説明

サッシの指先挟み防止具

【課題】 ストッパーの不使用時の状態を確実に保持することができる斬新な構造の、サッシの指挟み防止具を提供する。
【解決手段】 内障子dの召合せ框1に止着する基盤に、外障子d´の戸先框2の走行路上に倒伏して先端が突出するストッパー4を基部において支軸12で回動自在に組付けたものであって、具体的には、前記ストッパー4に長孔11を設け、該長孔11に前記基盤に設けた支軸12を相対的に縦動可能に嵌挿して前記基盤に前記ストッパー4を回動自在に枢着する。また、ストッパー4に掛止突子18を設け、該掛止突子18を掛止する受止縁20を、基盤に設けた支軸12の直上に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き違いサッシにおける外障子の戸先框又は内障子の召合せ框に止着する基盤に、ストッパーを基部において回動自在に枢着し、前記内外障子の引違い操作の際、前記ストッパーを倒伏させてその先端を前記外障子又は内障子の走行路上に配して両障子(戸先框と召合せ框)によって指先を挟まれることを防ぐために用いるサッシの指先挟み防止具に関するものである。もっとも、片引きサッシにも適用できるものであるから、本発明は、正確には、片引きサッシにあっては戸先框と召合せ方立、また、引き違いサッシにあっては外障子の戸先框と内障子の召合せ框のいずれか一方に止着する基盤に、他方と見付け方向に重なり合う位置に先端が突出するストッパーの基部を支軸で回動自在に組付けたサッシの指先挟み防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サッシの指先挟み防止具は、前記の通り、ストッパーの先端を内障子又は外障子の走行路(レール)上に位置させて障子の引違いを規制して不注意による指先が挟まれるのを防ぐのであるが、引違い動作を必要とするときには、ストッパー先端を走行路上より後退させる必要があり、該後退状態の指先による保持は煩雑であるため、従来の防止具はばね手段を用いて当該状態を保持するようにしている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開昭59−130984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のばね手段は、板ばね或いはコイルばねの付勢を利用することは勿論であるが、ストッパーを動作させるには板ばね等の付勢に抗した動作を必要とし、圧接状態にある部材同士の一方を強制的に動作させるため自ら騒音が発生しがちで、動きも必ずしも円滑にいかない。
【0005】
本発明は、ストッパーの不使用時の状態を確実に保持することができることは勿論、ストッパーの動作時の騒音の発生も防げ、しかも、斬新な構造の、サッシの指先挟み防止具を提供すべく創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
片引きサッシにあっては戸先框と召合せ方立、また、引き違いサッシにあっては外障子の戸先框と内障子の召合せ框のいずれか一方に止着する基盤に、他方と見付け方向に重なり合う位置に先端が突出するストッパーの基部を支軸で回動自在に組付けたサッシの指先挟み防止具において、前記基盤と前記ストッパーの相対向面側のいずれか一方に長孔を設け、該長孔に他方に設けた支軸を相対的に縦動可能に嵌挿して前記基盤に前記ストッパーを回動自在に枢着し、また、ストッパーの前記先端側の前記相対向面に掛止突子を設け、該掛止突子を掛止する受止縁を、基盤の前記相対向面に設けた前記長孔又は支軸の直上に形成した構成とするのである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基盤に対する支軸を中心とする起伏動作を円滑に行えることは勿論、ストッパーの起立時には掛止突子を受止縁に受止させることにより当該起立状態を確実に保持することができ、倒伏操作時に騒音が発生することのない使用勝手の良好な指先挟み防止具を提供することができる。
【実施例】
【0008】
図面は本発明に係る、サッシの指先挟み防止具の実施例を示し、図1は使用状態を示す正面図、図2は図1の横断面図、図3は図1の縦断面図、図4は基盤とストッパーの起伏関係を示す動作説明図、図5はストッパーの分解斜視図、図6は防止具の配置図、図7はストッパーの第二実施例を示す斜視図である。
【0009】
図中、Aは本発明に係る、サッシの指先挟み防止具を示し、防止具Aは内外の障子d,d´を備えた引違いサッシの前記内障子dの召合せ框1に上下一対にして装置し、該召合せ框1と前記外障子d´の戸先框2との引違いを必要に応じて規制するようにして両框1,2によって指先が挟まれるのを未然に防止するものである。もっとも、框材の形状乃至構造にもよるが、前記の戸先框2(外障子d´)側に装置して召合せ框1(内障子d)の動きを規制するようにして用いても必ずしも不都合はない。
【0010】
前記の防止具Aは本体3とストッパー4を互いに組付けて構成したものであって、本体3は、上下両側に部分的に薄肉状にして形成した凹入部5に止着用のねじ6貫通用の透孔7を設けた基盤8の上下方向の中間部に、水平方向の受支部片9aと該受支部片9aの先端に折り曲げ状にして連設した前部片9bとで成るL字形の支持片9を突設して構成し、この本体3の支持片9の前部片9bと前記基盤8とで構成する間隙10内に、前記ストッパー4の下部を介在させ、該下部に形成した縦長の(ストッパー4の長手方向に長い)長孔11に前記前部片9bと前記基盤8間に架設した支軸12を嵌挿して基盤3に対してストッパー4を回動(起伏)自在に組付けてある。
【0011】
また、前記間隙10を構成する基盤8側の壁面には、該壁面を部分的に間隙10方向に突出させて基盤8両側間に渡る円弧状の段部19を設け、該段部19の中央(上端)を方形状に下方に凹入させて前記支軸12の直上に位置する受止縁20を設けてある。
【0012】
前記ストッパー4は、上下(長手)方向の両端を円弧状にした長円輪郭形体で成り、その下部側の一側に前記長手(上下)方向に沿わせて前記長孔11を設け、該長孔11部において前記支軸12によって前記基盤3に前記の通り回動自在に組付け、倒伏状態にしたとき、長孔11側の一側に対向する他の一側側が、基盤3の支持片9の前部片9bの側端より充分に突出する、上下(長手)方向両端間の長さを具備したものである。
【0013】
そして、このストッパー4の前記間隙10より常時突出する(すなわち、支持片9の前部片9bと常時重なり合わない)前記他の一側(長孔11側の一側に対応する)の外面側には突き当て材13を突出量調節自在にして組付けてある。
【0014】
突き当て材13は、ボルト体13aと該ボルト体13aの頭部に緩衝用の弾性片13bを組付けて成り、ストッパー4の前記外面側に設けた受入穴14に弾性片13bを組付けたボルト体13a頭部側を係合し、受入穴14の底部に設けた螺子孔15にボルト体13aの脚部13a´´を螺合するようにしてストッパー4に前記の通り組付け、脚部13a´´の螺子孔15´に対する螺合量を調節することによりストッパー4の外面からの突出量を調節して、ストッパー4(突き当て部材13)が前記戸先框2に接触することによって生じる前記召合せ框1と戸先框2間の隙間の幅調節と、図6で示すように召合せ框1の上下2箇所に用いる場合に、該上下に配した防止具A,Aのストッパー4(突き当て部材13)の一方に偏することなく、均一に戸先框2に接するようにしてある。
【0015】
また、ストッパー4の内面すなわち本体3の基盤8との相対向面に、前記螺子孔15に連通させた取付穴16を設け、該取付穴16に套装カバー17を嵌合して取付けて、突き当て材13の、取付穴16内に突出した突き当て材13の前記ボルト脚部13a´´を套装し、該カバー17の周端に設けた掛止突子18を前記長孔11乃至支軸12の直上に配置されるように位置させてある。
【0016】
套装カバー17は、円筒状の主体筒17Aの周端に厚肉部を方形状に突出させて前記掛止突子18としたもので、該カバー17が成す、ほぼ鍵孔輪郭形状と一致するようにして、しかも、方形部16aを前記長孔11側(ストッパー4の下端側)に配して、ストッパー4の、基盤3との対向面側に前記の通り設けた取付穴16に、ゴム素材とする弾性変形を利用して嵌着し、掛止突子18を本体3(基盤8)方向に突出させ、基盤3(止着盤8)側に設けた前記段部19の外側に位置するようにストッパー4に組付けてある。
【0017】
しかして、内障子dの召合せ框1の戸当り面に本体3の基盤8を重ね合わせ、凹入部5に形成した透孔7を通じて、ねじ6を、框部片(戸当り面を構成する)および補強片22(框部片にねじ止めした)に設けた螺子孔に螺合締付けることによって防止具Aは前記召合せ框1に固定され、本体3とで該防止具Aを構成するストッパー4を支軸12を貫通させた長孔11部を中心に回動させ、倒伏させると、ストッパー4の先端は、外障子d´の走行路上すなわち外障子d´の戸先框2の走行路上に突出する位置に配せられ、この状態で外障子d´を開放方向である内障子dと引違う方向に移動させると、外障子d´の戸先框2の走行路上にストッパー4が位置しているので、戸先框2はストッパー4に接してその移動(走行)を規制され、戸先框2と召合せ框1で指先が挟まれるのを確実に防止することができるのである。
【0018】
そして、内該障子d,d´の引き違い状態を得るには、ストッパー4を前記長孔11部を中心に回動させると、ストッパー4の先端側の、本体3の基盤8と相対する面側に設けた掛止突子18は、基盤8の、前記円弧状の段部19に沿って回動上昇し、支軸12の直状すなわち段部19の最上位の位置に至ったとき、指先を離すと、当該位置には、前記の通り、段部を下方に凹入させた形態にして受止縁20を設けてあるので、掛止突子18は降下して(嵌合して)当該受止縁20に掛止され、ストッパー4の長孔11部を中心とする回動は規制され、ストッパー4の前記走行路上からの後退状態が維持され、内外障子d,d´は自由に引違われる。
【0019】
図中、23は、本体3の支持片9の受支部片9aの上面中央に設けた凹入縁で、凹入縁23は、前記受止縁20乃至支軸12の直下に位置し、ストッパー4が掛止突子18を介して受止縁20に掛止したとき、その円弧状の端縁(下端縁)が係合するようになっている。
【0020】
また、図中24は、凹入部5に嵌合したねじ6(の頭部)を隠すためのカバーである。
【0021】
なお、図7で示すものは、第一実施例の掛止突子18が套装カバー17の一部で構成するものであるに対し、ストッパー4に直接突設して掛止突子18を構成させて第二実施例を示す。
【0022】
ストッパー4は素材である金属の重量によって掛止突子18の受止縁20に対する嵌合動作が円滑に行われるのであるが、その際第二実施例においては金属同士(第二実施例の掛止突子18と本体基盤8)とが互いに接触してメッキが剥離し勝ちとなるが、第一実施例のように弾性体(ゴム)で構成した套装カバー17の一部で掛止突子18を構成することによってこれを防ぐことができる。
【0023】
また、実施例にあっては、ストッパー4側に長孔11を設け、本体3(基盤8)側に支軸12を配してあるが、これとは逆にストッパー4側に支軸12を固定的に配し(ストッパー4の表面に支軸12を突設し)、該支軸12を本体3(基盤8と支持片9の前部片9bの相対向面)に長孔(穴)を設けるようにしても良い。
【0024】
さらに、大きさ或いは具体的な構造にもよるが、戸先框2側に基盤8を介して固定してストッパー4が召合せ框1(内障子d)の走行路上突出する(召合せ框1乃至内障子dと見付け方向に重なり合う)位置に配するようにしても良く、片引きサッシに適用するにも必ずしも不都合はない。
【0025】
片引きサッシの場合は、障子の戸先框と窓枠の召合せ方立のいずれか一方に基盤8において本防止具Aを装置し、ストッパー4を他方と見付け方向に重なり合う位置に出入りさせて用いるようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】使用状態を示す正面図。
【図2】図1の横断面図。
【図3】図1の縦断面図。
【図4】基盤とストッパーの起伏関係を示す動作説明図。
【図5】ストッパーの分解斜視図。
【図6】防止具の配置図。
【図7】ストッパーの第二実施例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0027】
1 召合せ框
2 戸先框
4 ストッパー
8 基盤
11 長孔
12 支軸
18 掛止突子
20 受止縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片引きサッシにあっては戸先框と召合せ方立、また、引き違いサッシにあっては外障子の戸先框と内障子の召合せ框のいずれか一方に止着する基盤に、他方と見付け方向に重なり合う位置に先端が突出するストッパーの基部を支軸で回動自在に組付けたサッシの指先挟み防止具において、前記基盤と前記ストッパーの相対向面側のいずれか一方に長孔を設け、該長孔に他方に設けた支軸を相対的に縦動可能に嵌挿して前記基盤に前記ストッパーを回動自在に枢着し、また、ストッパーの前記先端側の前記相対向面に掛止突子を設け、該掛止突子を掛止する受止縁を、基盤の前記相対向面に設けた前記長孔又は支軸の直上に形成した、サッシの指先挟み防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−2346(P2006−2346A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176732(P2004−176732)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)