、エチレン、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ターポリマーを含み、約80,000から約500,000の重量平均分子量(Mw)を有するエチレン(メタ)アクリル酸共重合体を含む第1の成分と、エチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重合体、特に、約2,000から約30,000の重量平均分子量(Mw)を有するエチレン/(メタ)アクリル酸共重合体を含む第2の成分と、を含む。
【0083】
成分Cは、成分Bの酸性官能基を中和することができる塩基であり、一般に金属陽イオンを有する塩基である。これらの金属は、周期表のIA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA、VB、VIA、VIB、VIIB、およびVIIIB族からの金属である。これらの金属の例には、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、マンガン、タングステン、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、ハフニウム、銅、亜鉛、バリウム、ジルコニウム、およびスズが含まれる。成分C源として使用するのに適した金属化合物は、例えば、金属塩、好ましくは金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩、金属酢酸塩、ステアリン酸金属塩、金属ラウリル酸、金属オレイン酸塩、金属パルミチン酸塩等である。
【0084】
最終の混合組成物は、分散混合メカニズム、分配混合メカニズムあるいはこれらの組み合わせのいずれかを使用することによって、上記の材料を互いに十分に混合することにより調製するのが好ましい。これらの混合法はポリマーブレンドの製造においてよく知られている。この混合の結果、成分Bの酸性官能基は、中和状態あるいは非中和状態のいずれかで混合物全体に均一に分散される。最も好ましくは、成分AおよびBは、上で論じた予備混合を行いまたは行わずに、成分Cなしで溶融混合して、2成分の溶融混合物を製造する。次に、成分Cを別に成分AおよびBのブレンドへ混合する。この混合物を溶融混合して反応生成物を製造する。この2段階混合は、例えば、複数供給システムとともに、適当なバレルの長さまたはスクリュー形態を使用する押出法等の単一プロセスで行うことができる。
【0085】
そのような混合物は、Kimらの同一出願人による米国特許第6,930,150号により詳細に記載され、参照することによりそれらの内容が本明細書に組み込まれる。
本発明のゴルフボール、特に、本発明のゴルフボールのコアは、ゴルフボール用途に使用される天然および合成ゴムを含む伝統的なゴム成分、例えば、シス−1,4−ポリブタジエン、トランス−1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、シス−ポリイソプレン、トランス−ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリブチレン、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーならびに部分および完全水素添加同等物、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーならびに部分および完全水素添加同等物、ニトリルゴム、シリコーンゴム、およびポリウレタン、ならびにこれらの混合物が含まれ得る。加硫後の弾性反発レジリエンス(rebound resilience)、成形加工性および強度が高いので、ポリブタジエンゴム、特に、少なくとも40mol%、さらに好ましくは80から100mol%のシス−1,4結合を含む1,4−ポリブタジエンゴムが好ましい。ポリブタジエン成分は、この分野で一般的に使用される希土類ベースの触媒、ニッケルベースの触媒またはコバルトベースの触媒を使用することによって合成し得る。ランタン希土類ベースの触媒を使用することによって得られるポリブタジエンは、ランタン希土類(原子番号57〜71)化合物の組み合わせを用いるが、特に好ましいのはネオジム化合物である。
【0086】
本発明のゴルフボールのコアはまた、ポリアルケナマーも含み得る。適切なポリアルケナマーゴムの例は、ポリペンテナマー(polypentenamer)ゴム、ポリヘプテナマー(polyheptenamer)ゴム、ポリオクテナマー(polyoctenamer)ゴム、ポリデセナマー(polydecenamer)ゴム、およびポリドデセナマー(polydodecenamer)ゴムである。ポリアルケナマーゴムに関するさらなる詳細については、Rubber Chem.&Tech.,Vol.47,page511−596,1974(参照することにより、本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ポリオクテナマーゴムは、Huls AG(Marl,Germany)から、その販売会社Creanova Inc.(Somerset,N.J.)を通じて、VESTENAMER(登録商標)という登録商標で商業的に入手し得る。2つの級のVESTENAMER(登録商標)のtrans−ポリオクテナマーは、商業的に入手し得る。VESTENAMER8012は、約54℃の融点で、約80%のトランス含量(および20%のシス含量)を有する材料を指し、VESTENAMER6213は、約30℃の融点で約60%のトランス含量(40%のシス含量)を有する材料を指す。これらのポリマーの両方は、環の8個の炭素原子ごとに2重結合を有する。これは、Hyun Kimらの2006年1月18日出願の同時係属米国特許出願第11/335,070号に開示され、参照することによりそれらのすべての内容が本明細書に組み込まれる。
本発明のゴルフボールに使用されるさらに好ましい組成物およびゴルフボールのコアまたは中間層に使用される好ましい組成物は、ポリアルケナマーとポリアミドの混合であり、Hyun Kimらの2006年1月18日出願の同時係属米国特許出願第11/335,070号に開示され、参照することによりそれらのすべての内容が本明細書に組み込まれる。
【0087】
上述のポリブタジエンまたはポリアルケナマーおよびそれらの混合物等の合成ゴムが本発明のゴルフボールに使用される場合、架橋剤、共架橋剤、ペプタイザー、および促進剤を含むゴム配合物に一般的にしばしば使用される材料をさらに含んでもよい。
【0088】
本発明のゴルフボールで使用する適切な架橋剤は、過酸化物、硫黄化合物、または他の既知の化学架橋剤、ならびにこれらの混合物を含む。適切な架橋剤の限定されない例には、例えば、Akrochem Corp.(Akron,Ohio)販売のTrigonox145−45B等の第1、第2もしくは第3脂肪族または芳香族有機過酸化物;R.T.Vanderbilt Co.,Inc.(Norwalk,Connecticut)販売のVarox231−XL等の1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5トリ−メチルシクロヘキサン;およびジ−(2,4−ジクロロベンゾイル)過酸化物を含む。
【0089】
化学架橋剤の使用に加えて、組成物の放射線への暴露も架橋剤として作用し得る。マイクロ波またはガンマ放射線、あるいは電子ビーム装置を使用することを含むいずれの公知の方法で不飽和ポリマー混合物へ照射することができる。添加剤をジエンポリマーの放射線硬化を改善するために使用してもよい。
【0090】
ゴムおよび架橋剤は共架橋剤とブレンドしてもよく、共架橋剤は不飽和カルボン酸の金属塩でもよい。これらの例には、3から8個の炭素原子を有する不飽和脂肪酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびフマル酸の亜鉛およびマグネシウム塩が含まれ、パルミチン酸とアクリル酸およびメタクリル酸の亜鉛塩が最も好ましい。コア組成物は1種以上のいわゆる「しゃく解剤」を混入させてもよい。
【0091】
しゃく解剤は、好ましくは、有機硫黄化合物および/またはその金属もしくは非金属塩を含む。そのような有機硫黄化合物の例には、チオフェノール、例えばペンタクロロチオフェノール、4−ブチル−o−チオクレゾール、4−t−ブチル−p−チオクレゾール、および2−ベンズアミドチオフェノール;チオカルボン酸、例えばチオ安息香酸;4,4´ジチオジモルホリン;およびスルフィド、例えばジキシリルジスルフィド、ジベンゾイルジスルフィド;ジベンゾチアジルジスルフィド;ジ(ペンタクロロフェニル)ジスルフィド;ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(DBDD)、およびアルキル化フェノールスルフィド、例えばAtofina Chemicals,Inc.(Philadelphia,Pennsylvania)販売のVULTACが含まれる。好ましい有機硫黄化合物には、ペンタクロロチオフェノールおよびジベンズアミドジフェニルジスルフィドが含まれる。
【0092】
有機硫黄化合物の金属塩の例には、上記のチオフェノールおよびチオカルボン酸のナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、セシウムおよび亜鉛塩が含まれ、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩が最も好ましい。
【0093】
有機硫黄化合物の非金属塩の例には、上記のチオフェノールおよびチオカルボン酸のアンモニウム塩が含まれ、アンモニウム陽イオンは一般式[NRを有し、式中、R、R、RおよびRは、水素、C−C20脂肪族、脂環式または芳香族部分、およびそれらのあらゆる組み合わせよりなる群から選択され、最も好ましいのはペンタクロロチオフェノールのNH塩である。
【0094】
さらなるしゃく解剤には、1種以上のヘテロ原子、例えば窒素、酸素および/または硫黄を含む芳香族または共役しゃく解剤が含まれる。より一般的には、そのようなしゃく解剤は少なくとも1つの複素原子、および潜在的に複数の複素原子を有するヘテロアリールまたは複素環式化合物であり、該複数のヘテロ原子は同じでも異なっていてもよい。そのようなしゃく解剤には、インドールしゃく解剤、キノリンしゃく解剤、イソキノリンしゃく解剤、ピリジンしゃく解剤、プリンしゃく解剤、ピリミジンしゃく解剤、ジアジンしゃく解剤、ピラジンしゃく解剤、トリアジンしゃく解剤、カルバゾールしゃく解剤、またはそのようなしゃく解剤の組み合わせが含まれる。
【0095】
そのようなしゃく解剤についてはHyun Kimらの2005年12月20日出願の同時係属米国出願第60/752,475号にさらに詳しく開示されて、参照によりそのすべての内容が本明細書に組み込まれる。
【0096】
本発明のゴルフボールの製造に使用されるポリマー組成物はまた、1つ以上の充填材を混入することができる。そのような充填材は、一般に延在する繊維およびフロックを除き、例えば、一般に約20メッシュ未満、好ましくは約100メッシュU.S.標準サイズ未満の微細な形である。充填材粒子サイズは所望の効果、コスト、添加の容易さ、およびダスティングの考慮により決まる。充填材の適切な必要量は用途により変わるが、過度の実験を行うことなく一般に容易に決定することができる。
【0097】
充填材は、好ましくは、沈降水和シリカ、石灰石、クレー、タルク、アスベスト、バライト、ガラス繊維、アラミド繊維、雲母、メタ珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リトポン、珪酸塩、炭化珪素、珪藻土、炭酸塩、例えば炭酸カルシウムまたはマグネシウムまたはバリウム、硫酸塩、例えば硫酸カルシウムまたはマグネシウムまたはバリウム、金属、例えばタングステン、鋼、銅、コバルトまたは鉄、金属合金、炭化タングステン、金属酸化物、金属ステアリン酸塩、および他の粒状炭質材料、ならびにそれらのあらゆる組み合わせよりなる群から選択される。充填材の好ましい例には、金属酸化物、例えば酸化亜鉛および酸化マグネシウムが含まれる。別の好ましい実施形態において、充填材は連続または非連続繊維を含む。別の好ましい実施形態において、充填材は、米国特許第6,794,447号、2003年9月24日出願の同時係属米国特許出願第10/670,090号、および2004年8月25日出願の同時係属米国特許出願第10/926,509号に記載されるように、1種以上のいわゆるナノ充填材を含み、それぞれの特許のすべての内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0098】
商業的なナノ充填材の例は、Southern Clay Products(Gonzales,Texas)の10A、15A、20A、25A、30BおよびNA+を含む各種CloisiteグレードおよびNanocor,Inc.(Arlington Heights,Illinois)の1.24TLおよびC.30EVAを含むNanomerグレードである。
【0099】
必要に応じて、本発明のゴルフボールの製造に使用される様々なポリマー組成物は、他の従来の添加物、例えば可塑剤、顔料、酸化防止剤、U.V.吸収剤、蛍光増白剤、またはプラスチック配合物またはゴルフボールの製造に一般に用いられる任意の他の添加剤をさらに含み得る。
【0100】
本発明の組成物に使用する別の特に適切な添加剤には、一般式
(RN)−R´−(X(O)OR
(式中、Rは水素、またはC−C20脂肪族、脂環式もしくは芳香族系であり;R´は、1つ以上のC−C20直鎖もしくは分枝脂肪族または脂環式基、あるいは置換直鎖もしくは分枝脂肪族または脂環式基、あるいは芳香族基、あるいは12以下の反復単位のオリゴマー、例えば限定されないが12までのアミノ酸のアミノ酸配列から誘導されるポリペプチド、を含むブリッジ基であり;そしてXはCまたはSまたはPであり、ただし、X=Cのとき、n=1およびy=1、X=Sのとき、n=2およびy=1、X=Pのとき、n=2およびy=2であり、また、m=1〜3である)を有する化合物が含まれる。これらの材料は、2005年7月14日出願の同時係属米国特許出願第11/182,170号でより完全に記載され、そのすべての内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
該材料は、4,4´−メチレン−ビス−(シクロヘキシルアミン)カルバメート(登録商標Diak(登録商標)4でR.T.Vanderbilt Co.(Norwalk CT)から入手し得る)、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、エプシロン−カプロラクタム;オメガ−カプロラクタム、それらのあらゆる組み合わせより成る群から選択されることが、最も好ましい。
特に好ましい実施形態において、本発明のゴルフボール中のナノ充填材添加剤成分は、一般式
(RN)−R´−(X(O)OR
を有する先に記載の化合物を含む適合化剤で表面改質されている。
【0102】
最も好ましい実施形態は、12−アミノドデカン酸を含むアミノ酸で表面改質されたナノ充填材クレー材料を含む充填材であろう。そのような充填材は登録商標Nanomer1.24TLでNanonocor Co.から入手し得る。 本発明のゴルフボールの成分として使用される様々な組成物はまた、モノマーアミド改質剤、例えばモノマー脂肪族および/または芳香族アミドポリマー改質剤を含み得る。これらの材料は、2006年11月1日出願の同時係属米国特許出願第11/592,109号にさらに十分に記載され、参照することによりそれらのすべての内容が本明細書に組み込まれる。
【0103】
本発明の範囲内のゴルフボールはまた、ゴルフボール組成物に一般に用いられる1つ以上の追加の含有物を適量で含めることができる。特定の作用をもたらす薬剤、例えば添加剤および安定剤を存在させることができる。適した含有物の例には、着色剤、酸化防止剤、分散剤、離型剤、加工助剤、充填材、ならびにそれらのあらゆる組み合わせが含まれる。必須ではないが、UV安定剤、または光安定剤、例えば置換ヒドロキシフェニルベンゾチアゾールを本発明に用いると、最終組成物のUV安定性を高めることができる。商業的に入手し得るUV安定剤の例は、TINUVINの登録商標でCiba Geigy Corporationから販売されている安定剤である。
【0104】
一般に、ゴルフボール組成物は、それらの融解の有無に関わらず、様々な成分および他の添加剤とともに混合することにより作製される。乾式混合装置、例えば、タンブルミキサー(tumble mixer)、V−ブレンダー、リボンブレンダー、および二本ロールミキサー等を組成物を混合するために使用することができる。該ゴルフボール組成物はまた、融解を生じるための熱エネルギーを適用しながらまたは適用しないで、ミル、インターナルミキサー(internal mixer)、例えば、BanburyまたはFarrel連続混合機(continuous mixer)、押出機またはこれらの組み合わせを使用して混合され得る。様々なコア成分を架橋剤と混合することができ、あるいはそれぞれの添加剤を適切な順序でミルにかけた不飽和ポリマーへ加えることができる。得られる混合物は、例えば、圧縮または射出成形過程にしたがうと、コア用の固体の球を得られる。ポリマー混合物を成形サイクルに送り、そこで、混合物を型に入れる一方で、熱および圧力を加える。キャビティの形は成形されるゴルフボールの部分による。 圧縮および熱により、1種以上の過酸化物が分解して遊離ラジカルを放ち、架橋が開始される。成形サイクルの温度および時間は選択される過酸化物およびしゃく解剤の種類に基づいて選択される。成形サイクルは混合物を単一温度で一定時間成形する単一工程のものでもよい。
【0105】
様々な中間層および/またはカバー配合物は、2軸押出機を使用して調製されてもよく、あるいは射出成形供給ホッパ(injection molder feed hopper)への追加前に、手動でまたは機械で混合され得る。完成したゴルフボールは、射出成形のキャビティ内のコアに予備成形された固体を初めに配置した後、中間層および/またはカバー層組成物に連続してコア上で均一注入することにより製造されてもよい。コア配合物をゴルフボールの必須の直径を生成するためにコアの周りに射出成形することができる。
【0106】
代替的に、カバー層をまた、射出成形によりハーフシェルを初めに形成した後、最終ボールを形成するためにコアの周囲に圧縮成形することによりコアの周りに形成してもよい。
【0107】
カバーを圧縮成形を使用してコアの周りに形成することもできる。圧縮成形のためのカバー材料を樹脂もしくは成形可能な樹脂を押出、または混合してもよい。
熱硬化性ポリウレタンまたはポリ尿素組成物からカバーを作製する場合、最も好ましい方法は、成形法である。
【0108】
図5の図面を参照すると、ツーピースゴルフボール10が図示され、固形中心またはコア12を含み、本明細書に記載される組成物の固形物として形成され得、球の形状において、コアは外部カバー層14によりさらに取り囲まれる。
【0109】
本発明のツーピースゴルフボールのコアは、約0.5から約1.62、好ましくは約0.7から約1.60、さらに好ましくは約1から約1.58インチの直径を有する。
本発明のツーピースゴルフボールのコアは、約10から約100、好ましくは約35から約90、さらに好ましくは約40から約80のPGA圧縮を有する。
【0110】
本発明のツーピースゴルフボールのカバーは、約0.01から約0.20、好ましくは約0.02から約0.15、さらに好ましくは約0.03から約0.10、および最も好ましくは約0.03から約0.07インチの厚さを有する。
【0111】
さらに、本発明のツーピースゴルフボールのカバーは、約25から約80、さらに好ましくは約30から約70、さらにより好ましくは約40から約60のショアーD硬度を有する。
【0112】
本発明のツーピースゴルフボールは、約30より上、好ましくは40より上、さらに好ましくは約50より上、最も好ましくは約60より上のPGAボール圧縮を有する。
図6の図面を参照すると、コア22、中間層24、および外部カバー層26を含むスリーピースゴルフボール20が図示される。ゴルフボール20はまた、外部カバー層26に形成され、様々な所望のパターンが配置される複数のディンプル28を一般に含む。
【0113】
本発明のスリーピースゴルフボールのコアは、約0.5から約1.62、好ましくは約0.7から約1.60、さらに好ましくは約1から約1.58インチの直径を有する。
本発明のスリーピースゴルフボールのコアは、約10から約100、好ましくは約35から約90、さらに好ましくは約40から約80のPGA圧縮を有する。
【0114】
本発明のスリーピースゴルフボールのカバーは、約0.01から約0.20、好ましくは約0.02から約0.15、さらに好ましくは約0.03から約0.10、および最も好ましくは約0.03から約0.07インチの厚さを有する。
【0115】
さらに、本発明のスリーピースゴルフボールのカバーは、約25から約80、さらに好ましくは約30から約70、さらにより好ましくは約40から約60のショアーD硬度を有する。
【0116】
本発明のスリーピースゴルフボールは、約30より上、好ましくは40より上、さらに好ましくは約50より上、最も好ましくは約60より上のPGAボール圧縮を有する。
図1および2は、ツーピースおよびスリーピースゴルフボールの構造のみを図示するが、本発明のゴルフボールは、0から少なくとも5つの中間層、好ましくは0から3つの中間層、さらに好ましくは1つから3つの中間層、最も好ましくは1つから2つの中間層を含み得る。
【0117】
2つ以上の中間層を有する本発明のゴルフボールのコアは、約0.5から約1.62、好ましくは約0.7から約1.60、さらに好ましくは約1から約1.58、さらにより好ましくは約1.20から約1.54、および最も好ましくは約1.40から約1.50インチの直径を有する。
【0118】
2つ以上の中間層を有する本発明のゴルフボールのコアは、約10から約100、好ましくは約35から約90、さらに好ましくは約40から約80のPGA圧縮を有する。
2つ以上の中間層を有する本発明のゴルフボールのコアはまた、中心および中心の周りに配置された1つ以上のコア層を含んでもよい。これらのコア層は、中心部分に使用されるものと同一のゴムから作製されてもよく、あるいは異なる熱可塑性エラストマーであってもよい。様々なコア層(中心を含む)は、それぞれ異なる硬度を示し得る。中心硬度および次の隣接層の硬度の差、ならびに様々なコア層間の硬度の差は、ショアーDの2単位より上、好ましくは5単位より上、最も好ましくは10単位より上である。
【0119】
ある好ましい実施形態において、中心およびそれぞれの連続層の硬度は中心から外部コア層へ外側に行くにしたがって増加する。
別の好ましい実施形態において、中心およびそれぞれの連続層の硬度は外部コア層から中心へ内側に行くにしたがって減少する。
【0120】
2つ以上の中間層を有する本発明のゴルフボールの中間層は、約0.01から約0.50、好ましくは約0.02から約0.30、あるいはさらに好ましくは約0.03から約0.20、あるいは最も好ましくは約0.03から約0.10インチの厚さを有する。
【0121】
2つ以上の中間層を有する本発明のゴルフボールの中間層はまた、該ボールで測定されたように、約25より上、好ましくは約30より上、さらに好ましくは約40より上、および最も好ましくは約50より上のショアーD単位を有する。
2つ以上の中間層を有する本発明のゴルフボールの中間層はまた、約5から約500、好ましくは約15から約400、さらに好ましくは約20から約300、さらになお好ましくは約25から約200、および最も好ましくは約30から約150kpsiの曲げ弾性率を有する。
【0122】
2つ以上の中間層を有する本発明のゴルフボールのカバー層は、約0.01から約0.10、好ましくは約0.02から約0.08、さらに好ましくは約0.03から約0.06インチの厚さを有する。
【0123】
2つ以上の中間層を有する本発明のゴルフボールのカバー層はまた、該ボールで測定されたように、約40から約70、好ましくは約45から約70あるいは約50から約70、さらに好ましくは47から約68あるいは約45から約70、および最も好ましくは約50から約65のショアーDを有する。
【0124】
本発明のツー、スリー、またはマルチピースゴルフボールのCORは、125フィート/秒のインバウンド速度で、約0.760より大きく、好ましくは約0.780より大きく、さらに好ましくは0.790より大きく、最も好ましくは0.795より大きく、および特に0.800より大きい。
【0125】
本発明のツー、スリー、またはマルチピースゴルフボールのCORは、143フィート/秒のインバウンド速度で、約0.760より大きく、好ましくは約0.780より大きく、さらに好ましくは0.790より大きく、最も好ましくは0.795より大きく、および特に0.800より大きい。
【実施例】
【0126】
以下の実施例は、開示された本発明の実施形態のある特徴を説明するために提供される。本技術分野における当業者であれば、本発明がこれらの実施形態によって例示される特徴に限定されないことは理解するであろう。
【0127】
本発明、実施例1、ならびに比較実施例1および2のディンプルパターンを有するゴルフボールが検査されている。実施例1は、直径が1.48インチで、厚さが0.068インチのイオノマー外套で包囲され、ボール上で測定された65のショアーDを有するシス−ポリブタジエンコアと、厚さが0.03インチで、ボール上で測定された58のショアーDを有する成形ポリウレタンカバーと、を有するスリーピースボールである。比較実施例1は、MAXFLI Noodle Longおよび軟式ゴルフボールであった。比較実施例2は、MAXFLI Revolution EXTゴルフボールであった。結果を下表1に示す。実施例のゴルフボールは、異なる体積の複数個のディンプルを有する。ディンプルは、表1に表されるようにディンプルの総体積を有する表面積上に配置される。明らかに示されるように、実施例1は、Vs/VeおよびVp/Vsはともに0.97未満である。比較実施例1および2は、比のうちの少なくとも1つが0.97を超える。表の抗力係数の数値CDpは、ディンプルパターンの有害抗力を意味し、160mphおよび2000rpmで実験的に測定された。CL/CDの値は、全抗力係数に対する揚力係数の比を意味する。
【0128】
低から中程度のスピン率を有するボールでは、飛距離を評価する場合、有害抗力を減少させ、揚抗比を増加させることは重要である。表において、実施例1は、比較実施例に対して優位の有害抗力およびCL/CDを有する。
【0129】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
緯度0°の赤道および緯度90°の極と、0から25°の緯度によって画定される赤道領域と、25°より大きい緯度から65°未満までの緯度によって画定される肩領域と、65°から90°の緯度によって画定される極領域と、を有し、その表面上に多数のディンプルを有するゴルフボールであって、Veは前記赤道領域のディンプルの平均体積であり、Vsは前記肩領域のディンプルの平均体積であり、Vpは前記極領域のディンプルの平均体積であり、Vs/Veの比は0.97未満であり、Vp/Vsの比は0.97未満であることを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】
ディンプルの総体積(TDV)は370から385mmであることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】
0.50から0.58の体積比を有することを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項4】
Vs/Veの比は0.94未満であり、Vp/Vsの比は0.94未満であることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項5】
Vs/Veの比は0.90未満であり、Vp/Vsの比は0.90未満であることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項6】
熱硬化性ポリウレタン、熱硬化性ポリ尿素、およびそれらのあらゆる組み合わせから成る群から選択されるカバー層を有するゴルフボールであって、前記ゴルフボールは、緯度0°の赤道および緯度90°の極を有する熱硬化性カバーの表面に配置される複数の異なる組のディンプルと、0から25°の緯度によって画定される赤道領域と、25°より大きい緯度から65°未満までの緯度によって画定される肩領域と、65°から90°の緯度によって画定される極領域と、を含み、Veは前記赤道領域のディンプルの平均体積であり、Vsは前記肩領域のディンプルの平均体積であり、Vpは前記極領域のディンプルの平均体積であり、Vs/Veの比は0.97未満であり、Vp/Vsの比は0.97未満であることを特徴とするゴルフボール。
【請求項7】
前記ゴルフボールは、ポリブタジエンを含むコアと、イオノマーを含む中間層と、ポリウレタンを含むカバー層と、を有するスリーピースゴルフボールであることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項8】
前記ゴルフボールは、ポリブタジエンを含むコアと、イオノマーを含む中間層と、ポリウレタンを含むカバー層と、を有する、スリーピースゴルフボールであることを特徴とする請求項6に記載のゴルフボール。
【請求項9】
前記ゴルフボールは、極のボール配向の極と水平配向の極との間の飛距離の差の平均が4.0ヤード未満であり、極のボール配向の極と水平配向の極との間の飛行時間の差の平均が0.40秒未満であることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項10】
前記ゴルフボールは、極のボール配向の極と水平配向の極との間の飛距離の差の平均が4.0ヤード未満であり、極のボール配向の極と水平配向の極との間の飛行時間の差の平均が0.40秒未満であることを特徴とする請求項6に記載のゴルフボール。
【請求項11】
緯度0°の赤道および緯度90°の極と、0から25°の緯度によって画定される赤道領域と、25°より大きい緯度から65°未満までの緯度によって画定される肩領域と、65°から90°の緯度によって画定される極領域と、を有し、その表面上に多数のディンプルを有するゴルフボールであって、Veは前記赤道領域のディンプルの平均体積であり、Vsは前記肩領域のディンプルの平均体積であり、Vpは前記極領域のディンプルの平均体積であり、Vs/Veの比は0.97未満であり、Vp/Vsの比は0.97未満であり、
1)中心を含むコアと、
2)外部カバー層と、
3)1つ以上の中間層と、をさらに含み、
前記外部カバー層および前記中間層のうちの少なくとも1つは、
(A)約1から約99重量%(成分AとBの混合した重量に基づいて)のブロック共重合体と、
(B)約1から約99重量%(成分AとBの混合した重量に基づいて)の
a)1つ以上のユニモーダル酸性ポリマー、または
b)バイモーダルポリマー混合組成物であって、
i)約80,000から約500,000の重量平均分子量(Mw)を有し、1つ以上のエチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重合体および/または1つ以上のエチレン、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ターポリマーを含む高分子量成分と、
ii)約2,000から約30,000の重量平均分子量(Mw)を有し、1つ以上のエチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重合体および/または1つ以上のエチレン、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ターポリマーを含む低分子量成分と、を含む、バイモーダルポリマー混合組成物と、
(C)成分(B)の酸性基の約30パーセント以上で中和する量に存在する1つ以上の塩基性金属塩と、の混合組成物を含み、
(D)前記混合組成物は、約5g/10分を上回るメルトインデックスと、約500から約100,000psiの曲げ弾性率と、約25から約70の材料のショアーD硬度と、を有し、
前記ゴルフボールは、ボールにおいて測定されるように約35から約70のカバー層のショアーD硬度と、約4未満の剪断抵抗と、を有することを特徴とするゴルフボール。
【請求項12】
1)前記外部カバー層は、
(A)約10から約90重量%(成分AとBの混合した重量に基づいて)のスチレンブロック共重合体と、
(B)約10から約90重量%(成分AとBの混合した重量に基づいて)の
a)1つ以上のユニモーダル酸性ポリマー、または
b)バイモーダルポリマー混合組成物であって、
i)約80,000から約500,000の重量平均分子量(Mw)を有し、1つ以上のエチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重合体、および/または1つ以上のエチレン、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ターポリマーを含む高分子量成分と、
ii)約2,000から約30,000の重量平均分子量(Mw)を有し、1つ以上のエチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重合体、および/または1つ以上のエチレン、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ターポリマーを含む低分子量成分と、を含む、バイモーダルポリマー混合組成物と、
(E)成分(B)の酸性基の約35パーセント以上で中和する量に存在し、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩、金属酢酸塩、ステアリン酸金属塩、金属ラウリル酸、金属オレイン酸塩、金属パルミチン酸塩、およびそれらのあらゆる組み合わせから成る群から選択される、1つ以上の塩基性金属塩と、の混合組成物を含み、
(F)前記混合組成物は、約10g/10分を上回るメルトインデックスと、約1000から約80,000psiの曲げ弾性率と、約30から約65の材料のショアーD硬度と、を有し、
2)前記1つ以上の中間層は、イオノマー、ポリアミド、ポリアルケナマー、およびそれらのあらゆる組み合わせから成る群から選択されるポリマーを含み、
前記ゴルフボールは、ボールにおいて測定されるように約45から約70のカバー層のショアーD硬度と、約3未満の剪断抵抗と、を有することを特徴とする請求項11に記載のゴルフボール。
【請求項13】
1)前記外部カバー層は、
(A)約20から約80重量%(成分AとBの混合した重量に基づいて)のスチレンブロック共重合体と、
(B)約20から約80重量%(成分AとBの混合した重量に基づいて)の
a)1つ以上のユニモーダル酸性ポリマー、または
b)バイモーダルポリマー混合組成物であって、
i)約80,000から約500,000の重量平均分子量(Mw)を有し、1つ以上のエチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重合体、および/または1つ以上のエチレン、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ターポリマーを含む高分子量成分と、
ii)約2,000から約30,000の重量平均分子量(Mw)を有し、1つ以上のエチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重合体、および/または1つ以上のエチレン、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ターポリマーを含む低分子量成分と、を含む、バイモーダルポリマー混合組成物と、
(G)成分(B)の酸性基の約40パーセント以上で中和する量に存在し、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩、金属酢酸塩、ステアリン酸金属塩、金属ラウリル酸、金属オレイン酸塩、金属パルミチン酸塩、およびそれらのあらゆる組み合わせから成る群から選択される、1つ以上の塩基性金属塩と、の混合組成物を含み、
(H)前記混合組成物は、約15g/10分を上回るメルトインデックスと、約1500から約60,000psiの曲げ弾性率と、約35から約60の材料のショアーD硬度と、を有し、
2)前記1つ以上の中間層は、イオノマー、ポリアミド、ポリオクテナマー、およびそれらのあらゆる組み合わせから成る群から選択されるポリマーを含み、
前記ゴルフボールは、前記ボールにおいて測定されるように約50から約70のカバー層のショアーD硬度と、約2未満の剪断抵抗と、を有することを特徴とする請求項11に記載のゴルフボール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−195697(P2009−195697A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−35004(P2009−35004)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(502330377)テイラー メイド ゴルフ カンパニー, インコーポレーテッド (15)