ゴルフ用手袋
【課題】ゴルフ用手袋の脱着操作毎の不快雑音を未然に防止し、静粛性を保てるようにした。
【解決手段】ゴルフ用手袋1の甲部12に、手首側端部から指方向にスリット16が形成され、スリット16の一側にリストバンド18の基部が固定されるとともに、リストバンド18をスリット16他側の甲部12に設けた固定部20に着脱可能に固定させるようにしたゴルフ用手袋1において、リストバンド18と固定部20内には、互いに磁着可能な可撓性を有するマグネットシート20を埋設し、マグネットシート20の磁着力によりリストバンド18を固定部20に開閉自在に固定させるようにした。
【解決手段】ゴルフ用手袋1の甲部12に、手首側端部から指方向にスリット16が形成され、スリット16の一側にリストバンド18の基部が固定されるとともに、リストバンド18をスリット16他側の甲部12に設けた固定部20に着脱可能に固定させるようにしたゴルフ用手袋1において、リストバンド18と固定部20内には、互いに磁着可能な可撓性を有するマグネットシート20を埋設し、マグネットシート20の磁着力によりリストバンド18を固定部20に開閉自在に固定させるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフ用手袋に関し、特に脱着時における不快雑音を軽減できるようにした手袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ用の小物用品の一つにゴルフ用手袋がある。このゴルフ用手袋は、防寒用やアクセサリーとしてではなく、初期のV字形グリップの形を確保し、クラブフェースの管理を十分に行えるようにすることを目的として用いられる。それ故、素材としては摩擦力が大きく、薄く柔軟な素材で構成され、利腕の反対側の手に装着し、リストバンドの固定によって、手に密着固定させた状態で使用するものである。
【0003】
リストバンドをゴルフ用手袋に巻きつけ固定するための手段としては、特許文献1及び2に示されるように、雌雄の面ファスナがある。特許文献2のゴルフ手袋は、リストバンド(締着バンド)を基片と覆片とで上下二重に構成し、基片と覆片との間をマーカー収納部とし、マーカーを軟質磁石で吸着させるようにしているが、リストバンド(締着バンド)は手袋の甲部に面状ファスナーにより係着させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−214821号公報
【特許文献2】特開2004−57648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アマチュア、プロのいずれにおいても、複数人でゴルフプレイする場合、極端な緊張を強いられる。それ故、プレイしている以外の人、例えばパートナーおよび周囲のギャラリーには静粛性が要求され、プレイヤーのショット時における集中力を乱すことがないよう配慮することがマナーとして普及している。
【0006】
その一方で、ゴルファーは掌の汗ばみを防止するため、特に夏期などにおいては、一打毎に手袋を脱着する場合がある。また特にパター時には、手袋を取外してからパター動作を行うようになっている。このような場合には、リストバンドを手袋から引き剥がしてから取外すのであるが、この引き剥がし時に面ファスナーに固有の離脱音である「バリバリ」と擬音で表される音がし、周囲が静粛に保たれる中、次のプレイヤーには以外と大きな音として認識する場合があり、アドレスに入った次のゴルファーの集中力を乱す原因となっている。
【0007】
本発明は、以上の課題を解決するものであり、その目的とするところは、ゴルフ用手袋の脱着操作毎の不快雑音を未然に防止し、静粛性を保てるようにしたゴルフ用手袋を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための手段を実施の形態に対応する図面を用いて説明する。
本発明では、ゴルフ用手袋1の甲部12に、手首側端部から指方向にスリット16が形成され、スリット16の一側にリストバンド18の基部が固定されるとともに、リストバンド18をスリット16他側の甲部12に設けた固定部20に着脱可能に固定させるようにしたゴルフ用手袋1において、前記リストバンド18と前記固定部20内には、互いに磁着可能な可撓性を有するマグネットシート20が埋設され、マグネットシート20の磁着力によりリストバンド18が固定部20に開閉自在に固定されるようにしたことを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明では、前記リストバンド18は、略角形、略楕円形などフラッパ形状の幅広の外形とされるとともに、その内部に埋設される前記マグネットシート22は、リストバンド18の外形に沿った幅広の形状とされ、前記固定部20内のマグネットシート22は、リストバンド18内のマグネットシート22の外形に略沿った幅広の形状とされていることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明では、前記リストバンド18及び前記固定部20の、互いに固定される対向表面には、ミクロンオーダーの微細なエンボス状凹凸模様が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に示されるように、前記リストバンド18及び前記固定部20には、前記マグネットシート22抜き差し用のスリット24が形成されていても良い。
【0012】
請求項5の発明では、前記マグネットシート22は、ネオジウム磁石粉のような強力な磁力を有する磁粉をプラスチック或いはゴムよりなる可撓性シート内に分散して成形された構造であるとともに、SN極のラインを幅方向に交互に着磁させた構造であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に示されるように、前記リストバンド18と前記固定部20内に埋設されるマグネットシートの一方は、それ自体磁着力を有するシートであり、他方は、それ自体磁着力を有せず一方のシートに磁着されるシートであっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ゴルフ用手袋の着脱時に従来の面ファスナに比べて引き剥がし音などが発生することがないため、静粛性が保たれ、アドレスに入ったゴルファーの集中力をこの種の雑音で乱すことがなく、マナー向上の上で好適である。また、従来のゴルフ用手袋では、リストバンドを開いた状態で、その甲部の表面に、面ファスナーの雌雄突起が表出され、肌触りが悪いが、本発明では、リストバンド着脱用のマグネットシートが手袋の表面皮材内に埋設されているため、手触りがよく、美観の点でも優れている。請求項3に示すような微細な凹凸模様を形成させることにより、肌触り及び美観が優れ、リストバンドの横方向への引き剥がし抵抗が増大する。
【0015】
請求項2及び5に示す本発明では、横方向の引き剥がし力に対する抵抗力が強く、手袋を装着した状態での手に対する密着力を十分に確保できる一方、垂直方向に対する着脱強度が小さいため、簡単に着脱が可能となる。
【0016】
請求項4に示す本発明では、手袋の製造後に挿通用スリットを通じてシート状マグネットを取付端および固定部に装填すればよいため、アセンブリ作業が簡単にできる。また、洗濯やアイロンがけプレス時にマグネットシートが支障になるということがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)〜(c)はゴルフ用手袋を用いたグリップ手順を示す説明図である。
【図2】(a),(b)は本発明の第1実施形態によるゴルフ用手袋のバンド脱着状態を示す説明用正面図である。
【図3】図2(a)のA−A線における部分断面図である。
【図4】手首バンドの取外し状態を示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示す一部拡大部分を含む説明用正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した実施の形態例を図1〜5を参照して説明する。
図1は本発明に係るゴルフ用手袋(以下単に手袋と称する)1の使用例を示すものであり、この手袋1は利腕とは反対側の手(図では左手を例示している)に装着した状態で使用されるものである。その手順は、図1(a)に示すように、クラブのグリップ2を手袋1の掌に対し斜めにセットし、次いで(b)に示すように、親指と人差指とでできるV字が左肩を差し、手の甲を目標と正対することでスクェアグリップとなり、親指はシャフトの真上から根本に沿って付ける。その後は(c)に示すように右腕の掌を下に向け、左親指の真上に被せる。右人差指と親指でシャフトを左右から強く挟むことによって、特に女性など握力の小さな人であっても、手袋1の摩擦力と相まってグリップが安定し、ダウンブローでの安定したショットが可能となる。
【0019】
このような目標を達成するため、手袋1は、山羊皮などの薄く柔軟で、摩擦力の高い素材で構成されており、装着状態で手に密着させるために、同図1および図2に示すごとく、手首10の周囲および甲部12側には指配列に沿って裏面側にゴムなどの弾性帯が縫合により一体化され、その縫合箇所10a,12aが皺よりとして表出している。
【0020】
また各指の甲部12側の面にはその長さ方向に沿って複数の小孔からなる通気孔14,14・・・が一列に形成され、通気性を確保するようになっている。
【0021】
さらに、特に図2に示すように、甲部12側においては、小指側から手首10側端部に向けて斜めに広がるスリット16が形成され、このスリット16における小指側の縁部にはリストバンド18が縫合により取り付けられ、甲部12側に設けた固定部20に接触離間可能に対向している。なおスリット16の小指側は、裏面に設けたゴムバンドなどにより伸縮可能となっており、可動片としてのリストバンド18を固定部20に固定した状態では、スリット16幅を狭めて甲部12側に密着させるようになっている。
【0022】
リストバンド18は、図3に示すように、モールで縁取られ、かつ袋状に縫合されたやや硬質の表装材18aと手袋1と同一素材からなる裏皮18bの内側に薄板状であって、可撓性を有するシート状マグネットよりなるマグネットシート22を内蔵したものである。リストバンド18は、広幅テープ形状のほか、略角形(四角形状、台形状、六角形状など)、或いは、楕円形状などの広幅フラッパ形状であることが、固定部20との固定力の点で望ましい。
【0023】
また、固定部20は手袋1の甲部12の表面に同一素材からなる表皮20aの周囲を逢着したものであり、この内部には前記と同じく薄板状であって可撓性を有するマグネットシート22を内蔵したものである。
【0024】
マグネットシート22としては、強力磁粉をプラスチック、ゴム等に分散し、混練、成形したものが用いられ、ネオジム系の例えば、Nd−Fe−B系等方向性ナノコンポジット磁石粉(商品名SPRAX)などが強力な磁性を有するため好ましい。また、着磁方法として、SN極のラインを略10mmから数mm間隔で幅方向に交互に着磁させることにより、横滑りに強く、垂直方向の脱着強度を小さくできる。
【0025】
なお、リストバンド18の裏面と固定部20の表面に、エンボス模様などの微細な凹凸模様を施すことにより、横滑りに強く、手触りの点でも良好となる。
【0026】
以上の構成において、手袋1の着脱にあたっては、図4に示すように、リストバンド18を手で摘んで固定部20から引き剥がせば簡単に脱離でき、その際の雑音も全くない。また一旦吸着した状態では横方向に引き剥がし力が働いても強力な磁力により吸着状態が保持され、不意の脱落なども未然に防止できる。
【0027】
図5は第2実施形態を示すものである。本実施形態においては、リストバンド18における裏皮18bおよび固定部20における表皮20aにそれぞれ挿通用スリット24,24を形成し、各スリット24を通じてそれぞれマグネットシート22,22をリストバンド18および固定部20の内部に装填可能とした以外は第1実施形態と同じである。
【0028】
本実施形態においては、手袋1の製造後に、マグネットシート22を装着できるため、縫合による場合に比べてアッセンブリ作業が簡単となる。手袋1の製造時に、マグネットシート22を逢着して挿入することも差し支えなく、この場合には、上記スリット24は不要である。
【0029】
なお、図5には、その一部に拡大して示すように、マグネットシート22の着磁方法が示されている。図例では例えばマグネットの長さ方向を略3mm〜略10mm毎に仕切り、その仕切毎にSNに着磁させることにより、前述のごとく横滑りに強く、垂直方向の引きはがしが簡単な吸着磁力を得られるようにしている。
【符号の説明】
【0030】
1 ゴルフ用手袋
2 グリップ
10 手首
10a 縫合箇所
12 甲部
12a 縫合箇所
14 通気孔
16 スリット
18 リストバンド
18a 表装材、18b 裏皮
20 固定部
20a 表皮
22 マグネットシート
24 スリット
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフ用手袋に関し、特に脱着時における不快雑音を軽減できるようにした手袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ用の小物用品の一つにゴルフ用手袋がある。このゴルフ用手袋は、防寒用やアクセサリーとしてではなく、初期のV字形グリップの形を確保し、クラブフェースの管理を十分に行えるようにすることを目的として用いられる。それ故、素材としては摩擦力が大きく、薄く柔軟な素材で構成され、利腕の反対側の手に装着し、リストバンドの固定によって、手に密着固定させた状態で使用するものである。
【0003】
リストバンドをゴルフ用手袋に巻きつけ固定するための手段としては、特許文献1及び2に示されるように、雌雄の面ファスナがある。特許文献2のゴルフ手袋は、リストバンド(締着バンド)を基片と覆片とで上下二重に構成し、基片と覆片との間をマーカー収納部とし、マーカーを軟質磁石で吸着させるようにしているが、リストバンド(締着バンド)は手袋の甲部に面状ファスナーにより係着させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−214821号公報
【特許文献2】特開2004−57648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アマチュア、プロのいずれにおいても、複数人でゴルフプレイする場合、極端な緊張を強いられる。それ故、プレイしている以外の人、例えばパートナーおよび周囲のギャラリーには静粛性が要求され、プレイヤーのショット時における集中力を乱すことがないよう配慮することがマナーとして普及している。
【0006】
その一方で、ゴルファーは掌の汗ばみを防止するため、特に夏期などにおいては、一打毎に手袋を脱着する場合がある。また特にパター時には、手袋を取外してからパター動作を行うようになっている。このような場合には、リストバンドを手袋から引き剥がしてから取外すのであるが、この引き剥がし時に面ファスナーに固有の離脱音である「バリバリ」と擬音で表される音がし、周囲が静粛に保たれる中、次のプレイヤーには以外と大きな音として認識する場合があり、アドレスに入った次のゴルファーの集中力を乱す原因となっている。
【0007】
本発明は、以上の課題を解決するものであり、その目的とするところは、ゴルフ用手袋の脱着操作毎の不快雑音を未然に防止し、静粛性を保てるようにしたゴルフ用手袋を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための手段を実施の形態に対応する図面を用いて説明する。
本発明では、ゴルフ用手袋1の甲部12に、手首側端部から指方向にスリット16が形成され、スリット16の一側にリストバンド18の基部が固定されるとともに、リストバンド18をスリット16他側の甲部12に設けた固定部20に着脱可能に固定させるようにしたゴルフ用手袋1において、前記リストバンド18と前記固定部20内には、互いに磁着可能な可撓性を有するマグネットシート20が埋設され、マグネットシート20の磁着力によりリストバンド18が固定部20に開閉自在に固定されるようにしたことを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明では、前記リストバンド18は、略角形、略楕円形などフラッパ形状の幅広の外形とされるとともに、その内部に埋設される前記マグネットシート22は、リストバンド18の外形に沿った幅広の形状とされ、前記固定部20内のマグネットシート22は、リストバンド18内のマグネットシート22の外形に略沿った幅広の形状とされていることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明では、前記リストバンド18及び前記固定部20の、互いに固定される対向表面には、ミクロンオーダーの微細なエンボス状凹凸模様が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に示されるように、前記リストバンド18及び前記固定部20には、前記マグネットシート22抜き差し用のスリット24が形成されていても良い。
【0012】
請求項5の発明では、前記マグネットシート22は、ネオジウム磁石粉のような強力な磁力を有する磁粉をプラスチック或いはゴムよりなる可撓性シート内に分散して成形された構造であるとともに、SN極のラインを幅方向に交互に着磁させた構造であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に示されるように、前記リストバンド18と前記固定部20内に埋設されるマグネットシートの一方は、それ自体磁着力を有するシートであり、他方は、それ自体磁着力を有せず一方のシートに磁着されるシートであっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ゴルフ用手袋の着脱時に従来の面ファスナに比べて引き剥がし音などが発生することがないため、静粛性が保たれ、アドレスに入ったゴルファーの集中力をこの種の雑音で乱すことがなく、マナー向上の上で好適である。また、従来のゴルフ用手袋では、リストバンドを開いた状態で、その甲部の表面に、面ファスナーの雌雄突起が表出され、肌触りが悪いが、本発明では、リストバンド着脱用のマグネットシートが手袋の表面皮材内に埋設されているため、手触りがよく、美観の点でも優れている。請求項3に示すような微細な凹凸模様を形成させることにより、肌触り及び美観が優れ、リストバンドの横方向への引き剥がし抵抗が増大する。
【0015】
請求項2及び5に示す本発明では、横方向の引き剥がし力に対する抵抗力が強く、手袋を装着した状態での手に対する密着力を十分に確保できる一方、垂直方向に対する着脱強度が小さいため、簡単に着脱が可能となる。
【0016】
請求項4に示す本発明では、手袋の製造後に挿通用スリットを通じてシート状マグネットを取付端および固定部に装填すればよいため、アセンブリ作業が簡単にできる。また、洗濯やアイロンがけプレス時にマグネットシートが支障になるということがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)〜(c)はゴルフ用手袋を用いたグリップ手順を示す説明図である。
【図2】(a),(b)は本発明の第1実施形態によるゴルフ用手袋のバンド脱着状態を示す説明用正面図である。
【図3】図2(a)のA−A線における部分断面図である。
【図4】手首バンドの取外し状態を示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示す一部拡大部分を含む説明用正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した実施の形態例を図1〜5を参照して説明する。
図1は本発明に係るゴルフ用手袋(以下単に手袋と称する)1の使用例を示すものであり、この手袋1は利腕とは反対側の手(図では左手を例示している)に装着した状態で使用されるものである。その手順は、図1(a)に示すように、クラブのグリップ2を手袋1の掌に対し斜めにセットし、次いで(b)に示すように、親指と人差指とでできるV字が左肩を差し、手の甲を目標と正対することでスクェアグリップとなり、親指はシャフトの真上から根本に沿って付ける。その後は(c)に示すように右腕の掌を下に向け、左親指の真上に被せる。右人差指と親指でシャフトを左右から強く挟むことによって、特に女性など握力の小さな人であっても、手袋1の摩擦力と相まってグリップが安定し、ダウンブローでの安定したショットが可能となる。
【0019】
このような目標を達成するため、手袋1は、山羊皮などの薄く柔軟で、摩擦力の高い素材で構成されており、装着状態で手に密着させるために、同図1および図2に示すごとく、手首10の周囲および甲部12側には指配列に沿って裏面側にゴムなどの弾性帯が縫合により一体化され、その縫合箇所10a,12aが皺よりとして表出している。
【0020】
また各指の甲部12側の面にはその長さ方向に沿って複数の小孔からなる通気孔14,14・・・が一列に形成され、通気性を確保するようになっている。
【0021】
さらに、特に図2に示すように、甲部12側においては、小指側から手首10側端部に向けて斜めに広がるスリット16が形成され、このスリット16における小指側の縁部にはリストバンド18が縫合により取り付けられ、甲部12側に設けた固定部20に接触離間可能に対向している。なおスリット16の小指側は、裏面に設けたゴムバンドなどにより伸縮可能となっており、可動片としてのリストバンド18を固定部20に固定した状態では、スリット16幅を狭めて甲部12側に密着させるようになっている。
【0022】
リストバンド18は、図3に示すように、モールで縁取られ、かつ袋状に縫合されたやや硬質の表装材18aと手袋1と同一素材からなる裏皮18bの内側に薄板状であって、可撓性を有するシート状マグネットよりなるマグネットシート22を内蔵したものである。リストバンド18は、広幅テープ形状のほか、略角形(四角形状、台形状、六角形状など)、或いは、楕円形状などの広幅フラッパ形状であることが、固定部20との固定力の点で望ましい。
【0023】
また、固定部20は手袋1の甲部12の表面に同一素材からなる表皮20aの周囲を逢着したものであり、この内部には前記と同じく薄板状であって可撓性を有するマグネットシート22を内蔵したものである。
【0024】
マグネットシート22としては、強力磁粉をプラスチック、ゴム等に分散し、混練、成形したものが用いられ、ネオジム系の例えば、Nd−Fe−B系等方向性ナノコンポジット磁石粉(商品名SPRAX)などが強力な磁性を有するため好ましい。また、着磁方法として、SN極のラインを略10mmから数mm間隔で幅方向に交互に着磁させることにより、横滑りに強く、垂直方向の脱着強度を小さくできる。
【0025】
なお、リストバンド18の裏面と固定部20の表面に、エンボス模様などの微細な凹凸模様を施すことにより、横滑りに強く、手触りの点でも良好となる。
【0026】
以上の構成において、手袋1の着脱にあたっては、図4に示すように、リストバンド18を手で摘んで固定部20から引き剥がせば簡単に脱離でき、その際の雑音も全くない。また一旦吸着した状態では横方向に引き剥がし力が働いても強力な磁力により吸着状態が保持され、不意の脱落なども未然に防止できる。
【0027】
図5は第2実施形態を示すものである。本実施形態においては、リストバンド18における裏皮18bおよび固定部20における表皮20aにそれぞれ挿通用スリット24,24を形成し、各スリット24を通じてそれぞれマグネットシート22,22をリストバンド18および固定部20の内部に装填可能とした以外は第1実施形態と同じである。
【0028】
本実施形態においては、手袋1の製造後に、マグネットシート22を装着できるため、縫合による場合に比べてアッセンブリ作業が簡単となる。手袋1の製造時に、マグネットシート22を逢着して挿入することも差し支えなく、この場合には、上記スリット24は不要である。
【0029】
なお、図5には、その一部に拡大して示すように、マグネットシート22の着磁方法が示されている。図例では例えばマグネットの長さ方向を略3mm〜略10mm毎に仕切り、その仕切毎にSNに着磁させることにより、前述のごとく横滑りに強く、垂直方向の引きはがしが簡単な吸着磁力を得られるようにしている。
【符号の説明】
【0030】
1 ゴルフ用手袋
2 グリップ
10 手首
10a 縫合箇所
12 甲部
12a 縫合箇所
14 通気孔
16 スリット
18 リストバンド
18a 表装材、18b 裏皮
20 固定部
20a 表皮
22 マグネットシート
24 スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ用手袋の甲部に、手首側端部から指方向にスリットが形成され、スリットの一側にリストバンドの基部が固定されるとともに、リストバンドをスリット他側の甲部に設けた固定部に着脱可能に固定させるようにしたゴルフ用手袋において、
前記リストバンドと前記固定部内には、互いに磁着可能な可撓性を有するマグネットシートが埋設され、マグネットシートの磁着力によりリストバンドが固定部に開閉自在に固定されるようにしたことを特徴とするゴルフ用手袋。
【請求項2】
前記リストバンドは、幅広の外形とされるとともに、その内部に埋設される前記マグネットシートは、リストバンドの外形に沿った幅広の形状とされ、前記固定部内のマグネットシートは、リストバンド内のマグネットシートの外形に略沿った幅広の形状とされていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフ用手袋。
【請求項3】
前記リストバンド及び前記固定部の、互いに固定される対向表面には、微細な凹凸模様が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフ用手袋。
【請求項4】
前記リストバンド及び前記固定部には、前記マグネットシート抜き差し用のスリットが形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフ用手袋。
【請求項5】
前記マグネットシートは、ネオジウム磁石粉のような強力な磁力を有する磁粉をプラスチック或いはゴムよりなる可撓性シート内に分散して成形された構造であるとともに、SN極のラインを幅方向に交互に着磁させた構造であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のゴルフ用手袋。
【請求項6】
前記リストバンドと前記固定部内に埋設されるマグネットシートの一方は、それ自体磁着力を有するシートであり、他方は、それ自体磁着力を有せず一方のシートに磁着されるシートであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のゴルフ用手袋。
【請求項1】
ゴルフ用手袋の甲部に、手首側端部から指方向にスリットが形成され、スリットの一側にリストバンドの基部が固定されるとともに、リストバンドをスリット他側の甲部に設けた固定部に着脱可能に固定させるようにしたゴルフ用手袋において、
前記リストバンドと前記固定部内には、互いに磁着可能な可撓性を有するマグネットシートが埋設され、マグネットシートの磁着力によりリストバンドが固定部に開閉自在に固定されるようにしたことを特徴とするゴルフ用手袋。
【請求項2】
前記リストバンドは、幅広の外形とされるとともに、その内部に埋設される前記マグネットシートは、リストバンドの外形に沿った幅広の形状とされ、前記固定部内のマグネットシートは、リストバンド内のマグネットシートの外形に略沿った幅広の形状とされていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフ用手袋。
【請求項3】
前記リストバンド及び前記固定部の、互いに固定される対向表面には、微細な凹凸模様が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフ用手袋。
【請求項4】
前記リストバンド及び前記固定部には、前記マグネットシート抜き差し用のスリットが形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のゴルフ用手袋。
【請求項5】
前記マグネットシートは、ネオジウム磁石粉のような強力な磁力を有する磁粉をプラスチック或いはゴムよりなる可撓性シート内に分散して成形された構造であるとともに、SN極のラインを幅方向に交互に着磁させた構造であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のゴルフ用手袋。
【請求項6】
前記リストバンドと前記固定部内に埋設されるマグネットシートの一方は、それ自体磁着力を有するシートであり、他方は、それ自体磁着力を有せず一方のシートに磁着されるシートであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のゴルフ用手袋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2011−6809(P2011−6809A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150031(P2009−150031)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(593158308)森田ゴルフ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(593158308)森田ゴルフ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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