説明

サッシ

【課題】火災時に高温に晒された際に加熱発泡剤により確実にコーナー部分を塞ぎ、溶融した樹脂の流出も防止して防火性能を高くすることのできるサッシを提供する。
【解決手段】上下枠10、11と左右の縦枠12、12を枠組みしてなる枠体1に、上下框20、21と縦框22及び召合わせ框23を框組みしてなる框体4を有する内障子2と外障子3を引き違い状に納め、枠体1または框体4の上端コーナー部には樹脂製のコーナー部品50が設けられ、コーナー部品50の側方または下方には金属製の受け板部52bが設けられ、受け板部52bより上方には加熱発泡剤53が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に設けられる枠体内に内外障子を納めたサッシに関し、特に火災発生時に高温に晒されても枠体と障子の隙間を発泡部材で塞ぐことのできるサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
建物開口部に設けられるサッシにおいて、枠体内に内外障子を引き違い状に納めてなる引き違いサッシが広く用いられている。引き違いサッシを含むサッシには、火災が発生した場合にも、一定時間以上、閉塞状態を維持する防火性能が求められる。防火性能を十分に確保するためには、サッシが高温に晒されたとしても、サッシを構成する枠体と障子との間に隙間を生じさせないようにすることが重要である。
【0003】
サッシには、樹脂製のサッシはもちろんのこと、金属製のサッシにおいても、樹脂部材が各所に用いられている。このような樹脂部材は、火災時の高温に晒されると溶融するから、樹脂部材が溶融しても枠体と障子の位置関係が保たれるようにする必要がある。樹脂サッシにおいては、例えば枠体側と障子側にそれぞれ金属製の部品を設け、火災発生時にはそれらが掛かり合うようにすることで、障子の脱落を防ぐようにしたものが知られている。このようなサッシとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−265646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属製のサッシにおいては、火災時に高温に晒されることで熱膨張が生じ、枠体を構成する枠材や障子を構成する框材が大きく伸びる現象が発生する。枠材や框材の端部に隙間がある場合には、これらの部材は長手方向に伸びていくが、隙間がない場合には、それ以上伸びることができないため、反りが発生して部材が屈曲する。このような屈曲が発生すると、枠体と障子の間には隙間が生じるから、その隙間から火炎が侵入し、防火性能を十分に確保することができない。
【0006】
障子の上下辺及び縦辺においては、框体を構成する框材を枠体側に引き寄せるような構造を設けることにより、隙間を生じないようにして防火性能を確保することもできる。一方、枠体や框体のコーナー部分には、樹脂製のコーナー部品が設けられていて、障子の振れを防止したり、あるいは障子の金属部分が枠体の金属部分に直接当たらないようにしているが、火災時にこれらが溶融して溶け落ちると、コーナー部分に大きな空間が生じる。したがって、防火性能確保のためには、この空間を何らかの手段で塞ぐ必要がある。
【0007】
このようなコーナー部分における隙間を塞ぐため、枠体や框体には適宜、加熱発泡剤を設けていた。加熱発泡剤は、高温に晒されることにより発泡して体積が数十倍程度に増加するものであり、これによって空間を塞ぐことが図られている。しかし、サッシが高温に晒された際に加熱発泡剤が所定位置から脱落したり移動したりすると、これを十分に機能させて空間を塞ぐことができない。
【0008】
また、通常時に機能する樹脂製のコーナー部品が、高温によって溶融し、それが室内側や室外側に流れ出ることが考えられるが、流れ出た樹脂がさらに高温に晒されることで、発火するおそれもあるから、溶融した樹脂が流れ出さないようにする必要もある。
【0009】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、火災時に高温に晒された際に加熱発泡剤により確実にコーナー部分を塞ぎ、溶融した樹脂の流出も防止して防火性能を高くすることのできるサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係るサッシは、上下枠と左右の縦枠を枠組みしてなる枠体に、上下框と縦框及び召合わせ框を框組みしてなる框体を有する内障子と外障子を納めてなるサッシにおいて、
前記枠体または框体の上端コーナー部には樹脂製のコーナー部品が設けられ、該コーナー部品の側方または下方には金属製の受け板部が設けられ、該受け板部より上方には加熱発泡剤が設けられることを特徴として構成されている。
【0011】
また、本発明に係るサッシは、前記縦框には前記コーナー部品として上端部に樹脂製の上振止部品が取付けられ、
前記上振止部品は、前記上枠に形成される上レール部に対し長手方向に沿って摺動自在な飲込部を備えると共に、金属製の上端金属部品を一体的に有してなり、
前記上端金属部品には、前記飲込部を構成する側壁に沿う側面部と、該側面部の下端部に形成される水平面状の前記受け板部が形成され、該受け板部の上面に前記加熱発泡剤が設けられることを特徴として構成されている。
【0012】
さらに、本発明に係るサッシは、前記上端金属部品の側面部にも前記加熱発泡剤が設けられることを特徴として構成されている。
【0013】
さらにまた、本発明に係るサッシは、前記召合わせ框には前記コーナー部品として上端部に召合わせ振止部材が取付けられ、
前記召合わせ振止部材は、金属製の本体部品と、該本体部品に取付けられる樹脂製の摺動部品とからなり、前記摺動部品は前記上レール部に摺接する摺接部を有した樹脂溝部を有し、
前記本体部品の下面が前記受け板部とされ、該受け板部の上面に前記加熱発泡剤が設けられることを特徴として構成されている。
【0014】
そして、本発明に係るサッシは、前記本体部品には、前記摺動部品が取付けられる側面部と、該側面部と対向する対向側面部が設けられ、該対向側面部の内面にも前記加熱発泡剤が設けられることを特徴として構成されている。
【0015】
また、本発明に係るサッシは、前記上枠には、前記内障子が配置される側の室外端部と、前記外障子が配置される側の室内端部に、それぞれ前記コーナー部品として樹脂製のストッパー部材が設けられ、前記内障子が配置される側のストッパー部材の室内側と、前記外障子が配置される側のストッパー部材の室外側とに、それぞれ隣接するように金属製のガイド部材が設けられ、
前記ガイド部材は前記上枠に固定される基部と、該基部から垂下されて前記ストッパー部材に隣接する前記受け板部とを有し、前記基部の下面に前記加熱発泡剤が設けられることを特徴として構成されている。
【0016】
さらに、本発明に係るサッシは、前記ガイド部材の受け板部と前記ストッパー部材とが一体化されてなることを特徴として構成されている。
【0017】
さらにまた、本発明に係るサッシは、前記ガイド部材の基部は前記内障子または外障子の上端部と対向し、前記ガイド部材の受け板部は前記内障子の室外側面または外障子の室内側面と対向することを特徴として構成されている。
【0018】
そして、本発明に係るサッシは、前記加熱発泡剤は前記基部の下面に当接し、前記基部と共に前記上枠に締結固定されることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るサッシによれば、枠体または框体の上端コーナー部には樹脂製のコーナー部品が設けられ、コーナー部品の側方または下方には金属製の受け板部が設けられ、受け板部より上方には加熱発泡剤が設けられることにより、火災発生時にコーナー部品が溶融しても、金属製の受け板部によって加熱発泡剤が脱落することを防止すると共に、発泡方向を規制して確実に隙間を塞ぐことができる。
【0020】
また、本発明に係るサッシによれば、樹脂からなる縦框上端部の上振止部品は、金属製の上端金属部品を一体的に有し、上端金属部品には、飲込部を構成する側壁に沿う側面部と、側面部の下端部に形成される水平面状の受け板部が形成され、受け板部の上面に加熱発泡剤が設けられることにより、縦框上端部のコーナー部分において、上振止部品が溶融しても加熱発泡剤が受け板部により支持されると共に、上振止部品側に向かって確実に発泡させることができる。
【0021】
さらに、本発明に係るサッシによれば、上端金属部品の側面部にも加熱発泡剤が設けられることにより、より確実に発泡により隙間を塞ぐことができる。
【0022】
さらにまた、本発明に係るサッシによれば、召合わせ框にはコーナー部品として上端部に召合わせ振止部材が取付けられ、召合わせ振止部材は、金属製の本体部品と、本体部品に取付けられる樹脂製の摺動部品とからなり、摺動部品は上レール部に摺接する摺接部を有した樹脂溝部を有し、本体部品の下面が受け板部とされ、受け板部の上面に加熱発泡剤が設けられることにより、召合わせ框上端部のコーナー部分において、摺動部品が溶融しても加熱発泡剤が受け板部により支持されると共に、召合わせ振止部材の設けられる領域を確実に塞ぐことができる。
【0023】
そして、本発明に係るサッシによれば、本体部品には摺動部品が取付けられる側面部と対向する対向側面部が設けられ、対向側面部の内面にも加熱発泡剤が設けられることにより、端部材が溶融して流出することを加熱発泡剤により防止し、溶融した樹脂に着火することを防止することができる。
【0024】
また、本発明に係るサッシによれば、上枠の上端部において、内障子が配置される側のストッパー部材の室内側と、外障子が配置される側のストッパー部材の室外側とに、それぞれ隣接するように金属製のガイド部材が設けられ、ガイド部材は上枠に固定される基部と、基部から垂下されてストッパー部材に隣接する受け板部とを有し、基部の下面に加熱発泡剤が設けられることにより、上枠上端部のコーナー部分において、ストッパー部材が溶融しても加熱発泡剤はガイド部材に固定されているので脱落せず、また、受け板部によって確実に上框の上端部に向かって発泡するので、隙間を確実に塞ぐことができる。
【0025】
さらに、本発明に係るサッシによれば、ガイド部材の受け板部とストッパー部材とが一体化されてなることにより、取付作業性を良好にすることができる。
【0026】
さらにまた、本発明に係るサッシによれば、ガイド部材の基部は前記内障子または外障子の上端部と対向し、前記ガイド部材の受け板部は前記内障子の室外側面または外障子の室内側面と対向することにより、上枠の内周面と上框との間について、発泡方向を確実に規制することができる。
【0027】
そして、本発明に係るサッシによれば、加熱発泡剤は基部の下面に当接し、基部と共に上枠に締結固定されることにより、加熱発泡剤をガイド部材と共に強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態のサッシの縦断面図である。
【図2】本実施形態のサッシの横断面図である。
【図3】縦框を上方から平面視するサッシの拡大横断面図である。
【図4】上振止部品の斜視図である。
【図5】上端金属部品の斜視図である。
【図6】外障子の召合わせ框の平面図である。
【図7】本体部品の斜視図である。
【図8】召合わせ振止部材の側面図である。
【図9】内障子が配置される側の端部近傍における上枠付近の拡大縦断面図である。
【図10】外障子ストッパー部材及びガイド部材の斜視図である。
【図11】外障子が配置される側の端部近傍における上枠付近の拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態のサッシの縦断面図を、図2には本実施形態のサッシの横断面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態のサッシは、建物開口部に取付けられる枠体1内に、内障子2と外障子3を引き違い状に納めてなる引き違いサッシである。
【0030】
枠体1は、いずれも金属材からなる上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12を方形状に枠組みして構成されている。内障子2と外障子3は、それぞれいずれも金属材からなる上框20と下框21、縦框22及び召合わせ框23を方形状に框組みしてなる框体4内に、ガラス板からなるパネル体5を納めて構成されている。
【0031】
枠体1を構成する上枠10は、内周面10aの室内外端部からそれぞれ垂直方向に伸びる室内側面10bと室外側面10cを備え、これら室内側面10bと室外側面10cの間には、内障子2の上辺を長手方向に案内する内上レール部10dと、外障子3の上辺を長手方向に案内する外上レール部10eとが、それぞれ内周面10aから突出状に形成されている。
【0032】
枠体1を構成する下枠11は、内周面11aが室内外方向に段差を有するように形成されており、室内側が高く、室外側が低くなっている。この内周面11aのうち高い側の室内側には、内障子2の下辺を長手方向に案内する内レール部11bが、内周面11aのうち低い側の室外側には、外障子3の下辺を長手方向に案内する外レール部11cが、それぞれ突出状に形成されている。
【0033】
下枠11の室内側面には、内障子2を構成する下框21の室内側面と対向する内障子対向部11dが形成され、その先端部には気密材11fが設けられて、この気密材11fが内障子2の室内側面に当接することで、内障子2下辺の気密性を確保している。また、下枠11には、内レール部11bの下部から室外側に突出し外障子3を構成する下框21の室内側面と対向する外障子対向部11eが形成され、その先端部には気密材11fが設けられて、この気密材11fが外障子3の室内側面に当接することで、外障子3下辺の気密性を確保している。
【0034】
枠体1を構成する縦枠12は、内周面12aの室内外端部からそれぞれ垂直方向に伸びる室内側面12bと室外側面12cを備えている。縦枠12のうち、閉じた状態の内障子2が配置される側の内周面12aには、内障子2の外周面に向かって突出する中間フィン部12dが形成されている。また、室内側面12bを構成する面のうち内周面12aより見付方向内側に突出する部分は、内障子2を構成する縦框22の室内側面と対向する室内フィン部12fとなっている。室内フィン部12fの先端部には、気密材12gが設けられて内障子2の室内側面に当接し、内障子2縦辺の気密性を確保している。
【0035】
縦枠12のうち、閉じた状態の外障子3が配置される側の内周面12aには、外障子3の外周面に向かって突出する中間フィン部12dが形成されている。また、中間フィン部12dより室内側の内周面12aからは、外障子3を構成する縦框22の室内側面と対向する室内フィン部12fが突出しており、その先端部には気密材12gが設けられて外障子3の室内側面に当接し、外障子3縦辺の気密性を確保している。
【0036】
框体4を構成する上框20は、内周側にはパネル体5の端部を納めるパネル飲込部20aを有し、外周側には上枠10の内上レール部10dまたは外上レール部10eを飲み込んで案内されるレール案内部20bを有している。レール案内部20bは断面凹状となっており、その開口付近には室内外にそれぞれ気密材20cが設けられていて、これらが内上レール部10dまたは外上レール部10eに当接することで、内障子2及び外障子3上辺の気密性を確保している。
【0037】
框体4を構成する下框21は、内周側にパネル体5の端部を納めるパネル飲込部21aを有している。下框21の外周側、すなわち下端部には戸車21dが設けられており、戸車21dが下枠11の内レール部11bまたは外レール部11cに載置されることにより、内障子2や外障子3を移動自在としている。
【0038】
下框21の室内側面には、下端部が下方に延出された室内面延出部21bが形成されている。内障子2の室内面延出部21bは下枠11の内障子対向部11dと対向し、外障子3の室内面延出部21bは下枠11の外障子対向部11eと対向して、気密材11fに当接する。下框21の室外側面にも、下端部が下方に延出された室外面延出部21cが形成されている。室外面延出部21cは、内レール部11bまたは外レール部11cの上端より下方まで延出されており、風雨の室内側への吹き込みを防止している。
【0039】
框体4を構成する縦框22は、内周側にパネル体5の端部を納めるパネル飲込部22aを有している。縦框22の外周側には縦枠12の中間フィン部12dを飲み込む凹状のフィン飲込部22bが形成されている。フィン飲込部22bを構成する室内側面は、縦枠12の室内フィン部12fに設けられる気密材12gに対して当接し、これによって内障子2及び外障子3縦辺の気密性を確保している。
【0040】
縦框22のパネル飲込部22aには、長手方向中間位置の室内側部分に、樹脂製のピース状からなる縦引き寄せ部材25が設けられている。縦引き寄せ部材25は、内障子2または外障子3が閉じた状態で、パネル飲込部22aの室内側面と縦枠12の中間フィン部12dとに挟まれる形状を有しており、内障子2または外障子3を閉じた際に、縦框22が室内外方向に振れないようにすると共に、内障子2または外障子3を室内側に引き寄せて、縦框22が確実に縦枠12の気密材12gに当接するようにしている。
【0041】
框体4を構成する召合わせ框23は、内周側にパネル体5の端部を納めるパネル飲込部23aを有している。また、外障子3を構成する召合わせ框23の室内側壁部23bと、内障子2を構成する召合わせ框23の室外側壁部23cには、それぞれ略L字状に形成され内障子2と外障子3が閉じた状態で互いに噛み合う煙返し部23gが形成されている。また、内障子2を構成する召合わせ框23の室外側壁部23cには、気密材23hが設けられている。煙返し部23gによって、内障子2と外障子3の召合わせ部分における隙間が塞がれ、さらに気密材23hによって召合わせ辺の気密性を確保している。
【0042】
次に、枠体1または框体4のコーナー部分において火災発生時に生じる隙間を塞ぐ手段について詳細に説明する。火災が発生してサッシが高温に晒されると、枠体1や框体4のコーナー部分に設けられる樹脂製のコーナー部品が溶融して溶け落ち、隙間を生じるから、防火性能を低下させる。そこで、本実施形態では、コーナー部品が溶け落ちても加熱発泡剤によって隙間を埋めることで、防火性能を確保しようとしている。
【0043】
図3には、縦框22を上方から平面視するサッシの拡大横断面図を示している。なお、この図では上框20は省略されている。この図に示すように、框体4の上端コーナー部となる縦框22の上端部には、コーナー部品として樹脂製の上振止部品30が設けられている。上振止部品30は、上框20のレール案内部20bよりも幅狭で上枠10の内上レール部20dまたは外上レール部20eに対し長手方向に沿って摺動自在な飲込部30aを有している。飲込部30aの両開口縁には、ヒレ部30bが形成されており、これらが内上レール部20dまたは外上レール部20eに対して直接、摺接する。また、飲込部30aの外周側端部には、中間フィン部12dに当接して縦框22を室内側に引き寄せる引き寄せ部30cが形成されている。
【0044】
図4には、上振止部品30の斜視図を示している。上振止部品30には、金属製の上端金属部品31が一体的に取付けられている。図5には上端金属部品31の斜視図を示している。上端金属部品31は、上振止部品30の飲込部30aを構成する側壁に沿う2つの側面部31a、31aを有し、各側面部31aの外周端は、それぞれ端部に向かって広がる方向に傾斜して縦傾斜面部31bを構成している。
【0045】
上端金属部品31には、側面部31aの下端部に水平面状の受け板部31cが形成されている。上振止部品30は、上端金属部品31の側面部31aに沿うように設けられるから、受け板部31cは上振止部品30の下方に位置することとなる。受け板部31cの上面には、加熱発泡剤31dが設けられている。加熱発泡剤31dは、所定温度以上になると発泡して体積が数十倍に増加するものであり、火災発生時にサッシが高温に晒されるのに伴い、発泡して上振止部品30が設けられる領域を塞ぐ。
【0046】
火災発生時には、樹脂からなる上振止部品30は溶融するが、金属からなる上端金属部品31は縦框22に固定された状態をそのまま維持する。このため、受け板部31cの上方に配置された加熱発泡剤31dは、上振止部品30が溶け落ちても支持された状態となり、上振止部品30が設けられる受け板部31cより上方の領域を確実に塞ぐことができる。
【0047】
また、上端金属部品31には、図4に示されているように、側面部31aにも加熱発泡剤31eが設けられる。側面部31aの加熱発泡剤31eは、対向する側面部31aと向き合う面にそれぞれ設けられている。すなわち、加熱発泡剤31eは上端金属部品31の受け板部31cよりも上方に設けられるから、火災発生時には少なくとも受け板部31cより下方には脱落しないようにすることができる。
【0048】
また、加熱発泡剤31dは、受け板部31cと2つの側面部31a、31aに囲まれた領域に向かうように設けられているので、これらの壁部に沿って確実に隙間を埋めるように発泡することができる。つまり、受け板部31cは、加熱発泡剤31dの発泡の方向も規制することができる。
【0049】
図6には、外障子3の召合わせ框23の平面図を示している。框体4のコーナー部分となる召合わせ框23の上端部には、上枠10の内上レール部10dまたは外上レール部10eに対して長手方向に摺接自在な召合わせ振止部材40が設けられている。
【0050】
召合わせ框23は、室内側壁部23bと室外側壁部23c、内周壁部23d及び外周壁部23eに囲まれた中空部分を有しており、この中空部分に召合わせ振止部材40が挿入される。図6に表れているのは、召合わせ振止部材40を構成する部品のうち、樹脂からなるコーナー部品としての摺動部品42及び上面部品43であり、これらが上枠10の外上レール部10eに対して摺接する。これら摺動部品42と上面部品43は、金属からなる本体部品41に取付けられている。
【0051】
召合わせ振止部材40は、上枠10の外上レール部10eに対して摺接する摺接部42bを開口に有する溝部分を有し、この溝部分は外障子3が移動する方向に沿って設けられている。召合わせ框23の内周壁部23dと外周壁部23eには、それぞれ召合わせ振止部材40の溝部分と連続して上枠10の外上レール部10eを飲み込むU字状の切欠部23iが形成されている。
【0052】
図7には、本体部品41の斜視図を示している。図7において本体部品41は、召合わせ框23の内周側に向かって配置される側が、手前側となるように描かれている。図7に示すように、本体部品41は、略四角形状をなすように形成されており、上面部41aと下面を構成する受け板部41b及び2つの側面部41c、41dを有している。本体部品41の側面部41c、41dは、それぞれ溝状の金属溝部41eを有している。また、本体部品41の上面部41aには、両側面部41c、41dの金属溝部41e、41eを連続させる上面溝部41fが形成されている。これらによって形成される溝部分に、上枠10の内上レール部10dまたは外上レール部10eが飲み込まれる。
【0053】
図8には、召合わせ振止部材40の側面図を示している。この図に示すように、本体部品41の受け板部41bと、摺動部品42が設けられる側と反対側の側面部41dには、それぞれ内面側に加熱発泡剤44、45が設けられる。ここでの加熱発泡剤44、45は、火災発生時にサッシが高温に晒されるのに伴い、発泡して召合わせ振止部材40内を塞ぐことができる。また、側面部41dに設けられる加熱発泡剤45は、溶融する摺動部品42が流れ出す方向と対向しているから、発泡によってその流出を抑えることができ、樹脂が流出して着火することを防止することができる。
【0054】
召合わせ振止部材40においても、受け板部41bは、樹脂からなる摺動部品42及び上面部品43より下方にあって、加熱発泡剤44、45は受け板部41bの上方に配置されている。これにより、火災発生時に加熱発泡剤44、45が受け板部41bより下方に脱落することがなく、また、受け板部41bによって発泡の向きが規制されるから、樹脂からなるコーナー部品が溶融しても、その隙間を確実に塞ぐことができる。なお、ここでは外障子3の召合わせ框23について説明したが、内障子2の召合わせ框23も、同様の構成を有している。
【0055】
図9には、内障子2が配置される側の端部近傍における上枠10付近の拡大縦断面図を示している。上枠10には、内障子2が配置される側の端部近傍に、枠体1のコーナー部品として外障子ストッパー部材50が設けられる。外障子ストッパー部材50は、樹脂からなり、外障子3を全開状態とした際に、その框体4が当接し、外障子3が縦枠12に対し直接衝突しないようにするために設けられる。
【0056】
図9に示すように、外障子ストッパー部材50は、上枠10の外上レール部10eの室内側面及び上枠10の内周面10aにそれぞれ当接する本体部50aと、本体部50aの室内面上端部から室内側に向かって伸びる延出部50bとを有している。
【0057】
外障子ストッパー部材50の室内側には、金属からなるガイド部材52が取付けられる。ガイド部材52は、外障子ストッパー部材50の延出部50bに沿う基部52aと、基部52aの室外端部から下方に垂下され、外障子ストッパー部材50の室内側面に沿って側方に位置する受け板部52bとを有している。受け板部52bの外障子ストッパー部材50側の面には、本体部50aに対して係合固定される係合部52cが形成されており、外障子ストッパー部材50とガイド部材52は一体化されている。また、受け板部52bは、内障子2を構成する上框20の室外側面と下端部が対向する。
【0058】
図10には、外障子ストッパー部材50及びガイド部材52の斜視図を示している。この図に示すように、ブロック状に形成された外障子ストッパー部材50に対して、その室内側面を覆うようにガイド部材52が取付けられ、一体化されている。
【0059】
図9に示すように、受け板部52bよりも上方に位置するガイド部材52の基部52aには、加熱発泡剤53が重合されており、加熱発泡剤53と基部52a及び外障子ストッパー部材50の延出部50bが、上枠10の内周面10aに対してビス止めされている。
【0060】
火災が発生してサッシが高温に晒されると、樹脂からなる外障子ストッパー部材50は溶融して溶け落ちるが、金属からなるガイド部材52はそのまま上枠10に固定された状態を維持する。そして、ガイド部材52の基部52aに固定された加熱発泡剤53は、内障子2の上框20に向かって発泡し、上枠10の内周面10aと上框20の間の隙間を塞ぐ。
【0061】
このとき、ガイド部材52には下方に垂下される受け板部52bが形成されているので、加熱発泡剤53は受け板部52bにガイドされて、確実に上框20の上端側に向かって発泡することができる。このように、枠体1のコーナー部品についても、受け板部52bは、樹脂からなる外障子ストッパー部材50の側方にあって、加熱発泡剤53は受け板部52bの上方に配置されている。これにより、火災発生時に受け板部52bによって加熱発泡剤53の発泡の向きが規制され、樹脂からなるコーナー部品が溶融しても、その隙間を確実に塞ぐことができる。
【0062】
図11には、外障子3が配置される側の端部近傍における上枠10付近の拡大縦断面図を示している。この図に示すように、上枠10の外障子3が配置される側の端部近傍には、枠体1のコーナー部品として内障子ストッパー部材51が設けられる。内障子ストッパー部材51には、外障子ストッパー部材50と同様にガイド部材52が一体化される。内障子ストッパー部材51と一体化されるガイド部材52は、内障子ストッパー部材51を構成する本体部51aの室外側面を覆う受け板部52bと、内障子ストッパー部材51の本体部51aから室外側に延びる延出部51bとを覆う基部52aとを有し、基部52aには本体部51aに対して係合する係合部52cが形成される。また、受け板部52bは、外障子3を構成する上框20の室内側面と下端部が対向する。
【0063】
ガイド部材52の基部52aには、加熱発泡剤53が重合しており、加熱発泡剤53と基部52a及び内障子ストッパー部材51の延出部51bが上枠10の内周面10aに対してビス止め固定される。これにより、火災発生時には加熱発泡剤53が上框20の上端部に向かって発泡し、発泡の方向はガイド部材52の受け板部52bによって規制されるから、外障子ストッパー部材50の場合と同様の効果を得ることができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態では内外障子2、3が枠体1内に引き違い状に納められるものとしたが、内外障子2、3のいずれかが枠体1に固定された片引きサッシであっても、同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1 枠体
2 内障子
3 外障子
4 框体
5 パネル体
10 上枠
10a 内周面
10d 内上レール部
10e 外上レール部
11 下枠
11b 内レール部
11c 外レール部
12 縦枠
20 上框
21 下框
22 縦框
30 上振止部品
31 上端金属部品
31c 受け板部
31d 加熱発泡剤
31e 加熱発泡剤
40 召合わせ振止部材
41 本体部品
41b 受け板部
42 摺動部品
43 上面部品
44 加熱発泡剤
45 加熱発泡剤
50 外障子ストッパー部材
51 内障子ストッパー部材
52 ガイド部材
52a 基部
52b 受け板部
53 加熱発泡剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下枠と左右の縦枠を枠組みしてなる枠体に、上下框と縦框及び召合わせ框を框組みしてなる框体を有する内障子と外障子を納めてなるサッシにおいて、
前記枠体または框体の上端コーナー部には樹脂製のコーナー部品が設けられ、該コーナー部品の側方または下方には金属製の受け板部が設けられ、該受け板部より上方には加熱発泡剤が設けられることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
前記縦框には前記コーナー部品として上端部に樹脂製の上振止部品が取付けられ、
前記上振止部品は、前記上枠に形成される上レール部に対し長手方向に沿って摺動自在な飲込部を備えると共に、金属製の上端金属部品を一体的に有してなり、
前記上端金属部品には、前記飲込部を構成する側壁に沿う側面部と、該側面部の下端部に形成される水平面状の前記受け板部が形成され、該受け板部の上面に前記加熱発泡剤が設けられることを特徴とする請求項1記載のサッシ。
【請求項3】
前記上端金属部品の側面部にも前記加熱発泡剤が設けられることを特徴とする請求項2記載のサッシ。
【請求項4】
前記召合わせ框には前記コーナー部品として上端部に召合わせ振止部材が取付けられ、
前記召合わせ振止部材は、金属製の本体部品と、該本体部品に取付けられる樹脂製の摺動部品とからなり、前記摺動部品は前記上レール部に摺接する摺接部を有した樹脂溝部を有し、
前記本体部品の下面が前記受け板部とされ、該受け板部の上面に前記加熱発泡剤が設けられることを特徴とする請求項1記載のサッシ。
【請求項5】
前記本体部品には、前記摺動部品が取付けられる側面部と、該側面部と対向する対向側面部が設けられ、該対向側面部の内面にも前記加熱発泡剤が設けられることを特徴とする請求項4記載のサッシ。
【請求項6】
前記上枠には、前記内障子が配置される側の室外端部と、前記外障子が配置される側の室内端部に、それぞれ前記コーナー部品として樹脂製のストッパー部材が設けられ、前記内障子が配置される側のストッパー部材の室内側と、前記外障子が配置される側のストッパー部材の室外側とに、それぞれ隣接するように金属製のガイド部材が設けられ、
前記ガイド部材は前記上枠に固定される基部と、該基部から垂下されて前記ストッパー部材に隣接する前記受け板部とを有し、前記基部の下面に前記加熱発泡剤が設けられることを特徴とする請求項1記載のサッシ。
【請求項7】
前記ガイド部材の受け板部と前記ストッパー部材とが一体化されてなることを特徴とする請求項6記載のサッシ。
【請求項8】
前記ガイド部材の基部は前記内障子または外障子の上端部と対向し、前記ガイド部材の受け板部は前記内障子の室外側面または外障子の室内側面と対向することを特徴とする請求項6または7記載のサッシ。
【請求項9】
前記加熱発泡剤は前記基部の下面に当接し、前記基部と共に前記上枠に締結固定されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のサッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−113064(P2013−113064A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262782(P2011−262782)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】