説明

ササクレシロオニタケから単離した2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸を有効成分とする抗菌・殺菌剤

【課題】 元来自然界に存在する天然物で、農業分野及び工業分野で抗菌・殺菌剤として使用できる新たな物質を提供すること。
【解決手段】 本発明は、2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸を有効成分とする産業用抗菌・殺菌剤を提供するものである。本有効成分化合物は、キノコの1種であるササクレシロオニタケ(Amanita cokeri)から抽出、単離することができる。また、キノコの1種であるコシロオニタケ(Amanita castanopsidis Hongo)からも抽出、単離することができ、化学合成法によっても製造することができる。2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸としては、シン体、アンチ体、これらの混合物のいずれもが有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌・殺菌剤に関するものであり、更に詳細には、農業分野及び工業分野において広範囲に適用可能な天然系の抗菌・殺菌剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農業分野において植物病害は生産性を低下させる重要な問題であり、安定した農業生産のため各農家は各種病害防除を行わなければならない。現在、病害防除は人為的に合成された抗菌・殺菌剤を使用する方法が主流となっているが、一方で化学農薬の過剰使用による環境汚染や人畜への影響等の問題が生じている。
【0003】
また工業分野においても、冷却水系や製紙工場におけるスライム形成抑制剤(スライムコントロール剤)として、顔料、切削油、皮革、建材、接着剤、プラスチック等の抗菌剤として、人為的に合成された抗菌・殺菌剤が使用されているが、農業分野と同様、公害に対する配慮や温血動物に対する安全性についての問題が生じている。
【0004】
このような農業分野及び工業分野での人為的に合成された抗菌・殺菌剤に対して、元来自然界に存在し、環境や人畜への負荷が少ないと考えられる天然物由来の抗菌・殺菌剤の開発が強く求められている。また、実際に抗菌・殺菌活性等の様々な活性を有する天然物を発見し、有効利用しようとする研究が盛んになっている。
【0005】
キノコの一種のコシロオニタケから単離された天然物である2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸は生物活性として発芽レタス根の伸張抑制をもつことが知られているが、この天然化合物を用いた抗菌・殺菌剤に関しての報告はまだない。ましてや、2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸がササクレシロオニタケから単離されることに関して、報告例は全くない(例えば、非特許文献1,2参照)。
【非特許文献1】H.Yoshimura et al., Phytochemistry, 52(1999), 25−27
【非特許文献2】Y.Morimoto et al., Chem. Commun.,(2002), 42−43
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
安全性指向、環境への配慮等当業界における強いニーズに鑑み、本発明の目的は、元来自然界に存在する天然物で、農業分野及び工業分野で広範に抗菌・殺菌剤として使用できる新たな物質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
多種類のキノコの抽出物について植物病原菌に対する拮抗作用を鋭意研究した結果、ササクレシロオニタケより抽出、単離した2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸がキュウリ炭疽病原菌に対し強い抗菌活性を有し、また各種細菌に対しても強い抗菌活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る有効成分化合物は、2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸であり、本化合物には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩、塩酸や硫酸等無機酸の塩、アミン類の塩といった各種塩類のほか、酢酸、プロピオン酸、酪酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸等有機酸の塩も包含される。
【0009】
また、本有効成分化合物は、シン体とアンチ体の2つのジアステレオマーが可能であり、本発明においては、これら双方及びこれらの混合物も有効成分として使用可能であるが、下記化1に示した化学式(I)で示される2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸を代表化合物として、以下、本発明について詳述する。
【0010】
【化1】

【0011】
したがって、本発明は、化学式(I)で示される2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸を有効成分とする産業用抗菌・殺菌剤を提供するものである。
【0012】
より詳しくは、化学式(I)で示される2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸を有効成分とするキュウリ炭疽病防除剤を提供するとともに、化学式(I)で示される2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸を植物に適用することによるキュウリ炭疽病の防除方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、化学式(I)で示される2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸を有効成分とする、バチルス属、エシェリヒア属、シュードモナス属その他各種細菌(例えば、Bacillus subtilis、Escherichia coli、Pseudomonas putida)に対しても高い抗菌活性を有する抗菌剤も提供する。
【0014】
更に、本発明は、化学式(I)で示される2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸を、キノコの一種のササクレシロオニタケより抽出、単離する方法も提供するものである。
【0015】
ササクレシロオニタケ(学名:Amanita cokeri(Gilb. et Kuhner) Gilb. f. roseotinata Nagasawa et Hongo)は、テングタケ科、テングタケ属に属するキノコであって、夏から秋にかけてアカマツ、コナラ林やモミの混じった広葉樹林内の地上に発生するキノコである。
【0016】
本発明は、このキノコの子実体及び/又は糸状体を、水を包含する水系溶媒、有機溶媒(メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル等のエーテル類;各種エステル類;これらの混液)、これらの混合溶媒で抽出する本発明の有効成分化合物を抽出する方法も提供ものである。本発明の有効成分化合物は水で抽出することができる点できわめて特徴的である。そして、所望する場合は、抽出液を必要に応じて濃縮した後、クロマトグラフィー、イオン交換樹脂処理、活性炭処理その他常法を単独又は適宜組み合わせて精製、単離すればよい。
【0017】
本発明に係るα−アミノ酸系有効成分化合物は、上記のようにササクレシロオニタケ(Amanita cokeri)から抽出して得ることができるほか、コシロオニタケ(Amanita castanopsidis Hongo)から、抽出して得ることができる。この場合、例えば、コシロオニタケ子実体をメタノールで抽出した後、n−ブタノールで分配し、n−ブタノール層をHPLC処理することにより、精製することができる。また、例えばケトエノール互変異性化を利用する化学合成法によっても、本発明に係るシクロプロパン環含有α−アミノ酸を得ることも可能である。
【0018】
本発明の産業用抗菌・殺菌剤は、農業分野においては植物病害であるキュウリ炭疽病に対する植物病害防除剤の有効成分として、工業分野においては冷却水系や製紙工場におけるスライム形成抑制剤(スライムコントロール剤)、顔料、切削油、皮革、建材、接着剤、プラスチツク等の抗菌剤として、また、化粧品、工業薬品(洗剤、石けん等)の抗菌剤として用いることができる。
【0019】
農業分野において、化合物(I)は、それ自体で農業用抗菌・殺菌剤として用いることができるが、公知の農薬補助剤を含んだ組成物の形態で農業用抗菌・殺菌剤として用いることが好ましい。その形態は、例えば、乳剤、水和剤、水溶剤、懸濁剤(フロアブル剤)、油剤等の液剤、粉剤、微粒剤、粒剤、錠剤、マイクロカプセル剤等の固形剤、くん煙剤、くん蒸剤等の形態の組成物が好適である。補助剤は、例えば、効果の向上、安定化、分散性の向上等の目的で使用することができ、具体的には、担体(希釈剤)、展着剤、乳化剤、湿展剤、分散剤、崩壊剤等を挙げることができる。
【0020】
液体担体としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノール、グリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メチルナフタレン、シクロヘキサン、動植物油、脂肪酸等を用いることができる。
【0021】
固体担体としては、例えば、クレー、カオリン、タルク、珪藻土、シリカ、炭酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、長石、石英、アルミナ、鋸屑、ニトロセルロース、でんぷん、アラビアゴム等を用いることができる。
【0022】
乳化剤、分散剤としては、通常の界面活性剤を使用することができ、例えば、高級アルコール硫酸ナトリウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等の展着剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルスルホサクシネート等の湿展剤、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の固着剤、リグニンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の崩壊剤を用いることができる。
【0023】
農業用抗菌・殺菌剤に配合される化合物(I)の含有量は、特に限定されず、農業用抗菌・殺菌剤の形態、使用の目的及び使用方法等の条件に応じて適宜選択することが可能である。例えば、粉剤、水和剤及び乳化剤等では、農業用抗菌・殺菌剤の全重量に対して、0.001〜20重量%程度、好ましくは0.03〜10重量%程度の範囲から選択することができる。
【0024】
農業用抗菌・殺菌剤の形態、製造方法、並びに使用方法は、公知の方法に基づき当業者が適宜選択可能である。
【0025】
本発明の農業用抗菌・殺菌剤は、有効成分である化合物(I)以外に、他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、植物成育調整剤、肥料、土壌改良剤等の有効成分を任意に配合してもよい。
【0026】
本発明の農業用抗菌・殺菌剤の施用対象及び施用形態は、特に限定されないが、例えば、茎葉処理(液剤散布、粉剤散布、煙霧等)、種子処理(浸漬、粉衣、塗抹等)、土壌処理(粉剤散布、灌注、混和、くん蒸等)、水面施用(粒剤散布等)等のいずれでもよい。例えば、茎葉散布の場合、1〜1000ppm程度の溶液を1アールあたり10〜100L程度の施用量で用いればよく、水面施用の場合は、通常、有効成分が1〜20%程度の粒剤では、1アールあたり0.1〜1kg程度であればよい。
【0027】
工業分野において、化合物(I)は、工業用殺菌剤として使用しうる任意の形態ないし使用形態をとることができる。具体的には、本発明化合物をそのまま、または、水、有機溶媒、固体粉末その他の適当な担体を用いて希釈して使用するか、あるいは、工業用殺菌剤の製造に一般的に使用されている方法によって各種の液体または固体担体を混合し、必要ならば、湿潤剤、分散剤、乳化剤、固着剤、滑沢剤等の補助剤を加えて、水和剤、液剤、乳剤、粉剤、粒剤、微粒剤等の様々な製剤形態にして使用することができる。これらの製剤には有効成分として本発明化合物を、重量比で、0.1〜99.9%、好ましくは1〜99%含有する。
【0028】
液体担体としては、本発明化合物に対して溶剤となるものまたは補助剤によって分散もしくは溶解させうるものが用いられる。例えば、水、メタノール、ジメチルスルホキシド等を用いることができる。
【0029】
固体担体としては、例えば、シリカゲル、ケイソウ土、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、クレー等を挙げることができる。
【0030】
補助剤としては、アセトン、ヘキサン等を挙げることができる。
【0031】
本発明化合物を工業用殺菌剤の有効成分として用いる場合、その使用濃度は、防除すべき細菌類の性質、および保護すべき材料の組成等に依存するが、一般に、適用濃度は保護すべき材料の重量に基づいて、0.01ppm〜100000ppmの範囲内であり、製紙用スライムコントロール剤として用いる場合は、0.05ppm〜100000ppmの範囲内が好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、化学式(I)で示される2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸はキュウリ炭疽病防除剤として使用することができ、植物体へ散布することにより高い防除効果が得られる。また、化学式(I)で示される2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸は農業分野及び工業分野での各種細菌に対する抗菌剤としても使用することができる。
【0033】
更に、化学式(I)で示される2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸は、元来自然界に存在する天然物であることから、環境や人畜への負荷が少ない。本化合物500mgをマウスに対して30日間経口投与したが、急性毒性は認められなかった。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例によって具体的に示すが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
(実施例1:ササクレシロオニタケからの2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸の抽出)
ササクレシロオニタケの子実体(カサ部)100gに純水を1L加えてミキサーで磨砕、ろ過し、ろ液を陽イオン交換樹脂(DOWEX 50W−X2(H+))に通して、陽イオン交換樹脂溶出画分を得た。陽イオン交換樹脂溶出画分を濃塩酸及びトリフルオロ酢酸でpH3.0に調節してから、活性炭カラムに通して活性炭溶出画分を得た。活性炭溶出画分を濃縮し、高速液体クロマトグラフィーにて分離し、FAB−MSによって文献値(非特許文献1)と同じ値を示す画分を得た。
【0036】
(機器分析データ)
δc(100MHz,D20) 3.53, 4.75, 13.58, 16.60, 40.23, 59.52, 173.37: δH(400MHz, D20) 0.18(1H,m)、0.28(1H,m)、0.56(2H,m)、0.74(1H,m)、1.16(3H,d=4.6)、1.43(1H,ddq=9.8, 4.6, 7.0)、3.95(1H,d=4.6); FAB−MSm/z(M+H)+ 144;Ninhydrin:positive; [α]D32.7 −9.2°(H2.O; c0.1)。
【0037】
上記のササクレシロオニタケから抽出し、最終的に得られた画分の機器分析データの結果はYoshimura(非特許文献1)のコシロオニタケ由来の2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸の値と同じであり、この画分が2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸を有していることを確認した。
【0038】
(試験例1:キュウリ炭疽病に対する防除効果)
直径6.0cmのプラスチック製の鉢に、キュウリ種子(品種:相模半白)を4粒づつ播種し、温室内で育成した。子葉が展開したキュウリに、得られた2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸の水溶液を1ポットあたり10ml散布して処理区とした。無処理区は水を散布した。風乾後、キュウリ炭疽病菌(Colletotrichum lagenarium)の分生胞子を接種し、温室内で管理した。接種5日後に子葉の病斑数を調査し、下記の式より防除価を算出した。結果を表1に示した。表中、処理区は、2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸をそれぞれ、10、50、100、500の処理濃度(ppm)で散布し、それぞれの防除価(%)を示したものである。
【0039】
防除価(%)=R×100
但し、
(R):(P−Q)/P
(P):無処理区の平均病斑数(個/葉)
(Q):処理区の平均病斑数(個/葉)
【0040】
(表1)
――――――――――――――――――――――――――――――
10 50 100 500
――――――――――――――――――――――――――――――
処理区 49.1 75.5 87.5 98.6
――――――――――――――――――――――――――――――
無処理区 平均病斑数44.0個/葉
――――――――――――――――――――――――――――――
【0041】
(試験例2:キュウリ炭疽病菌に対する菌糸生育阻止力)
所定濃度に調節した2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸水溶液を、高圧滅菌後50℃程度に冷やしたPDA培地に混入し、撹拌後、シャーレに流し込んで処理区とした。無処理区は同量の水をPDA培地に混入して作製した。培地が固まった後、あらかじめキュウリ炭疽病菌を前培養してあったPDA平板培地の菌叢再縁部を直径4mmのコルクボーラーで打ち抜いて菌叢ディスクとし、菌叢面を下にして2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸含有培地上へ移植した。移植7日後に、菌叢直径を測定し、下記の式より菌糸生育阻止率を算出した。結果を表2に示した。表中、処理区は、2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸を、それぞれ、1、10、100、500の処理濃度(ppm)で散布し、それぞれの菌糸生育阻止率(%)を示したものである。
【0042】
菌糸生育阻止率(%)=C×100
(C):(A−B)/A
(A):無処理区の平均菌叢直径(mm)−菌叢ディスクの直径(4mm)
(B):処理区の平均菌叢直径(mm)−菌叢ディスクの直径(4mm)
【0043】
(表2)
―――――――――――――――――――――――――――――
1 10 100 500
―――――――――――――――――――――――――――――
処理区 0.1 12.5 73.3 88.6
―――――――――――――――――――――――――――――
無処理区 菌叢直径40mm
―――――――――――――――――――――――――――――
【0044】
(試験例3:2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸の各種細菌に対する抗菌活性)
【0045】
供試菌として(イ)Bacillus subtilis(ATCC−6633)、(ロ)Escherichia coli(IFO−3301)、(ハ)Pseudomonas putida(IFO−14164)、(ニ)Saccharomyces cerevisiae(IFO−0251)を用いた。各種細菌はブイヨン液体培地で20時間振とう培養(27℃)したものを1.5mlマイクロチューブに移し、遠心集菌(10,000G 20℃ 5min)し、滅菌水中に懸濁、培地成分を洗浄した。この操作を2回行い、再び滅菌水中に懸濁し、菌体懸濁液を作製した。酵母はYEPD液体培地で3日間振とう培養(27℃)し、細菌と同様にして懸濁液を作製した。
【0046】
(各種細菌に対する抗菌活性)
上記で得られた細菌及び酵母菌体懸濁液を種菌として1%(V/V)の割合で含有させたDavis培地(K2HPO4 0.7%、KH2PO4 0.2%、MgSO4・7H2O 0.1%、(NH42SO4 0.1%、クエン酸ナトリウム・2H2O 0.05%、グルコース 0.2%)あるいはPeffer培地(スクロース 5%、KH2PO4 0.5%、FeCl3痕跡量、NH4NO3 0.1%、MgSO4・7H2O 0.25%)を作製し、2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸(500ppm)10μlを滴下して風乾させたろ紙(直径6mm)をその培地上に置き、27℃のインキュベーターで培養した。20時間後に阻止円の形成を調査した。結果を表3に示した。
【0047】
(表3)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
供試菌
(イ) (ロ) (ハ) (ニ)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
阻止円(mm) 26.9 28.1 26.6 8.0
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*:(イ)B.subtilis、(ロ)E.coli及び(ハ)P.putidaはDavis培地を、(ニ)S.cerevisiaeはPeffer培地を使用した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸を有効成分としてなること、を特徴とする抗菌・殺菌剤。
【請求項2】
農園芸用であること、を特徴とする請求項1に記載の抗菌・殺菌剤。
【請求項3】
工業用であること、を特徴とする請求項1に記載の抗菌・殺菌剤。
【請求項4】
2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸を有効成分とするキュウリ炭疽病防除剤。
【請求項5】
2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸を植物に適用すること、を特徴とするキュウリ炭疽病の防除方法。
【請求項6】
2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸を有効成分としてなること、を特徴とする細菌に対する抗菌剤。
【請求項7】
ササクレシロオニタケを水性溶媒、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒の少なくともひとつを用いて抽出すること、を特徴とする2−アミノ−3−シクロプロピルブタン酸の製造方法。

【公開番号】特開2006−248974(P2006−248974A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67087(P2005−67087)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(590002389)静岡県 (173)
【出願人】(000000169)クミアイ化学工業株式会社 (86)
【Fターム(参考)】